JPH10158373A - シリコーン易接着性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

シリコーン易接着性フィルム及びその製造方法

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JPH10158373A
JPH10158373A JP8322743A JP32274396A JPH10158373A JP H10158373 A JPH10158373 A JP H10158373A JP 8322743 A JP8322743 A JP 8322743A JP 32274396 A JP32274396 A JP 32274396A JP H10158373 A JPH10158373 A JP H10158373A
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film
alkoxysilane
silicone
group
coating
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JP8322743A
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Toshifumi Ishikawa
俊史 石川
Masayuki Fukuda
雅之 福田
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱寸法安定性に優れ、かつシリコーンに対
して優れた接着性を有するポリエチレン−2,6−ナフ
タレートフィルム、及び該フィルムを高い生産性で製造
する方法を提供する。 【解決手段】 ポリエチレン−2,6−ナフタレートフ
ィルムの少なくとも片面に、エポキシ環を持つ官能基を
有するアルコキシシラン(A)及びアミノ基を有するア
ルコキシシラン(B)を含む塗布液を塗布し、次いで乾
燥、熱架橋させて得られる架橋プライマー層を設けたシ
リコーン易接着性フィルムであって、110℃にて30
分間加熱処理した後の熱収縮率が縦方向で0〜0.10
%、かつ横方向で0〜0.05%であるシリコーン易接
着性フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシリコーン易接着性
フィルム及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、離
形性、シリコーン易接着性に優れ、かつ加熱処理の際熱
収縮しない易接着性フィルム及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】離形フィルムは、粘着剤、接着剤、貼薬
剤等の粘着面保護フィルムとして、あるいはウレタン樹
脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等硬化性樹
脂のシート、あるいは熱可塑性樹脂のシートを成形する
ためのキャリヤ−シートとして用いられ、その量を拡大
しつつある。それに伴い、シートを生産する際の生産速
度が年々高速化され、シート成形時に使用される溶媒を
速く乾燥させるため、乾燥温度も従来より高温度で行う
ようになってきた。また、成形により得られたシートの
寸法精度に対する要求も年々高度なものとなり、溶媒の
乾燥を従来よりも高温度で行っても離形フィルムの寸法
変化や変形が少ないことが必要となってきた。
【0003】かかる離形フィルムとしては、従来から、
ポリエチレンテレフタレートフィルムに代表されるポリ
エステルフィルムの少なくとも片面にビニルシロキサン
基を有するシリコン化合物の付加重合硬化物や、アルキ
ルオキシシランもしくはオキシシラン化合物の縮重合硬
化物等よりなる被膜を設けたものが用いられている。
【0004】しかし、溶媒の乾燥温度を従来より高くす
ると、例えばポリエチレンテレフタレートをベースフィ
ルムとした離形フィルムでは熱収縮率が大きく、寸法精
度を満足することができなくなる可能性があるため、そ
の改良が望まれている。
【0005】一方、前述の離形層を形成するシリコーン
硬化物は非粘着で離形効果や熱安定性に優れるという利
点を有するが、一方ベースフィルムであるポリエステル
フィルムとの密着性が不足するという問題を有する。
【0006】そこで、かかるシリコーン硬化物層とポリ
エステルフィルムの密着性を改善する方法として、シラ
ンカップリング剤を用いて架橋プライマー層を設ける方
法(特開平1−5838号公報)が提案されている。し
かし、この方法はシランカップリング剤の反応性が遅
く、生産性が低いという問題を有する。この反応性を向
上させるために、溶剤系では白金系触媒等の添加が行わ
れているが、この触媒は水に難溶であったり、溶解して
も触媒活性を失う欠点があり、水系塗布液には不適であ
る。
【0007】別の方法として、シリコーン変性ウレタン
あるいはアクリル樹脂を離形層として用いる方法もある
