JPH11147756A - 着色磁器焼結体とその製造方法 - Google Patents

着色磁器焼結体とその製造方法

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JPH11147756A
JPH11147756A JP24411998A JP24411998A JPH11147756A JP H11147756 A JPH11147756 A JP H11147756A JP 24411998 A JP24411998 A JP 24411998A JP 24411998 A JP24411998 A JP 24411998A JP H11147756 A JPH11147756 A JP H11147756A
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JP
Japan
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weight
cobalt oxide
porcelain
raw material
forsterite
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Application number
JP24411998A
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English (en)
Inventor
Yoichiro Yoshihara
洋一郎 芳原
Mitsuaki Yoshitome
光明 吉留
Kenichi Nagata
憲一 永田
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KAGOSHIMA PREFECTURE FINE CERA
KAGOSHIMA PREFECTURE FINE CERAMIC SEIHIN KAIHATSU KYOKAI
Kyocera Corp
Original Assignee
KAGOSHIMA PREFECTURE FINE CERA
KAGOSHIMA PREFECTURE FINE CERAMIC SEIHIN KAIHATSU KYOKAI
Kyocera Corp
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Filing date
Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フォルステライト磁器の組成や製造方法につ
いては今までに多くの研究がなされてきたが、その多く
は、電気特性の向上を目指す研究やフォルステライト磁
器の比較的大きな熱膨張率を生かした用途開発であっ
て、特定の色調を持たせたり、美的な質感を求めた例は
ない。 【解決手段】 主原料としての合成フォルステライト粉
末100〜65重量%と焼結助剤0〜35重量%とから
成る原料粉末に、発色剤として酸化コバルト若しくは焼
成によって酸化コバルトとなる化合物を酸化コバルトに
相当する量として0.3〜20外重量%添加して焼成し
た、主構成相がフォルステライト結晶相(2MgO・S
iO2 )から成り、残部が焼結助剤由来のガラスから成
る着色磁器焼結体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は着色磁器焼結体とそ
の製造方法に関し、特に、工芸部材、装飾部材、食器、
インテリア用品、照明具或いは表示装置用部材等に用い
られる着色磁器焼結体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】磁器
は、通常は明るい白色であることが貴ばれるが、陶芸や
工芸の分野では着色した磁器が求められることも多い。
特にピンク〜紫色系の色は艶やかで高貴な色とされ、陶
磁器のみならず広く工芸品の分野においても重視される
色である。
【0003】着色した磁器を作るには、釉薬だけを着色
する場合と磁器の素地自体を着色する場合とがあるが、
素地自体からの発色である方が色むらが出なくてよい。
【0004】素地自体が色を帯びた磁器を作るには、例
えば良く精製された白く焼き上がる磁器原料に耐火性の
顔料を着色剤として添加して磁器杯土として用いる。し
かし、原料に添加する顔料によって素地を着色する場
合、焼成温度が高くなるにつれて顔料が分解したり、素
地の成分と反応して変質したりすることから、その多く
は暗く汚れた色に変化する。それを防ぐには、できるだ
け低温で焼成しなければならず、焼成温度を1200℃
程度に押さえなければならない。しかし、磁器を焼結さ
せるには、1200℃程度の焼成では十分でなく、焼結
したとしても緻密で固くて美しい磁器本来の質感を発揮
するには至らない。
【0005】近年になってファインセラミックスが多種
製作されるようになり、その中にはさまざまな色調を持
つものも見受けられる。なかでもアルミナセラミック
は、例えば特開昭63−239154号にあるように、
各種の金属酸化物を少量添加すれば様々な美しい色調に
発色させることができ、緻密で強度も優れているので、
近年は電気・電子用部材のみならず人工宝石として時計
や装飾品等にも用いられている。例えば、高純度微粉ア
ルミナに二酸化マンガンを添加して真空中で1700℃
を超える温度で焼結させたセラミックの素地は、透光感
