JPH101766A - 耐食性及び耐傷付き性に優れた溶射皮膜 - Google Patents
耐食性及び耐傷付き性に優れた溶射皮膜Info
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Abstract
等)に良好な特性を付与するために、その表面を被覆す
る溶射皮膜に関し、特に耐食性及び耐傷付き性に優れた
溶射皮膜を提供するものである。 【解決手段】 (1)Mgを0.3〜15%含有し、残
部がZnよりなることを特徴とするZn−Mg合金の溶
射皮膜。(2)Mgを0.3〜15%及びAlを5%以
下含有し、残部が亜鉛よりなることを特徴とするZn−
Mg−Al合金の溶射皮膜。
Description
鋼構造物、鋳物等)に良好な特性を付与するために、そ
の表面を被覆する溶射皮膜に関し、特に耐食性及び耐傷
付き性に優れた溶射皮膜を提供するものである。
等)に耐食性を付与する方法として、これら物品の表面
に、耐食性金属、例えば亜鉛又は亜鉛−アルミニウム合
金又はアルミニウムを溶射により被覆する方法が知られ
ている。亜鉛溶射及びアルミニウム溶射においては、そ
れぞれの純度が99.9%、99.7%以上の材料を用
いて、皮膜中の空孔を少なくし、耐食性の劣化を防止し
ている。また、亜鉛−アルミニウム合金溶射において
は、重量比率が87:13ないし72:28で構成され
た合金皮膜を被覆している。
溶射皮膜を設けた物品(特に鋼、鋼構造物等)の耐食性
は、十分でなく、特に近年の酸性雨等による環境の悪化
に伴い、当初予測されていた寿命ほどの耐食性が確保で
きないとの問題がある。また、アルミニウム溶射皮膜
は、犠牲防食作用が亜鉛に比べて劣るため、加工時に僅
かな傷が入ることにより、早期に部分的に赤錆が発生
し、外観及び性能を損なうとの欠点がある。また、亜鉛
−アルミニウム合金溶射においては、皮膜の溶出を抑
え、且つ犠牲防食効果を持つ皮膜として用いられてい
る。しかしながら、本発明者らの実験結果によるとこれ
らの合金の耐食性は、十分に満足できるものではなかっ
た。
域、例えば海岸線や道路際では、飛来物による機械的破
壊により腐食の進行が促進されるとの問題も新たに発生
してきた。つまり、皮膜自身の耐傷付き性の改善も新た
に具備されるべきニーズである。従って、高耐食性を有
し、且つ耐傷付き性に優れた溶射皮膜の要求がある。本
発明は、上記要求に応えたものであり、飛来物等による
耐傷付き性を向上させると共に、犠牲防食作用と長期耐
食性を兼ね備えた従来に無い溶射皮膜を提供することを
目的とするものである。
成する本発明は、(1)Mgを0.3〜15%含有し、
残部がZnのZn−Mg合金よりなることを特徴とする
耐食性及び耐傷付き性に優れた溶射皮膜、(2)Mgを
0.3〜15%含有すると共に、Alを5%以下含有
し、残部がZnのZn−Mg−Al合金よりなることを
特徴とする耐食性及び耐傷付き性に優れた溶射皮膜であ
る。
て詳細に説明する。本発明者らは、上記課題を解決する
ために種々の金属をZnを主体とする溶射皮膜中に合金
化させ、各種の評価を実施した。その結果、マグネシウ
ムを添加することにより、これら全ての特性が大幅に改
善され、従来にない特性をもった皮膜が得られることを
見い出した。表1には、前処理としてグリッドブラスト
処理した鋼板(板厚:4mm,熱延Alキルド鋼)の表
面にMg濃度が1%で残部がZnよりなる粉体材料を
溶射して、得られた膜厚が100μmの溶射皮膜(Zn
−Mg溶射皮膜)と、従来のように市販の亜鉛粉体材
料を溶射して、得られた膜厚が100μmの溶射皮膜
(Zn溶射皮膜)と、アルミニウム粉体材料を溶射し
て、得られた膜厚が100μmの溶射皮膜(A1溶射皮
膜)と、Al濃度が13%で残部がZnの粉体材料を
溶射して、得られた膜厚が100μmの溶射皮膜(Zn
−13%A1溶射皮膜)と、A1濃度が28%で残部
がZnの粉体材料を溶射して、得られた膜厚が100μ
mの溶射皮膜(Zn−28%A1溶射皮膜)の性能に比
較例を示す。
た鋼板に対して、[湿潤環境放置(湿度85%×15.
