JPH10158058A - 磁器焼結体 - Google Patents

磁器焼結体

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Publication number
JPH10158058A
JPH10158058A JP31641996A JP31641996A JPH10158058A JP H10158058 A JPH10158058 A JP H10158058A JP 31641996 A JP31641996 A JP 31641996A JP 31641996 A JP31641996 A JP 31641996A JP H10158058 A JPH10158058 A JP H10158058A
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JP
Japan
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porcelain
colemanite
forsterite
light transmittance
feldspar
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Application number
JP31641996A
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English (en)
Inventor
Yoichiro Yoshihara
洋一郎 芳原
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KAGOSHIMA PREF GOV FINE CERAMI
KAGOSHIMA PREF GOV FINE CERAMIC SEIHIN KAIHATSU KYOKAI
Kyocera Corp
Original Assignee
KAGOSHIMA PREF GOV FINE CERAMI
KAGOSHIMA PREF GOV FINE CERAMIC SEIHIN KAIHATSU KYOKAI
Kyocera Corp
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Filing date
Publication date
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 美しいアイボリーないしは帯縁黄色〜黄色〜
クリーム系の色調を呈する装飾・工芸用部材をはじめ、
食器、調理具、またインテリアや照明具、表示装置の部
材に適した透光性の磁器はなかった。 【解決手段】 主原料としての合成フォルステライト粉
末、或いは組成がほぼフォルステライト(2MgO・S
iO2 )と成るように調合した粉末と、焼結助材として
予め仮焼したコレマナイトを4〜10重量%、或いは仮
焼コレマナイトを4〜10重量%と長石を4〜10重量
%、或いは仮焼コレマナイトを2〜12.5重量%と長
石を1.5〜6重量%と炭酸バリウムを3〜12.5重
量%含有してなる磁器原料を焼成した磁器焼結体であっ
て、主構成相がフォルステライト(2MgO・Si
2 )結晶で、残部が主としてコレマナイト、或いはコ
レマナイトと長石、或いはコレマナイトと長石と酸化バ
リウムを含む焼結助材由来のガラスから成り、厚さ1m
mにおける可視光線の透過率が36%以上の磁器焼結
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアイボリー(象牙
色)ないしは黄色〜クリーム系の色調で、透光感に優れ
た磁器焼結体に関する。本発明の磁器焼結体は装飾・工
芸用部材をはじめ、食器、調理具、またインテリアや照
明具、表示装置の部材として使用される。
【0002】
【従来の技術及ぴ発明が解決しようとする課題】古来よ
り、焼きものと呼ばれるものの中で、磁器は不純物の少
ない原料を厳選、あるいは精製して用いることで、土器
や陶器に比べて明るい色調と透光感を持ち、これによっ
て高い価値を有している。
【0003】従来より、透光感に優れた磁器と評価され
ているものに骨灰磁器(ボーンチャイナ)がある。骨灰
磁器は不純物を含むことの少ない若い牛の骨を焼成して
得た骨灰を主原料にした磁器であるが、良質な骨灰は高
価であるので、特公昭46一28404や、特公昭55
−29956では骨灰と化学組成が似ていて不純物の少
ないゼラチン精製の副産物から得た骨燐(第2燐酸石灰
=CaHPO4 ・2H2 O)を原料に用いた骨灰磁器が
提案されている。また、特開平2−164764では骨
灰磁器に比し安価な灰長石を主構成鉱物とした磁器が提
案されている。さらに特開平2−293373ては燐酸
アルミニウムを多用した高強度磁器が提案されている。
これらはいずれも透光感に優れた磁器を提供しようとす
るものである。
【0004】磁器は白色であることが一つの好ましい条
件のようになっているが、食卓用の器物や工芸品用にお
いては温もりを感じさせるアイボリー(象牙色)ないし
はクリーム系の色調を持った磁器も好まれる。アイボリ
ー系の色調を持つ磁器を作るには、磁器の素地自体を着
色する場合と、表面の釉薬だけを着色する場合とがある
が、素地自体による発色であるほうが色むらが出なくて
よい。素地自体がアイボリー系の色調を持つ磁器は、例
えば酸化鉄(Fe2 3 )を比較的多く含む原料を用い
るか、精製された原料に顔料として酸化鉄2〜3重量%
と酸化チタン(TiO2 )2〜3重量%を加えた杯土を
用いる。また、原料に発色剤として酸化ジルコニウム
(ZrO2 )5重量%を添加し、そのうえで焼結を促す
