JPH10157055A - 輪転機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 巻取紙から連続紙を引き出して印刷可能な印
刷ユニットを複数備えた輪転機を、稼働率よく、省スペ
ース化、小型化できるようにする。 【解決手段】 複数の印刷ユニットのうちの半数以下の
印刷ユニット３のそれぞれにおける前記所定直径の１本
の巻取紙を支持するスペースと略同等のスペースに、前
記所定直径よりも小さな直径の巻取紙Ｗ２１，Ｗ２２を
順次自動紙継ぎすべく作動可能な小径巻取紙支持手段３
０を設け、更に、前記略同等のスペース内及びそのスペ
ースに隣接する位置に、小径巻取紙支持手段に支持し
た、所定直径よりも小さな直径の巻取紙を自動紙継ぎす
る自動紙継ぎ手段５０を設けた構成となっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、印刷胴が支持さ
れたフレームに所定径の巻取紙、例えば、おろしたての
巻取紙を１本支持させ、この巻取紙から連続紙を引き出
して、前記印刷胴によって印刷することが可能な印刷ユ
ニットを複数備えた輪転機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】前記したような印刷ユニットとしては、
例えば、実公平７−１９７９１号公報に示された輪転機
における第２印刷手段として知られている。また、実開
平３−７０９３５号の全文明細書には、複数の印刷ユニ
ットと、印刷ユニットとは分離して設けられた複数の給
紙ユニットを有する輪転機において、複数の給紙ユニッ
トのうちの一部の給紙ユニットを、おろしたての巻取紙
が装着でき、かつ自動紙継ぎ装置を有する給紙ユニット
とし、他の給紙ユニットを、おろしたての巻取紙が１本
のみ装着でき、かつ自動紙継ぎ装置がない給紙ユニット
とした輪転機が示されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術のうち
前者（実公平７−１９７９１号公報）に示されるような
印刷ユニットは、給紙機構と印刷機構とがコンパクトに
まとめられており、小さな設置面積に設置できる利点が
あり、また、給紙機構におろしたての巻取紙が支持可能
なので、このような印刷ユニットを複数備えさせて輪転
機を構成し、社内報、タウン情報紙、業界紙あるいは少
部数発行の地方紙等、生産ロット毎の印刷数が少数であ
る印刷物の印刷を行うのに極めて便利である。更に、給
紙機構が印刷機構とフレームを共用しているので、両機
構をそれぞれ別のフレームに組み付け、印刷ユニットと
給紙ユニットに分離したものを複数備えさせて輪転機を
構成したものと比較すると、割安で設備コストを節約で
きる。そして、これらが相俟って、近年需要が伸びてい
る。

【０００４】しかし、この従来の技術の前者に示される
印刷ユニットを複数備えた輪転機は、各印刷ユニットの
給紙機構が、巻取紙が１本しか装着できないために、１
つの生産ロットの印刷の後の残りの巻取紙で別の生産ロ
ットの印刷をする場合、必要部数に達する前に巻取紙を
使い尽くすことがあり、その都度輪転機を停止してかわ
りの巻取紙を装着しなければならず、輪転機の稼動率の
低下をまねいていた。

【０００５】また、この輪転機の稼動率の低下を防止す
るために、各生産ロットの印刷が終了するごとに、残っ
た巻取紙を外して、おろしたての巻取紙に替えるように
すると、各生産ロットごとに残る巻取紙が無駄になり、
ランニングコストがかさんでしまうという問題がある。

【０００６】また、上記した稼動率の低下を防止すると
ともに、巻取紙の無駄をなくすために、各生産ロットの
印刷が終了するごとに、このときに残った巻取紙の量を
記録して保管し、次回以降の印刷のたびに、その生産ロ
ットの印刷数に見合う量の巻取紙を、保管している巻取
紙から選び出し使用するやり方があるが、これは印刷数
に丁度見合う量の巻取紙がととのわない場合が多い。加
えて、印刷が終了するごとに残る巻取紙の残量は様々で
あり、結果的に様々な残量の巻取紙を保管することにな
り、そのためのスペースと少なくない管理労力を必要と
すると共に、長時間にわたる保管による変色等により、
未使用のまま廃棄せざるを得ない巻取紙が生じるのを防
ぎきれなかった。

