JP2919441B2 - 農作業機における左右姿勢制御装置 - Google Patents

農作業機における左右姿勢制御装置

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JP2919441B2
JP2919441B2 JP28042697A JP28042697A JP2919441B2 JP 2919441 B2 JP2919441 B2 JP 2919441B2 JP 28042697 A JP28042697 A JP 28042697A JP 28042697 A JP28042697 A JP 28042697A JP 2919441 B2 JP2919441 B2 JP 2919441B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圃場に苗を植付け
する田植機等の農作業機における苗植装置等の作業機の
左右水平姿勢を保持したり、走行駆動装置に対して上下
動可能な走行機体の左右水平姿勢を保持するための自動
水平姿勢制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、乗用型田植機により圃場に苗
を植付ける場合、走行機体の前部または後部に苗植装置
を左右回動及び上下動可能に装着し、苗植装置には、そ
の進行方向左右に適宜間隔で植付機構を設け、田植機の
進行につれて上下回動する植付機構にて苗植装置におけ
る苗載台の苗マットを適宜株数ごとに分割しながら圃場
面に植付けるように構成することは、例えば、先行技術
の実開昭62−104616号公報や実開平1−109
912号公報に開示されており、この実開平1−109
912号公報では、苗植装置の左右水平姿勢を保持する
検出手段として、ビデオカメラによる画像情報と、傾斜
センサの検出結果とを利用することが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記先
行技術においては、撮像手段は、いわゆるビデオカメラ
のごとく撮像画面が縦横の拡がりを持つ二次元的な平面
を有するものであり、前記の画像情報のデータ数が膨大
でその為の記憶部の容量を大きくしなければならず、自
動制御に必要な所定のデータを得るための画像処理の演
算が複雑である一方、車両搭載用の容量の小さいコンピ
ュータでは演算速度が遅くなり、前記演算結果から姿勢
制御までの時間が掛かり過ぎるという問題があった。
【0004】また、傾斜センサによる作業機の左右傾斜
角度の検出には、次のような問題があった。例えば、走
行機体に苗植装置をヒンジ部箇所で回動自在に連結され
ていたとする。そして、水平状態であった苗植装置が右
下向きに傾いた場合、その傾斜開始の瞬間における瞬間
中心は圃場面より遙かに下方位置にあると推定される。
【0005】この場合、前記傾斜開始の短時間において
は、苗植装置が右下向きに移動する量(垂直移動成分)
よりも右方向に移動する量(右向き水平移動成分)のほ
うが大きい。しかも静止状態から移動開始するので、そ
の移動方向の加速度(加速変動率)が大きい。また、傾
斜センサは、一般に、常時重力方向(垂直方向)に向か
う性質を有する振り子に対して、被検査物(この場合は
苗植装置)の左右傾斜との角度変化を検出するように構
成したものであり、振り子自体の慣性力(静止にある物
体はその状態を保持しようとする性質)のため、苗植装
置が右方向に移動しはじめるときには、振り子は相対的
に左側に取り残されることになる。
【0006】従って、図17に示すように、実際の作業
機の傾斜角度θ′を実線で示したとき(Toは傾斜角度
変動区間である)、点線で示す傾斜センサでの出力θ
は、作業機の傾斜開始の初期において、その傾斜方向と
逆方向の出力値を示し、次いで作業機の傾斜方向の出力
値を示すというように、逆出力区間(T1)を有するこ
とと、出力の時間遅れが生じるので、作業機の傾斜を迅
速に検出するという応答性に欠けるのであった。
【0007】他方、前記図17の一点鎖線に示すよう
に、作業機等の被検出体の左右回動時の速度または角速
度を検出する速度センサでは、その出力Vが、作業機等
の被検出体の傾斜開始の初期での傾斜移動速度の値(大
