JPH10166717A - 顔料インク用記録媒体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】顔料インクの吸収性が良好で、特に非水系イン
ク中の顔料を均一に定着して優れた発色性を示し、かつ
色濃度の高い記録が可能な記録媒体を得る。 【解決手段】基材上に、スチレンに基づく重合単位とブ
タジエンに基づく重合単位とのモル比が５：９５〜６
０：４０であるカルボキシル化ＳＢＲ樹脂層を有する顔
料インク用記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、顔料インク用記録
媒体、特に非水系顔料インクを用いるインクジェット記
録方式に適した記録媒体に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、電子スチールカメラ又はコンピュ
ータの普及とともに、それらの画像を紙面等に記録する
ためのハードコピー技術が急速に発達した。これらのハ
ードコピーの究極の目標は銀塩写真であり、特に色再現
性、色濃度、解像度、光沢、耐候性等をいかに銀塩写真
に近づけるかが開発の課題となっている。

【０００３】ハードコピーの記録方式には、銀塩写真に
よって画像を表示したディスプレイを直接撮影するもの
のほか、昇華型熱転写方式、インクジェット方式、静電
転写方式等多種多様である。

【０００４】インクジェット方式によるプリンタは、フ
ルカラー化が容易なことや印字騒音が低いこと等から、
近年急速に普及しつつある。この方式は、ノズルから被
記録材に向けてインク液滴を高速で射出するものであ
り、インク中に多量の溶媒を含む。このため、インクジ
ェットプリンタ用の記録媒体は、速やかにインクを吸収
し、しかも優れた発色性を有することが要求される。

【０００５】また、インクジェット記録方式では、これ
まで染料を溶媒に溶解したタイプのインクを用いること
が多かったが、耐候性に優れた顔料を溶媒中に分散させ
たタイプの顔料インクを用いるプリンタの開発が進めら
れている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、特には非水
系顔料インクの吸収性が良好で、インク中の顔料を均一
に定着して優れた発色性を示し、色濃度が高く、かつ透
明の基材を用いた場合にはオーバーヘッドプロジェクタ
（以下、ＯＨＰという）用として透明性の高い記録物を
得られる顔料インク用記録媒体の提供を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、基材上に、ス
チレンに基づく重合単位とブタジエンに基づく重合単位
とのモル比が５：９５〜６０：４０であるカルボキシル
化ＳＢＲ樹脂層を有することを特徴とする顔料インク用
記録媒体を提供する。

【０００８】本発明において、カルボキシル化ＳＢＲ樹
脂層は、カルボキシル化ＳＢＲ樹脂又はカルボキシル化
ＳＢＲ樹脂とシリカ微粒子からなり、それ以外の成分は
１０重量％以下であることが好ましい。層中に含まれる
シリカ微粒子は、好ましくは５０重量％以下、特には３
０重量％以下であることが好ましい。シリカ微粒子の含
有量が５０重量％超であると、インクの吸収性や定着性
が悪くなるので好ましくない。

【０００９】本発明において、カルボキシル化ＳＢＲ樹
脂は、固形分の割合が２０〜６０重量％のラテックスと
して使用することが好ましい。また、シリカ微粒子は、
固形分の割合が１０〜５０重量％のゾルとして使用され
ることが好ましい。

【００１０】本発明で使用されるカルボキシル化ＳＢＲ
樹脂層を形成するカルボキシル化ＳＢＲ樹脂は、カルボ
キシル基を有するモノマーにより変性された、スチレン
に基づく重合単位とブタジエンに基づく重合単位とを主
成分とする共重合体（以下、カルボキシル化スチレン／
ブタジエン共重合体という）であり、好ましくは乳化共
重合体である。

【００１１】本発明では、カルボキシル化スチレン／ブ
タジエン共重合体中のスチレンに基づく重合単位とブタ
ジエンに基づく重合単位のモル比は、５：９５〜６０：
４０であり、好ましくは１０：９０〜５０：５０であ
る。

【００１２】カルボキシル化スチレン／ブタジエン共重
合体のカルボキシル基による変性は、スチレンとブタジ
エンとの共重合の際に、カルボキシル基又はその変性基
を有する反応性モノマーを共重合させることにより行わ
れる。該反応性モノマーは、スチレンとブタジエンの合
計量に対し、好ましくは０．５〜５０モル％、より好ま
しくは０．５〜３０モル％使用される。反応性モノマー
の好ましい例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イ
タコン酸、ｔ−ブチルアミノエチルメタクリレート、Ｎ
−メチロール化アクリルアミド、グリシジルアクリレー
ト等が挙げられる。

