JPH10181338A - ビスカスヒータ - Google Patents

ビスカスヒータ

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Publication number
JPH10181338A
JPH10181338A JP30413497A JP30413497A JPH10181338A JP H10181338 A JPH10181338 A JP H10181338A JP 30413497 A JP30413497 A JP 30413497A JP 30413497 A JP30413497 A JP 30413497A JP H10181338 A JPH10181338 A JP H10181338A
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JP
Japan
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rotor
chamber
viscous fluid
viscous
heat generating
Prior art date
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Pending
Application number
JP30413497A
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English (en)
Inventor
Takahiro Moroi
隆宏 諸井
Kenji Takenaka
健二 竹中
Takashi Ban
孝志 伴
Shigeru Suzuki
鈴木  茂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Publication date
Application filed by Toyoda Automatic Loom Works Ltd filed Critical Toyoda Automatic Loom Works Ltd
Priority to JP30413497A priority Critical patent/JPH10181338A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ロータの1回転当たりの発熱量を大きく確保し
つつ、ロータの外面と発熱室の壁面との干渉を防止する
とともに、ロータの偏りを抑制して粘性流体の偏在に因
る発熱量低下及び粘性流体の劣化進行を防止する。 【解決手段】ロータ15は、駆動軸に相対回動不能かつ
軸方向の変位可能に嵌合され、ロータ15の前後端面1
5a及び15bは、ロータ15の回動中における粘性流
体の圧力を介するくさび効果により発熱室内でロ−タ1
5が軸方向に偏ることを修正するくさび効果発揮手段を
それぞれ有している。このくさび効果発揮手段は、円周
方向に延在するとともに、ロータ15の回動方向(P矢
印方向)の逆側に向かって底部が徐々に浅くなるように
形成された少なくとも3個の傾斜凹部21であり、各傾
斜凹部21は、ロータ15の周方向に等間隔で配設さ
れ、かつ、ロータ15の中心から半径方向に等しい距離
隔てた位置に配設されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘性流体をせん断
により発熱させ、放熱室内を循環する循環流体に熱交換
して暖房熱源に利用するビスカスヒータに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、特開平2−246823号公報に
車両用暖房装置に利用されるビスカスヒータが開示され
ている。このビスカスヒータでは、前部及び後部ハウジ
ングが対設された状態で通しボルトにより締結され、内
部に発熱室と、この発熱室の外域にウォータジャケット
とを形成している。ウォータジャケット内では循環水が
入水ポートから取り入れられ、出水ポートから外部の暖
房回路へ送り出されるべく循環されている。前部ハウジ
ングには軸受装置を介して駆動軸が回動可能に支承さ
れ、駆動軸には発熱室内で回動可能なロータが固定され
ている。ロータの周縁部の前後端面及び発熱室の前記壁
面には互いに近接するラビリンス溝がそれぞれ形成さ
れ、両ラビリンス溝は僅かな隙間(液密的間隙)を保ち
ながら係合しており、発熱室内に封入されたシリコーン
オイル等の粘性流体がこの液密的間隙に介在される。
【0003】車両の暖房装置に組み込まれたこのビスカ
スヒータでは、駆動軸がエンジンにより駆動されれば、
発熱室内でロータが回動するため、発熱室内に封入され
上記液密的間隙に介在する粘性流体がせん断により発熱
する。この発熱はウォータジャケット内の循環水に熱交
換され、加熱された循環水が暖房回路で車両の暖房に供
されることとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のビ
スカスヒータでは、ロータの1回転当たりの発熱量を向
上させると、ロータの外面が発熱室の壁面と干渉しやす
いことが明らかとなった。すなわち、製造時の公差等に
より駆動軸と発熱室との軸方向の寸法は完全なものとは
なり得ない。したがって、上記従来のビスカスヒータで
は、ロータが駆動軸に固定されているため、運転時にお
いて、ロータが発熱室と軸方向に寸法差を有したまま回
動し、ロータの外面が発熱室の壁面と干渉しやすい。一
方、かかる干渉を回避すべく、発熱室の壁面とロータの
外面との液密的間隙を拡大すると、粘性流体がせん断さ
れにくくなるため、ロータの1回転当たりの発熱量が低
下してしまう。
【0005】そこで本出願人は、ロータの1回転当たり
の発熱量を大きく確保しつつ、ロータの外面と発熱室の
壁面との干渉を防止すべく、ロータを駆動軸に対して相
対回動不能かつ軸方向変位可能に結合したビスカスヒー
タを先に提案し出願している(特願平7−232691
号)。しかし、上記先願に係るビスカスヒータにおいて
は、ロータが駆動軸に軸方向変位可能に結合されている
ことから、ロータが発熱室内で軸方向に偏り、その結果
粘性流体の偏在に因り発熱量が低下したり、粘性流体が
劣化し易くなったりするという新たな不都合が生じた。
【0006】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あり、ロータの1回転当たりの発熱量を大きく確保しつ
つ、ロータの外面と発熱室の壁面との干渉を防止すると
ともに、ロータの偏りを抑制して粘性流体の偏在に因る
発熱量低下及び粘性流体の劣化進行を防止することを解
決すべき技術課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1のビスカスヒータは、内部に発熱室及び
該発熱室に隣接して循環流体を循環させる放熱室を形成
するハウジングと、該ハウジングに軸受装置を介して回
動可能に支承された駆動軸と、該発熱室内で該駆動軸に
より回動可能に設けられるとともに該発熱室の壁面との
間に液密的間隙を形成するロータと、該発熱室内に封入
され、該液密的間隙に介在して該ロータの回動により発
熱される粘性流体とを有するビスカスヒータにおいて、
前記ロータは、前記駆動軸に相対回動不能かつ軸方向の
変位可能に嵌合され、前記ロータの前後端面は、ロータ
の回動中における前記粘性流体の圧力を介するくさび効
果により前記発熱室内でロ−タが軸方向に偏ることを修