きさ)とその移動(傾斜)方向とを、応答性良好の状態
で検出できる利点がある。しかしながら、複数のセンサ
の検出結果に基づいて作業機の作業機傾斜姿勢を修正す
るための指示量を正確に演算することは、演算方式が複
雑になり、また演算時間も長くなって、姿勢修正の制御
を迅速にできないという問題があった。
【0008】本発明は、ファジィ推論によれば、検出精
度が荒くても、つまり曖昧な入力であっても実用的な精
度の制御出力を迅速に得られることを利用して前記問題
を解消することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明の農作業機における左右姿勢
制御装置は、走行機体に作業機を左右回動可能及び上下
動可能に装着し、走行機体と作業機との間に介在させた
アクチェータにて前記作業機を左右水平状態に保持する
制御を実行するように構成して成る農作業機において、
前記作業機には、その左右傾斜角度を検出する傾斜セン
サを設ける一方、走行機体にはその左右回動時の速度ま
たは角速度を検出するための速度センサもしくは加速度
センサを設け、前記傾斜センサの出力と速度センサもし
くは加速度センサの出力とのデータの組からファジィ推
論により作業機の左右傾斜姿勢修正指示量を決定する制
御手段を設けたものである。
【0010】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の農作業機における左右姿勢制御装置において、
前記作業機を走行機体の進行方向後方に連結したもので
ある。
【0011】
【発明の効果】傾斜センサは作業機等の被検出体の傾斜
角度の絶対値を知ることができるが、その傾斜開始の初
期区間で、逆出力区間を有することと、出力の時間遅れ
が生じる欠点がある。他方、作業機等の被検出体の左右
回動時の速度または角速度を検出する速度センサでは、
作業機等の被検出体の傾斜開始の初期での傾斜移動速度
の値(大きさ)とその移動(傾斜)方向とを応答性良く
検出できるが、被検出体の傾斜角度の絶対値を知ること
ができないという欠点がある。
【0012】そこで本発明は、この両センサの検出結果
を利用する。つまり、作業機の傾斜開始の初期区間で
は、走行機体に備えた速度センサもしくは加速度センサ
の検出結果から、走行機体が傾斜する速度の緩急とその
方向を迅速に感知する一方、作業機に備えた傾斜センサ
の検出結果により、作業機の実際の傾斜角度を検出する
というようにして、その両者の欠点を相互に補って、作
業機の姿勢制御を応答性良く、且つ正確に実行すること
ができるのである。
【0013】例えば、田植機においては走行機体は耕盤
上を走行し、作業機である苗植装置は耕盤より上の泥面
を滑走しているものであり、耕盤の凹凸により、作業機
に傾く走行機体の影響を受けて、苗植装置も左右に傾動
する。また、トラクタに耕耘装置を連結している場合
も、地面の凹凸の影響を受けて耕耘装置も左右に傾動す
るのであるから、前述のように、作業機の傾斜角度に加
えて走行機体の傾斜速度を考慮し、しかも、制御手段で
は、前記傾斜センサの出力と速度センサもしくは加速度
センサの出力とのデータの組からファジィ推論により作
業機の左右傾斜姿勢修正指示量を決定する制御を実行す
るのであるから、苗植装置等の作業機の左右傾斜等の状
況や状態(左右傾斜姿勢の変化の緩急、及びその変化量
(傾斜量))を正確且つ迅速に把握でき、これらの状況
や状態に適した修正量をきめ細かく且つ迅速に演算する
ことができ、迅速で且つ円滑な(ぎくしゃくしない)動
きの姿勢制御を実現させることができ、制御精度が向上
して円滑な制御を実現できる効果を有するのである。
【0014】そして、請求項2に記載の発明のように、
走行する走行機体の後側に作業機を連結しているときに
は、作業機より前方を走る走行機体の左右方向の傾動速
度の結果を考慮することができるから、姿勢制御すべき
作業機をアクチュエータの作動により制御するときの姿
勢修正の制御を一層迅速、且つ正確に実行できるという
効果を奏する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下田植機に適用した実施例につ
いて説明すると、図において1は走行機体を示し、該走
