JPH1015836A - ロボット用コントローラ及びその制御方法 - Google Patents

ロボット用コントローラ及びその制御方法

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JPH1015836A
JPH1015836A JP8195352A JP19535296A JPH1015836A JP H1015836 A JPH1015836 A JP H1015836A JP 8195352 A JP8195352 A JP 8195352A JP 19535296 A JP19535296 A JP 19535296A JP H1015836 A JPH1015836 A JP H1015836A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 汎用的なパソコン及びパソコン用の汎用OS
を用いたロボット用コントローラ及びその制御方法を提
供すること。 【解決手段】 本コントローラ10は、プリエンプティ
ブにタスクを切り替えるタスク切替部30と、外部タイ
マを用いて所定の繰り返し間隔毎に割り込みを発生させ
る外部割り込み発生部50と、前記外部割り込み発生部
50が発生した割り込みに同期してイベント駆動処理を
行うイベント駆動部40と、前記イベントの発生に対応
する処理を行うアプリケーションプログラムが、前記イ
ベントの発生を待つ旨の登録を行うイベント登録部60
と、イベントの発生等を管理記憶するためのイベントリ
ソース状態を記憶するイベントリソース状態記憶部70
と、前記イベントリソース状態記憶部70に記憶された
イベントリソース状態を更新するイベントリソース状態
更新部80と、リアルタイム性が要求される処理を実行
するプログラムのスワップアウトを防止するスワップア
ウト防止部90を含んで構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はロボット用コントロ
ーラ及びその制御方法に関し、特にイベントの発生に対
応する処理をリアルタイムで行うロボット用コントロー
ラ及びパソコン用汎用オペレーティングシステムを用い
た制御方法に関する。
【0002】
【背景技術】従来のロボット用コントローラは、例えば
スカラー型マニピュレータや直角座標用マニピュレータ
のように特定のマニピュレータの動作制御を行う場合が
多く、そのような場合、通常独自開発のロボット制御専
用オペレーティングシステム(以下OSという)を使用
していた。
【0003】しかし、最近では、マニピュレータの動作
制御を行うだけでなく、周辺装置の制御或いは外部装置
との通信機能等のシステム全体の制御を行うロボット用
コントローラの需要が高くなっている。この様な場合、
ロボット用コントローラのOSとして、マルチタスク機
能を有するOSを使用する必要があり、ほとんどの場合
は独自開発の専用OS又は汎用的なリアルタイムOS
(pSOS、VxWorks、VRTX、OSー9等)
が使用されている。
【0004】つまり、マニピュレータや周辺装置等の制
御にはリアルタイム性が要求されることから、ロボット
用コントローラのOSは処理のリアルタイム性を確保で
きることが重要な要件となってくる。
【0005】しかし、このようなリアルタイム性を確保
できる専用OSの開発には、多大な工数を要する。ま
た、汎用的なリアルタイムOSを使用すると、リアルタ
イム性の確保は容易であるが、高価であるため、コスト
面で問題が生じる。
【0006】一方、最近では、安価で高機能なパソコン
用汎用OSが流通し、一般に使用されている。従って、
このようなパソコン用汎用OSをロボット用コントロー
ラに使用することが出来れば、開発工数の削減及びコス
トダウンが可能となる。さらに、利用者の修得が容易で
あること、開発環境が充実しているため開発期間をさら
に短縮出来ること、市販のハードウエア及びソフトウエ
アを活用した拡張が可能なこと等のメリットがある。
【0007】しかし、安価なパソコン及びパソコン用の
汎用OSでは、マルチタスク機能を有していても、タス
ク切替が低速でかつ、切替間隔の短縮が不可能であり、
リアルタイム性の確保が困難であると言う問題がある。
【0008】前述したように、マニピュレータや周辺装
置等の制御にはリアルタイム性が要求されるため、事象
が起こってからその事象の処理をするタスクが起動され
るまでの時間が長時間であれば、実用にならないのであ
る。
【0009】さらに、前記汎用的なパソコン及びパソコ
ン用の汎用OSを用いた場合、事象が起こってから、シ
ステムのタイムスライスによってその事象の処理をする
タスクが起動されるまでの時間は、事象が起こるタイミ
ングによりばらつき、これが処理の再現性の品質を低下
させるという問題もある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、前記汎用的な
パソコン及びパソコン用の汎用OSのように、いわゆる
リアルタイムOSではないOS上で、高速なタスク切
替、起動時間のばらつき等なくすことを実現すれば、前
記パソコン用の汎用OSの数々のメリットを生かして、
少ない開発工数で高機能かつ利用者の修得が容易で、市
販のハードウエア及びソフトウエアを活用した拡張が可
能なロボット用コントローラを提供することが出来る。
【0011】本発明は、この様な課題に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、汎用的なパソコン及びパソコ
ン用の汎用OSを用いたロボット用コントローラ及びそ
の制御方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、プリエンプティブなマルチ
タスク機能を有するタスク切替手段と、前記タスク切替
手段にタスクの切替を指示することにより、イベントの
発生に対応する処理がリアルタイムに実行されるよう制
御するリアルタイム制御手段を有するロボット駆動用コ
ントローラであって、前記リアルタイム制御手段は、リ
アルタイム処理を実行するのに必要な繰り返し間隔で定
期的にイベントを検出し、該イベントに対応する処理が
実行されるタスクへの切替を前記タスク切替手段に指示
するイベント駆動処理を行うイベント駆動手段と、を含
むことを特徴とする。
【0013】ここにおいて、プリエンプティブ方式と
は、一般的にCPUの処理を一定時間毎に区切って、O
Sが優先度に応じてアプリケーション毎に配分すること
をいう。すなわち、アプリケーションがCPUを明け渡
す前にOSが時間毎に処理を先取りして別のアプリケー
ションに切り替えてしまう仕組みをいう。従って、プリ
エンプティブなマルチタスク機能をそなえていると、複
数のアプリケーションを実行している場合、片方のアプ
リケーションが処理の終了の宣言をするまで、別のアプ
リケーションが待たなければならないという事態を招か
ず、ユーザーが実感する待ち時間は大幅に軽減され、見
かけ上の効率があがる。
【0014】請求項1の様にすると、前記繰り返し間隔
毎にイベントを検出し、該イベントに対応した処理が実