のあるピンクとなり、これを大気中で再焼成すると明る
い茶〜柿色の素地となる。また、酸化クロムを0.3〜
1.5重量%添加した原料を成型して1700℃を超え
る温度で焼結させたアルミナセラミックの素地は、美し
いピンク〜赤色となり、同様にして酸化コバルトの添加
によって青〜紺色の素地となる。さらに、これらの組み
合わせ、例えば酸化クロムと酸化コバルトをバランスよ
く配合して紫の色調を得ることもできる。しかし、ファ
インセラミックは、高価な高純度原料を用い、焼成には
真空高温炉を始めとする各種の特殊な雰囲気炉等、従来
の陶磁器製造では使われていない特殊な炉を用いて焼結
させ、場合によってはこれを再度にわたって高温焼成す
ることで好ましい色調や質感が発現するのであって、こ
のような特殊な原料や炉を用いて食器や工芸品等のよう
に比較的大きな部材を作れば、製造に要する価格は並外
れて高価になり、用途が著しく限られてしまうという問
題がある。
【0006】このような背景のもとに、本発明者は磁器
本来の固くて緻密で美しい質感を損なうことなく、明る
い紫系の色調を持った磁器焼結体を通常の陶磁器生産で
用いる装置や炉によって製作すべく、広く磁器あるいは
ニューセラミックを構成する鉱物(結晶体)について調
査を行ない、フォルステライト(2MgO・SiO2
に着目した。
【0007】鉱物としてのフォルステライトは、融点が
1900℃と高くて耐火性に優れているところから、製
鉄製鋼用の炉材(耐火物セラミック)として用いられて
いる。また、フォルステライトを焼結させた磁器は、マ
イクロ波領域において優れた性能を有することから、高
周波絶縁物、ガラスや金属との封着部品、薄膜抵抗やI
Cの基盤、或いはICパッケージなどの電子部品に利用
されている。
【0008】電子部品用のフォルステライト磁器は、暗
いアイボリー(象牙色)ないしは黄土色の色調を呈し、
比較的安価に製造されている。この原料として「合成フ
ォルステライト」粉末が市販されている。
【0009】フォルステライトは、天然の材料または試
薬を組成がほぼフォルステライト(2MgO・Si
2 )になるように調合した粉末を1200〜1400
℃で焼成して容易に合成できるので、このように調合し
た粉末を原料に用いて成型し、焼成によってフォルステ
ライト鉱物を合成するとともに焼結させてフォルステラ
イト磁器を作ることもできる。
【0010】フォルステライト磁器の組成や製造方法に
ついては、今までに多くの研究がなされてきたが、その
多くは例えば特開平5−262562号や特開平5−3
45622号のように、絶縁性を高め、高周波誘電体損
失をより小さくするなど、電気特性の向上を目指す研究
や、特開平5−178659号のように、フォルステラ
イト磁器の比較的大きな熱膨張率を生かした用途開発で
あって、フォルステライト磁器の素地自体にピンク〜紫
系の色調を持たせたり、美的な質感を求める例はない。
【0011】本発明者は、フォルステライト磁器素地の
着色或いは発色について研究を重ね、あらかじめ合成し
たフォルステライト粉末あるいは組成がほばフォルステ
ライト(2MgO・SiO2 )となるように調合した粉
末を主原料に、焼結助剤を配合して磁器原料にし、これ
に発色剤として酸化コバルトを0.3〜20外重量%含
有してなる組成物を成型し、酸化雰囲気もしくは大気中
で焼成して焼結させることで、磁器素地をピンク〜紫色
系の色調に発色できることを見いだし、本発明を完成す
るに至ったものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明の着
色磁器焼結体は、主原料としての合成フォルステライト
粉末100〜65重量%と焼結助剤0〜35重量%とか
ら成る原料粉末に、発色剤としての酸化コバルトもしく
は焼成によって酸化コバルトとなる化合物を酸化コバル
トに相当する量として0.3〜20外重量%添加して焼
成した、主構成相がフォルステライト結晶相(2MgO
・SiO2 )から成り、残部が主として焼結助剤由来の
ガラスから成る。
【0013】この場合、前記原料粉末が主原料としての
合成フォルステライト粉末95〜65重量%と焼結助剤
5〜35重量%とから成ることが好ましい。
【0014】請求項3に係る発明の着色磁器焼結体の製
造方法は、主原料としての合成フォルステライト粉末1
00〜65重量%と焼結助剤0〜35重量%とから成る
原料粉末に、発色剤として酸化コバルトもしくは焼成に
よって酸化コバルトとなる化合物を酸化コバルトに相当
する量として0.3〜20外重量%添加して大気中もし
くは酸化雰囲気中1200〜1500℃の温度で焼成す
る。
【0015】請求項4に係る発明の着色磁器焼結体の製
造方法は、主原料としての合成フォルステライト粉末1
00〜65重量%と焼結助剤0〜35重量%とから成る
原料粉末を1100℃以下の温度で焼成して素焼き体を
形成し、この素焼き体に酸化コバルトもしくは焼成によ
って酸化コバルトとなる化合物の水溶液を含浸させて、
大気中もしくは酸化雰囲気中1200〜1500℃の温
度で焼成する。
【0016】請求項5に係る発明の着色磁器焼結体の製
造方法は、合成フォルステライトを主成分とする成型体
に酸化コバルトもしくは焼成によって酸化コバルトにな
る化合物を含有する部位を設けて焼成した後に、透明な
高火度釉薬を施釉して加飾する。
【0017】
【作用】本発明の磁器は、主構成相であるフォルステラ
