JPH10178836A - 農作業機における姿勢制御用センサ零点補償制御装置 - Google Patents

農作業機における姿勢制御用センサ零点補償制御装置

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JPH10178836A
JPH10178836A JP1406298A JP1406298A JPH10178836A JP H10178836 A JPH10178836 A JP H10178836A JP 1406298 A JP1406298 A JP 1406298A JP 1406298 A JP1406298 A JP 1406298A JP H10178836 A JPH10178836 A JP H10178836A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 田植機における苗植装置に装着した姿勢制御
用センサである角速度センサ58の零点補償のための検
出値のサンプリングを、苗植装置が中立位置に戻るよう
な最適な時に行う。 【解決手段】 走行クラッチを切りする走行停止操作ご
とに、走行機体が停止する迄の時間t0以上の一定時間
t1だけ待って(P3)から、角速度センサの出力信号
(検出値Vn)の読取りを開始し、複数回のサンプリン
グを実行し(P4〜P7)、その平均値Vaを演算して
メモリに記憶させる(P8)。クラッチスイッチ70が
OFFになれば、前記記憶された平均値Vaを新しい零
点として更新させ(P10)、零点補償を実行する(P
11)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圃場に苗を植付け
する田植機等の農作業機の左右水平姿勢を保持(ローリ
ング姿勢制御)したり、この農作業機の前後水平姿勢を
保持(ピッチング姿勢制御)するための姿勢制御用セン
サに関し、該姿勢制御用センサの零点補償を実行する制
御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、乗用型田植機により圃場に苗
を植付ける場合、走行機体の前部または後部に苗植装置
を左右回動及び前後回動可能に装着し、苗植装置には、
その進行方向左右に適宜間隔で植付機構を設け、田植機
の進行につれて上下回動する植付機構にて苗植装置にお
ける苗載台の苗マットを適宜株数ごとに分割しながら圃
場面に植付けるように構成することは、例えば、先行技
術の特開平2−135015号公報や特公昭57−27
682号公報に開示されており、この特開平2−135
015号公報では、苗植装置の左右水平姿勢を保持する
制御(ローリング制御)の際の検出手段として、苗植装
置とその下方のフロートとの間に設けた接地圧センサの
検出信号を利用することが開示されている。
【0003】また特公昭57−27682号公報では、
苗植装置の前後傾動姿勢を無くするように略水平状に姿
勢保持しようとする姿勢制御(ピッチング制御)に際し
て、傾斜センサ(傾斜角度検出センサ)の検出信号を利
用することが開示されている。しかしながら、この種の
センサだけでは、苗植装置の姿勢変動程度を的確に把握
できず、姿勢制御に遅れが生じる等の不都合があるた
め、本出願人は、先に、特願平2−223376号にお
いて、苗植装置に、その傾きの速度を検出することがで
きる速度センサ(角速度センサ)や、苗植装置の傾きの
加速度を検出できる加速度センサを設けることを提案し
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記姿勢制
御用センサでは、電源をONにしてから出力信号が安定
するまでの時間が掛かるという起動特性及び環境の温度
により出力信号の零点が変動するという温度ドリフト特
性がある。つまり、これらのセンサにおいては、変位
(傾斜角度、角速度、加速度)等の姿勢変動自体がない
状態であっても、出力信号の零点が大きく変動するとい
う問題がある。
【0005】また、前記田植機等の農作業機において
は、他の精密機械とは異なり、作業開始のスイッチを入
れると、すぐに作業を実行するのが通常であり、前記の
零点補償を一々実行するのは、煩わしいという問題があ
る。特に、姿勢制御用センサの種類が多くなると、その
一つのセンサごとに零点補償を実行するとすれば、益々
