JPH10161652A - 鍵盤装置 - Google Patents

鍵盤装置

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JPH10161652A
JPH10161652A JP8325701A JP32570196A JPH10161652A JP H10161652 A JPH10161652 A JP H10161652A JP 8325701 A JP8325701 A JP 8325701A JP 32570196 A JP32570196 A JP 32570196A JP H10161652 A JPH10161652 A JP H10161652A
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plunger
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solenoid coil
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易な構成で自動演奏モードおよび力覚制御
モードの両方に対応できる電子楽器鍵盤を提供する。 【解決手段】 昇降カム40を右側に回動させると、こ
れに連動してソレノイドヨーク22およびソレノイドコ
イル23が次第に上昇する。昇降カム40が停止ピン4
1に当接すると、その上昇が停止する。これにより、ソ
レノイドコイル23とプランジャ21の相対的な位置を
可変させることができ、アクチュエータを双方向駆動に
することが可能となる。すなわち、プランジャ21がソ
レノイドコイル23に対して突出していれば、プランジ
ャ21は下向きに駆動され、一方、プランジャ21がソ
レノイドコイル23に対して引き込まれていれば、プラ
ンジャ21は上向きに駆動される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、簡易な構成で双方
向の力を付与することができる鍵盤装置に関する。
【0002】
【従来の技術】鍵盤楽器のうち電子楽器には、人が指で
鍵盤を演奏する手動演奏モードと、電子楽器自体が鍵盤
を駆動する自動演奏モードを有するものがあった。とこ
ろで、自然楽器のピアノの鍵盤は、鍵操作によってハン
マを駆動し、弦を叩いて楽音を発生させる。一方、電子
楽器の鍵盤はハンマ等の機械的要素を駆動する必要がな
いので、簡易な構成で作られるのが一般である。このた
め、電子楽器を演奏した場合、鍵盤のタッチ感が、自然
楽器とかなり異なったものとなってしまう。そこで、手
動演奏モードにあっては、電子楽器の鍵盤のタッチ感を
自然楽器の鍵盤のタッチ感に近づけるため、鍵盤への反
力をアクチュエータを用いて制御することが行われる。
なお、鍵盤への反力は人の指に力覚を与えるものである
ので、本明細書では力覚の観点からこのモードを力覚制
御モードと称する。一方、自動演奏モードにあっては、
楽曲の進行に合わせて鍵盤をアクチュエータを用いて駆
動することが行われる。
【0003】このような電子楽器に用いられるアクチュ
エータの駆動方式としては、上下2個のアクチュエータ
を設け、これらを個別に駆動制御する方式が知られてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般にアク
チュエータは、コイル、ヨークおよびプランジャから構
成される。上述した方式に用いられる上下2個のアクチ
ュエータでは、プランジャは共通に使用できるが、コイ
ルおよびヨークは別個に設ける必要がある。このため、
部品点数が多く、構造が複雑になり、しかも外形が大き
いものになってしまう。特に、コイルに用いられる銅の
量が2倍必要となる。さらに、アクチュエータを個々に
駆動するため、駆動回路を2系統設ける必要がある。
【0005】本発明は上述した事情に鑑みてなされたも
のであり、簡易な構成で、自動演奏モードおよび力覚制
御モードの両方に対応できる鍵盤装置を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1に記載の発明は、コイルとプランジャを有