が、この方法では離形層の離形性が劣るという本質的な
欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る問題を解消し、シリコーン硬化物層に対し優れた接着
性と加熱処理時の寸法安定性(耐熱寸法安定性)を有す
るシリコーン易接着性フィルムを提供することにある。
本発明の他の目的は、上記のシリコーン易接着性フィル
ムを高い生産性で製造する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するため、次の構成からなる。 ア.エポキシ環を持つ官能基を有するアルコキシシラン
(A)及びアミノ基を有するアルコキシシラン(B)を
用いた架橋プライマー層を、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレートフィルムの少なくとも片面に塗設した、11
0℃にて30分間加熱処理した後の熱収縮率が縦方向で
0〜0.10%、かつ横方向で0〜0.05%であるシ
リコーン易接着性フィルム。 イ.ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムの少
なくとも片面に、エポキシ環を持つ官能基を有するアル
コキシシラン(A)及びアミノ基を有するアルコキシシ
ラン(B)を含有しかつ液のpHを4.0〜7.0に調
整した塗布液を塗布し、次いで乾燥、延伸、熱処理し
て、110℃にて30分間加熱処理した後の熱収縮率が
縦方向で0〜0.10%、かつ横方向で0〜0.05%
であるシリコーンシリコーン易接着性フィルムを得るこ
とを特徴とするシリコーン易接着性フィルムの製造方
法。 以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0010】[ポリエチレン−2,6−ナフタレートフ
ィルム]本発明においてポリエチレン−2,6−ナフタ
レートフィルムを構成するポリエチレン−2,6−ナフ
タレート(以下PENと略することがある)は、ナフタ
レン−2,6−ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘
導体とエチレングリコール又はそのエステル形成性誘導
体とを重縮合させて得られる結晶性の線状飽和ポリエス
テルである。かかるPENポリマーはホモポリマーの
他、共重合成分を少割合(例えば10モル%以下、特に
5モル%以下)共重合したコポリマー、あるいは他のポ
リマーを少割合(例えば20重量%以下、特に10重量
%以下)混合したブレンドポリマーであってもよい。
【0011】好ましい共重合成分としては、2価のエス
テル形成性官能基を有する化合物、例えばシュウ酸、ア
ジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナ
フタレン−2,7−ジカルボン酸、4,4’−ジフェニ
ルエーテルジカルボン酸等のようなジカルボン酸又はそ
れらの低級アルコールエステル、p−オキシ安息香酸、
p−オキシエトキシ安息香酸等のようなオキシカルボン
酸又はそれらのエステル形成性誘導体、あるいは1,2
−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコー
ル、1,4−テトラメチレングリコール、1,6−ヘキ
サメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のよ
うな2価アルコール類等を挙げることができる。
【0012】また、PENポリマーは、例えば安息香
酸、モノメトキシポリアルキレングリコール等の一官能
性化合物によって末端の水酸基及び/又はカルボキシル
基の一部又は全部を封鎖したものであってもよく、ある
いは、例えばごく少量のグリセリン、ペンタエリスリト
ール等のような3官能以上のエステル形成性化合物を実
質的に線状のポリマーが得られる範囲内で共重合したも
のであってもよい。
【0013】PENポリマーは公知の方法で製造するこ
とができる。例えば、ナフタレン−2,6−ジカルボン
酸又はそのエステル形成性誘導体とエチレングリコール
又はそのエステル形成性誘導体とを、触媒の存在下で縮
重合させることによって製造できる。コポリマーを製造
する場合には、上記成分と共に共重合成分を加えるとよ
い。
【0014】本発明におけるPENフィルムは、従来か
ら知られている方法で製造することができる。例えば、
上記PENポリマーを乾燥後溶融し、ダイ(例えばTダ
イ、Iダイ等)から冷却ドラム上に押出し冷却して未延
伸フィルムとし、該未延伸フィルムを縦方向に130〜
150℃の温度で3.0〜4.5倍の倍率で延伸し、次
いで横方向に120〜150℃の温度で3.2〜4.8
倍の倍率で延伸する方法(逐次二軸延伸)、あるいは縦
方向と横方向とを同時に延伸する方法(同時二軸延伸)
により得ることができる。
【0015】なお、縦方向と横方向の延伸倍率をほぼ同
じとすることにより、フィルムの等方性を良好なものと
することができる。
【0016】また、本発明におけるPENフィルムは、
