JPH10159943A - デファレンシャル装置 - Google Patents

デファレンシャル装置

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JPH10159943A
JPH10159943A JP31639296A JP31639296A JPH10159943A JP H10159943 A JPH10159943 A JP H10159943A JP 31639296 A JP31639296 A JP 31639296A JP 31639296 A JP31639296 A JP 31639296A JP H10159943 A JPH10159943 A JP H10159943A
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Japan
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differential
oil
conical surface
conical
differential case
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JP31639296A
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Yasuhiko Ishikawa
泰彦 石川
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GKN Driveline Japan Ltd
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Tochigi Fuji Sangyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 差動制限用円錐クラッチの円錐面の当たりを
均等にし、耐久性や差動制限機能などを向上させる。 【解決手段】 デフケ−スを回転させるエンジンの駆動
力を一対の出力部材を介して車輪側に分配する差動機構
と、デフケ−スに設けられた円錐面15、17及び差動
部材側に設けられた円錐面からなる円錐クラッチと、差
動機構の伝達トルクを受けて作動しこの円錐クラッチを
押圧するカムと、デフケ−スを貫通して設けられた油窓
21とを備え、油窓21が円錐面15、17に切り欠き
を形成しないことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両に用いられ
るデファレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】U.S.Patent 第282109
6号登録証に図12、13のようなデファレンシャル装
置201が記載されている。
【0003】このデファレンシャル装置201のデフケ
−ス203はケ−シング部材205、207とを固定し
て構成されており、デフケ−ス203に固定されたピニ
オンシャフト209と、ピニオンシャフト209上に回
転自在に支承されたピニオンギヤ211と、ピニオンギ
ヤ211と噛み合う出力側サイドギヤ213、215と
からなるベベルギヤ式の差動ギヤ機構217を備えてお
り、サイドギヤ213、215はそれぞれの車軸21
9、221にスプライン連結されている。
【0004】各車軸219、221にはクラッチ部材2
23、223がピン225で固定されている。各クラッ
チ部材223には円錐面227が設けられ、各ケ−シン
グ部材205、207には円錐面229が設けられてお
り、各円錐面227、229によって円錐クラッチ23
1、231が形成されている。これらの円錐クラッチ2
31、231は各サイドギヤ213、215のピニオン
ギヤ211に対する噛み合い反力を受けて締結され、差
動ギヤ機構217の差動を制限すると共に、コイルばね
233によって一定の差動制限力を得ている。
【0005】デフケ−ス203にはオイルが流出入する
複数個の油窓235、237が軸方向の側面に設けられ
ており、これらの潤滑孔235、237から流入したオ
イルは、各クラッチ部材223に設けられたオイル溝2
39を通って各円錐クラッチ231の全摺動面を潤滑す
るようにされている。
【0006】図14乃至図18は、上記のデファレンシ
ャル装置201と構造が類似したデファレンシャル装置
のデフケ−スを示している。
【0007】このデフケ−スはカバ−241とケ−シン
グ本体243とから構成されており、デファレンシャル
装置201と同様に、サイドギヤの噛み合い反力を受け
て締結される差動制限用の円錐クラッチを備えている。
カバ−241とケ−シング本体243には、この円錐ク