【０００７】一方、従来の技術の後者（実開平３−７０
９３５号公報）に示された輪転機では、複数の印刷ユニ
ットの各々に対応して印刷ユニットと分離して別個に設
けられた複数の給紙ユニットのうち、一部の給紙ユニッ
トを、従来の給紙ユニットの機構、即ち、所定直径の巻
取紙（例えば、おろしたての巻取紙）を複数装着して、
これら巻取紙を順次自動紙継ぎが可能である機構とし、
残る印刷ユニットを、前記所定直径の巻取紙を１本だけ
装着する機構に代えて、自動紙継ぎができない構成とし
ている。

【０００８】そしてこの輪転機では、各生産ロットの印
刷が終了するごとに、巻取紙を１本だけ装着する給紙ユ
ニットの、所定直径よりも小さな使いかけの巻取紙を取
り外し、新たに所定直径の巻取紙を取付けて、次の生産
ロットの印刷を行うようにしている。また、前記所定直
径よりも小さな直径の使いかけの巻取紙は、所定直径の
巻取紙を複数装着して自動紙継ぎできる機構の給紙ユニ
ットに、所定直径の巻取紙の代りに装着し、前記巻取紙
を１本だけ装着する給紙ユニットに装着した所定直径の
巻取紙が使い尽くされるまでを最長とする時間だけ、順
次自動紙継ぎしながら、前記次の生産ロットの印刷をす
るようにしている。

【０００９】このようにすることにより、所定直径より
小さな使いかけの巻取紙を使用した場合の、使いかけの
巻取紙が使い尽くされるごとの輪転機の停止を一掃し、
この停止による輪転機の稼動率の低下を防止できる。ま
た、各生産ロットの印刷が終了するごとに生じる使いか
けの巻取紙を、その残量を記録して保管する必要がな
く、しかも何らの無駄を生じることなく有効に使用でき
るという長所を有している。

【００１０】しかし、この後者の従来の技術に示される
輪転機は、印刷ユニットとこれに対応する給紙ユニット
を分離して別個に設ける比較的大型の従来の輪転機にお
いて、一部の給紙ユニットを、従来の自動紙継ぎできる
機構から自動紙継ぎできない機構に変えたに過ぎない。

【００１１】従って、輪転機全体としては、自動紙継ぎ
ができない給紙ユニットが、装着できる巻取紙の数が減
った分だけ巻取紙の装着スペースを減らすものの、単に
給紙ユニットの使用空間が大小２種類になるだけで、そ
の設置面積に変化をもたらすものではなく、省スペース
化、小型化のメリットは殆どなく、かろうじて、一部の
給紙ユニットを自動紙継ぎができない機構にしたことに
より、全ての給紙ユニットを自動紙継ぎができる機構で
あるものに比較して、製造コストが低くなり、その分設
備コストを節約できるものでしかなかった。

【００１２】この発明は、前記２つの公知技術の短所を
排除し、更に、自動紙継ぎする必要のある巻取紙が、所
定直径の巻取紙から１つの生産ロットを印刷し終えた巻
取紙、つまり所定直径よりも十分小さな直径の巻取紙で
あることに着目し、輪転機の大型化を避けると共に、小
型で、かつ簡素な自動紙継ぎ機構を有する印刷ユニット
を備えた輪転機を提供することを目的とするものであ
る。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第１の発明に係る輪転機は、印刷胴を支持するフレ
ームに所定直径の巻取紙を１本支持させ、この巻取紙か
ら連続紙を引き出して前記印刷胴によって印刷可能な印
刷ユニットを複数備えた輪転機において、前記複数の印
刷ユニットのうちの半数以下の印刷ユニットのそれぞれ
における前記所定直径の１本の巻取紙を支持するスペー
スと略同等のスペースに、前記所定直径よりも小さな直
径の巻取紙を順次自動紙継ぎすべく作動可能な小径巻取
紙支持手段を設け、更に前記略同等のスペース内及びそ
のスペースに隣接する位置に、小径巻取紙支持手段に支
持した、所定直径よりも小さな直径の巻取紙を自動紙継
ぎする自動紙継ぎ手段を設けた構成になっている。