下記式(2)で求まる面配向度0.10〜0.30の二
軸配向PENフィルムであることが離形フィルムの機械
的特性がより良好なものとなるため好ましい。
【0017】
【数5】ns=(nx+ny)/2−nz (2) [但し、式(2)中のnsは面配向度、nxは横方向の
屈折率、nyは縦方向の屈折率、nzは厚み方向の屈折
率を示す。]
【0018】本発明におけるPENフィルムは、密度
1.340g/cm3以上、さらに1.350g/cm3
以上、特に1.360g/cm3以上であることが離形
フィルムの熱収縮率が良好となるため好ましい。上記の
密度範囲を満足するPENフィルムは、例えば二軸延伸
したフィルムを220〜255℃で5秒〜1分間熱固定
することにより得ることができる。なお、熱固定は収縮
を制限しながら行うことが好ましい。
【0019】さらに、離形層の密着性を高める目的で、
本発明におけるPENフィルムの表面にコロナ処理を行
なうことが好ましい。
【0020】さらに、本発明におけるPENフィルム
は、110℃にて30分間加熱処理した際の縦方向(長
手方向)の熱収縮率が0〜0.10%、横方向(幅方
向)の熱収縮率が0〜0.05%であることが必要であ
る。かかる熱収縮率を有するPENフィルムは、例え
ば、二軸延伸したフィルムを熱固定することにより得る
ことができる。特に、二軸延伸したフィルムを熱固定し
た後、さらに120〜150℃の温度で弛緩状態で熱処
理(熱弛緩)することにより、より好ましい熱収縮率を
有するフィルムを得ることができる。
【0021】本発明におけるPENフィルムの厚みは限
定されないが、5〜200μm、さらに25〜100μ
mであることが好ましい。
【0022】本発明におけるPENフィルムとしては滑
剤を含まないフィルムが表面平滑性の点で好ましいが、
表面粗さを制御するための滑剤、例えば炭酸カルシウ
ム、カオリン、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の如き
無機微粒子等を含有させたフィルムであってもよい。ま
た、他の添加剤、例えば安定剤、紫外線吸収剤、難燃
剤、帯電防止剤等を含有させたフィルムであってもよ
い。
【0023】[アルコキシシラン]本発明においては、P
ENフィルムの少なくとも片面に、エポキシ環を持つ官
能基を有するアルコキシシラン(A)及びアミノ基を有
するアルコキシシラン(B)を含む塗布液を塗布し、次
いで乾燥、熱架橋させて得られる架橋プライマー層を設
ける。
【0024】このエポキシ環を持つ官能基を有するアル
コキシシラン(A)は、XRSiZ3で示される化合物
である。なお、Xはエポキシ環を持つ官能基、Rはメチ
レン基、エチレン基、プロピレン基等の如きアルキレン
基、Zはメトキシ基、エトキシ基等の如き加水分解性を
有する官能基、アルキル基及び/又はこれらの基を有す
る有機官能基を表わす。
【0025】エポキシ環を持つ官能基を有するアルコキ
シシラン(A)の具体例としては、例えばγ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルメチルジエトキシシラン等を好ましく挙げることが
できる。
【0026】また、アミノ基を有するアルコキシシラン
(B)は、YRSiZ3で示される化合物である。な
お、Yはアミノ基、Rはメチレン基、エチレン基、プロ
ピレン基等の如きアルキレン基、Zはメトキシ基、エト
キシ基等の如き加水分解性を有する官能基、アルキル基
及び/又はこれらの基を有する有機官能基である。
【0027】アミノ基を有するアルコキシシラン(B)
の具体例としては、例えばN−β(アミノエチル)−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノ
エチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等を好まし
く挙げることができる。
【0028】上記のエポキシ環を持つ官能基を有するア
ルコキシシラン(A)及びアミノ基を有するアルコキシ
シラン(B)(以下、両者を合わせて「シランカップリ
ング剤」ということがある)の量比は、下記式(1)の
範囲であることが好ましい。
【0029】
【数6】 0.1≦[WB/(WA+WB)]×100≦20.0 (1) [但し、式(1)中のWAは塗布液に含まれるエポキシ環
を持つ官能基を有するアルコキシシラン(A)の重量
部、WBは塗布液に含まれるアミノ基を有するアルコキ
シシラン(B)の重量部を示す。] さらに、上記のシランカップリング剤は、水溶性又は水
分散性を有することが好ましい。
【0030】[塗布液]シランカップリング剤の塗布液、
特にその水性塗布液は、そのpHを4.0〜7.0、さ
らに5.0〜6.7に調整することが好ましい。このp
Hが4.0未満、他方7.0を超えると塗布液が不安定
となり沈殿が生じることがあるので好ましくない。
【0031】このpHを調整する酸としては塩酸、硝
酸、硫酸等の無機酸や、シュウ酸、蟻酸、クエン酸、酢
