JPH09227429A - 環状アルコールの製造方法 - Google Patents

環状アルコールの製造方法

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JPH09227429A
JPH09227429A JP8033746A JP3374696A JPH09227429A JP H09227429 A JPH09227429 A JP H09227429A JP 8033746 A JP8033746 A JP 8033746A JP 3374696 A JP3374696 A JP 3374696A JP H09227429 A JPH09227429 A JP H09227429A
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acid
catalyst
organic additive
cyclic
solid
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JP8033746A
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English (en)
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Makoto Tezuka
真 手塚
Koji Watanabe
孝二 渡辺
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環状オレフィンの水和反応において、長時間
触媒を反応に使用しても活性の低下が少なく、触媒分離
性等の触媒性状も悪化しない方法を提供する。 【解決手段】 固体酸触媒を用いて、有機添加剤共存下
に、液相で環状オレフィンを接触水和して環状アルコ−
ルを製造する方法において、1気圧、25℃において固
体である有機添加剤を、溶融状態又は溶液状態で反応器
に供給することを特徴とする環状アルコールの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体酸触媒を用
い、環状オレフィンを水和して環状アルコールを製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シクロヘキセン等の環状オレフィンの水
和反応による環状アルコ−ルの製造方法として、強酸性
イオン交換樹脂やゼオライト等の固体酸触媒を使用する
方法が知られている。これらの方法の利点は、鉱酸類等
の均一系触媒に比較して触媒の分離が容易なことである
が、その反面、収率が低いという問題がある(例えば、
特公昭58−194828)。また、収率向上を目的
に、有機酸(特開昭60−252347、特開平1−3
13447)、フェノ−ル類(特開昭62−12033
3、特開昭62−126141号公報)、フルオロアル
コ−ル類(特開昭64−13044)、芳香族カルボン
酸(特開平5−255162)等の有機添加剤を水和反
応系に共存させる方法が報告されている。
【0003】
【発明の解決しようとする課題】固体酸触媒を用いる液
相水和反応においては、触媒、水、油相(主に原料の環
状オレフィン、生成物の環状アルコ−ル、有機添加剤か
ら成る)の混合系で反応を行う方法が一般的である。こ
のような系では、固体酸触媒、中でも特にゼオライト触
媒は水相のみに分配される。従って、生成物の環状アル
コ−ルを含有する油相と水相を相分離することにより、
生成物の環状アルコ−ルを回収することができる。この
ため、かかる液相水和反応を連続反応方式に適用するこ
とが期待できる。
【0004】しかしながら、本発明者等の検討によれ
ば、有機添加剤として、例えば、安息香酸などを用いた
場合に触媒の活性低下が顕著であり、また、長時間の連
続反応においては、更に、経時的に水相から油相への触
媒が混入量が増加して、触媒が反応系外へ消失するとい
う問題が明らかとなった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前期課題
を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、水和反応に共存