正するくさび効果発揮手段をそれぞれ有していることを
特徴とする。
【0008】このビスカスヒータでは、駆動軸が回動さ
れれば、ロータが駆動軸に相対回動不能に嵌合されてい
るため、発熱室内でロータが回動され、液密的間隙にお
ける粘性流体のせん断による発熱で暖房を行なうことが
できる。また、このビスカスヒータでは、製造時の公差
等により、ロータが発熱室と軸方向に寸法差を有してい
ても、ロータが駆動軸に軸方向変位可能に嵌合されてい
ることによりこの寸法差を吸収する。
【0009】このため、このビスカスヒータでは、ロー
タの1回転当たりの発熱量を向上させるべく、粘性流体
がせん断されやすいように発熱室の壁面とロータの外面
との液密的間隙をある程度縮小しても、ロータの外面が
発熱室の壁面と干渉しにくい。さらに、このビスカスヒ
ータでは、ロータが回動されると、発熱室内の粘性流体
の圧力を介するくさび効果により、発熱室内におけるロ
−タの軸方向の偏りが修正される。このため、ロータが
駆動軸に対して軸方向変位可能であっても、ロ−タの回
動中において、常に、ロ−タは発熱室内で軸方向のほぼ
中立位置に保持せしめられる。したがって、粘性流体の
偏在に因り発熱量が低下したり、粘性流体が劣化し易く
なったりする不都合を解消しうる。
【0010】(2)請求項2記載のビスカスヒータは、
請求項1記載のビスカスヒータにおいて、くさび効果発
揮手段は、円周方向に延在するとともに、ロータの回動
方向の逆側に向かって底部が徐々に浅くなるように形成
された少なくとも3個の傾斜凹部であり、各該傾斜凹部
は、ロータの周方向に等間隔で配設され、かつ、該ロー
タの中心から半径方向に等しい距離隔てた位置に配設さ
れていることを特徴とする。
【0011】このビスカスヒータでは、ロータの回動中
において各傾斜凹部と各該傾斜凹部に対向する発熱室の
前後壁面との間に存在する粘性流体の圧力は、傾斜凹部
の最深底部で最も低く、該最深底部から底部が浅くなる
方に向かって徐々に高くなる。このロ−タの前後両側に
おける粘性流体の圧力傾斜により、ロ−タが発熱室内で
軸方向に偏ることを修正しようとするくさび効果が発揮
される。そして、各傾斜凹部はロータの周方向に等間隔
で配設され、かつ、ロータの中心から半径方向に等しい
距離隔てた位置に配設されていることから、上記くさび
効果がロータの周方向及び半径方向に均等に作用するの
で、ロータが駆動軸の軸芯に対して傾斜することを防止
しつつ、ロータを発熱室内で軸方向のほぼ中立位置に確
実に保持することが可能となる。
【0012】なお、このくさび効果発揮手段としての傾
斜凹部は、ロータの回動により上記液密的間隙を拡大変
化せしめる機能(後述する)を発揮しうる。 (3)請求項3記載のビスカスヒータは、請求項2記載
のビスカスヒータにおいて、ロータは、軸方向前後に貫
通され、ロータの回動により液密的間隙を拡大変化可能
に形成された貫通孔を有し、各傾斜凹部は、該貫通孔の
ロ−タの回動方向の逆側の端縁を面取りすることにより
ロータの前後端面にそれぞれ形成されていることを特徴
とする。
【0013】ここで、上記液密的間隙とは、ロータの回
動により十分な発熱が確保できる粘性流体に対してのせ
ん断力付与空間をいう。このビスカスヒータでは、貫通
孔の存在により、ロータの外面及び発熱室の壁面間の液
密的間隙がロータの回動により大きく拡大変化するの
で、その変化により粘性流体における分子の拘束作用が
助長される。この作用により、ロータの回転に伴う粘性
流体の従動回転が規制され、粘性流体のせん断力が向上
される。
【0014】さらに、粘性流体中に混入している気体
(又は気泡)が貫通孔内に集められるので、ロータの外
面及びハウジングの壁面間の液密的間隙(該貫通孔及び
上記傾斜凹部以外の部分の液密的間隙)、すなわち発熱
有効領域に気体がほとんど存在しなくなる。このため、
より効率的に粘性流体にせん断力を与えることが可能と
なる。
【0015】したがって、粘性流体のせん断力の向上に
より、粘性流体の発熱量を効果的に向上させることがで
きる。また、貫通孔を介して粘性流体がロータの前後に
流通されるので、ロータの前後両側における粘性流体の
圧力分布が均一化され、粘性流体の量がロータの前方側
及び後方側で均一化される。とくに、貫通孔のロ−タの
回動方向と逆側の端縁を面取りすることにより上記傾斜
凹部が形成されていることから、ロータの回動中に、粘
性流体が貫通孔のロータの回動方向と逆側の内端部に溜
まることなく傾斜凹部に案内されて流動し易くなるた
め、ロータの前後における粘性流体の流通性が向上す
る。このため、粘性流体の偏在により発熱量が低下等す
ることをより効果的に回避することができる。
【0016】(4)請求項4記載のビスカスヒータは、
請求項3記載のビスカスヒータにおいて、貫通孔はロー
タの前後端面の外周域に設けられていることを特徴とす
る。なお、上記外周域とは、ロータの半径をr0 とした
とき、ロータの中心からr 0 /2以上離れた範囲をい
う。このビスカスヒータでは、貫通孔がロ−タの外周域
に設けられ、したがって該貫通孔のロ−タの回動方向と
逆側の端縁に形成された傾斜凹部もロ−タの外周域に設
けられていることから、上記くさび効果がロ−タの外周
域で働くこととなる。このため、ロータが駆動軸の軸芯
に対して傾斜することをより確実に防止することができ
る。
【0017】また、ロータの外周域と内周域とを比較し
た場合、外周域の方が軸心からの距離が大きいことか
ら、周回速度が大きい。このため、粘性流体のせん断に
よる摩擦トルクの発生には、ロータの内周域よりも外周
域の方が大きく貢献する。したがって、ロータの外周域
に貫通孔を設けることにより、粘性流体のせん断により
発生する摩擦トルク、ひいては粘性流体の発熱量をより
効果的に増大させることができる。
【0018】また、発熱室内には不可避的に気体も残留
している。このため、ビスカスヒータを停止状態で放置
していると、粘性流体が自重により発熱室の下方部に滞
留し、発熱室の上方部には気体が存在する。特に、請求
項6又は7記載のビスカスヒータのように該発熱室と連
通する貯留室又は制御室をもつタイプのものでは、通
常、発熱室における粘性流体の収容容積と貯留室又は制
御室における粘性流体の収容容積との合計量よりも少な
い量の粘性流体をこれらの室に収容していることから、
停止放置状態においてより多くの気体が発熱室の上方部
に存在する。このように粘性流体が発熱室の下方部に滞
留した状態でビスカスヒータを起動させた場合、ロータ
の回動に伴うロータの前後端面との摩擦抵抗力を利用す
ることのみでは、粘性流体を発熱有効領域の全域(ロー
タの全周)に行き渡らせるのに時間がかかり、ビスカス
ヒータの立ち上がりが遅くなるという問題がある。
【0019】この点、このビスカスヒータでは、ロータ
の外周域に貫通孔が設けられていることから、この貫通
孔に歯車ポンプなどにみられるオイルかき揚げ効果をも
たせることができる。すなわち、ビスカスヒータの停止
放置状態においてロータの外周域に設けられた貫通孔の
一部は発熱室の下方部に滞留している粘性流体中に浸っ
ており、ビスカスヒータの駆動後ロータの回動に伴っ
て、この粘性流体中に浸っていた貫通孔に粘性流体を保
持させて発熱室の上方部に持ち上げることができる。こ
のため、ビスカスヒータの起動後、発熱室の下方部に滞
留している粘性流体を発熱有効領域の全域に速やかに行
き渡らせることが可能となる。特に、ロータの外周域に