【００１４】また第２の発明は、印刷胴を支持するフレ
ームに所定直径の巻取紙を１本支持させ、この巻取紙か
ら連続紙を引き出して前記印刷胴によって印刷可能な印
刷ユニットを複数備えた輪転機において、前記複数の印
刷ユニットのうちの半数以下の印刷ユニットのそれぞれ
における前記所定直径の１本の巻取紙を支持するスペー
スと略同等のスペースに、前記所定直径よりも小さな直
径の巻取紙を複数支持可能であると共に、この所定直径
よりも小さな直径の巻取紙を順次自動紙継ぎすべく作動
可能な小径巻取紙支持手段を設け、更に前記略同等のス
ペース内及びそのスペースに隣接する位置に、小径巻取
紙支持手段に支持した、所定直径よりも小さな直径の巻
取紙を自動紙継ぎする自動紙継ぎ手段を設けており、前
記小径巻取紙支持手段は、フレームに回転可能に設けた
支持軸と、この支持軸を中心にその周囲を等分した位置
に放射状で、かつ支持軸の軸方向で対向する２つを１組
として支持軸と一体で回転可能な複数の支持アームと、
この支持アームにおける、前記巻取紙の所定直径と支持
軸の直径との和の１／２だけ前記支持軸の中心から離れ
た位置に、回転可能で、かつ対向する支軸アーム間に所
定直径よりも小さな直径の巻取紙を支持軸と平行に支持
するようにして設けた巻取紙支持部材とを具備した構成
となっている。

【００１５】

【作 用】複数の印刷ユニットのうち、自動紙継ぎ機
構を有していない印刷ユニットに所定直径の巻取紙、例
えば、おろしたての巻取紙を１本装着すると共に、自動
紙継ぎ機構を有している他の印刷ユニットに、前記所定
直径よりも小さな適宜の直径の巻取紙、例えば所定直径
の１／２未満の直径の巻取紙を複数ずつ装着して、所定
直径の巻取紙が使い尽くされるまでの間を最長とする時
間だけ印刷する。

【００１６】この印刷の間、自動紙継ぎ機構を有してい
る印刷ユニットは、所定直径よりも小さな直径の巻取紙
の消費に従い、所定のタイミングで紙継ぎをする。紙継
ぎにより不要となった先行の巻取紙残部は、印刷ユニッ
トから取り外され、かわりの、所定直径よりも小さな径
の巻取紙が装着され、次の紙継ぎのために準備される。
そしてこの自動紙継ぎ機構を有している印刷ユニットで
は、印刷中、前記巻取紙の自動紙継ぎと、巻取紙残部の
取り外し、巻取紙の装着を繰り返す。

【００１７】前記自動紙継ぎ機構を有している印刷ユニ
ットに装着する所定直径よりも小さな直径の巻取紙は、
自動紙継ぎ機構を有していない印刷ユニットに装着して
印刷に使用した後の、使いかけの巻取紙をあてる。

【００１８】

【発明の実施の形態】この発明の実施の形態における輪
転機を図面に基づいて説明する。図１はこの発明の代表
的な実施の形態である輪転機を示す概略側断面図、図２
は、図１に示した輪転機における自動紙継ぎ手段を設け
た印刷ユニットの側断面図、図３は、図２に示した自動
紙継ぎ手段における、走行中の連続紙に紙継ぎされる巻
取紙を回転駆動するプリドライブ機構を示す並列図であ
る。