するアクチュエータと、前記プランジャによって力を受
けるように設けられた鍵盤と、前記鍵盤に付与すべき力
の方向に応じて、前記コイルと前記プランジャの相対的
な位置を変動させる機構部と、前記鍵盤を下向きに付勢
する第1の弾性体と、前記鍵盤を上向きに付勢する第2
の弾性体とを備えたことを特徴とする。
【0007】また、請求項2に記載の発明は、前記機構
部は、力覚制御モードにおいて、前記プランジャが上方
向または下方向のうちいずれか一方の方向の力を前記鍵
盤に付与するように前記コイルと前記プランジャの相対
的な位置を変動させ、自動演奏モードにおいて、前記プ
ランジャが他方の方向の力を前記鍵盤に付与するように
前記コイルと前記プランジャの相対的な位置を変動させ
ることを特徴とする。
【0008】また、請求項3に記載の発明は、前記電子
楽器鍵盤を用いた電子楽器であって、力覚制御モードに
おいて、前記アクチュエータが前記鍵盤に付与すべき力
を算出してこれを指示する第1の指令値を出力する第1
の演算手段と、自動演奏モードにおいて、前記アクチュ
エータが前記鍵盤に付与すべき力を算出してこれを指示
する第2の指令値を出力する第2の演算手段と、前記力
覚制御モードでは前記第1の指令値に基づいて前記コイ
ルに給電を行い、前記自動演奏モードでは前記第1の指
令値に基づいて前記コイルに給電を行う給電手段とを備
えたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、本発明
に係わる一実施形態を説明する。1.鍵盤およびその駆動機構 図1は、鍵盤およびその駆動機構を説明するための断面
図である。図1(A),(B)において、10は鍵盤で
あって、支点Aを中心として上下に回動できるように軸
支されており、上方向の回動はストッパ70によって規
制されている。また、20はプランジャ21と一体に構
成される突き上げヘッドである。アクチュエータは、プ
ランジャ21、ソレノイドヨーク22、およびソレノイ
ドコイル23で構成される。ソレノイドヨーク22とソ
レノイドコイル23は一体に構成されており、ソレノイ
ドコイル23に電流が給電されると、ソレノイドコイル
23とプランジャ21の間に電磁力が作用し、プランジ
ャ21が移動するようになっている。なお、図1
(A),(B)にあっては、ソレノイドコイル23に電
流が給電されていないものとする。
【0010】また、24はガイドプレートであり、ソレ
ノイドヨーク22と摺接しており、アクチュエータを上
下方向に移動可能に保持している。また、巻きバネ50
は、鍵盤10と固定端51との間に配設され、鍵盤10
を下方向に付勢する。一方、巻きバネ60は、ガイドプ
レート24の下辺とプランジャ21との間に配設され、
プランジャ21を上方向に付勢する。ここで、巻きバネ
60を巻きバネ50に比して強いバネとし、ソレノイド
コイル23に電流が給電されない場合には、鍵盤10は
上方向に付勢される。この場合、上述したように、鍵盤
10の上方向の回動はストッパ70により規制されるの
で、ソレノイドコイル23に電流が給電されない場合に
は、鍵盤10は、ストッパ70により規制される位置
(=レスト位置)に位置する。
【0011】また、30はセンサであって、これによ
り、プランジャ21の位置や速度が検出される。なお、
プランジャ21と突き上げヘッド20は、上述したよう
に一体として構成されており、また、鍵盤10は巻きバ
ネ50および巻きバネ60によって上下の両方向から付
勢されているため、突き上げヘッド20は常に鍵盤10
に当接しているので、センサ30の検出結果は、鍵盤1
0の位置情報として利用できる。また、40は支点Bを
中心に回動自在に設けられた昇降カムであり、ソレノイ
ドヨーク22の下側に設けられている。ここで、昇降カ
ム40を右側に回動させると、図1(A)に示す状態か
ら図1(B)に示す状態へ変化する。この場合、昇降カ
ム40回動に連動して、ソレノイドヨーク22およびソ