ために長石を5重量%増して杯土にする例もある。いず
れも酸化雰囲気で焼結させてアイボリー磁器になる。
【0005】しかしながら、従来のアイボリー磁器で
は、精製すべき原料に黄褐〜赤褐色系の不純物を残した
杯土を用いるか、精製した原料に顔料や発色剤を添加し
た杯土を用いることから、着色によって透光感が損なわ
れるという問題がある。
【0006】このような問題を解決するためにアイボリ
ー磁器による器物の素地を薄く作って光透過率を向上さ
せて透光感を表現することも考えられるが、素地の厚み
を減じると器物の強度も低下するので、特に食器などの
ような日用品に適用するには問題がある。
【0007】現在市販されている中から透光感に優れた
磁器製品について調べたところ、白色のボーンチャイナ
製の皿で釉薬層を含んだ厚み3.5〜3.7mmの部分
数カ所について、照度計で光の透過率を測定し、厚さ1
mmにおける光の透過率、透光度δを算出したところ平
均値は36.4%であった。また、白色の素地に着色し
た釉薬をかけたアイボリー磁器製の皿について、釉薬層
を含んだ厚み3.2〜3.5mmの部分数カ所について
同様に光の透過率を測定し、透光度δを算出したところ
平均値は33.8%であった。
【0008】一方、近年になって透光性を持つファイン
セラミックが多種製作されるようになった。なかでも透
光性アルミナは原料の入手も容易で透光度が70%に達
するセラミックを作ることができる。また、アルミナセ
ラミックは例えば特開昭63−239154にあるよう
に各種の金属の酸化物を少量添加すればアイボリー(象
牙色)のみならす様々の美しい色調に発色させることが
でき、強度も優れているので、近年は電気・電子用部材
のみならず人工宝石として時計や装飾品等にも用いられ
ている。
【0009】しかし、透光性を持つファインセラミック
は、いずれも高価な高純度原料を用い、焼成には真空高
温炉や水素雰囲気炉や熱間静水圧プレスといった従来の
陶磁器の製造では使われていない、特殊な炉や装置を用
いて焼結させることで透光性を発現するのであって、こ
れ等によって食器や工芸品等のように比較的大きな部材
を作れば製造に要する価格は並外れて高価になり、用途
が著しく限られてしまうという問題がある。
【0010】上記事情に鑑み、本発明者はアイボリー
(象牙色)系の色調で、透光感に優れた磁器焼結体を通
常の陶磁器を作るのに用いる炉や装置によって製作する
べく、広く特殊磁器ないしはニューセラミックと呼ばれ
る磁器について調査し、それらの磁器を構成する鉱物に
ついて検討を行なった結果、フォルステライト(2Mg
O・SiO2 )に着目した。鉱物としてのフォルステラ
イトは融点が1900℃と高く耐火性に優れているとこ
ろから製鉄製鋼用の炉材(耐火物セラミック)として用
いられている。フォルステライトは天然の材料または試
薬を組成がほぼフォルステライト(2MgO・Si
2 )になるように調合した粉末を1200〜1400
℃の高温で焼成すれば容易に合成できる。この時に鉱物
の合成を促進する鉱化剤や磁器化を促進する焼結助剤が
配合されていれば一層確実に合成される。フォルステラ
イトを焼結させた磁器はマイクロ波領域において優れた
性能を有することから1947年にアメリカで電子管外
囲器用セラミックとして実用化され、以来、高周波絶縁
物、ガラスや金属との封着部品、薄膜抵抗やIC基板、
ICパッケージなどに利用されている。電子部品用に生
産されているフォルステライト磁器はセラミックの中で
比較的安価に製造されていて、色調は暗いアイボリー
(象牙色)ないしは黄土色を呈している。この原料とし
て「合成フォルステライト」粉末が市販されている。
【0011】フォルステライト磁器の組成や製造方法に
ついては今までに多くの研究がなされてきた。その多く
は例えば特開平5−262562や特開平5−3456
22のように絶縁性を高め高周波誘電体損失をより小さ
くするなど、電気特性の向上を目指す研究や特開平5−
178659のようにフォルステライト磁器の比較的大
きな熱膨張率を生かした用途開発であって、フォルステ
ライト磁器に透光感を求めたり明るい色調を持たせる研
究や試作をした例はない。
【0012】本発明者はアイボリー(象牙色)系の色調
で、透光感に優れた磁器焼結体を得るべく、フォルステ
ライト磁器の透光度を向上させようと研究を重ね、組成
がほぼフォルステライト(2MgO・SiO2 )となる
ように調合した原料粉末あるいは予め合成したフォルス
テライト粉末を主原料にし、これにコレマナイト(=灰
硼石:2CaO・3B2 3 ・5H2 O)或いはコレマ
ナイトと長石、或いはコレマナイトと長石と炭酸バリウ
ム(BaCO3 )を混合した焼結助剤を配合した磁器原
料組成物を成型し、酸化雰囲気もしくは大気中での焼成
によって焼結させることで、アイボリー(象牙色)ない
しはクリーム系の色調で、かつ透光度に優れた磁器にな
ることを見いだし、本発明を完成するに至ったものであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、主原料
としての合成フォルステライト粉末、或いは組成がほぼ
フォルステライト(2MgO・SiO2 )と成るように
調合した粉末と、焼結助材として予め仮焼したコレマナ
イトを4〜10重量%、或いは仮焼コレマナイトを4〜
10重量%と長石を4〜10重量%、或いは仮焼コレマ
ナイトを2〜12.5重量%と長石を1.5〜6重量%
と炭酸バリウムを3〜12.5重量%含有してなる磁器
原料を焼成した磁器焼結体であって、主構成相がフォル
ステライト(2MgO・SiO2 )結晶で、残部が主と
してコレマナイト、或いはコレマナイトと長石、或いは