行されるタスクを駆動することが出来る。従ってイベン
トの発生にリアルタイムに対応するのに必要な繰り返し
間隔毎にイベント駆動処理を行うことにより、イベント
に対応する処理がリアルタイムに実行されるよう制御す
ることができる。
【0015】また、処理すべきイベントが一元的に管理
出来るため、イベントの管理が容易になる。
【0016】請求項2記載の発明は、請求項1におい
て、前記リアルタイム制御手段は、外部タイマを用いて
前記繰り返し間隔毎に割り込み信号を発生させる外部割
り込み発生手段をさらに有し、前記イベント駆動手段
は、前記外部割り込み発生手段が発生した割り込み信号
に同期してイベント駆動処理を行うことを特徴とする。
【0017】請求項7記載の発明は、プリエンプティブ
なマルチタスク機能を有する汎用オペレーティングシス
テムを用いたロボット用コントローラにおいて、イベン
ト発生に対応した処理のリアルタイム制御を行う方法で
あって、外部タイマを用いて、リアルタイム処理を実行
するのに必要な繰り返し間隔で、定期的に割り込み信号
を発生させる外部割り込み発生ステップと、前記外部割
り込み発生ステップにおいて発生された割り込み信号に
同期して、イベントを検出し、該イベントに対応する処
理が実行されるタスクへ切替えることを前記汎用オペレ
ーティングシステムに指示するイベント駆動処理を行う
イベント駆動ステップを有することを特徴とする。
【0018】この様にすると、外部タイマによって、イ
ベントの発生にリアルタイムに対応するのに十分な繰り
返し間隔毎に外部割り込み信号を発生させることが出来
る。従って、該割り込み信号に同期してイベント駆動処
理を行うことにより、前記繰り返し間隔をタイムスライ
スやシステムタイマによる内部割り込み等によって確保
出来ない汎用的なパソコン及びパソコン用の汎用OSを
用いた場合であっても、イベントに対応する処理がリア
ルタイムに実行されるよう制御することができる。
【0019】また、請求項1において、前記タスク切替
手段は、前記繰り返し間隔毎にタイムスライスを行うタ
イムスライス手段をさらに有し、前記イベント駆動手段
は、前記タイムスライス手段による各タイムスライス毎
に強制的にイベント駆動処理を行うよう構成してもよ
い。
【0020】また、請求項8において、前記イベント駆
動ステップは、前記繰り返し間隔毎に前記汎用オペレー
ティングシステムが行うタイムスライスの各タイムスラ
イス毎に前記イベント駆動処理を行うよう構成してもよ
い。
【0021】この様にすると、前記イベント駆動処理を
各タイムスライス毎に強制的に処理されるタスクとして
実現することが出来る。従って、簡単な構成で、イベン
トに対応する処理がリアルタイムに実行されるよう制御
することができる。
【0022】請求項3記載の発明は、請求項1〜2のい
ずれかにおいて、前記リアルタイム制御手段は、前記イ
ベントの発生に対応する処理を行うプログラムが、前記
イベントの発生を待つ旨の登録を行うイベント登録手段
をさらに有し、前記イベント駆動手段は、前記イベント
登録手段によって登録されたイベントの発生を検出した
ときは、前記イベント登録手段によって登録されたイベ
ントの発生を待つプログラムが実行されるタスクへの切
替を前記タスク切替手段に指示することを特徴とする。
【0023】請求項8記載の発明は、請求項7におい
て、前記イベントの発生に対応する処理を行うプログラ
ムが、前記イベントの発生を待つ旨の登録を行うイベン
ト登録ステップをさらに有し、前記イベント駆動ステッ
プは、前記イベント登録ステップにおいて登録されたイ
ベントの発生を検出したときは、前記イベント登録ステ
ップにおいて登録されたイベントの発生を待つプログラ
ムが実行されるタスクへの切替を前記汎用オペレーティ
ングシステムに指示することを特徴とする。
【0024】この様にすることにより、イベントと対応
する処理を行うプログラムとの動的な対応をとることが
出来、システム資源の有効活用を図ることが出来る。ま
た、イベント駆動処理が終了した時点でイベント待ちの
解除を行うことにより、リアルタイムにイベント待ち及
びイベント待ちの解除を管理することができる。
【0025】請求項4記載の発明は、請求項1〜3のい
ずれかにおいて、前記リアルタイム制御手段は、前記ロ
ボットの有するハードウエアリソースの変化と、マニピ
ュレータ動作又は周辺装置を制御するプログラムで同
期、通信を行うための出力データ群との少なくとも一方
をイベントとして扱うことを特徴とする。
【0026】請求項9記載の発明は、請求項7、8のい
ずれかにおいて、前記ロボットの有するハードウエアリ
ソースの変化と、マニピュレータ動作又は周辺装置を制
御するプログラムで同期、通信を行うための出力データ
群との少なくとも一方をイベントとして扱うことを特徴
とする。
【0027】前記ハードウエアリソースとしてはI/O
ポートやメモリにマッピングされた入出力ポートやマニ
ピュレータ本体、ドライブボックスに設置されたシステ
ムI/O、ISAバスに接続された特殊な基板類等があ
る。また、前記プログラムとは、マニピュレータ動作や
周辺装置制御を行うためのユーザータスクやコントロー
ラの内部状態等を監視するためのシステムタスク等で実
行されるプログラムをさす。
【0028】この様に、ロボットで発生する各種状態を
イベントとして扱うことで、これらの様々なイベントに
対応した処理をリアルタイムで行うことが可能となる。
【0029】請求項5記載の発明は、請求項4におい
て、前記リアルタイム制御手段は、複数のタスクから参
照更新可能な共有メモリ領域に、前記ハードウエアリソ
ースの変化と、マニピュレータ動作又は周辺装置を制御
するプログラムで同期、通信を行うための出力データ群
との少なくとも一方を管理するためのイベントリソース
状態を記憶するイベントリソース状態記憶手段と、前記
マニピュレータ動作と前記周辺装置を制御するプログラ
ムの同期、通信を行うための出力データ群との少なくと
も一方に基づき、前記イベントリソース状態記憶手段に
記憶されたイベントリソース状態を更新するイベントリ
ソース状態更新手段とを有し、前記イベント駆動手段
は、前記イベントリソース状態更新手段が更新したイベ
ントリソース状態に基づき、ハードウエアリソースを更
新するハードウエアリソース更新手段とを含むことを特
徴とする。
【0030】請求項10記載の発明は、請求項9におい
て、複数のタスクから参照更新可能な共有メモリ領域に
設定されたイベントリソーステーブルに記憶された、前
記ハードウエアリソースの変化と、マニピュレータ動作
又は周辺装置を制御するプログラムで同期、通信を行う
ための出力データ群との少なくとも一方を管理するため
のイベントリソース状態を、前記マニピュレータ動作と
前記周辺装置を制御するプログラムの同期、通信を行う
ための出力データ群との少なくとも一方に基づき更新す
るイベントリソース状態更新ステップをさらに有し、前
記イベント駆動ステップは、前記イベントリソース状態
更新ステップにおいて更新されたイベントリソース情報
に基づき、ハードウエアリソースを更新するハードウエ