イト(2MgO・SiO2 )結晶相とこれを結合するガ
ラス相と着色成分である酸化コバルトから成る。
【0018】主構成相であるフォルステライトは、珪酸
(SiO2 )とマグネシア(酸化マグネシウム:Mg
O)とから成るが、コバルトとマグネシウムは共に実質
的には2価で、双方ともイオン半径が近似しているの
で、酸化コバルト(CoO)はマグネシア(MgO)に
似た効果を示す。したがって、本発明の磁器に添加した
酸化コバルトは、主構成相であるフォルステライトを構
成するマグネシア部分を置換する形で結晶内に固溶され
てフォルステライト結晶をピンク〜赤紫に発色させる。
【0019】本発明による磁器は、酸化コバルトを組成
に取り込んでピンク〜赤紫を呈するフォルステライト結
晶相と、これを結合する薄青〜紺色のガラス相から成
り、全体としての磁器素地がピンク〜紫色を呈するもの
である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】請求項1に係わる着色磁器焼結体では、主
原料として合成フォルステライト粉末を用いる。市販の
合成したフォルステライト粉末、あるいはマグネシア
(MgO)または水酸化マグネシウム(Mg(O
H)2 )もしくはマグネサイト(MgCO3 )など焼成
によって酸化物になるマグネシウム化合物粉末に、滑石
(タルク、3MgO・4SiO2 ・H2 O)粉末または
珪石(SiO2 )粉末を焼成したときの組成がほぼ2M
gO・SiO2 となるように配合した原料を用いる。後
者の場合、成型して焼成すればフォルステライト鉱物
(2MgO・SiO2 )が合成され、そのまま焼結すれ
ばフォルステライト磁器になる。
【0022】この合成フォルステライト粉末は100〜
65重量%用いる。合成フォルステライト粉末が95重
量%より多い(焼結助剤が5重量%より少ない)場合
は、焼結はできるが、焼結するのに高い温度を要し、実
用的な焼成温度での焼結が困難になることから、実用的
な面から95重量%以下であることが望ましい。また、
この主原料としての合成フォルステライト粉末が65重
量%より少ない(焼結助剤が35重量%より多い)場合
は焼結しやすくなるが、焼結時に軟化や変形が生じやす
くなり、形状を保ったままでの磁器化が困難になる。
【0023】この主原料を焼結させて磁器化するために
焼結助剤が配合される。通常、陶磁器の焼結助剤は長石
である。長石はフォルステライト磁器においても有効で
ある。また、長石と複数の金属酸化物を混合したものや
長石の一部ないしは全てをコレマナイト(灰硼石)に置
き換えたものはさらに効果がある。焼結助剤は焼成温度
で溶融し、その際主原料の一部をも取り込んでガラス化
して主原料を結合する。つまり焼結を促進する作用をす
るのであるが、ガラス化した時の粘度が高く、成形した
ままの形状を保ちながら収縮し、ついには焼結して磁器
化する。この焼結助剤は主原料との関係から0〜35重
量%用いる。
【0024】フォルステライト磁器は本来ならば薄黄色
〜アイボリー〜クリーム色の素地であるが、原料に酸化
コバルトあるいは焼成によって酸化コバルトになる化合
物を酸化コバルトに相当する量として0.3〜20外重
量%添加して焼成すれば、磁器の素地はピンクから添加
量を増すにつれてマロンピンクになり、さらに増すと赤
紫色を帯びてくる。しかしながら、20外重量%を超え
る添加量では黒味を増してくる。つまり、酸化コバルト
の量もしくは焼成によって酸化コバルトになる化合物を
酸化コバルトに換算した量が0.3重量%未満では、ピ
ンク色のフォルステライト磁器が得られず、また20外
重量%を越えると色彩が黒くなると共に、酸化コバルト
は高額であることから、原料コストが高額になる。
【0025】次に、請求項3に係る着色磁器焼結体の製
造方法の実施形態について説明する。請求項3に係る着
色磁器焼結体の製造方法では、主原料としての合成フォ
ルステライト粉末100〜65重量%と焼結助剤0〜3
5重量%とから成る原料粉末に、発色剤として酸化コバ
ルトもしくは焼成によって酸化コバルトとなる化合物を
酸化コバルトとして0.3〜20外重量%添加して大気
中もしくは酸化雰囲気中1200〜1500℃の温度で
焼成する。
【0026】この磁器は、通常の陶磁器を焼成するガス
や灯油などを燃料にした炉や電気炉を用いて焼成できる
が、酸化雰囲気中あるいは大気中で焼成して焼結させる
ことが、美しいピンク〜赤紫系の色調を得るために必須
の条件である。例えば本発明の磁器をわずかにでも還元
雰囲気にしたガス炉中で焼成して焼結した場合の磁器素
地は、灰色を帯びてくすんだ色調を呈し、美しくない。
【0027】焼成温度は、焼結助剤を用いる場合は通常
の陶磁器の焼成条件である1200〜1400℃で良い
が、焼結助剤を用いない場合は1400〜1500℃以
上の高温で焼成しなければならない。焼結助剤を用いる
場合でも、1200℃未満では焼結しなかったり、発色
が不十分で緻密感も劣る。本発明の磁器は、主構成相が
高耐火性のフォルステライト鉱物であるが、焼結助剤に
由来するガラス相も含んでいるので、1400℃を超え
る高温焼成では焼結と同時に磁器が軟化したり、変形を
生じたり、耐火材の敷粉に付着する。また、このような
高い焼成温度は、ファインセラミック製品を製造するよ
うな高温炉によらねば実現できず、通常の陶磁器を製造
する場合は実際的でない。
【0028】こうして、主構成相がフォルステライト鉱