コレマナイトと長石と酸化バリウムを含む焼結助材由来
のガラスから成り、厚さ1mmにおける可視光線の透過
率が36%以上の磁器焼結体が提供される。
【0014】
【作用】鉱物としてのフォルステライトは融点が高く高
耐火性の材料であるので、これを焼結させるには高温で
焼成するか、焼結を促進する物質を添加して焼成温度を
下げて磁器にする。本発明では後者の方法によったが、
この場合には得られた磁器はフォルステライト結晶を主
構成相とし、他の多くはガラス相からなる。この様な磁
器に透光感を持たせるには磁器の内部を通過する光線の
乱反射を少なくしなくてはならない。理論上は、ガラス
相の屈折率をフォルステライト結晶に近似させる焼結助
剤の組成、可能な限りフォルステライトとは異なる屈折
率を持つ結晶を析出させない焼結助剤の組成と焼成条
件、磁器内部に気孔を残さない適切な焼成条件等を見い
だして磁器の透光度を向上させなくてはならない。
【0015】フォルステライト鉱物(2MgO・SiO
2 )の屈折率はα=1.635、β=1.651、γ=
1.670とされている。通常の陶磁器では焼結を促進
する材料に長石が使われるが、長石を用いたガラス(釉
薬など)の屈折率は1.490付近であるとされていて
フォルステライト鉱物とは屈折率に差が有る。
【0016】しかし、ガラスには色々な屈折率のものが
有る。例えば一般に用いられているソーダ石灰ガラスの
屈折率は1.469付近であるが、カメラのレンズなど
に用いる光学ガラスは組成が多技にわたり、その屈折率
は1.45〜1.90と広範である。
【0017】フォルステライト磁器のガラス相は焼結助
剤が形成する。そこで焼結助剤の組成を模索してガラス
相の屈折率を主構成相であるフォルステライト結晶の屈
折率1.635〜1.670に近似させることができれ
ば、フォルステライト磁器焼結体の透光度を向上させる
ことが可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明による透光度と色調に優れ
たフォルステライト磁器の組成は多くの実験結果から選
択されて決定されたものである。本発明は、例えば以下
のようにして作成される。先ず、主原料に市販の合成フ
ォルステライト粉末を用いる。或いはマグネシア(Mg
O)あるいは水酸化マグネシウム(Mg(OH)2 )も
しくはマグネサイト(MgCO3 )など、焼成によって
酸化物になるマグネシウム化合物粉末に、滑石(3Mg
O・4SiO2 ・H2 O)粉末あるいは石英(Si
2 )粉末を、焼成によって組成がほぼ2MgO・Si
2 となるように配合した粉末を土原料に用いることも
できる。いずれの場合も焼成して焼結させたときに、磁
器の主構成相はフォルステライト(2MgO・Si
2 )となる。
【0019】これ等の主原料を焼結させる助剤として、
予め仮焼したコレマナイトを4〜10重量%、或いは仮
焼コレマナイトを4〜10重量%と長石を4〜10重量
%の混合物、或いは仮焼コレマナイトを2〜12.5重
星%と長石を1.5〜6重量%と炭酸バリウムを3〜1
2.5重量%の混合物が添加される。焼結助剤は前述の
混合物を予め焼成もしくは溶融して粉砕したものを用い
ても良い。このように調合した磁器原料を成型後、酸化
雰囲気もしくは大気中で1280〜1340℃で焼成し
て焼結体にする。
【0020】こうして、主構成相がフォルステライト結
晶で、残りがコレマナイトを含む焼結助剤等に起因する
ガラス相と、希に、これ等が反応して析出した微量のそ
の他結晶よりなる、アイボリー(象牙色)ないしは黄色
〜クリーム系の色調を持った透光度に優れた磁器焼結体
を得ることができる。
【0021】本発明にいう透光度に優れた磁器とは、前
述したように市販の磁器の中で透光感に優れた物につい
て透光度を調べた結果から勘案して、厚さ1mmにおけ
る可視光線の透過率である透光度δが36%以上のもの
とした。
【0022】本発明の組成物および焼成条件における限
定理由は以下のとおりである。先ず、組成について述べ
ると、主原料としては市販の合成フォルステライト粉末
を用いるか、天然の原料や試薬を用いて焼成後の組成が
ほぼ2MgO・SiO2 となるように調合した粉末を用
いる。この場合は焼成によって磁器化するまでにフォル
ステライト鉱物が合成され、磁器の主構成相になる。
【0023】焼結助剤の作用は、コレマナイト(灰硼
石、Ca2 6 11・5H2 O)は理論値はCaO3
4.7%、B2 3 43.0%、H2 O22.3%で結
晶水は338〜419℃で急激に脱水するので予め45
0〜500℃で仮焼したものを粉砕して用いる。コレマ
ナイトは焼成温度が800℃を超えると溶融して始めて
ガラス化する。これによって主原料を結合していく。コ
レマナイト中のB2 3 はCaOと共存してガラスの融
点を低くし、主原料を低い温度て焼結させる。長石は焼
結速度を緩慢にする。長石に含まれるアルカリ成分中の
2 OはSiO2 やAl2 3 と共に極めて粘性の高い
ガラスを作るので、焼成温度が上昇するに従って素地の
形状を保ったまま徐々に焼き締めて、焼結時に発生しが
ちな磁器の反りや歪みを抑制しながら磁器化させる作用
をする。
【0024】炭酸バリウムにはコレマナイトや長石とと
もにガラス成分の一部となり、形成したガラスの屈折率
を高めて主構成相であるフォルステライト結晶の屈折率
に近似させることで磁器としての透光度を増すなどの作
用が期待できる。
【0025】焼結助剤は主原料を焼結させて磁器化する
のみならず、磁器の色調をも変化させる。主原料である
市販の合成フォルステライト粉末のみをそのまま成型し
て1400℃で焼結させると、磁器の素地はくすんだ暗
色のアイボリーないしはクリーム色である。これにコレ