アリソース更新ステップとを含むことを特徴とする。
【0031】本発明では各タスクから参照更新可能な共
有メモリ領域にイベントリソースの状態を記憶するイベ
ントリソーステーブルを設けている。そして、各タスク
で処理されるプログラムの出力により変化するイベント
リソースの状態に対応する前記イベントリソーステーブ
ルの該当エリアが更新される。従って、前記イベントリ
ソーステーブルを参照することにより各プログラムの出
力によるイベントを検出することが出来るため、効率よ
くイベントを検出することができる。
【0032】また、イベントリソーステーブルのイベン
トリソースの状態の変化に基づき現実のハードウエアリ
ソースの更新することが出来るため、各タスクで処理さ
れるプログラムは現実のハードウエアリソースの更新を
行う必要はない。したがって、ハードウエアリソースの
更新一元化により、処理速度の向上を図ることが出来
る。
【0033】請求項6記載の発明は、請求項3又は請求
項3に従属する請求項4、5のいずれかにおいて、イベ
ントの発生を待つ旨の登録を行ったプログラムを、所与
の間隔で定期的に起動することをタスク切替手段に指示
することで、該プログラムのスワップアウトを防止する
スワップアウト防止手段を含むことを特徴とする。
【0034】請求項11記載の発明は、請求項8又は請
求項8に従属する請求項9、10のいずれかにおいて、
イベントの発生を待つ旨の登録を行ったプログラムを、
所与の間隔で定期的に起動することを前記汎用オペレー
ティングシステムに指示することで該プログラムのスワ
ップアウトを防止するスワップアウト防止ステップを含
むことを特徴とする。
【0035】通常イベントの発生を待つ旨の登録を行っ
たプログラムは、イベントの発生に対応してリアルタイ
ムに処理を行う必要がある。ところが、プログラムが一
旦スワップアウトされてしまうと再びロードされるまで
数10〜数100msecかかってしまう。そこで、この様
にすると、イベントの発生を待つプログラムは、現実に
処理要求があるか否かにかかわらず定期的に処理が起動
されるため、プログラムのスワップアウトを防止するこ
とが出来、処理のリアルタイム性を確保することが出来
る。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
について、図面を参照して詳細に説明する。
【0037】本実施の形態のロボット用コントローラ
は、マニピュレータ動作或いは周辺装置制御を行うもの
である。この様なマニピュレータ動作或いは周辺装置制
御はユーザーが行いたい制御にあわせてカスタマイズ出
来る必要がある。このため、ユーザーは本コントローラ
に接続されたマニピュレータ等で実行させたい動作を本
コントローラで実行可能なロボット制御用言語等で記述
した各種アプリケーションプログラムを作成する。本コ
ントローラは、この様なユーザーがマニピュレータ等の
制御用に作成した各種アプリケーションプログラムが実
行されるユーザータスクや、コントローラの内部状態を
監視するためのシステムの処理を行ういくつかのタスク
がマルチタスクで実行されるよう構成されている。
【0038】図3は、本コントローラ10が行うマルチ
タスク処理の例を示した概念図である。同図に示すよう
に、本コントローラ10はマニピュレータの制御処理1
20−1、コンベアの制御処理120−2…等を制御す
るためのアプリケーションプログラムを含む各種プログ
ラムが、それぞれタスク110−1、110−2…で、
マルチタスク実行されるよう構成されている。すなわち
CPUを時分割して、前記複数のタスクに割り当てるこ
とで、見かけ上、複数のタスクを同時に実行させるよう
構成されている。
【0039】この様な、ロボット用コントローラにおい
ては、前記各種プログラムで実行されるマニピュレータ
等や周辺装置の制御はリアルタイム性が要求されること
から、イベントが起こってからそのイベントの処理をす
るタスクが起動されるまでの時間が長時間であれば実用
にならないという問題がある。
【0040】本実施の形態のロボット用コントローラ1
0は、前記イベントに対応した処理をリアルタイムに実
行するために以下のような構成を採用している。
【0041】まず、前提となる本システムのハードウエ
ア構成を説明する。図2は本システムのハードウエア構
成を表した図である。
【0042】同図に示すように、本コントローラ10
は、メインCPU210、HDD220、RAM23
0、インターフェイスボード240がCPUバス280
により接続されている。そしてマニピュレータ等27
0、システムI/O262等が設置されたドライブボッ
クス260、外部タイマ252等を含む特殊な基板類2
50がインターフェイスボード240と、拡張バス29
0によって接続されている。
【0043】RAM230には、本コントローラを制御
するためのオペレーティングシステム232と、前記イ
ベントに対応した処理をリアルタイムに実行するためコ
ントロールプログラム234と、ユーザーがロボット制
御用に作成したアプリケーションプログラム236を含
む各種プログラム及びデータ等が格納されている。
【0044】前記オペレーティングシステム232は、
汎用的なパソコン用のOSを用いて構成されている。該
パソコン用汎用OSは、プリエンプティブなマルチタス
ク機能や同期イベント機能などの標準的な機能を有する
汎用的なパソコン用OSであるが、いわゆるリアルタイ
ムOSではない。リアルタイムOSでないとは、OSに
よるタスク切替が低速でかつ、切替時間の短縮設定が不
可能なため、リアルタイム処理ができないOSをいう。
なお、本実施の形態では、前記パソコン用汎用OSとし
て、マイクロソフト社製のWINDOWS95(商品
名)を利用している。
【0045】前記コントロールプログラム234とは、
後述するイベント駆動部40、ハードウエアリソース更
新部44、イベント登録部60、イベントリソース状態
記憶部70、イベントリソース状態更新部80、スワッ
プアウト防止部90の機能を実現するための各種プログ
ラム及び記憶エリアを含んで構成されている。
【0046】なお、後述するタスク切替部30について
は、主に前記オペレーティングシステム232のタスク
切替機能を利用している。また、イベント駆動部40及
びイベント登録部60は一部前記オペレーティングシス
テム232の同期イベント機能を利用している。
【0047】前記アプリケーションプログラム236と
は、前述したユーザーがマニピュレータ等で実行させた
い動作をロボット制御用言語等で記述したプログラムを
指す。
【0048】また、イベントとは、マニピュレータ動作
又は周辺装置等を制御する上で発生する各種事象をさ
す。具体的には、マニピュレータ等270やドライブボ
ックス260で発生したシステムI/O262の変化に
対応する事象や、基板類250等のハードウエアリソー
スの変化に対応する事象や、各プログラム232、23
4、236がタスク間での同期、通信を行うたの出力デ
ータ群により発生する事象がある。これらイベントを発
生させる要因となる前記システムI/O、前記ハードウ
エアリソース、前記出力データ群等をイベントリソース
