JPH10176196A

JPH10176196A - 粒状消泡剤組成物および粒状洗剤組成物

Info

Publication number: JPH10176196A
Application number: JP33877796A
Authority: JP
Inventors: Takeshi Kawabe; 健川辺; Akitomo Morita; 章友森田; Seiji Abe; 誠治阿部
Original assignee: Lion Corp
Current assignee: Lion Corp
Priority date: 1996-12-18
Filing date: 1996-12-18
Publication date: 1998-06-30

Abstract

(57)【要約】【課題】他の洗剤成分に配合する際の操作性が良好な
粉体物性を有し、さらには、長期保存安定性に優れた粒
状消泡剤組成物と粒状洗剤組成物を提供する。また、水
道水の水温程度の比較的低温条件下において洗濯を行っ
ても十分な消泡効果を示す粒状消泡剤組成物と粒状洗剤
組成物を提供する。【解決手段】シリコーン消泡剤と、金属石鹸および／
または水不溶性の高級アルコールリン酸エステル金属塩
を含有する粒状消泡剤組成物とする。好ましくはシリコ
ーン消泡剤を含有する粒状組成物が金属石鹸および／ま
たは水不溶性の高級アルコールリン酸エステル金属塩に
よってコーティングされている粒状消泡剤組成物とす
る。また、この粒状消泡剤組成物を含む粒状洗剤組成物
とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は衣料用粒状洗剤組成
物に特に適した粒状消泡剤組成物および粒状洗剤組成物
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、日本では衣料用洗剤は洗濯時に適
度に泡立つことが要求されてきた。これは適度に泡立つ
方が洗剤の洗浄力があるとの洗濯習慣上の認識があった
ためである。しかし、近年全自動洗濯機の普及に伴い、
洗剤と衣料を洗濯機に投入した後は洗濯完了時まで何も
操作を要求されない。このことが洗濯上の意識を変化さ
せ、むしろプログラム時間内で確実にすすぎが完了する
ような低泡性でかつすすぎ性の良い洗剤が望まれるよう
になった。

【０００３】また、消費者の生活の高級化、多様化など
から洗濯から乾燥まで自動化された全自動洗濯乾燥機も
徐々に普及しつつある。このタイプにはドラム型洗濯機
があり、現在ヨーロッパ各国では主に用いられているも
のである。ドラム型洗濯機は従来のパルセーター型洗濯
機と異なり、叩き洗いによって洗浄を行うため、洗浄時
に泡立つと洗浄効率が落ち、洗浄性能が低下してしま
う。さらに泡立ちがひどくなると洗濯機から泡があふれ
出てくるといった問題もあった。また、ドラム型洗濯機
はパルセーター型洗濯機と比べてすすぎ時の泡切れが非
常に悪いことから、泡を抑制した洗剤が要望されてきて
いる。

【０００４】洗浄時およびすすぎ時（洗濯時）の泡を抑
制する消泡剤としてはシリコーン消泡剤がよく知られて
いる。しかし、シリコーン消泡剤をそのまま粒状（以下
粒状とは粉末状のものも含むものとする）の他の洗剤成
分に添加、混合した場合、添加直後の消泡効果は非常に
良いが、長期間にわたって貯蔵すると、変性して消泡性
能が低下してしまうという問題点がある。このためシリ
コーン消泡剤を用いる場合には、一般的にシリコーン消
泡剤をバインダーなどとともに造粒したり、あるいはシ
リコーン消泡剤をカプセル内に収めるなどの被覆処理を
行って粒状物とした後、他の洗剤成分と混合することが
行われている。

【０００５】例えば特開昭６２−５７６１６号公報、特
開平３−１８６３０７号公報、特開平４−３１１８００
号公報などには澱粉やその誘導体を担体物質として用
い、シリコーン消泡剤を担持させて粒状消泡剤組成物と
したものが開示されている。しかしながら、このような
処理を行った粒状消泡剤組成物においても、他の洗剤成
分中に長期間保存した場合、シリコーン消泡剤がしみ出
して消泡性能が低下することがある。特にシリコーン消
泡剤がしみ出して他の洗剤成分中に含まれるアルカリ剤
と接触すると消泡性能は著しく低下する。