酸等の有機酸が用いられるが、特に有機酸が好ましい。
【0032】塗布液、特に水性液には、アニオン系界面
活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤
等の界面活性剤を必要量添加して用いることができる。
かかる界面活性剤としては、塗布液の表面張力を50d
yne/cm以下、好ましくは40dyne/cm以下
に降下でき、PENフィルムへの濡れを促進するものが
好ましく、例えばポリエチレンオキサイド−ポリプロピ
レンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンモノアルキレート、ポ
リオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エ
ステル、グリセリン脂肪酸エステル等を好ましく挙げる
ことができる。
【0033】さらに本発明の効果を消失させない範囲に
おいて、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、無機
フィラ−、有機フィラ−、潤滑剤、ブロッキング防止剤
等の他の添加剤を混合することができる。
【0034】[架橋プライマ−層]かかる塗布液をPEN
フィルムの少なくとも片面に塗布し、次いで乾燥、熱架
橋させることで、架橋プライマ−層を設けることができ
る。
【0035】塗布は、PENフィルム製造工程中に行な
うのが好ましい。また、この工程中で結晶配向が完了す
る前のPENフィルムの片面又は両面に水性塗布液とし
て塗布することがさらに好ましい。通常のプライマー塗
布工程、すなわち二軸延伸熱固定したPENフィルム
に、該フィルムの製造工程と切り離して行なってもよ
い。しかし、この方法では塵埃等を巻き込みやすいので
クリーンな雰囲気での塗工が望ましい。
【0036】ここで、結晶配向が完了する前のPENフ
ィルムとしては、PENを熱溶融してそのままフィルム
状とした未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向(長
手方向)または横方向(幅方向)の何れか一方に延伸し
た一軸延伸フィルム、さらには縦方向及び横方向の二方
向に低倍率延伸させた二軸延伸フィルム(最終的に、縦
方向または横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せ
しめる前の二軸延伸フィルム)等を挙げることができ
る。
【0037】上記塗布液中の固形分濃度は、30重量%
以下が好ましく、特に10重量%以下が好ましい。塗布
液の塗布量は、走行しているフィルム1m2当り0.5
〜20g、特に1〜10gが好ましい。
【0038】PENフィルムへの塗布液の塗布方法とし
ては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えばロール
コート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート
法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、スプレー
コート法、エアーナイフコート法、含浸法及びカーテン
コート法等を単独または組み合わせて適用すると良い。
なお、水性塗剤には、塗剤の安定性または塗工性を助け
る目的で若干量の有機溶剤を含ませてもよい。
【0039】PENフィルムに塗布された塗布液は、乾
燥され、熱架橋される。例えば水性液を塗布した縦一軸
延伸PENフィルムの場合、PENフィルムがステンタ
ーに導かれて加熱された後横延伸及び熱固定される間、
塗布液は乾燥され熱架橋される。
【0040】PENフィルムの配向結晶化条件、例えば
延伸、熱固定等の条件は、従来から当業界に蓄積された
条件で行うことができる。
【0041】本発明における架橋プライマー層は、PE
Nフィルムに対して優れた密着性を有し、かつシリコー
ンに対して優れた密着性を有する。従って、本発明のシ
リコーン易接着性フィルムを用い、例えば架橋プライマ
ー層の上にシリコーン離形層を設けると、耐久性、耐熱
寸法安定性の優れた離形フィルムが得られる。
【0042】[シリコーン離形層]シリコーン離形層とし
ては、例えばビニル基のような不飽和炭化水素基を持つ
ポリオルガノシロキサンとケイ素原子に直接結合した水
素原子を持つポリオルガノシロキサンとを白金化合物を
触媒として付加反応させた硬化被膜、あるいはケイ素原
子に結合した水酸基を持つポリオルガノシロキサンと加
水分解可能な官能基(例えば、アルコキシ基、オキシム
基、アセトキシ基等)を持つオルガノシラン、又はポリ
シロキサンを有機スズや有機チタン化合物を触媒として
縮合反応させた硬化被膜等を好ましく挙げることができ
る。
【0043】かかる硬化被膜は、該被膜を形成形成させ
る成分を含む塗布液をプライマー層上に塗布し、該プラ
イマー層上で硬化させることによって形成される。被膜
を形成させる成分は、例えばトルエン、酢酸エチル、n
−ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等
の溶媒に溶解して塗布液を調製するが、この塗布液には
重合反応促進のための有機白金化合物の如き触媒を微量
加えるのが好ましい。この塗布液の塗布方法としては、
例えば、グラビアコート法、マイクログラビアコート
法、リバースコート法、スプレーコート法、バーコート
法等を用いることができる。
【0044】シリコーン離形層の厚さは、乾燥状態で、
0.01〜10μm、さらには0.02〜5μmである
ことが好ましい。この厚さが0.01μmより薄くなる
と離形性が不足し、10μmより厚くなると、重合不足
によるシリコーンの粘着剤への転写が多く、好ましくな
い。
【0045】このようにして得られる離形層は、プライ
マー層を介してPENフィルムとの密着性に優れ、粘着
剤等への離形層成分の転写の少ない、耐久性に優れるも
のである。
【0046】なお、本発明のシリコーン易接着性フィル
ムは、架橋プライマー層の上に設けたシリコーンの特性
によって制約を受けるものでなく、該シリコーンの特性
によって種々の用途に用いることができる。
【0047】さらに、本発明のPENフィルムをベース
フィルムとした易接着性フィルムから製造された離形フ
ィルムはその物性において以下に掲げる利点を有する。
【0048】未延伸フィルムで比較すると、PENフィ
ルムはガラス転移温度が約120℃で、ポリエチレンテ
レフタレートフィルムのガラス転移温度(78℃)より
も著しく高い。二軸延伸フィルムで比較すると、配向に
よる結晶化度の上昇により、ガラス転移温度は、PEN
フィルムでは160℃近くまで、ポリエチレンテレフタ
レートフィルムでは120℃近くまで高温側にシフトす
る。一方、シート成形時には、樹脂溶液等の塗工後の乾
燥工程温度は、一般的には60〜140℃位の温度域が
多い。特に高温域では、二軸延伸ポリエチレンテレフタ
レートフィルムのガラス転移温度を上回ることになり、
長時間温度がかかるとフィルムに収縮等の熱変形が起こ
りやすく、また張力下では伸長がおこりやすくなる。一
方、二軸延伸PENフィルムは、乾燥工程温度よりもは
るかに高いガラス転移温度を有するため、長時間の熱履
歴に対してもこのような収縮や伸長等の熱変形が起こり
にくい利点を有する。
【0049】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明す
る。なお、フィルムの各特性値は下記の方法で測定、評
価した。
【0050】(1)背面非転写性 PENフィルムの離形層塗設面と離形層非塗設面とを重
ねあわせ、6kg/cm2の荷重を加えて18時間保持
した後、離形層非塗設面に油性サインペン(マジックイ
ンク)でラインを引き、“ハジキ”の程度を観察し下記
の基準で背面非転写性を評価した。 ◎:ハジキなし ………… 背面非転写性極めて良好 △:ハジキやや有り …… 背面非転写性やや不良 ×:ハジキ有り ………… 背面非転写性不良
【0051】(2)離形性 PENフィルムの離形層塗設面に24mm巾セロハンテ
ープをゴムロールにて圧着し、離形層塗設面とセロハン
テープとの剥離強度(剥離抵抗値:g/24mm)をイ
ンストロン型引張試験機にて180°方向の剥離条件に
て測定した。なお、剥離強度が10g/24mm未満で
あると、離形性が良好となるため好ましい。
【0052】(3)シリコーン易接着性 (ア)初期易接着性 離形層塗設直後(塗布乾燥直後)の離形フィルムの離形
層表面を指先で数回摩擦し、離形層の脱落や密着状態を
観察し下記の基準で初期易接着性を評価した。 (イ)耐久易接着性 離形フィルムを60℃×80%RHの雰囲気に一週間保
持した後、離形層表面を指先で数回摩擦し、離形層の脱
落や密着状態を観察し、下記の基準で耐久易接着性を評
価した。 [評価基準] ◎:離形層の変化が全く認められない …………………易接着性良好 ○:離形層剥離による白化が若干認められる …………易接着性やや良好 △:離形層剥離による白化が殆どの部分に認められる…易接着性やや不良 ×:離形層が完全に剥離して失われる …………………易接着性不良
【0053】(4)熱収縮率(寸法変化率) 測定方向に長さ30mm以上、幅4mmで切り出した短
冊状のフィルムをTMA(熱応力歪測定装置、セイコー
電子工業株式会社製TMA/SS120C)の治具にチ
ャック間が10mmになるように装着し、フィルムに1
50gf/mm2の応力を加え、室温から5℃/分の昇
温速度で加熱し、120℃に到達したときの寸法変化を
応力方向(長手方向)、垂直方向(幅方向)別に測定
し、下記式にて計算して求めた。
【0054】
【数7】寸法変化率(%)=(寸法変化/チャック間距
離)×100
【0055】(5)密度 密度勾配液として四塩化炭素、n−ヘプタンを用いた密
度勾配管を用い、30℃にて測定した。
【0056】[実施例1〜3及び比較例1〜2]35℃
のo−クロロフェノール中で測定した固有粘度が0.6
0のPEN(平均粒径0.1μmのシリカ微粒子を0.