という。
【0049】次に、本コントローラ10がイベントに対
応した処理をリアルタイムに実行するための機能につい
て説明する。
【0050】図1は本コントローラ10の機能ブロック
図である。本コントローラ10は、プリエンプティブに
タスクを切り替えるタスク切替部30と、外部タイマを
用いて所定の繰り返し間隔毎に割り込み信号を発生させ
る外部割り込み発生部50と、前記外部割り込み発生部
50が発生した割り込み信号に同期してイベント駆動処
理を行うイベント駆動部40と、前記イベントの発生に
対応する処理を行うアプリケーションプログラム236
が、前記イベントの発生を待つ旨の登録を行うイベント
登録部60と、イベントの発生等を管理記憶するための
イベントリソース状態を記憶するイベントリソース状態
記憶部70と、前記イベントリソース状態記憶部70に
記憶されたイベントリソース状態を更新するイベントリ
ソース状態更新部80と、イベントの発生を待っている
アプリケーションプログラム236のスワップアウトを
防止するスワップアウト防止部90を含んで構成されて
いる。
【0051】なお、外部割り込み発生部50と、イベン
ト駆動部40と、イベント登録部60と、イベントリソ
ース状態記憶部70と、イベントリソース状態更新部8
0がリアルタイム制御手段20として機能し、前記タス
ク切替部30にタスクの切替を指示することにより、イ
ベントの発生に対応する処理がリアルタイムに実行され
るよう制御する。
【0052】さらに、前記イベント駆動部40は、前記
イベントリソース状態更新部80が更新した情報に基づ
き、後述する所定のハードウエアリソースを更新するハ
ードウエアリソース更新部44とを含んで構成されてい
る。
【0053】前記外部割り込み発生部50は、拡張バス
290に接続された基板類250に実装されている外部
タイマ252を用いて、所定の繰り返し間隔毎に定期的
に割り込み信号を発生させている。ここにおいて所定の
繰り返し間隔とは、イベントの発生を検出して、該イベ
ントに対応するプログラムをリアルタイムに起動するの
に必要な短い間隔をさし、本実施の形態では1msecに設
定している。
【0054】前述したように、本コントローラ10のR
AM230に格納されたオペレーティングシステム23
2はいわゆるリアルタイムOSでないため、システム内
部でイベントに対応するプログラムをリアルタイムに検
出するのに必要な短い間隔でタイムスライスを行うこと
が出来ない。従って本実施の形態では、この様に外部タ
イマ252を用いることにより、前記所定の繰り返し間
隔毎に定期的に割り込み信号を発生させ、この割り込み
信号を利用することにより、1msec間隔のタイムスライ
スが実現したのと同様の効果を得ることができる。
【0055】イベント登録部60は、前記イベントの発
生に対応する処理を行うアプリケーションプログラム2
36のイベント待ち登録要求により、前記アプリケーシ
ョンプログラム236が、イベントの発生を待つ旨の登
録を行う。前記アプリケーションプログラム236と
は、図3にしめすマニピュレータの制御処理120−
1、コンベアの制御処理120−2…等を制御するため
にマルチタスクで実行されるプログラムのことであり、
図2のRAM230に格納されている。また、イベント
の発生とは、前述したような様々なイベントリソースの
変化をいう。
【0056】マルチタスクで実行されているアプリケー
ションプログラム236がイベントリソースの変化に応
じて起動されるためには、イベントリソースとその変化
を待つ前記各種プログラムを対応づけておく必要があ
る。従って各アプリケーションプログラム236はイベ
ントリソースの変化を待つ状況が発生した時に、イベン
ト待ちの登録をイベント登録部60に要求する。
【0057】イベント登録部60は、この要求を受け
て、イベントリソースをイベントオブジェクトに対応づ
けてイベント待ちの登録を行うのである。なお、ここに
おいてイベントとは前述したような各種事象をさし、イ
ベントオブジェクトとは、システムが前記各種事象を管
理する際の単位となるものである。すなわち、システム
が管理するのはイベントオブジェクトであり、各イベン
トオブジェクトは、自己の識別IDとしてイベントハン
ドル有している。
【0058】なお、システムがイベントをイベントオブ
ジェクトとして管理する機能はオペレーティングシステ
ム232の同期イベント機能を利用することにより実現
される。
【0059】この登録は具体的には、以下のようにして
行われる。すなわちイベント登録部60は、システム初
期化時に予め適当な個数のイベントオブジェクトを生成
しておく。
【0060】前記アプリケーションプログラム236か
らイベント登録要求が発生した場合には、使われていな
い(イベントリソースと対応していない)イベントオブ
ジェクトをイベントリソースに割り当てる。既に登録さ
れているイベントリソースに対して別のアプリケーショ
ンプログラム236から登録要求が発生した場合には、
改めてイベントオブジェクトを割り当てるのではなく、
既に登録されているイベントリソースに対応したイベン
トオブジェクトが用いられる。なお、ここにおいて用い
られるとは、後述するようにイベントハンドルをアプリ
ケーションプログラムに戻す際に、該イベントオブジェ
クトのイベントハンドルが前記別のアプリケーションプ
ログラムに戻されるという意味である。また、予め生成
しておいたイベントオブジェクトが足りなくなった場合
には、その時点でイベントオブジェクトを新たに生成す
る。
【0061】また、後述するように、イベント待ちのア
プリケーションプログラム236のスワップアウトを防
止するために、ダミイ起動を行う際に使用するイベント
オブジェクトへの登録も同時に行う。これは、アプリケ
ーションプログラム毎に予め独立に生成されるイベント
オブジェクトを使用する。イベント待ちの登録要求を行
ったアプリケーションプログラム236には、このイベ
ントオブジェクトを割り当て、ダミイ起動を実現させ
る。
【0062】そして登録が終わるとイベント登録部60
は、前記イベントオブジェクトの識別IDであるイベン
トハンドルを、登録を要求したアプリケーションプログ
ラム236に戻す。このとき、アプリケーションプログ
ラム236は、イベントリソースに対応したイベントオ
ブジェクトのイベントハンドルと、ダミイ起動用のイベ
ントオブジェクトのイベントハンドルを受け取ることに
なる。
【0063】そして、アプリケーションプログラム23
6は、取得したイベントハンドルで示されるイベントオ
ブジェクトの変化によって起動するように、オペレーテ
ィングシステム232に依頼する。これにより、前記各
種プログラムは前記イベントオブジェクトとして登録さ
れたイベントリソースの変化又はスワップアウト防止用
にダミイ起動が起こるまで待機することになる。
【0064】なお、イベントハンドルがアプリケーショ
ンプログラムに戻されると、イベントリソースとアプリ
ケーションプログラムの対応付けが行われたことになる
が、この対応付けは、オペレーティングシステムが標準