貫通孔が設けられていることから、粘性流体のせん断に
よる摩擦トルク発生に大きく貢献するロータの外周域の
全周に速やかに粘性流体を行き渡らせることができる。
したがって、ビスカスヒータの立ち上がり性向上に貢献
する。
【0020】(5)請求項5記載のビスカスヒータは、
請求項3又は4記載のビスカスヒータにおいて、貫通孔
は角張った凸状角部を有していることを特徴とする。こ
のビスカスヒータでは、角張った凸状角部により、粘性
流体の分子の拘束作用が効果的に助長され、より効果的
に粘性流体にせん断力を与えることができる。また、一
旦貫通孔内に集まった気体が外に逃げにくくなるので、
貫通部の気体貯溜能力を高めることができる。
【0021】(6)請求項6記載のビスカスヒータは、
請求項1、2、3、4又は5記載のビスカスヒータにお
いて、ハウジングには、発熱室と回収通路及び供給通路
により連通され、該発熱室内における粘性流体の収容容
積を超える粘性流体を収容可能な貯留室が配設されてい
ることを特徴とする。このビスカスヒータでは、貯留室
が、発熱室内における粘性流体の収容容積を超える粘性
流体を収容可能であるため、粘性流体の厳しい収容量管
理が不要となる。
【0022】そして、回収通路が発熱室の中央域と連通
されている場合には、ワイセンベルク効果及び気体の移
動により発熱室の中央域に集められた粘性流体を、回収
通路を介して発熱室から貯留室内に迅速に回収可能であ
るとともに、粘性流体を供給通路により貯留室から発熱
室内に供給可能である。こうして、このビスカスヒータ
では、発熱室と貯留室との間で粘性流体を入れ換えつ
つ、十分な発熱量を発揮するために必要な粘性流体の収
容量を確保できるとともに、粘性流体の収容割合の増大
に伴って内圧上昇による軸封装置の軸封能力が低下する
ことを防止できる。
【0023】また、このビスカスヒータでは、発熱室内
における収容容積を超える粘性流体を貯留室内に収納可
能であることから、せん断される粘性流体の量に余裕を
生じ、特定の粘性流体のみを常にせん断することになら
ないため、粘性流体の劣化遅延を図ることが可能にな
る。さらに、このビスカスヒータでは、ロ−タの後端面
と発熱室の後壁面との間の断面積が傾斜凹部の存在によ
り滑らかに変化している。このように粘性流体の流路の
断面積が滑らかに変化することにより、供給通路を介し
て貯留室から発熱室へ粘性流体が流入し易くなる。この
ため、貯留室及び発熱室間における粘性流体の循環性を
向上させることができ、粘性流体の劣化遅延をより効果
的に図ることが可能になる。
【0024】さらに、このビスカスヒータでは、停止放
置状態において多くの気体が発熱室の上方部に存在して
いることから、ロータの前後端面の外周域に設けられた
貫通孔によるオイルかき揚げ効果の働きがより大きく関
与する。なお、このビスカスヒータでは、停止放置状態
において多くの気体が発熱室の上方部に存在しているこ
とから、ロータの前後端面の外周域に設けられた貫通孔
のみならず内周域に設けられた貫通孔も、オイルかき揚
げ効果を発揮しうる。
【0025】(7)請求項7記載のビスカスヒータは、
請求項1、2、3、4又は5記載のビスカスヒータにお
いて、ハウジングには、発熱室と連通する回収通路と、
該発熱室と連通する供給通路と、該回収通路及び該供給
通路と連通する制御室とが形成されるとともに、該回収
通路及び該供給通路のうちの少なくとも一方が開閉可能
とされ、該回収通路を経て該発熱室内の前記粘性流体を
該制御室内に回収して能力縮小を行なうとともに、該供
給通路を経て該制御室内の該粘性流体を該発熱室内に供
給して能力拡大を行ないうるように構成されていること
を特徴とする。
【0026】このビスカスヒータでは、ハウジングに発
熱室と回収通路及び供給通路により連通する制御室が配
設され、回収通路及び供給通路のうちの少なくとも一方
が開閉可能とされている。このため、制御室内の粘性流
体は開放されている供給通路を経て発熱室内に供給さ
れ、発熱室の粘性流体は開放されている回収通路を経て
制御室内に回収されうる。
【0027】すなわち、回収通路及び/又は供給通路の
開閉に伴う粘性流体の回収量と供給量との調整により、
発熱室内に存在する粘性流体の量を調整して、粘性流体
の発熱量、すなわちビスカスヒータの能力を可変とする
ことができる。また、このビスカスヒータでは、粘性流
体を発熱室から制御室内に回収したり、逆に制御室から
発熱室内に供給したりする際、発熱室と回収通路と供給
通路と制御室との合計の内部容積は変化しないため、粘
性流体が移動することによる負圧は生じない。このた
め、発熱室が大気と連通されている場合であっても、粘
性流体は、新たな空気と接触することはなく、また随時
空気中の水分が補充される訳ではないので、劣化や悪影
響を生じにくい。
【0028】供給通路は、強制供給手段を別途設ける場
合に発熱室の中央域と連通することが許容される他は、
発熱室の外周域と連通されることが好ましい。なぜな
ら、発熱室の外周域に供給された粘性流体は、そのワイ
センベルク効果により発熱室の中央域まで全域に行き渡
りやすく、これにより発熱室の壁面とロータの外面との
液密的間隙の発熱量が迅速に増大するからである。
【0029】したがって、このビスカスヒータは、能力
縮小が確実に行われ、長期間使用後の耐久後の発熱効率
の低下を防止できる。そして、こうして確実に能力制御
を行い得るため、暖房の要・不要に際して電磁クラッチ
を必ずしも必要とせず、暖房装置の低コスト化及び軽量
化を実現することができる。また、このビスカスヒータ
では、ロ−タの後端面と発熱室の後壁面との間の断面積
が傾斜凹部の存在により滑らかに変化している。このよ
うに粘性流体の流路の断面積が滑らかに変化することに
より、供給通路を介して制御室から発熱室へ粘性流体が
流入し易くなる。このため、能力拡大時に制御室から発
熱室に速やかに粘性流体を供給して発熱量を迅速に増大
させることが可能になる。
【0030】さらに、このビスカスヒータでは、停止放
置状態において多くの気体が発熱室の上方部に存在して
いることから、ロータの前後端面の外周域に設けられた
貫通孔によるオイルかき揚げ効果の働きがより大きく関
与する。なお、このビスカスヒータでは、停止放置状態
において多くの気体が発熱室の上方部に存在しているこ
とから、ロータの前後端面の外周域に設けられた貫通孔
のみならず内周域の設けられた貫通孔も、オイルかき揚
げ効果を発揮しうる。
【0031】さらに、暖房が過強になって発熱量を減少
(能力縮小)させるために発熱室内の粘性流体量を減少
させ、能力縮小状態で運転後、再び能力縮小状態から能
力拡大状態に復帰させようとする場合、発熱室内の粘性
流体量を能力縮小時に抜き過ぎてしまうと、特にロータ
の低速回転時における復帰性が低下するという問題があ
る。
【0032】この点、このビスカスヒータでは、発熱室
内の粘性流体量が過少で、かつ、ロータが低速回転であ
っても、ロータの前後端面の外周域に設けられた貫通孔
によるオイルかき揚げ効果の働きにより、発熱室の下方
部にある粘性流体を速やかに発熱有効領域の全域に行き
渡らせることができるので、能力縮小状態から能力拡大
状態への復帰性を向上させることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、各請求項記載の発明を具体
化した実施形態を図面を参照しつつ説明する。 (実施形態1)このビスカスヒータでは、図1に示すよ
うに、製造を容易にするため、前部ハウジング本体1、
