JPH10168008A - 環状アルコールの製造方法 - Google Patents

環状アルコールの製造方法

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JPH10168008A
JPH10168008A JP8344483A JP34448396A JPH10168008A JP H10168008 A JPH10168008 A JP H10168008A JP 8344483 A JP8344483 A JP 8344483A JP 34448396 A JP34448396 A JP 34448396A JP H10168008 A JPH10168008 A JP H10168008A
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JP
Japan
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acid
organic additive
cyclic
cyclic alcohol
water
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JP8344483A
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Inventor
Makoto Tezuka
真 手塚
Tsutomu Yonemori
勉 米盛
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シクロヘキセン等の環状オレフィンを固体酸
触媒及び有機添加剤の存在下液相水和反応してシクロヘ
キサノール等の環状アルコールを製造する際、反応生成
混合物の油相から環状アルコールを回収した後の有機添
加剤を含有する残液を、支障無く水和反応に循環使用す
る方法を提供する。 【解決手段】 固体酸触媒及び有機添加剤(例えば、安
息香酸等)の共存下、液相で環状オレフィンを接触水和
して環状アルコールを製造する方法において、水和反応
に使用後の有機添加剤を80−250℃で水と接触処理
し、再び水和反応に供することよりなる環状アルコール
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、固体酸触媒を用い、環
状オレフィンを水和して環状アルコールを製造する改良
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シクロヘキセン等の環状オレフィンの接
触水和反応による環状アルコールの製造方法において触
媒として、強酸性イオン交換樹脂やゼオライト等の固体
酸触媒を使用する方法が知られている。これらの方法の
利点は、鉱酸類等の均一系触媒に比較して触媒の分離が
容易なことであるが、その反面、収率が低いという問題
がある(例えば、特公昭58−194828)。また、
収率向上を目的に、有機酸(特開昭60−25234
7、特開平1−313447)、フェノール類(特開昭
62−120333、特開昭62−126141号公
報)、フルオロアルコール類(特開昭64−1304
4)、芳香族カルボン酸(特開平5−255162)等
の有機添加剤を水和反応系に共存させる方法が報告され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】固体酸触媒、場合によ
り有機添加剤を共に用いる液相水和反応においては、触
媒、水、油相(主に原料の環状オレフィン、生成物の環
状アルコール、有機添加剤から成る)の混合系で反応を
行う方法が一般的である。このような系では、固体酸触
媒、中でも特にゼオライト触媒は水相のみに分配される
ので、目的生成物の環状アルコールを含有する油相を水
相から相分離すれば、生成物の環状アルコールを効率よ
く回収することができ、かかる液相水和反応を連続反応
方式に適用することが期待できる。
【0004】しかしながら、本発明者等の検討によれ
ば、水和反応に用いた有機添加剤を、回収後、再び水和
反応に用いると、収率向上の効果が大きく低減されてし
まうという問題が明らかとなった。これは、水和反応を
工業的に連続反応方式で実施する際、重大な支障をきた
す問題である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、水和反応後に回収
