JPH10165474A - 介護浴槽 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】入浴者を既存の浴槽の中に入れることなく、浴
槽から湯を汲み上げ、入浴者が座るシャワーチェァを囲
んで形成するバスタブヘ循環給湯し、介護入浴の困難を
取り除き、且つシャワーチェアを敷居の高い浴室内へ水
平姿勢で上下動なしに移動することを可能にする。 【構成】シャワーチェア５に座る被介護者をカバーで覆
ってバスタブ２とし、既存の浴槽４からバスタブヘ連続
給湯する給湯ポンプを収納したケース１０を備え、且つ
バスタブから既存の浴槽へ湯を還流させるオーバーフロ
ーパイプ７の取りつけ高さを調節することによって入浴
者の座高に応じた湯面高さが設定される様な循環系を構
成する。更に必要に応じてシャワーチェア５を台車１９
に搭載し、且つシャワーチェア５の脚部に付設したスキ
ッド２１と台車１９上部のガイド２４ｂとは滑り嵌め合
いとなっているのでシャワーチェア５を前後方向に滑動
させることができて、越えようとする敷居の向こう側に
用意される同じガイド構造を持った副台車上に乗り移る
ことにより浴室入口の敷居状障壁等を通過させることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、肢体不自由な人
の介護入浴に関連し、特に移動等を含めた支援用具を備
えた循環式介護浴槽に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来は多様なリフト機構等の機械的手段
を使って被介護者を浴槽に入れたり出したりする時の助
けとしていた。或いは簡易浴槽を居室のベッドの傍らに
持ち込み、別途に温湯を用意して入浴させる等の方法を
講じていた。更には浴室の入口の高い敷居等を通過して
浴室内に入れる為の搬送手段も十分でなかった。これら
の問題を解決する手段として平成０７年特許出願第３２
０９５４号の介護浴槽が本出願の発明者によって提案さ
れている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記の介護浴槽によっ
て、被介護者を浴槽に入れるという既成概念を否定し、
既存浴槽の近傍においてその湯を被介護者の体の周囲に
移し巡らすという発想を元に具体化し、併せて浴室まで
運び込む際の困難についても、上下分離型台車の構想に
よって一連の在宅介護入浴問題を解決する手段を前記出
願によって明らかにしたが、本発明はこれを補足し課題
解決の域を更に広げようとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の介護浴槽における
課題に対して、給湯ポンプをシャワーチェアに内蔵し、
２分割したバスタブの囲側となる方の材質を軟質シート
とし、台車の滑動部を固定の潤滑表面とし、更にオーバ
ーフローパイプ出口と給湯ポンプ入口との間にラジエー
ターを挿入する等の構成を付加し得る様にしたのであ
る。

【０００５】前後縦に２分割されるバスタブは、その一
方を座席に沿った形態の硬質樹脂板材で成形し、他方は
ゴム引布等のシート材でもって所要の人体を包む最小容
量の形に形成する。容量の小さい家庭浴槽を湯の供給源
とする故に、バスタブに送り出す湯の所要容積を最小と
する必要がある。従ってバスタブの形状を出来るだけ人
体に添わせる様に成形しなければならないのである。

【０００６】前記シャワーチェアをキャスター付きの台
車に搭載し、シャワーチェアの左右の脚にそれぞれ例え
ばポリアセタール等の潤滑性及び耐磨耗性の高い樹脂材
を滑動面とするスキッドを設け、前記台車上面にはスキ
ッドの滑動を受けてその往来を案内するガイドを付設
し、通常時においてはスキッドとガイドを相互に固定し
てあるが、高い敷居の様な障害物に遭遇した際には、障
害物の向こう側にも同様なガイドを持ち、かつその高さ
が調節可能な副台車をこちらに向けて対峙させ、連結材
で両台車を直列結合してから、スキッドとガイドとの固
定状態を解き、スキッドを両台車のガイド間に移動させ
て、シャワーチェアを副台車に移らせ障害物を通過し得
るようにする。

【０００７】

【発明の実施の形態】先ず図１及び図２について説明す
る。シャワーチェア５は、背凭れと座席及びフットレス
ト３０に亘る一体の曲面、即ちチェアプレート１３と、
その前側を覆い囲って湯船となるバスタブ１、それを支
持する脚部１２からなる。その座席下部の空間には給湯
ポンプとその電源となる電池及び充電器やＡＣ電源コー
ド等と共に防水ケース１０に覆われて設置固定される。
湯は浴槽４から吸い上げホース３、ケース１０内の給湯
ポンプ及び給湯パイプ６を経てバスタブ１の上面開放部
へ注がれる。バスタブ１の下端近傍から導出する還流ホ
ース８はオーバーフローパイプ７に接続されている。こ
のオーバーフローパイプ７は、バスタブ１内の湯面高さ
を決める為にシャワーチェア５の背面において溢水高さ
が調節できる様に，取りつけられる。尚要すればオーバ
ーフローパイプ７及び吸い上げホース３は図３の様に切
り替えバルブ３１によって浴槽４に投入してあるラジエ
ーター１６を通る様に流路の接続が切り替えることが出
来るようにしておく。

