JPH101789A - 金属表面処理剤、処理方法及び表面処理された金属材料 - Google Patents

金属表面処理剤、処理方法及び表面処理された金属材料

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JPH101789A
JPH101789A JP15223696A JP15223696A JPH101789A JP H101789 A JPH101789 A JP H101789A JP 15223696 A JP15223696 A JP 15223696A JP 15223696 A JP15223696 A JP 15223696A JP H101789 A JPH101789 A JP H101789A
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智之 菅田
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Yasuhiro Shibata
康弘 柴田
Toshiaki Shimakura
俊明 島倉
Kiyotada Yasuhara
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 未塗装時の耐食性(アルミニウムDI缶の場
合には耐沸水黒変性)を向上させると共に、金属表面の
滑り性(潤滑性)、塗膜密着性、塗装後の耐食性を改良
した金属表面処理剤及び処理方法を提供する。 【解決手段】 水溶性、水分散性又はエマルション性の
形態を有する、少なくとも窒素原子を1個以上含有する
有機高分子化合物又はその塩と、多価アニオンと、を含
有する金属表面処理剤であって、前記有機高分子化合物
は、下記化1又は化2で表される少なくとも窒素原子を
1個以上含有する有機高分子化合物又はその塩である。 【化1】 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属表面処理剤、処
理方法及び表面処理された金属材料、特に耐食性に優れ
た金属表面処理剤等に関する。
【0002】
【従来の技術】金属表面処理としては、例えばアルミニ
ウム缶の製造工程において、DI加工(Drawing & Iron
ing )の後、酸性クリナーによってスマットを除去し、
更に水洗した後に行われる化成処理等が挙げられる。こ
の化成処理は、耐食性、塗膜密着性を向上させる目的で
行われる。化成処理としては、クロメート処理とノンク
ロメート処理の2種類があり、近年では公害防止の観点
からノンクロメート処理が主に行われている。このノン
クロメート処理のノンクロム化成処理剤としては、例え
ばリン酸ジルコニウム系処理剤が広く使用されている。
【0003】例えば、特公昭57−39314号公報の
「アルミニウムの表面処理法」には、ジルコニウム塩と
過酸化水素とリン酸を含有する酸性水溶液によってアル
ミニウムの表面を処理する方法が提案されている。ま
た、特開平7−48677号公報の「アルミDI缶及び
ぶりきDI缶兼用表面処理液並びに処理方法」には、リ
ン酸イオンとジルコニウム化合物を含みpH2.0〜
4.0を有し、更に500ppm以下の酸化剤と、フッ
酸又はフッ化物の少なくとも1種をフッ素として200
0ppm以下含有するDI缶処理液によってアルミDI
缶の表面処理を行う方法が提案されている。
【0004】通常、アルミニウム缶の製造工程では、化
成処理後、アルミニウム缶は充分水洗され、オーブンで
水切り乾燥され、次いで印刷、塗装がなされる。この印
刷、塗装の工程に移る際に、アルミニウム缶を搬送する
ベルトコンベアの幅は急激に狭くなる。この時、缶同士
が接触したり、缶がベルトコンベアのガイドとの接触に
より、ジャミング(搬送不良)を起こす可能性があり、
このジャミングによって、缶の搬送スピードが低下して
缶の生産効率が低下してしまう。
【0005】一般に、上記リン酸ジルコニウム系処理剤
を用いて処理すると、アルミニウム表面に酸化ジルコニ
ウムやリン酸ジルコニウムの皮膜が形成され、この皮膜
が一定以上の厚みになると、凝集破壊の原因となり、塗