マナイトを加えて焼結すると黄緑がかった色の磁器にな
り、長石を加えると明るいクリーム色の磁器になる。炭
酸バリウムは添加量を増すと黄土色がかった磁器にな
る。
【0026】次に、焼成条件について述べると、ガスや
灯油などを燃料にした炉や電気炉を用いて酸化雰囲気中
あるいは大気中で焼成することは、美しいアイボリーな
いしは黄色〜クリーム系の色調を得るために必須の条件
である。例えば本発明の磁器をガス炉等によってわずか
にでも還元雰囲気で焼成した場合、その磁器の素地は通
常市販されている磁器に近似した灰白色を呈し、特色の
無いものとなる。
【0027】焼成温度は1220℃未満では焼結しなか
ったり乾いた色調となり、透光度も劣る。1280℃未
満ではアイボリーの色調は良くなるが、市販されている
ボーンチャイナの透光度を超えるものは得られない。ま
た、本発明の磁器の主構成相は高耐火性のフォルステラ
イト結晶であるが、焼結助材に由来するガラス相を含ん
でいるので、1340℃を超える高温で焼成すると台板
の耐火材に付着したり軟化変形(へたり)を起こす。ま
た、このような高い焼成温度は高温炉を持たぬ限り実現
できず、通常の陶磁器メーカでは実際的でない。
【0028】
【実施例】実験にあたっては、多くは市販の合成フォル
ステライト(純度96%)を主原料に用いたが、ほかに
マグネシア(MgO)或いは焼成によって酸化してマグ
ネシアになる炭酸マグネシウム(MgCO3 )に、滑石
(3MgO・4SiO2 ・H2 O)あるいは石英(Si
2 )を組成がほぼ2MgO・SiO2 となるように配
合したものも主原料に用いた。これ等の主原料に焼結助
剤を配合した磁器原料を成型し焼成して磁器化した。
【0029】焼結助剤は必須成分として仮焼したコレマ
ナイトを用い、これに併用する長石には通常の磁器原料
に用いる金丸長石を、炭酸バリウム(BaCO3 )につ
いては試薬を用いた。
【0030】実験は具体的には、前述の主原料と焼結助
剤を調合した原料粉末100部、分散剤3部、バインダ
ー2部に純水およそ44部を加えて自動乳鉢を用いて1
時間混合し、良く分散させて濃厚な原料スラリーを作っ
た。
【0031】これを石膏鋳型に流し入れて成形し、約3
時間後に離型して板状の成形体を得た。これを21日間
自然乾燥した後に素焼きし、次いで本焼成を行なって磁
器にした。
【0032】素焼きは電気炉を用いて8時間かけて90
0℃まで昇温し、0.5時間保持した後に通電を止め自
然冷却した。本焼成は電気炉を用いて13時間かけて所
定の焼成温度まで上昇させ、30分間保持した後に3時
間で温度を30O℃下げてから通電を止めて自然冷却し
て磁器板を得た。
【0033】磁器板は焼成時に台板に接していた面をダ
イヤモンド砥石で研削して厚みを3mmに揃え、測定に
用いるテストピースを作った。このテストピースについ
て、照度計で光の透過率Dを測定し、透光度δを算出し
て評価した。厚み1mmにおける光の透過率すなわち透
光度δの算出は次の式によった。 Logδ=LogD/d d:素地の厚みmm 実験に用いた主な原料の分析値を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】−実験例1− 焼結助材を含まない合成フォルステライト粉末のみを磁
器原料に用いてスラリーを作って成形し、乾燥後素焼き
して電気炉で1400℃て本焼成した。焼結はしたが、
くすんだアイボリーで美しい素地ではない。厚さ3mm
の板に成形して照度計で光の透過率を測定し、透光度を
算出したところ透光度は14.6%であった。
【0036】−実験例2− 通常の磁器は粘土鉱物(カオリン等)と珪砂を主原料に
して焼結を促進させる物質として長石類が加えられてい
る。そこでこの実験では合成フォルステライト粉末を主
原料に焼結助材として金丸長石を種々の割合で配合した
スラリーを作って成形して乾燥後に素焼きし、本焼成し
て磁器を得た。長石を加えたことで実験例1に比して磁
器の色は明るく美しくなった。磁器の色調は長石の添加
が少ないか或いは焼成温度が低い場合は僅かに黄緑を帯
びたアイボリーになり、長石の添加が多いか焼成温度が
高くなると色調は明るくなり、クリーム色になる。各組
成と各焼成温度毎に厚さ3mmの板についての光透過率
を測定し、磁器の透光度を算出した。結果を表2に示
す。
【0037】
【表2】
【0038】この実験で最も良い透光度を示したのは1
440℃焼成においては合成フォルステライト84%+
金丸長石16%のもので透光度が32.2%であった。
1400℃焼成においてはフォルステライト83%+金
丸長石17%のもので透光度が31.3%であった。ま
た1360℃焼成においては、フォルステライト79%
+金丸長石21%のもので透光度が27.6%であっ
た。この実験では、どの組成に於ても透光度が36%を
超える磁器は得られなかったが、焼結助剤としての金丸
長石がアイボリー磁器の色調を好ましいものにすること
がわかった。また、金丸長石を21%以上含む組成では
1360℃焼成で耐火材で作った台板に敷いたアルミナ
の敷き粉が磁器に軽く付着し、さらに高温の1400℃
と1440℃焼成では付着とともに磁器が軟化して軽く
変形を生じていた。 −実験例3− この実験では合成フォルステライトを主原料に用い、焼
結助材としては仮焼したコレマナイトを種々の割合で配
合したスラリーを作り成形し乾燥後素焼きをし、本焼成
して磁器を得た。各組成と各焼成温度毎に、厚さ3mm
の板についての光透過率を測定し磁器の透光度を算出し
た結果を表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】この実験では合成フォルステライトに焼結