で有している同期イベント機能を利用している。すなわ
ち、当該同期イベント機能を利用すると、イベントオブ
ジェクトをシグナル状態にすることにより、対応するイ
ベントハンドルを有する全てのプログラムのタスクを起
動することができるのである。
【0065】図4は、イベント登録の具体的イメージを
示した説明図である。前述したようにイベント登録部6
0は、システム初期化時に予め、イベントを識別するた
めのイベントオブジェクト(対応するイベントハンドル
がEH1、EH2、EH3…)、を適当な個数と、ダミ
イ起動用のイベントオブジェクト(対応するイベントハ
ンドルがDH1、DH2…)を各アプリケーションプロ
グラム毎に生成しておく(1)。
【0066】アプリケーションプログラムAP2のタス
クが実行されているとき、イベントリソースER2の変
化を待つという事象が発生すると、該アプリケーション
プログラムAP2はイベント登録部60に登録要求を出
す(2)。このときイベントリソースER2を引数とし
て、イベント登録部60に渡す。
【0067】イベント登録部60は、使われていないイ
ベントオブジェクト、この場合、イベントオブジェクト
(当該イベントオブジェクトのイベントハンドルはEH
1)がイベントリソースER1に割り当てられているた
め(3)、他のイベントオブジェクト(当該イベントオ
ブジェクトのイベントハンドルはEH2)をイベントリ
ソースER2に割り当て(4)、該イベントオブジェク
トのイベントハンドルEH2、及びダミイ処理用のイベ
ントオブジェクトのイベントハンドルDH2をアプリケ
ーションプログラムAP2に戻す(5)。アプリケーシ
ョンプログラムAP2は、イベント登録部60からもど
されたイベントハンドルEH2及びDH2で示されるイ
ベントオブジェクトがシグナル状態になるまで、待機す
るようにオペレーティングシステム232に依頼する
(6)。
【0068】しかし、スワップアウト用のダミイ起動に
関しては、スワップアウトしないようダミイ処理が行わ
れるのみなので、登録、実行に関しては、ユーザーがア
プリケーションプログラムを作成する際には意識しなく
てよいよう構成されている。
【0069】なお、各アプリケーションプログラムにお
いて、同時に複数のイベントリソースを登録することも
可能である。例えばアプリケーションプログラムにおい
て複数のイベントリソース(ER1、ER3、ER4)
の変化を待つという事象が発生した場合は、これらを引
数としてイベント登録部60に登録要求を出すと、以下
のような処理がおこなわれる。
【0070】イベントリソースER1には既にイベント
オブジェクトEH1が対応しているため、あらたな対応
づけは行われない。また、イベントリソースER3に
は、使われていないイベントオブジェクトEH3(当該
イベントオブジェクトのイベントハンドル)が割り当て
られる。また、イベントリソースER4に割り当てるイ
ベントオブジェクトが無い場合は、イベントオブジェク
トEH4(当該イベントオブジェクトのイベントハンド
ル)が新たに生成して割り当てられる。
【0071】そして、各割り当てられたイベントオブジ
ェクトのイベントハンドルEH1、EH3、EH4とダ
ミイ用のイベントオブジェクトのイベントハンドルDH
が前記アプリケーションプログラムに戻される。
【0072】イベントリソース状態記憶部70は、各タ
スクから参照更新可能な共有メモリ領域に設けられてお
り、各種イベントリソースの状態を記憶するイベントリ
ソーステーブルが記憶されている。
【0073】該イベントリソーステーブルには、前述し
たように、マニピュレータ等270やドライブボックス
260で発生したシステムI/O262、基板類250
等のハードウエアリソースの状態や、各プログラム23
2、234、236がタスク間での同期、通信を行うた
めの出力データ群の状態を記憶するよう構成されてい
る。
【0074】なお、該イベントリソーステーブルのイベ
ントリソースの状態は、後述するようにイベント駆動部
40により一定時間毎に、又イベントリソース状態更新
部80により必要に応じて更新される。
【0075】イベントリソース状態更新部80は、主に
アプリケーションプログラム236からの要求により、
出力ポートの状態及びタスク間での同期、通信を行うた
めの出力データ群の状態を更新する。
【0076】前記要求は、各アプリケーションプログラ
ム236が、その実行中にイベントリソース状態更新部
80を起動する関数を呼び出すという形式で行われ、そ
の際の引数として、出力データ群を渡す。
【0077】通常、各アプリケーションプログラム23
6は、前記出力データ群を、各アプリケーションプログ
ラム236間で個別にやりとりする。しかし、本実施の
形態では、各アプリケーションプログラム間でやりとり
が必要な出力データ群が生じた場合は、前記関数により
イベントリソース状態更新部80にその旨の要求を行う
ことになる。この要求をうけて、イベントリソース状態
更新部80は、イベントリソース状態記憶部70の該当
するイベントリソース状態の更新をおこなうのである。
【0078】従って、各アプリケーションプログラム2
36は、現実に出力データ群が生じ場合に行う出力ポー
ト242の更新を行わず、これらは、後述するようにハ
ードウエアリソース更新部44が一元化して行うよう構
成されている。
【0079】イベント駆動部40は、前記外部割り込み
発生部50が発生させた割り込み信号に同期してイベン
ト駆動処理を行う。イベント駆動処理とは、リアルタイ
ム処理を実行するのに必要な繰り返し間隔で定期的にイ
ベントを検出し、該イベントに対応する処理が実行され
るタスクへの切替を前記タスク切替部30に指示する処
理である。
【0080】この様なイベント駆動部40のイベント駆
動処理はCPU210がRAM230に格納されたコン
トロールプログラム234及びオペレーティングシステ
ム232の同期イベント機能を実行することにより実現
される。すなわち、イベント駆動部40の機能を実現す
る部分にあたるコントロールプログラム234は、シス
テムに常駐しており、当該処理を行うタスクは前記外部
割り込み発生部50が発生させた割り込み信号に同期し
て駆動されるよう構成されているのである。そして、後
述するように、イベントに対応するプログラムを起動す
る際にオペレーティングシステム232の同期イベント
機能を利用するよう構成されている。
【0081】イベント駆動部40はイベントを検出する
ために、以下のようにしてイベントリソースの監視を行
っている。実際のイベントリソースの変化の具体的な監
視方法は各デバイス毎に異なるが、入力ポート242に
関しては、予め監視するポートアドレス、サイズなどを
定義しておき、前記割り込みに同期して、定義された入
力ポートをすべて参照し、イベントリソース状態記憶部
90に記憶されたイベントリソーステーブルの該当する
エリアに入力ポート242の現在状態を保存する。イベ
ントの検出については、参照した入力ポート242の状
態とイベントリソーステーブルに保存された前回の状態
を比較し判断する。
【0082】その他のマニピュレータ等270、ドライ