【００１９】図１に示す輪転機１は、３台の印刷ユニッ
ト、即ち、両面印刷するための２つの印刷胴ＢＣ，ＢＣ
を有し、その印刷胴ＢＣ，ＢＣにより連続紙Ｗに印刷可
能な印刷部Ｐを備えると共に、所定直径Ｒ１である巻取
紙（例えばおろしたての巻取紙）Ｗ１（以下これを大径
巻取紙Ｗ１とする）を１本支持可能な大径巻取紙支持手
段２０を備えた第１・第２の印刷ユニット２ａ，２ｂ
と、この第１・第２の印刷ユニット２ａ，２ｂと同様の
構成の印刷部Ｐを備えると共に、所定直径Ｒ１よりも小
さな直径（例えば所定直径Ｒ１の１／２未満）である２
本の巻取紙Ｗ２１，Ｗ２２（以下それぞれを、小径巻取
紙Ｗ２１，Ｗ２２とする）を支持可能な小径巻取紙支持
手段３０を備え、かつ、自動紙継ぎ手段５０を備えた第
３の印刷ユニット３と、折畳ユニット４とから構成され
ている。なお、第１・第２の印刷ユニット２ａ，２ｂは
自動紙継ぎ手段５０を備えていない。

【００２０】上記各印刷ユニット２ａ，２ｂ，３は、い
ずれも、それぞれが支持する巻取紙Ｗ１，Ｗ２１，Ｗ２
２から引き出した連続紙Ｗを、ニップローラ１１を伴っ
たインフィードローラー１２によって、自らの印刷胴Ｂ
Ｃ，ＢＣ間に導き、その両面に印刷を行うようにしてい
る。

【００２１】また上記各印刷ユニット２ａ，２ｂ，３の
大径、小径の各巻取紙支持手段２０，２０，３０のそれ
ぞれには、支持する巻取紙Ｗ１，Ｗ２１，Ｗ２２の自由
回転を規制するブレーキ機構（図示せず）が設けられて
いる。なお、このブレーキ機構は、連続紙Ｗの走行張力
の変化に対応して位置を変えるフローチングローラー１
３の位置によって、その制動力を加減して連続紙Ｗの走
行張力を制御するようになっている。

【００２２】各印刷ユニット２ａ，２ｂ，３の各印刷胴
ＢＣ，ＢＣによって印刷が行われた各連続紙Ｗ（Ｗ１，
Ｗ２１，Ｗ２２）は、それぞれガイドローラ１４，１４
によって折畳ユニット４に案内され、アジャストローラ
ー１５，１５，…によって、折畳ユニット４による切断
位置が印刷画像の位置と正しい関係に合わせられ、折畳
部Ｆに案内され、切断・折畳みが行われる。

【００２３】第１・第２の印刷ユニット２ａ，２ｂの大
径巻取紙支持手段２０，２０は、フレームＦＲに対して
装着・離脱可能で、かつ装着されたときに回転可能であ
ると共に、大径巻取紙Ｗ１の巻芯に挿入された状態で巻
芯内壁に押し付けられて巻芯に固定可能な回転支持軸２
１と、この回転支持軸２１をフレームＦＲに装着したと
きに回転支持軸２１と連結されて、この回転支持軸２１
を介して大径巻取紙Ｗ１の自由回転を規制するブレーキ
機構（図示せず）が設けられている。

【００２４】第３の印刷ユニット３の小径巻取紙支持手
段３０は、フレームＦＲに回転可能に支持されると共
に、後に説明する自動紙継ぎ手段５０の作動に合わせて
駆動回転される支持軸３１と、この支持軸３１の軸方向
で対向させられると共に、支持軸３１を中心にしてその
周囲を２等分した位置に放射状に配され、支持軸３１の
回転に従って回転可能な支持アーム３２とが設けられて
いる。

【００２５】更にこの第３の印刷ユニット３の小径巻取
紙支持手段３０を、図１、図２を参照して詳しく説明す
る。各支持アーム３２には、支持軸３１の中心から前記
所定直径Ｒ１と支持軸３１の直径との和の１／２だけ離
れた位置に、回転可能で、かつ対向する両支持アーム３
２，３２間に所定直径Ｒ１の１／２未満の直径の小径巻
取紙Ｗ２１，Ｗ２２を支持する巻取紙支持部材３３が設
けられている。この巻取紙支持部材３３は、対向する２
つの支持アーム３２，３２によって、小径巻取紙Ｗ２
１，Ｗ２２を支持軸３１と平行に支持できるように設け
られており、加えて、小径巻取紙Ｗ２１，Ｗ２２の自由
回転を規制するブレーキ機構（図示せず）が連結されて
いる。このブレーキ機構は、これによって回転を規制す
る小径巻取紙Ｗ２１，Ｗ２２の直径が大径巻取紙Ｗ１よ
りも小さく、その慣性が小さいので、大径巻取紙Ｗ１の
自由回転を規制するブレーキ機構よりも小さな制動力が
十分であり、大径巻取紙Ｗ１の自由回転を規制するブレ
ーキ機構に比べて、小型化かつ簡素化したもので十分有
効である。