した有機添加剤を、特定の温度範囲内で水と接触処理し
たのち、再び水和反応に供した場合には、その収率向上
効果は失なわれず、長期間に渡り使用できることを見い
だし本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要
旨は、固体酸触媒及び有機添加剤の共存下、液相で環状
オレフィンを接触水和して環状アルコールを製造する方
法において、水和反応に使用後の有機添加剤を80〜2
50℃で水と接触処理し、再び水和反応に供することを
特徴とする環状アルコールの製造方法に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明方法に使用する触媒は、環状オレフィンの水和反
応に適用される固体酸触媒である。固体酸触媒は、酸性
の固体物質であり、ゼオライト、ヘテロポリ酸類、スル
ホン酸基等を含有する強酸性イオン交換樹脂、また、含
水酸化ニオブ、含水酸化タンタル、二酸化ジルコニウ
ム、二酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素等
の無機酸化物あるいはこれらの複合酸化物、更にスメク
タイト、カオリナイト、バーミキュライト等の層状化合
物をアルミニウムおよびケイ素、チタン、ジルコニウム
の中から選ばれる一種類以上の金属酸化物で処理したイ
オン交換型層状化合物などが例示されるが、本発明にお
ける固体酸触媒としてはゼオライトや、ヘテロポリ酸類
が特に好ましく、ゼオライトが非常に好ましい。これら
の固体酸触媒の使用される形態は、反応系で水相から油
相への混入等を生じない限り特に制限はなく、通常粉末
状、顆粒状で使用される。また、担体あるいはバインダ
ーとして、アルミナ、シリカ、チタニア等を使用しても
よい。
【0007】環状オレフィンの水和反応に用いるゼオラ
イト触媒としは、触媒として使用可能なゼオライトであ
れば特に限定されず、例えば、モルデナイト、エリオナ
イト、フェリエライト、モービル社発表のZSM−5、
ZSM−4、ZSM−8、ZSM−11、ZSM−1
2、ZSM−20、ZSM−40、ZSM−35、ZS
M−48系ゼオライトやMCM−41、MCM−48、
MCM−50、FSM−16等のいわゆるM41Sメソ
ポーラスゼオライト等の結晶性アルミノシリケート、お
よびボロシリケート、ガロシリケート、フェロアルミノ
シリケート、チタノシリケート等の異元素含有ゼオライ
ト等の公知のゼオライトが例示できる。また、これらの
ゼオライトは、通常プロトン交換型(H型)が用いられ
るが、その一部がNa、K、Li等のアルカリ金属、M
g、Ca、Sr等のアルカリ土類元素、Fe、Co、N
i、Ru、Pd、Pt、Zr、Ti等の遷移金属元素か
ら選ばれた少なくとも一種のカチオン種で交換されてい
てもよい。
【0008】ヘテロポリ酸類としては、ヘテロポリ酸や
ヘテロポリ酸をシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニ
ア、ゼオライト等の無機酸化物に担持、あるいは固定化
したものが挙げられる。ヘテロポリ酸は、モリブデン、
タングステン、バナジウム、ニオブ、タンタルの少なく
とも一種類の金属原子を含有するものであり、さらに他
の元素を縮合配位元素として含んでいてもよい。このヘ
テロポリ酸の中心元素は、例えば、P、As、Si、G
e、Ti、Ce、Th、Mn、Ni、Te、I、Co、
Cr、Fe、Ga、B、V、Pt、Be及びZnの群の
中から選ばれた1種であり、またヘテロポリ酸中の縮合
配位元素と中心元素との原子比は2.5−12である。
さらにヘテロポリ酸は単量体のみならず二量体や三量体
などの重合物も使用しうる。
【0009】これらのヘテロポリ酸の具体例としては、
リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブド
タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブ
ドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、
リンモリブドニオブ酸、リンマンガンタングステン酸、
ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブド
タングステン酸、ケイモリブドタングストバナジン酸、
ホウモリブデン酸、ホウタングステン酸、ホウモリブド
タングステン酸、ホウモリブドバナジン酸、ホウモリブ
ドタングストバナジン酸、コバルトモリブデン酸、コバ
ルトタングステン酸などが挙げられる。また、ヘテロポ
リ酸のカチオンの一部もしくは全部を、をセシウム等の
カチオンで交換したものでもよい。
【0010】上記のような固体酸触媒の存在下、水相と
環状オレフィンを含む油相を混合して環状オレフィンの
水和反応を行うことができる。環状オレフィンとして
は、シクロペンテン、メチルシクロペンテン類、シクロ
ヘキセン、メチルシクロヘキセン類、シクロオクテン、
シクロドデセン等が例示できるが、好ましくは6−8員
環を有するシクロアルケンであり、特に好ましくはシク
ロヘキセンである。
【0011】また、反応系に有機溶媒を共存させてもよ
い。有機溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−オ
クタン、n−デカン、n−ドデカン、シクロペンタン、
シクロヘキサン、シクロオクタン、デカリン等の脂肪族
炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリ
ン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プ
ロパノール、t−アミルアルコール、シクロペンタノー
ル等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジシクロヘキ
シルエーテル等のエーテル類;シクロペンタノン、シク
ロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル、
ギ酸エチル、ギ酸メチル、酪酸エチル、酪酸メチル、ガ
ンマーブチロラクトン、リン酸アルキルエステル等のエ
ステル類、クロロベンゼン、クロロホルム、塩化メチレ
ン、四塩化炭素等の含ハロゲン化合物が挙げられる。
【0012】本発明では、上記のような水和反応におい
て、収率向上効果の高い有機添加剤を共存させる。かか
る有機添加剤としては芳香族カルボン酸類、フェノール
類、環式飽和カルボン酸類、複素環カルボン酸あるいは
これらのエステル類等の含酸素化合物;アミド類やニト
リル類等の含窒素化合物;芳香族スルホン酸類;チオー
ル類等が挙げられるが、一般的には芳香族カルボン酸
類、フェノール類又は環式飽和カルボン酸類に属するも
のが好ましい。
【0013】芳香族カルボン酸類としては、ベンゼン、
ナフタレン等から誘導され、1〜4個程度のカルボキシ
ル基を有するものとして、安息香酸、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸
等が例示される。また、本発明において用いることがで
きる芳香族カルボン酸類には、芳香族環に直接カルボキ
シル基が結合するものだけでなく、マンデル酸、ベンジ
ル酸、2−フェニル−2,2−ジヒドロキシ酢酸等のα
−ヒドロキシカルボン酸類、フェニルグリオキシル酸等
のα−ケトカルボン酸類なども含まれる。以上のような
芳香族カルボン酸類のカルボキシル基についてはエステ
ルやアミドを形成したものであってもよいし、更に芳香
族環にアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、
アルキルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、
アリール基、アリールカルボニル基、アリールオキシカ
ルボニル基、ハロゲン基、ヒドロキシル基、チオール基
等の置換基を有していてもよい。
【0014】芳香族カルボン酸類の中では特に安息香酸
類が好ましく、具体的には安息香酸;トルイル酸、エチ
ル安息香酸、プロピル安息香酸、2、6−ジメチル安息
香酸、2,4,6−トリメチル安息香酸等の1つ以上の
アルキル基を有する安息香酸;2,3−ジメトキシ安息
香酸、2,4−ジメトキシ安息香酸、2,5−ジメトキ
シ安息香酸、2,6−ジメトキシ安息香酸、3,4−ジ
メトキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ安息香酸、2,
3,4−トリメトキシ安息香酸、2,4,5−トリメト