させる有機添加剤を溶融状態で反応器に供給することに
より、触媒の活性低下や触媒の性状悪化が著しく抑制さ
れることを見いだし、本発明を完成するに至った。すな
わち、本発明の要旨は固体酸触媒を用いて、有機添加剤
共存下に、液相で環状オレフィンを接触水和して環状ア
ルコ−ルを製造する方法において、1気圧、25℃にお
いて固体である有機添加剤を、溶融状態又は溶液状態で
反応器に供給することを特徴とする環状アルコールの製
造方法に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で対象とする触媒は、環状オレフィンの水和反応
に用いる固体酸触媒である。固体酸触媒は、酸性の固体
物質であり、ゼオライト、スルホン酸基等を含有する強
酸性イオン交換樹脂、また、含水酸化ニオブ、含水酸化
タンタル、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、酸化ア
ルミニウム、二酸化ケイ素等の無機酸化物あるいはこれ
らの複合酸化物、更に、スメクタイト、カオリナイト、
バ−ミキュライト等の層状化合物をアルミニウムおよび
ケイ素、チタン、ジルコニウムの中から選ばれる一種類
以上の金属酸化物で処理したイオン交換型層状化合物な
どが例示されるが、本発明における固体酸触媒としては
ゼオライトが特に好ましい。なお、固体酸触媒の使用さ
れる形態は特に制限はないが、通常粉末状、顆粒状で使
用する。また、担体あるいはバインダ−として、アルミ
ナ、シリカ、チタニア等を使用してもよい。
【0007】ゼオライト触媒としては、触媒として使用
可能なゼオライトであれば特に限定されず、例えば、モ
ルデナイト、エリオナイト、フェリエライト、モ−ビル
社発表のZSM−5、ZSM−4、ZSM−8、ZSM
−11、ZSM−12、ZSM−20、ZSM−40、
ZSM−35、ZSM−48系ゼオライト等ののアルミ
ノシリケ−ト、及び、ボロシリケ−ト、ガロシリケ−
ト、フェロアルミノシリケ−ト等の異元素含有ゼオライ
トが例示できる。これらのゼオライトは、通常、プロト
ン交換型(H型)が用いられるが、その一部がNa、
K、Li等のアルカリ元素、Mg、Ca、Sr等のアル
カリ土類元素、Fe、Co、Ni、Ru、Pd等の8族
元素などから選ばれたカチオン種で交換されていてもよ
い。
【0008】上記のような固体酸触媒の存在下、水相と
環状オレフィンを含む油相を混合して環状オレフィンの
水和反応を行うことができる。環状オレフィンとして
は、シクロペンテン、メチルシクロペンテン類、シクロ
ヘキセン、メチルシクロヘキセン類、シクロオクテン、
シクロドデセン等が例示できるが、好ましくは5〜8員
環を有するシクロアルケンであり、特に好ましくはシク
ロヘキセンである。また、反応系に有機溶媒を共存させ
てもよい。有機溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、
n−オクタン、n−デカン、n−ドデカン、シクロペン
タン、シクロヘキサン、シクロオクタン、デカリン等の
脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、テ
トラリン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノー
ル、プロパノール、t−アミルアルコ−ル、シクロペン
タノ−ル等のアルコ−ル類;ジエチルエーテル、ジシク
ロヘキシルエ−テル等のエ−テル類;シクロペンタノ
ン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸
メチル、ギ酸エチル、ギ酸メチル、酪酸エチル、酪酸メ
チル、ガンマ−ブチロラクロン、リン酸アルキルエステ
ル等のエステル類、クロロベンゼン、クロロホルム、塩
化メチレン、四塩化炭素等の含ハロゲン化合物が挙げら
れる。
【0009】本発明では、以上のような水和反応におい
て、収率向上効果の高い有機添加剤として、1気圧、2
5℃で固体であるものを共存させる。かかる有機添加剤
としては、芳香族カルボン酸類、フェノ−ル類、環式飽
和カルボン酸類、複素環カルボン酸あるいはこれらのエ