助剤として仮焼コレマナイトを4〜10重量%添加した
組成の磁器原料を用い、1260〜1340℃で焼成し
た。磁器原料にコレマナイトを加えたことで実験例2に
比して焼成温度を低下させても透光度の優れた磁器を得
ることができた。磁器の色調はコレマナイトの添加が少
ないか或いは焼成温度が低い場合は僅かに緑がかったク
リーム色になり、コレマナイトの添加が多いか焼成温度
が高くなると淡い緑黄色になった。その中で最も良い透
光度を示したのは合成フォルステライト92%+仮焼コ
レマナイト8%の組成で1340℃焼成において透光度
が39.7%であった。また、他の組成においても13
40℃〜1300℃焼成で透光度が36%を超える磁器
が得られ、コレマナイトが焼結助剤として有効であるこ
とが確認できた。
【0041】−実験例4− この実験では合成フォルステライトを主原料に用い、仮
焼コレマナイトに金丸長石を併用した焼結助材を配合し
て磁器原料にした。各組成と各焼成温度毎に、厚さ3m
mの板についての光透過率を測定し磁器の透光度を算出
した。結果を表4に示す。
【0042】
【表4】
【0043】この実験では合成フォルステライトに焼結
助剤としてはコレマナイト4〜10重量%と金丸長石を
4〜10重量%併用して添加した原料を用い、1260
〜1340℃で焼成した。磁器の色調は明るく僅かに緑
味を帯びたアイボリー〜薄黄色を呈して美しい。その中
で最も良い透光度を示したのは合成フォルステライト8
4%+仮焼コレマナイト8%+金丸長石8%の組成で1
340℃焼成において透光度が41.3%であった。ま
た、他の組成においても1340℃焼成において透光度
が36%を超える磁器が得られ、焼結助剤としてコレマ
ナイトと金丸長石の併用が有効であることが確認でき
た。また、この実験での磁器は明るさを増し、長石が磁
器の色調を明るくする効果を持つことが碓認できた。
【0044】−実験例5− この実験では合成フォルステライト90重量%を主原料
に用い、焼結助材には仮焼コレマナイトと金丸長石と炭
酸バリウムそれぞれの混合割合を変えたものを10重量
%加えて磁器原料にした。各組成と各焼成温度毎に、厚
さ3mmの板についての光透過率を測定して磁器の透光
度を算出した。結果を表5に示す。
【0045】
【表5】
【0046】この実験では合成フォルステライトに焼結
助剤としてコレマナイトと金丸長石と炭酸バリウムを併
用して添加した原料を用い、透光度が36%を超える磁
器が得られた。磁器の色調は薄黄色を帯びたアイボリー
〜クリーム色を呈していて美しい。その中で最も良い透
光度を示したのは合成フォルステライト90%+仮焼コ
レマナイト2%+金丸長石2%+炭酸バリウム6%の組
成で1340℃焼成において透光度が41.3%であっ
た。また、比較的低温の1300〜1260℃焼成では
合成フォルステライト90%+仮焼コレマナイト4%+
金丸長石2%+炭酸バリウム4%の組成が良い透光度を
示した。この実験で、合成フォルステライトに仮焼コレ
マナイト2〜3重量%と金丸長石を2〜3重量%と炭酸
バリウム4〜6重量%を配合した焼結助材を添加した原
料を用いた場合に1340℃焼成で透光度が36%を超
える磁器が得られ、焼結助材として、コレマナイトに金
丸長石と炭酸バリウムを併用するのが有効であることが
確認できた。
【0047】−実験例6− この実験では合成フォルステライト85重量%を主原料
に用い、焼結助材には仮焼したコレマナイトと金丸長石
と炭酸バリウムそれぞれの混合割合を変えたものを15
重量%加えて磁器原料にした。各組成と各焼成温度毎
に、厚さ3mmの板についての光透過率を測定し、磁器
の透光度を算出した。結果を表6に示す。
【0048】
【表6】
【0049】この実験では合成フォルステライトに焼結
助剤としてコレマナイトと金丸長石と炭酸バリウムを併
用して添加した原料を用いて透光度が36%を超える磁
器が得られた。磁器の色調は黄色を帯びたアイボリー〜
クリーム色で美しい。その中で最も良い透光度を示した
のは合成フォルステライト、85%+仮焼コレマナイト
6%+金丸長石3%+炭酸バリウム6%の組成で134
0℃焼成において透光度が40.0%であった。この組
成は比較的低温の1300〜1260℃焼成においても
比較的良い透光度を示した。この実験では、合成フォル
ステライトに仮焼コレマナイト3〜8重量%と金丸長石
を3〜6重量%と炭酸バリウム3〜7重量%配合した焼
結助材を添加した磁器原料を用いた場合、1340℃焼
成で透光度が36%を超える磁器が得られることが確認
できた。
【0050】−実験例7− 1300〜1260℃で焼結したときに他の組成に比し
て優れた透光度を示した磁器原料組成は、実験例5では
合成フォルステライト90%+仮焼コレマナイト4%+
金丸長石2%+炭酸バリウム4%、実験例6では合成フ
ォルステライト85%+仮焼コレマナイト6%+金丸長
石3%+炭酸バリウム6%であった。この双方の焼結助
材の組成比率をみると、仮焼コレマナイト:金丸長石:
炭酸バリウム:4:2:4(実験例5)=6:3:6
(実験例6)と同一である。そこでこの実験では合成フ
ォルステライトを主原料に、仮焼コレマナイト4:金丸
長石2:炭酸バリウム4の比率で混合した焼結助材を、
量を変えて添加した磁器原料を成型し、これを焼成温度
毎に透光度と付着の程度を調べて、透光度に優れて付着
が無い実用性のある磁器組成と焼成温度の範囲を明らか
にした。各組成と各焼成温度毎に、厚さ3mmの板につ
いての光透過率を測定し磁器の透光度を算出した。結果
を表7に示す。
【0051】
【表7】
【0052】焼結助材の添加量を多くすると比較的低い
温度で焼成しても透光度の良い磁器が得られるが、焼成
時の付着や変形が生じやすい。磁器の色調は黄色を帯び