前部プレート2、後部プレート3及び後部ハウジング本
体4が前部ハウジング本体1と前部プレート2との間及
び後部プレート3と後部ハウジング本体4との間にガス
ケット5、6を介し、各々積層された状態で複数本の通
しボルト7により締結されている。ここで、前部ハウジ
ング本体1及び前部プレート2が前部ハウジングを構成
し、後部プレート3及び後部ハウジング本体4が後部ハ
ウジングを構成している。そして、前部プレート2の後
端面に底面が平坦に凹設された抉部2aは後部プレート
3の平坦な前端面3aとともに閉塞状態に保持された断
面円形状の発熱室8を形成している。
【0034】また、前部ハウジング本体1の内面と前部
プレート2の前端面とが発熱室8の前部に隣接する前部
放熱室としての前部ウォータジャケットFWを形成し、
後部プレート3の後端面と後部ハウジング本体4の内面
とが発熱室8の後部に隣接する後部放熱室としての後部
ウォータジャケットRWを形成している。後部ハウジン
グ本体4の後面の外域には入水ポート9及び図示しない
出水ポートが隣接して形成され、入水ポート9と出水ポ
ートとは後部ウォータジャケットRWに連通されてい
る。後部プレート3及び前部プレート2には、各通しボ
ルト7間で等間隔に複数の流体路としての水路10が貫
設され、前部ウォータジャケットFWと後部ウォータジ
ャケットRWとは水路10により連通されている。
【0035】また、前部プレート2のボス2b内には発
熱室8に隣接して軸封装置12が設けられ、前部ハウジ
ング本体1のボス1a内には軸受装置13が設けられて
いる。これら軸封装置12及び軸受装置13を介して駆
動軸14が回動可能に支承され、駆動軸14の後端に
は、図2に示すように、軸長より駆動軸14の軸心から
の半径の長い前後端面を有する平円板形状のロータ15
が結合され、このロータ15は発熱室8内で回動可能に
なされている。なお、ロータ15の外径は発熱室8の内
径よりも若干小さくされている。また、ロータ15の前
後端面15a、15bと発熱室8の前後壁面との間の液
密的間隙のクリアランスCLはそれぞれ0.003×r
0 とされている。ここで、r0 はロータ15の半径であ
る。
【0036】このビスカスヒータの特徴的な構成とし
て、駆動軸14の後端には外スプライン14aが形成さ
れ、この外スプライン14aにはロータ15の内スプラ
イン15cが嵌合されている。こうして、ロータ15
は、駆動軸14に相対回動不能かつ駆動軸14の軸芯に
対して傾斜及び軸方向の変位可能に嵌合されている。そ
して、発熱室8内には粘性流体としてのシリコーンオイ
ルが封入され、上記液密的間隙にはこのシリコーンオイ
ルが介在されている。また、駆動軸14の先端には図示
しないプーリ又は電磁クラッチが設けられ、車両のエン
ジンによりベルトで回転されるようになっている。
【0037】また、このビスカスヒータでは、図2、図
3及び図4に示すように、ロータ15の外周域部に9個
の外周円形孔(貫通孔)19が周方向に等間隔で、か
つ、ロータ15の中心から半径方向に等しい距離隔てた
位置に形成されるとともに、ロータ15の内周域部にも
4個の内周円形孔(貫通部)20が周方向に等間隔で形
成されている。この外周円形孔19及び内周円形孔20
は、ロータ15の軸方向前後に貫通され、ロータ15の
回動により前記液密的間隙を拡大変化せしめる貫通孔を
構成する。
【0038】外周円形孔19は、ロータ15の半径をr
0 としたとき、中心がロータ15の中心から0.86×
0 離れた位置にあり、半径が0.09×r0 である。
一方、内周円形孔20は、同じくロータ15の半径をr
0 としたとき、中心がロータ15の中心から0.33×
0 離れた位置にあり、また半径が0.06×r0 であ
る。また、外周円形凹部19及び内周円形凹部20は、
ともに角部が面取りされておらず、凸状角部19a及び
20aを有している。
【0039】そして、ロータ15は、各外周円形孔19
のロータ15の回動方向(図2のP矢印方向)と逆側の
端縁を面取りすることにより、ロータ15の前後端面1
5a、15bにそれぞれ形成された傾斜凹部21を有し
ている。各傾斜凹部21は、図2及び図4に示すよう
に、円周方向に延在するとともに、ロータ15の回動方
向と逆側に向かって底部が徐々に浅くなるように形成さ
れている。なお、各傾斜凹部21も外周円形孔19と同
様に、ロータ15の周方向に等間隔で配設され、かつ、
ロータ15の中心から半径方向に等しい距離隔てた位置
に配設されている。また各傾斜凹部21は、ロータ15
の回動中における粘性流体の圧力を介するくさび効果に
より、発熱室8内でロ−タ15が軸方向に偏ることを修
正するくさび効果発揮手段として機能する。
【0040】なお、上記内周円形孔20が形成されたロ
ータ15の内周域においては、ロータ15の前端面15
aと軸封装置12との間に大きな隙間が存在し、この隙
間は前記液密的間隙には含まれない。また、このビスカ
スヒータでは、後部ハウジング本体4の中央域には貯留
室SRが形成されている。そして、後部プレート3に
は、中央域の上方の位置に回収通路としての回収孔3j
が貫設されている。また、後部プレート3には、中央域
の下方の位置に供給孔3kが貫設され、この供給孔3k
の下端から発熱室8の下側外域まで延在する供給溝3m
が設けられている。なお、供給孔3k及び供給溝3mに
より供給通路が構成され、この供給通路は、粘性流体と
してのシリコーンオイルを発熱室8に供給しやすいよう
に、回収孔3jより流路断面積が大きくされている。ま
た、供給溝3mはロータ15と対応する位置より長く形
成することが好ましい。
【0041】車両の暖房装置に組み込まれたこのビスカ
スヒータでは、駆動軸14がプーリ等を介してエンジン
により駆動されれば、ロータ15が駆動軸14に相対回
動不能に嵌合されているため、発熱室8内でロータ15
が回動し、シリコーンオイルが発熱室8の壁面とロータ
15の外面との液密的間隙でせん断により発熱する。こ
の発熱は後部ウォータジャケットRW内の循環水に熱交
換され、加熱された循環水が暖房回路で車両の暖房に供
されることとなる。
【0042】この運転時において、エンジンの回転数の
変化等に起因して、駆動軸14に直結されたプーリに不
可避的にベルトテンションが作用し、このベルトテンシ
ョンにより駆動軸14が理想軸から不可避的に傾斜した
状態で回動されることがある。また、製造時の公差等か
ら、駆動軸14とロータ15との直角度、ロータ15と
発熱室8との平行度及びロータ15と発熱室8との軸方
向の寸法は、完全なものとはなり得ない。しかし、この
ビスカスヒータでは、ロータ15が駆動軸14の軸芯に
対して傾斜可能に嵌合されていることによりこの傾斜を
吸収し、かつロータ15が軸方向に変位可能に嵌合され
ていることによりこの寸法差を吸収する。すなわち、ロ
ータ15の中心面と発熱室8の中心面とがほぼ一致す
る。
【0043】このため、このビスカスヒータでは、ロー
タ15の1回転当たりの発熱量を向上させるべく、シリ
コーンオイルがせん断されやすいように発熱室8の壁面
とロータ15の外面との液密的間隙をある程度縮小して
も、ロータ15の外面が発熱室8の壁面と干渉しにく
い。なお、ロータ15が駆動軸14の軸芯に対して傾斜
し、又は軸方向に変位することによるロータ15の外面
と発熱室8の壁面との接触は、傾斜凹部21によるくさ
び効果によりロータ15が発熱室8内で軸方向のほぼ中
立位置に保持されるので、確実に回避される。