膜密着性の不良が生じやすかった。また、上記無機質の
皮膜は、表面の滑り性がないため、上述したように缶を
ベルトコンベアで搬送する際にジャミングを生じ、缶の
生産効率が低下してしまうおそれがあった。
【0006】そこで、近年では、無機質の皮膜だけでな
く、有機質の皮膜を形成する処理剤が提案されている。
例えば、特開平7−331276号公報の「アルミニウ
ム含有金属材料の表面処理用組成物及び表面処理方法」
には、リン酸イオンと水溶性ジルコニウム化合物とフッ
化物と第三級アミン基及びポリアルキルグリコール基か
ら選ばれた少なくとも1種を有する水溶性ポリアミドと
を含有する表面処理用組成物が提案されている。
【0007】しかしながら、上記公報に記載の表面処理
用組成物中の水溶性ジルコニウム化合物によって、金属
表面にリン酸ジルコニウム皮膜層がある厚さ以上に形成
された場合には、やはり皮膜が凝集破壊を生じて塗膜密
着性が低下してしまうという問題があった。
【0008】そこで、無機質皮膜を形成することなく有
機質皮膜単独の皮膜を金属表面に形成する処理剤が提案
されている。例えば、特開平4−66671号公報の
「アルミニウム及びアルミニウム合金用表面処理液」に
は、リン酸イオンを1〜30g/l、縮合リン酸イオン
を0.1〜10g/l及び下記化3の一般式で示される
水溶性樹脂を固形分として0.1〜20g/l含有し、
pH2.0〜6.5である表面処理液が提案されてい
る。
【0009】
【化3】 また、特開平7−278410号公報の「金属材料表面
処理用重合体組成物及び処理方法」には、無機質皮膜を
形成すると共にフェノール系樹脂の有機質皮膜をも形成
させる処理剤が提案されている。すなわち、この処理剤
は、酸性化合物と、下記化4に示す式(I)の重合体
[X=H,C1-5 アルキル、C1-5 ヒドロキシアルキ
ル、下記化5に示す式(II)の基など、R1 ,R2
H,OH,C1- 10アルキル、C1-10ヒドロキシアルキル
基など、Y1 ,Y2 =H又は下記化6に示す式(III)又
は下記化7に示す式(IV)のZ基、R3 〜R7 =C1-10
アルキル、C1-10ヒドロキシアルキル基など、重合体分
子中の各ベンゼン環の置換Z基数平均値=0.2〜1.
0,n=2〜50]とを含み、pH=2.0〜6.5の
処理剤を金属表面と接触させる処理方法が開示されてい
る。
【0010】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】 また、特開平7−278836号公報の「アルミニウム
含有金属材料用表面処理組成物及び表面処理方法」に
は、無機質皮膜を形成すると共にビスフェノールA系樹
脂の有機質皮膜をも形成させる処理剤が提案されてい
る。すなわち、この処理剤は、リン酸イオン、縮合リン
酸イオン及び水性重合体を、1〜30:0.1〜10:
0.1〜20の重量配合割合で含み、2.0〜6.5の
pHの処理剤と、上記材料表面とを、30〜65℃にお
いて、5〜60秒間接触させ、水洗し、加熱乾燥する表
面処理方法が開示されている。ここで、上記水溶性重合
体は、下記化8に示す式(V)の化学構造を有し、式
(V)中Y1 ,Y2 は、H原子又は下記化9式(VI)又
は式(VII)のZ基であり、重合体分子中のベンゼン環の
平均Z基置換数0.2〜1.0である。
【0011】
【化8】
【化9】
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平4−66671号公報、特開平7−278410号
公報及び特開平7−278836号公報に開示されたい
ずれの表面処理剤も、金属表面にある一定の厚み以上の
有機質皮膜層を形成しない限り、未塗装耐食性が不十分
になってしまうという問題があった。一方、有機質皮膜
の膜厚が厚くなると、上記有機高分子化合物由来の干渉
色が発生し、外観が劣化するという問題があった。
【0013】本発明は上記従来の課題に鑑みたものであ
り、その目的は、低皮膜量領域における未塗装時の耐食
性(アルミニウムDI缶の場合には耐沸水黒変性)を向
上させると共に、金属表面の滑り性(潤滑性)、塗膜密