たアイボリー〜クリーム色を呈していて美しい。この実
験では1340℃〜1320℃焼成で最も良い透光度を
示したのは合成フォルステライト80%+仮焼コレマナ
イト8%+金丸長石4%+炭酸バリウム8%の組成で、
1340℃焼成で透光度は43.2%、1320℃焼成
で透光度は38.8%であった。また、これよりも低温
度の焼成で良い透光度を示したのは合成フォルステライ
ト75%+仮焼コレマナイト10%+金丸長石5%+炭
酸バリウム10%の組成で1300℃焼成で透光度は3
8.8%、1280℃焼成で透光度は36.8%であっ
た。更に低い1260℃焼成においては透光度が36%
を超える組成は無かった。表7から明らかなように、1
340℃焼成では焼結助材を15〜20%添加すること
が望ましく、1320℃焼成では焼結助材を15〜30
%添加することが望ましく、1300℃焼成では焼結助
材を20〜30%添加することが望ましく、1280℃
焼成では焼結助材を25%添加することが望ましい。焼
結助材を40%添加した磁器原料では透光度が36%に
達しないままで焼成温度が1280℃を超えると焼成時
に耐火材の敷き粉や台板に付着したり変形を生じるの
で、35%を超える焼結助材の添加は実用的でない。
【0053】−実験例8− この実験では実験例7に近似した焼結助材組成で、仮焼
コレマナイトを増し、金丸長石を減じた焼結助材を用い
た。具体的には合成フォルステライトを主原料に、仮焼
コレマナイト5:金丸長石1:炭酸バリウム4の比率で
混合した焼結助材を添加量を変えながら混合した磁器原
料を成型し、焼成温度毎に透光度と付着の程度を調べ
て、透光度に優れた付着が無い実用性のある磁器組成と
焼成温度の範囲を明らかにした。各組成と各焼成温度毎
に厚さ3mmの板についての光透過率を測定して磁器の
透光度を算出した。結果を表8に示す。
【0054】
【表8】
【0055】焼結助材の添加量を多くすると比較的低い
温度で焼成しても透光度の良い磁器が得られるが、焼成
時の付着や変形が生じやすい。磁器の色謂は黄色を帯び
たアイボリーを呈していて美しい。実験では1340℃
焼成で最も良い透光度を示したのは合成フォルステライ
ト80%+仮焼コレマナイト10%+金丸長石2%+炭
酸バリウム8%の組成で、1340℃焼成で透光度は4
1.4%であった。また、これよりも低温度の焼成で良
い透光度を示したのは合成フォルステライト75%+仮
焼コレマナイト12.5%+金丸長石2.5%+炭酸バ
リウム10%の組成で1320℃焼成で透光度は38.
6%、1300℃焼成で透光度は38.2%であった。
更に低温度での1280℃焼成においては透光度が36
%を超える組成は無かった。表8から明らかなように、
1340℃〜1300℃焼成では焼結助材を15〜25
%添加することが望ましい。焼結助材を30%以上添加
した磁器原料では透光度が36%に達しないままで焼成
温度が1300℃を超えると焼成時に耐火材の敷き粉や
台板に付着したり変形を生じるので、25%を超える焼
結助材の添加は実用的でない。
【0056】−実験例9− この実験では実験例7に近似した焼結助材組成で、金丸
長石を減じて炭酸バリウムを増した焼結助材を用いた。
具体的には合成フォルステライトを主原料に、仮焼コレ
マナイト4:金丸長石1:炭酸バリウム5の比率で混合
した焼結助材を添加量を変えながら混合した磁器原料を
成型し、焼成温度毎に透光度と付着の程度を調べて、透
光度に優れた付着が無い実用性のある磁器組成と焼成温
度の範囲を明らかにした。各組成と各焼成温度毎に、厚
さ3mmの板についての光透過率を測定して磁器の透光
度を算出した。結果を表9に示す。
【0057】
【表9】
【0058】焼結助材の添加量を多くすると比較的低い
温度で焼成しても透光度の良い磁器が得られるが、焼成
時の付着や変形が生じやすい。磁器の色調は黄色を帯び
たアイボリーを呈していて美しい。実験では1340℃
焼成で最も良い透光度を示したのは合成フォルステライ
ト75%+仮焼コレマナイト10%+金丸長石2.5%
+炭酸バリウム12.5%の組成で、1340℃焼成で
透光度は41.2%であった。この組成は低温度の13
20〜1300℃焼成で透光度は36.8%であった。
更に低い温度での1280℃焼成においては透光度が3
6%を超える組成は無かった。表8から明らかなよう
に、1340℃〜1300℃焼成では焼結助材を15〜
25%添加することが望ましい。焼結助材を30%以上
添加した磁器原料では透光度が36%に達しないままで
焼成温度が1300℃を超えると焼成時に耐火材の敷き
粉や台板に付着したり変形を生じるので25%を超える
焼結助材の添加は実用的でない。
【0059】−実験例10− この実験では組成がほぼ2MgO・SiO2 となるよう
に調合した主原料を用いた。滑石(=タルク=3MgO
・SiO2 ・H2 O)粉末39部と炭酸マグネシウム
(MgCO3 )粉末61部を秤量して混合して主原料に
用いた。用いるに先立ち、この混合物の一部をアルミナ
るつぼに取り、電気炉で1280℃に加熱して重量が6
5%に滅少することを確認した。実験例7との比較がで
きるように、仮焼コレマナイト4:金丸長石2:炭酸バ
リウム4の比率の混合物を焼結助材に用いた。実験例7
では主原料と焼結助材の比率を85:15、80:2
0、75:25、70:30にしていたので、この実験
をこれに見合った磁器組成にするために、前述の滑石と
炭酸マグネシウムを混合した主原料と焼鮎助材を13
1:15、123:20、115:25、108:30
の比率に混合した磁器原料でスラリーを作り、成形して
乾燥後電気炉で素焼きし、本焼成して磁器を得た。これ
ら各組成と各焼成温度毎に、厚さ3mmの板についての