レノイドコイル23は次第に上昇し、昇降カム40が停
止ピン41と当接すると、その上昇が停止する。なお、
カム40の駆動は、演奏者の操作に応じて、機械的に行
うようにしてもよく、またモーター等により電気的に行
うようにしてもよい。
【0012】図1(A)に示す状態では、プランジャ2
1がソレノイドヨーク22から突出している。この状態
でソレノイドコイル23に電流を給電すると、プランジ
ャ21には下向きの力が加わる。この力は巻きバネ60
の付勢力の一部を相殺するように作用するため、鍵盤1
0は、巻きバネ50の付勢力によって押し下げられる。
したがって、ソレノイドコイル23に給電する電流の値
を調整すれば、鍵盤10の位置を制御することができ
る。
【0013】一方、図1(B)に示す状態では、プラン
ジャ21がソレノイドヨーク22の中に引き込まれてい
る。この状態でソレノイドコイル23に電流を給電する
と、プランジャ21には上向きの力が加わる。この力
は、突き上げヘッド20を介して鍵盤10に伝達され
る。したがって、人が指で鍵盤10を押し下げた場合
に、上向きの力を反力として指に付与することができ
る。
【0014】この例にあっては、自動演奏モードでは図
(A)に示す状態となり、力覚制御モードでは図(B)
に示す状態となるように、昇降カム40が図示せぬ駆動
機構によって駆動される。これにより、一つのソレノイ
ドコイル23によって、プランジャ21を双方向に駆動
させることが可能となる。
【0015】2.駆動回路 次に、アクチュエータの駆動回路について図面を参照し
つつ説明する。図2は、駆動回路の主要部を示す回路図
である。図において、100は自動演奏テーブルであっ
て、そこにはMIDI演奏データMDを第1のPWM指
令値P1に変換するテーブルが格納されている。200
は力覚制御テーブルであって、そこには、プランジャ2
1の位置情報X,速度情報X'および加速度情報X''と
反力として付与する力覚との関係を規定するテーブルが
格納されており、このテーブルを参照することによって
第2のPWM指令値P2が生成される。具体的には、運
動方程式の各項の値を示すパラメータが格納されてい
る。運動方程式は、例えば、F=MX”+ρX’+kX
で与えられる。ここで、Xは位置情報、X’は速度情
報、X”は加速度情報、Mは質量、ρは粘性係数、kは
バネ係数であり、また、MX”,ρX’,kXは、パラ
メータの組である。そして、MX”,ρX’,kXを加
算した値Fに基づいて第2のPWM指令値P2が生成さ
れる。
【0016】また、300はPWM回路であって、自動
演奏モードでは第1のPWM指令値P1に基づいて、一
方、力覚制御モードでは第2のPWM指令値P2に基づ
いて、PWM信号P3を生成する。このPWM信号P3
のデューティが高くなる程、FET301に流れ込む電
流は増加し、その電流がソレノイドコイル23に電源V
ccから給電される。一方、PWM信号のデューティが
低くなると、FET301はオフ状態に近づき、デュー
ティ0%にてソレノイドコイル23への給電は停止され
る。なお、ソレノイドコイル23はインダクタンス成分
を有するため、PWM信号P3の状態が急に変化する
と、FET301とソレノイドコイル23の接続点の電
圧がコイルのキックバック電圧によって電源Vccの電
圧を大幅に上回ることがある。ダイオード302は、こ
のような大振幅の電圧によって、前記接続点の電圧がF
ET301の耐圧を越えないように保護するための保護
回路として機能する。
【0017】ここで、上述の駆動回路によって付与され
るストローク量Xとプランジャ21の推力Fとの関係を
図3,4を用いて説明する。なお、ストローク量Xは、
プランジャ21の移動距離の絶対値を表すものである。
図3に自動演奏モードにおける関係を示し、図4には力
覚制御モードにおける関係を示す。図3,4において、
X1は、プランジャ21が各々図1(A),(B)の状
態にある場合(鍵盤10がレスト位置にある場合)のス
トローク量である。また、図3のX2は、プランジャ2
1が引き込まれる限界におけるストローク量であり、図