2重量%含有)を押出機にて溶融し、フィルム状の溶融
ポリマ−をダイスから約40℃に維持してある回転冷却
ドラム上に押出し、静電密着法を用いて該フィルム状の
溶融ポリマ−を冷却ドラムに密着させながら急冷して未
延伸フィルムを得た。次いで該未延伸フィルムを140
℃にて縦方向に3.7倍延伸して一軸延伸フィルムを得
た。この一軸延伸フィルムの片面に、表1に示すシラン
カップリング剤及びノニオン系界面活性剤(ポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテル)を含み、かつクエン
酸でpHを6.3に調整した固形分濃度4重量%の水性
塗布液をキスコート法にて塗布した。続いて130℃に
て横方向に3.8倍に延伸し、さらに240℃で熱固定
を行ない、厚さ50μmの架橋プライマー層を持つ二軸
延伸PENフィルムを得た。この二軸配向フィルムの密
度は1.360g/cm3、面配向度が0.20であっ
た。なお、実施例3のみ、水性塗布液を塗布する前の一
軸延伸フィルム表面にコロナ処理を実施した。
【0057】次に、ポリジメチルシロキサンとメチルハ
イドロゲンポリシロキサンの混合液に白金触媒を加えて
付加反応させ硬化させるタイプの硬化型シリコーン樹脂
(信越化学株式会社製、KS−772)を、トルエンに
溶解させて固形分濃度5%の溶液を調製した。この溶液
を、前述の二軸延伸PENフィルムのプライマー層の上
に、塗布量1g/m2で塗布し、140℃、1分間で乾
燥及び硬化反応を行い離形フィルムを得た。これらの離
形フィルムの評価結果を表2に示す。
【0058】[実施例4〜5及び比較例3]熱固定の後
に、さらに140℃にて熱弛緩処理を行う以外は実施例
1と同じ方法で架橋プライマー層を持つ二軸延伸PEN
フィルムを得た。この架橋プライマー層を持つ二軸延伸
PENフィルムの密度は1.362g/cm3、面配向
度が0.19であった。なお、実施例5のみ、フィルム
表面に実施例3と同じ方法でコロナ処理を実施した。次
に、実施例1と同じ方法で離形フィルムを作成した。こ
れらの離形フィルムの評価結果を表2に示す。
【0059】[実施例6〜7及び比較例4]PENフィ
ルムの縦方向の延伸倍率を3.6倍、横方向の延伸倍率
を3.9倍、熱固定の温度を210℃に変更する以外は
実施例1と同じ方法で架橋プライマー層を持つ二軸延伸
PENフィルムを得た。この二軸配向フィルムの密度は
1.355g/cm3、面配向度が0.25であった。
なお、実施例7のみ、フィルム表面に実施例3と同じ方
法でコロナ処理を実施した。次に、実施例1と同様にし
て離形フィルムを作成した。これらの離形フィルムの評
価結果を表2に示す。
【0060】[比較例5]35℃のo−クロロフェノー
ル中で測定した固有粘度が0.65のポリエチレンテレ
フタレートを押出機にて溶融し、フィルム状の溶融ポリ
マ−をダイスから約20℃に維持してある回転冷却ドラ
ム上に押出し、静電密着法を用いて該フィルム状の溶融
ポリマ−を冷却ドラムに密着させながら急冷して未延伸
フィルムを得た。次いで該未延伸フィルムを80℃にて
縦方向に3.6倍延伸して一軸延伸フィルムを得た。こ
の一軸延伸フィルムの片面に、表1に示すシランカップ
リング剤及びノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテル)を含み、かつクエン酸でp
Hを6.3に調整した固形分濃度4重量%の水性塗布液
をキスコート法にて塗布した。続いて120℃にて横方
向に3.8倍に延伸し、さらに220℃で熱固定を行な
い、厚さ50μmの架橋プライマー層を持つ二軸延伸ポ
リエチレンテレフテレートフィルムを得た。この二軸配
向フィルムの密度は1.365g/cm3、面配向度が
0.28であった。次に、実施例1と同じ方法で離形フ
ィルムを得た。この離形フィルムの評価結果を表2に示
す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】表2に示す結果から明らかなように、本発