【００２６】また、支持軸３１には、支持アーム３２と
直角をなすようにして軸方向に対向する２つの補助アー
ム３４，３４が、支持軸３１の回転に従って回転可能で
あるように設けられている。そして、この対向する２つ
の補助アーム３４，３４によって、支持軸３１の中心か
ら適宜の距離だけ離れた位置に、支持軸３１と平行であ
るようにしてガイドローラー３５，３５が支持されてい
る。

【００２７】第３の印刷ユニット３の自動紙継ぎ手段５
０は、一方の小径巻取紙Ｗ２１から引き出されて走行中
の連続紙Ｗを、これに紙継ぎされる他方の小径巻取紙Ｗ
２２の周面に押し付ける、例えば押し付けブラシを有す
る押し付け機構５１ａと、紙継ぎによって他方の小径巻
取紙Ｗ２２から新たに連続紙Ｗが引き出された直後に、
一方の小径巻取紙Ｗ２１から引き出されて走行している
連続紙Ｗを切断するカッターを有する切断機構５１ｂと
を備えたペースターアーム機構５１を備えている。

【００２８】このペースターアーム機構５１は、図示し
ないブラケットを介してフレームＦＲに設けたガイドロ
ーラ１４′の回転中心、またはその近傍に、一方端が角
変位可能に支持され、図示しない駆動手段によって適宜
に角変位駆動されるようになっている。

【００２９】また、自動紙継ぎ手段５０は、他方の小径
巻取紙Ｗ２２を回転駆動し、その周面速度を、一方の小
径巻取紙Ｗ２１から引き出されて走行中の連続紙Ｗの走
行速度に整合させるための、後に説明するプリドライブ
機構５２、及び自動紙継ぎ手段５０の作動を制御する幾
つかの検出手段、例えば、連続紙Ｗが引き出されている
一方の小径巻取紙Ｗ２１が紙継ぎのために、あらかじめ
定めた径になったのを検出する巻取径検出手段（図示せ
ず）、紙継ぎされる他方の小径巻取紙Ｗ２２の駆動回転
による周面速度を検出する速度検出手段（図示せず）等
から構成されている。

【００３０】プリドライブ機構５２は、図２、図３に示
すように、前記軸方向に対向する２つの補助アーム３
４，３４に、支持軸３１と平行で、かつ角変位可能に設
けられた通し軸５２ａと、この通し軸５２ａに取り付け
られて通し軸５２ａの角変位に従って変位する、例え
ば、電動機である回転駆動部材５２ｂと、通し軸５２ａ
の軸方向で対向し通し軸５２ａの角変位に従って変位す
るアーム５２ｃ，５２ｃと、通し軸５２ａと平行で、か
つ回転可能であるようにしてこのアーム５２ｃ，５２ｃ
に支持された回転軸５２ｄ及び、この回転軸５２ｄに適
宜に取り付けられて回転軸５２ｄの回転に従って回転す
る複数の小輪５２ｅ，５２ｅ，…とを備えている。そし
て小輪５２ｅ，５２ｅ，…のそれぞれは、通し軸５２ａ
の角変位によって、紙継ぎされる他方の小径巻取紙Ｗ２
２に対して接離できるようになっている。

【００３１】また、プリドライブ機構５２は、回転駆動
部材５２ｂの出力軸と回転軸５２ｄとが、例えば歯付き
プーリー５２ｆ、歯付きベルト５２ｇ、歯付きプーリー
５２ｈからなる伝動機構によって連結されている。更
に、通し軸５２ａは、端部に通し軸５２ａと一体で角変
位するように取り付けられたアーム５２ｉを介して流体
圧シリンダー５２ｊの出力ロッドと連結されており、こ
の出力ロッドの伸縮により角変位させられるようになっ
ている。流体圧シリンダー５２ｊは、例えばエアーシリ
ンダーであり、支持アーム３２に取付け部材５２ｋを介
して角変位可能に取り付けられている。