キシ安息香酸、3,4,5−トリメトキシ安息香酸、2
−エトキシ安息香酸等の炭素数1〜8程度のアルコキシ
基を有するアルコキシ安息香酸;2−フェノキシ安息香
酸、3−フェノキシ安息香酸、2−(4−トルイルオキ
シ)安息香酸等の炭素数6〜12程度のアリールオキシ
基を有するアリールオキシ安息香酸;2−アセチル安息
香酸、2−エチルカルボニル安息香酸等の炭素数1〜8
程度のアルキルカルボニル基を有するアルキルカルボニ
ル安息香酸が挙げられる。
【0015】また、2−ベンゾイル安息香酸、3−ベン
ゾイル安息香酸、2−(4−メチル)ベンゾイル安息香
酸等の炭素数7〜13程度のアリールカルボニル基を有
するアリールカルボニル安息香酸;2−メトキシカルボ
ニル安息香酸、2−エトキシカルボニル安息香酸等の炭
素数2〜9程度のアルキルオキシカルボニル基を有する
アルキルオキシカルボニル安息香酸;2−ベンゾキシカ
ルボニル安息香酸、2−(4−メチル)ベンゾキシカル
ボニル)安息香酸等の炭素数7〜13程度のアリールオ
キシカルボニル基を有するアリールオキシカルボニル安
息香酸;2−フェニル安息香酸、2−(4−トルイル)
安息香酸等の炭素数6〜12程度のアリール基を有する
アリール安息香酸;2−ベンジル安息香酸、2−フェネ
チル安息香酸、3−フェネチル安息香酸等の炭素数7〜
18程度のアリールアルキル基を有するアリールアルキ
ル安息香酸;3−フルオロ安息香酸、3−クロロ安息香
酸2,6−ジトリフルオロメチル安息香、2,4,6−
トリフルオロメチル安息香酸、ペンンタフルオロ安息香
酸等のハロゲン基を有する安息香酸が挙げられる。
【0016】これらの置換基を有する安息香酸類のなか
でも、好ましくは、アルキル基、アリールオキシ基、ア
リール基を有する安息香酸類、特に好ましくは、2−フ
ェノキシ安息香酸、オルト−トルイル酸が挙げられる。
【0017】フェノ−ル類の具体例としては、フェノ−
ル、クレゾ−ル、キシレノ−ル、トリメチルフェノ−
ル、エチルフェノ−ル、イソプロピルフェノ−ル、t−
ブチルフェノ−ル等のアルキル基を有するフェノ−ル
や、フェニルフェノ−ル、トルイルフェノ−ル、クロロ
フェノ−ル、ブロモフェノ−ル、ヨ−ドフェノ−ル、ピ
ロカテコ−ル、レゾルシン、ハイドロキノン、ピロガロ
−ル、ハイドロキノンモノメチルエ−テル、ニトロフェ
ノ−ル、メルカプトフェノ−ル、フェノ−ルスルホン酸
等のうち、1気圧、25℃で固体のものが挙げられる。
更に、安息香酸類とフェノール類に属するものとしてサ
リチル酸類のサリチル酸、アセチルサリチル酸等が挙げ
られる。また、サリチル酸の異性体である4−ヒドロキ
シ安息香酸でもよい。
【0018】その他、環式飽和カルボン酸類の具体例と
しては、シクロヘキサンカルボン酸類のシクロヘキサン
モノカルボン酸、シクロヘキサン1,3−ジカルボン
酸、1−メチルシクロヘキサンモノカルボン酸、2−メ
チルシクロヘキサンモノカルボン酸等が挙げられるが、
とくに好ましくは2−メチルシクロヘキサンモノカルボ
ン酸である。
【0019】エステル類としては、これまで挙げた芳香
族カルボン酸類、環式飽和カルボン酸類等のメチルエス
テル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエス
テル、シクロヘキシルエステル等が挙げられる。含硫黄
化合物としては、チオサリチル酸等が挙げられる。以上
の有機添加剤は、単独で使用しても、2種類以上の混合
物として用いてもよい。また、反応器への供給は、溶融
状態又は溶液状態のいずれでも良い。
【0020】有機添加剤の反応器への供給量は、極微量
でも水和反応の収率向上効果が認められる。例えば、環
状オレフィン1モル当たり通常0.00001〜20モ
ル、好ましくは0.01〜10モル、さらに好ましくは
0.05〜2モルである。また、有機添加剤を有機溶媒
に溶解させた溶液状態で反応器に供する場合には、さら
に広い値をとり得る。
【0021】水和反応混合物より目的とする生成環状ア
ルコールを回収するためには、まず反応混合物を水相と
油相に分離する必要がある。触媒を含む水相は分離した
のち、反応器に循環して再使用することができる。ま
た、分離した油相より、環状アルコールは蒸留等の公知
の方法により容易に精製回収することができる。また、
未反応環状オレフィンも同様に蒸留等の公知の方法によ