【０００６】また、粒状消泡剤組成物の粒子の流動性が
低く、他の洗剤成分に配合（粉体混合）する際の操作性
が低下するという問題がある。また、水中での分散性が
十分ではなく、洗浄時に水中に均一分散させることが困
難であるという問題がある。そして、この粒状消泡剤組
成物を配合した粒状洗剤組成物の流動性が悪くなるとい
う問題が発生する。

【０００７】この他には、すすぎ時に水表面上の泡が少
ないことから美的に快く、かつすすぎ時に水に濁りを生
じないものとして、特開昭６２−２３０９００号公報に
おいては、脂肪酸石鹸（ナトリウム塩、カリウム塩な
ど）とシリコーン消泡剤を含む粒状消泡剤組成物が開示
されている。また、シリコーン消泡剤のしみ出しを抑制
し、保存安定性を向上させる目的で、特開昭６３−２５
８９９８号公報においては水溶性無機キャリアにシリコ
ーン消泡剤を担持させた粒状組成物の表面に疎水性シリ
カをコーティングしたものが開示されている。特開平４
−２９８２０２号公報においては、洗浄時における水中
でのシリコーン消泡剤の放出性を向上させる目的で、水
溶性の無機担持物質にシリコーン消泡剤を担持させた粒
状組成物の表面に、有機重合体の被覆を施した粒状消泡
剤組成物が開示されている。

【０００８】このように種々の提案がなされているが、
長期保存安定性と流動性（粉体物性）の両方を十分に満
足するものは、未だ得られていない。特に流動性につい
ては良好なものが得られていない。また、従来提案され
ているもののうち、長期保存安定性を満足するものとし
て、室温程度の保存温度では変化しにくい融点の高い担
体物質や、吸湿性の低い担体物質を用いたものが提案さ
れているが、このような粒状消泡剤組成物は、温度洗濯
時の温度が高温であるヨーロッパなどでは洗浄時に水中
にシリコーン消泡剤が放出され、消泡効果を示すが、日
本のような通常の水道水の温度での洗濯条件下において
は、粒状洗剤組成物中にシリコーン消泡剤が取り込まれ
たまま放出されず、消泡効果が十分に得られないという
問題がある。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明に
おいては、他の洗剤成分に配合する際の操作性が良好な
粉体物性を有し、さらには、長期保存安定性に優れた粒
状消泡剤組成物と粒状洗剤組成物を提供することを目的
とする。また、日本のように水道水の水温程度の比較的
低温条件下において洗濯を行っても十分な消泡効果を示
す粒状消泡剤組成物と粒状洗剤組成物を提供することを
目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、シリコー
ン消泡剤と、金属石鹸および／または水不溶性の高級ア
ルコールリン酸エステル金属塩を含有する粒状消泡剤組
成物は、流動性（粉体物性）が良好で、保存安定性を有
し、比較的低温の水中においても消泡効果を発揮するこ
とを見いだした。さらに好ましくは、前記シリコーン消
泡剤を含む粒状組成物を金属石鹸および／または水不溶
性の高級アルコールリン酸エステル金属塩によってコー
ティングされた構成とすると、より流動性が向上し、か
つ保存安定性も向上することを見いだし、本発明を完成
させるに至った。すなわち、本発明の粒状洗剤組成物
は、シリコーン消泡剤と、金属石鹸および／または水不
溶性の高級アルコールリン酸エステル金属塩を含むこと
を特徴とする。また、この粒状消泡剤組成物を含有する
ことを特徴とする粒状洗剤組成物を構成することもでき
る。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、シリコーン消泡剤を含有す
る造粒物を粒状組成物とよび、シリコーン消泡剤ととも
に金属石鹸および／または水不溶性の高級アルコールリ
ン酸エステル金属塩（以下リン酸エステル塩とよぶ）を
造粒したものも含むものとする。また、この粒状組成物
を、金属石鹸および／またはリン酸エステル塩によって
コーティングしたものをコーティング粒状組成物とよ
ぶ。また、粒状消泡剤組成物が、金属石鹸および／また
はリン酸エステル塩を含有するとは、シリコーン消泡剤
とともに金属石鹸および／またはリン酸エステル塩を造
粒して粒状組成物とされていることや、粒状組成物が金
属石鹸および／またはリン酸エステル塩によってコーテ
ィングされたコーティング粒状組成物とされていること
を含むものとする。また、本発明の粒状消泡剤組成物
は、シリコーン消泡剤と、金属石鹸および／またはリン
酸エステル塩を含むものであれば、粒状洗剤組成物であ
ってもコーティング粒状組成物であってもよい。