明のシリコーン易接着性フィルムを用いた離形フィルム
は、背面非転写性、離形性、初期シリコーン易接着性、
耐久シリコーン易接着性及び耐熱寸法安定性に優れたも
のである。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱寸法安定性に優
れ、かつシリコーンに対して優れた易接着性を有する易
接着性PENフィルム、及び該フィルムを高い生産性で
製造する方法を提供することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ環を持つ官能基を有するアルコ
    キシシラン(A)及びアミノ基を有するアルコキシシラ
    ン(B)を用いた架橋プライマー層を、ポリエチレン−
    2,6−ナフタレートフィルムの少なくとも片面に塗設
    した、110℃にて30分間加熱処理した後の熱収縮率
    が縦方向で0〜0.10%、かつ横方向で0〜0.05
    %であるシリコーン易接着性フィルム。
  2. 【請求項2】 塗布液に含まれるエポキシ環を持つ官能
    基を有するアルコキシシラン(A)とアミノ基を有する
    アルコキシシラン(B)の量比が、下記式(1)の範囲
    である請求項1記載のシリコーン易接着性フィルム。 【数1】 0.1≦[WB/(WA+WB)]×100≦20.0 (1) [但し、式(1)中のWAは塗布液に含まれるエポキシ環
    を持つ官能基を有するアルコキシシラン(A)の重量
    部、WBは塗布液に含まれるアミノ基を有するアルコキ
    シシラン(B)の重量部を示す。]
  3. 【請求項3】 下記式(2)から求められるポリエチレ
    ン−2,6−ナフタレートフィルムの面配向度が0.1
    0〜0.30である請求項1記載のシリコーン易接着性
    フィルム。 【数2】ns=(nx+ny)/2−nz (2) [但し、式(2)中のnsは面配向度、nxは横方向の
    屈折率、nyは縦方向の屈折率、nzは厚み方向の屈折
    率を示す。]
  4. 【請求項4】 ポリエチレン−2,6−ナフタレートフ
    ィルムの少なくとも片面に、エポキシ環を持つ官能基を
    有するアルコキシシラン(A)及びアミノ基を有するア
    ルコキシシラン(B)を含有しかつ液のpHを4.0〜
    7.0に調整した塗布液を塗布し、次いで乾燥、延伸、
    熱処理して請求項1記載のシリコーンシリコーン易接着
    性フィルムを得ることを特徴とするシリコーン易接着性
    フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 塗布液に含まれるエポキシ環を持つ官能
    基を有するアルコキシシラン(A)とアミノ基を有する
    アルコキシシラン(B)の量比が、下記式(1)の範囲
    である請求項4記載のシリコーン易接着性フィルムの製
    造方法。 【数3】 0.1≦[WB/(WA+WB)]×100≦20.0 (1) [但し、式(1)中のWAは塗布液に含まれるエポキシ環
    を持つ官能基を有するアルコキシシラン(A)の重量
    部、WBは塗布液に含まれるアミノ基を有するアルコキ
    シシラン(B)の重量部を示す。]
  6. 【請求項6】 下記式(2)から求められるポリエチレ
    ン−2,6−ナフタレートフィルムの面配向度が0.1
    0〜0.30となる倍率で延伸することを特徴とする請
    求項4記載のシリコーン易接着性フィルムの製造方法。 【数4】ns=(nx+ny)/2−nz (2) [但し、式(2)中のnsは面配向度、nxは横方向の
    屈折率、nyは縦方向の屈折率、nzは厚み方向の屈折
    率を示す。]
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