JPH10179645A - 介護用車椅子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ベッドに寝たきりの患者を、極力肢体を動かさ
ないで抱いて移動出来る介護用車椅子を提供する。 【構成】抱持フレーム（１）と台座（２）を設けたＬ字
型支持フレーム（３）を、台車（４）架設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、病院のベッドに寝
たきりの老人、あるいは治療を受け一人歩きの出来ない
患者などに使用する介護用車椅子に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来病院のベッドに寝たきりの老人、あ
るいは治療を受け一人歩きの出来ない患者を、トイレや
浴室などへ移動するには、介護人によりいわゆる車椅子
に載せ換えて行うのが一般的である。これら車椅子につ
いては既に種々様々なものがあり、その例として、患者
の寝ているベッドを折り曲げて、患者もろとも起立させ
移動装置に患者を介護人が載せ換えて、その装置をいわ
ゆるブランコのように吊り下げて運ぶものがある。その
他公知のもので、例えば特開昭５９−３７９４６号公報
には患者を運ぶ担架になったり、その担架を四つに折り
曲げて椅子の形にして車椅子になるものがあり、これは
支持構体上で患者を水平方向に寝かせた状態から、直立
した状態まで起す患者移動台が記載されている。また同
様に、特公６２−３０７７１号公報には、ベッド上に患
者を載せる受台を水平展開させて、やはり受台を三区分
に屈折させて椅子状にする車椅子であり、これはベッド
上で一旦患者を外側へ寝返りさせて、ベッド上に移送
シートを敷き、また患者を元の姿勢に戻しながら移送
シートに載せ、移送シートを巻き取り患者を受台のマ
ット上に運ぶ。この受台は患者の背部・腰部・脚部の三
区分に区分けされ、屈折して椅子状になり、患者は起
立させられて椅子掛姿勢にさせられる障害者用移動車が
記載されている。この屈折の過程に於いて、はじめ患者
は水平展開されている上記支持構体あるいは受台上を平
行して寝ているので、支持構体あるいは受台の屈折部と
患者の屈折部は、異なった位置で平行している訳で、こ
のまま支持構体あるいは受台が屈折していって椅子状に
なる場合、患者の背部・腰部・脚部など接する位置がず
れて行って、支持構体あるいは受台に押されて圧迫さ
れ、こすられて患者は思いのほか強い摩擦抵抗を受ける
ことになる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本来患者は、必ずどこ
かに自分一人では身動きならない程の障害や痛みをかか
えて寝たきりになっているのであり、揺さぶったり、横
転させたり、あるいは無理に屈折させたりなど、肢体を
動かす頻度は少ない程望ましい。それに障害の箇所によ
っては患者に苦痛を与えるもので、床ずれなどの患部に
触れた場合の激痛はとうてい耐えられるものではない。

【０００４】また、一般的な介護人による車椅子への載
せ換え方法の殆どは、重い患者を介護人が抱き起し持ち
上げてから車椅子に載せ換えて居り、介護人が女性の場
合は二人がかりで行っている。ただでさえ疲労困憊がち
の介護人が、大変な労力と苦痛を強いられて居り、最悪
の場合介護人が腰などを損傷する例が散見された。従っ
て、ベッドから車椅子への患者の載せ換えに関して、介
護人の労力軽減と、患者の肢体の動きを最少限に止めた
介護用車椅子を提供することを目的としたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は上記のような目
的を達成するための車椅子を提供するもので、その要旨
は、上方部に抱持フレーム（１）を、またその下方部に
回転可能な台座（２）を設けたＬ字型支持フレーム
（３）を、台車（４）に搭載した昇降駆動装置（５）に
起倒自在に架設した介護用車椅子である。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下本発明の一実施例について説
明する。図１に於いて示すように、Ｌ字型支持フレーム
（３）には、上方部に抱持フレーム（１）を設け、また
下方部で折れ曲ったフレームの先端に台座（２）を回転
可能に設ける。

【０００７】図２に於いて示すように、Ｌ字型支持フレ
ーム（３）の上方部に桟（７）を設けて、それに抱持フ
レーム（１）を取り付けてもよい。これは、患者がベッ
ドの向う側寄りに寝ている場合に、抱持フレーム（１）
が、充分に患者を抱きかかえられるように働く。また、
Ｌ字型支持フレーム（３）に、患者の座高に合わせて伸
縮調整機構を備えてもよい。それにＬ字型支持フレーム
（３）は、他にＪ字型あるいはＣ字型あるいはそれに類
似形状とすることができる。

