JPH10179799A - ゴルフボール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー
を含有してなるコア材から形成されたソリッドコアを有
するゴルフボールにおいて、該コア材に繊維状ホウ酸ア
ルミニウムウィスカーを配合してなることを特徴とする
ゴルフボール。 【効果】 本発明のゴルフボールは、反発性に優れる
上、特にワンピースゴルフボールにおいてはアイアンシ
ョット時による耐カット性、耐擦過傷性に優れており、
耐久性がよく、しかも打撃後の変形が少ないゴルフボー
ルである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、反発性に優れ、ま
た特にワンピースソリッドゴルフボールに適用した場
合、アイアンショットによる耐カット性、耐擦過傷性等
の耐久性に優れている上、打撃前と後においてボール変
形が少ないゴルフボールに関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、ゴルフボールとしては、ポリブタジエン、メタクリ
ル酸、亜鉛華、過酸化物等のゴム組成物を加熱硬化させ
てなるワンピースゴルフボール、ポリブタジエン、アク
リル酸亜鉛、過酸化物等からなるゴム組成物を加熱硬化
し形成されたソリッドコアに必要により中間層を介して
カバーを形成したツーピースゴルフボール、スリーピー
スゴルフボール等のソリッドゴルフボールと、糸巻きコ
アにカバーを形成した糸巻きゴルフボールがある。

【０００３】この場合、ワンピースゴルフボールやソリ
ッドコアは、上記のようなゴム組成物にて形成されるこ
とが多いが、ワンピースゴルフボールやソリッドコア
に、製造が比較的容易で耐久性のある熱可塑性ポリエス
テルエラストマー等の熱可塑性エラストマーを用いるこ
とも提案されている。

【０００４】しかしながら、熱可塑性エラストマーから
なるワンピースゴルフボールやソリッドコアは、打撃を
繰り返すことによりボールが変形しやすく、耐久性に改
善の余地があり、特にワンピースゴルフボールとした場
合に、アイアンでのショット時において、クラブフェー
スの跡が付いたり、表面に毛羽立ちやささくれなどの擦
過傷が付くことがある上、亀裂が生じたり、ディンプル
が削り取られるなどボール性能を損なう場合もあり、耐
擦過傷性、耐カット性等の耐久性に改善を要するもので
ある。

【０００５】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
良好な反発性を有し、特にワンピースゴルフボールとし
た場合、耐カット性、耐擦過傷性等の耐久性に優れると
共に、打撃後の変形の少ないゴルフボールを提供するこ
とを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った
結果、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーを含有し
てなるコア材から形成されたソリッドコアを有するゴル
フボールにおいて、該コア材に繊維状ホウ酸アルミニウ
ムウィスカーを配合することにより得られるゴルフボー
ルが、反発性に優れる上、特にワンピースゴルフボール
を製造した場合、アイアン打撃時によるクラブフェース
の跡が付きにくく、傷やささくれ、亀裂等の発生を抑制
し得る耐久性に優れるものであり、しかも打撃後の変形
が少ないことを見出した。

【０００７】即ち、従来からの提案によれば、ソリッド
コアに耐久性を与える配合成分は、成分自体の形状、弾
性率に起因してソリッドコアの補強性を完全に向上させ
るものではなく、耐久性及び耐擦過傷性を重視する余
り、反発性を損なうという問題を引き起こす原因になる
上、打撃後の変形も多いものであったが、本発明者の知
見によれば、ガラス繊維等と比較して非常に微細な白色
針状結晶である上、高強度・高引張弾性率を有し、化学
的に中性である繊維状ホウ酸アルミニウムウィスカーを
熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーに配合すること
により、繊維状ホウ酸アルミニウムウィスカーが均質に
分散し、反発性に優れる上、ワンピースゴルフボールと
した場合において、アイアンショットでの耐久性に優
れ、かつ打撃後の変形の少ないゴルフボールが得られる
ことを知見し、本発明をなすに至った。

【０００８】従って、本発明は、熱可塑性樹脂又は熱可
塑性エラストマーを含有してなるコア材から形成された
ソリッドコアを有するゴルフボールにおいて、該コア材
に繊維状ホウ酸アルミニウムウィスカーを配合してなる
ことを特徴とするゴルフボールを提供する。

【０００９】以下、本発明につき更に詳しく説明する
と、本発明のゴルフボールは、熱可塑性樹脂又は熱可塑
性エラストマーを含有してなるソリッドコアを有するゴ
ルフボールであり、ツーピースゴルフボール、スリーピ
ースゴルフボール等として形成し得るが、特にソリッド
コアそのものをゴルフボールとするワンピースゴルフボ
ールに好適である。