ステル類等の含酸素化合物、アミド類やニトリル類等の
含窒素有機化合物、芳香族スルホン酸類、チオール類等
の含硫黄有機化合物などのうち、1気圧、25℃で固体
であるものが挙げられるが、一般的には芳香族カルボン
酸類、フェノ−ル類又は環式飽和カルボン酸類に属する
ものが好ましい。
【0010】芳香族カルボン酸類としては、ベンゼン、
ナフタレン等から誘導され、1〜4個程度のカルボキシ
ル基を有するものとして、安息香酸、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸
等が例示される。また、本発明において用いることがで
きる芳香族カルボン酸類は、芳香族環に直接カルボキシ
ル基が結合するものだけでなく、マンデル酸、ベンジル
酸、2−フェニル−2,2−ジヒドロキシ酢酸等のα−
ヒドロキシカルボン酸類、フェニルグリオキシル酸等の
α−ケトカルボン酸類なども含まれる。以上のような芳
香族カルボン酸類のカルボキシル基についてはエステル
やアミドを形成したものであってもよいし、アルキル
基、ハロゲン基、フェニル基、ヒドロキシル基、チオー
ル基の核置換基を有していてもよい。
【0011】また、芳香族カルボン酸類の中では特に安
息香酸類が好ましく、安息香酸;トルイル酸、エチル安
息香酸、プロピル安息香酸、2、6−ジメチル安息香
酸、2,4,6−トリメチル安息香酸等の1つ以上のア
ルキル基を有する安息香酸;2,3−ジメトキシ安息香
酸、2,4−ジメトキシ安息香酸、2,5−ジメトキシ
安息香酸、2,6−ジメトキシ安息香酸、3,4−ジメ
トキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ安息香酸、2,
3,4−トリメトキシ安息香酸、2,4,5−トリメト
キシ安息香酸、3,4,5−トリメトキシ安息香酸、2
−エトキシ安息香酸等の炭素数1〜8程度のアルコキシ
基を有するアルコキシ安息香酸;2−フェノキシ安息香
酸、3−フェノキシ安息香酸、2−(4−トルイルオキ
シ)安息香酸等の炭素数6〜12程度のアリールオキシ
基を有するアリールオキシ安息香酸;2−アセチル安息
香酸、2−エチルカルボニル安息香酸等の炭素数1〜8
程度のアルキルカルボニル基を有するアルキルカルボニ
ル安息香酸;2−ベンゾイル安息香酸、3−ベンゾイル
安息香酸、2−(4−メチル)ベンゾイル安息香酸等の
炭素数7〜13程度のアリールカルボニル基を有するア
リールカルボニル安息香酸;2−メトキシカルボニル安
息香酸、2−エトキシカルボニル安息香酸等の炭素数2
〜9程度のアルキルオキシカルボニル基を有するアルキ
ルオキシカルボニル安息香酸;2−ベンゾキシカルボニ
ル安息香酸、2−(4−メチル)ベンゾキシカルボニ
ル)安息香酸等の炭素数7〜13程度のアリールオキシ
カルボニル基を有するアリールオキシカルボニル安息香
酸;2−フェニル安息香酸、2−(4−トルイル)安息
香酸等の炭素数6〜12程度のアリール基を有するアリ
ール安息香酸;2−ベンジル安息香酸、2−フェネチル
安息香酸、3−フェネチル安息香酸等の炭素数7〜18
程度のアリールアルキル基を有するアリールアルキル安
息香酸;3−フルオロ安息香酸、3−クロロ安息香酸
2,6−ジトリフルオロメチル安息香、2,4,6−ト
リフルオロメチル安息香酸、ペンンタフルオロ安息香酸
等のハロゲン基を有する安息香酸が挙げられる。
【0012】これらの特定の置換基を有する安息香酸類
のなかでも、好ましくは、アルキルカルボニル基、アリ
ールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基または
アリールオキシカルボニル基を有する安息香酸、特に好
ましくは、2−ベンゾイル安息香酸、2−(4−メチ
ル)ベンゾイル安息香酸、2−メトキシカルボニル安息
香酸または2−ベンゾキシカルボニル安息香酸等が挙げ
られる。
【0013】フェノ−ル類の具体例としては、フェノ−
ル、クレゾ−ル、キシレノ−ル、トリメチルフェノ−
ル、エチルフェノ−ル、イソプロピルフェノ−ル、t−
ブチルフェノ−ル等のアルキル基を有するフェノ−ル
や、フェニルフェノ−ル、トルイルフェノ−ル、クロロ
フェノ−ル、ブロモフェノ−ル、ヨ−ドフェノ−ル、ピ