【００１２】本発明に使用されるシリコーン消泡剤に含
まれるシリコーンは特に限定されることはないが、典型
的なものとしては以下の一般式Ｉで表されるポリオルガ
ノシロキサンが用いられる。

【００１３】

【化１】

【００１４】シリコーン消泡剤としてシリコーンを単独
で用いることもできるが、シリコーンの他に疎水性のシ
リカ、アルミナ、ＴｉＯ₂などのフィラー粒子を含んだ
コンパウンドタイプや乳化剤を含むエマルジョンタイ
プ、あるいはポリオルガノシロキサンをポリアルキレン
グリコールアミン、油脂などで変性した自己乳化タイプ
などのシリコーン消泡剤を用いることもできる。このよ
うにシリコーン以外の成分を含む場合には、通常、少な
くともシリコーン消泡剤中のシリコーンの割合は１０重
量％以上、実質的には、１２〜９９重量％とされる。

【００１５】本発明においてはポリオルガノシロキサン
とフィラー粒子を含んだコンパウンドタイプのシリコー
ン消泡剤が粒状消泡剤組成物の製造における操作性がよ
く、粒状消泡剤組成物中に均等に分散させることが容易
であり、消泡効果も高く、好適である。シリコーン消泡
剤の粒状消泡剤組成物全量に対する配合量は３〜４０重
量％、好ましくは５〜３５重量％とされる。３重量％未
満であるとシリコーン消泡剤の効果が得られず、４０重
量％をこえるとシリコーンのしみ出しがおこり、また、
粒状消泡剤組成物の粉体物性（流動性）が低下すること
がある。

【００１６】金属石鹸としては、炭素数１６〜２０の飽
和脂肪酸の金属塩（カルシウム塩、マグネシウム塩、ア
ルミニウム塩、亜鉛塩）などが例示される。これらの中
では、特に炭素数１６〜２０の飽和脂肪酸のカルシウム
塩、マグネシウム塩が好ましい。リン酸エステル塩は、
一般式(ＲＯ)₂Ｐ(Ｏ)ＯＨあるいは、ＲＯＰ(Ｏ)(ＯＨ)₂
で表される高級アルコールの酸性リン酸エステルのカル
シウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩な
どである（Ｒは炭素数１６〜２０のアルキル基を表
す。）。例えばマグネシウムステアリルアシッドホスフ
ェイト、カルシウムステアリルアシッドホスフェイトな
どがあげられる。このリン酸エステル塩の粉体は、特に
滑性、分散性に優れているものである。平均粒径は１０
０μｍ以下、実質的には１〜１００μｍの粉末状のもの
が好ましい。１００μｍをこえると流動性向上効果が低
下することがある。