行機体1は、車体フレーム2とその前部側に取付く前車
輪3,3と後部側に上下回動自在なスイングケース4,
4を介して取付く後車輪5,5とからなり、車体フレー
ム2の上面には操縦座席6と操縦ハンドル7とを備え、
車体フレーム2前部上面のエンジン8の駆動力を、動力
伝達部ケース9内の変速機構およびスイングケース4,
4を介して後車輪5を駆動する構成である。
【0016】前記走行機体1の後部に平行リンク機構1
1を介して上下動自在に取付く苗植装置10は、中央伝
動ケース12と、この中央伝動ケース12の左右両側
に、伝動軸を内挿した連結パイプ12aを介して適宜間
隔で取付く植付伝動ケース14,14と、上端が走行機
体に近付くように傾斜配設する横往復動自在な苗載台1
5とからなり、左右両植付伝動ケース14の後部左右両
側には、苗載台15下端の苗取り出し口と圃場面17と
の間で植え付け爪が昇降する苗植付機構16が設けられ
ている。
【0017】また、平行リンク機構11を走行機体1側
の油圧シリンダ13にて大きく昇降駆動する。前記平行
リンク機構11は、トップリンク18と左右一対のロワ
ーリンク19,19とから成り、トップリンク18の基
端は車体フレーム2に立設する門型フレームにピン枢着
され、トップリンク18,ロワーリンク19,19の各
先端が取付く門型支柱20は、苗植装置10におけるヒ
ッチ部21のローリング軸22と回動自在に連結され
て、苗植装置10は、その下面のフロート10aが圃場
面を滑走するように、ローリング軸22を中心にして走
行機体1の左右に上下回動(ローリング)できる構成で
ある。
【0018】左右両植付伝動ケース14,14に突出す
るガイド部23,23に苗載台15の裏面下端のレール
24に摺動自在に被嵌する一方、苗載台15の裏面上部
側の案内レール25は前記左右両植付伝動ケース14,
14から突設した一対の支柱26,26上端のコロ部2
7,27にそれぞれ摺動自在に被嵌する。前記門型支柱
20に取付くブラケット28には、ローリング制御用ア
クチェータである横往復型の油圧シリンダ29を固定
し、該油圧シリンダ29における左右移動自在なピスト
ンロッド30の両端を前記左右一対の支柱26,26に
取付く連結杆32に自在継手部31を介して回動自在に
装着してある。
【0019】前記エンジン8からの動力は、クラッチ3
3を介して動力伝達部ケース9内の変速機構に伝達し、
後車輪5を駆動する一方、PTO軸34を介して苗植装
置10に伝達される。なお、符号35はクラッチ33の
オンオフ用アクチェータ、36は走行変速用アクチェー
タ、37はPTO軸変速用アクチェータである。
【0020】前記操縦ハンドル7に関連したステアリン
グギアボックス38から突出する前後揺動自在なアーム
39の回動にて操作できる制御弁40は、油圧回路41
における油圧シリンダ42を作動させるもので、この首
振り自在な油圧シリンダ42に連結したステアリング機
構43におけるステアリングアーム44は、回動支点4
5廻りに回動自在であり、該ステアリングアーム44に
連結する一対のタイロッド46,46にて前車輪3,3
の向きを変更して操向操作できる機構であり、油圧回路
41におけるもう一つの電磁ソレノイド制御弁47は自
動操向制御用であり、符号48は前記ローリング(水平
姿勢)制御用の電磁ソレノイド制御弁である。
【0021】また符号49は走行機体の操向角度を検出
するために前記回動支点45箇所に設けたポテンショメ
ータ等からなるステアリングセンサで、該ステアリング
センサ49の出力信号を、後述するマイクロコンピュー
タ等の電子制御式の制御手段50に入力する。符号51
は、苗植装置10等の作業機の圃場面に対する左右傾斜
角度を検出するため、苗植装置10の適宜箇所に設けた
傾斜センサで、該傾斜センサ51は、図6に示すよう
に、ケース52内に軸53を中心に回動自在な振子54
付きの可動コイル55を設けると共に、R0,R1,R
2からなるブリッジ回路と、発光素子であるLED1
と、LED2、及び受光素子PT1,PT2の左右一対
のフオトカプラと外部電源Eとからなる。
【0022】傾斜センサ51が水平状態では、受光素子
PT1,PT2の受光量が等しく、ブリッジ回路はバラ
ンスしている。傾斜角度(θ1)傾斜すると、振子54