物結晶で、残りが焼結助剤等に由来するガラス相と、希
にこれ等が反応して析出した微量のその他結晶からな
り、ピンク〜赤紫色の色調が美麗で且つ緻密な質感を持
つ磁器焼結体を得ることができる。
【0029】請求項4に係る着色磁器焼結体の製造方法
では、主原料としての合成フォルステライト粉末100
〜65重量%と焼結助剤0〜35重量%とから成る原料
粉末を1100℃以下の温度で焼成して素焼き体を形成
し、この素焼き体に酸化コバルトもしくは焼成によって
酸化コバルトとなる化合物を塗布或いは含浸によって素
焼き体に付着或いは浸透させて、大気中もしくは酸化雰
囲気中1200〜1500℃の温度で焼成する。このよ
うに形成すると磁器焼結体を局部的にピンク〜赤紫色に
発色させて加飾することができる。
【0030】請求項5に係る着色磁器焼結体の製造方法
では、合成フォルステライトを主成分とする成型体に酸
化コバルトもしくは焼成によって酸化コバルトになる化
合物を含有する部位を設けて焼成した後に、透明な高火
度釉薬を施釉して加飾する。
【0031】フォルステライト磁器素地の本来の色はア
イボリーであるが、原料に酸化コバルトを添加するとそ
の量によって磁器にしたときにマロンピンク〜紫に発色
する。この発色したフォルステライト磁器の素地に透明
な低火度釉を施しても光沢は出るが、色調には変化がな
い。しかし、透明な高火度釉を施釉すると、高火度釉に
接した部分は光沢が出るとともに、素地とは異なった色
調になる。その色は含まれる酸化コバルトの量によっ
て、淡青〜瑠璃〜茄子紺〜青味黒の色調を呈する。
【0032】このような高火度釉薬には、例えば金丸長
石(仮焼品)40.2重量%、珪灰石16.2重量%、
炭酸バリウム(試薬)29.0重量%、ニュージーラン
ドカオリン2.6重量%、珪石粉(SP−3)16.2
重量%などがある。
【0033】着色剤としての酸化コバルトは、磁器の原
料に添加して全体に練り込んでもよいが、全体に練り込
むには高価である。そこで本来の色を持つ成型体の表面
に、酸化コバルトを磁器原料に添加したいわゆる化粧土
を塗布して被覆してもよい。この場合、成型体の必要な
部位のみ被覆して着色できる。
【0034】磁器素地に酸化コバルトを含有させるに
は、練り込む以外に、成型体を素焼きした多孔質体にコ
バルトを含む液体を着色剤として塗布あるいは含浸させ
て、焼成によって酸化させ、素地を発色させてもよい。
この場合も成型体の必要な部位のみ塗布して着色するこ
とができる。
【0035】このように、請求項5に係る着色磁器焼結
体の製造方法によれば、フォルステライト磁器の原料に
酸化コバルトを添加することで得られるピンク〜赤紫に
発色した素地に高火度釉を施して、光沢とともに青〜紺
に発色(変色)させることができる。また、それらに低
火度釉を施して色調を変えずに光沢だけを付与すること
ができる。さらに、フォルステライト磁器本来のアイボ
リーの色調などによって、フォルステライト磁器に多彩
な加飾を施すことができる。
【0036】
【実施例】<実験−1>合成フォルステライト(共立窯
業(株):Kyorix MSI−B:組成(重量
%):MgO/SiO2 ;2.062(純度96%)、
Al2 3 ;1.78、CaO;0.87、Fe
2 3 ;0.10))のみを原料に用い(焼結助剤は加
えない)、着色剤として酸化コバルトを量を変えながら
添加した磁器原料を鋳込み成型し、乾燥後本焼成して磁
器を得た。なお、鋳込み成型は、原料(主原料)100
g、純水43ml、ディスペックA405から成る分散
剤を2ml、アクリルエマルジョン系のWA320から
成るバインダー2mlを秤量して自動乳鉢を用いて45
分間調合してスラリー化し、このスラリーを石膏製の鋳
型に流し入れ、約3時間後に離型して2日間自然乾燥し
て板状の成形体を得ることによって行ったものである。
原料に用いたKyorix MSI−Bは耐火度が高
く、高温電気炉を用いて焼成した。
【0037】1420℃焼成では、着色剤を添加しない
磁器素地は淡いアイボリーであるが、着色剤として酸化
コバルトを0.3外重量%添加すると素地がピンク味を
帯び、酸化コバルトの添加量が増すにつれて濃くなり、
1外重量%ではピンク、2〜5外重量%ではマロンピン
クとなった。酸化コバルトを5外重量%以上添加した素
地は多孔質体で、添加が10外重量%を超えると乾いた
感じの紫色になる。酸化コバルトを30外重量%添加し
たものは灰色を帯びた粉っぽい赤紫色であった。
【0038】1500℃焼成では、総て焼結して磁器素
地の色調は濃くなった。着色剤である酸化コバルトを
0.3外重量%添加すると素地がピンク味を帯び、1外
重量%でピンク、2外重量%で濃ピンク、5外重量%で
しっとりと落ち着いた色調のマロンピンク、10外重量
%を超えると赤紫色、酸化コバルトを30外重量%添加
したものは灰色を帯びた赤紫色であった。
【0039】この磁器組成は原料に焼結助剤を添加しな
いので磁器素地中のガラス相は少なく、磁器素地のピン
ク〜赤紫色は磁器を構成するフォルステライト結晶相の
色を反映し、ガラス相の色による影響は少ないものであ
った。
【0040】<実験−2>合成フォルステライト(Ky
orix MSI−B)を主原料に、焼結助剤として長
石(共立窯業(株):金丸長石F−1:組成(重量%)
SiO2 ;68.78、Al2 3 ;16.84、Fe
2 3 ;0.34、TiO2 ;0.04、CaO;0.