【００１７】金属石鹸および／またはリン酸エステル塩
は単独または２種類以上の混合物として用いる。金属石
鹸および／またはリン酸エステル塩は、粒状消泡剤組成
物全量に対して０．５〜１５重量％、好ましくは１〜１
０重量％配合される。０．５重量％未満であると粒状消
泡剤組成物の流動性が低下し、また、他の洗剤成分中で
の長期保存性が低下することがある。１５重量％をこえ
ると粒状消泡剤組成物の溶解性が低下することがある。

【００１８】粒状消泡剤組成物は、シリコーン消泡剤
と、金属石鹸および／またはリン酸エステル塩を含むも
のであれば、金属石鹸および／またはリン酸エステル塩
によってコーティングされていない粒状組成物であって
もよいしコーティング粒状組成物であってもよい。しか
し、コーティング粒状組成物とすると、粒状消泡剤組成
物の流動性と保存安定性がさらに向上するため好まし
い。このときコーティングには配合される金属石鹸およ
び／またはリン酸エステル塩の５０〜１００重量％を用
いる。５０重量％未満であるとコーティングしない場合
との差がなく、効果の向上が得られない。

【００１９】また、本発明の粒状消泡剤組成物において
は、上述の必須とされる成分以外に、担体物質を配合す
ることもできる。担体物質としては水溶性または水分散
性である固体粒子であれば一般に公知である物質を使用
することができ、好適な担体物質としては澱粉、化工澱
粉、粘土、硫酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリ
ウム、カルボキシメチルセルロース塩などがあげられ
る。担体物質は粒状消泡剤組成物中に２０〜８５重量
％、好ましくは２５〜８０重量％配合することができ
る。

【００２０】また、粒状消泡剤組成物に有機バインダー
物質を配合すると、造粒の際に適度な粒径の粒状物とす
ることが容易となるとともに、その形状を安定に保つこ
とができるので好ましい。有機バインダー物質として
は、例えばポリエチレングリコール、ポリエチレングリ
コーン付加型非イオン界面活性剤、ポリエチレングリコ
ールアルキルエーテル、ポリビニルアルコール、グリセ
リン、炭素数８〜２０の脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪
酸塩、炭素数８〜２０のアルコールにエチレンオキサイ
ド（ＥＯ）を平均４〜５０モル付加させた非イオン界面
活性剤や同様にＥＯを平均４〜２５モル、プロピレンオ
キサイド（ＰＯ）を平均３〜１５モル付加させたＥＯ−
ＰＯ付加型非イオン界面活性剤などがあげられる。ま
た、有機バインダー物質としては、４０℃以上、好まし
くは４０〜１００℃、より好ましくは４５〜８５℃の融
点を有し、水溶性であるものを主として含むことが好ま
しい。特に、平均分子量が４００〜３００００のポリエ
チレングリコールが好ましく、より好ましくは平均分子
量が１０００〜２００００のものであり、最も好ましい
のは平均分子量が４０００〜２００００のポリエチレン
グリコールである。

【００２１】有機バインダー物質は粒状消泡剤組成物中
に１０〜８０重量％、好ましくは１５〜７０重量％配合
される。１０重量％未満であると添加効果が得られず、
８０重量％をこえると、他の必須とする成分の配合量が
少なくなるとともに粒状消泡剤組成物の流動性や、消泡
効果が低下することがある。

【００２２】この粒状消泡剤組成物は、陰イオン界面活
性剤などの他の洗剤成分と混合され、粒状洗剤組成物と
されて用いられることが多いが、粒状消泡剤組成物自体
に他の洗剤成分などの任意成分を配合することもでき
る。ただし、アルカリ剤のようにシリコーン消泡剤と直
接接触するとその消泡効果を低下させるようなものは配
合しないようにすることが好ましい。例えばアルキルベ
ンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α
−スルホ脂肪酸エステル塩などの陰イオン界面活性剤や
ポリエチレングリコール付加型非イオン界面活性剤など
を配合することができる。さらに香料や色素なども配合
できる。