は重力方向(鉛直方向)になるように残り、光遮断板5
4aにて一方の受光素子PT1の受光は遮断され、他方
の受光素子PT2は光を受けてONとなり、ブリッジ回
路のバランスが崩れて、電流が可動コイル55に流れ、
その電流により可動コイル55に生じる回転トルクと振
子54の重量によるモーメントが平衡したところ(θ
2)で当該振子54が停止し、そのときの電流値(I)
が出力信号となる。これ(電流値(I))は傾斜角度
(θ1)に比例するものである(図6参照)。符号58
は増幅回路付きのA/D変換器である。
【0023】符号56は、苗植装置10のローリング軸
22の近傍に設けた速度センサで、苗植装置10がロー
リング軸22の軸心を中心に左右回動するときの角速度
を検出するものである。実施例では、速度センサ56と
して、ケース内に薄い円板状のピエゾプラスチックフイ
ルムを振動子として装着してあり、円周上を固定したダ
イヤフラム構造のため、加速度方向の垂直・水平成分の
分離ができる加速度センサを利用し、制御手段50の積
分回路で、検出値である加速度を適宜微小時間間隔ごと
に積分することより、その時々の角速度を求めるもので
ある。
【0024】符号57は加速度センサ56の出力部に接
続するインピーダンス変換器付きA/D変換器である。
制御手段50は、8ビットの1チップマイクロプロセッ
サ等からなるマイクロコンピュータによるファジィ推論
のプログラム制御を実行するものであり、各種演算及び
ファジィ推論(以下に説明する)の演算を実行する中央
処理装置(CPU)と、初期値や制御プログラムを予め
記憶する読み取り専用メモリ(ROM)と、時間的に変
化する入力信号等をそのつど記憶し演算時に出す読み書
き可能メモリ(RAM)と、入出力部に接続するインタ
ーフェイス等を備えている。
【0025】第1実施例では、いずれも苗植装置10に
搭載された傾斜センサ51の検出結果である傾斜角度θ
と、速度センサ56の検出結果である角速度Vを入力と
し、この苗植装置10の傾斜角度の大きさと角速度の大
きさに応じて制御手段50にて、苗植装置10の左右傾
斜を修正して略水平状に姿勢保持するように制御する修
正量Sの信号を出力し、この信号にて前記姿勢制御用油
圧シリンダ29に対する制御弁48の電磁ソレノイドの
駆動回路59を作動させるのである。
【0026】なお、このとき、角速度(速度)の大きさ
及び方向は前記速度センサ56の出力にて判別できるか
ら、その角速度(速度)を打ち消す方向で且つ早さでア
クチェータ(油圧シリンダ)29を作動させるのが好ま
しいが、後述のファジィ推論によるときには、アクチェ
ータ29の作動方向及び早さは、実験結果等からもっと
も好ましいファジィ規則を作成し、それに従って実行す
る。
【0027】その制御フローを図7及び図8に示すフロ
ーチャートに従って説明すると、図7は、メインフロー
チャートで、スタートに続くステップ701 で、ファジィ
制御関係及びタイマを初期化する初期設定を実行し、ス
テップ702 で姿勢制御の自動化を実行する自動スイッチ
のON・OFFを判別し、OFFのときにはステップ70
3 で手動操作レバーにより、姿勢制御を実行する。この
ときの油圧シリンダ29のピストンロッドの移動速度は
略20mm/秒である。
【0028】自動スイッチがONのときには、ステップ
704 で植付け作業スイッチのON・OFFを判別し、O
FFの場合には、ステップ702 の前に戻す。植付け作業
スイッチがONのときには、略1秒後に後述のファジィ
制御を実行する(ステップ705)。またファジィ制御の実
行後に植付け作業スイッチがOFFになれば(ステップ
706)、OFF後略0.5 秒後に苗植装置10におけるフロ
ート10aを圃場面から離れるように上昇させその左右
が水平となるように油圧シリンダ29を中央復帰させる
(ステップ707)。このときの油圧シリンダ29のピスト
ンロッドの移動速度は略20mm/秒である。
【0029】前記ステップ706 で植付け作業スイッチが
ONと判断されるときには、ステップ708 で自動スイッ
チのON・OFFを判別し、ONであれば、ステップ70
5 の前に戻り、OFFのときにはステップ702 の前に戻
す。図8に示すファジィ制御のサブルーチンフローチャ