4のX2は、プランジャ21が突出できる限界における
ストローク量である。したがって、斜線部分がアクチュ
エータの使用範囲となる。ここで両図を比較すると、両
者は全く逆特性になっていることが判る。これは、ソレ
ノイドコイル23に給電する電流値を両者で等しくする
と、プランジャ21に付与される推力Fが、ソレノイド
コイル23とプランジャ21との相対的な位置関係によ
って定まるからである。
【0018】このように、ソレノイドコイル23とプラ
ンジャ21の相対的な位置を昇降カム40によって変動
させたので、アクチュエータを双方向駆動とすることが
できる。この場合、ソレノイドコイル23は単一で足り
るから、部品点数を削減し、小型化を図ることができ
る。また、電流の向きを切り換えることなく、双方向駆
動を実現できるから、駆動回路を簡易に構成することが
できる。また、ソレノイドコイル23に給電されない場
合には、レスト位置で一定の上方向のバネ負荷を残しな
がら鍵盤10が釣り合うように巻きバネ50,60のバ
ネ定数が設定されるので、低消費電力で鍵盤10を双方
向に駆動することができる。なお、本実施形態において
は図示せぬ電子音源を有しており、センサ30により検
出される鍵盤10の位置に応じて鍵盤10の押離鍵を判
別し、対応する楽音を電子的に発生するようになってい
る。
【0019】次に、図2の動作を説明する。まず、使用
者は、力覚制御モードと自動演奏モードのいずれかを選
択する。また、これに応じてカム40を駆動する。ま
ず、自動演奏モードが選択された場合の動作を説明す
る。このとき、図示せぬ記憶装置に記憶されたMIDI
演奏データMDが読み出され、あるいは、外部からMI
DI演奏データMDが供給される。このMIDI演奏デ
ータMDは、押鍵を指示するイベントの場合には、押鍵
を示すキーオンデータ、押す鍵を示すキーコード、押鍵
速度を示すベロシティデータ等からなり、離鍵を指示す
るイベントの場合には、離鍵を示すキーオフデータ、離
す鍵を示すキーコード等からなる。なお、記憶装置にM
IDI演奏データMDを記憶する場合には、各イベント
の発生タイミングを示すタイミングデータをも記憶し、
このタイミングデータの示すタイミングで各イベントの
データが読み出す。
【0020】記憶装置から読み出され、あるいは、外部
から供給されたMIDI演奏データMDが押鍵を指示す
るイベントである場合には、自動演奏テーブル100を
MIDI演奏データMDに含まれるベロシティデータを
参照してPWM指令値P1を得、このPWM信号指令値
P1に応じたPWM信号P3を生成し、このPWM信号
P3をMIDI演奏データMDに含まれるキーコードが
示す鍵に対応するソレノイドコイル23に供給する。こ
れにより、MIDI演奏データMDに含まれるキーコー
ドが示す鍵がMIDI演奏データMDに含まれるベロシ
ティデータに示される速度で駆動される。
【0021】一方、記憶装置から読み出され、あるい
は、外部から供給されたMIDI演奏データMDが離鍵
を指示するイベントである場合には、MIDI演奏デー
タMDに含まれるキーコードが示す鍵に対応するソレノ
イドコイル23への給電を停止する。これにより、MI
DI演奏データMDに副慣れるキーコードが示す鍵が離
鍵される。
【0022】次に、力覚制御モードが選択された場合の
動作を説明する。このとき、力覚制御テーブル200に
は、前述したように、演奏者により鍵盤10の押下げに
抗する方向の力を、鍵盤10の位置、速度、加速度に応
じて発生するためのパラメータが格納されている。そし
て、演奏者が鍵盤10を押し下げると、センサ30によ
り、鍵盤10の位置が検知される。この鍵盤10の位置
から鍵盤10の位置の時間変化(=速度)および鍵盤1
0の速度の時間変化(=加速度)を算出し、この位置情
報、速度情報および加速度情報で力覚制御テーブルを参
照することにより、PWM指令値P2を得、PWM指令
値P2に応じたPWM信号P3を生成し、このPWM信
号P3を押し下げられた鍵盤に対応するソレノイドコイ
ル23に供給する。これにより、押し下げられた鍵盤1