11、MgO;0.07、K2 O;9.76、Na
2 O;3.19、灼減;0.41)を10重量%配合し
た磁器原料に着色剤として酸化コバルトを量を変えなが
ら添加して鋳込み成型し、乾燥後電気炉を用いて本焼成
して磁器を得た。なお、鋳込み成型は、原料(主原料9
0重量%+焼結助剤10重量%)100g、純水43m
l、ディスペックA405から成る分散剤を2ml、ア
クリルエマルジョン系のWA320から成るバインダー
2mlを秤量して自動乳鉢を用いて45分間調合してス
ラリー化し、このスラリーを石膏製の鋳型に流し入れ、
約3時間後に離型して2日間自然乾燥して板状の成形体
を得ることによって行ったものである。
【0041】1340℃焼成で総て焼結した。着色剤を
添加しない磁器はクリーム色がかったアイボリーで、着
色剤として酸化コバルトを0.3外重量%添加した磁器
は薄いピンク、2外重量%ではピンク、5〜10外重量
%ではマロンピンク、20外重量%添加では少しくすん
だ赤紫色、30外重量%添加したものは灰色を帯びた紫
色となった。
【0042】1400℃焼成では全体に色調が濃くな
り、着色剤として酸化コバルトを0.3外重量%添加し
た磁器は薄いピンク、1外重量%ではピンク、2〜10
外重量%でマロンピンク、20外重量%で赤紫色、30
外重量%添加したものは暗い紫色となった。
【0043】この組成は、酸化コバルト1外重量%添加
のピンク〜10外重量%のマロンピンクの範囲の色調が
優れている。
【0044】<実験−3>主原料に合成フォルステライ
ト(Kyorix MSI−B)を用い、焼結助剤とし
て長石(共立窯業(株):金丸長石F−1)5重量%と
ともにコレマナイト(灰硼石:共立窯業(株):コレマ
ナイトカルホロン200B:組成(重量%):B
2 3 ;36.27、SiO2 ;6.37、Al
2 3 ;0.18、Fe2 O;30.08、CaO;2
6.01、MgO;2.57、Na2 O;0.31、K
2 O;0.31、SrO;1.45、As2 3 ;<
0.01)を5重量%を配合した磁器原料に着色剤とし
て酸化コバルトを量を変えながら添加して、前の実験−
2と同様の鋳込み成型をし、1300℃で焼成して着色
磁器を得た。
【0045】1300℃で焼成した磁器は着色剤を添加
しない時は黄色がかったクリーム色の磁器で素地に長石
及びコレマナイト由来のガラス相を含んでいたが、着色
剤として酸化コバルトを0.3外重量%添加した磁器は
薄いピンク、1外重量%ではピンク、2〜10外重量%
でマロンピンク、20外重量%で赤紫色、30外重量%
添加したものは紫色となった。
【0046】この組成は、酸化コバルト1外重量%添加
のピンク〜20外重量%の赤紫色の範囲の色調が優れて
いる。
【0047】<実験−4>本実験では焼結助剤を多く含
む原料に着色剤としてコバルト化合物成いは酸化コバル
トを添加し、ガラス相の多いフォルステライト磁器を発
色させた。焼結助剤としての炭酸バリウムや炭酸カルシ
ウム、および着色剤としての硝酸コバルトや酸化コバル
トは試薬を用いた。
【0048】(実験−4A)主原料に合成フォルステラ
イト(Kyorix MSI−B)を用い、焼結助剤と
して金丸長石8重量%+炭酸バリウム4重量%+炭酸カ
ルシウム8重量%を配合した磁器原料(主原料80重量
%+焼結助剤20重量%)を成型して素焼きし、発色剤
として硝酸コバルト20%水溶液を含浸させ、乾燥後に
仮焼して発色剤を酸化させてから再度秤量して素焼き素
地に含まれた酸化コバルトの量を調ベたところ3.4外
重量%に相当した。
【0049】これを1260℃で本焼成し、薄い赤紫色
を示す磁器を得た。この磁器はさらに焼成温度を上げる
と色調が濃くなり、1400℃焼成では濡れた感じの明
るい赤紫色の素地となった。
【0050】(実験−4B)主原料に合成フォルステラ
イト(Kyorix MSI−B)を用い、焼結助剤と
して金丸長石を8重量%+炭酸バリウム4重量%+炭酸
カルシウム8重量%を配合した磁器原料(主原料80重
量%十焼結助剤20重量%)に着色剤として酸化コバル
トを量を変えながら添加して鋳込み成型し、乾燥後電気
炉を用いて本焼成して磁器を得た。
【0051】1260℃で焼成した磁器は着色剤を添加
しない時はクリーム色の磁器で焼結助剤由来のガラス相
を多く含んでいたが、着色剤として酸化コバルトを0.
3外重量%添加した磁器はピンク、1〜2外重量%では
藤色、5外重量%で薄い赤紫色、10外重量%添加した
ものは青紫色、20外重量%添加したものは茄子紺、3
0外重量%添加したものは青黒となった。
【0052】ここで得た磁器をX線回折した。酸化コバ
ルトを10外重量%添加した青紫色の磁器はMg2 Si
4 結晶が検出された。酸化コバルトを20外重量%添
加した茄子紺色の磁器はMg2 SiO4 (フォルステラ
イト)結晶とMgSiO3 (プロトエンスタタイト)と
思われる微量の結晶が検出された。酸化コバルトを30
外重量%添加した青黒の磁器はMg2 SiO4 結晶とC
3 4 (酸化コバルト)と微量の同定できない結晶が
検出された。
【0053】ここで得た磁器は、酸化コバルトによる着
色(発色)が強く、全体が青みの強い色調となってい
る。これは磁器原料中の焼結助剤が多く、磁器素地中の
ガラス相が多くなったために、フォルステライト結晶相
の色(ピンク〜赤紫色)にガラス相の色(青〜紺)が重
なって磁器の色になったからだと推察される。
【0054】発色剤としての酸化コバルトは、10外重
量%添加して青紫色となった磁器や20外重量%添加し
て茄子紺色となった磁器ではフォルステライト結晶に固