【００１３】本発明で使用されるシリカ微粒子は、粒径
が８０ｎｍ以下であることが好ましい。８０ｎｍ超であ
ると、記録媒体のヘーズが大きくなり、透明性が損なわ
れるので好ましくない。より好ましくは１０〜５０ｎｍ
である。

【００１４】本発明において、カルボキシル化ＳＢＲ樹
脂層は顔料インク中の溶媒の吸収能と顔料の定着能を有
する。カルボキシル化ＳＢＲ樹脂層のカルボキシル化Ｓ
ＢＲ樹脂は、顔料インク中の溶媒を吸収して膨潤又は溶
解する性能を有するため、印字をすると一度膨潤又は溶
解し、その後乾燥することにより顔料の定着性が発現す
ると考えられる。また、おそらくカルボキシル化ＳＢＲ
樹脂層表面でのインクの乾燥速度が適正な範囲で制御さ
れ、乾燥後のインク表面が平滑になるために画質が向上
すると考えられる。

【００１５】さらに、カルボキシル化ＳＢＲ樹脂層は透
明性が高く、インク溶媒を吸収してもその透明性に変化
がないので、透明性の高い記録媒体が得られる。一方、
カルボキシル化ＳＢＲ樹脂層にシリカ微粒子を含有させ
る場合は、シリカ微粒子がカルボキシル化ＳＢＲ樹脂の
有するタック性を防止し、樹脂層の層強度を高める役割
を果たすと考えられる。

【００１６】本発明で使用される基材としては、基材自
体のインク吸収性は必要とされない。例えば、ポリエチ
レンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカー
ボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ＰＴＦＥ等のフッ
素系樹脂のようなプラスチック類、各種の紙類、合成
紙、ポリオレフィンと多孔質充填材で構成された多孔質
シート、布類等が使用できる。さらに、ガラスや金属も
使用できる。なかでも、プラスチックフィルムにカルボ
キシル化ＳＢＲ樹脂層を形成すると、光沢性が得られ好
ましい。

【００１７】これらの基材には、カルボキシル化ＳＢＲ
樹脂層の接着強度を向上させる目的で、カルボキシル化
ＳＢＲ樹脂層を形成する前にコロナ放電処理や各種アン
ダーコートを行うこともできる。

【００１８】また、ＯＨＰ用シートとして透明性の高い
記録媒体を得る場合には、基材として透明プラスチック
フィルムを使用する。

【００１９】基材上に、カルボキシル化ＳＢＲ樹脂層を
形成する方法としては、カルボキシル化ＳＢＲラテック
ス又はカルボキシル化ＳＢＲラテックスとシリカゾルと
の混合物に必要に応じてバインダを加えて塗工液とし、
これを基材上に塗布し乾燥する方法が好ましい。塗布方
法は、ロールコータ、エアナイフコータ、ブレードコー
タ、ロッドコータ、バーコータ、コンマコータ、ダイコ
ータ、グラビアコータ等が好ましくは採用できる。

【００２０】カルボキシル化ＳＢＲ樹脂層の厚さは、プ
リンタ等の仕様によって適宣選択されるが、一般的には
５〜１００μｍを採用するのが好ましい。カルボキシル
化ＳＢＲ樹脂層の厚さが５μｍ未満では、インクの吸収
性が充分でないため乾燥がおそく、インクの定着性が悪
くなるので好ましくない。逆に１００μｍ超では、イン
ク吸収性、定着性に対して必要以上の厚さとなり、経済
的に不利となるので好ましくない。より好ましくは１０
〜５０μｍである。

【００２１】本発明の記録媒体は、顔料インクを用いて
インクジェット方式で記録する場合、使用される顔料イ
ンクは特に限定されないが、顔料を有機溶媒に分散させ
た有機溶媒系顔料インクに対する使用が特に好ましい。

【００２２】顔料インク中の顔料は、インク全体に対し
て好ましくは０．５〜２０重量％、より好ましくは２〜
１２重量％含有される。インク中の有機溶媒の含有量は
通常１〜９９重量％である。顔料インクには必要に応じ
て分散剤、酸化防止剤、粘度調製剤等が適宣添加され
る。