作業が煩わしくなる。
【0006】さらに、この種の農作業機においては、野
外の作業が中心で、この農作業機に取付く前記姿勢制御
用センサも温度等の環境変化の影響を受け易いから、早
朝の作業開始時に零点補正(零点補償)しても、昼から
の作業再開ときにはその零点補償を再度実行しなければ
ならないという煩わしさがある。それにも拘らず、この
ような零点補正を実行しないで、農作業機を作動させる
と、前記姿勢制御の精度が悪化し、田植機においてはそ
の左右での苗植え深さにばらつきが出る等の農作業に不
都合が生じるのであった。
【0007】そこで、本発明では、この種の農作業機に
おいては、連続運転状態はまれであり、作業動作(走行
しながらの苗植作業動作)の間に非作業動作(走行停止
して苗マット継ぎ足し作業する動作等)が入ることか
ら、農作業機が中立状態、例えば左右水平姿勢状態とな
ることが度々あることに鑑み、この現象を利用して姿勢
制御用センサの零点補償を行うこと、および、この種の
姿勢制御用センサの出力信号値が正負の値を採りうるも
のであることを利用して零点補償を実行することを目的
とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本発明の農作業機における姿勢制御用センサ零点補
償制御装置は、農作業機の姿勢変動を検出するための、
角速度センサ、加速度センサ等の姿勢制御用センサと、
該姿勢制御用センサの検出値に応じてアクチェータにて
前記作業機の姿勢制御を実行する姿勢制御手段とを備え
た制御装置において、走行クラッチの入り切り操作を検
出するクラッチスイッチ、又は車速を検出する車速セン
サを設け、走行クラッチの切り操作から適宜時間後、又
は農作業機が走行停止した状態に同期させて、前記姿勢
制御用センサの検出値を複数回読取り、その平均値を零
点とする演算を実行し、前記走行クラッチの操作毎又は
走行停止毎に、前記零点を更新する制御手段を設けたも
のである。
【0009】
【発明の作用及び効果】この構成によれば、農作業機の
姿勢の変動を検出する姿勢制御用センサの出力信号値
は、当該農作業機の水平方向に対する時計方向回動時と
反時計方向回動時とで、正負反対の値を採るが、走行停
止状態では、ほぼ中立状態に戻る。そこで、走行クラッ
チの切り操作から適宜時間後、又は農作業機が走行停止
した状態に同期させて、前記姿勢制御用センサの検出値
を複数回読取り、その平均値を零点とする演算を実行
し、前記走行クラッチの操作毎又は走行停止毎に、前記
零点を更新すれば、起動特性や環境温度ドラフトに伴う
零点の変動を補正するという零点補償を自動的に実行す
ることができる。
【0010】姿勢制御用センサの検出値の複数回のサン
プリングは、走行クラッチの切り操作から適宜時間後、
又は車速センサの検出値により、農作業機が走行停止し
た状態で実行するのだから、通常の農作業実行中のよう
に農作業機が傾いた状態のときに姿勢制御用センサの検
出値をサンプリングするような誤検出を防止でき、正確
な零点補償を確実に実行できるという効果を奏する。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照しながら本発明
を具体化した実施形態(走行機体と苗植装置とからなる
農作業機としての田植機に適用した実施例)について説
明すると、図において1は乗用型田植機における走行機
体を示し、該走行機体1は、車体フレーム2とその前部
側に取付く前車輪3,3と後部側に上下回動自在なスイ
ングケース4,4を介して取付く後車輪5,5とからな
り、車体フレーム2の上面には操縦座席6と操縦ハンド
ル7とを備え、車体フレーム2前部上面のエンジン8の
駆動力を、動力伝達部ケース9内の変速機構およびスイ
ングケース4,4を介して後車輪5を駆動する構成であ
る。
【0012】前記走行機体1の後部に平行リンク機構1
1を介して上下動自在に取付く苗植装置10は、中央伝
動ケース12と、この中央伝動ケース12の左右両側
に、伝動軸を内挿した連結パイプ12aを介して適宜間
隔で取付く植付伝動ケース14,14と、上端が走行機
体に近付くように傾斜配設する横往復動自在な苗載台1
5とからなり、左右両植付伝動ケース14の後部左右両
側には、苗載台15下端の苗取り出し口と圃場面17と
の間で植え付け爪が昇降する苗植付機構16が設けられ
ている。