【００２３】粒状組成物を造粒する方法としては、特に
限定するものではなく一般的に知られている造粒方法、
例えば撹拌造粒法、捏和・押出造粒法、流動層造粒法な
どいずれも使用できる。好ましくは、シリコーン消泡
剤、担体物質、有機バインダー物質、さらに金属石鹸お
よび／またはリン酸エステル塩を配合する場合にはこれ
を加えて粉体混合した混合粉体を、この有機バインダー
物質の融点以上の温度条件下で混練し、押出成形、破砕
などの工程を経て造粒する方法や、前記混合粉体を撹拌
混合機（高速ミキサー）を用いて前記有機バインダー物
質の融点以上の温度条件下で撹拌造粒する方法を用いる
ことができる。また、金属石鹸および／またはリン酸エ
ステル塩をコーティングする方法としては、特に限定す
るものではなく、常法によるコーティング方法を用いる
ことができる。例えば撹拌造粒法などで造粒して粒状組
成物を製造し、転動ドラム中においてこの粒状組成物に
金属石鹸および／またはリン酸エステル塩をコーティン
グする方法や前記粒状組成物を粉砕機などで所定の粒度
に調整する際の粉砕助剤として金属石鹸および／または
リン酸エステル塩を粒状組成物の粒子上にコーティング
する方法、あるいはこれらを併用する方法などを用いる
ことができる。

【００２４】粒状消泡剤組成物の平均粒径は１００〜２
０００μm、好ましくは１５０〜１５００μmとされる。
１００μｍ未満であると流動性が低下することがあり、
２０００μｍをこえると溶解性が低下する。

【００２５】この粒状消泡剤組成物においては、滑性、
分散性に優れた金属石鹸および／またはリン酸エステル
塩を含むため、この粒状消泡剤組成物の粒子はさらさら
しており、流動性が良好で、この粒状消泡剤組成物を他
の洗剤成分に配合（粉体混合）して粒状洗剤組成物とす
る際の操作性が非常によい。また、水中における分散性
も良好である。また、金属石鹸および／またはリン酸エ
ステル塩を用いることにより、シリコーン消泡剤が安定
して保持されるため、保存中にシリコーン消泡剤がしみ
出しにくく、長期保存安定性が向上する。また、この粒
状消泡剤組成物は水道水（５〜２５℃）程度の温度条件
下において洗濯を行った場合にも粒状消泡剤組成物から
水中にシリコーン消泡剤が速やかに放出され、十分な消
泡効果が得られる。さらに、シリコーン消泡剤を含む粒
状組成物が金属石鹸および／またはリン酸エステル塩に
よってコーティングされた構成とすることにより、より
流動性と保存安定性が向上する。

【００２６】また、この粒状消泡剤組成物を配合した粒
状洗剤組成物とすることができる。粒状消泡剤組成物の
配合量は、粒状洗剤組成物全量に対して０．１〜１５重
量％、好ましくは０．２〜１０重量％とされる。０．１
重量％未満であると十分な消泡効果が得られず、１５重
量％をこえると他の成分の配合量が少なくなるととも
に、消泡効果が飽和する。

【００２７】この粒状洗剤組成物において、粒状消泡剤
組成物以外に含まれる他の洗剤成分としては、界面活性
剤、無機ビルダー、他の任意成分などがあげられる。界
面活性剤としては陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活
性剤、非イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、あ
るいはこれらの混合物を用いることができる。これら
の中でも特に高起泡性の陰イオン界面活性剤に対して本
発明の粒状消泡剤組成物の消泡作用が効果的に発揮され
るので、陰イオン界面活性剤を用いることが好ましい。
陰イオン界面活性剤としては直鎖アルキルベンゼンスル
ホン酸塩、アルキル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸
塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩などがあげられるが、
特に粒状消泡剤組成物による高い消泡効果が得られるα
−スルホ脂肪酸エステル塩が好適である。