【００２３】顔料としては、従来公知のものも含めて各
種有機あるいは無機顔料が使用できる。例えば、アゾ
系、アントラキノン系、キナクリドン系、イソインドリ
ノン系、ジオキサジン系、ペリノン系、インジゴ系、キ
ノフタロン系、ジケトピロロピロール系、酸化チタン
系、カドミウム系、酸化鉄系、複合酸化物系、クロム酸
塩系、硫化物系、ケイ酸塩系、炭酸塩系、金属錯体系、
カーボンブラック等の顔料が挙げられる。これらの顔料
は、インク中での粒径が各々数百ｎｍ〜数μｍ程度の微
粒子であることが望ましい。

【００２４】顔料を分散する有機溶媒は特に限定されな
いが、粘度１〜２０ｃＰ程度であることが好ましく、例
えばオレフィン炭化水素系の溶媒が好ましい。

【００２５】

【実施例】

［例１］スチレンに基づく重合単位とブタジエンに基づ
く重合単位とのモル比が２１：７９であるカルボキシル
化ＳＢＲラテックス（日本ゼオン社製、商品名：Ｎｉｐ
ｏｌ Ｌｘ４３２Ａ）を用いてヘーズ値が０．６％であ
る透明なポリエチレンテレフタレートフィルム（厚さ１
００μｍ、透明）上に乾燥後の塗工厚さが２０μｍにな
るようにバーコータを用いて塗工乾燥して、１００℃で
熱処理して記録媒体を得た。

【００２６】［例２］例１で用いたカルボキシル化ＳＢ
Ｒラテックスとシリカゾル（触媒化成工業社製、商品
名：Ｃａｔａｌｏｉｄ ＳＩ−４０）とを重量比７：
３、固形分３０重量％とした混合液を調製し、塗工液と
した。この塗工液を例１と同様にしてポリエチレンテレ
フタレートフィルム上に塗工、乾燥、熱処理し、乾燥後
の塗工厚さが３０μｍの記録媒体を得た。

【００２７】［例３（比較例）］スチレンに基づく重合
単位とブタジエンに基づく重合単位とのモル比が６１：
３９であるカルボキシル化ＳＢＲラテックス（日本ゼオ
ン社製、商品名：Ｎｉｐｏｌ Ｌｘ４３０）を用いて例
１と同様にしてポリエチレンテレフタレートフィルム上
に塗工、乾燥、熱処理し、乾燥後の塗工厚さが２０μｍ
の記録媒体を得た。

【００２８】例１〜３で得られた記録媒体について、イ
ンクジェットプリンタ（セイコーエプソン社製、商品名
ＭＪ−５００Ｃ）に非水系顔料インクを入れて印字を行
い、評価した結果を表１に示した。評価の項目は次の
（１）〜（４）である。

【００２９】（１）インク吸収性：黒インクを単色ベタ
印字した後の吸収時間を測定した。評価としては数秒を
◎、数十秒を○、数分を×とした。 （２）インク定着性：黒インクを単色ベタ印字した後、
室温で５分放置後その印字部を指でこすり、とれない場
合を○、とれる場合を×とした。 （３）ビーディング：イエローとシアンの２色のインク
をベタ印字した後、目視で評価した。ビーディングが発
生していなければ○、ビーディングが発生していれば×
とした。 （４）ヘイズ値：ヘイズメーター［スガ試験機社製全自
動直読ヘイズコンピュータＨＧＭ−３ＤＰ］を用いて測
定した。

【００３０】

【表１】

【００３１】

【発明の効果】本発明の顔料インク用記録媒体は、特に
非水系顔料インクに対して高い吸収性と定着性を有し、
色の発色性が良好でかつ透明性にも優れており、特にイ
ンクジェットプリンタの記録媒体として好適である。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】基材上に、スチレンに基づく重合単位とブ
   タジエンに基づく重合単位とのモル比が５：９５〜６
   ０：４０であるカルボキシル化ＳＢＲ樹脂層を有するこ
   とを特徴とする顔料インク用記録媒体。
2. 【請求項２】カルボキシル化ＳＢＲ樹脂層が、カルボキ
   シル化ＳＢＲ樹脂ラテックス又はカルボキシル化ＳＢＲ
   樹脂ラテックスとシリカゾルとの混合物を塗布、乾燥し
   て得られる請求項１の顔料インク用記録媒体。
3. 【請求項３】基材がプラスチックフィルムである請求項
   １又は２の顔料インク用記録媒体。