ートのスタートに続き、傾斜角度θと角速度Vとの検出
値を読み込む(ステップ801)。
【0030】ステップ802 では前記検出値θ,Vの具体
値を−5から+5までの整数による11区分に割り当て
る(領域化する)。例えば傾斜角度θを示す場合、負号
(−)を左下り傾斜とし、正号(+)は右下り傾斜とす
ると、θが−1度〜+1度の範囲を「0」の範囲とし、
以下3度づつの区分で−16度から+16度までの値を
合計11区分とし、〔−5,−4,−3,−2,−1,
0,1,2,3,4,5〕とする(図10及び図11参
照)。
【0031】ステップ802 では、θ,V共に、−5から
+5までの領域の値に対するメンバーシップ関数の重み
を、読み取り専用メモリ(ROM)から読み出したデー
タから求める。次いで、ステップ803 では、ファジィ推
論によるファジィ規則にあてはめる。さらに、ステップ
804 で苗植装置の姿勢制御のための修正量Sのメンバー
シップ関数の表を参照して、MAX-MINI法の演算を実行
し、ステップ805 で修正指示量SOを重心法で求め、ステ
ップ806 で前記指示量SOに対応してアクチェータである
油圧シリンダ29への電磁ソレノイドへの出力信号を出
して、苗植装置10の左右姿勢を略水平となるよう、油
圧シリンダ29のピストンロッドの出没量が規定制御す
るのであり、このとき、好ましくはその出没速度も制御
すれば、ゆっくりまたは素早く苗植装置10が左右水平
に復元するのである。
【0032】次にファジィ(Fuzzy )推論を応用したフ
ァジィ制御について説明する。一般に、制御アルゴリズ
ムを、制御のための複数の情報の入力変数例えば、2つ
の入力変数(x, y)と制御機器への出力(操作量)z
のあいまいな関係として記述するものである。例えば、
もしxが小さく、yが大きいならば、zは中にする。
【0033】もしxが大きく、yが中ならば、zは大き
くする。のように、制御アルゴリズムは(もし‥‥であ
れば、‥‥にせよ)(if-then )形式のファジィ規則と
呼ばれるもので表現される。規則のif‥‥の部分を前件
部(入力部)、then‥‥の部分を後件部(出力部)と呼
ぶ。
【0034】今、このファジィ規則を、姿勢制御に応用
するにあたり、本実施例では、図9に示す17通りの規
則にて表現する。このとき、傾斜角度θと角速度Vとを
前件部とし、修正量Sを後件部とする。また、入力変数
θ、V及び出力変数Sが各々取るファジィ変数を、整数
の領域に離散化した離散型ファジィ変数で示すことと
し、図10から図12までに示す。これらのファジィ変
数はラベルとしての「大きく右」、「小さく右」、
「0」、「小さく左」、「大きく左」の5種類とする。
【0035】そして、これらのあいまいな領域であるフ
ァジィ変数の領域は、入力変数の全体集合の要素(メン
バー)が領域(変域)に含まれる程度(グレード)を与
えることにより定義するものであり、このグレードを与
える関数をメンバーシップ関数という。例えば、θのフ
ァジィ変数の領域は、傾斜角度θの全体集合の要素(メ
ンバー)が領域(変域)に含まれる程度(グレード)を
与えることにより定義される。実施例では、各変域にお
けるグレードは0から10までの整数で表す。
【0036】さらに説明すれば、例えば、傾斜角度θに
おいて、ファジィ変数が「小さく右」であるというの
は、「−1から+5まで」の領域において、グレードが
「3,5,8,10,8,5,3」を持つメンバーシッ
プ関数で表現する。そして、ファジー制御における推論
法は次のようにする。例えば、θとVとの2入力の組の
前件部(規則No. 1から17まで)に対する出力S(後
件部)の場合を考える。
【0037】まず、各々の入力θの前件部の値に対応す
るメンバーシップ関数の図表(図10)から、メンバー
シップ関数A(θi )を求め、入力の前件部の値に対
応するメンバーシップ関数の図表(図11)からメンバ
ーシップ関数A(Vi)の値を求める。各入力θ,Vの領
域に対するラベルは複数取りうることが分かるから、そ
のラベルの組合せのうち、(規則No. 1から17までの
うち)i番目の規則におけるメンバーシップ関数A(θ
i )とA(Vi)の値を前記図9から求め、その入力θ
