JPH1017408A - 生分解性害生物防除剤 - Google Patents

生分解性害生物防除剤

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JPH1017408A
JPH1017408A JP8168900A JP16890096A JPH1017408A JP H1017408 A JPH1017408 A JP H1017408A JP 8168900 A JP8168900 A JP 8168900A JP 16890096 A JP16890096 A JP 16890096A JP H1017408 A JPH1017408 A JP H1017408A
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NOYAKU BIO TECHNOL KAIHATSU GIJUTSU KENKYU KUMIAI
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造が容易で優れた経済性を有し、また、放
出速度や有効期間の調整が容易で設置数の削減や空中散
布にも対応できるうえ、生分解性を有して回収の必要性
がなく環境に残留しない生分解性害虫防除剤を提供す
る。 【解決手段】 活性物質と、該活性物質を保持する担持
体とを、生分解性脂肪族ポリエステル中に混合分散し
た。また、活性物質の含有量が2〜60重量%、生分解
性脂肪族ポリエステルが30〜95重量%、活性物質を
保持する担持体が2〜50重量%の範囲からなる組成物
とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性害生物防
除剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】農作物や園芸作物などを食害する害生物
の防除方法としてはさまざまなものがある。例えば、近
年では昆虫の性フェロモンを利用した交信攪乱剤や誘殺
剤などが環境に優しい防除手段として注目されている。
【0003】このような防除剤としては、さまざまなも
のが提案されており、その幾つかは既に実用化されてい
る。例えば、ポリエチレンなどの細管や、エチレン−酢
酸ビニル共重合体などからなる容器に活性物質を封入し
たもの、ポリ塩化ビニルに活性物質を練り込んだものな
どがあり、さらにはフォローファイバーに活性物質を封
入したものや、活性物質をポリ塩化ビニルに練り込んだ
シートを小さく裁断し空中散布できるようにしたものな
どがある。これらは、通常被処理体に設置された後回収
されることは殆どなく、圃場に残留しているのが実状で
ある。このようなことから、土中で分解し圃場に残留す
ることのない生分解タイプの害生物防除剤が望まれ、幾
つかの提案がなされている。
【0004】例えば、本出願人は、既に3−ヒドロキシ
酪酸を主成分とする重合体を放出制御層として用いた生
分解性の徐放性フェロモン製剤を提案した(特開平5−
163110号公報)。しかしながら、この重合体では
フェロモンの透過速度が小さいため、放出制御層の厚み
を薄くするか、あるいは放出表面積を大きくしなければ
ならないなどの制約があった。また、防除剤が袋状など
の形態を持つため空中散布などに適さないなどの不都合
があった。
【0005】また、特開平6−116103号公報に
は、生分解性脂肪族ポリエステルからなる害生物防除材
が提案されており、生分解性高分子材料に活性成分を分
散させこれを球状やフィルム状、リボン状などに成形し
たものなどが示されている。しかしながら、生分解性脂
肪族ポリエステル中に活性物質を分散させるためには、
溶媒を用い製膜するなど工程が繁雑であった。また、活
性物質をこれと親和性の低い生分解性脂肪族ポリエステ
ル中に分散させるだけでは、ブリードを引き起こし易い
などの不都合があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、製造が容易で優れた経済性を有し、また、放出
速度や有効期間の調整が容易で設置数の削減や空中散布
にも対応できるうえ、生分解性を有して回収の必要性が
なく、環境に残留しない生分解性害虫防除剤を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、生分解性脂肪族ポリエステル中に、活性物質とそ
れを高含有率で保持することのできる担持体とを混合分
散させることにより、上記課題をことごとく解決できる
ことを見出し本発明を完成した。すなわち、上記目的を