ブボックス260に設置されたシステムI/O、拡張バ
ス290によって接続されている特殊な基板類250に
関しては、個別に作成されたデバイスドライバをコール
して監視を行い、イベントリソース状態記憶部90に記
憶されたイベントリソーステーブルの該当するエリアに
前記ロボット本体270、システムI/O、特殊な基板
類250等の現在状態を保存する。イベントの検出につ
いては、デバイスドライバのコールによる監視結果とイ
ベントリソーステーブルに保存された前回の状態を比較
し判断する。
【0083】各アプリケーションプログラム236の出
力データ群に関しては、通常、出力データ群の発生は出
力ポート244に反映されている。
【0084】そしてイベント駆動部40は、検出したイ
ベントリソースの変化の中に、イベント登録部60に登
録されたイベントリソースがあった場合、対応するイベ
ントオブジェクトをシグナル状態にすることで、タスク
切替部30に、対応するアプリケーションプログラム2
36のタスクの起動の指示を行う。
【0085】なお、同一のイベントリソースの変化を複
数のアプリケーションプログラムで待っていた場合、又
は同じタイミングで複数のイベントリソースに変化があ
った場合は、対応する1又は複数のイベントオブジェク
トがシグナル状態になる。そして、オペレーティングシ
ステムの機能により各アプリケーションプログラムに、
ラウンドロビンに処理が切り替わる。
【0086】また、前述したように各アプリケーション
プログラム236はイベントリソーステーブルを更新し
た場合、現実の出力ポート244の更新を行わないた
め、この更新を行う必要がある。従って、ハードウエア
リソース更新部44は、アプリケーションプログラムに
出力データ群が発生した場合、対応する現実の出力ポー
ト244の更新を行う。
【0087】なお、更新に必要な各アプリケーションプ
ログラム236の出力データ群のサイズと、その現実の
出力ポート244の出力アドレスは、予め登録しておく
よう構成されている。
【0088】前記タスク切替部30は、マルチタスクで
処理を実行するために所定の間隔毎に、またイベント駆
動部40又はスワップアウト防止部90が、イベントオ
ブジェクトをシグナル状態にして、対応するアプリケー
ションプログラム236のタスクの起動の指示を行った
場合にタスクへの切替をおこなう。
【0089】前者のタスクへの切替として、本コントロ
ーラ10では、マルチタスクで処理を実行するために、
オペレーティングシステム232が標準の機能として有
しているタイムスライス機能により、タスクの切替を行
っている。
【0090】また、後者のタスクへの切替は、CPU2
10がRAM230に格納されたオペレーティングシス
テム232の同期イベント機能を実行することにより、
シグナル状態となったイベントオブジェクトに対応する
イベントハンドルを有するアプリケーションプログラム
236のタスクを起動することで実現される。
【0091】前述したように、同一のイベントリソース
の変化を複数のアプリケーションプログラムで待ってい
た場合、又は同じタイミングで複数のイベントリソース
に変化があった場合は、対応する1又は複数のイベント
オブジェクトをシグナル状態にすることにより、前記タ
スク切替部30が対応するイベントハンドルを有するア
プリケーションプログラムをラウンドロビンで起動する
ことになる。
【0092】なお、イベント登録を行った際に、イベン
トオブジェクトとアプリケーションプログラムは、オペ
レーティングシステムが標準で有している同期イベント
機能により対応づけられている。従って、イベントオブ
ジェクトをシグナル状態になると、対応するイベントハ
ンドルを有するアプリケーションプログラム236のタ
スクを起動することができるのである。
【0093】図5(A)(B)は、本システムによりリ
アルタイムにイベントを駆動する手順を示したフローチ
ャート図である。同図(A)は、イベント駆動部40が
所定の間隔毎に定期的に行うイベント駆動処理の手順を
示しており、同図(B)は、イベント駆動されるアプリ
ケーションプログラム236の動作の手順を示してい
る。
【0094】同図(B)に示すように、あるアプリケー
ションプログラム236のタスクが起動されて、処理1
を実行中にイベント待ちが発生すると(ステップ11
0)、アプリケーションプログラム236は、前述した
ようにイベント登録部にイベントリソースを指定してイ
ベント待ち登録を要求し(ステップ120)、イベント
待機状態になる(ステップ130)。すなわち、前記ア
プリケーションプログラム236が変化を待つイベント
リソースがイベントオブジェクトに対応して登録され、
前記アプリケーションプログラム236はイベントオブ
ジェクトに対応したイベントハンドルを受け取り、イベ
ントオブジェクトがシグナル状態になるまで待機するの
である。
【0095】一方、同図(A)に示すように、イベント
駆動部40は、前述した各種ハードウエアリソースの監
視をおこなっている(ステップ10)。そして、前記イ
ベントリソーステーブルにイベントオブジェクトとして
登録されているイベントリソースであるアプリケーショ
ンプログラム(AP)による出力データ群が変化したら
(ステップ20)、イベント駆動部40のハードウエア
リソース更新部44は、対応するハードウエアリソース
である出力ポート244の現実の更新を行う(ステップ
30)。
【0096】そして、登録されたイベントリソースに変
化があった場合は(ステップ40)、イベント登録部6
0により登録されたイベントリソースに対応するイベン
トオブジェクトをシグナル状態にする。(ステップ5
0)。タスク切替部30に相当するオペレーティングシ
ステム232は、イベントオブジェクトがシグナル状態
になったのを受けて、前記対応するイベントハンドルを
有するアプリケーションプログラムが実行されるタスク
を起動する(ステップ60)。
【0097】すると同図(B)に示すように、イベント
ハンドルによりイベントを待機していたアプリケーショ
ンプログラム236は、処理2の実行を開始する(ステ
ップ140)。
【0098】スワップアウト防止部90は、リアルタイ
ム性が要求される処理を行うアプリケーションプログラ
ムが待機中である場合は、定期的に該アプリケーション
プログラムを起動し、該アプリケーションプログラムが
スワップアウトされないようしている。
【0099】リアルタイム性が要求される処理を行うア
プリケーションプログラムとは、イベント待ち状態にな
っているアプリケーションプログラムをいい、これらが
スワップアウトされてしまうと、イベントが発生して駆
動される際、プログラムの再ロードに数10〜数100
mescかかってしまい、処理のリアルタイム性が損な
われるからである。
【0100】従って、スワップアウト防止部90は、所
定の間隔毎にイベント登録部60にダミイ起動用のイベ
ントオブジェクトに対応するアプリケーションプログラ
ムを起動するようタスク切替部30に指示する。ここに
おいて所定の間隔はシステムタイマを利用している。ま
た、タスク切替部30への指示は、以下のようにして行
っている。