【０００８】次に図２でバスタブ構造を説明する。チェ
アプレート１３の上縁以外の両側縁と下縁に亘る縁線に
は、囲い２を水密結合させるための圧接手段が必要であ
る。図の例では縁線の形状をフランジ１７の様にし、一
方この周縁に水密結合させる囲い２はゴム引布等のフレ
キシブルかつ伸縮性の小さい薄材で形成し、そこに溜め
られる湯の容積が出来るだけ少なくてすむ様な形に作ら
れる。囲い２の周縁には、適当な幅１０ｃｍ程度で帯状
に連続する弾性ゴム帯１５が接続され、更にその端縁を
抱え込む形のフック１４が接着される。実際にはフック
１４がその接続対象となる部分のフランジ１７に被さっ
て、その間に挟み込まれた弾性ゴム帯１５がパッキング
として作用し湯の漏れを止め、更に貯まって増える湯の
水圧がフック１４を介し弾性ゴム帯１５をフランジ１７
に一層強く押しつけ、且つ弾性ゴム帯１５の幅が周縁に
亘って圧接力を均等化し、より水密効果を高める効果を
現す。

【０００９】図１の例について使用法を説明する。先ず
シャワーチェア５に座らせた被介護者の体を石鹸洗いし
た後、囲い２を被介護者の前から覆い、ハンガー１１を
バスタブ枠９に掛ける。そしてフック１４をそれそれ対
応するチェアープレート１３のフランジ１７に後方から
引っかけて手前へ引き寄せ例えばネジやクリップなど
の、抑え具２０（図４）をセットすれば湯を張る準備が
完了する。既に浴槽４には湯が満たされているので電源
スイッチを入れ、洗面器に浴槽４から湯を汲み取り、ケ
ース内の給湯ポンプの呼び水口に注ぐと給湯パイプ６か
らバスタブ１に湯が汲み込まれる。湯面はオーバーフロ
ーパイプ７の溢れレベルを越えるまで上昇し、その後は
オーバーフローパイプ７を溢れて浴槽４に還流し、バス
タブ１の湯面を一定にしながら循環し続ける。こうして
バスタブ１の中の湯は少量であっても循環する全体とし
ては十分の湯量があり、且つ浴槽４で追い炊きや増湯も
出来るので、浴槽本来の風呂機能はまったくそのままバ
スタブ１においても保存されることになる。尚図３の様
にオーバーフローパイプ７から溢れ出る湯を切り替えバ
ルブ３１によってラジエーター１６に通して浴槽４の熱
のみを受け取らせ給湯ポンプに戻す様にすれば、浴槽４
の湯はバスタブの湯と絶縁されるので汚されることな
く、且つバスタブ１の湯温維持を保ち続け得る様に出来
る。

【００１０】次に移動手段を備えた搬送シャワーチェア
について説明する。図４は台車１９にチェア５が搭載さ
れた搬送シャワーチェアである。図５に示すように、台
車１８及び副台車１９は、それぞれ一対のチャンネル状
ガイド２４ａ，２４ｂを備え、それがチェア５脚部に固
定された板状スキッド２１を横から抱え込み、台車に対
するチェア５の前後方向移動のみを許して案内する働き
をする。但し通常時はスキッド２１とガイド２４ａ，２
４ｂはボルトやピン等の止め具２５で固定されている。
また、両台車を離れない様に連結する連結材２３を用意
し、さらに副台車１９にはガイド２４ｂの高さを調節し
て台車１８のレベルに合わせるために、ハンドル２８を
回転するとネジ軸２６にネジ結合されたナット２７が回
転して、ガイド２４ｂが上下動する手段を設ける。図中
符号２９は支柱である。