【0013】また、平行リンク機構11を走行機体1側
の油圧シリンダ13にて大きく昇降駆動する。前記平行
リンク機構11は、トップリンク18と左右一対のロワ
ーリンク19,19とから成り、トップリンク18の基
端は車体フレーム2に立設する門型フレームにピン枢着
され、トップリンク18,ロワーリンク19,19の各
先端が取付く門型支柱20は、苗植装置10におけるヒ
ッチ部21のローリング軸22と回動自在に連結され
て、苗植装置10は、その下面のフロート10aが圃場
面を滑走するように、ローリング軸22を中心にして走
行機体1の左右に上下回動(ローリング)できる構成で
ある。
【0014】左右両植付伝動ケース14,14に突出す
るガイド部23,23に苗載台15の裏面下端のレール
24に摺動自在に被嵌する一方、苗載台15の裏面上部
側の案内レール25は前記左右両植付伝動ケース14,
14から突設した一対の支柱26,26上端のコロ部2
7,27にそれぞれ摺動自在に被嵌する。前記門型支柱
20に取付くブラケット28には、ローリング制御用ア
クチェータである横往復型の油圧シリンダ29を固定
し、該油圧シリンダ29における左右移動自在なピスト
ンロッド30の両端を前記左右一対の支柱26,26に
取付く連結杆32に自在継手部31を介して回動自在に
装着してある。
【0015】前記エンジン8からの動力は、主クラッチ
33を介して動力伝達部ケース9内の変速機構に伝達
し、後車輪5を駆動する一方、PTO軸34を介して苗
植装置10に伝達される。なお、符号35は主クラッチ
33のオンオフ用アクチェータ、36は走行変速用アク
チェータ、37は走行クラッチ用アクチェータである。
【0016】前記操縦ハンドル7に関連したステアリン
グギアボックス38から突出する前後揺動自在なアーム
39の回動にて操作できる制御弁40は、油圧回路41
における油圧シリンダ42を作動させるもので、この首
振り自在な油圧シリンダ42に連結したステアリング機
構43におけるステアリングアーム44は、回動支点4
5廻りに回動自在であり、該ステアリングアーム44に
連結する一対のタイロッド46,46にて前車輪3,3
の向きを変更して操向操作できる機構であり、油圧回路
41におけるもう一つの電磁ソレノイド制御弁47は自
動操向制御用であり、符号48は前記ローリング(水平
姿勢)制御用の電磁ソレノイド制御弁である。
【0017】また符号49は走行機体の操向角度を検出
するために前記回動支点45箇所に設けたポテンショメ
ータ等からなるステアリングセンサで、該ステアリング
センサ49の出力信号を、後述するマイクロコンピュー
タ等の電子制御式の制御手段69に入力する。
【0018】符号51は、苗植装置10等の作業機の圃
場面に対する左右傾斜角度を検出するため、苗植装置1
0の適宜箇所に設けた傾斜センサで、該傾斜センサ51
は、図6に示すように、ケース52内に軸53を中心に
回動自在な振子54付きの可動コイル55を設けると共
に、R0,R1,R2からなるブリッジ回路と、発光素
子であるLED1と、LED2、及び受光素子PT1,
PT2の左右一対のフオトカプラと外部電源Eとからな
る。
【0019】傾斜センサ51が水平状態では受光素子P
T1,PT2の受光量が等しくブリッジ回路はバランス
している。傾斜角度(θ1)傾斜すると、振子54は重
力方向(鉛直方向)になるように残り、光遮断板54a
にて一方の受光素子PT1の受光は遮断され、他方の受
光素子PT2は光を受けてONとなり、ブリッジ回路の
バランスが崩れて電流が可動コイル55に流れ、その電
流により可動コイル55に生じる回転トルクと振子54
の重量によるモーメントが平衡したところ(θ2)で当
該振子54が停止し、そのときの電流値(I)が出力信
号となり、これは傾斜角度(θ1)に比例するものであ
る(図6参照)。
【0020】図7に示す符号58は、音叉振動型の角速
度センサで、圧電バイモルフからなる駆動素子59とモ
ニタ素子60との底部を連結ブロック61で連結する一
方、前記駆動素子59とモニタ素子60とに、同じく圧
電バイモルフからなる検知素子62,63を各々直交結
合して音叉構造を形成したもので、駆動素子59にのみ
電圧を印加して振動させると、連結ブロック61を介し
てモニタ素子60が振動する。モニタ素子60の振動振
幅・位相をモニタすることで印加電圧を制御するという