ロカテコ−ル、レゾルシン、ハイドロキノン、ピロガロ
−ル、ハイドロキノンモノメチルエ−テル、ニトロフェ
ノ−ル、メルカプトフェノ−ル、フェノ−ルスルホン酸
等のうち、1気圧、25℃で固体のものが挙げられる。
更に、安息香酸類とフェノール類に属するものとしてサ
リチル酸類としてサリチル酸、アセチルサリチル酸等が
挙げられる。また、サリチル酸の異性体である4−ヒド
ロキシ安息香酸でもよい。
【0014】その他、環式飽和カルボン酸類の具体例と
しては、シクロヘキサンカルボン酸類のシクロヘキサン
モノカルボン酸、シクロヘキサン1,3−ジカルボン
酸、1−メチルシクロヘキサンモノカルボン酸、2−メ
チルシクロヘキサンモノカルボン酸等が挙げられる。エ
ステル類としては、これまで挙げた芳香族カルボン酸
類、環式飽和カルボン酸類等のメチルエステル、エチル
エステル、プロピルエステル、ブチルエステル、シクロ
ヘキシルエステル等が挙げられる。含硫黄化合物として
は、チオサリチル酸等が挙げられる。
【0015】以上の有機添加剤は、単独で使用しても、
2種類以上の混合物として用いてもよいが、本発明にお
いては、いずれの場合も、1気圧、25℃において固体
である有機添加剤を、溶融状態又は溶液状態で反応器に
供給することが特徴を有する。本発明者等の検討による
と、一般的に上記のような有機添加剤、例えば、安息香
酸類は、溶解度的にはオレフィン水和反応の油相(主に
原料環状オレフィン、生成環状アルコ−ルから成る)に
十分溶解可能であっても、溶解速度が非常に遅いため
に、有機添加剤を固体状態でそのまま反応器に供給する
と、その一部が固体のまま残存しやすく、特に連続方式
の反応においては、その残存量が顕著であることが判っ
た。この場合、有機添加剤の粒子を数ミクロンオ−ダ−
にまで粉砕したものを使用しても、あるいは、前述のよ
うに一般的な有機溶媒を共存させても、有機添加剤の固
体粒子がを速やかに溶解させることができないことも判
った。
【0016】また、これに対して、本発明の方法では反
応器内で有機添加剤が析出することもなく、更に驚くべ
きことに、従来、問題であった触媒の活性低下、触媒性
状悪化が抑制でき、特に連続反応ではその効果が顕著で
あることが判明した。この理由についての詳細は不明で
あるが、本発明者らの検討結果等から以下のように推定
される。水和反応系に微粒子として存在する有機添加剤
は、反応器内での撹拌下に固体酸触媒の粒子と力学的に
接触衝突する。これにより、固体酸触媒の2次粒子の破
壊や、固体酸触媒粒子と有機添加剤粒子の結合が起こ
り、その結果、触媒の活性低下や性状悪化を引き起こす
ものと推定される。すなわち、有機添加剤粒子が表面に
付着した固体酸触媒は、本反応系の油相中に分配されや
すくなり、生成環状アルコ−ルと触媒の分離に重大な悪
影響を及ぼす。これに対して、有機添加剤を溶融状態又
は溶液状態で反応器に供給すれば、これを速やかに油相
中に分配溶解させることができるために、触媒粒子の破
壊や、触媒表面への添加剤付着が抑制されて、上記のよ
うな触媒の活性低下や性状悪化を大きく低減できるもの
と推定される。
【0017】以上の有機添加剤の反応器への供給量は、
極微量でも水和反応の収率向上効果が認められる。例え
ば、有機添加剤を有機溶媒に溶解させることなく溶融状
態で反応器に供給する場合は、環状オレフィン1モル当
たり通常0.00001〜20モル、好ましくは0.0
1〜10モル、さらに好ましくは0.05〜2モルであ
る。また、有機添加剤を有機溶媒に溶解させた溶液状態
で反応器に供給する場合は、更に広い範囲をとり得る。
溶液状態で環状オレフィン溶液を反応器に供給場合は、
有機溶媒として前記に例示したものを用いる方法以外
に、環状オレフィンを、原料であると同時に有機添加剤
の溶剤として用い、有機添加剤を溶解した環状オレフィ
ン溶液を反応器に供給してもよい。また、水和反応にお
いて副生する場合のある有機添加剤と環状アルコールの
エステル体等を回収し、これを有機添加剤の溶剤として
用いてもよい。
【0018】本発明は、固体酸触媒、環状オレフィン、
水、有機添加剤の存在下に実施されるが、反応形式は連
続流通方式やバッチ回分方式等一般的に用いられる形式
で行われるが、連続方式を採用するのが好ましい。触媒