【0044】したがって、実施形態1のビスカスヒータ
は、ロータ15の1回転当たりの発熱量を大きく確保し
つつ、ロータ15の外面と発熱室8の壁面との干渉を防
止可能であり、優れた暖房能力と耐久性とを発揮するこ
とができる。また、このビスカスヒータでは、ロータ1
5の回動中において各傾斜凹部21と各傾斜凹部21に
対向する発熱室8の前後壁面(前部プレート2の抉部2
aの後端面及び後部プレート3の前端面3a、以下同
様)との間に存在する粘性流体の圧力は、傾斜凹部21
の最深底部21aで最も低く、この最深底部21aから
底部が浅くなる方に向かって徐々に高くなる。このロ−
タ15の前後両側における粘性流体の圧力傾斜により、
ロ−タ15が発熱室8内で軸方向に偏ることを修正しよ
うとするくさび効果が発揮される。そして、各傾斜凹部
21はロータ15の周方向に等間隔で配設され、かつ、
ロータ15の中心から半径方向に等しい距離隔てた位置
に配設されていることから、上記くさび効果がロータ1
5の周方向及び半径方向に均等に作用するので、ロータ
15が駆動軸14の軸芯に対して傾斜することを防止し
つつ、ロータ15を発熱室8内で軸方向のほぼ中立位置
に確実に保持することが可能となる。したがって、粘性
流体の偏在により、粘性流体の発熱量が低下したり、粘
性流体が劣化し易くなったりする不都合を解消すること
ができる。
【0045】とくに、このビスカスヒータでは、外周円
形孔19がロ−タ15の外周域に設けられ、したがって
この外周円形孔19のロ−タ15の回動方向と逆側の端
縁に形成された傾斜凹部21もロ−タ15の外周域に設
けられていることから、上記くさび効果がロ−タの外周
域で働くこととなる。このため、ロータ15が駆動軸1
4の軸芯に対して傾斜することをより確実に防止するこ
とができる。
【0046】さらに、このビスカスヒータでは、外周円
形孔19及び内周円形孔20の存在により、発熱室8の
前後壁面とロータ15の前後端面15a、15bとの間
の液密的間隔が周方向において変化しており、この液密
的間隙がロータ15の回動により大きく拡大変化するの
で、その変化により粘性流体における分子の拘束作用が
助長される。この作用により、ロータ15の回転に伴う
粘性流体の従動回転が規制され、粘性流体のせん断力が
向上される。
【0047】とくに、このビスカスヒータでは、ロータ
15の外周域の所定範囲に所定の大きさの外周円形孔1
9が形成されているため、摩擦トルクの発生に大きく貢
献する外周域において、外周円形孔19により極めて効
果的に粘性流体にせん断力を与えることができる。ま
た、このビスカスヒータでは、粘性流体中に混入してい
る気体が外周円形孔19及び内周円形孔20内に集めら
れるので、発熱有効領域であるロータ15の外面と発熱
室8の前後壁面との間の液密的間隙(外周円形孔19、
内周円傾向20及び傾斜凹部21以外の部分の間隙)に
気体がほとんど存在しなくなる。このため、より効率的
に粘性流体にせん断力を与えることが可能となる。
【0048】さらに、上記外周円形孔19及び内周円形
孔20は、それぞれ角張った凸状角部19a、20aを
有しているので、これらの角部が面取りされて丸まって
いる場合と比較して、粘性流体の分子の拘束作用を効果
的に助長させることが可能となり、より効果的に粘性流
体にせん断力を与えることができる。また、外周円形孔
19又は内周円形孔20内に集まった気体が外に逃げに
くくなるので、これらの気体貯溜能力が高まり、上記し
たように粘性流体のせん断力向上に貢献しうる。
【0049】なお、このような外周円形孔19、内周円
形孔20及び傾斜凹部21の存在により、発熱有効領域
は縮小することになるが、上述した粘性流体の分子の拘
束作用により、せん断力を著しく向上させることができ
るため、発熱量は効率的に向上される。このように、こ
のビスカスヒータでは、発熱有効領域を拡大することな
く、発熱量のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0050】さらに、ロータ15には外周円形孔19及
び内周円形孔20が形成されていることから、粘性流体
をロータ15の前後に流通させることができる。とく
に、外周円形孔19のロ−タ15の回動方向と逆側の端
縁を面取りすることにより上記傾斜凹部21が形成され
ていることから、ロータ15の回動中に、粘性流体が外
周円形孔19のロータ15の回動方向と逆側の内端部に
溜まることなく傾斜凹部21に案内されて流動し易くな
るため、ロータ15の前後における粘性流体の流通性が
向上する。このため、ロータ15の前後両側における粘
性流体の圧力分布を均一化することができ、粘性流体の
量がロータ15の前方側及び後方側で均一化される。し
たがって、粘性流体の偏在により発熱量が低下等するこ
とを効果的に回避することができる。
【0051】さらに、このビスカスヒータでは、ロータ
15の外周域に外周円形孔19が設けられていることか
ら、この外周円形孔19にオイルかき揚げ効果をもたせ
ることができる。すなわち、ビスカスヒータの停止放置
状態においてロータ15の外周域に設けられた外周円形
孔19の一部は、発熱室8内に不可避的に残留する気体
の存在により発熱室8の下方部に自重により滞留してい
る粘性流体中に浸っており、ビスカスヒータの駆動後ロ
ータ15の回動に伴って、この粘性流体中に浸っていた
外周円形孔19に粘性流体を保持させて発熱室8の上方
部に持ち上げることができる。このため、ビスカスヒー
タの起動後、発熱室8の下方部に滞留している粘性流体
を発熱有効領域の全域に速やかに行き渡らせることが可
能となり、ビスカスヒータの立ち上がり性向上に貢献す
る。
【0052】なお、このビスカスヒータでは、貯留室S
Rが設けられている関係上、停止放置状態において多く
の気体が発熱室8の上方部に存在していることから、貯
留室SRが設けられていないビスカスヒータと比較し
て、ロータ15の外周円形孔19によるオイルかき揚げ
効果の働きがより大きく関与する。また、このビスカス
ヒータでは、停止放置状態において多くの気体が発熱室
8の上方部に存在していることから、ロータ15の外周
円形孔19のみならず内周円形孔20も、オイルかき揚
げ効果を発揮しうる。
【0053】さらに、このビスカスヒータでは、発熱室
8内における粘性流体の収容容積を超える粘性流体を貯
留室SRが収容可能であるため、粘性流体の厳しい収容
量管理が不要となる。そして、貯留室SRを発熱室8の
中央域と連通させているため、ワイセンベルク効果及び
気体の移動により発熱室8の中央域に集められた粘性流
体を、回収通路3jを介して発熱室8から貯留室SR内
に回収可能であるとともに、粘性流体を供給通路3kに
より貯留室SRから発熱室8の外周域に供給可能であ
る。こうして、このビスカスヒータでは、発熱室8と貯
留室SRとの間で粘性流体を入れ換えつつ、十分な発熱
量を発揮するために必要な粘性流体の収容量を確保でき
るとともに、粘性流体の収容割合の増大に伴って軸封装
置12の軸封能力が低下することを防止できる。
【0054】また、このビスカスヒータでは、発熱室8
内における粘性流体の収容容積を超える粘性流体を貯留
室SR内に収納可能であることから、せん断される粘性
流体の量に余裕を生じ、特定の粘性流体のみを常にせん
断することにならないため、粘性流体の劣化遅延を図る
ことが可能になる。さらに、このビスカスヒータでは、
ロ−タ15の後端面15bと発熱室8の後壁面との間の
断面積が傾斜凹部21の存在により滑らかに変化してい