【００８】図５に於いて示すように、抱持フレーム
（１）は患者の前面部では胸を囲い、側面部では腋の下
を通り、後面部では背後の肩甲骨にあたり、背中からも
う一方の肩の辺りに渡って跳ね上がった形で、いわゆる
Ｕ字型を形成して、患者の胸背部を腋の下から抱き持つ
もので、湾曲状またはそれに類似形状のフレームで出来
ている。また、抱持フレーム（１）のＬ字型支持フレー
ム（３）取り付け部分に腕（図示せず）を設け、患者が
ベッドの向う側寄りに寝ている場合に抱持フレーム
（１）を充分に届かせて働かせることが出来る。それ
に、Ｌ字型支持フレーム（３）の上方部に、抱持フレー
ム（１）を上方へ折れ持ち上がるようにヒンジを設けて
取り付け、寝ている患者にあてがいやすくしてもよい。

【０００９】抱持フレーム（１）の材質は、金属・プラ
スチック・合成樹脂・グラスファイバー・木材などで成
形し、あるいはそれらを骨格にしてゴム・スポンジ・ウ
レタン・綿・布・皮革・レザーなどで覆い包むようにで
きていて、柔かくやさしく患者を抱きかかえられるよう
にしている。

【００１０】台座（２）を回転可能にして、患者を車椅
子へ載せ換える際、ベッド上で寝ている患者の膝を上
げ、臀部に台座（２）をあてがうとき、患者の脚部・臀
部に無理な摩擦を与えないで、抵抗をやわらげることが
出来る。また車椅子への乗降時患者の足や腰が自在に向
きを変えられるようにして、無理なく楽に乗降出来るよ
うにしている。その回転方法は、中心軸を設ける、ある
いは円周に沿ってベアリングを設けてもよい。それに、
移送中なとに患者の姿勢を安定させるために、台座
（２）に回転ストッパー機構を設けてもよい。台座
（２）の形状は丸型・四角・ハート型などで、あるいは
それらに類似した形状でできている。また凹型に変形さ
せて、トイレの便器に合体させるようにもできる。それ
から台座（２）の材質は、木材・金属・プラスチック・
合成樹脂・グラスファイバーでできていて、その上面に
スポンジ・ウレタン・綿などをクッションに用い、その
上をレザー・皮革・布張りにすることもできる。

【００１１】図３に於いて示すように、Ｌ字型支持フレ
ーム（３）と台座（２）を一体化することができる。ま
た、抱持フレーム（１）とＬ字型フレーム（３）と台座
（２）とを一体成形してもよい。

【００１２】図１に於いて示すように、台車（４）は移
動自在に動き回れる車輪を設けて、介護用ベッドの下方
へ差し入れ可能な車高にして、その側辺部に昇降駆動装
置（５）を搭載する。また、台車（４）の形状は、一方
側が開放されたいわゆるコの字型をしていて、トイレの
便器を挟む形で、患者を便器の真上に配置できる。それ
に、一般的な平台車も使え、電動式台車も有効である。

【００１３】昇降駆動装置（５）は、シリンダー形式あ
るいはラックピニオン機構あるいはチェーン式あるいは
電動式で構成している。中でもシリンダー形式は、昇降
作動がスムーズで衝撃・震動などが少なく、障害を持つ
患者の昇降に適している。

【００１４】図１に於いて示すように、昇降駆動装置
（５）の上端部に傾動機構（６）を設け、Ｌ字型支持フ
レーム（３）の上方部分を起倒自在かつ昇降自在に駆動
するように架設する。このようにすると、患者の起倒と
昇降とが同時に一行程で行える利点がある。

【００１５】傾動機構（６）に自動ロック機構を備え、
昇降駆動装置（５）の上昇駆動作用によって抱持フレー
ム（１）で患者が起き上がり、Ｌ字型支持フレーム
（３）が起立した時点で自動的にロックして、患者の座
った姿勢を安定させてもよい。その他ロック機構として
は、ねじ込み固定式、ピン差し込み式、レバー固定機構
などで、手動式でもよい。