使用方式は特に制限はないが、固定床方式、スラリ−方
式等が用いられる。水和反応の途中で混合を停止して水
相と油相が分離する場合、主に、水相には固体酸触媒が
含まれ、油相には原料の環状オレフィンと生成した環状
アルコールが含まれる。水和反応は、撹拌などにより、
水相と油相を混合することにより、懸濁状態、例えば、
連続水相中に油相が液滴状態で分散させて行われる。水
和反応は、固体酸触媒の存在下、水と環状オレフィンを
混合して反応させるが、反応途中で混合を弱くするか停
止状態においては、水相と油相が分離する。水相に対す
る油相の容量比は、通常0.01〜10、好ましくは
0.1〜1である。原料の環状オレフィンあるいは水が
一方に比べて大過剰になる場合は、水相と油相の分離が
不良であり、かつ、反応速度も低下するので好ましくな
い。また、環状オレフィンに対する触媒の重量比は、通
常0.01〜20、好ましくは0.05〜5である。触
媒が少なすぎる場合には反応速度が遅く反応器が大きく
なり、また、多すぎる場合には触媒コストが大きくなる
ので好ましくない。
【0019】水和反応条件として、反応温度は使用する
原料環状オレフィンによって最適温度範囲が異なるが、
通常50〜300℃、好ましくは70〜200℃、より
好ましくは80〜160℃である。反応圧力は特に制限
はないが、環状オレフィンおよび水を液相に保ち得る圧
力が好ましく、通常5MPa以下、好ましくは0.2〜
2MPaである。反応時間あるいは滞留時間は、通常1
分〜10時間、好ましくは5分〜5時間である。また、
水和反応系は窒素、ヘリウム、水素、アルゴン、二酸化
炭素等の不活性ガス雰囲気下に保つことが好ましい。こ
の場合、不活性ガス中の酸素の含有量は少ない方が好ま
しく、酸素含有量が通常100ppm以下、好ましくは
20ppm以下のものが使用される。
【0020】水和反応混合物より目的とする生成環状ア
ルコールを回収する方法としては、まず、反応混合物を
水相と油相に分離する必要がある。触媒を含む水相は、
分離した後、反応器に循環して再使用することができ
る。また、分離した油相より環状アルコールは蒸留など
の公知の方法により容易に精製回収することができる。
環状アルコールを分離した後の原料環状オレフィン、及
び有機添加剤を含む残液は水和反応の原料として再使用
できる。
【0021】
【実施例】以下、実施例および比較例を示し、本発明を
具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。 実施例1 図1に示すような連続流通反応装置を用いて、シクロヘ
キセンの水和反応を行った。即ち、内容積2000ml
の撹拌装置付きステンレス製オ−トクレ−ブ反応器3
に、水和触媒としてH型ガリウムシリケ−ト(SiO2
/Ga23分子比=50/1)100gと水250gを
仕込み、系内を窒素ガス置換した。回転数500rpm
で撹拌しつつ反応器3の内部を昇温して反応温度120
℃とした後、供給管1よりシクロヘキセンを120g/
hrの速度で供給した。さらに、有機添加剤として、2
−フェノキシ安息香酸(1気圧下での融点148〜14
9℃)を170℃に加熱して溶融させたものを36g/
hrの速度で供給管6より供給した。反応液は反応器内
部に設置した内容積30mlの油水分離堰4内で油相と
触媒スラリ−水相に分離された後、オ−バ−フロ−管5
より油相のみが流出される。また、供給管2からは水和
反応で消費される水とオ−バ−フロ−管5から油相への
溶解成分として流出する水の合計量の水を供給すること
により反応器3内の水量を一定に保った。原料シクロヘ
キセン供給開始5時間後、及び200時間後における流
出油相中におけるシクロヘキサノ−ルの収率を表−1に
示す。なお、この間、流出油相中への触媒混入は認めら
れなかった。
【0022】実施例2 実施例1における2−フェノキシ安息香酸の代わりに有
機添加剤としてオルト−トルイル酸(1気圧下での融点
107℃)を130℃に加熱溶融させたものを用いた以
外は実施例1と同様に行った結果を表−1に示す。な
お、流出油相中への触媒混入は認められなかった。 実施例3 実施例1における2−フェノキシ安息香酸の代わりに有
機添加剤として安息香酸(1気圧下での融点121℃)