ラッチを構成する円錐面245、247がそれぞれ設け
られている。
【0008】又、図18のように、カバ−241とケ−
シング本体243とに跨がって、デフケ−スの大径部側
には油窓249が形成されており、図15、17、18
のように、この油窓249によって各円錐面245、2
47に切り欠き部251、253が形成されている。更
に、カバ−241とケ−シング本体243の側面には開
口255、257が形成されている。
【0009】又、各円錐面245、247には円錐クラ
ッチの潤滑性を高めるために三角形の油溝259、26
1が形成されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者(デファ
レンシャル装置201)では、油窓235、237が軸
方向の側面に設けられているだけであり、油窓235、
237から流入したオイルが内部で循環しにくいから、
円錐クラッチ231、231の潤滑性が不充分である。
【0011】一方、後者(図14乃至図18のデファレ
ンシャル装置)では、デフケ−スの側面に開口255、
257が設けられ大径部側に油窓249が設けられてい
るから、オイルが遠心力によって開口255、257か
ら円錐クラッチを通り油窓249から外部に排出される
循環路が形成され、円錐クラッチが充分に潤滑される。
【0012】差動制限トルクを発生する円錐面245、
247には大きな負担が掛かるから、硬度と耐摩耗性と
を改善し耐久性を高くするためにカバ−241とケ−シ
ング本体243には侵炭や窒化などの熱処理が施され
る。
【0013】ところが、上記のように、油窓249によ
って円錐面245、247に切り欠き部251、253
が形成されているから、円錐面245、247の周辺で
カバ−241とケ−シング本体243の肉厚が不均等で
あり、肉厚が薄くなっている。
【0014】従って、熱処理に伴う膨張と収縮も不均等
になり、円錐面245、247に歪みが生じる。
【0015】この歪みによって円錐面245、247と
サイドギヤの円錐面との接触が不均等になり、偏摩耗が
発生する。
【0016】更に、このような円錐面245、247の
歪みは不安定であって製品毎に異なり、歩留りを低下さ
せる。
【0017】図19はカバ−241の円錐面245にダ
イヤルゲ−ジを当てて回転させ、円周方向の12箇所で
測定した真円度を拡大して示すグラフであり、図20は
同様に測定したケ−シング本体243の円錐面247の
真円度を示すグラフである。各円錐面245、247共
に、それぞれ5個の試供品について測定を行い、各試供
品のグラフとこれらの平均値のグラフとを示している。
【0018】なお、図19、20において、○の中に記
入された番号1から番号5のグラフは試供品1から試供
品5に対応し、細い実線、太い破線、細い破線、太い一
点鎖線、細い一点鎖線でそれぞれ表示されている。又、
○の中の番号6は平均値のグラフであり、太い実線で表
示されている。
【0019】図19、20のグラフが示すように、切り
欠き部251、253が形成されたことによって円錐面
245、247共に真円度が低下しており、特に、図2
0のグラフが示すように、ケ−シング本体243では油
窓249を設けたことによって真円度の低下が甚だしい
ことが分かる。
【0020】更に、真円度は試供品毎に大きくばらつい
ており、製品の歩留りを低下させている。
【0021】図21はケ−シング本体243の円錐面2
47に残されたサイドギヤとの摺動痕を示している。各
摺動痕に付けられた○の中の番号は図17において円錐
面247に付けられた○の中の番号に対応する。なお、
これらの番号と図19、20の番号とは対応していな
い。
【0022】図21が示すように各摺動痕にはグラデ−
ションが付いており、これは円錐面247とサイドギヤ
との当たりが不均等であることを示している。特に、番
号2、3の摺動痕において矢印で示す条痕263、26
5はサイドギヤが部分的に強く当たっていることを示し
ている。
【0023】このように、円錐面245、247が歪む
とサイドギヤとの摺動が不均等になり、両方に偏摩耗が
発生して耐久性が大きく低下すると共に、円錐クラッチ
の摩擦トルクと差動制限機能とが不安定になる。
【0024】これに加えて、油溝259、261が三角
形であり、円錐面245、247に沿って幅と深さとが
変化するから、円錐面245、247の肉厚が更に不均
等になり、耐久性や差動制限機能などを悪化させる。
【0025】そこで、この発明は、差動制限用の円錐ク
ラッチを充分に潤滑することができると共に、円錐クラ
ッチの円錐面の当たりを均等にし、耐久性や差動制限機
能、製品の歩留りなどを向上させるデファレンシャル装
置の提供を目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のデファレ