5Hr)→乾燥(70℃×3Hr)→塩水試験(50℃
×2Hr)→室内放置(2Hr)→塩水試験(50℃×
1.5Hr)]からなるサイクルを繰り返し与える腐食
促進試験を行った。この促進試験で赤錆が面積率で1%
発生するまでのサイクル数を評価した(この赤錆は、皮
膜が無くなり、鉄素地が溶出したことを示すものであ
る。)。尚、200サイクル以上を合格とした。また、
犠牲防食性は、溶射皮膜を設けた鋼板に、NTカッター
で鋼素地に達する疵を入れた後、上記腐食促進試験を行
った。この促進試験で傷部に赤錆が発生するまでのサイ
クル数を評価した。尚、150サイクル以上を合格とし
た。
直径1cmの鋼球を荷重200gで溶射皮膜上を50m
mの幅で摺動させ、皮膜上に目視により傷付きが確認で
きるまでの回数を測定し、50回でも傷付きのないもの
を合格とした。表1の如く、鋼材にZn−Mg溶射皮膜
を設けたものは、平板の耐食性に優れ、且つ犠牲防食作
用にも優れる。また、耐傷付き性にも優れる。尚、本試
験における溶射皮膜の原料として、全て粉体材料を用い
たが、ワイヤー等の線材材料を用いた場合も同様の結果
が得られる。
g含有率を0〜20%で残部が亜鉛の粉体材料を溶射し
て得られた、膜厚100μmの溶射皮膜のMg含有率と
平板耐食性の関係を示したものである。図1に示したよ
うにMg含有率が、0.3%未満では、十分な耐食性が
得られず、5%ほどでほぼ飽和し、15%超では、十分
な耐食性が得られなくなる。15%超で、耐食性が劣化
する原因は、過剰のMgにより、皮膜の溶出速度がより
高くなるためと考えられる。従って、本発明において
は、皮膜中のMg濃度は、0.3%〜15%とするが、
望ましくは、0.5%〜5%とするのが、耐食性の面か
ら望ましい。また、犠牲防食性に於けるMg濃度と傷部
耐食性も全く同様の傾向であった。摺動回数は、Mg含
有量0.3%以上で、50回でも傷が確認されず合格と
なる。以上の結果は、Alを5%以下含有した皮膜でも
同様であった。
方法は特に限定しないが、通常のZn溶射で用いられて
いるガス溶射、アーク溶射、プラズマ溶射等が、利用で
きる。また、溶射材料としては、Zn−Mg合金の線材
も利用できる。前処理は、素地と皮膜の密着性を確保す
るために必要不可欠なものであり、鋼、鋼構造物及び鋳
物等には、通常のグリッドブラスト処理等を行えば良
い。また、粗面形成剤を塗布しても良い。また、皮膜そ
のものが、高耐食性を有するため、封孔処理や塗装処理
を必要により行えば更なる寿命延長が達せられる。
り、これらの新たな性能が良好になるメカニズムは以下
のように考えられる。すなわち、表面の硬度を向上す
ることにより、耐傷付き性が向上した。Mgは、Zn
より卑な金属であるため、鋼との電位差により犠牲防食
作用を維持できた。Mgを含有することにより、亜鉛
の腐食生成物を安定化し、緻密な保護皮膜が生成した為
と考えられる。
4mm,熱延Alキルド鋼)に、前処理としてグリッド
ブラスト処理した後に種々の粉体材料を用いてガス粉末
式溶射法により膜厚100μmとなるように溶射して作
製したものを用いた場合の結果である。溶射条件の詳細
を以下に記載する。溶射ガンはガスフレーム溶射ガン
(メテコ製6P)を用い、燃焼ガスとしてアセチレン、
キャリアーガスとして窒素を用い、自動ガン送り装置を
用いて、鋼板との距離を150mmとして上記粉体を溶
射した。膜厚の確認はケット膜厚計を用いて行い、調整
は、パス回数を変えることにより行った。
て行った。No.1〜6は、組成がいずれも本発明範囲
内であり、No.7〜9は、本発明範囲から組成が外れ
ている。No.10〜13は、従来品である。尚、成分
組成は、種々の添加量を変えたものを用いてインゴット
を作製し、粉砕機を用いて、粒子径が、45〜250μ
mとなるように粉砕し、その粉体を用いて調整した。表
から分かるように、本発明範囲内であれば耐傷付き性を
向上させると共に、犠牲防食作用と長期耐食性を兼ね備
えた溶射皮膜を得ることが可能となる。
しい腐食環境化においても十分な耐食性を有し且つ、傷
付き性に優れた溶射皮膜を提供でき、その効果は大き
い。
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 Mgを0.3〜15%含有し、残部がZ
nのZn−Mg合金よりなることを特徴とする耐食性及
び耐傷付き性に優れた溶射皮膜。 - 【請求項2】 Mgを0.3〜15%含有すると共に、
Alを5%以下含有し、残部がZnのZn−Mg−Al
合金よりなることを特徴とする耐食性及び耐傷付き性に
優れた溶射皮膜。
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JP14946096A JP3305573B2 (ja) | 1996-06-11 | 1996-06-11 | 耐食性及び耐傷付き性に優れた溶射皮膜 |
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