り容易に分離することができ、これは水和反応の原料と
してリサイクルすることができる。環状アルコールを分
離した後の残液には有機添加剤を含むので、水和反応の
原料として再使用できれば効率的である。しかしなが
ら、一度水和反応に供した有機添加剤を再び水和反応に
供すると、その収率向上効果が大きく低減してしまうの
で直接循環使用することが出来ないことが判った。そこ
で、本発明に従い、この使用後の有機添加剤は特定条件
下で処理した後、反応器に再供給することが必要であ
る。即ち、水和反応に供した後の有機添加剤を含有する
残液を80〜250℃で水と接触処理したのちに、水和
反応に供すると、有機添加剤の収率向上効果が損なわれ
ることなく、水和反応に再利用できるのである。
【0022】この水処理によって奏される効果の理由の
詳細は必ずしも明らかではないが、残液中には水和反応
で生じる構造不明の微量不純物が有機添加剤と共存し、
このものの一部は蒸留等では有機添加剤から除去されな
いものと推察されるが、これらは水との接触処理により
可溶化される、或いは水と反応して水相中に溶解する別
の化合物となって水相と一緒に除去されるか、更には水
と反応して水和反応に悪影響を与えない他の化合物とな
るものと推測される。
【0023】本発明の水処理は、水和反応生成混合物を
水相と油相に相分離後、分離した油相から環状アルコー
ルを蒸留等により分離した後の、有機添加剤を含有する
残液に対して実施するのが、大きな効果を得ることがで
きる。これは、水処理によって水相に溶解除去されるべ
き不純物成分が、油相に環状アルコールを含む場合には
油相中に溶解しやすいため、十分に水相中に除去できな
いためと考えられる。従って、反応混合物の相分離後の
油相から、環状アルコール、必要な場合には原料環状オ
レフィンも蒸留等により分離した後の有機添加剤を含む
残液に対して水処理を行うことが好ましい。また、原料
オレフィン及び生成物環状アルコールを除去したのちの
残液をさらに蒸留して得られる精製有機添加剤を水処理
に付してもよい。なお、水との接触処理において、水和
反応に使用したような有機溶媒が共存しても差し支えな
い。
【0024】接触処理に使用する水の量は、接触処理後
水相と油相の相分離を可能にするのに要する量であれば
特に制限はないが、通常、有機添加剤1モル当たり、
0.01〜1000モルが好ましく、少量すぎると相分
離操作が困難であり、必要以上に使用すると水処理のコ
スト増を招き好ましくない。処理温度は80〜250
℃、好ましくは100〜200℃である。また水和反応
温度以上の温度であれば、さらに好ましい。処理時間
は、適用温度等の処理条件によっても異なるが、通常
0.01〜10時間程度である。接触処理は、水和反応
生成混合物の油相部から環状アルコールを留去した後の
有機添加剤を含有する残液、或いは更にこの残液を蒸留
精製したものに必要量の水を加え、所定温度下に所定時
間攪拌等により充分接触させることにより行われる。接
触処理は連続方式でも回分方式でも実施できる。
【0025】接触処理後は、処理液を油相と水相の相分
離により、有機添加剤を含む油相と水相に分離できる。
この有機添加剤を含む油相は、再び水和反応に供するこ
とができる。この油水分離操作により、有機添加剤中か
らの、水和反応に悪影響を及ぼすと思われる成分の除去
が達成される。
【0026】本発明方法の接触水和反応による環状アル
コールの製造は、固体酸触媒、環状オレフィン、水、有
機添加剤の存在下に実施され、反応形式は連続流通方式
やバッチ回分方式等一般的に用いられる形式で行われる
が、連続方式を採用するのが好ましい。触媒使用方式は
特に制限はないが、固定床方式、スラリー方式が用いら
れる。水和反応の途中で混合を停止して油相と水相が分
離する場合、主に、水相には固体酸触媒が含まれ、油相
には原料の環状オレフィンと生成した環状アルコールが
含まれる。水和反応は、攪拌等により水相と油相を混合
して、懸濁状態、例えば、連続水相中に油相を液滴状態
で分散させて行われる。
【0027】水和反応は、固体酸触媒の存在下水と環状
オレフィンを混合して反応させるが、反応途中で混合を
弱くするか、停止状態においては、水相と油相が分離す
る。水相に対する油相の容量比は通常0.01〜10、
好ましくは0.1〜1である。原料の環状オレフィンあ
るいは水が一方に比べて大過剰になる場合は、水相と油