【0101】各アプリケーションプログラムが、あるイ
ベントリソースの変化を待つ旨の登録をイベント登録部
60に要求すると、前述したように前記アプリケーショ
ンプログラムに対してダミイ処理用のイベントオブジェ
クトのイベントハンドルが戻される。スワップアウト防
止部90では、定期的にこのダミイ処理用のイベントオ
ブジェクトをシグナル状態にすることにより、タスク切
替部30に対応するイベントハンドルを有するアプリケ
ーションプログラムのタスクの起動を指示する。
【0102】アプリケーションプログラム側では、スワ
ップアウト防止部90によって駆動されたのかイベント
駆動部40によって駆動されたかはイベントオブジェク
トの種類によって識別可能であるため、スワップアウト
防止部90によって駆動された場合、ダミイ処理を行
い、再びイベント待ちを行うよう構成されている。な
お、アプリケーションプログラム側で行うこの様な処理
は、アプリケーションプログラムがイベント待ちの登録
を行う際に呼び出す関数の行う処理として、コントロー
ルプログラム側で用意しておくことが好ましい。この様
にすると、ユーザーはアプリケーションプログラムを作
成する際、そのようなことを特に意識することなく、該
関数を利用するだけでよいからである。
【0103】本実施の形態では、パソコン用汎用OSと
してマイクロソフト社製のWINDOWS95(商品
名)を用いた場合を例にとり説明したが他のパソコン用
汎用OSを使用してもよい。
【0104】なお、本発明は、上記の実施例で説明した
ものに限らず、種々の変形実施が可能である。
【0105】例えば、リアルタイム性の確保出来るパソ
コン用汎用OSを用いた場合のロボット用コントローラ
10の実施の形態を説明する。
【0106】リアルタイム性が確保出来るとは、OSに
よるタスクの切替が高速に行えるオペレーティングシス
テムをいう。従ってこの様なオペレーティングシステム
においては、十分に短い間隔をシステムタイマによって
発生させることや、またリアルタイム制御を行うのに十
分に短い間隔でタイムスライスを行うことが可能とな
る。
【0107】前者の場合は、前記実施の形態の外部割り
込み発生部50において、外部タイマを用いて割り込み
を発生されていたのを、システムタイマによって行うこ
とにより、他は前記実施の形態と同様にして実現するこ
とが出来る。
【0108】また後者の場合は、前記実施の形態の外部
割り込み発生部50において外部タイマを利用して割り
込みを発生されていたのを、タイムスライスによって行
うことにより、他は前記実施の形態と同様にして実現す
ることが出来る。
【0109】なお、いづれの場合も、システム内部でリ
アルタイム制御を行うのに十分に短い間隔を設定できる
ため、図2のハードウエア構成図における外部タイマは
不要となる。
【0110】ここでは、後者の場合を例に取り説明す
る。
【0111】図6は、リアルタイム性の確保できるオペ
レーティングシステムを用いたロボット用コントローラ
10の機能ブロック図である。図1と異なるのは、外部
割り込み発生部50が無くなり、タスク切替部30がタ
イムスライス部32を含んでいる点である。他の同様な
部分は図1と同名称、同番号を付してある。また、同様
な機能についての説明は省略する。
【0112】タイムスライス部32は、リアルタイム制
御を行うのに十分に短い間隔、例えば1msecでタイムス
ライスを行い、各タスクにラウンドロビン方式で、CP
Uを割り当て、各タスクの起動を行う。このとき各タイ
ムスライス毎に、各タスクの実行に先立ち、イベント駆
動部40の駆動を行うよう構成されている。
【0113】すなわちイベント駆動部40の機能を実現
するコントロールプログラム234は各タイムスライス
毎に強制的に処理されるタスクとして、実行されること
になる。そして、イベント駆動部40によるイベント駆
動処理は、1msec以下で終了するため、もしイベントが
発生していない場合は、タイムスライスの残った時間
は、通常のタイムスライスによる各タスクの起動がおこ
なわれることになる。
【0114】この様にすることにより、それ以外の処理
は、第一の実施の形態と全く同様にして、ロボット用コ
ントローラの機能を実現することができる。
【0115】なお、本実施の形態ではシステムで標準で
用意されている同期イベント機能を利用して構成した場
合を例に取り説明したが、同期イベント機能と同様の効
果を奏するものであればよい。すなわち、システムで実
行可能な各種関数やシステムコール等でもよい。また、
同期イベント機能と同様の効果を奏するコントロールプ
ログラムを作成してもよい。
【0116】また、本コントローラ10のオペレーティ
ングシステム232及びコントロールプログラム234
は、RAM230に格納されている場合を例に取り説明
したが、着脱自在に形成された外部記憶媒体に格納され
ている場合でもよいし、外部記憶媒体から、内部記憶媒
体にロードして用いる場合でもよいし、外部から通信で
内部記憶媒体にロードして用いる場合でもよい。
【0117】さらに、本発明は、ロボットの種類、構成
は問わず、様々なロボット用コントローラに適用可能で
ある。
【0118】また、本実施の形態ではロボット用コント
ローラのシステムについて説明したが、同様の構成でロ
ボット用シーケンサも構成可能であり、本発明をロボッ
ト用シーケンサに適用した場合も本発明の技術的範囲に
属する。
【0119】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のロボット用コントローラの機能
ブロック図である。
【図2】本実施の形態のロボット用コントローラのハー
ドウエア構成を表した図である。
【図3】本コントローラが行うマルチタスク処理の例を
示した概念図である。
【図4】イベント登録の具体的イメージを示した説明図
である。
【図5】同図(A)(B)は、本システムによりリアル
タイムにイベントを駆動する手順を示したフローチャー
ト図である。
【図6】他の実施の形態のロボット用コントローラの機
能ブロック図である。
【符号の説明】
10 ロボット用コントローラ 20 リアルタイム制御手段 30 タスク切替部 32 タイムスライス部 40 イベント駆動部 44 ハードウエアリソース更新部 50 外部割り込み発生部 60 イベント登録部 70 イベントリソース状態記憶部 80 イベントリソース状態更新部 90 スワップアウト防止部 210 メインCPU 220 HDD 230 RAM 232 オペレーティングシステム 234 コントロールプログラム 236 アプリケーションプログラム 240 インターフェースボード 242 入力ポート 244 出力ポート 250 基板類 252 外部タイマ 260 ドライブボックス 262 システムI/O 270 マニピュレータ 280 CPUバス 290 拡張バス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 五味 一博 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 (72)発明者 宮沢 比呂之 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 (72)発明者 奥山 正幸 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プリエンプティブなマルチタスク機能を