【００１０】この場合、本発明において、上記コア材に
使用できる熱可塑性樹脂としては、公知のものを使用す
ることができ、特にアイオノマー樹脂を好適に用いるこ
とができる。このアイオノマー樹脂として、具体的に
は、三井・デュポンポリケミカル（株）製のハイミラン
１６０５（ナトリウムイオン中和タイプ）、ハイミラン
１７０６（亜鉛イオン中和タイプ）や、デュポン（株）
製のサーリン８１２０（ナトリウムイオン中和タイ
プ）、サーリン７９３０（リチウムイオン中和タイプ）
等を挙げることができ、これらは１種を単独で或いは２
種以上を混合して使用することができる。

【００１１】また、熱可塑性エラストマーとしては、熱
可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリウレタ
ンエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー等を
好適に使用することができる。具体的には、熱可塑性ポ
リエステルエラストマーとして、東レデュポン（株）製
のハイトレル４０４７、ハイトレル４７６７等、熱可塑
性ポリウレタンエラストマーとして、大日本インキ化学
工業（株）製のパンデックスＴ７８９０等、熱可塑性ポ
リアミドエラストマーとして、フランスアトケム社製の
ペバックス４０３３ＳＮ００等を用いることができ、こ
れらは１種を単独で或いは２種以上を混合して使用する
ことができる。

【００１２】本発明においては、反発性、耐カット性、
耐擦過傷性等の耐久性を向上させるために、上記コア材
に対し繊維状ホウ酸アルミニウムウィスカーを配合して
ソリッドコア形成を行うことが必要である。

【００１３】この場合、繊維状ホウ酸アルミニウムウィ
スカーは、上述したようにガラス繊維と比較して非常に
微細（アスペクト比が高い）な白色針状結晶で、白色着
色が容易であり、特にワンピースゴルフボールとして得
る場合の着色性に優れる上、高強度、高引張弾性率を有
し、かつ均質分散性、均質補強性にも優れ、上記熱可塑
性樹脂又は熱可塑性エラストマーに良好に配合し得るも
のである。

【００１４】この繊維状ホウ酸アルミニウムウィスカー
としては、市販されているものを好適に使用することが
でき、具体的には、四国化成工業（株）製のアルボレッ
クスＹ、アルボレックスＴ３Ａ等を挙げることができ
る。

【００１５】また、配合する繊維状ホウ酸アルミニウム
ウィスカーの形状は特に制限されるものではないが、通
常平均繊維長が５〜５０μｍ、特に１０〜３０μｍ、平
均繊維径が０．１〜２μｍ、特に０．５〜１μｍのもの
を使用することが好ましく、平均繊維長が５μｍ未満で
あると、耐擦過傷性等の耐久性において補強効果が得ら
れず、５０μｍを超えると、繊維形状の粗さから均質分
散性、均質補強性が損なわれ、耐久性において補強効果
が得られなくなる上、平均繊維径が０．１μｍ未満であ
ると、樹脂との混練りの際、繊維が折れてしまい補強効
果が損なわれ、また２μｍを超えると繊維形状の粗さか
ら均質分散性、均質補強性が損なわれ、耐久性において
補強効果が得られなくなる場合がある。

【００１６】上記繊維状ホウ酸アルミニウムウィスカー
は、その使用に際し、予め各種表面処理剤で表面処理を
施したものを使用することができ、更に混和性を向上さ
せることができる。

【００１７】この場合、表面処理方法としては、公知の
方法を採用することができるが、特に、シランカップリ
ング剤による表面処理方法が好適に採用し得、用いるシ
ランカップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン、β−（３，４−エポキシシクロヘキシル）
エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。

【００１８】更に、繊維状ホウ酸アルミニウムウィスカ
ーの配合量についても特に制限されるものではないが、
通常、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー１００重
量部に対して１〜２０重量部、特に３〜１０重量部であ
ることが好ましく、１重量部未満であると、耐カット性
及び耐擦過傷性を十分に付与することができなくなる場
合があり、また２０重量部を超えると、反発性を劣化さ
せる原因になることがある。

【００１９】なお、本発明のコア材には、上記成分に加
え、必要に応じて着色剤、滑剤、充填剤などの各種添加
剤を配合することができ、これらの材料は通常のミキシ
ング、例えば密閉式の混練り機、一軸，二軸押出機中で
混合した後、常法に従って成形することができる。