振動帰還制御方式にて駆動振動の周波数の安定を図る。
【0021】そして、この安定状態で、角速度センサに
図7のセンサ軸64回りに角速度ωの回転運動がある
と、検知素子62,63の振動方向(X−X方向)と直
角の方向にコリオリの力Fcが生じる。このコリオリの力
により撓みを生じた駆動素子59とモニタ素子60側の
各々検知素子62,63からその撓みに応じた電圧を検
出できるから、これにより角速度を検出することができ
るのである。
【0022】符号65は、苗植装置10のローリング軸
22の近傍に設けた加速度センサで、苗植装置10がロ
ーリング軸22の軸心を中心に左右回動するときの加速
度を検出することができ、ケース内に薄い円板状のピエ
ゾプラスチックフイルムを振動子として装着してあり、
円周上を固定したダイヤフラム構造のため加速度方向の
垂直・水平成分の分離ができるものである。
【0023】図8は前記苗植装置10の左右ローリング
姿勢を示し、図9の(a),(b),(c)は、前記苗
植装置10が左右水平状態であるA点から左側のB点ま
で傾いた後、前記A点に復帰し、さらに該A点から右側
のD点まで傾く姿勢変動をする(苗植装置10がA点を
中心にして左右に振り子運動する)ときの、傾斜センサ
51、角速度センサ58、加速度センサ65の出力信号
の状態を示す。即ち、傾斜センサ51の出力信号は、図
9の(a)に示すように、横軸に時間を採り、縦軸に出
力信号を採る。このとき、苗植装置10が図8でA点か
らB点方向に左下り傾斜するとき、零点より上側の+の
値を採る。
【0024】図9の(b)に示すように、横軸に時間を
採り、角速度センサ58の出力信号(縦軸に採る)は、
反時計方向回動のときの角速度に対して正値、時計方向
回動のときに対して負値とする。図9の(c)に示すよ
うに、横軸に時間を採り、角加速度センサ65の出力信
号(縦軸に採る)は、時計方向回動時の増速で正勾配と
し、反時計方向回動時の増速で負勾配とする。
【0025】符号66、67、68は、前記各センサ5
1、58、65に対応させて設けた増幅回路付きのA/
D変換器である。図3に示す制御手段69は、8ビット
の1チップマイクロプロセッサ等からなるマイクロコン
ピュータであって、姿勢制御のためのファジィ推論等の
プログラム制御を実行するものであり、各種演算及びフ
ァジィ推論の演算を実行する中央処理装置(CPU)
と、初期値や制御プログラムを予め記憶する読み取り専
用メモリ(ROM)と、時間的に変化する入力信号等を
そのつど記憶し演算時に出す読み書き可能メモリ(RA
M)と、入出力部に接続するインターフェイス等を備え
ている。
【0026】インターフェイスの入力部には、前記各セ
ンサ51、58、65からの出力信号、および、走行ク
ラッチの切り替え作動に連動したクラッチスイッチ70
の信号を入力する。走行クラッチ用アクチェータ37の
操作に応じて作動するクラッチスイッチ70の出力信号
は、走行クラッチが切り(走行停止)のときONとな
り、走行クラッチが入り(走行中)は、OFF信号を出
す。
【0027】インターフェイスの出力部には、前記操舵
操作のための油圧シリンダ42を駆動する制御弁47の
電磁ソレノイド71,72のほか、ローリング制御のた
めの制御弁48に対する電磁ソレノイド73,74を接
続する。
【0028】次に、前記姿勢変動を検出する姿勢制御用
センサのうち角速度センサ58の零点を補正する、いわ
ゆる零点補償の制御装置とその調節方法について述べ
る。該零点補償制御装置は、前記マイクロコンピュータ
等の制御手段69を使用するものであり、マイクロコン
ピュータでのプログラムによる、ソフト的調節方法を採
用する。
【0029】図10は角速度センサ58の感度特性を示
し、前述したように、反時計方向回動のときの角速度
(°/s)に対して出力信号(V:電圧)を正値とし、
時計方向回動のときの角速度に対して出力信号が負値な
る直線的増加関数である。また、図11は、角速度セン
サ58の起動時間特性を示し、角速度センサ58への電
源投入からの時間経過(分)に応じて、角速度が零のと
きの当該角速度センサ58の出力信号値が零点からどの
程度ずれているかの状態を示す。
【0030】この図から理解できるように、電源投入の
初期段階では、被検出物(この場合苗植装置10)に角
速度が生じていないのに、出力信号値は有限値(零でな