着性、塗装後の耐食性を改良した金属表面処理剤及び処
理方法を提供すると共に、未塗装時の耐食性、金属表面
の滑り性、塗膜密着性、耐食性を有する表面処理された
金属材を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明の金属表面処理剤は、水溶性、水分散性
又はエマルション性陽イオン性窒素原子含有有機高分子
化合物と、多価アニオンと、を含有する。
【0015】有機高分子化合物を含有する金属表面処理
剤に、多価アニオンを添加することにより、樹脂の析出
pHを酸性側にシフトさせることができる。上記有機高
分子化合物は、酸性側では溶解するが、弱酸性から中性
領域のpHになると水溶液系から凝集析出する。従っ
て、多価アニオンを添加すると、樹脂皮膜の析出速度が
促進され、金属表面に析出する上記有機高分子化合物由
来の樹脂の皮膜量が増大し、処理時間が短縮化できる。
更に、比較的低皮膜量であっても、緻密な皮膜が金属表
面に形成されるため、未塗装時の耐食性(アルミニウム
DI缶の場合には耐沸水黒変性)が向上する。更に、主
に有機質皮膜からなるため、滑り性を有し、かつ凝集破
壊の原因となる無機質(金属塩)成分を有していても、
塗膜密着性も向上する。
【0016】また、本発明に係る金属表面処理剤の有機
高分子化合物は、少なくとも下記化10又は化11に示
す官能基を有する。
【0017】
【化10】 (式中、R1 ,R2 :水素、水酸基、炭素数1〜10の
置換してもよい直鎖又は分岐状のアルキル基又は炭素数
1〜10の置換してもよい直鎖又は分岐状のアルカノー
ル基)
【化11】 (式中、R3 ,R4 ,R5 :水素、水酸基、炭素数1〜
10の置換してもよい直鎖又は分岐状のアルキル基又は
炭素数1〜10の置換してもよい直鎖又は分岐状のアル
カノール基) また、本発明に係る金属表面処理剤の多価アニオンは、
モリブデン酸、タングステン酸、バナジン酸、リンモリ
ブデン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸等
及びその塩の少なくとも1種である。
【0018】また、本発明に係る処理方法は、上記金属
表面処理剤を金属表面に接触させ、次いで水洗、乾燥さ
せる処理方法である。
【0019】更に、本発明に係る表面処理された金属材
料は、上記金属表面処理剤を用いて表面処理された金属
材料である。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明に係る金属表面処理剤は、
水溶性、水分散性又はエマルション性有機高分子化合物
と、多価アニオンと、を含有する。
【0021】水溶性、水分散性又はエマルション性陽イ
オン性窒素原子含有有機高分子化合物 水溶性、水分散性又はエマルション性有機高分子化合物
は、上記化10、化11で表される陽イオン性窒素原子
含有樹脂であり、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウ
レタン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリアミド系樹
脂、フェノール系樹脂の少なくとも1種の樹脂骨格を有
する化合物である。
【0022】金属表面処理剤に対する上記有機高分子化
合物の含有量は、0.01〜10g/lが好ましく、よ
り好ましくは0.1〜5g/lである。上記有機高分子
化合物の含有量は、0.01g/l未満の場合には、有
機樹脂皮膜の厚さが不十分となり、バリヤー効果が低下
するため、耐食性が低下する。一方、上記有機高分子化
合物の含有量が、10g/lを超える場合には、有機樹
脂皮膜が必要以上に厚くなり、表面処理後の被処理物に
干渉色を生じて、外観不良を起こす。また、処理浴中に
過剰の上記有機高分子化合物が存在することになり、表
面処理浴の安定性が低下し、またコスト高になって経済
性に劣る。
【0023】多価アニオン 多価アニオンとしては、モリブデン酸、タングステン
酸、バナジン酸、リンモリブデン酸、リンタングステン
酸、ケイタングステン酸等及びその塩が挙げられる。多