相の分離が不良であり、かつ、反応速度も低下するので
好ましくない。また、環状オレフィンに対する触媒の重
量比は、通常0.01〜20、好ましくは0.05〜5
である。触媒が少なすぎる場合には反応速度が遅く反応
器が大きくなり、また、多すぎる場合には触媒コストが
大きくなるので好ましくない。
【0028】水和反応条件として、反応温度は使用する
原料環状オレフィンによって最適温度範囲が異なるが、
通常50〜300℃、好ましくは70〜200℃、より
好ましくは80〜160℃である。反応圧力は特に制限
はないが、環状オレフィンおよび水を液相に保ちうる圧
力が好ましく、通常5MPa以下、好ましくは0.2〜
2MPaである。反応時間あるいは滞留時間は、通常1
分〜10時間、好ましくは5分〜5時間である。また、
水和反応系は窒素、ヘリウム、水素、アルゴン、二酸化
炭素等の不活性ガス雰囲気下に保つことが好ましい。こ
の場合、不活性ガス中の酸素の含有量は少ない方が好ま
しく、酸素含有量が通常100ppm以下、好ましくは
20ppm以下のものが使用される。
【0029】
【実施例】以下、実施例および比較例を示し、本発明を
具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0030】実施例1 A:シクロヘキセンの連続流通水和反応 図1に示すような連続流通反応装置を用いて、シクロヘ
キセンの水和反応を行った。即ち、内容積2000ml
の攪拌装置付きステンレス製オートクレーブ反応器3
に、水和触媒としてH型ガリウムシリケート(SiO2
/Ga23分子比=50/1)100gと水250gを
仕込み、系内を窒素ガス置換した。回転数500rpm
で攪拌しつつ反応器3内を昇温して反応温度120℃と
した後、供給管1よりシクロヘキセン(試薬:アルドリ
ッチ社製)を120g/hrの速度で供給した。さらに
有機添加剤として、2−フェノキシ安息香酸を170℃
に加熱して溶融したものを36g/hの速度で供給管6
より供給した。
【0031】反応液は反応器内部に設置した内容積30
mlの液液分離器4内で油相と触媒スラリー水相に分離
された後、オーバーフロー管5より油相のみが流出され
る。また、供給管2からは水和反応で消費される水とオ
ーバーフロー管5から油相への溶解度分として流出する
水の合計量の水を供給することにより反応器3内の水量
を一定に保った。原料シクロヘキセン供給開始後5時間
後におけるシクロヘキサノールの収率(対フィード原料
シクロヘキセン)を表−1に示す。
【0032】B:原料シクロヘキセン、生成物シクロヘ
キサノールの分離 上記の連続流通反応開始後5時間目から15時間目まで
の流出油相を合わせて、バッチ式蒸留により、シクロヘ
キセンを常圧下で、シクロヘキサノールを1.3kPa
下で蒸留分離した。残った有機添加剤を含む残液をガス
クロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキセン濃
度は0.1(重量)%未満、シクロヘキサノール濃度は
1.2(重量)%であった。
【0033】C:有機添加剤と水との接触処理 上記の有機添加剤を含む残液365gを水400gとS
US製オートクレーブに入れ、150℃で2h攪拌下接
触処理を行った。処理後、反応液を150℃に保持した
まま、油水分離により、有機添加剤を含む油相を分離し
た。
【0034】D:水で接触処理した有機添加剤を用いた
連続流通水和反応 上記C工程で得られた有機添加剤を含む残液を、A工程
のシクロヘキセンの連続流通水和反応における2−フェ
ノキシ安息香酸の代わりに36g/hの速度で供給し
た。原料シクロヘキセン供給開始後5時間後におけるシ
クロヘキサノールの収率(対フィード原料シクロヘキセ
ン)を表−1に示す。
【0035】比較例1 実施例1において、C工程(有機添加剤と水との接触処
理)を実施せずに、有機添加剤を含む残液を再びシクロ
ヘキセンの連続水和反応に供した以外は実施例1と同様
に行った。原料シクロヘキセン供給開始後5時間目にお
けるシクロヘキサノールの収率を表−1に示す。
【0036】実施例2 実施例1において、有機添加剤として2−フェノキシ安
息香酸の代わりに、オルト−トルイル酸を用いた以外は
実施例1と同様に行った。原料シクロヘキセン供給開始
後5時間目におけるシクロヘキサノールの収率を表−1
に示す。