い)を示し、時間経過に従って出力信号値は零点に近づ
く。図12はいわゆる温度ドリフト特性を示し、角速度
零状態での角速度センサ58の設置した箇所の環境温度
(℃)による当該角速度センサ58の出力信号値が零点
からどの程度ずれているかを示すものである。このセン
サでは、20℃近傍において出力信号値は零であり、温
度上昇につれて負値側にずれ、温度低下につれて正値側
にずれる。
【0031】このように、角速度センサの出力信号値が
零点からずれている状態のまま、姿勢制御を実行する
と、苗植装置の姿勢は正常であるのに、悪い方向に姿勢
制御されてしまい、制御の精度が低下する。この不都合
を解消するための零点補償の方式として本願は2種類採
用する。また、田植機等の農作業機においては、連続運
転状態はまれであり、作業動作(走行しながらの苗植作
業動作)の間に非作業動作(走行停止して苗マット継ぎ
足し作業する動作等)が入ることから、農作業機が中立
状態、例えば左右水平姿勢状態となることが度々あるこ
とに鑑み、この現象を利用して姿勢制御用センサの零点
補償を行うこと、および、この種の姿勢制御用センサの
出力信号値が正負の値を採りうるものであることを利用
して零点補償を実行する。
【0032】零点補償の制御方法の一つは、田植機が走
行していない状態では、苗植装置の姿勢が安定して左右
水平姿勢を採ることができること、つまりその状態では
角速度センサの出力信号値は本来的に零点に近づくであ
ろうことに鑑み、また、角速度センサの設置された環境
温度の変化が電源投入からの時間経過につれて生じるこ
とを考慮して、走行機体に設けた走行クラッチの入り切
り操作を検出するクラッチセンサ、又は、車速を検出す
る車速センサを設け、走行クラッチの切り時間帯、又は
走行停止時間帯に同期させて前記姿勢制御用センサであ
る角速度センサの検出値を複数回読み取り、その平均値
を零点とする演算を実行し、前記走行クラッチの操作ご
と又は走行停止ごとに、前記零点を更新するのである。
【0033】この零点補償の制御を図13(タイムチャ
ート)および図14と図15のフローチャートに従って
説明する。図13(a)は走行クラッチの入り(動力伝
達あり)と切り(動力伝達なし、)の状態を示し、図1
3(b)は 走行機体1の速度の変化を示す。また図1
3(c)は角速度センサ58の出力信号値を示す。これ
らの図において、横軸は時間経過である。
【0034】図13において、t0は走行クラッチを入り
から切りに切替え操作してから走行機体1が停止するま
での時間であり、t1は走行クラッチを切りに切り替え操
作してから角速度センサ58の出力信号値読み取り開始
までの待ち時間、t2は角速度センサ58の出力信号値読
み取り所要時間である。このt2時間内に前記角速度セン
サ58の出力信号値を複数回読み取る。例えば一回の出
力信号値読み取り所要時間であるサンプリング時間を6
ms程度とするとき、50回程度とし、t2時間を300 ms〜
500 ms程度とする。
【0035】そして、前記待ち時間t1が走行機体1の停
止までの時間t0より大きくなるように設定する。従っ
て、クラッチ操作により機体停止迄の時間t0が前記時間
t1より短い場合には、零点補償を実行しない(図13に
おけるt3の箇所参照)。
【0036】図14はメインフローチャートで、スター
トに続きステップS1でローリング制御の初期値設定や
前記のt0,t1,t2等の時間を判断するためのタイマーの初
期値設定をする(t←0)。次にステップS2で姿勢制
御を実行するための自動スイッチ75がONであるか否
かを判別し、自動スイッチ75がOFFであるときは
(S2:OFF)、手動スイッチ(図示せず)により作
業者が手動で姿勢の変更を行うことができる(ステップ
S3)。
【0037】ステップS2で自動スイッチ75がONの
とき、次いでステップS4で苗植装置10を作動させる
植付けスイッチ76のON・OFFを判別し、これがO
FFのときには、自動の姿勢制御を実行する必要はな
い。前記ステップS4でONと判断すると、とりあえ
ず、苗植装置10が静止状態での前記角速度センサ58
の初期出力信号値Voを零点として読み取り(ステップ
S5)、姿勢制御を実行しつつ苗植作業を行う(ステッ
プS6)。
【0038】なお、その後、作業者が苗植え作業の中断
や自動姿勢制御の中断を実行するため、植付けスイッチ