を140℃に加熱溶融させたものを用いた以外は実施例
1と同様に行った結果を表−1に示す。なお、流出油相
中への触媒混入は認められなかった。 実施例4 実施例1における2−フェノキシ安息香酸の代わりに有
機添加剤としてフェノ−ル(1気圧下での融点41℃)
を80℃に加熱溶融させたものを用いた以外は実施例1
と同様に行った結果を表−1に示す。なお、流出油相中
への触媒混入は認められなかった。 実施例5 実施例1における2−フェノキシ安息香酸の代わりに有
機添加剤としてサリチル酸(1気圧下での融点160
℃)を180℃に加熱溶融させたものを用いた以外は実
施例1と同様に行った結果を表−1に示す。なお、流出
油相中への触媒混入は認められなかった。
【0023】比較例1 実施例1において、2−フェノキシ安息香酸を加熱溶融
させずに反応器に供給した以外は実施例1と同様に行っ
た結果を表−1に示す。なお、原料供給開始後100時
間以降、油相中への触媒混入が認められた。原料供給開
始後200時間までに油相中に混入して反応器外へ流出
した触媒総量は10.5g(仕込み量の10.5%に相
当する)に達した。200時間経過後のシクロヘキサノ
−ル収率は、触媒の系外流出を考慮しても実施例1と比
較して低いものであった。 比較例2 比較例1において2−フェノキシ安息香酸の代わりにフ
ェノ−ルを加熱溶融させずに反応器に供給した以外は実
施例1と同様に行った。原料シクロヘキセン供給開始後
5時間後ならびに200時間経過後の流出油相中のシク
ロヘキサノ−ル収率を表−1に示す。なお、原料供給開
始後100時間以降、油相中への触媒混入が認められ
た。原料供給開始後200時間までに油相中に混入して
反応器外へ流出した触媒総量は9.7g(仕込み量の
9.7%に相当する)に達した。
【0024】
【表1】 注)上記表−1「MPBA」は、2−フェノキシ安息香酸を表す。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、環状オレフィンの水和
反応において、長時間触媒を反応に使用しても活性の低
下が少なく、触媒分離性等の触媒性状も悪化しないの
で、工業的には、特に連続反応により環状アルコ−ルを
製造する際に非常に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に用いた連続流通反応装置の概略図を示
す。
【符号の説明】
1:シクロヘキセン供給管 2:水供給管 3:反応器 4:油水分離堰 5:オ−バ−フロ−管 6:有機添加剤供給管

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体酸触媒を用いて、有機添加剤共存下
    に、液相で環状オレフィンを接触水和して環状アルコ−
    ルを製造する方法において、1気圧、25℃において固
    体である有機添加剤を、溶融状態又は溶液状態で反応器
    に供給することを特徴とする環状アルコールの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 有機添加剤の共存下、固体酸触媒を含む
    水スラリ−と環状オレフィンを混合して環状オレフィン
    を水和し、反応液を油水分離し、環状アルコ−ルを含む
    油相を連続的に採取する環状アルコールの製造方法にお
    いて、1気圧、25℃において固体である有機添加剤
    を、溶融状態又は溶液状態で反応器に供給することを特
    徴とする環状アルコールの製造方法。
  3. 【請求項3】 有機添加剤を溶解した環状オレフィン溶
    液を反応器に供給することを特徴とする請求項1又は2
    の方法。
  4. 【請求項4】 固体酸触媒としてゼオライトを用いるこ
    とを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの方法。
  5. 【請求項5】 有機添加剤が、芳香族カルボン酸類、フ
    ェノ−ル類又は環式飽和カルボン酸類である請求項1な
    いし4のいずれかの方法。
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