価アニオンの金属表面処理剤に対する含有量は、0.0
03g/l〜10.0g/lが好ましく、より好ましく
は0.01g/l〜2g/lである。多価アニオンの含
有量が0.003g/l未満の場合には、金属表面のエ
ッチング不足となり、樹脂皮膜が金属表面に析出しにく
くなり、耐食性が劣り、滑り性が低下する。一方、多価
アニオンの含有量が10g/lを超える場合には、処理
液安定性が低下し、耐食性、滑り性も低下する。ここ
で、処理液とは、本発明に係る金属表面処理剤又は適宜
水で希釈したものをいう。
【0024】また、本発明に係る金属表面処理剤は、必
要に応じて以下の無機酸、重金属、エッチング剤、エッ
チング助剤、アルミニウムイオンを含んでもよい。
【0025】無機酸 無機酸としては、リン酸、硝酸等が挙げられるが、リン
酸が最も好ましく、その酸の塩としては、ナトリウム、
カリウム、マグネシウム等の塩が好ましい。リン酸は、
水溶液を酸性にし、上記有機高分子化合物を溶解させ
る、又は金属表面のエッチングのために用いる。このリ
ン酸の濃度としては、金属表面処理剤に対して0.01
〜10g/lであることが好ましく、より好ましくは
0.1〜2g/lである。リン酸の含有量が0.1g/
l未満の場合には、酸性度が不十分となり、上記有機高
分子化合物が溶解しにくくなり、一方10g/lを超え
ると、表面処理時の樹脂析出性が抑制され耐食性が劣化
する。
【0026】重金属 本発明の金属表面処理剤は、重金属を含有しても良く、
重金属としては、Zr,Nb,Ni,Co,Mn,T
i,Ta,Mo,Wの少なくとも1種であり、上記金属
の錯フッ化物が好ましく、その他硝酸塩、リン酸塩等が
挙げられる。重金属の金属表面処理剤に対する含有量
は、10g/l未満であることが好ましい。重金属の含
有量が10g/lを超えると、耐食性、塗膜密着性や滑
り性が低下する。
【0027】エッチング剤 エッチング剤の主成分は、フッ化物イオンであり、フッ
化物イオンの供給源としては、フッ化水素酸及びその塩
が挙げられる。フッ化物イオンの金属表面処理剤に対す
る含有量は、0.005g/l〜5.0g/lが好まし
い。フッ化物イオンの含有量が0.005g/l未満の
場合には、金属表面のエッチング不足となり、界面pH
の上昇が不十分となるため、樹脂皮膜が金属表面に析出
しにくくなり、耐食性が劣る。一方、フッ化物イオンの
含有量が5.0g/lを超える場合には、エッチング過
多となり、やはり樹脂皮膜が金属表面に析出しにくくな
り、耐食性が低下し、滑り性も不十分となる。
【0028】エッチング助剤 エッチング助剤としては、ケイフッ酸、ホウフッ酸及び
その塩を用いることができる。エッチング助剤の金属表
面処理剤に対する含有量は、0.003g/l〜5.0
g/lが好ましい。エッチング助剤の含有量が0.00
3g/l未満の場合には、金属表面のエッチング不足と
なり、樹脂皮膜が金属表面に析出しにくくなり、耐食性
が劣る。一方、エッチング助剤の含有量が5.0g/l
を超える場合には、エッチング過多となり、やはり樹脂
皮膜が金属表面に析出しにくくなり、耐食性が低下し、
滑り性も不十分となる。
【0029】アルミニウムイオン アルミニウムイオンは、樹脂皮膜(すなわち有機高分子
化合物を含有する皮膜)の析出速度を促進し、皮膜の緻
密化、均一化を促す効果を有する。アルミニウムイオン
の供給源としては、硝酸アルミニウム、水酸化アルミニ
ウム、フッ化アルミニウム、及び表面処理金属がアルミ
ニウム合金材である場合は、エッチングにより溶出した
アルミニウムでもよい。アルミニウムイオンの金属表面
処理剤に対する含有量は、0.01g/l〜0.5g/
lが好ましく、より好ましくは0.05g/l〜0.2
g/lである。アルミニウムイオンの含有量が0.01
g/l未満の場合には、上記有機高分子化合物が金属表
面に析出しにくくなり、耐食性が不十分となる。一方、
アルミニウムイオンの含有量が0.5g/lを超える場
合には、処理液中で上記有機高分子化合物と不溶性化合
物を形成し、処理液に濁りが生じたり、スラッジが発生
する。このため、外観が劣化する。