0に対して鍵盤10の位置、速度、加速度に応じた反力
が付与される。
【0023】3.力覚制御の具体例 次に、上述した鍵盤装置における力覚制御の具体的構成
を図面を用いて詳細に説明する。図5は、この鍵盤装置
のブロック図である。図において、400は鍵盤部であ
って、上述した図1(B)に相当する。なお、電子楽器
には、図示した鍵盤部400の他、同一構成のものが複
数設けられているが、ここでは省略してある。101,
102は微分回路であって、センサ30によって検出さ
れた鍵盤10の位置情報Xを順次微分して、速度情報
X'と加速度情報X''を各々生成する。104,10
5,106は、マルチプレクサであって、複数の鍵盤部
400からの位置情報X、速度情報X'または加速度情
報X''を時分割多重して、A/D変換器107,10
8,109に出力する。これにより、A/D変換器10
7〜109から後段の構成は各鍵盤部400に対応して
時分割で動作する。
【0024】また、110は位置情報2次元テーブル群
であって、そこには位置情報Xと力F1の関係を規定す
る複数のテーブルが格納されている。この位置情報2次
元テーブル群110に速度情報X'が供給されると、速
度情報X'に応じて複数のテーブルのうち一つが選択さ
れ、このテーブルを参照して、力F1を指示する第1の
力覚データD1が出力される。例えば、速度情報X'の
正負によって参照するテーブルを切り換えることができ
る。この場合には、鍵盤10が押し下げられる場合と押
し戻される場合とで異なる力覚を指に付与することがで
きる。
【0025】また、111は速度情報2次元テーブル群
であって、そこには速度情報X'と力F2の関係を規定
する複数のテーブルが格納されている。速度情報2次元
テーブル群111に位置情報Xが供給されると、位置情
報Xに応じて複数のテーブルのうち一つが選択され、こ
のテーブルを参照して、力F2を指示する第2の力覚デ
ータD2が出力される。
【0026】112は加速度情報2次元テーブル群であ
って、そこには加速度情報X''と力F3の関係を規定す
る複数のテーブルが格納されている。加速度情報2次元
テーブル群112に位置情報Xが供給されると、速度情
報X'に応じて複数のテーブルのうち一つが選択され、
このテーブルを参照して、力F3を指示する第3の力覚
データD3が出力される。
【0027】また、113は、CPU114の制御の下
に例外処理を行うための2次元テーブル群であって、速
度情報X'および加速度情報X''とは無関係な力F4を
指示する力覚データD4を出力する。この2次元テーブ
ル群113も複数のテーブルから構成され、位置情報X
に応じて複数のテーブルのうち一つが選択され、このテ
ーブルを参照して、力覚データD4が出力される。例え
ば、ボリュームを操作するとその操作量に応じて外部入
力EXTの値が変化するように構成し、2次元テーブル
群114に所定の変数値を格納しておけば、操作量に応
じてタッチ感を創出できる。
【0028】第1〜第3の力覚データD1〜D3が加算
器115で加算されると、その出力データは、加算器1
16によって第4の力覚データD4と加算される。これ
により、運動方程式の各項の値が加算される。この場合
の運動方程式は、例えば、F=MX”+ρX’+kX+
fであり、MX”=F3,ρX’=F2,kX=F1,
f=F4である。
【0029】こうして算出された加算結果は、第2のP
WM指令値P2としてPWMテーブル117に供給され
る。PWMテーブル117は、ソレノイドコイル23、
プランジャ21とヨーク22によって発生される推力の
ヒシテリシス特性を補正できるように複数のテーブルか
ら構成され、このうちの一つが位置情報Xに基づいて選
択される。このため、第2のPWM指令値P2がPWM
テーブル117に供給されると、選択されたテーブルが
参照され、第2のPWM指令値P2に補正が施された補
正PWM指令値P2'が出力される。そして、PWMド
ライバ118は補正PWM指令値P2'に基づいてソレ
ノイドコイル23を駆動する。なお、2次元テーブル1