【００３２】以上の構成による作動は次のようにして行
われる。

【００３３】第１・第２・第３の印刷ユニット２ａ，２
ｂ，３から折畳ユニット４に紙通しを行った状態で印刷
稼動が行われ、第１・第２の印刷ユニット２ａ，２ｂの
大径巻取紙支持手段２０，２０に支持された大径巻取紙
Ｗ１，Ｗ１と、第３の印刷ユニット３の小径巻取紙支持
手段３０に支持された一方の小径巻取紙Ｗ２１とから、
それぞれ連続紙Ｗ，Ｗ，Ｗが引き出される。

【００３４】第３の印刷ユニット３の小径巻取紙支持手
段３０に支持されて連続紙Ｗが引き出されている一方の
小径巻取紙Ｗ２１の直径が、紙継ぎのためにあらかじめ
定められた径になったのを、巻取径検出手段（図示せ
ず）が検出すると、支持軸３１が図１において時計回り
に駆動されて、支持アーム３２、補助アーム３４が、図
１に示される状態から図２に示される状態となるように
変位させられる。すなわち、他方の小径巻取紙Ｗ２２
は、その周面が一方の小径巻取紙Ｗ２１から引き出され
て走行する連続紙Ｗから僅かに離れた位置で停止する。

【００３５】次に、流体圧シリンダー５２ｊの出力ロッ
ドが伸長し、これによって通し軸５２ａが角変位し、回
転軸５２ｄに取り付けられた複数の小輪５２ｅ，５２
ｅ，…が、他方の小径巻取紙Ｗ２２の周面に押し付けら
れる。なお、この他方の小径巻取紙Ｗ２２の連続紙Ｗの
引き出し端部には、紙継ぎのための粘着部（図示せず）
が、前記小輪５２ｅ，５２ｅ，…が押し付けられる位置
に対応する部分を除いて形成されている。

【００３６】複数の小輪５２ｅ，５２ｅ，…が他方の小
径巻取紙Ｗ２２の周面に押し付けられると、回転駆動部
材５２ｂが回転作動され、この他方の小径巻取紙Ｗ２２
を回転駆動し、この他方の小径巻取紙Ｗ２２の周面速度
を徐々に速くし、一方の小径巻取紙Ｗ２１から引き出さ
れて走行する連続紙Ｗの走行速度に整合させられる。

【００３７】このとき、他方の小径巻取紙Ｗ２２の直径
が小さいので、この回転駆動は小さな力で十分であり、
従って回転駆動部材５２ｂは小型のものでよく、省エネ
ルギー性が大きい。また、この他方の小径巻取紙Ｗ２２
が駆動回転されている間に、ペースターアーム機構５１
が、図２に２点鎖線で示す待機位置から図２に実線で示
す作動位置まで、角変位させられる。

【００３８】他方の小径巻取紙Ｗ２２の周面速度が、一
方の小径巻取紙Ｗ２１から引き出されて走行する連続紙
Ｗの走行速度と整合した速度になったのを、図示しない
速度検出手段が検出すると、ペースターアーム機構５１
の押し付け機構５１ａと切断機構５１ｂとが適宜のタイ
ミングで順次作動し、一方の小径巻取紙Ｗ２１から引き
出されて走行する連続紙Ｗを、まず他方の小径巻取紙Ｗ
２２の周面に押し付け、前記紙継ぎのための図示しない
粘着部によって、他方の小径巻取紙Ｗ２２の引き出し端
部と貼り合わせ、その貼り合わせ終了後、一方の小径巻
取紙Ｗ２１から引き出されて走行する連続紙Ｗを切断す
る。

【００３９】これにより、第３の印刷ユニット３では、
他方の小径巻取紙Ｗ２２から引き出された連続紙Ｗへの
印刷が行われる。

【００４０】また、前記切断機構５１ｂの作動後、流体
圧シリンダー５２ｊの出力ロッドが退縮し、小輪５２
ｅ，５２ｅ，…が他方の小径巻取紙Ｗ２２の周面から離
隔され、更に、回転駆動部材５２ｂが停止し、小輪５２
ｅ，５２ｅ，…の回転が停止する。同様に、切断機構５
１ｂの作動後、適宜のタイミングでペースターアーム機
構５１が所定の待機位置に戻される。