溶し、ガラスに溶融してガラスの組成を形成している。
しかし30外重量%添加して青黒となった磁器ではフォ
ルステライト結晶とガラスに固溶或いは溶融し切れない
酸化コバルトが磁器中に残り、色調を黒くしていると推
察される。
【0055】<実験−5>組成がほぼ2MgO・SiO
2 となるように、試薬のマグネシア(MgO)55部と
高純度微粉珪石(共立窯業(株):微粉珪石SP−3:
組成(重量%)SiO2 ;99.75、Fe2 3
0.01、Al2 3 ;0.01、灼減;0.08)4
5部を混合して主原料に用いた。これに焼結助剤として
実験−4で用いたのと同じ金丸長石を8重量%+炭酸バ
リウム4重量%+炭酸カルシウム8重量%を添加した磁
器原料に、実験−4Bと同じ様に発色剤として酸化コバ
ルトを量を変えながら添加し、自動乳鉢を用いてスラリ
ー化して鋳込み成型した。乾燥後電気炉を用いて本焼成
して磁器を得た。
【0056】成型体を1260℃で焼結させた場合、発
色剤として酸化コバルトを0.3外重量%添加した磁器
はピンク、1〜2外重量%では藤色、5外重量%で薄い
赤紫色、10外重量%添加したものは青紫色、20外重
量%添加したものは茄子紺、30外重量%添加したもの
は青黒と、実験−4Bで焼結した素地に近似した色調を
示した。
【0057】<実験−6>滑石(タルク:組成(重量
%):SiO2 ;61.6、Al2 3 ;1.6、Fe
2 3 ;0.9、CaO;0.8、MgO3 ;0.1、
灼減;4.9)と、試薬の炭酸マグネシウムを用いて実
験した。
【0058】組成がほぼ2MgO・SiO2 となるよう
に、炭酸マグネシウム(MgCO3)粉末61部に滑石
(=タルク=3MgO・SiO2 ・H2 O)粉末39部
を混合して主原料に用いた。
【0059】この原料は嵩のある炭酸マグネシウムを多
く含むので、このままでは鋳込み成型が困難で、一旦仮
焼してから用いることにした。先ず、この混合物を耐熱
磁器るつぼに取り、電気炉で1200℃の温度で焼成し
て完全に酸化物にした。なお、重量は65%に減少し
た。
【0060】これを80部と焼結助剤として長石2部+
灰硼石8部+炭酸バリウム10部を配合して自動乳鉢で
よく粉砕し、これに発色剤として酸化コバルトを10外
重量%添加して混合して、前の実験に準じてスラリー化
し、鋳込み成型をした。
【0061】成型体は乾燥後電気炉を用いて1220℃
で焼成して磁器を得た。
【0062】1220℃で焼結した素地は灰紫色であっ
た。この組成はガラス相を多く含むので焼成温度を上げ
ると磁器の色調は濃くなり、1360℃焼成では僅かに
敷き粉が付着するが、しっとりと濡れた感じの青紫色の
磁器になった。
【0063】この破片をX線回折したところ、結晶とし
てはMg2 SiO4 のみが検出されたが、2θ=10°
〜40°にかけてバックグラウンドの盛り上がりが顕著
で、焼結助剤由来のガラスが多いことを伺わせた。
【0064】<実験−7>具体的な器物として、ぐいの
みを試作した。原料には合成フォルステライト85重量
%+CaCO3 6重量%+BaCO3 3重量%+長石6
重量%の組成を用い、磁器の着色には素焼き素地の一部
に硝酸コバルトの水溶液を含浸させて焼結させることで
部分的に着色した磁器を得た。
【0065】調合は、先ず合成フォルステライト340
g、炭酸カルシウム24g、炭酸バリウム12g、金丸
長石24g、計400gを秤量し、これを磁器製の鉢と
乳棒を持つ攪拌擂潰機に投入し、1時間回転させて粉砕
混合し、次いで純水200ml、分散剤(ディスペック
A405)16ml、アクリルエマルジョン系のバイン
ダー(WA−320)20gを投入し、1時間回転させ
て粉砕混合と共に水中によく分散させてスラリー化し
た。これをポリビーカーに取り、消泡剤(P−502)
1gを加えてゆっくりと20分間攪拌して脱泡を行な
い、約340mlのスラリーを得た。
【0066】容積170mlのぐいのみ形状の石膏鋳型
を用い、これにスラリーを注入して所定時間保持した後
に排泥して成型した。石膏鋳型への着肉は、注入から排
泥まで8分間で厚み2.8mm、13分で3.2mm程
度で着肉厚みの調節は容易であった。余分のスラリーを
排泥して3時間放置し、鋳型を逆さにして成型体を離型
させた。成形体は自然乾燥を3日間行ない、カッターナ
イフやサンドペーパーを用いてバリを取り、表面の仕上
げをして45℃の乾燥器中で10時間乾燥後素焼きし
た。
【0067】素焼きは成型体をアルミナの厘鉢で覆って
電気炉に入れ、室温から10時間かけて900℃まで昇
温して0.5時間保持した後に、電源を切って自然冷却
した。
【0068】素焼きを終えた多孔質体のぐいのみの底部
外周をテレピン油にバルサム樹脂を溶かして作ったニス
に浸して浸透させて乾燥して撥水性を持たせ、硝酸コバ
ルト20%水溶液にぐいのみの口辺を浸して含浸させて
から乾燥した。
【0069】本焼成は電気炉を用い、室温から12時間
かけて1300℃に昇温し、1時間保持後3時間かけて
1000℃まで下げ、電源を切って自然冷却をした。
【0070】大した変形もなく緻密に焼結した。台板と
の接触部分にアルミナの敷き粉が軽く付着していたが、
サンドペーパーを使って容易に取り去ることができた。
最後に全体を800番のサンドペーパーを用いて水研ぎ
して表面の手触りを滑らかにした。
【0071】こうして落ち着いた半光沢の梨地面を持
ち、口辺が紫色を帯び、胴回りから底にかけて次第にア
イボリーになる魅力的な光沢と色調を持った口径56m
mのぐいのみを得た。
【0072】<実験−8>共立窯業原料(株)製の合成
フォルステライトKyorix MSI−Bを95部に