【００１６】昇降駆動装置（５）の上端部と、傾動機構
（６）との間を橋渡しする形でアーム（図示せず）を連
結し、アームの中間部分に支柱（図示せず）の上端部
を、いわゆるＴ字形状で連結し、支柱の下端部を台車
（４）あるいは昇降駆動装置（５）の下端部に連結し、
昇降駆動装置（５）の作動で、傾動機構（６）を介して
Ｌ字型支持フレーム（３）を起倒昇降させることができ
る。また、上記アームの中間部分に昇降駆動装置（５）
の上端部をいわゆるＴ字形状で連結し、アームの一方の
端部と支柱の上端部を連結し、支柱の下端部を台車
（４）あるいは昇降駆動装置（５）の下端部に連結し、
昇降駆動装置（５）の作動で、傾動機構（６）を介して
Ｌ字型支持フレーム（３）を起倒昇降させることができ
る。それに、昇降駆動装置（５）の上方部分を延長し
て、水平方向あるいは下方へ折り曲げ、あるいは上下左
右屈折自在にヒンジ機構を設け、傾動機構（６）を介し
てＬ字型支持フレーム（３）を起倒昇降させることがで
きる。これは患者が、ベッドの向う側寄りに寝ている場
合、抱持フレーム（１）が患者を充分に抱きかかえるの
に有効である。

【００１７】本発明は、人が人を抱いて運ぶ極自然な
姿、親が子をまた恋人を、やさしく愛情をこめて抱いて
運ぶ姿形からの着想で、寝たきりの老人あるいは障害を
持つ患者に最も適した移動用の車椅子である。

【００１８】上記のような本発明によれば、ベッドに寝
たきりの患者を起す場合は、図４に於いて示すように、
Ｌ字型支持フレーム（３）を横に倒して、台車（４）を
ベッドの下方へ差し込むように配置しながら、まず患者
の腕をあげ、その腋の下から抱持フレーム（１）の上側
になった方を胸の上側へ、また抱持フレーム（１）の下
側になった方の先端を首の下の空間へ差し入れるように
して、背中・肩甲骨・腋の下へと抱持フレーム（１）を
あてがう。次に、患者の膝を立てて臀部に台座（２）を
あてがう。その後、図５に於いて示すように上昇駆動さ
せると、上端部に設けた傾動機構（６）の起立動作で、
Ｌ字型支持フレーム（３）を起す働きと持ち上げる働き
とを同時にしながら、抱持フレーム（１）は患者を抱き
起し持ち上げて、患者はベッドでの姿勢そのままで車椅
子の人となる。また、患者をベッドに戻すときは、これ
と逆の順序で行う。

【００１９】

【発明の効果】上記のような本発明によれば、 イ、抱持フレーム（１）は、患者の腋の下から身体の前
後をとり巻くように保護し抱きかかえて居り、患者は抱
持フレーム（１）を腋の下に挟み込んで寄りかかっても
安定し、また脇息にもなり、背もたれにもなり、あるい
は前面の抱持フレーム（１）に両腕でしがみつくことも
出来るので、安心して身をまかせられ運ばれて行くこと
ができる。 ロ、ベッドに寝たきりの患者は、ベッド上で片腕を上げ
て膝を立てるだけで良く患部の多く集中する上半身を全
く動かせる必要がなく、ベッド上の姿勢そのままで抱か
れて車椅子に乗り移ることができる。 ハ、介護人にとっては、寝ている患者の腕を上げて抱
持フレーム（１）を腋から首背面へあてがい、膝を上
げて台座（２）を臀部にあてがい、昇降駆動装置
（５）を作動させる、この三つの簡単な動作で、患者を
自力で持ち上げ載せ換える重労働から解放される。従っ
て、女性の介護人なら二人必要とした患者の載せ換え作
業が、一人の介護人の手作業で行なえる。 ニ、コの字型の台車（４）は、トイレの便器を挟んで台
座（２）を真上に配置できて、昇降駆動装置（５）で便
器の高さに合わせて調節できるので便利。 ホ、抱持フレーム（１）で患者は上半身で安定して居
り、下半身が解放されているので、用便時介護作業が容
易にできて便利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の全体を示す斜視図

【図２】Ｌ字型支持フレーム（３）に桟を設けた例を示
す斜視図

【図３】Ｌ字型支持フレーム（３）と台座（２）と抱持
フレーム（１）を一体成形した例を示す斜視図

【図４】ベッド上の患者に実施した本発明の側面概念図

【図５】患者を移動中の例を示す側面概念図

【符号の説明】

１ 抱持フレーム ２ 台座 ３ Ｌ字型支持フレーム ４ 台車 ５ 昇降駆動装置 ６ 傾動機構 ７ 桟

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上方部に抱持フレーム（１）をまたその下
   方部に回転可能な台座（２）を設けたＬ字型支持フレー
   ム（３）を、台車（４）に搭載した昇降駆動装置（５）
   に起倒自在に架設したことを特徴とする介護用車椅子。