【００４１】ペースターアーム機構５１が待機位置に戻
った後、支持軸３１が図２において時計回りに駆動回転
させられ、支持アーム３２、補助アーム３４が図１に示
す位置まで変位させられる。

【００４２】この変位が完了するまでの間のタイング
で、または変位が完了した後の適宜のタイミングで、支
持アーム３２の巻取紙支持部材３３から一方の小径巻取
紙Ｗ２１の残部である残芯を取り外し、新たに他の小径
巻取紙を取り付ける。

【００４３】印刷稼動中に、第３の印刷ユニット３で再
度自動紙継ぎが必要になったときは、前記した一連の作
動によって、再度自動紙継ぎが行われる。すなわち、自
動紙継ぎは必要なだけ繰り返し行われる。

【００４４】この第３の印刷ユニット３における前記し
た自動紙継ぎ作動の間も、輪転機１による印刷稼動が中
断することなく、この印刷稼動は、他の不都合が生じな
いかぎり、第１・第２の印刷ユニット２ａ，２ｂにおい
て大径巻取紙Ｗ１がなくなるまで続行可能である。

【００４５】

【発明の効果】以上記載したように、この発明における
輪転機によれば、所定直径の大径巻取紙を１本だけ支持
するスペースを有する印刷ユニットの前記スペースに、
所定直径よりも小径、例えば、所定直径の１／２未満の
小径巻取紙を複数、例えば２本支持して、順次自動紙継
ぎできるようにした印刷ユニットが、所定直径の大径巻
取紙を１本だけ支持する他の印刷ユニットと混在される
ので、所定直径の大径巻取紙を１本だけ支持する印刷ユ
ニットでは、所定直径の大径巻取紙による印刷が可能で
あり、一方、自動紙継ぎできるようにした印刷ユニット
では、大径巻取紙を１本だけ支持する印刷ユニットでの
印刷稼動で残った使いかけの小径巻取紙を支持しての、
自動紙継ぎしながらの連続印刷稼動が可能である。

【００４６】従って、使いかけの小径巻取紙を支持して
印刷稼動を行っても、所望数の印刷が完了する前に巻取
紙がなくなることがなくなり、輪転機の稼動率を向上で
きる。また、使いかけの小径巻取紙を、順次紙継ぎして
有効に使用できるので、使いかけの小径巻取紙を保管す
るためのスペースが僅かですむと共に、保管のための労
力も僅かでよくなり、加えて、使いかけの小径巻取紙を
使用せずに廃棄する無駄を一掃することができる。

【００４７】また、所定直径の大径巻取紙を１本だけ支
持する印刷ユニットと自動紙継ぎできるようにした印刷
ユニットの大きさは、設置面積を同じにすることがで
き、従って、印刷ユニットが所定直径の大径巻取紙を１
本だけ支持する印刷ユニットのみである輪転機におい
て、適宜の印刷ユニットを、自動紙継ぎできるようにし
た印刷ユニットと容易に入れ替えを行うことができる。

【００４８】その上、所定直径の大径巻取紙を１本だけ
支持する印刷ユニットと自動紙継ぎできるようにした印
刷ユニットとを適宜に混在させて輪転機を構成しても、
各印刷ユニットの間隔を一定にして設置した上で作業空
間を同等に確保することができ、かつ、印刷ユニット数
が同じであれば、自動紙継ぎできるようにした印刷ユニ
ットの割合の違いにもかかわらず、同じ設置面積に輪転
機を設置できる。

【００４９】更に、自動紙継ぎする巻取紙を、使いかけ
の小径巻取紙のみにしたので、制動力が小さくてよく制
御が容易である。また、紙継ぎする巻取紙を回転するた
めの駆動源も極めて簡素かつ小型のもので十分であり、
省スペース性、省エネルギー性を具備すると共に、簡素
であるが故に、故障の頻度も少なくすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の代表的な実施の形態である輪転機を
示す概略側断面図である。