日本フェロー(株)製のフリット12−3958Mを焼
結助剤として5部配合した原料に、着色材として試薬の
酸化コバルトを添加量を変えながら加えて自動乳鉢で混
合し、前述の実験1と同様に成型して乾燥した後に、1
340℃で焼成して磁器素地を発色させた。
【0073】原料に酸化コバルトを0.3外%添加した
ものは淡いマロンピンク、1〜2外%ではマロンピン
ク、5〜10外%ではかなり濃いマロンピンクとなっ
た。20外%では赤紫、添加が30外%で紫色になる。
【0074】この発色した磁器に、金丸長石(仮焼品)
40.2重量%、珪灰石16.2重量%、炭酸バリウム
(試薬)29.0重量%、NZカオリン2.6重量%、
珪石粉(SP−3)16.20重量%から成る高火度釉
薬を塗布して1280℃で焼成して施釉部分の色調を観
察した。その結果を表1に示す。
【0075】素地に透明高火度釉薬をかけた場合、表面
の光沢が付加されるとともに、透明な釉薬が濃く着色さ
れ、これを通して見るマロンピンク〜紫色の素地の色調
は、うす墨色から瑠璃さらには黒にまで変化する。
【0076】
【表1】
【0077】<実験−9>酸化コバルトは磁器素地に練
り込むには高価である。そこで成型体を素焼きした多孔
質体にコバルトを含む液体を塗布して焼成することで酸
化させ、素地と反応させて発色させるなどが考えられ
る。
【0078】そこで、共立窯業原料(株)製の合成フォ
ルステライトKyorix MSI−Bを70部に日本
フェロー(株)製のフリット12−3699Mを焼結助
剤として30部配合した原料を自動乳鉢で混合し、成型
して乾燥した後に1000℃で素焼きをした。この多孔
質体を秤量し、コバルトを含む液体として硝酸コバルト
(試薬)の水溶液を多孔質体にしみ込ませて乾燥した後
に1000℃で仮焼して秤量して酸化コバルトの添加量
(外%)を算出した。
【0079】これをそのまま1260℃で焼結させ、金
丸長石(仮焼品)39.8重量%、珪灰石7.5重量
%、炭酸バリウム(試薬)36.4重量%、NZカオリ
ン2.6重量%、珪石粉(SP−3)13.7重量%か
ら成る高火度釉薬を塗布してから1260℃で焼成し
て、素地の発色と施釉した場合の発色を観察した。その
結果を表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】酸化コバルトを磁器素地に練り込む場合
と、なんら遜色のない結果が得られた。
【0082】<実験−10>具体的な器物として、ぐい
のみを試作した。原料として共立窯業原料(株)製の合
成フォルステライトKyorix MSI−Bを70部
に日本フェロー(株)製のフリット12−3699Mを
焼結助剤として30部を配合した磁器原料400gを磁
器製の鉢と乳棒を持つ攪拌擂潰機に投入し、1時間回転
させて粉砕混合し、次いで純水180ml、分散剤(デ
ィスペックA405)16ml、アクリルエマルジョン
系のバインダー(WA−320)20gを投入し、1時
間回転させて粉砕混合と共に水中に良く分散させてスラ
リー化した。これをポリビーカーに取り、消泡剤(P−
502)1gを加えてゆっくりと20分間攪拌して脱泡
を行ない、約300mlのスラリーを得た。
【0083】容積150mlのぐいのみ形状の石膏鋳型
にスラリーを注入して所定の厚みに着肉させた後に排泥
して3時間放置し、鋳型を逆さにして着肉物を離型させ
ることを繰り返して成型した。これらの成形体は2日間
自然乾燥し、カッターナイフ等でバリを取り、45℃の
乾燥器中で6時間乾燥させた後、電気炉を用いて100
0℃で素焼きをして多孔質体を得た。
【0084】多孔質体のぐいのみはサンドペーパーやス
ポンジ等で表面の仕上げをしてから、口辺〜高さの半分
の位置までの外周をテレピン油にバルサム樹脂を溶かし
て作ったニスに伏せて浸して、乾燥して撥水性を持た
せ、次に硝酸コバルト40%水溶液にぐいのみの底を浸
して乾燥した後、電気炉を用いて1000℃で仮焼し
た。
【0085】仮焼品の一部はそのまま電気炉を用いて1
260℃で焼成し、直径5センチ高さ4センチの上半分
がアイボリーでその他が濃いマロンピンクの焼きしまっ
た艶消しの素地肌を持つぐいのみを得た。これに低火度
釉薬として日本フェロー(株)製の透明フリット12−
3945Mを内面及び外面に塗布した970℃で焼成し
て、内外面に光沢を持った上半分がアイボリーでその他
が光沢あるいは艶消しの濃いマロンピンクのぐいのみを
得た。
【0086】他の仮焼品について、実験−9で用いた高
火度釉薬を内外面に塗布してから1260℃で焼成して
焼結と同時に施釉をして、上半分が光沢のあるアイボリ
ーでその他の部分が光沢を持った瑠璃色で、釉薬のかか
っていない糸底付近は艶消しで濃いマロンピンクの素地
肌を持つ変化に富んだ色調のぐいのみを得た。
【0087】
【発明の効果】以上のように、請求項1に係る着色磁器
焼結体は、発色剤としての酸化コバルトもしくは焼成に
よって酸化コバルトとなる化合物を酸化コバルトに相当
する量として0.3〜20外重量%添加することから、
磁器本来の固くて緻密で美しい質感を損なうことなく、
素地自体にピンク〜紫系の色調を持った磁器焼結体を通
常の陶磁器生産で用いる装置や炉によって実現すること
ができる。また、この磁器焼結体では、磁器の主原料と
してあらかじめ合成されたフォルステライト原料に代え
て、焼成によってフォルステライト鉱物となる混合物を
用いることにより、製作に要する費用の削減を図ること
ができる。さらに、磁器を発色させる発色剤については
高価な酸化コバルトに代えて、焼成によって酸化コバル
トとなる化合物を用いる場合は、比較的安価な物を選ん