る。このように粘性流体の流路の断面積が滑らかに変化
することにより、供給通路を介して貯留室SRから発熱
室8へ粘性流体が流入し易くなる。このため、貯留室S
R及び発熱室8間における粘性流体の循環性を向上させ
ることができ、粘性流体の劣化遅延をより効果的に図る
ことが可能になる。
【0055】さらに、このビスカスヒータでは、停止放
置状態において多くの気体が発熱室8の上方部に存在し
ていることから、ロータ15の外周域に設けられた外周
円形孔19によるオイルかき揚げ効果の働きがより大き
く関与する。なお、このビスカスヒータでは、停止放置
状態において多くの気体が発熱室8の上方部に存在して
いることから、ロータ15の外周円形孔19のみならず
内周円傾向20も、オイルかき揚げ効果を発揮しうる。
【0056】(実施形態2)本実施形態のビスカスヒー
タは、図5、図7及び図8に示すように、後部プレート
3の前端面3aに、発熱室8の中央域と対面する回収凹
部3bが凹設され、回収凹部3bの外よりの位置におい
て第1回収孔3cが後端面まで貫設されている。また、
この後部プレート3の前端面3aには、回収凹部3bの
下側外方から発熱室8の下側外域まで供給溝3dが延在
されており、供給溝3dの内よりの位置において第1供
給孔3eがやはり後端面まで貫設されている。これら供
給溝3d及び第1供給孔3eは、粘性流体としてのシリ
コーンオイルを発熱室8に供給しやすいように、第1回
収孔3cよりも幅又は径が大きく設定されている。かか
る供給溝3dはロータ15と対応する位置より長く形成
することが好ましい。さらに、この後部プレート3の前
端面3aには、回収凹部3bの上側外方から発熱室8の
上側外域まで気体通路の一部を構成する気体溝3fが延
在されており、気体溝3fの内よりの位置において気体
通路の残部を構成する気体孔3gがやはり後端面まで貫
設されている。
【0057】また、図5に示すように、後部ハウジング
本体4にはガスケット6と当接する第1リブ4aがリン
グ状に突設されており、後部プレート3の後端面と後部
ハウジング本体4の第1リブ4aより外側の内面とが発
熱室8の後部に隣接する後部放熱室としての後部ウォー
タジャケットRWを形成しているとともに、後部プレー
ト3の後端面と後部ハウジング本体4の第1リブ4aよ
り内側の内面とが第1回収孔3c、第1供給孔3e及び
気体孔3gと連通する制御室CRを形成している。
【0058】後部ハウジング本体4の制御室CR内には
第2リブ4bがリング状に突設されているとともに、第
2リブ4bの中央に弁軸22が回動可能に保持されてい
る。第2リブ4bには温度感応型アクチュエータとして
のバイメタル渦巻ばね23の外端が係止され、バイメタ
ル渦巻ばね23の内端は弁軸22に係止されている。こ
のバイメタル渦巻ばね23は、設定された暖房温度の過
強・過弱に基づき、変位のための所定温度が設定されて
いる。また、弁軸22の前端には単一の第1、2弁手段
としての円板状の回転弁24が固定されており、この回
転弁24は第2リブ4bの前端面を座面とする付勢手段
としての皿ばね25により第1回収孔3c及び第1供給
孔3eの制御室CR側の開口を閉塞する方向に押圧され
ている。この回転弁24には、図6にも示すように、回
転弁24の回転角度により第1回収孔3c又は第1供給
孔3eと連通可能な弧状の第2回収孔24a及び第2供
給孔24bが貫設されている。第2供給孔24bは、シ
リコーンオイルを発熱室8に供給しやすいように、第2
回収孔24aよりも連通面積が大きく設定されている。
こうして、回収凹部3b、第1回収孔3c及び第2回収
孔24aが回収通路を構成し、供給溝3d、第1供給孔
3e及び第2供給孔24bが供給通路を構成している。
こうしてこのビスカスヒータでは、回収通路3b等及び
供給通路3c等の開閉を可能にしつつ、軸長が短くなっ
ている。
【0059】なお、シリコーンオイルは、常時バイメタ
ル渦巻ばね23のほとんどが浸る程度で制御室CR内に
も介在されている。但し、発熱室8と回収通路3b等と
供給通路3d等と制御室CRとには、シリコーンオイル
が介在されている他、組付け時に不可避の空気が多少は
残留されている。その他の構成については、上記実施形
態1と同様である。
【0060】このビスカスヒータでは、図5に示す駆動
軸14がエンジンにより駆動されれば、発熱室8内でロ
ータ15が回動するため、シリコーンオイルが発熱室8
の壁面とロータ15の外面との液密的間隙でせん断によ
り発熱する。この発熱は前部及び後部ウォータジャケッ
トFW、RW内の循環流体としての循環水に熱交換さ
れ、加熱された循環水が暖房回路で車両の暖房に供され
ることとなる。
【0061】この間、ロータ15が回動されたままであ
れば、発熱室8内のシリコーンオイルは、ワイセンベル
ク効果により、中央域に集合しようとする。特に、上記
形状の発熱室8及びロータ15の採用により、シリコー
ンオイルは軸芯と直角の液面の面積が大きいことから、
このワイセンベルク効果を確実に生じることとなる。こ
こで、制御室CR内のシリコーンオイルの温度が低けれ
ば、暖房が過弱であるため、図7に示すように、バイメ
タル渦巻ばね23が弁軸22を介して回転弁24を図中
左に回転している。このときには、第1回収孔3cと第
2回収孔24aとが連通せず、第1供給孔3eと第2供
給孔24bとが連通している。すなわち、図9(グラフ
は模式的なものである。)の回転角度−A°のように、
回収通路3b等が制御室CR内で閉塞され、同時に供給
通路3d等が制御室CR内に開放されている。このた
め、発熱室8内のシリコーンオイルは回収凹部3b、第
1回収孔3c及び第2回収孔24aを経ては制御室CR
内に回収されない。また、制御室CR内に回収されてい
たシリコーンオイルは第2供給孔24b、第1供給孔3
e及び供給溝3dを経て発熱室8内に供給される。この
とき、図5に示すように、制御室CR内のシリコーンオ
イルが発熱室8の前壁面とロータ15の前端面15aと
の間に内周円形孔20を経て送り出されやすい。そし
て、発熱室8の壁面とロータ15の外面との液密的間隙
にシリコーンオイルが供給されれば、不可避の空気はシ
リコーンオイルに押されて発熱室8の上方から気体溝3
f及び気体孔3gを経て制御室CRに移動し、気泡が発
熱室8の壁面とロータ15の外面との液密的間隙にほと
んど存在しなくなる。このため、発熱室8の壁面とロー
タ15の外面との液密的間隙の発熱量が増大し(能力拡
大)、暖房が強められることとなる。
【0062】他方、制御室CR内のシリコーンオイルの
温度が高くなれば、暖房が過強になりつつあるため、図
8に示すように、バイメタル渦巻ばね23が弁軸22を
介して回転弁24を図中右にやや回転させる。これによ
り、第1回収孔3cと第2回収孔24aとが連通し、同
時に第1供給孔3eと第2供給孔24bとが連通しなく
なる。すなわち、図9の回転角度+A°のように、回収
通路3b等が制御室CR内に開放され、同時に供給通路
3d等が制御室CR内で閉塞される。このため、発熱室
8内のシリコーンオイルは回収凹部3b、第1回収孔3
c及び第2回収孔24aを経て制御室CR内に回収され
る。このとき、図5に示すように、発熱室8の前壁面と
ロータ15の前端面15aとの間のシリコーンオイルが
内周円形孔20を経て制御室CRに回収されやすい。ま
た、制御室CR内に回収されたシリコーンオイルは第2
供給孔24b、第1供給孔3e、供給溝3dを経ては発
熱室8内に供給されない。そして、制御室CRにシリコ