光透過率を測定して磁器の透光度を算出した。結果を表
10に示す。
【0060】
【表10】
【0061】これらの磁器は焼成での収縮が大きかった
が問題なく焼成できた。焼結助材の添加量を多くすると
比較的低温度で焼成しても透光度の良い磁器が得られる
が、焼成時に付着や変形が生じやすくなる。磁器の色調
は黄味がかったアイボリーを呈するが焼成温度が高くな
るに従って薄黄色を帯びたクリーム色になる。焼成温度
と透光度の傾向や焼成時の付着や変形の程度や焼成温度
と色調の傾向等においても実験例7と類似したものであ
った。
【0062】−実験例11− この実験では組成がほぼ2MgO・SiO2 となるよう
に高純度微粉珪石(SiO2 )45部と海水マグネシア
(MgO)55部を混合して主原料に用いた。前実験例
7の結果と比較ができるように仮焼コレマナイト4:金
丸長石2:炭酸バリウム4の比率に秤量した混合物10
0部を、アルミナ坩堝に入れて電気炉で1200℃以上
に加熱して得た熔融物(フリット)90部を微粉砕して
焼結助材に用いた。実験例7で主原料と焼結助材の比率
は85:15、80:20、75:25、70:30で
あったので、この実験でもこれに見合った磁器組成にす
るために、前述の高純度微粉珪石と海水マグネシアを混
合した主原料と焼結助材を85:13.5、80:1
8、75:22.5、70:27の比率に混合した磁器
原料でスラリーを作り、成形して乾燥後電気炉で素焼き
し、本焼成して磁器を得た。これら各組成と各焼成温度
毎に、厚さ3mmの板についての光透過率を測定し磁器
の透光度を算出した。結果を表11に示す。
【0063】
【表11】
【0064】これらの磁器は焼結助材の添加量を多くす
ると比較的低い焼成温度で透光度の良い磁器が得られる
が、付着や変形が生じやすくなる、磁器の色調は黄味が
かったアイボリーを呈するが焼成温度が高くなるに従っ
て薄黄色を帯びたクリーム色になる。焼成温度と透光度
の傾向や焼成時の付着や変形の程度や焼成温度と色調の
傾向等においても実験例7と類似したものであった。
【0065】−実施例1− 実験で透光度が優れた磁器が得られた組成で具体的な器
物を試作した。ここでは実験例7での組成の中から選ん
だ合成フォルステライト80%+仮焼コレマナイト8%
+金丸長石4%+炭酸バリウム8%の磁器原料組成でぐ
いのみを試作した。調合は、先ず合成フォルステライト
3200g、仮焼コレマナイト320g、金丸長石16
0g、炭酸バリウム320g、仮焼した、計4000g
を秤量し、これを純水2000m1、分散剤「ディスペ
ックA405」を160m1、バインダーとしてアクリ
ルエマルジョン系の「WA−320」を100gとバイ
オポリマー「ビオポリP−1」を20g、アルミナボー
ル(径15mm)5kgと共にナイロン樹脂製のポット
ミル(約10l)に投入し、16時間回転させて湿式混
合を行ないスラリー化した。これをポリビーカーに取
り、消泡剤「P−502」を20g加えてゆっくりと3
0分間攪拌して脱泡を行ない、約3500mlのスラリ
ーを得た。鋳型には石膏製で口径72mm容積170m
lのぐいのみ形状の雌型を用い、これにスラリーを注入
し所定時間保持した後に排泥し成型した。鋳型への着肉
は、注入から排泥まで15分間で2.8mm程度、20
分間で厚み3.3mm程度で着肉厚みの調整は容易であ
った。排泥後室内に4時間置いてから鋳型を反転させて
成型体を離型させた。成形体は室内で自然乾燥を3日間
行ない、カッターナイフ等を用いてバリを取り仕上げし
た。素焼きは成型体をアルミナの匣鉢で覆ってから電気
炉に入れて、室温から9時間かけて1000℃まで昇温
し30分間保持後電源を切って自然冷却をした。まず、
素焼き品の一部を本焼成した。本焼成には電気炉を用
い、空温から13時間かけて1320℃に昇温し、1時
間保持後3時間かけて1000℃まで下げ、電瀕を切っ
て自然冷却をした。焼成されたぐいのみは台板と接触し
ていた底部にアルミナの敷き粉が僅かに付着していたが
サンドペーパーで擦って容易に除去できた。こうして変
形も少なく黄味を帯びたクリーム色の素地で手触りが滑
らかな、口径57mmの磁器製ぐいのみを得た。このぐ
いのみの厚み2.8mmの箇所で光透過率(δ)を測定
し透光度を算出したところ38.1%であった。次い
で、残りの素焼き品の一部を条件を変えて本焼成した。
本焼成には電気炉を用い、室温から13時間かけて13
00℃に昇温し、30分間保持後そのまま電源を切って
自然冷却をした。アルミナ敷き粉の付着も変形もなく、
黄味を帯びたアイボリーの素地で手触りが滑らかな磁器
製ぐいのみを得た。このぐいのみの厚み2.5mmの箇
所で光透過率を測定し透光度(δ)を算出したところ3
6.5%であった。次いで、残りの素焼き品の一部をガ
ス炉を用いて酸化雰囲気で焼成した。室温から16時間
かけて1300℃に昇温し、30分保持してから100
0℃まで降温してガスの供給を止め、送風に切り替えて
冷却した。付着も変形もなく濃い目のクリーム色の素地
で手触りが滑らかな磁器製ぐいのみを得た。このぐいの
みの厚み3.2mmの箇所で光透過率を測定し透光度
(δ)を算出したところ36.3%であった。最後に、
残りの素焼き品をガス炉を用いて還元焼成した。室温か
ら14時間かけて1000℃に昇温し、ガス流量を増し
て還元焼成に切り替え3時間後に1340℃まで昇温
し、還元雰囲気を保ったまま900℃まで降温してガス
の供給を止め、送風に切り替えて冷却した。付着も変形
もなく灰白色の素地の磁器製ぐいのみを得た。このぐい
のみの厚み2.9mmの箇所で光透過率を測定し透光度
を算出したところ、δ=35.8%と酸化焼成した場合
よりも劣ることが分かった。