達成するため、請求項1の発明は、生分解性害生物防除
剤であって、活性物質と、該活性物質を保持する担持体
とを、生分解性脂肪族ポリエステル中に混合分散してな
ることを特徴とする。また、請求項3の発明は、生分解
性害生物防除剤であって、活性物質の含有量が2〜60
重量%、生分解性脂肪族ポリエステルが30〜95重量
%、活性物質を保持する担持体が2〜50重量%の範囲
からなる組成物であることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明にかかる生分解性害生物防
除剤に用いることのできる生分解性脂肪族ポリエステル
は、生分解性を有するものであれば特に限定されるもの
ではない。具体的には、マロン酸、琥珀酸、無水琥珀
酸、グルタル酸、アジピン酸、無水アジピン酸、セバシ
ン酸、フマル酸、マレイン酸、ドデカン二酸、リンゴ
酸、酒石酸、クエン酸などで例示される炭素数20まで
の多価カルボン酸と、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オク
タンジオール、デカンジオール、シクロヘキサンジメタ
ノール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどで例
示される炭素数20までの多価アルコール体との縮重合
物、乳酸の環状二量体であるラクチドやε−カプロラク
トンなどの環状エステルの開環重合物、乳酸やヒドロキ
シ酪酸、ヒドロキシ吉草酸のようなヒドロキシ酸の縮重
合物を例示することができる。これらの脂肪族ポリエス
テルは単一素材として用いても良いが、これらの二種以
上の混合物として用いても良い。
【0009】これら生分解性脂肪族ポリエステルは、本
発明にかかる生分解性害生物防除剤の組成の30〜95
重量%の範囲内であることが必要である。30重量%未
満では十分な生分解性を確保することはできず本発明の
目的を達成することができなくなる。また、95重量%
より多いと活性物質の含有量が小さくなり、放出速度を
確保することが難しくなり不適である。より好ましく
は、50重量%以上90重量%以下の範囲内である。
【0010】本発明で用いられる活性物質は、誘引活性
や忌避活性、芳香活性などの生理的活性を有するものや
殺虫活性などの農薬活性を有する全ての物質を特に限定
することなく用いることができる。これらの活性物質
は、後述するように単独で使用しても、あるいは誘引活
性を有する物質を二種類以上併用することもできる。ま
た、誘引活性を有する物質と、殺虫活性を有する物質と
を併用し、殺虫誘引することも可能であり、活性物質の
選択は防除する目的に応じて適宜任意に決定されればよ
く、限定されることはない。
【0011】具体的には、例えば、誘引活性を有するも
のとして、Z−7−ドデセニルアセテート、Z−8−ド
デセニルアセテート、Z−9−ドデセニルアセテート、
E,Z−7,9−ドデカジエニルアセテート、Z,Z−
7,9−ドデカジエニルアセテート、E,E−8,10
−ドデカジエノール、E−4−トリデセニルアセテー
ト、Z−9−テトラデセニルアセテート、Z−9−テト
ラデセナール、Z−11−テトラデセニルアセテート、
Z−11−テトラデセナール、Z−9−ヘキサデセナー
ル、Z−11−ヘキサデセナール、Z,E−9,11−
テトラデカジエニルアセテート、Z,E−9,12−テ
トラデカジエニルアセテート、Z−11−ヘキサデセニ
ルアセテート、Z,Z−7,11−ヘキサデカジエニル
アセテート、Z,E−7,11−ヘキサデカジエニルア
セテート、E,E,Z−4,6,10−ヘキサデカトリ
エニルアセテート、E,E−10,12−ヘキサデカジ
エナール、Z,Z−3,13−オクタデカジエニルアセ
テート、E,Z−3,13−オクタデカジエニルアセテ
ート、Z−7,8−エポキシ−2−メチル−オクタデセ
ン、Z−13−イコセン−10−オン、E,E,Z−1
0,12,14−ヘキサデカトリエニルアセテート、
E,E,Z−10,12,14−ヘキサデカトリエナー
ル、Z−10−テトラデセニルアセテート、E,Z−
4,10−テトラデカジエニルアセテート、14−メチ
ル−1−オクタデセン、(R,Z)−5−(1−オクテ
ニル)オキサシクロペンタン−2−オン、(R,Z)−
5−(1−デセニル)オキサシクロペンタン−2−オン
などを例示することができる。これらはフェロモンとし
て知られているもので、炭素原子数10〜20の不飽和
脂肪族の炭化水素、アセテート、アルデヒド、アルコー
ル、ケトン又はエポキシ化合物からなるものであり、こ