ーンオイルが回収されれば、不可避の空気はシリコーン
オイルに押されて制御室CRの上方から気体溝3f及び
気体孔3gを経て発熱室8に移動し、気泡が発熱室8の
壁面とロータ15の外面との液密的間隙に存在する。こ
のため、発熱室8の壁面とロータ15の外面との液密的
間隙の発熱量が減少し(能力縮小)、暖房が弱められる
こととなる。
【0063】したがって、このビスカスヒータは、簡易
な構成の下、ビスカスヒータ内部の物性変化により能力
縮小及び能力拡大を確実に行うことができる。このた
め、暖房の要・不要に際して電磁クラッチを必ずしも必
要とせず、かつ能力変化のための外部入力を必要としな
いため、暖房装置の低コスト化及び軽量化を実現するこ
とができる。
【0064】また、このビスカスヒータでは、シリコー
ンオイルを発熱室8から制御室CR内に回収したり、逆
にシリコーンオイルを制御室CRから発熱室8内に供給
したりする際、密閉状態である発熱室8と回収通路3b
等と供給通路3d等と制御室CRとの合計の内部容積は
変化しないため、シリコーンオイルが移動することによ
る負圧は生じない。このため、シリコーンオイルは、新
たな空気と接触することはなく、また随時空気中の水分
が補充される訳ではないので、劣化や悪影響を生じにく
い。したがって、このビスカスヒータは、長期間使用後
の耐久後の発熱効率の低下を防止できる。
【0065】さらに、このビスカスヒータでは、単一の
回転弁24を採用して同期制御しているため、部品点数
の削減等の長所を得ることができる。また、このビスカ
スヒータは、軸長が短くなっているため、車両等への搭
載性に優れている。さらに、このビスカスヒータでは、
ロータ15の外周域に外周円形孔19及び傾斜凹部21
が設けられるとともに内周域に内周円形孔20が設けら
れていることから、上記実施形態1のビスカスヒータと
同様、これら外周円形孔19、内周円形孔20及び傾斜
凹部21に基づく作用効果を奏する。すなわち、このビ
スカスヒータは、外周円形孔19の存在により、粘性流
体における拘束作用の助長、及び外周円形孔19等への
粘性流体中の気体集中に基づく粘性流体のせん断力向
上、並びにオイルかき揚げ効果に基づく立ち上がり性向
上の効果を発揮しうる。また、傾斜凹部21の存在によ
り、ロータ15が駆動軸14の軸芯に対して傾斜するこ
とを防止しつつ、ロータ15を発熱室8内で軸方向のほ
ぼ中立位置に確実に保持することが可能となる。さら
に、外周円形孔19、内周円形孔20及び傾斜凹部21
の存在により、ロータ15の前後における粘性流体の流
通性が向上するため、粘性流体の偏在により発熱量が低
下等することを効果的に回避することができる。
【0066】なお、このビスカスヒータでは、制御室C
Rが設けられている関係上、停止放置状態において多く
の気体が発熱室8の上方部に存在していることから、制
御室CRが設けられていないビスカスヒータと比較し
て、ロータ15の外周側面に設けられた欠切部21によ
るオイルかき揚げ効果の働きがより大きく関与する。さ
らに、このビスカスヒータでは、ロ−タ15の後端面1
5bと発熱室8の後壁面との間の断面積が傾斜凹部21
の存在により滑らかに変化している。このように粘性流
体の流路の断面積が滑らかに変化することにより、供給
通路を介して制御室CRから発熱室8へ粘性流体が流入
し易くなる。このため、能力拡大時に制御室CRから発
熱室8に速やかに粘性流体を供給して発熱量を迅速に増
大させることが可能になる。
【0067】さらに、このビスカスヒータでは、発熱室
8内の粘性流体量が過少で、かつ、ロータ15が低速回
転であっても、ロータ15の外周域に設けられた外周円
形孔19によるオイルかき揚げ効果の働きにより、発熱
室8の下方部にある粘性流体を速やかに発熱有効領域の
全域に行き渡らせることができるので、能力縮小状態か
ら能力拡大状態への復帰性を向上させることができる。
【0068】なお、上記実施形態1及び2では、貯留室
SR又は制御室CR等の副オイル室をハウジングに設け
たタイプのビスカスヒータについて説明したが、これら
副オイル室を有しないビスカスヒータに本発明を適用し
うることは勿論である。また、上記実施形態1及び2に
おいて、上記プーリの代わりに電磁クラッチを用いて駆
動軸14の断続駆動を行ってもよい。
【0069】また、上記実施形態1及び2では、貫通孔
として外周円形孔19及び内周円形孔20を採用した
が、貫通孔の形状は円形に限定されないことは勿論、貫
通孔を設けなくてもよい。 (付記)なお、上記実施形態1及び2から、以下の発明
を把握することができる。
【0070】(a)内部に発熱室及び該発熱室に隣接し
て循環流体を循環させる放熱室を形成するハウジング
と、該ハウジングに軸受装置を介して回動可能に支承さ
れた駆動軸と、該発熱室内で該駆動軸により回動可能に
設けられるとともに該発熱室の壁面との間に液密的間隙
を形成するロータと、該発熱室内に封入され、該液密的
間隙に介在して該ロータの回動により発熱される粘性流
体とを有するビスカスヒータにおいて、前記ハウジング
には、前記発熱室と回収通路及び供給通路により連通さ
れ、該発熱室内における粘性流体の収容容積を超える粘
性流体を収容可能な貯留室が配設され、前記ロータの前
後端面のうちの少なくとも一方は、円周方向に延在する
とともにロータの回動方向の逆側に向かって底部が徐々
に浅くなるように形成された傾斜凹部を有していること
を特徴とするビスカスヒータ。
【0071】(b)内部に発熱室及び該発熱室に隣接し
て循環流体を循環させる放熱室を形成するハウジング
と、該ハウジングに軸受装置を介して回動可能に支承さ
れた駆動軸と、該発熱室内で該駆動軸により回動可能に
設けられるとともに該発熱室の壁面との間に液密的間隙
を形成するロータと、該発熱室内に封入され、該液密的
間隙に介在して該ロータの回動により発熱される粘性流
体とを有するビスカスヒータにおいて、前記ハウジング
には、前記発熱室と連通する回収通路と、該発熱室と連
通する供給通路と、該回収通路及び該供給通路と連通す
る制御室とが形成されるとともに、該回収通路及び該供
給通路のうちの少なくとも一方が開閉可能とされ、該回
収通路を経て該発熱室内の前記粘性流体を該制御室内に
回収して能力縮小を行なうとともに、該供給通路を経て
該制御室内の該粘性流体を該発熱室内に供給して能力拡
大を行ないうるように構成され、前記ロータの前後端面
のうちの少なくとも一方は、円周方向に延在するととも
にロータの回動方向の逆側に向かって底部が徐々に浅く
なるように形成された傾斜凹部を有していることを特徴
とするビスカスヒータ。
【0072】なお、上記(a)又は(b)に記載のビス
カスヒータでは、ロータが駆動軸に軸方向変位可能に結
合されていることは必須の要件ではなく、ロータが駆動
軸に軸方向変位可能に結合されていても、あるいはロー
タが駆動軸に圧入等により固定されていてもいずれでも
よい。 (c)ロータは、軸方向前後に貫通され、ロータの回動
により液密的間隙を拡大変化可能に形成された貫通孔を
有し、傾斜凹部は、該貫通孔のロ−タの回動方向の逆側
の端縁を面取りすることによりロータの前後端面のうち
の少なくとも一方に形成されていることを特徴とする上
記(a)又は(b)記載のビスカスヒータ。
【0073】(d)貫通孔はロータの前後端面の外周域
に設けられていることを特徴とする上記(c)記載のビ
スカスヒータ。 (e)貫通孔は角張った凸状角部を有していることを特