ンシャル装置は、オイル溜りが設けられたケ−シングの
内部に配置され、エンジンの駆動力によって回転駆動さ
れるデフケ−スと、デフケ−スの回転を一対の出力部材
を介して車輪側に分配する差動機構と、デフケ−スに設
けられた円錐面及び差動機構の差動部材側に設けられデ
フケ−スの円錐面に貫入した円錐面からなる円錐クラッ
チと、差動機構の伝達トルクを受けて作動しこの円錐ク
ラッチを押圧するカムと、デフケ−スを貫通して設けら
れオイル溜りのオイルが流出入する油窓とを備えたデフ
ァレンシャル装置であって、前記油窓がデフケ−スの円
錐面に切り欠きを形成せず、円錐面周辺の肉厚が油窓に
よって不均等にならないことを特徴とする。
【0027】デフケ−スを回転させるエンジンの駆動力
は差動機構から出力部材を介して各車輪側に分配され
る。又、差動機構の伝達トルクを受けて作動するカムに
よって円錐クラッチが締結され、円錐クラッチの摩擦ト
ルクによって差動機構の差動が制限される。
【0028】又、請求項1記載のデファレンシャル装置
では、従来例と異なって、オイル溜りのオイルが流出入
する油窓がデフケ−スの円錐面に切り欠きを形成せず、
円錐面周辺の肉厚を不均等にしないから、熱処理に伴う
歪みが大きく低減され、侵炭や窒化などの熱処理によっ
て硬度と耐摩耗性と耐久性とを充分に改善することがで
きると共に、製品の歩留りも大きく向上する。
【0029】更に、デフケ−スの円錐面の歪が低減され
たことにより、デフケ−スと差動部材側の各円錐面とが
全面で均等に摺動し、両方の耐久性が大きく向上すると
共に、円錐クラッチの差動制限機能が安定する。
【0030】請求項2記載の発明は、請求項1記載のデ
ファレンシャル装置であって、差動機構が、デフケ−ス
と一体に回転するピニオンシャフトと、ピニオンシャフ
ト上に回転自在に支承されたピニオンギヤと、このピニ
オンギヤと噛み合った一対の出力側サイドギヤとを有す
るベベルギヤ式の差動ギヤ機構であり、円錐クラッチ
が、デフケ−スとサイドギヤとの間に設けられ、サイド
ギヤの噛み合い反力によって締結されることを特徴と
し、請求項1の構成と同等の効果を得る。
【0031】請求項3記載の発明は、請求項1又は請求
項2記載のデファレンシャル装置であって、デフケ−ス
の内側に油窓に連通する油溝を設けたことを特徴とし、
請求項1又は請求項2の構成と同等の効果を得る。
【0032】これに加えて、デフケ−スの内側に油窓に
連通する油溝を設けたことにより、油溝から円錐クラッ
チを介して油窓に通じるオイルの循環路が形成され、円
錐クラッチの潤滑効率と耐久性が大きく向上する。
【0033】請求項4記載の発明は、請求項3記載のデ
ファレンシャル装置であって、油窓が、円錐面の径方向
外側にあり、油溝が、円錐面の径方向内側から円錐面を
通って油窓に連通していることを特徴とし、請求項3の
構成と同等の効果を得る。
【0034】これに加えて、油溝を、径方向内側から円
錐面を通って油窓に連通させたことにより、遠心力によ
って循環路のオイルの循環が促進され、円錐クラッチの
潤滑効率と耐久性が更に向上する。
【0035】請求項5記載の発明は、請求項4記載のデ
ファレンシャル装置であって、円錐面を通る油溝の幅と
深さが一定であることを特徴とし、請求項3の構成と同
等の効果を得る。
【0036】これに加えて、円錐面を通る油溝の幅と深
さを円錐面に沿って一定にしたから、油溝が三角形で油
溝の幅と深さが円錐面に沿って一定でない従来例と異な
り、油溝によって円錐面周辺に生じる肉厚の不均等化が
大幅に軽減される。
【0037】更に、円錐面を通る油溝の幅と深さを一定
にしたことにより、熱処理の歪みがこれらの油溝に均等
に集まるから、円錐面の歪みが大きく軽減される。
【0038】こうして、油溝を設けて円錐クラッチの潤
滑効率を向上させながら、円錐面の歪みを軽減し、円錐
クラッチの耐久性を向上させ、差動制限機能を安定させ
ることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】図1乃至図11によって本発明の
一実施形態を説明する。この実施形態のデファレンシャ
ル装置は請求項1、2、3、4、5の特徴を備えてい
る。なお、符号を与えていない部材等は図示されていな
い。
【0040】図1、2、4、5、6、8のように、この
デファレンシャル装置のデフケ−スはカバ−1とケ−シ
ング本体3とで構成され、これらはボルトで一体に固定
される。
【0041】デファレンシャル装置はデフキャリヤ(ケ
−シング)の内部に配置されており、デフケ−スのボス
部5、7はぞれぞれベアリングを介してデフキャリヤに
支承されている。このデフキャリヤにはオイル溜りが形
成されており、ボス部5、7の内周にはデフケ−スの回
転に伴ってオイルを内部に導く螺旋状のオイル溝9、1