れらの1種又は2種以上の混合物を好適に用いることが
できる。
【0012】また、忌避活性を有するものとしては、ト
リエチレングリコールモノヘキシルエーテル、N,Nジ
エチル−m−トリアミドなどが例示される。さらに、芳
香活性のあるものとしてはゲラニオールやリモネン、ベ
ンジルアルコールなど、炭素原子数6〜20の炭化水素
のエステル、エーテル、アルデヒド、アルコール化合物
などを例示することができる。さらに、農薬活性を有す
るものとしてサリチオンやダイアジオン、クロルピリホ
スなどの殺虫剤やチオファネートメチルやキャプタンな
どの殺菌剤などを例示することができる。
【0013】これら活性物質の含有量は、2〜60重量
%の範囲内であることが必要である。2重量%未満では
十分な放出速度を確保することができず不適であり、6
0重量%を超えると十分な放出制御ができない上、活性
物質がブリードするなどの問題がある。より適度の放出
性を確保するためには、2〜40重量%の範囲内である
ことが望ましい。
【0014】活性物質を高含有率で保持することのでき
る担持体としては、使用する生分解性脂肪族ポリエステ
ルの融点以上の温度において、活性物質により溶液もし
くは懸濁液を生ずるような性質を持つ高分子材料、又は
無機質系もしくは有機質系充填剤であればどのようなも
のも特に限定されることなく用いることができる。この
ような高分子材料としては、ポリ−ε−カプロラクト
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチル
アクリレート共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリメタクリル酸エステル、セルロースアセテート
ブチレートなどのセルロース誘導体、ポリスチレン、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイ
ソプレンなどを例示することができる。これらの中で、
脂肪族ポリエステルとの混和性及び活性物質の溶解性の
点で、ポリ−ε−カプロラクトン、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、
ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸エ
ステル、セルロースアセテートブチレートなどのセルロ
ース誘導体を好適に用いることができる。
【0015】また、充填剤としては、無機質系又は有機
質系のものであればどのような物でも良く特に限定され
るものではないが、鉄粉などの金属粉、ケイ酸、ケイ酸
塩、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏、
スレート粉末、マイカ、カオリン、クレー、タルク、ア
スベスト、グラファイト、カーボンブラック、セメント
などの無機質充填剤や、リンター、木粉などの有機質充
填剤を例示することができる。これら充填剤は、種類や
粒子の大きさ、形状により活性物質の保持能力が異なる
ため、好ましくは吸油量が15ml以上のものを用い
る。吸油量が大きいほど活性物質の保持能力は大きく、
活性物質の混合分散が容易になるため、さらに好ましく
は30ml以上のものが良い。ここで吸油量とは、JI
S K5105−1965に規定される試験法に基づく
もので、充填剤100gに対し練り合せうる油の量であ
る。
【0016】このような高分子材料や充填剤などの担持
体は、2〜50重量%の範囲内で使用することが必要で
ある。2重量%未満では活性物質を保持するのに不十分
であり、50重量%を超えると活性物質の放出制御がで
きなくなり長期間に渡る放出を確保できず不適である。
さらに望ましくは、5〜40重量%の範囲内である。こ
れら担持体は、それぞれ単独で用いても良いが、複数の
ものを混合して用いても良い。さらに、製造を容易にす
るために高分子材料系のものと充填剤系のものを混合し
て用いることがより望ましい。
【0017】本発明にかかる生分解性害生物防除剤は、
原料を通常の熱ロールやカレンダー成形、押出し成形、
射出成形、ブロー成形、プレス成形、真空成形などによ
り任意の形状に加工することによって成形することがで
きる。成形した形態としては、害生物を駆除するための
形態であれば特に限定されるものではなく、その目的に
適合する限りどのような形態のものでも用いることがで
きる。以下の図1から図4にその形態について例示す
る。
【0018】図1に示す11から16は、被処理体への
係止孔又は懸吊部17を有する形態である。11から1