徴とする上記(c)又は(d)記載のビスカスヒータ。 上記(a)又は(b)に記載のビスカスヒータは、貯留
室又は制御室等の副オイル室をハウジングに有するタイ
プのビスカスヒータにおいて、副オイル室から発熱室へ
の粘性流体の流入性を向上させることを解決すべき技術
課題とするものである。
【0074】すなわち、供給孔を介して副オイル室から
発熱室へ粘性流体が流入する場合、供給孔とロータの後
端面及び発熱室の後壁面間の間隙との断面積の差が大き
いと、流路断面積の急激な変化により、その流入性が低
下される。その結果、粘性流体の循環性が低下し、ひい
ては粘性流体の劣化進行を招く。また、制御室を設けた
能力可変タイプのビスカスヒータにおいては、能力拡大
時に粘性流体の発熱室への供給が遅れ、迅速に発熱量を
増大させることができなくなる。
【0075】これに対し、上記(a)又は(b)に記載
のビスカスヒータでは、ロータの前後端面のうちの少な
くとも一方は、円周方向に延在するとともにロータの回
動方向の逆側に向かって底部が徐々に浅くなるように形
成された傾斜凹部を有していることから、ロータの前後
端面のうちの少なくとも一方と、これに対向する発熱室
の前後壁面のうちの少なくとも一方との間の断面積が、
傾斜凹部の存在により滑らかに変化している。このよう
に粘性流体の流路の断面積が滑らかに変化することによ
り、供給通路を介して副オイル室から発熱室へ粘性流体
が流入し易くなる。
【0076】したがって、発熱室及び副オイル室間にお
ける粘性流体の循環性が向上し、粘性流体の劣化遅延を
図ることができる。また、能力可変タイプの上記(b)
記載のビスカスヒータにおいては、能力拡大時に、制御
室から発熱室へ速やかに粘性流体を供給することができ
るので、粘性流体の発熱量を迅速に増大させることが可
能となる。
【0077】なお、ロータの前端面のみに傾斜凹部を設
ける場合は、前記実施形態1又は2で示したように、発
熱室の後壁面(後部プレート3の前壁面3a)に供給孔
(3k又は3e)から発熱室の外域まで延在する供給溝
(3m又は3d)を設け、供給孔から供給溝を介して発
熱室の外域まで粘性流体を送り、ロータの外周側面と発
熱室の内周側面との間の間隙を介してロータの前側に粘
性流体を送り込むようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1のビスカスヒータの断面図である。
【図2】実施形態1のビスカスヒータに係るロータの平
面図である。
【図3】実施形態1のビスカスヒータに係るロータの断
面図である。
【図4】実施形態1のビスカスヒータに係るロータの部
分拡大断面図であり、図2のA−A先矢視断面図であ
る。
【図5】実施形態2のビスカスヒータの断面図である。
【図6】実施形態2のビスカスヒータの回転弁に係り、
フロント側からの平面図である。
【図7】実施形態2のビスカスヒータの後部プレート等
に係り、能力拡大の際のフロント側からの平面図であ
る。
【図8】実施形態2のビスカスヒータの後部プレート等
に係り、能力縮小の際のフロント側からの平面図であ
る。
【図9】実施形態2のビスカスヒータに係り、回収通路
及び供給通路の開閉と回転弁の回転角度との関係を示す
タイミングチャートである。
【符号の説明】
8…発熱室 FW…前部放熱室(前部ウォータジャケット) RW…後部放熱室(後部ウォータジャケット) 1、2、3、4…ハウジング(1…前部ハウジング本
体、2…前部プレート、3…後部プレート、4…後部ハ
ウジング本体) 13…軸受装置 14…駆動軸 15…ロータ 7…通しボルト 19…外周円形孔(貫通孔) 20…内周円形孔(貫通孔) 21…傾斜凹部(くさび効果発揮手段) 3j…回収孔(回収通路) 3k…供給孔(供給通路) SR…貯留室 3b、3c、24a…回収通路(3b…回収凹部、3c
…第1回収孔、24a…第2回収孔) 3d、3e、24b…供給通路(3d…供給溝、3e…
第1供給孔、24b…第2供給孔) CR…制御室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 茂 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部に発熱室及び該発熱室に隣接して循環
    流体を循環させる放熱室を形成するハウジングと、該ハ
    ウジングに軸受装置を介して回動可能に支承された駆動
    軸と、該発熱室内で該駆動軸により回動可能に設けられ
    るとともに該発熱室の壁面との間に液密的間隙を形成す
    るロータと、該発熱室内に封入され、該液密的間隙に介
    在して該ロータの回動により発熱される粘性流体とを有
    するビスカスヒータにおいて、 前記ロータは、前記駆動軸に相対回動不能かつ軸方向の
    変位可能に嵌合され、前記ロータの前後端面は、ロータ
    の回動中における前記粘性流体の圧力を介するくさび効
    果により前記発熱室内でロ−タが軸方向に偏ることを修
    正するくさび効果発揮手段をそれぞれ有していることを
    特徴とするビスカスヒータ。
  2. 【請求項2】くさび効果発揮手段は、円周方向に延在す
    るとともに、ロータの回動方向の逆側に向かって底部が
    徐々に浅くなるように形成された少なくとも3個の傾斜
    凹部であり、各該傾斜凹部は、ロータの周方向に等間隔
    で配設され、かつ、該ロータの中心から半径方向に等し
    い距離隔てた位置に配設されていることを特徴とする請
    求項1記載のビスカスヒータ。
  3. 【請求項3】ロータは、軸方向前後に貫通され、ロータ
    の回動により液密的間隙を拡大変化可能に形成された貫
    通孔を有し、各傾斜凹部は、該貫通孔のロ−タの回動方
    向の逆側の端縁を面取りすることによりロータの前後端
    面にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項2
    記載のビスカスヒータ。
  4. 【請求項4】貫通孔はロータの前後端面の外周域に設け
    られていることを特徴とする請求項3記載のビスカスヒ
    ータ。
  5. 【請求項5】貫通孔は角張った凸状角部を有しているこ
    とを特徴とする請求項3又は4記載のビスカスヒータ。
  6. 【請求項6】ハウジングには、発熱室と回収通路及び供
    給通路により連通され、該発熱室内における粘性流体の
    収容容積を超える粘性流体を収容可能な貯留室が配設さ
    れていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5
    記載のビスカスヒータ。
  7. 【請求項7】ハウジングには、発熱室と連通する回収通
    路と、該発熱室と連通する供給通路と、該回収通路及び
    該供給通路と連通する制御室とが形成されるとともに、
    該回収通路及び該供給通路のうちの少なくとも一方が開
    閉可能とされ、該回収通路を経て該発熱室内の前記粘性
    流体を該制御室内に回収して能力縮小を行なうととも
    に、該供給通路を経て該制御室内の該粘性流体を該発熱
    室内に供給して能力拡大を行ないうるように構成されて
    いることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載
    のビスカスヒータ。
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