10〜113は、図2に示す力覚制御テーブル200に
相当し、また、PWMテーブル117とPWMドライバ
118は、同図に示すPWM回路300、FET30
1、およびダイオード302に相当する。
【0030】次に、図5を参照して、この電子楽器の動
作を説明する。ここで、鍵盤10の質量をMk、突き上
げヘッド20とプランジャ21の質量をMp、支点Aか
ら鍵盤10上の巻きバネ50までの距離をL1、支点A
から鍵盤10上の突き上げヘッド20までの距離をL
2、支点Aから鍵盤10上の指の位置までの距離をL3
とする。また、巻きバネ50,60のバネ定数をK1,
K2とし、指が鍵盤10を押し下げる力をFfとし、ア
クチュエータの推力をFaとする。この場合、各要素の
モーメントが釣り合っており、鍵盤10が静止している
とすると、これらのモーメントの関係は以下に示す式1
で与えられる。ただし、摩擦力は無視するものとし、K
1<K2とする。 Ff・L3={Fa+K2・X−(Mk+Mp)・g}・L2 −K1・(L1/L2)・X・L1 ………式1 式1を変形すると、式2が導かれる。 Fa=(L3/L2)・Ff+(L1/L2)2・K1・X −K2+(Mk+Mp)・g ………式2 ここで、α=(L1/L2)2・K1、β=L3/L
2、γ=−K2+(Mk+Mp)・gとおくと、定数
α,β,γを用いて、FaはXとFfの関数で表され以
下に示す式3で与えられる。 Fa=α・X+(β・Ff+γ) ………式3
【0031】式3が成立するのは、例えば、鍵盤10を
指でそっと押し下げて、レスト位置とエンド位置との間
で鍵盤10を静止させた場合である。この場合には、指
は鍵盤10から上向きの反力を力覚として感じる。Fa
は上述した2次元テーブル110〜113等によって生
成される。上述した応用例によれば、力覚制御モードに
おいて、鍵盤10が押し下げられる場合と押し戻される
場合とで異なる力覚を指に付与するといったように複雑
な力覚を創出することが可能となる。
【0032】4.変形例 本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、
以下に述べる各種の変形が可能である。 上述した実施形態にあっては、ソレノイドコイル23
とプランジャ21の相対的な位置を変化させるのに、昇
降カムを用いてソレノイドヨーク22とソレノイドコイ
ル2を上下方向に駆動したが、本発明はこれに限定され
るものではなく、ソレノイドコイル23とプランジャ2
1の相対的な位置を変化させる機構であればどのような
ものを用いてもよい。例えば、図6に示すように、L型
の部材LAを支点Aで軸支し、この部材LAの先端部に
ソレノイドヨーク22とソレノイドコイル2を固定し
て、部材LAを回動させることによりソレノイドコイル
23とプランジャ21の相対的な位置を変化させるよう
にしてもよい。
【0033】また、図7に示すように支点Cで軸支され
るカム機構CMを設け、突き上げヘッド22とカム機構
CMが水平に接触するように配置してもよい。この場合
は、ソレノイドヨーク22とソレノイドコイル2を水平
に移動させることによって、ソレノイドコイル23とプ
ランジャ21の相対的な位置を変化させることができ
る。
【0034】上述した実施形態において、巻きバネ5
0は鍵盤10の上側に、巻きバネ60、アクチュエータ
および昇降カム40は鍵盤10の下側に配設されていた
が、これらを逆に配置するようにしてもよい。また、巻
きバネ50,60は、板バネ等の弾性体であってもよ
い。
【0035】上述した実施形態において、センサ30
は、光学的に位置を検出するものの他、歪みゲージを用
いて電気的に位置を検出するものであってもよい。ま
た、上述した応用例にあっては、センサ30で位置情報
Xのみを検出する例を説明したが、センサ30で速度、
加速度を検出してもよい。また、センサ30は、力覚制
御モードにおいて力覚を決定するための鍵盤位置(速度
・加速度)情報を得るために用いたが、フィードバック
サーボループで制御を行う自動演奏モードにおいて、セ
ンサ30を鍵盤位置(速度)のフィードバックセンサと