5は平板状のものであり、16は波板状のものである。
図2に示す21は、片端に孔22を有し他端23を差込
むようにしたフィルム状のものである。図3に示す31
はコイルスプリング状のもの、32はリング状のもの、
33はスパイラル状のもの、34は9の字状のものであ
る。図4に示す41は釣鐘状のもの、42は柱状のも
の、43は管状のもの、44はひだ状のものである。こ
れら41から44の形態のものは、引掛部45で被処理
体に吊り下げたり、あるいは被処理体に巻付けるなどし
て取付けることができる。本発明にかかる生分解性害生
物防除剤は、上記図1から図4のような成形形態の他
に、さらには、シートを細かく裁断したチップ状のもの
や、細かく粉砕した粉状のものとして用いることができ
る。そして、これらは表面に粘着剤を塗布することによ
り、空中からの散布といった手段や散布機などを用いて
散布し、被処理体に付着させることができる。
【0019】また、本発明の生分解性害生物防除剤は、
使用期間中は本来の性能を保持することが必要であり、
耐候性を向上させるための紫外線吸収剤や酸化防止剤な
どの各種安定剤や、顔料、染料などを添加しても良い。
以下、本発明を実施例により説明するが、これに限定さ
れるものではない。
【0020】
【実施例】
実施例1 生分解性脂肪族ポリエステルであるビオノーレ3010
(商品名:昭和高分子製)が50重量%、高分子系担持
体としてポリカプロラクトン(商品名トーン:ユニオン
カーバイド製)が20重量%、充填剤として無水ケイ酸
(日本アエロジル製)が10重量%、活性物質としてワ
タアカミムシの性フェロモンであるZ,Z/E−7,1
1−ヘキサデカジエニルアセテートを20重量%混合
し、3本ロールにて混練後厚さ0.5mmのシートに圧
延した。このシートを幅20mm、長さ50mmの短冊
状に切取り害生物防除剤を作製した。これを40℃、
0.5m/sの条件下に放置し放出速度を測定したとこ
ろ約45日間にわたり1.8mg/日以上の放出速度を
示し、良好な結果を示した。なおこの防除剤を4〜10
月の間、土中に埋蔵したところ部分的に消失し、残存部
もボロボロとなっており、生分解が進んでいた。ここで
用いたポリカプロラクトン0.5gをZ,Z/E−7,
11−ヘキサデカジエニルアセテート2gに加え、ビオ
ノーレ3010の融点である96℃に加熱し攪拌したと
ころ透明な粘調液となった。また、無水ケイ酸の吸油量
は148mlであった。
【0021】実施例2 実施例1と同様にして厚さ0.5mmのシートを作製
し、このシートを幅40mm、長さ50mmの短冊状に
切取り害生物防除剤を作製した。これを40℃、0.5
m/sの条件下に放置し放出速度を測定したところ約4
0日間にわたり3.5mg/日以上の放出速度を示し、
放出面積の変更により容易に放出速度を調整することが
できた。なおこの防除剤を4〜10月の間、土中に埋蔵
したところ実施例1と同程度に生分解が進んでいた。
【0022】実施例3 厚さ0.25mmのシートとした以外は実施例1と同様
にして短冊状の害生物防除剤を作製した。これを40
℃、0.5m/sの条件下で放出速度を測定したところ
約20日間にわたり1.8mg/日以上の放出速度を示
し、厚みの変更により容易に放出期間を調整することが
できた。なおこの防除剤を4〜10月の間、土中に埋蔵
したところ殆ど消失するまで生分解を進んでいた。
【0023】比較例1 実施例1と同様のビオノーレ3010(商品名:昭和高
分子製)80重量%と、Z,Z/E−7,11−ヘキサ
デカジエニルアセテート20重量%を、実施例と同様に
3本ロールにて混練したところ。Z,Z/E−7,11
−ヘキサデカジエニルアセテートの吸込みが悪くロール
より垂れ落ちるなど加工性に劣るものであった。Z,Z
/E−7,11−ヘキサデカジエニルアセテート2gに
ビオノーレ3010を0.5g加え、96℃にて加熱攪
拌したところ、Z,Z/E−7,11−ヘキサデカジエ
ニルアセテートとビオノーレ3010は二相に分離し溶
液あるいは懸濁液を生成しなかった。
【0024】比較例2 比較例1と同様にビオノーレ3010(商品名:昭和高
分子製)8gとZ,Z/E−7,11−ヘキサデカジエ
ニルアセテート2gを混合し、これに塩化メチレン50
mlを加え溶液を得た。これをガラス板上に流延し、厚
み0.12mmのフィルム状防除剤を得た。得られた防
除剤は、表面に活性物質であるZ,Z/E−7,11−
ヘキサデカジエニルアセテートがブリードしており手に
付着するなど不適当なものであった。また、得られたフ
ィルムは剛性が無く懸吊性に劣るものであった。