【0030】処理条件と処理方法 上記金属表面処理剤のpHは、約2.0〜5.0であ
り、好ましくは2.5〜4.0である。この時、pHの
調整は、NaOH、アンモニア水溶液、硝酸等により行
う。本発明の金属表面処理剤と金属材料との接触温度
は、常温(例えば20℃)〜90℃が好ましく、より好
ましくは35〜65℃である。一般には、金属素材と本
発明に係る金属表面処理剤との接触時間は、接触温度が
高いほど短くなる。
【0031】金属材料に対してスプレー塗布の場合に
は、約5秒間〜5分間、好ましくは10〜60秒間であ
る。浸漬法を用いる場合には、上記接触時間より長い接
触時間を要する。その他、浸漬法、フローコート法、ロ
ールコート法で接触させても良い。
【0032】上記のように、化成処理を施された金属材
料は、水洗され、乾燥工程が入るが、乾燥温度は150
〜240℃であり、乾燥温度が150℃未満では、耐食
性が劣る。
【0033】金属表面上への本発明の金属表面処理剤中
の上記有機高分子化合物由来の樹脂皮膜の析出機構を以
下に述べる。酸性水溶液中では、上記有機高分子化合物
の含有する窒素原子(アミン由来)が陽イオン性を呈す
る。そして、金属をエッチングした際の金属界面のpH
上昇により、この陽イオン性が失われ金属表面に上記有
機高分子化合物が凝集沈着する。更に、この窒素原子の
ローン・ペア(孤立電子対)を金属と共有(キレート
化)することによっても金属への樹脂の析出が生じる。
【0034】また、本発明の金属表面処理方法が用いら
れる金属材料としては、アルミニウムやアルミニウム合
金の他に、鉄、亜鉛、亜鉛合金、スズメッキ板、ステン
レス等も挙げられる。
【0035】更に、本発明の好ましい他の実施態様を以
下に示す。
【0036】1.金属表面処理剤中の水溶性、水分散性
又は又はエマルション性有機高分子化合物は、アクリル
系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリブタジ
エン系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノール系樹脂の少
なくとも1種の樹脂骨格を有する陽イオン性窒素含有樹
脂化合物である。
【0037】2.金属表面処理剤に対する上記有機高分
子化合物の含有量は、0.01〜10g/lである。
【0038】3.好ましくは、金属表面処理剤に対する
上記有機高分子化合物の含有量は、0.1〜5g/lで
ある。
【0039】4.多価アニオンの金属表面処理剤に対す
る含有量は、0.003〜10.0g/lである。
【0040】5.好ましくは、多価アニオンの金属表面
処理剤に対する含有量は、0.01〜2.0g/lであ
る。
【0041】6.本発明に係る金属表面処理剤は、必要
に応じて無機酸、重金属、エッチング剤、エッチング助
剤、アルミニウムイオンを含む。
【0042】7.本発明に係る金属表面処理剤の含有さ
れる無機酸は、リン酸である。
【0043】8.金属表面処理剤に対するリン酸の濃度
は、0.01g/l〜10g/lである。
【0044】9.好ましくは、金属表面処理剤に対する
リン酸の濃度は、0.1g/l〜2g/lである。
【0045】10.上記重金属は、Zr,Nb,Ni,
Co,Mn,Ti,Ta,Mo,Wの少なくとも1種で
ある。
【0046】11.上記重金属は、その錯フッ化物であ
る。
【0047】12.重金属の金属表面処理剤に対する含
有量は、10g/l未満である。
【0048】13.上記エッチング剤は、フッ化物イオ
ンである。
【0049】14.上記フッ化物イオンの供給源は、フ
ッ化水素酸又はその塩である。
【0050】15.上記フッ化物イオンの金属表面処理
剤に対する含有量は、0.005g/l〜5g/lであ
る。
【0051】16.上記エッチング助剤は、ケイフッ
酸、ホウフッ酸及びその塩である。
【0052】17.上記エッチング助剤の金属表面処理
剤に対する含有量は、0.003g/l〜5g/lであ
る。
【0053】18.本発明に係る金属表面処理剤に含ま
れるアルミニウムイオンの供給源は、硝酸アルミニウ
ム、水酸化アルミニウム、フッ化アルミニウム又は、処