    有するタスク切替手段と、 前記タスク切替手段にタスクの切替を指示することによ
    り、イベントの発生に対応する処理がリアルタイムに実
    行されるよう制御するリアルタイム制御手段を有するロ
    ボット駆動用コントローラであって、 前記リアルタイム制御手段は、 リアルタイム処理を実行するのに必要な繰り返し間隔で
    定期的にイベントを検出し、該イベントに対応する処理
    が実行されるタスクへの切替を前記タスク切替手段に指
    示するイベント駆動処理を行うイベント駆動手段と、 を含むことを特徴とするロボット用コントローラ。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記リアルタイム制御手段は、 外部タイマを用いて前記繰り返し間隔毎に割り込み信号
    を発生させる外部割り込み発生手段をさらに有し、 前記イベント駆動手段は、 前記外部割り込み発生手段が発生した割り込み信号に同
    期してイベント駆動処理を行うことを特徴とするロボッ
    ト用コントローラ。
  3. 【請求項3】 請求項1〜2のいずれかにおいて、 前記リアルタイム制御手段は、 前記イベントの発生に対応する処理を行うプログラム
    が、前記イベントの発生を待つ旨の登録を行うイベント
    登録手段をさらに有し、 前記イベント駆動手段は、 前記イベント登録手段によって登録されたイベントの発
    生を検出したときは、前記イベント登録手段によって登
    録されたイベントの発生を待つプログラムが実行される
    タスクへの切替を前記タスク切替手段に指示することを
    特徴とするロボット用コントローラ。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記リアルタイム制御手段は、 前記ロボットの有するハードウエアリソースの変化と、
    マニピュレータ動作又は周辺装置を制御するプログラム
    で同期、通信を行うための出力データ群との少なくとも
    一方をイベントとして扱うことを特徴とするロボット用
    コントローラ。
  5. 【請求項5】 請求項4において、 前記リアルタイム制御手段は、 複数のタスクから参照更新可能な共有メモリ領域に、前
    記ハードウエアリソースの変化と、マニピュレータ動作
    又は周辺装置を制御するプログラムで同期、通信を行う
    ための出力データ群との少なくとも一方を管理するため
    のイベントリソース状態を記憶するイベントリソース状
    態記憶手段と、 前記マニピュレータ動作と前記周辺装置を制御するプロ
    グラムの同期、通信を行うための出力データ群との少な
    くとも一方に基づき、前記イベントリソース状態記憶手
    段に記憶されたイベントリソース状態を更新するイベン
    トリソース状態更新手段とを有し、 前記イベント駆動手段は、 前記イベントリソース状態更新手段が更新したイベント
    リソース状態に基づき、ハードウエアリソースを更新す
    るハードウエアリソース更新手段とを含むことを特徴と
    するロボット用コントローラ。
  6. 【請求項6】 請求項3又は請求項3に従属する請求項
    4、5のいずれかにおいて、 イベントの発生を待つ旨の登録を行ったプログラムを、
    所与の間隔で定期的に起動することをタスク切替手段に
    指示することで、該プログラムのスワップアウトを防止
    するスワップアウト防止手段を含むことを特徴とするロ
    ボット用コントローラ。
  7. 【請求項7】 プリエンプティブなマルチタスク機能を
    有する汎用オペレーティングシステムを用いたロボット
    用コントローラにおいて、イベント発生に対応した処理
    のリアルタイム制御を行う方法であって、 外部タイマを用いて、リアルタイム処理を実行するのに
    必要な繰り返し間隔で、定期的に割り込み信号を発生さ
    せる外部割り込み発生ステップと、 前記外部割り込み発生ステップにおいて発生された割り
    込み信号に同期して、イベントを検出し、該イベントに
    対応する処理が実行されるタスクへ切替えることを前記
    汎用オペレーティングシステムに指示するイベント駆動
    処理を行うイベント駆動ステップを有することを特徴と
    する制御方法。
  8. 【請求項8】 請求項7において、 前記イベントの発生に対応する処理を行うプログラム
    が、前記イベントの発生を待つ旨の登録を行うイベント
    登録ステップをさらに有し、 前記イベント駆動ステップは、前記イベント登録ステッ
    プにおいて登録されたイベントの発生を検出したとき
    は、前記イベント登録ステップにおいて登録されたイベ
    ントの発生を待つプログラムが実行されるタスクへの切
    替を前記汎用オペレーティングシステムに指示すること
    を特徴とする制御方法。
  9. 【請求項9】 請求項7、8のいずれかにおいて、 前記ロボットの有するハードウエアリソースの変化と、
    マニピュレータ動作又は周辺装置を制御するプログラム
    で同期、通信を行うための出力データ群との少なくとも
    一方をイベントとして扱うことを特徴とする制御方法。
  10. 【請求項10】 請求項9において、 複数のタスクから参照更新可能な共有メモリ領域に設定
    されたイベントリソーステーブルに記憶された、前記ハ
    ードウエアリソースの変化と、マニピュレータ動作又は
    周辺装置を制御するプログラムで同期、通信を行うため
    の出力データ群との少なくとも一方を管理するためのイ
    ベントリソース状態を、 前記マニピュレータ動作と前記周辺装置を制御するプロ
    グラムの同期、通信を行うための出力データ群との少な
    くとも一方に基づき更新するイベントリソース状態更新
    ステップをさらに有し、 前記イベント駆動ステップは、 前記イベントリソース状態更新ステップにおいて更新さ
    れたイベントリソース情報に基づき、ハードウエアリソ
    ースを更新するハードウエアリソース更新ステップとを
    含むことを特徴とする制御方法。
  11. 【請求項11】 請求項8又は請求項8に従属する請求
    項9、10のいずれかにおいて、 イベントの発生を待つ旨の登録を行ったプログラムを、
    所与の間隔で定期的に起動することを前記汎用オペレー
    ティングシステムに指示することで該プログラムのスワ
    ップアウトを防止するスワップアウト防止ステップを含
    むことを特徴とする制御方法。
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