1が設けられている。
【0042】デフケ−スにはリングギヤがボルトで固定
されており、このリングギヤは駆動力伝達系の駆動ギヤ
と噛み合っている。こうして、デフケ−スはエンジンの
駆動力によりこの駆動力伝達系を介して回転駆動され
る。
【0043】デフケ−スの内部にはベベルギヤ式の差動
ギヤ機構が配置されている。この差動ギヤ機構は複数本
のピニオンシャフトと、各ピニオンシャフト上に回転自
在に支承されたピニオンギヤと、ピニオンギヤと噛み合
った一対の出力側サイドギヤ(差動部材)とから構成さ
れている。
【0044】各ピニオンシャフトの端部は、図4、5、
6に示すケ−シング本体3の貫通孔13に係合し、回り
止めピンで固定されている。又、各サイドギヤはそれぞ
れの車軸にスプライン連結されており、ピニオンギヤと
の噛み合いによって径方向外側から支持されている。
【0045】デフケ−スを回転させるエンジンの駆動力
は、ピニオンシャフトからピニオンギヤを介して各サイ
ドギヤに分配され、各車軸を介して左右の車輪に伝達さ
れる。又、例えば悪路走行中に、各車輪間に駆動抵抗差
が生じると各ピニオンギヤの自転によってエンジンの駆
動力は左右各側に差動分配される。
【0046】各サイドギヤ及びカバ−1とケ−シング本
体3の間にはそれぞれ円錐クラッチが形成されている。
各円錐クラッチは、カバ−1に形成された円錐面15と
ケ−シング本体3に形成された円錐面17と、これらの
円錐面15、17に貫入する各サイドギヤ側の円錐面と
から構成されている。
【0047】差動ギヤ機構にトルクが入力すると、ピニ
オンギヤとの噛み合い反力によって各サイドギヤが移動
し、各円錐クラッチが締結され、これらの摩擦トルクに
よって差動ギヤ機構の差動が制限される。
【0048】このような摩擦トルクを発生することによ
って大きな負担が掛かる円錐面15、17の硬度と耐摩
耗性とを上げて耐久性を高くするために、カバ−1とケ
−シング本体3には侵炭や窒化などの熱処理が施され
る。
【0049】図5、8のように、ケ−シング本体3の大
径部19には油窓21が形成されている。この油窓21
はカバ−1とケ−シング本体3の各円錐面15、17か
ら離れた箇所に設けられており、従来例と異なって、こ
の油窓21によって各円錐面15、17に切り欠き部が
形成されることがない。
【0050】従って、油窓249による切り欠き部25
1、253が円錐面245、247周辺の肉厚を薄くし
ている従来例と異なり、円錐面15、17の周辺では油
窓21による薄肉化が防止されている。
【0051】各円錐面15、17には、幅と深さが円錐
面15、17に沿って等しい直線状の油溝23、25が
形成されている。各油溝23、25の断面形状はそれぞ
れ図3、7のようにV字形である。図5、6に示すよう
に、ケ−シング本体3の油溝25は円錐面17の径方向
内側から形成されており、円錐面17を介して油窓21
に連通している。
【0052】これらの油溝23、25によって円錐クラ
ッチの潤滑性が高められている。
【0053】図2のように、カバ−1には止め孔27が
設けられており、この止め孔27によって、図1のよう
に、円錐面15の径方向内側4箇所に開口29が形成さ
れている。又、図4、5、8のように、ケ−シング本体
3には止め孔31が設けられており、図6のように、こ
の止め孔31によって円錐面17の径方向内側4箇所に
開口33が形成されている。これらの開口29、33は
いずれも円錐面15、17と干渉していない。
【0054】更に、図5のように、ケ−シング本体3に
は下孔35が形成されているが、この下孔35も円錐面
17と干渉していない。
【0055】デフケ−スは下部をデフキャリヤのオイル
溜りに浸されており、そのオイルはボス部5、7のオイ
ル溝9、11と各開口29、33と油窓21などから流
入し、円錐クラッチやベベルギヤ式差動ギヤ機構の各ギ
ヤの噛み合い部などを潤滑する。
【0056】又、上記のように、カバ−1とケ−シング
本体3の側面にそれぞれ開口29、33を設け、ケ−シ
ング本体3の大径部19に油窓21を設けたことによ
り、オイルがオイル溝9、11や開口29、33から各
円錐クラッチを通り油窓21からデフケ−ス外部に排出
されるオイル循環路が形成され、この循環路のオイルの
流れが遠心力によって促進され、各円錐クラッチが充分
に潤滑される。
【0057】図9はカバ−1の円錐面15にダイヤルゲ
−ジを当てて回転させ、円周方向の12箇所で測定した
真円度を拡大して示すグラフであり、図10は同様に測
定したケ−シング本体3の円錐面17の真円度を示すグ
ラフである。各円錐面15、17共に、それぞれ5個の
試供品について測定を行い、各試供品のグラフとこれら
の平均値のグラフとを示している。
【0058】図9、10において、○の中に記入された