【図２】図１に示した輪転機における自動紙継ぎ手段を
設けた印刷ユニットの側断面図である。

【図３】図２に示した自動紙継ぎ手段における、消費走
行中の走行紙に紙継ぎされる巻取紙を回転駆動するプリ
ドライブ機構を示す並列図である。

【符号の説明】

１…輪転機、２ａ，２ｂ，３…印刷ユニット、４…折畳
ユニット、１１…ニップローラー、１２…インフィード
ローラー、１３…フローチングローラー、１４，１４′
…ガイドローラー、１５…アジャストローラー、２０…
大径巻取紙支持手段、２１…回転支持軸、３０…小径巻
取紙支持手段、３１…支持軸、３２…支持アーム、３３
…巻取紙支持部材、３４…補助アーム、３５…ガイドロ
ーラー、５０…自動紙継ぎ手段、５１…ペースターアー
ム機構、５１ａ…押し付け機構、５１ｂ…切断機構、５
２…プリドライブ機構、５２ａ…通し軸、５２ｂ…回転
駆動部材、５２ｃ…アーム、５２ｄ…回転軸、５２ｅ…
小輪、５２ｆ…歯付プーリー、５２ｇ…歯付ベルト、５
２ｈ…歯付プーリー、５２ｉ…アーム、５２ｊ…流体圧
シリンダー、５２ｋ…取付け部材、ＢＣ…印刷胴、Ｆ…
折畳部、ＦＲ…フレーム、Ｐ…印刷部、Ｗ…連続紙、Ｗ
１…大径巻取紙、Ｗ２１，Ｗ２２…小径巻取紙、Ｒ１…
所定直径。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 印刷胴を支持するフレームに所定直径の
   巻取紙を１本支持させ、この巻取紙から連続紙を引き出
   して前記印刷胴によって印刷可能な印刷ユニットを複数
   備えた輪転機において、 前記複数の印刷ユニットのうちの半数以下の印刷ユニッ
   トのそれぞれにおける前記所定直径の１本の巻取紙を支
   持するスペースと略同等のスペースに、前記所定直径よ
   りも小さな直径の巻取紙を順次自動紙継ぎすべく作動可
   能な小径巻取紙支持手段を設け、 更に、前記略同等のスペース内及びそのスペースに隣接
   する位置に、小径巻取紙支持手段に支持した、所定直径
   よりも小さな直径の巻取紙を自動紙継ぎする自動紙継ぎ
   手段を設けたことを特徴とする輪転機。
2. 【請求項２】 印刷胴を支持するフレームに所定直径の
   巻取紙を１本支持させ、この巻取紙から連続紙を引き出
   して前記印刷胴によって印刷可能な印刷ユニットを複数
   備えた輪転機において、 前記複数の印刷ユニットのうちの半数以下の印刷ユニッ
   トのそれぞれにおける前記所定直径の１本の巻取紙を支
   持するスペースと略同等のスペースに、前記所定直径よ
   りも小さな直径の巻取紙を複数支持可能であると共に、
   この所定直径よりも小さな直径の巻取紙を順次自動紙継
   ぎすべく作動可能な小径巻取紙支持手段を設け、 更に前記略同等のスペース内及びそのスペースに隣接す
   る位置に、小径巻取紙支持手段に支持した、所定直径よ
   りも小さな直径の巻取紙を自動紙継ぎする自動紙継ぎ手
   段を設けており、 前記小径巻取紙支持手段は、 フレームに回転可能に設けた支持軸と、 この支持軸を中心にその周囲を等分した位置に放射状
   で、かつ支持軸の軸方向で対向する２つを１組として支
   持軸と一体で回転可能な複数の支持アームと、 この支持アームにおける、前記巻取紙の所定直径と支持
   軸の直径との和の１／２だけ前記支持軸の中心から離れ
   た位置に、回転可能で、かつ対向する支軸アーム間に所
   定直径よりも小さな直径の巻取紙を支持軸と平行に支持
   するようにして設けた巻取紙支持部材とを具備した構成
   となっていることを特徴とする輪転機。