i、Viとの組による適合度ωi =A(θi )*A (V
i) を求める。ここで、*はmini(ファジィ集合におけ
る交わり、以下同じ)の記号である。
【0038】そして、i番目の規則に対応する推論結果
を図12から求め、そのメンバーシップ関数B(si)か
ら適合度wiB(si)=ωi *B(si)を求める。次に、
前記と同様に、入力θ、Vの前件部の値に対応するj番
目の規則におけるメンバーシップ関数A(θj )とA
(Vj)の値を前記図10、図11から求め、その適合度
ωj =A(θj )*A(Vj)を求める。
【0039】次に、j番目の規則に対応する推論結果を
図9から求め、そのメンバーシップ関数B(sj)から適
合度wjB(sj)=ωj *B(sj)を求める(図12参
照)。この複数の後件部が、例えばi番目、j番目、k
番目、l番目の4通りの場合には、この4つの規則によ
る全体の推論結果s0は、wiB(si), wjB(sj),wk
B(sk),wlB(si)とから、B*=wiB(si)∪wjB(s
j)∪wkB(sk)∪wlB(sl) を作り( ∪は和集合の記
号)、また、B*のメンバーシップ関数の重心として求
めるのである。
【0040】このとき、後述するようなMAX.MINIMUM 法
を用いると、良い結果が得られることが分かった。この
制御を実際の数値の実施例で示すと、今、傾斜角度θと
角速度Vとを検出し、θの領域「0」、Vの領域が「−
3」であるとする。まず、図10から、領域「0」にお
ける縦枠をみると、ラベルとして「小さく右」における
「5」と、「0」における「10」と、「小さく左」に
おける「5」とに跨っているので、この3つのファジィ
変数のラベルを取り得ることが判る。
【0041】角速度Vについては、図11の領域「−
3」の区分に該当する縦枠部分を見ると、ラベル「0」
における「3」と「小さく左」における「8」と、「大
きく左」における「5」とに跨っているので、この三つ
のファジィ変数を採用できる可能性が有り得る。しかし
て、θととのデータの組によるファジィの規則は、図
9から探し出せば、規則No. 1、3、4、5、6、9、
11、17の8つの規則が対応する(注:θが「小さく
右(下り)」でVが「大きく左(下り)」の組合せの規
則はない)。
【0042】前記の8つの規則に対応する後件部Sのラ
ベルは各々「0(中立)」、「小さく上げ」、「小さ
上げ」、「小さく左上げ」、「0」、「小さく左上
げ」、「大きく左上げ」、「大きく左上げ」になること
が判る。これらのメンバーシップ関数を、前記図9〜図
12を参照して、ファジィ規則No. 1については、図1
3(a)、図13(b)及び図13(c)に示し、No.
のファジィ規則については図14(a)、図14
(b)及び図14(c)に示し、No. 4のファジィ規則
については、図15(a)、図15(b)及び図15
(c)に示す。他のファジィ規則も同様にして求められ
るので、図解は省略する。
【0043】この場合、例えば、No. 1のファジィ規則
については、θとの各々のωi の値を比較すると、θ
に関しては「0」の箇所の値が「10」であり、Vに関
しては「−3」の箇所の値が「3」であり、この「3」
が最小値であるので、この最小値を採用し、修正量Sの
適合度ωi は、図13(c)のように高さ「3」より下
の部分である太線で囲まれた領域となる。
【0044】同様に、No. 3、4の規則における各後件
部Sにおけるメンバーシップ関数は、図14(c)、図
15(c)にそれぞれ示す太線で囲まれた領域となる。
同様にして、他のNo. 5、6、9、11、17の規則に
ついても、θとVの各々のωの値を比較して最小の側を
採用し、これらから各後件部Sにおけるメンバーシップ
関数の領域を求める。
【0045】次いで、前記8つ規則による全体の推論結
果の修正指示量S0は、前記各後件部Sにおけるメンバー
シップ関数の最小の領域の和集合を求め( これをMAX.MI
NIMUM 法という) 、8つのSのメンバーシップ関数を重
ねたときの最外側の区域で囲まれた面積部分の重心とし
て求め( これを重心法という)、その左右方向の座標位
置を修正指示量とする(図16参照)。このとき、重複
する面積部分を加算しない。