76や自動スイッチ75を切り替えることがある。植付
けスイッチ76をOFFにすれば(ステップS7)、苗
植え作業の中断であると判断し、苗植装置10が左右水
平状態となるように、油圧シリンダ29を作動させて強
制的に中央復帰させる(ステップS8)。
【0039】また、ステップS9で自動スイッチ75が
OFF(自動姿勢制御を停止)であると判断するとき、
次いでステップS10で走行クラッチ操作に連動するク
ラッチスイッチ70のON・OFFにて走行クラッチの
入り・切りを判断する。このステップS10でクラッチ
スイッチ70がOFF(走行中)であると判断すると、
前記ステップS2の前に戻る。クラッチスイッチ70が
ON(走行停止)であると判断する(例えば苗マット継
ぎ足し作業のための苗植作業中断等)と、後述する零点
補償のサブルーチンを実行(ステップS11)した後、
ステップS2の前に戻る。
【0040】前記ステップS7およびステップS9で、
植付けスイッチ76も自動スイッチ75もONの状態に
おいて、ステップS12でクラッチスイッチ70がON
(走行停止)であると判断すると、前記と同様に零点補
償のサブルーチンを実行する(ステップS13)。これ
は、例えば、苗植装置10を圃場に下ろした状態で一時
停止するような場合である。
【0041】次に図15に示す零点補償のサブルーチン
フローチャートについて説明すると、スタートに続くス
テップP1では、クラッチスイッチ70がON(走行停
止)からタイマーが作動し、時間tをカウント開始す
る。次いでステップP2で、前記タイマーの時間tがt0
(走行機体1の走行停止に要する時間)を越えたか否か
を判別する。越えていない(no)のときには、零点補償
を実行しないので、エンドとなる。
【0042】ステップP2でt>t0のときには、ステッ
プP3で、タイマーの時間tが時間t1(角速度センサ5
8の出力信号値読み取り開始までの待ち時間)を越えた
か否かを判別する。そして、t>t1のときには、角速度
センサ58の出力信号値読み取りを複数回実行すべく、
読み取り回数n(その初期値は0である)に「1」を加
えて(ステップP4)、角速度センサ58の出力信号値
Vnを読み取り(ステップP5)、読み取り回数nをカ
ウントする(ステップP6)。ついで、ステップP7に
て、時間tが時間t2( 角速度センサ58の出力信号値読
み取り所要時間)を経過したか否かを判別し、経過する
までステップP4からステップP6までを繰り返す。
【0043】ステップP7で、t>t2であると判断する
と(P7:yes )、前記複数回読み取った出力信号値V
nの平均値Vaを演算し、記憶させる(ステップP
8)。次に、ステップP9でクラッチスイッチ70がO
FFに切り替えられた(走行再開する)か否かを判別
し、走行再開すると判断したときには(P9:yes )、
前記演算された平均値Vaを古い平均値Vaと置き換え
る更新を実行する(ステップP10)。この更新された
新しい平均値Vaを、走行機体1の走行停止中における
苗植装置10の左右水平状態時における角速度センサ5
8の出力信号値(零点)であるとする、零点補償を実行
するのである(ステップP11)。
【0044】このようにすれば、苗植装置10が左右水
平姿勢をとることが自然である、走行機体1の走行停止
状態における、角速度センサ58の複数回の出力信号値
の平均値を採用することで、その零点を正確に検出でき
る。また、田植機の走行停止ごとに前記平均値を更新す
るので、田植機を朝から夕方まで使用する時のように、
温度変化により零点がずれた場合にも、その都度、零点
補償が自動的に実行できるから、姿勢制御の精度が一段
と向上する。
【0045】なお、前記実施例において、走行機体1の
走行停止状態と走行状態を判別する手段としてクラッチ
スイッチ70を利用したが、これに代えて、車速センサ
の検出値を利用しても良い。
【0046】零点補償を実行する他の方式は、苗植装置
の左右ローリングの変動速度程度を検出するためには、
これに装着する角速度センサの出力信号値は、前述した
ように、苗植装置の時計方向回動時と反時計方向回動時
とで、正負反対の値を採るものであることが必要である
一方、ローリングする苗植装置が安定状態になるには、
左右往復揺動することが多いことに鑑みて、角速度セン
サの作動中であっても、複数回の検出値の平均値を採る