【００２８】無機ビルダーとしては例えば、珪酸ナトリ
ウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸ナト
リウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、セスキ炭酸ナ
トリウム、亜硫酸ナトリウムなどを用いることができ
る。また、Ａ型、Ｘ型または無定形の合成ゼオライトな
どを用いることもできる。他の任意成分として、マレイ
ン酸−アクリル酸共重合体などの有機ビルダーや酵素、
柔軟剤、漂白剤、漂白活性化剤、香料などを配合するこ
ともできる。粒状洗剤組成物の平均粒径は３００〜３０
００μm、好ましくは３５０〜２０００μmとされる。３
００μｍ未満であると流動性、布付着などが問題であ
り、３０００μｍをこえると溶解性が低下する。

【００２９】粒状消泡剤組成物の配合方法は、特に限定
されないが、通常他の洗剤成分の主なものを常法によっ
て乾燥粉体または高嵩密度粒子としたものと粉体混合す
る方法が好ましい。

【００３０】このようにシリコーン消泡剤と、金属石鹸
および／またはリン酸エステル塩を含有する粒状消泡剤
組成物を含む粒状洗剤組成物は、消泡効果の長期保存安
定性を有し、水道水の温度程度の比較的低温の洗濯条件
下においても十分な消泡効果を発揮するものである。す
なわち、洗浄とすすぎのプログラム時間内に十分な消泡
効果が得られるので、洗濯における洗濯効率と経済性の
両方を満足することができる。また、この粒状消泡剤組
成物は流動性が非常に良好なので、他の洗剤成分との混
合の際に粒状洗剤組成物中に均等に分散され、さらに水
中での分散性が良好なので、均一な消泡効果が得られ
る。また、粒状洗剤組成物の流動性も良好で、保存中に
だまになりにくいという効果もある。特に本発明の粒状
消泡剤組成物は、比較的低温下における洗浄能力が高い
にもかかわらず、泡立ちがよいためにドラム式洗濯機用
の洗剤成分としては使用しにくい陰イオン界面活性剤に
対しても消泡効果を十分に発揮する。したがって、粒状
洗剤組成物を構成するにおいて、粒状消泡剤組成物を陰
イオン界面活性剤とともに用いれば、陰イオン界面活性
剤の高い洗浄能力を保持し、かつ泡立ちが少ない非常に
優れた粒状洗剤組成物が得られる。

【００３１】本発明の実施の態様をまとめると以下のよ
うになる。 (1) シリコーン消泡剤に含まれるシリコーンは、前記
一般式Ｉで表されるポリオルガノシロキサンが好適であ
り、シリコーン消泡剤としては、シリコーンの他に疎水
性のシリカ、アルミナ、ＴｉＯ2などのフィラー粒子を
含むコンパウンドタイプが好適である。したがって、シ
リコーンとしてポリオルガノシロキサンを含むコンパウ
ンドタイプのシリコーン消泡剤がもっとも好ましい。 (2) シリコーン消泡剤の粒状消泡剤組成物全量に対す
る配合量は３〜４０重量％、好ましくは５〜３５重量％
とされる。 (3) 粒状消泡剤組成物は、金属石鹸および／またはリ
ン酸エステル塩によってシリコーン消泡剤を含む粒状組
成物をコーティングした構成とすることが好ましい。こ
のようにすると、粒状消泡剤組成物の流動性、保存安定
性がさらに向上する。 (4) 金属石鹸としては、炭素数１６〜２０の飽和脂肪
酸の金属塩（カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニ
ウム塩、亜鉛塩）などが例示される。 (5) リン酸エステル塩は、一般式(ＲＯ)₂Ｐ(Ｏ)ＯＨあ
るいは、ＲＯＰ(Ｏ)(ＯＨ)₂で表される高級アルコール
の酸性リン酸エステルのカルシウム塩、マグネシウム
塩、アルミニウム塩、亜鉛塩などである（Ｒは炭素数１
６〜２０のアルキル基を表す。）。例えばマグネシウム
ステアリルアシッドホスフェイト、カルシウムステアリ
ルアシッドホスフェイトなどがあげられる。