【0046】この実施例では、修正指示量S0は略1.07と
なる。この数値に応じて、中央制御装置50から駆動回
路60に出力信号を出し、制御弁48の電磁ソレノイド
を作動させ、ローリング制御用のアクチェータである油
圧シリンダ29を作動させて、苗植装置10が左右水平
姿勢となるように修正するのである。
【0047】また、前記各ファジィ推論におけるメンバ
ーシップ関数は、前述の「離散型(段階型)」に代え
て、ファジィ理論で良く知られた「釣鐘型」や「三角
型」を採用しても良いのである。このように、傾斜角度
と傾斜速度とを前件部(入力部)とし、苗植装置等の作
業機左右傾斜の修正量を後件部(出力部)とするファジ
ィ制御を実行すると、従来の通常の傾斜角度と加速度と
場合により傾斜速度を考慮した数値制御(入力の検出値
を変数とする数式の関数を使用した制御)に比べて、曖
昧さを有するが故に精密さは欠けるが、迅速で且つ円滑
な(ぎくしゃくしない)動きの制御を実現させることが
できるのである。
【0048】なお、図18は作業機である苗植装置の実
際の左右傾斜角度θ′と速度センサ56による出力Vと
の関係を示す図であり、縦軸の上方向は右向き傾斜、縦
軸の下方向は左向き傾斜の状態を示す。走行機体1に速
度センサを設け、苗植装置10に傾斜センサを設けれ
ば、姿勢制御中の苗植装置の動き(角速度)を速度セン
サで拾うことがないので、誤動作したり制御中のハンチ
ング現象をなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用型田植機の平面図である。
【図2】乗用型田植機の側面図である。
【図3】苗植装置と走行機体との連結部の要部側面図で
ある。
【図4】制御装置のブロック図と油圧回路を含む作用説
明図である。
【図5】図3のV−V線矢視図である。
【図6】傾斜センサのブロック図である。
【図7】メインフローチャートである。
【図8】サブルーチンフローチャートである。
【図9】ファジィ規則の図である。
【図10】傾斜角度θのメンバーシップ関数を示す図で
ある。
【図11】角速度Vのメンバーシップ関数を示す図であ
る。
【図12】修正量Sのメンバーシップ関数を示す図であ
る。
【図13】(a)と(b)と(c)はそれぞれファジィ
規則No. 1の場合のメンバーシップ関数の図である。
【図14】(a)と(b)と(c)はそれぞれファジィ
規則No. 3の場合のメンバーシップ関数の図である。
【図15】(a)と(b)と(c)はそれぞれファジィ
規則No. 4の場合のメンバーシップ関数の図である。
【図16】MAX.MINIMUM 法と面積重心法の説明図であ
る。
【図17】実際の傾斜角度と傾斜センサ出力と速度セン
サ出力との関係を示す図である。
【図18】実際の傾斜角度と速度センサ出力との関係を
示す図である。
【符号の説明】
1 走行機体 3,5 車輪 10 苗植装置 11 リンク機構 15 苗載台 16 植付機構 22 ローリング軸 29 油圧シリンダ 48 制御弁 60 駆動回路 50 制御手段 51 傾斜センサ 56 速度センサ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走行機体に作業機を左右回動可能及び上
    下動可能に装着し、走行機体と作業機との間に介在させ
    たアクチェータにて前記作業機を左右水平状態に保持す
    る制御を実行するように構成して成る農作業機におい
    て、前記作業機には、その左右傾斜角度を検出する傾斜
    センサを設ける一方、走行機体にはその左右回動時の速
    度または角速度を検出するための速度センサもしくは加
    速度センサを設け、前記傾斜センサの出力と速度センサ
    もしくは加速度センサの出力とのデータの組からファジ
    ィ推論により作業機の左右傾斜姿勢修正指示量を決定す
    る制御手段を設けたことを特徴とする農作業機における
    水平姿勢制御装置。
  2. 【請求項2】 前記作業機を走行機体の進行方向後方に
    連結したことを特徴とする請求項1に記載の農作業機に
    おける左右姿勢制御装置。
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