番号1から番号5のグラフは試供品1から試供品5に対
応し、細い実線、太い破線、細い破線、太い一点鎖線、
細い一点鎖線でそれぞれ表示されている。又、○の中の
番号6は平均値のグラフであり、太い実線で表示されて
いる。
【0059】これらの図9、10の各グラフが示すよう
に、図19、20の従来例のグラフとを較べて、円錐面
15、17の真円度が大きく向上していることが分か
る。
【0060】更に、従来例に較べて真円度のばらつきが
改善されている。
【0061】又、図11は、ケ−シング本体3の円錐面
17に残されたサイドギヤとの摺動痕を示している。各
摺動痕の番号は図6において円錐面17に付けられた番
号に対応する。なお、この番号と図9、10の番号とは
対応していない。
【0062】図11が示すように、各円錐面17の摺動
痕のグラデ−ションは、図21の従来例より緩和されて
おり、これは円錐面15、17とサイドギヤの円錐面と
の接触が全面で均等に行われていることを示している。
【0063】こうして、実施形態のデファレンシャル装
置が構成されている。
【0064】上記のように、実施形態のデファレンシャ
ル装置では、油窓21がデフケ−スの円錐面15、17
に切り欠きを形成せず、周辺の肉厚を不均等にしないか
ら、熱処理に伴う歪みが大きく低減され、侵炭や窒化な
どの熱処理によって硬度と耐摩耗性と耐久性とを充分に
改善することができる。
【0065】又、上記のように、円錐面15、17の真
円度のばらつきが改善されたことによって、製品の歩留
りが向上する。
【0066】又、円錐面15、17の歪が低減されたこ
とにより、円錐面15、17とサイドギヤ側円錐面との
摺動が均等化され、両方の耐久性が大きく向上すると共
に、円錐クラッチの差動制限機能が大幅に安定する。
【0067】又、デフケ−スに油窓21に連通する油溝
23、25を設けたことにより、油溝23、25から円
錐クラッチを介して油窓21を通るオイルの循環路が形
成され、円錐クラッチの潤滑効率と耐久性が大きく向上
する。
【0068】更に、これらの油溝23、25を、円錐面
15、17の径方向内側から円錐面15、17を通って
油窓21に連通させたから、オイルの移動が遠心力によ
って促進され、円錐クラッチの潤滑効率と耐久性が更に
向上する。
【0069】これに加えて、油溝23、25の幅と深さ
を円錐面15、17に沿って一定にしたから、油溝の幅
と深さが一定でない従来例と異なって、油溝23、25
を設けたことにより円錐面15、17の周辺に生じる肉
厚の不均等化が大きく軽減される。
【0070】更に、油溝23、25の幅と深さを一定に
したことによって熱処理の歪みがこれらの油溝23、2
5に均等に集まるから、円錐面15、17の歪みが大幅
に軽減される。
【0071】こうして、油溝23、25によって円錐ク
ラッチの潤滑効率が向上すると共に、円錐面15、17
の歪みが軽減し、円錐クラッチの耐久性が向上し、差動
制限機能が更に安定する。
【0072】なお、この発明のデファレンシャル装置
は、フロントデフ(エンジンの駆動力を左右の前輪に分
配するデファレンシャル装置)と、リヤデフ(エンジン
の駆動力を左右の後輪に分配するデファレンシャル装
置)と、センタ−デフ(エンジンの駆動力を前輪と後輪
とに分配するデファレンシャル装置)のいずれにも用い
ることができる。
【0073】
【発明の効果】請求項1記載のデファレンシャル装置で
は、従来例と異なって、オイル用の油窓がデフケ−スの
円錐面周辺の肉厚を不均等にしないから、熱処理に伴う
歪みが大きく低減され、侵炭や窒化などの熱処理によっ
て硬度と耐摩耗性と耐久性とを充分に改善することがで
きると共に、製品の歩留りも大きく向上する。
【0074】更に、デフケ−スの円錐面の歪が低減され
るから、デフケ−スと差動部材側の各円錐面とが全面で
均等に摺動し、両方の耐久性が大きく向上すると共に、
円錐クラッチの差動制限機能が安定する。
【0075】請求項2記載の発明は、請求項1の構成と
同等の効果を得る。
【0076】請求項3記載の発明は、請求項1又は請求
項2の構成と同等の効果を得ると共に、油窓に連通する
油溝を設けたことにより、油溝から円錐クラッチを介し
て油窓に通じるオイルの循環路が形成され、円錐クラッ
チの潤滑効率と耐久性が大きく向上する。
【0077】請求項4記載の発明は、請求項3の構成と
同等の効果を得ると共に、油溝を、径方向内側から円錐
面を通って油窓に連通させたことにより、循環路のオイ
ルの移動が遠心力によって促進され、円錐クラッチの潤
滑効率と耐久性が更に向上する。
【0078】請求項5記載の発明は、請求項3の構成と
同等の効果を得ると共に、円錐面を通る油溝の幅と深さ
を一定にしたから、従来例と異なって、油溝による円錐
面周辺の肉厚の不均等化が大幅に軽減される。