【００３２】(6) 金属石鹸および／またはリン酸エス
テル塩は粒状消泡剤組成物全量に対して０．５〜１５重
量％、好ましくは１〜１０重量％配合される。金属石鹸
および／またはリン酸エステル塩の平均粒径は１００μ
ｍ以下、実質的には１〜１００μｍの粉末状のものが好
ましい。金属石鹸および／またはリン酸エステル塩の中
では、特に炭素数１６〜２０の飽和脂肪酸のカルシウム
塩、マグネシウム塩が好ましい。

【００３３】(7) コーティングする場合は、粒状消泡
剤組成物に配合される金属石鹸および／またはリン酸エ
ステル塩の５０〜１００重量％を用いる。 (8) 粒状消泡剤組成物に配合される有機バインダー物
質としては、特に、平均分子量が４００〜３００００の
ポリエチレングリコールが好ましく、より好ましくは平
均分子量が１０００〜２００００のものであり、最も好
ましいのは平均分子量が４０００〜２００００のポリエ
チレングリコールである。また、有機バインダー物質と
しては、４０℃以上、好ましくは４０〜１００℃、より
好ましくは４５〜８５℃の融点を有し、水溶性であるも
のを主として含むことが好ましい。有機バインダー物質
は粒状消泡剤組成物中に１０〜８０重量％、好ましくは
１５〜７０重量％配合される。

【００３４】(9) 本発明の粒状消泡剤組成物を配合し
た粒状洗剤組成物とする場合には、粒状消泡剤組成物の
配合量は、粒状洗剤組成物全量に対して０．１〜１５重
量％、好ましくは０．２〜１０重量％とされる。 (10) 粒状洗剤組成物に配合される界面活性剤として
は、粒状消泡剤組成物の作用が効果的に発揮されるの
で、陰イオン界面活性剤を用いることが好ましい。陰イ
オン界面活性剤としては特に粒状消泡剤組成物による高
い消泡効果が得られるα−スルホ脂肪酸エステル塩が好
適である。

【００３５】

【実施例】以下、本発明を実施例を示して詳しく説明す
る。＜＜実験例１＞＞

【００３６】＜粒状消泡剤組成物の調製＞表１に示した
各成分をＫＲＣニーダー（栗本鐵工所（株）製）に加
え、６５℃の温度条件下で捏和し、その後押出成形機
（不二パウダル（株）製）を用い、約１０ｍｍφ×２０
ｍｍの円柱状ペレットとした。ついでこの円柱状ペレッ
トを目開き２mmのスクリーンを取り付けたスピードミル
（岡田精工（株）製）を用いて破砕造粒し、さらに２４
〜３２メッシュとなるようにふるい、平均粒径６００μ
ｍの粒状組成物を得た。有機物バインダー物質であるPE
G#6000（平均分子量６０００のポリエチレングリコー
ル）の融点は６２℃であった。さらに金属石鹸またはリ
ン酸エステル塩をコーティングしたコーティング粒状組
成物とする場合は、転動ドラムにより所定量乾式配合
し、コーティングを行った。

【００３７】＜流動性の評価＞粒状消泡剤組成物の流動
性を４５℃における安息角を測定することにより評価し
た。結果を表１にあわせて示す。

【００３８】＜他の洗剤成分からなる高嵩密度粒子の調
製＞表２に示した組成の他の洗剤成分からなる高嵩密度
粒子を、以下の方法で調製した。まずα−スルホ脂肪酸
メチルエステルナトリウム、石鹸をはじめとしたアニオ
ン界面活性剤、ゼオライト、アルカリビルダー、蛍光剤
などを配合した水分約５０％のスラリーを約７０℃で調
製し、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度２５０℃で噴
霧乾燥した。得られた乾燥粉体に非イオン界面活性剤、
水を加えてニーダーで圧密捏和した後、スピードミルに
よって破砕造粒を行って、平均粒径５５０μｍの高嵩密
度粒子を得た。