【００１１】図５及び図６をもとに搬送シャワーチェア
の使用法を説明する。一般に浴室入口にある高い敷居を
越えて入室させることは非常に困難である。搬送シャワ
ーチェアは単に平坦な通路を搬送する機能を提供するの
みならず、普通の車輌形態ではどうしても通過出来ない
様な上記の浴室入口におけ敷居等の通過を可能とするも
のである。先ず敷居の向こう側となる浴室内に副台車１
９の後縁を敷居に正対して停車させておき、こちら側か
ら搬送シャワーチェアの台車１８の前縁を同じく敷居に
正対させる。両台車のガイド２４ａと２４ｂが敷居を挟
んで並行する２直線となって並ぶ様にハンドル２８を回
転し副台車１９の高さを調節して揃える。次に連結材２
３で両台車のガイド２４ａと２４ｂを固定し、２台の台
車を直列に連結する。その結果両ガイド２４ａと２４ｂ
は敷居の上を越える橋となる。但し両ガイド２４の間に
は敷居の幅程の欠落空間が残るが、スキッド２１の前後
長さが充分にあり荷重分布が広がっているのでその間を
移動するのに集中荷重の偏在等による支障を生じること
はない。そこでチェア５を固定している止め金２５を外
し、スキッド２１をガイド２４ａ，２４ｂに沿わせて進
め、浴室内の副台車１９に乗り移ると、チェア５を副台
車１９に固定する為に再び止め金２５をセットする。最
後に連結材２３を取り外して両台車を分離すれば、浴室
内への移動が完了する。浴室から出て行く時も同じ様に
手順を逆にして敷居を通過すればよい。

【００１２】

【発明の効果】既存の浴槽に追加変更等の施工を一切必
要とせず、不自由な人の身体を抱え上げることなく完全
な入浴が可能となり、しかも浴槽本来の湯沸かし機能と
追い炊き機能をそのまま生かすことができ、そこに溜め
られる潤沢な湯容量を１００％活用することにより、最
小容積のバスタブでありながら温度低下することもな
く、その上任意に湯温のコントロールさえ可能な快適入
浴が保障され、従来大きな問題となっていた在宅介護の
困難が著しく改善される。更に家庭風呂における介護入
浴でもう一つの障害となる浴室入口の高い敷居も請求項
３のスライド台車方式によつて解決されるので、例えば
訪問看護入浴の手段として導入されれば、湯の確保条件
や過重な労力負担が要求される不合理な様式が一変し、
格段に効率の良いシステムが直ちに組織されて社会福祉
事業に極めて大きい効果を及ぼす。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一例を示す介護浴槽の斜視図

【図２】バスタブの分解斜視図

【図３】ラジエータの使用例を示す模式図

【図４】搬送式の介護浴槽の斜視図

【図５】台車の構造を示す斜視図

【図６】搬送シャワーチェアが敷居を通過する説明用側
面図

【符号の説明】

１ バスタブ ２ 囲い ３ 吸い上げホース ４ 浴槽 ５ シャワーチェア ６ 給湯パイプ ７ オーバーフローパイプ ８ 還流ホース ９ バスタブ枠 １０ ケース １１ ハンガー １２ 脚部 １３ チェアプレート １４ フック １５ 弾性ゴム帯 １６ ラジエータ １７ 反り １８ 台車 １９ 副台車 ２０ 抑え具 ２１ スキッド ２３ 連結材 ２４ａ，２４ｂ ガイド ２５ 止め金 ２６ ネジ軸 ２７ ナット ２８ ハンドル ２９ 支柱 ３０ フットレスト ３１ 切り替えバルブ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 開放自在のバスタブを支持するシャワー
   チェアと、既存の浴槽から前記バスタブに給湯するポン
   プ及び給湯パイプと、前記バスタブの下端近傍に一端が
   連通する循環用オーバーフローパイプより成り、前記給
   湯ポンプをシャワーチェアに装着し一体形とした介護浴
   槽。
2. 【請求項２】 前記バスタブが２分割可能となってお
   り、一方の部材は硬質材より成りシャワーチェアに固定
   され、他方の部材はフレキシブルな材料で人の前面体型
   に近い形に沿う様に形成して前記一方の囲い部材とし、
   両部材を水密に結合する手段を設けた請求項１に記載の
   介護浴槽。
3. 【請求項３】 前記シャワーチェアの脚部下端に十分長
   く且つ滑りの良い下面を持つスキッドを付設し、これを
   前記スキッドの往来を案内するための滑りの良い上面を
   持つガイドを有する第１の台車に搭載し、これが高い敷
   居状の障害物に遭遇した際に、滑りの良い上面を持ちか
   つ上下動可能のガイドを有する第２の台車を障害物の向
   こう側に対峙させ、両台車のガイドを前後直線上に揃
   え、シャワーチェアのスキッドを両台車のガイド間で移
   動させる様にして障害物を通過し得るようにした請求項
   １に記載の介護浴槽。
4. 【請求項４】 前記オーバーフローパイプの出湯を既存
   の浴槽内に投入したラジエーターに導入し、そのラジエ
   ーターからの出湯を給湯ポンプの入湯端に接続すること
   が出来る様に切り替える弁を備えた請求項１に記載の介
   護浴槽。