【0025】実施例4 生分解性脂肪族ポリエステルであるビオノーレ1010
(商品名:昭和高分子製)が40重量%、高分子系担持
体としてポリ酢酸ビニル(アルドリッチ製)が25重量
%、充填剤として炭酸カルシウム(日東粉化工業製)が
15重量%、活性物質としてハマキムシ類の性フェロモ
ンであるZ−11−テトラデセニルアセテートを20重
量%混合し、3本ロールにて混練後厚み0.5mmのシ
ートに圧延した。これを幅30mm、長さ70mmの短
冊状に切断し、上部に直径1cmの係止孔を開け害虫防
除剤を作製した。これを30aのリンゴ園に180枚設
置し、5月中旬〜8月中旬に掛けてリンゴコカクモンハ
マキの誘引阻害率を測定したところ99.0%と高い効
果を示した。また、得られた害生物防除剤を4〜10月
の間、土中に埋蔵したところ部分的に消失しており、残
存物も容易に手でちぎれるほどに生分解が進んでいた。
ここで用いたポリ酢酸ビニル0.5gをZ−11−テト
ラデセニルアセテート2gに加えビオノーレ1010の
融点である114℃に加熱攪拌したところ、透明な粘調
液を生成した。また、炭酸カルシウムの吸油量は36m
lであった。
【0026】実施例5 生分解性脂肪族ポリエステルであるバイオポール(商品
名:ゼネカ製)90重量%、高分子系担持体として酢酸
ビニル含有量が41%のエチレン−酢酸ビニル共重合体
(住友化学製)を2重量%、充填剤系担持体としてタル
ク(日本タルク製)2重量%、活性物質としてナシヒメ
シンクイの性フェロモンであるZ−8−ドデセニルアセ
テート6%の混合物を2本ロールで混練後、粉砕機で4
2メッシュパスの粉体を得た。この粉体400gに粘着
剤(商品名ビニブラン2580:日信化学製)15kg
を加え水200Lに分散した後散布機を用い4月中旬に
モモ園20aに処理した。4月中旬から5月下旬に掛け
てナシヒメシンクイの誘引阻害率を測定したところ10
0%と満足できる結果であった。害虫防除剤である粉体
1gを土中にまとめて埋蔵し4〜10月の間、放置した
後掘出して調べたところ粉体はかすかに白く残る程度
で、粉粒体は完全に消失し確認することができなかっ
た。ここで用いたエチレン−酢酸ビニル共重合体0.5
gをZ−8−ドデセニルアセテート2gに加え、バイオ
ポールの融点である144℃に加熱攪拌したところ透明
な粘調液となった。また、タルクの吸油量は31mlで
あった。
【0027】比較例3 バイオポール(商品名:ゼネカ製)96重量%、高分子
系担持体として酢酸ビニル含有量が41%のエチレン−
酢酸ビニル共重合体(住友化学製)2重量%、活性物質
としてナシヒメシンクイの性フェロモンであるZ8−ド
デセニルアセテート2%を用いた以外は実施例5と同様
にして42メッシュパスの粉体を得た。
【0028】この粉体1200gに粘着剤(商品名ビニ
ブラン2580:日信化学製)20kgを加え水200
Lに分散した後散布機を用い4月中旬にモモ園20aに
処理した。4月中旬から5月中旬に掛けてナシヒメシン
クイの誘引阻害率を測定したところ76.2%と不十分
であり、また粉体も1200g使用するなど不経済であ
った。
【0029】実施例6 ポリカプロラクトン(ユニオンカーバイド製)30重量
%と高分子系担持体として酢酸ビニル含有量が41%の
エチレン−酢酸ビニル共重合体(住友化学製)を10重
量%、充填剤として無水ケイ酸(日本アエロジル製)を
10重量%、活性物質としてZ−11−テトラデセニル
アセテート50重量%を混合し、押出し成形機で内径8
mm、外径10mm、長さ40mmの管状の害生物防除
剤を成形した。この管状害生物防除剤を枝に差すように
して20aのリンゴ園に60個の割合で設置し、5月中
旬から8月中旬に掛けてリンゴコカクモンハマキの誘引
阻害率を測定したところ99.5%と高い効果を示し
た。この管状害生物防除剤を4月〜10月の間、土中に
埋蔵したところ、形状が崩れボロボロになっていた。高
分子系担持体である酢酸ビニル含有量が41%のエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体(住友化学製)0.5gをZ−
11−テトラデセニルアセテート2gに加え、ポリカプ
ロラクトンの融点である60℃に加熱し攪拌したところ
透明な粘調液を生成した。また、無水ケイ酸の吸油量は
148mlであった。
【0030】比較例4 ポリカプロラクトンを20重量%と高分子系担持体とし
て酢酸ビニル含有量が41%のエチレン−酢酸ビニル共
重合体を10重量%、充填剤として無水ケイ酸を5重量
%、活性物質としてZ−11−テトラデセニルアセテー