【００２０】ここで、着色剤として具体的には、酸化チ
タン、硫酸バリウム、群青、ベンガラ、黄鉛、蛍光着色
顔料等、滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ス
テアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等、
更に充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、ガラス
繊維等を挙げることができる。

【００２１】本発明のソリッドコアをツーピースゴルフ
ボール、スリーピースゴルフボール等のソリッドコアと
して用いる場合、カバーとしては公知のカバー材を用い
ることができる。この場合、ソリッドコアの大きさ、重
量などは公知の大きさ、重量などとすることができる。

【００２２】また、ワンピースゴルフボールを形成する
など、本発明のゴルフボールにおけるボール重量、直径
等のボール性状はゴルフ規則に従い適宜設定することが
でき、また製造方法も制限されず、コンプレッション成
形、射出成形などの公知の方法を採用し得る。

【００２３】

【発明の効果】本発明のゴルフボールは、反発性に優れ
る上、特にワンピースゴルフボールにおいてはアイアン
ショット時による耐カット性、耐擦過傷性に優れてお
り、耐久性がよく、しかも打撃後の変形が少ないゴルフ
ボールである。

【００２４】

【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるもの
ではない。

【００２５】［実施例，比較例］表１に示す添加剤を配
合した表２に示す成分をスクリュー式二軸押出機で混練
し、射出成形によりワンピースソリッドゴルフボールを
形成した（実施例１，２、比較例１〜３）。

【００２６】得られたゴルフボールについて、下記に示
す方法で、反発特性、耐カット性及び耐擦過傷性に関す
る耐久性、打撃後の真球度について評価を行った。結果
を表２に併記する。

【００２７】反発特性 ２３℃の条件下にてゴルフボールを保存した後、ＵＳＧ
Ａ使用品と同タイプの初速度計を用いて測定した（ｍ／
ｓｅｃ）。

【００２８】耐久性 ２３℃の条件下にて、ピッチングウェッジを用い、ツル
ーテンパー社製スイングロボットにてヘッドスピード３
７ｍ／ｓｅｃで３カ所に亘ってショットした際の打点部
の傷つき具合を下記基準で点数評価した。 ５点 ボール表面が全く変化しない又はクラブフェース
跡が僅かに残る程度であり、ほとんど気にならない。 ４点 クラブフェース跡がかなり残るが、カバー表面の
毛羽立ちはない。 ３点 表面が毛羽立ち、ささくれが目立つ。 ２点 表面が毛羽立ち、亀裂が生じる。 １点 ディンプルが削りとられている。

【００２９】打撃後の真球度 ２３℃の条件下にて、ドライバーを用い、ツルーテンパ
ー社製スイングロボットにて、ヘッドスピード４５ｍ／
ｓｅｃで１０回打撃した後、打撃前と打撃後との真球度
を下記基準に基づいて評価した。 ◎ 打撃前後での真球度の差が０．２ｍｍ未満 ○ 打撃前後での真球度の差が０．２〜０．３ｍｍ × 打撃前後での真球度の差が０．３ｍｍを超える

【００３０】

【表１】 １）ホウ酸アルミニウムウィスカー：四国化成工業
（株）製アルボレックスＹ３Ａ（アミノシラン系カップ
リング剤で表面処理してある） ２）チタン酸カリウム：大塚化学（株）製ティスモーＤ ３）ガラス繊維：旭ファイバーグラス（株）製ミルドフ
ァイバー

【００３１】

【表２】

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー
   を含有してなるコア材から形成されたソリッドコアを有
   するゴルフボールにおいて、該コア材に繊維状ホウ酸ア
   ルミニウムウィスカーを配合してなることを特徴とする
   ゴルフボール。
2. 【請求項２】 繊維状ホウ酸アルミニウムウィスカー
   が、平均繊維長５〜５０μｍで、かつ平均繊維径０．１
   〜２μｍである請求項１記載のゴルフボール。
3. 【請求項３】 繊維状ホウ酸アルミニウムウィスカー
   が、シランカップリング剤で表面処理されてなる請求項
   １又は２記載のゴルフボール。
4. 【請求項４】 コア材が、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エ
   ラストマー１００重量部に対して、繊維状ホウ酸アルミ
   ニウムウィスカーを１〜２０重量部含有してなる請求項
   １乃至３のいずれか１項記載のゴルフボール。
5. 【請求項５】 熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー
   が、アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリエステルエラスト
   マー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、又は熱可塑
   性ポリアミドエラストマーである請求項１乃至４のいず
   れか１項記載のゴルフボール。
6. 【請求項６】 ゴルフボールがワンピースソリッドゴル
   フボールである請求項１乃至５のいずれか１項記載のゴ
   ルフボール。