理金属がアルミニウム合金材である場合はエッチングに
より溶出したアルミニウムでもよい。
【0054】19.上記アルミニウムイオンの金属表面
処理剤に対する含有量は0.01g/l〜0.5g/l
である。
【0055】20.本発明に係る金属表面処理剤のpH
は、2.5〜4.0である。
【0056】21.上記pHの調整は、NaOH、アン
モニウム水溶液、硝酸のいずれか一種を用いて行う。
【0057】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を
具体的に説明する。尚、本発明はこれらの実施例によっ
て限定されるものではない。
【0058】実施例1〜12及び比較例1〜4 (1)被処理物:Al−Mn系(JIS−A3004)
アルミニウム合金板をDI加工等して得られた成型缶。
【0059】(2)塗装下地用皮膜評価方法: a)耐沸水黒変性(耐食性):本実施例及び比較例の組
成物によって表面処理を行った被処理物の缶底部分を沸
騰水道水中に30分間浸漬した後の外観評価を次の基準
で行った。 ○ : 外観の変化なし △ : 僅かに黒変 × : 黒変 b)塗装下地用皮膜表面の滑り性:本実施例の方法で化
成処理を行った被処理物を「HEIDON−14」型試
験機で5mmφ鋼球、荷重50g、触針速度300mm/
min.で動摩擦係数を求めた。
【0060】 ○ : 0.6未満 △ : 0.6〜0.8 × : 0.8を超える場合 c)塗膜密着性:バーコータによってBASF社製塗料
(EB−70−001N 150mmg/m2 、クリヤ
ー;EB−69−002N 60mmg/m2 )を被処
理物に塗装する。そしてこの塗装された被処理物を、ウ
ェッジペンディング加工し、折れ曲り部をニチバン製セ
ロテープによりテープ剥離した時の塗膜剥離評価を次の
基準で行った。
【0061】 ○ : テープ剥離長さが15mm未満 △ : テープ剥離長さが15〜20mm × : テープ剥離長さが20mmを超える (3)陽イオン性窒素原子含有樹脂 註)(A):フェノール樹脂:下記化12に示す樹脂で
ある (B):ポリビニルフェノール樹脂:下記化13に示す
樹脂である (C):ビスフェノールA樹脂:下記化14に示す樹脂
である (D):アミノ変性カチオン樹脂: HEA*1/p−TBS*2/DMAEA*3=40/30/
30 分子量3000 *1:HEA ;ヒドロキシエチルアクリレート *2:p−TBS ;パラ−t−ブチルスチレン *3:DMAEA ;N−ジメチルアミノエチルアクリレ
ート
【化12】
【化13】
【化14】 (4)金属表面処理条件; <実施例1>Al−Mn系(JIS−A3004)成型
缶を酸性脱脂剤(「サーフクリーナーNHC250」日
本ペイント(株)製)30g/lの濃度で75℃、60
秒スプレー脱脂した後、水洗し、リン酸0.5g/l,
フッ酸0.5g/l,有機高分子化合物として陽イオン
性窒素原子含有アクリル系樹脂を1g/l,多価アニオ
ンとしてモリブデン酸イオンを0.02g/lを含有し
pH3.5に調整した金属表面処理剤で50℃、20秒
スプレー化成処理を行った。処理後、水洗し190℃、
3分間水切り乾燥を行った。評価結果を表1に示す。
【0062】<実施例2〜12,比較例1〜4>表1に
示すように、上記有機高分子化合物の種類及び含有量、
多価アニオンの種類及び含有量、pHを変え、その他の
成分の含有量は上記実施例1と同様の金属表面処理剤
で、上記実施例1に準拠して表面処理を行った。評価結
果を表1に示す。
【0063】
【表1】 これらの結果から、本発明の金属表面処理剤によれば、
耐食性(耐沸水黒変性)に優れ、更にすべり性、上塗塗
膜密着性、のいずれの性能も従来のものに比べ向上して
いることが判明した。
【0064】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る金属表面処
理剤及び処理方法によれば、有機高分子化合物を含有す
る金属表面処理剤に、多価アニオンを添加することによ
り、樹脂の析出pHを酸性側にシフトさせることができ
る。上記有機高分子化合物は、酸性側では溶解するが、