して使用するようにしてもよい。
【0036】上述した実施形態において、複数の鍵盤
10から構成される電子楽器鍵盤の一部を自動演奏モー
ドとし、他の部分を力覚制御モードとなるようにしても
よい。この場合には、一部の鍵盤を図1(A)の状態と
し、その他の鍵盤を図1(B)の状態になるように昇降
カム40を制御すればよい。これにより、自動演奏モー
ドで伴奏パートを自動演奏しつつ、力覚制御モードでメ
ロディパートを手動演奏するといった連弾を行うことが
可能となる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように本発明の発明特定事
項によれば、コイルとプランジャの相対的な位置を可変
することによって、一つのアクチュエータで鍵盤を双方
向に駆動できるようにしたので、簡易な構成で自動演奏
と手動演奏を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係わる鍵盤およびその
駆動機構を説明するための断面図である。
【図2】 同実施形態に用いられるアクチュエータの駆
動回路の主要部を示す回路図である。
【図3】 同実施形態の力覚制御モードにおけるプラン
ジャの推力とそのストローク量との関係を示すグラフで
ある。
【図4】 同実施形態の自動演奏モードにおけるプラン
ジャの推力とそのストローク量との関係を示すグラフで
ある。
【図5】 同実施形態の応用例を説明するための回路図
である。
【図6】 同実施形態に係わる鍵盤およびその駆動機構
の変形例を説明するための断面図である。
【図7】 同実施形態に係わる鍵盤およびその駆動機構
の変形例を説明するための断面図である。
【符号の説明】
10…鍵盤、23…ソレノイドコイル(コイル)、21
…プランジャ、41…昇降カム(機構部)、50…巻き
バネ(第1の弾性体)、60…巻きバネ(第2の弾性
体)、100…自動演奏テーブル(第2の演算手段)、
200…力覚制御テーブル(第1の演算手段)、P1…
第1のPWM指令値(第2の指令値)、P2…第2のP
WM指令値(第1の指令値)、300…PWM回路(給
電手段)。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コイルとプランジャを有するアクチュエ
    ータと、 前記プランジャによって力を受けるように設けられた鍵
    盤と、 前記鍵盤に付与すべき力の方向に応じて、前記コイルと
    前記プランジャの相対的な位置を変動させる機構部と、 前記鍵盤を下向きに付勢する第1の弾性体と、 前記鍵盤を上向きに付勢する第2の弾性体とを備えたこ
    とを特徴とする鍵盤装置。
  2. 【請求項2】 前記機構部は、力覚制御モードにおい
    て、前記プランジャが上方向または下方向のうちいずれ
    か一方の方向の力を前記鍵盤に付与するように前記コイ
    ルと前記プランジャの相対的な位置を変動させ、自動演
    奏モードにおいて、前記プランジャが他方の方向の力を
    前記鍵盤に付与するように前記コイルと前記プランジャ
    の相対的な位置を変動させることを特徴とする請求項1
    に記載の鍵盤装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載した鍵盤
    装置において、 力覚制御モードにおいて、前記アクチュエータが前記鍵
    盤に付与すべき力を算出してこれを指示する第1の指令
    値を出力する第1の演算手段と 自動演奏モードにおいて、前記アクチュエータが前記鍵
    盤に付与すべき力を算出してこれを指示する第2の指令
    値を出力する第2の演算手段と、 前記力覚制御モードでは前記第1の指令値に基づいて前
    記コイルに給電を行い、前記自動演奏モードでは前記第
    1の指令値に基づいて前記コイルに給電を行う給電手段
    とを備えたことを特徴とする鍵盤装置。
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