【0079】更に、油溝の幅と深さを一定にしたことに
より、熱処理の歪みがこれらの油溝に均等に集まり、円
錐面の歪みが大きく軽減される。
【0080】こうして、油溝を設けて円錐クラッチの潤
滑効率を向上させながら、円錐面の歪みを軽減し、円錐
クラッチの耐久性を向上させ、差動制限機能を安定させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態においてデフケ−スを構成
するカバ−をケ−シング本体側から見た側面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】本発明の一実施形態においてデフケ−スを構成
するケ−シング本体をボス側から見た側面図である。
【図5】図4のC−C断面図である。
【図6】図4のケ−シング本体をカバ−側から見た側面
図である。
【図7】図6のD−D断面図である。
【図8】図4のケ−シング本体の正面図である。
【図9】図1のカバ−に形成された円錐面の真円度を拡
大して示す図である。
【図10】図4のケ−シング本体に形成された円錐面の
真円度を拡大して示す図である。
【図11】図4のケ−シング本体の円錐面の周方向各箇
所におけるサイドギヤ側円錐面との摺動痕を示す図であ
る。
【図12】第1従来例の断面図である。
【図13】図12のE−E断面図である。
【図14】他の従来例においてデフケ−スを構成するカ
バ−をボス側から見た側面図である。
【図15】図14のカバ−の縦断面図である。
【図16】他の従来例においてデフケ−スを構成するケ
−シング本体をボス側から見た側面図である。
【図17】図16のケ−シング本体をカバ−側から見た
側面図である。
【図18】図16のケ−シング本体の縦断面図である。
【図19】図14のカバ−に形成された円錐面の真円度
を拡大して示す図である。
【図20】図16のケ−シング本体に形成された円錐面
の真円度を拡大して示す図である。
【図21】図16のケ−シング本体の円錐面の周方向各
箇所におけるサイドギヤ側円錐面との摺動痕を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 カバ− 3 ケ−シング本体 15、17 円錐面 21 油窓 23、25 幅と深さが一定の油溝

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オイル溜りが設けられたケ−シングの内
    部に配置され、エンジンの駆動力によって回転駆動され
    るデフケ−スと、デフケ−スの回転を一対の出力部材を
    介して車輪側に分配する差動機構と、デフケ−スに設け
    られた円錐面及び差動機構の差動部材側に設けられデフ
    ケ−スの円錐面に貫入した円錐面からなる円錐クラッチ
    と、差動機構の伝達トルクを受けて作動しこの円錐クラ
    ッチを押圧するカムと、デフケ−スを貫通して設けられ
    オイル溜りのオイルが流出入する油窓とを備えたデファ
    レンシャル装置であって、前記油窓がデフケ−スの円錐
    面に切り欠きを形成せず、円錐面周辺の肉厚が油窓によ
    って不均等にならないことを特徴とするデファレンシャ
    ル装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の発明であって、差動機構
    が、デフケ−スと一体に回転するピニオンシャフトと、
    ピニオンシャフト上に回転自在に支承されたピニオンギ
    ヤと、このピニオンギヤと噛み合った一対の出力側サイ
    ドギヤとを有するベベルギヤ式の差動ギヤ機構であり、
    円錐クラッチが、デフケ−スとサイドギヤとの間に設け
    られ、サイドギヤの噛み合い反力によって締結されるこ
    とを特徴とするデファレンシャル装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の発明であっ
    て、デフケ−スの内側に油窓に連通する油溝を設けたこ
    とを特徴とするデファレンシャル装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の発明であって、油窓が、
    円錐面の径方向外側にあり、油溝が、円錐面の径方向内
    側から円錐面を通って油窓に連通していることを特徴と
    するデファレンシャル装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の発明であって、円錐面を
    通る油溝の幅と深さが一定であることを特徴とするデフ
    ァレンシャル装置。
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