ト65重量%を混合した以外は実施例6と同様にして、
内径8mm、外径10mm、長さ40mmの管状の害生
物防除剤を成形した。この管状害生物防除剤は、活性物
質であるZ−11−テトラデセニルアセテートが表面に
ブリードしベタベタするなど取扱いが不便であると共
に、リンゴの枝に差込む際容易に管が潰れるなどの不都
合があり不適なものであった。
【0031】実施例7 生分解性脂肪族ポリエステルとしてビオノーレ1010
(商品名:昭和高分子製)60重量%、高分子系担持体
としてエチルアクリレート含有率が10%のエチレン−
エチルアクリレート共重合体(日本ユニカー製)20重
量%、活性物質としてコドリンガの性フェロモンである
E,E−8,10−ドデカジエノール20重量%からな
る混合物をロールで混練し、厚さ0.5mmのシートに
圧延した。このシートを幅20mm、長さ50mmの短
冊状に切抜き30℃、1m/sの条件下で放出速度を測
定したところ1.5mg/日以上の放出速度で約50日
間持続し、長期間の放出に適するものであった。得られ
た短冊状害生物防除剤を4〜10月の間、土中に埋蔵し
たところ、所々消失し手で容易に砕けるほどに生分解が
進んでいた。ここで用いたエチルアクリレート含有率が
10%のエチレン−エチルアクリレート共重合体をビオ
ノーレ1010の融点である114℃まで加熱し攪拌し
たところ、白濁した粘性のある懸濁液となった。
【0032】比較例5 ビオノーレ1010を25重量%、エチレン−エチルア
クリレート共重合体を55重量%、E,E−8,10−
ドデカジエノールを20重量%使用した以外は実施例7
と同様にして短冊状の害生物防除剤を作製した。これを
実施例7と同様にして30℃、1m/sの条件下で放出
速度を測定したところ放出初期の過剰放出が大きく、そ
の後急激に漸減するなど実用的ではなかった。なお、
1.5mg/日以上の放出を確保したのは27日間であ
った。この害生物防除剤を実施例7と同様に4〜10月
の間、土中に埋蔵したところ、表面に僅かに変色が見ら
れた以外は全く変化は見られず生分解は進んでいなかっ
た。
【0033】
【発明の効果】上記したところから明かなように、本発
明の生分解性害生物防除剤を用いることにより、長期間
に渡る害虫防除が可能であり、かつ生分解が可能である
ことから使用後回収する必要が無く省力的である。ま
た、微生物により分解され形状が消失してしまうため環
境の保護ができる。また、本発明の生分解性害生物防除
剤は製造が容易であることから優れた経済性を有する。
さらに、放出速度や有効期間の調整や形態の加工が容易
であることから設置数の削減をすることができる。さら
には、パウダー状とすることにより空中散布にも対応す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる生分解性害生物防除剤の成形形
態を概念的に示す斜視図である。
【図2】本発明にかかる生分解性害生物防除剤の成形形
態を概念的に示す斜視図である。
【図3】本発明にかかる生分解性害生物防除剤の成形形
態を概念的に示す斜視図である。
【図4】本発明にかかる生分解性害生物防除剤の成形形
態を概念的に示す斜視図である。
【符号の説明】
11、12、13、14、15、16、21、31、32、33、34、41、4
2、43、44 生分解性害生物防除剤

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性物質と、該活性物質を保持する担持
    体とを、生分解性脂肪族ポリエステル中に混合分散して
    なることを特徴とする生分解性害生物防除剤。
  2. 【請求項2】 担持体が、使用する生分解性脂肪族ポリ
    エステルの融点以上の温度において、活性物質の溶液も
    しくは懸濁液を生ずるような性質を持つ高分子材料、あ
    るいは無機質系もしくは有機質系からなる充填剤、又は
    これらのうちの二種以上の混合物からなるものであるこ
    とを特徴とする請求項1の生分解性害生物防除剤。
  3. 【請求項3】 活性物質の含有量が2〜60重量%、生
    分解性脂肪族ポリエステルが30〜95重量%、活性物
    質を保持する担持体が2〜50重量%の範囲からなる組
    成物であることを特徴とする生分解性害生物防除剤。
  4. 【請求項4】 上記活性物質がフェロモン物質であるこ
    とを特徴とする請求項1から3のいずれか一の生分解性
    害生物防除剤。
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