【0037】実施例3 実施例1において、有機添加剤として2−フェノキシ安
息香酸の代わりに、2ーメチルシクロヘキサンカルボン
酸を用いた以外は実施例1と同様に行った。原料シクロ
ヘキセン供給開始後5時間目におけるシクロヘキサノー
ルの収率を表−1に示す。
【0038】比較例2 実施例2において、C工程(有機添加剤と水との接触処
理)を実施せずに、有機添加剤を含む残液を再びシクロ
ヘキセンの連続水和反応に供した以外は実施例2と同様
に行った。原料シクロヘキセン供給開始後5時間目にお
けるシクロヘキサノールの収率を表−1に示す。
【0039】比較例3 実施例3において、C工程(有機添加剤と水との接触処
理)を実施せずに、有機添加剤を含む残液を再びシクロ
ヘキセンの連続水和反応に供した以外は実施例3と同様
に行った。原料シクロヘキセン供給開始後5時間目にお
けるシクロヘキサノールの収率を表−1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】本発明方法によれば、環状オレフィンの
接触水和反応による環状アルコールの製造の際に使用さ
れた有機添加剤を、所定温度で水と接触処理するという
極めて簡単な操作により水和反応に悪影響を及ぼす反応
生成不純物を分離除去することが出来、しかもこの接触
処理後の有機添加剤は水和反応に循環使用しても収率低
下を生じないので工業的に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で使用した連続流通反応装置の概略図
を示す。
【符号の説明】
1:シクロヘキセンの供給管 2:水供給管 3:反応器 4:油水分離堰 5:オーバーフロー管 6:有機添加剤供給管

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体酸触媒及び有機添加剤の共存下、液
    相で環状オレフィンを接触水和して環状アルコールを製
    造する方法において、水和反応に使用後の有機添加剤を
    80〜250℃で水と接触処理し、再び水和反応に供す
    ることを特徴とする環状アルコールの製造方法。
  2. 【請求項2】 水和反応生成混合物から環状アルコール
    を分離した後の有機添加剤を含有する残液を、水と接触
    処理することを特徴とする請求項1に記載の環状アルコ
    ールの製造方法。
  3. 【請求項3】 有機添加剤に対し水0.01〜1000
    モル倍を用いて接触処理することを特徴とする請求項1
    または2のいずれか1項に記載の環状アルコールの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 有機添加剤及び水を含む接触処理後の混
    合液を油相と水相に分離し、分離された油相を再び水和
    反応に供することを特徴とする請求項1乃至3のいずれ
    か1項に記載の環状アルコールの製造方法。
  5. 【請求項5】 固体酸触媒としてゼオライトを用いるこ
    とを特徴とする請求項1乃至4項のいずれか1項に記載
    の環状アルコールの製造方法。
  6. 【請求項6】 有機添加剤が、芳香族カルボン酸類、フ
    ェノール類及び環式飽和カルボン酸類から選ばれる少な
    くとも一種であることを特徴とする請求項1乃至5のい
    ずれか1項に記載の環状アルコールの製造方法。
  7. 【請求項7】 有機添加剤は、環状アルコールの沸点よ
    り高沸点であることを特徴とする請求項1乃至6のいず
    れか1項に記載の環状アルコールの製造方法。
  8. 【請求項8】 下記(1)〜(5)工程を包含する環状オレフ
    ィンの接触水和による環状アルコールの連続的製造方
    法。 (1) 個体酸触媒を含む反応器に、環状オレフィン、水
    及び有機添加剤を供給し液相で接触水和させる、(2)
    反応器から環状アルコール及び有機添加剤を含む反応生
    成混合物を取り出す、(3) 該反応生成混合物から環状
    アルコールを分離する、(4) 分離後の残液を80〜2
    50℃において水と接触処理する、(5) 接触処理液を
    油相と水相に分離し、分離した油相を反応器に供給す
    る。
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