ものである。このようにすると、その平均値は本来的な
零点に極めて近いものとなる。
【0047】この実施例としては、苗植え作業を実行中
に前記角速度センサ58の出力信号値Vnを複数回検出
(サンプリング)・記憶し、その平均値を演算して、そ
の平均値を零点とみなすものである。角速度センサ58
の出力信号の一回当たりのサンプリング所要時間は略6
ms(ミリ秒) 、苗植装置10が左右に揺れる振幅時間
は、苗植作業速度や圃場の土の硬質、軟質等により相違
するが、300ms 〜800ms 程度であるから、前記平均値を
とるのに必要なサンプリング所要時間を約10秒程度とす
ることで、苗植装置が複数回の左右往復揺動するときの
出力信号値(正負の値)を多数サンプリングできる。従
って、零点補償の精度が向上する。
【0048】なお、日中において、気温の変化の早さ、
ひいては温度ドリフトで零点が変動する早さ、換言する
と、零点補償に影響する程の温度変化に要する時間は、
前記10秒よりはるかに長いと考えられるので、これより
長い時間間隔例えば30秒〜1分程度ごとに前記演算さ
れた平均値を更新することで、時間経過に伴う環境の温
度変化での温度ドリフトにも対処することができる。
【0049】前記実施例では、いずれも苗植装置10に
搭載された角速度センサ58について説明したが、傾斜
センサ51や、加速度センサ65についても同様に姿勢
の変動に応じて正負の値を採り得るから、零点補償を実
行することができるのは言うまでもない。さらに、前記
傾斜センサ、角速度センサ及び加速度センサを使用し
て、苗植装置の前後回動姿勢の変動を検出して、ピッチ
ング姿勢制御を実行する場合にも適用できる。このよう
にローリング姿勢制御やピッチング姿勢制御において、
傾斜センサと角速度センサと加速度センサの検出結果を
用いてファジィ推論を適用し、苗植装置と走行機体との
間に装架した姿勢修正駆動手段のアクチェータを作動さ
せる制御を実行する場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用型田植機の側面図である。
【図2】乗用型田植機の平面図である。
【図3】苗植装置と走行機体との連結部の要部側面図で
ある。
【図4】制御装置のブロック図と油圧回路を含む作用説
明図である。
【図5】図3のV−V視図である。
【図6】傾斜センサのブロック図である。
【図7】角速度センサの斜視図である。
【図8】苗植装置のローリング状態を示す説明図であ
る。
【図9】(a)は左右の傾斜角度の変動状態を示す図、
(b)は角速度の変動状態を示す図、(c)は加速度の
変動状態を示す図である。
【図10】角速度センサの感度特性を示す図である。
【図11】角速度センサの電源投入後の零点変動を示す
図である。
【図12】角速度センサの温度ドリフト特性を示す図で
ある。
【図13】タイムチャートである。
【図14】メインフローチャートである。
【図15】サブルーチンフローチャートである。
【符号の説明】
1 走行機体 3,5 車輪 10 苗植装置 15 苗載台 16 植付機構 11 リンク機構 22 ローリング軸 51 傾斜センサ 58 角速度センサ 65 加速度センサ 69 制御手段 70 クラッチスイッチ 75 自動スイッチ 76 植付スイッチ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 農作業機の姿勢変動を検出するための、
    角速度センサ、加速度センサ等の姿勢制御用センサと、
    該姿勢制御用センサの検出値に応じてアクチェータにて
    前記作業機の姿勢制御を実行する姿勢制御手段とを備え
    た制御装置において、走行クラッチの入り切り操作を検
    出するクラッチスイッチ、又は車速を検出する車速セン
    サを設け、走行クラッチの切り操作から適宜時間後、又
    は農作業機が走行停止した状態に同期させて、前記姿勢
    制御用センサの検出値を複数回読取り、その平均値を零
    点とする演算を実行し、前記走行クラッチの操作毎又は
    走行停止毎に、前記零点を更新する制御手段を設けたこ
    とを特徴とする農作業機における姿勢制御用センサ零点
    補償制御装置。
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