【0066】−実施例2− 実験例11での組成である高純度微粉珪石45部と乾式
で微粉砕した海水マグネシア55部を主原料に、仮焼コ
レマナイトと金丸長石と炭酸バリウムを溶融して作った
フリツトを焼結助材として配合した磁器原料を粘土状の
杯土に調製して陶板を試作した。調合は高純度微粉珪石
67.5g、微粉砕した海水マグネシア82.5gと実
験例11で用いた仮焼コレマナイト4:金丸長石2:炭
酸バリウム4の比率で混合して溶融したフリットの微粉
砕品45g、バインダーとしての低粘度(400cp
s)メチルセルロース4gとバイオポリマー「ビオポリ
P−1」18gを秤量し、高速ミキサーに投入して乾式
で混合した。この混合粉末をボウルに取り、水を滴下し
ながらゴムべらで混ぜて、徐々に粉をまとめながら混練
して素手で揉んで粘土化した。粘土化にはおよそ60m
lの水を要した。この粘土を板の上で転がしてつぶして
延ばし、折り返しを30回繰り返して内部の気泡を抜
き、260gの杯土を得た。杯土の一部を石膏板上に取
り手で延ばしながら形を整え、ナイロン布を載せて木の
丸棒でならして布を剥ぎ取り、石膏板から離型して厚み
3.7mmの布目模様を持った板を得た。板は3時間自
然乾燥し、半乾状の表面にクラフトナイフを用いて模様
を線彫りした。7日間自然乾燥して電気炉を用いて焼成
した。焼成は室温から15時間かけて1320℃に昇温
し、1時間保持後3時間かけて1000℃まで下げ、電
源を切って自然冷却した。焼成された陶板は台板と接触
していた裏面にアルミナの敷き粉が付着していたが水に
浸けてサンドペーパーで擦って除去できた。こうして黄
味を帯びたクリーム色の素地で裏から光線を当てると全
体が透光性を示す中に線彫模様が明るく浮かび上がる陶
板を得た。厚み3mmの箇所で光透過率を測定して透光
度(δ)を算出したところ、38.3%であった。この
陶板は照明を兼ねたインテリアとして使えるものとなっ
た。
【0067】
【発明の効果】以上のように本発明は、主原料としての
合成フォルステライト粉末或いは天然の材料または試薬
を組成がほぼフォルステライト(2MgO・SiO2
になるように調合した粉末に、焼結助材としての仮焼し
たコレマナイトを4〜10重量%、或いは仮焼したコレ
マナイトを4〜10重量%と長石を4〜10重量%、或
いは仮焼したコレマナイトを2〜12.5重量%と長石
を1.5〜6重量%を含有してなる磁器原料を焼成した
磁器焼結体であって、主構成相がフォルステライト(2
MgO・SiO2 )結晶で、残部が主としてコレマナイ
トを含む焼結助材由来のガラスから成り、厚さ1mmに
おける可視光線の透過率が36%以上の美しいアイボリ
ーないしは帯縁黄色〜黄色〜クリーム系の色調を呈する
磁器焼結体であるので、装飾・工芸用部材をはじめ、食
器、調理具、またインテリアや照明具、表示装置の部材
として最適である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主原料としての合成フォルステライト粉
    末、或いは組成がほぼフォルステライト(2MgO・S
    iO2 )と成るように調合した粉末と、焼結助材として
    の仮焼したコレマナイトを4〜10重量%含有してなる
    磁器原料を焼成した磁器焼結体であって、主構成相がフ
    ォルステライト結晶で、残部が主としてコレマナイトを
    含む焼結助材由来のガラスから成り、厚さ1mmにおけ
    る可視光線の透過率が36%以上の磁器焼結体。
  2. 【請求項2】 主原料としての合成フォルステライト粉
    末、或いは組成がほぼフォルステライト(2MgO・S
    iO2 )と成るように調合した粉末と、焼結助材として
    の仮焼したコレマナイトを4〜10重量%と長石を4〜
    10重量%を含有してなる磁器原料を焼成した磁器焼結
    体であって、主構成相がフォルステライト結晶で、残部
    が主としてコレマナイトを含む焼結助材由来のガラスか
    ら成り、厚さ1mmにおける可視光線の透過率が36%
    以上の磁器焼結体。
  3. 【請求項3】 主原料としての合成フォルステライト粉
    末、或いは組成がほぼフォルステライト(2MgO・S
    iO2 )と成るように調合した粉末と、焼結助材として
    の仮焼したコレマナイトを2〜12.5重量%と長石を
    1.5〜6重量%と炭酸バリウムを3〜12.5重量%
    含有してなる磁器原料を焼成した磁器焼結体であって、
    主構成相がフォルステライト結晶で、残部が主としてコ
    レマナイトを含む焼結助材由来のガラスから成り、厚さ
    1mmにおける可視光線の透過率が36%以上の磁器焼
    結体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017105683A (ja) * 2015-12-11 2017-06-15 学校法人 名城大学 積層基板用フォルステライト磁器組成物、フォルステライト磁器組成物の積層基板、積層基板用フォルステライト磁器組成物の製造方法、及び積層基板用フォルステライト磁器組成物の積層基板の製造方法

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JP2017105683A (ja) * 2015-12-11 2017-06-15 学校法人 名城大学 積層基板用フォルステライト磁器組成物、フォルステライト磁器組成物の積層基板、積層基板用フォルステライト磁器組成物の製造方法、及び積層基板用フォルステライト磁器組成物の積層基板の製造方法

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