【００３９】＜粒状洗剤組成物の調製＞前記他の洗剤成
分からなる高嵩密度粒子１００重量部に対し、表１に示
した試料番号１〜１０、１３、１４〜１６の粒状消泡剤
組成物１．５重量部を、それぞれ粉体混合して粒状洗剤
組成物とした（粒状洗剤組成物全量に対して粒状消泡剤
組成物は１．４８重量％）。また、この高嵩密度粒子１
００重量部に対し、試料番号１０の粒状消泡剤組成物を
０．１重量部、あるいは試料番号９の粒状消泡剤組成物
を１７．５重量部それぞれ粉体混合した粒状洗剤組成物
とした（試料番号１１、１２：粒状洗剤組成物全量に対
して粒状消泡剤組成物はそれぞれ０．１重量％、１４．
９重量％）。

【００４０】＜すすぎ性の評価＞調整した直後の粒状洗
剤組成物２５ｇを２５℃の水道水３０Ｌを張った２槽式
洗濯機に加えて１分間撹拌した。ついで綿シャツ１Ｋｇ
を加えて１０分間撹拌洗浄し、洗浄後綿シャツを１分間
脱水し、新たに３０Ｌの水道水を張った洗濯槽中にいれ
て３分間ためすすぎした。再び綿シャツを１分間脱水し
て同条件でもう１度ためすすぎをした。すすぎ終了から
３０秒後の泡の残留量を以下の基準で判断した。結果を
表１に合わせて示す。（すすぎ評価基準）Ａランク：液面はほぼ完全に透明で泡もほとんど残って
いないＢランク：液面は透明な部分が多いが、１mm程度の泡が
やや残っているＣランク：液面の６割以上が１mm程度の泡でおおわれて
いるＤランク：液面はほぼ全体に１mm程度の泡で覆われてい
るほか数mmの大きな泡も残留している

【００４１】＜保存安定性試験＞粒状洗剤組成物を４０
℃、６０日間貯蔵したものについて上述のすすぎ性評価
を行った。結果を表１にあわせて示す。表１より、本発
明に係る試料番号２〜１６においては流動性と保存安定
性が良好であることが確認された。

【００４２】

【表１】

【００４３】

【表２】

【００４４】

【発明の効果】以上説明したように本発明の粒状消泡剤
組成物は、シリコーン消泡剤と、金属石鹸および／また
は水不溶性の高級アルコールリン酸エステル金属塩を含
むものであり、本発明の粒状洗剤組成物は、この粒状消
泡剤組成物を含むものであるので、以下のような効果が
得られる。粒状消泡剤組成物の粒子はさらさらしてお
り、流動性が非常に良好なので、この粒状消泡剤組成物
を他の洗剤成分に配合（粉体混合）して粒状洗剤組成物
とする際の操作性が非常によい。また、水中における分
散性も良好である。シリコーン消泡剤が安定して保持さ
れるため、長期保存安定性が向上する。また、水道水程
度の温度条件下において洗濯を行った場合にも粒状消泡
剤組成物から水中にシリコーン消泡剤が放出され、速や
かな消泡効果が得られる。したがって、プログラムされ
た時間内に十分に消泡効果が得られるので、洗濯におけ
る洗濯効率と経済性の両方を満足することができる。さ
らに、シリコーン消泡剤を含む粒状組成物が金属石鹸お
よび／または水不溶性の高級アルコールリン酸エステル
金属塩によってコーティングされた構成とすることによ
り、より流動性と保存安定性が向上する。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】シリコーン消泡剤と、金属石鹸および／
または水不溶性の高級アルコールリン酸エステル金属塩
を含有することを特徴とする粒状消泡剤組成物。
【請求項２】請求項１記載の粒状消泡剤組成物を含有
することを特徴とする粒状洗剤組成物。