弱酸性から中性領域のpHになると水溶液系から凝集析
出する。従って、多価アニオンを添加すると、樹脂皮膜
の析出速度が促進され、金属表面に析出する上記有機高
分子化合物由来の樹脂の皮膜量が増大し、処理時間が短
縮化できる。更に、比較的低皮膜量であっても、緻密な
皮膜が金属表面に形成されるため、未塗装時の耐食性
(アルミニウムDI缶の場合には耐沸水黒変性)が向上
する。更に、主に有機質皮膜からなるため、滑り性を有
し凝集破壊の原因となる無機質(金属塩)成分を有して
いても、塗膜密着性も向上する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 163/00 PJE C09D 163/00 PJE 175/00 PHM 175/00 PHM 177/00 PLS 177/00 PLS 201/00 PDC 201/00 PDC (72)発明者 島倉 俊明 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社東京事業所内 (72)発明者 安原 清忠 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社東京事業所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性、水分散性又はエマルション性の
    形態を有する、少なくとも窒素原子を1個以上含有する
    有機高分子化合物又はその塩;0.01〜10g/lと
    多価アニオン;0.003〜10g/lとを含有するこ
    とを特徴とする金属表面処理剤。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の金属表面処理剤におい
    て、前記有機高分子化合物は、エポキシ系樹脂、アクリ
    ル系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、オレフ
    ィン系樹脂、アミド系樹脂の少なくとも1種以上の樹脂
    骨格を有する化合物であり、かつ前記有機高分子化合物
    内の少なくとも1つは下記化1又は化2に示す官能基を
    有することを特徴とする金属表面処理剤。 【化1】 (式中、R1 ,R2 :水素、水酸基、炭素数1〜10の
    置換してもよい直鎖又は分岐状のアルキル基又は炭素数
    1〜10の置換してもよい直鎖又は分岐状のアルカノー
    ル基) 【化2】 (式中、R3 ,R4 ,R5 :水素、水酸基、炭素数1〜
    10の置換してもよい直鎖又は分岐状のアルキル基又は
    炭素数1〜10の置換してもよい直鎖又は分岐状のアル
    カノール基)
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の金属表面処理剤におい
    て、前記多価アニオンがモリブデン酸、タングステン
    酸、バナジン酸、リンモリブデン酸、リンタングステン
    酸、ケイタングステン酸及びその塩の少なくとも1種以
    上の多価アニオンであることを特徴とする金属表面処理
    剤。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の金属表面処理剤を金属
    表面に接触させ、次いで水洗、乾燥させることを特徴と
    する金属表面処理方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の金属表面処理剤を用い
    て表面処理されたことを特徴とする表面処理金属材料。
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JP2001181860A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Nippon Parkerizing Co Ltd 金属表面処理剤、金属材料の表面処理方法及び表面処理金属材料
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