で用いることができ、製造費用の削減を図ることができ
る。
【0088】また、請求項3に係る着色磁器焼結体の製
造方法では、主原料としての合成フォルステライト粉末
100〜65重量%と焼結助剤0〜35重量%とから成
る原料粉末に、発色剤としての酸化コバルトもしくは焼
成によって酸化コバルトとなる化合物を酸化コバルトと
して0.3〜20外重量%添加して大気中もしくは酸化
雰囲気中1200〜1500℃の温度で焼成することか
ら、ピンク〜紫色を量するフォルステライト焼結体とな
り、工芸部材、装飾部材、食器、インテリア用品、照明
具、或いは表示装置用部材などに好適に用いることがで
きる着色磁器焼結体となる。
【0089】また、請求項4に係る着色磁器焼結体の製
造方法では、主原料としての合成フォルステライト粉末
100〜65重量%と焼結助剤0〜35重量%とから成
る原料粉末を1100℃以下の温度で焼成して素焼き体
を形成し、この素焼き体に酸化コバルトもしくは焼成に
よって酸化コバルトとなるコバルト化合物の水溶液を含
浸させて、大気中もしくは酸化雰囲気中1200〜15
00℃の温度で焼成することから、フォルステライト磁
器を局部的に加飾してピンク〜藤色〜紫色に発色させる
ことができ、工芸部材、装飾部材、食器、インテリア用
品、照明具、或いは表示装置用部材として好適に用いる
ことができる。さらに、請求項5に係る着色磁器焼結体
の製造方法では、合成フォルステライトを主成分とする
成型体に酸化コバルトもしくは焼成によって酸化コバル
トになる化合物を含有する部位を設けて焼成した後に、
透明な高火度釉薬を施釉して加飾することから、ピンク
〜紫色に発色する本来の色調に加えて淡青〜瑠璃〜茄子
紺〜青味黒の色調を有する部位を形成することができ、
これらの色調をさまざまに組み合わせて加飾することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉留 光明 鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ株 式会社国分工場内 (72)発明者 永田 憲一 鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ株 式会社国分工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主原料としての合成フォルステライト粉
    末100〜65重量%と焼結助剤0〜35重量%とから
    成る原料粉末に、発色剤としての酸化コバルトもしくは
    焼成によって酸化コバルトとなる化合物を酸化コバルト
    に相当する量として0.3〜20外重量%添加して焼成
    した、主構成相がフォルステライト結晶相(2MgO・
    SiO2 )から成り、残部が主として焼結助剤由来のガ
    ラスから成る着色磁器焼結体。
  2. 【請求項2】 前記原料粉末が主原料としての合成フォ
    ルステライト粉末95〜65重量%と焼結助剤5〜35
    重量%とから成ることを特徴とする請求項1に記載の着
    色磁器焼結体。
  3. 【請求項3】 主原料としての合成フォルステライト粉
    末100〜65重量%と焼結助剤0〜35重量%とから
    成る原料粉末に、発色剤としての酸化コバルトもしくは
    焼成によって酸化コバルトとなる化合物を酸化コバルト
    に相当する量として0.3〜20外重量%添加して大気
    中もしくは酸化雰囲気中1200〜1500℃の温度で
    焼成する着色磁器焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 主原料としての合成フォルステライト粉
    末100〜65重量%と焼結助剤0〜35重量%とから
    成る原料粉末を1100℃以下の温度で焼成して素焼き
    体を形成し、この素焼き体に酸化コバルトもしくは焼成
    によって酸化コバルトとなる化合物の水溶液を含浸させ
    て、大気中もしくは酸化雰囲気中1200〜1500℃
    の温度で焼成する着色磁器焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 合成フォルステライトを主成分とする成
    型体に酸化コバルトもしくは焼成によって酸化コバルト
    になる化合物を含有する部位を設けて焼成した後に、透
    明な高火度釉薬を施釉して加飾する着色磁器焼結体の製
    造方法。
JP24411998A 1997-08-28 1998-08-28 着色磁器焼結体とその製造方法 Pending JPH11147756A (ja)

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JP9-233084 1997-08-28
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009157508A1 (ja) * 2008-06-26 2009-12-30 京セラ株式会社 ピンク色~紫色系セラミックスおよび装飾部品
JP2017105683A (ja) * 2015-12-11 2017-06-15 学校法人 名城大学 積層基板用フォルステライト磁器組成物、フォルステライト磁器組成物の積層基板、積層基板用フォルステライト磁器組成物の製造方法、及び積層基板用フォルステライト磁器組成物の積層基板の製造方法

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