JPH10156847A - ポリベンズイミダゾ−ル焼結体の製造方法 - Google Patents

ポリベンズイミダゾ−ル焼結体の製造方法

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JPH10156847A
JPH10156847A JP8335002A JP33500296A JPH10156847A JP H10156847 A JPH10156847 A JP H10156847A JP 8335002 A JP8335002 A JP 8335002A JP 33500296 A JP33500296 A JP 33500296A JP H10156847 A JPH10156847 A JP H10156847A
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喜達 佐々木
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G73/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage containing nitrogen with or without oxygen or carbon in the main chain of the macromolecule, not provided for in groups C08G12/00 - C08G71/00
    • C08G73/06Polycondensates having nitrogen-containing heterocyclic rings in the main chain of the macromolecule
    • C08G73/18Polybenzimidazoles

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボイドがなく、かつ酸化劣化したポーラス状
で強度の弱い成形部分のないポリベンズイミダゾール
(PBIという)焼結体を歩留まり良く製造する製造法
の提供。 【解決手段】 粉末状のPBI樹脂を用い、PBI焼結
体を製造する際に、PBI樹脂が密となるように金型を
閉じ、外部から圧力を加えない状態で、金型を350〜
600℃の一定温度まで上昇させ、一定温度に到達後、
一定温度を保ちつつ、金型の圧力を140〜1400k
g/cm2に設定し、60〜350分間その状態を保持
して焼結し、最後にPBI焼結体を冷却することにより
金型から取り出す工程を含む製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリベンズイミダ
ゾール(以下、PBIという)焼結体の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】PBIは、広い使用温度域、機械的強
度、耐薬品・溶剤性、耐放射線性、難燃性などの優れた
特性を示す重合体であることが知られている。このPB
Iを焼結することにより得られるPBI焼結成形体の製
造方法の一例としては、焼結助剤としてのPBIのプレ
ポリマ−と、PBI重合体からなる混合物に十分な熱と
圧力を与えて、焼結する方法がある(米国特許第3,3
40,325号明細書)。この方法はフェノ−ルと水の
混合ガスを発生するので、焼結操作に注意が必要である
ばかりでなく、製品中に多くの空隙が残り、厚い製品を
得ることができないという問題点があった。これに対し
て、ヘキストセラニ−ズ社の開発したPBI焼結体は、
従来の焼結体と比較して、得られる焼結体の物性値の
点、また厚さのある製品を得られる点でも、優れたもの
であった。この優れた焼結体は、同社の開発した焼結体
の製造方法によるものであり、その焼結体の製造法は次
の通りである(米国特許第4,814,530号明細
書)。粒径が100メッシュ以下、水と揮発分が0.1
重量%以下、及び固有粘度が少なくとも0.4の粒状P
BI樹脂を、モールド中室温において少なくとも1分間
2000〜20000psiの圧力で圧縮し、圧縮した
PBI樹脂をその圧力範囲を保持したまま825乃至9
50゜Fに加熱(加熱工程)し、PBI樹脂が当該一定
温度まで上昇後、圧力を取り去り、少なくともその温度
で4時間加熱する(焼結工程)。その後、得られたPB
I成形体を前記圧力の範囲内に再び加圧し、いったん8
00°F以下に冷却した後、同じ圧力のもとで上記成形
体を825乃至950゜Fの温度に少なくとも1時間保
つ工程(ポストキュア)を経てPBI焼結体を製造す
る。このヘキストセラニ−ズ社のPBI焼結方法の時間
に対する温度および圧力の関係の一例を示すと、図1の
通りとなる。図1において横軸は時間であり、縦軸は上
の図では温度、下の図では金型に外部より加える圧力で
ある。まず最初にボイドの発生を防ぐため、水分や揮発
分を除いたPBI樹脂を金型に入れ、PBI樹脂に圧力
をかけることによってPBI樹脂を圧縮(コンパクト
化)する(時間C)。c〜dの時間は、焼結処理を施す
前に、焼結工程の温度までPBI樹脂の加熱を行う加熱
工程である。この処理では、金型(モールド)に圧力が
かけられた状態を保ちつつ、加熱される。加熱温度は4
40〜510℃の範囲の一定温度が選ばれる。加熱工程
の所要時間は、1時間30分〜2時間30分である。d
〜eの時間は、加熱工程により焼結温度まで加熱された
後に、この温度を維持しつつ、金型にかかる圧力を除去
して焼結処理を行う(焼結工程)。e〜fは焼結工程終
了後、PBI焼結体の膨張を防ぐため再び加熱工程と同
じ圧力範囲に圧力を設定してPBI焼結体を冷却させ、
いったんTgより低い温度にし、その後その圧力を保っ
たまま温度を焼結工程と同じ範囲まで上昇させ、ポスト
キュアさせる(ポストキュア工程)。f以降は圧力を取
り去り、PBI焼結体を冷却したのち、焼結体を金型よ
り取り出す。しかしながら、この焼結体の製造法におい
ても、次のような問題点が指摘された。すなわち、この
方法により、優れた特性の焼結体が得られるものの、加
熱工程の最初から最後まで、ずっとPBI樹脂に圧力を
かけているため、PBIの加熱による分解ガスが焼結体
の外へ逃げることができず、焼結体中にボイド(空隙)
となり残る。これらボイドが樹脂割れの原因となり、製
品の不良率が高くなる。ここで発生するガスとしては、
未重合物等のPBI樹脂自身が分解することにより生じ
るものと、PBI樹脂に安定剤として添加されている塩
化リチウム(LiCl)とPBI樹脂との高温での反応
により発生するものとから成り、具体的にはCO、CO
2、CH4、クロロホルム、フェノール等が挙げられる。
なお、このガス組成はPBI樹脂を約500℃に加熱さ
せた時に発生したガスをガスクロマトグラフ質量分析に
より確認したものである。また、焼結工程においては、
金型にかける圧力を除去しているため、PBI焼結体が
膨張してしまい、所望の形態のものを得ることができな
い。この原因は大きく2つ挙げられ、1つは金型の圧力
を取り去ったことによる焼結体自身の膨張(スプリング
バック現象)と、他はPBI分解ガスの発生による膨張
である。このスプリングバックにより膨張した部分のP
BI樹脂は、金型の外から入り込んだ空気中の酸素と接
触するので、焼結せず酸化しポーラス状となり、かつ、
強度もそれ以外の焼結した部分の80%程度に低下し、
実用に適さない成形体であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、PB
Iの加熱により発生するガスに起因するボイドの発生を
極力おさえ、スプリングバックによるポーラスな部分の
ないPBI焼結体の製造法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
について鋭意研究を進めた結果、PBI樹脂が密に充填
されるような位置で金型のプレス機を固定拘束し、つま
り外圧を加えない状態で昇温させ、焼結温度となった後
に、所定の圧力で加圧すると、焼結体中の空隙の発生を
防止し、かつスプリングバックによるPBI焼結体の膨
脹も防止できることを見い出し、本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明によれば、PBI樹脂を焼結し
て、PBIの焼結体を製造する方法において、(1)ポ
リベンズイミダゾール樹脂を一定形状の金型に充填する
工程、(2)ポリベンズイミダゾール樹脂が密となるよ
うに金型を閉じ、外部から圧力を加えない状態で、金型
を350〜600℃の一定温度まで上昇させる加熱工
程、(3)一定温度に到達後、当該一定温度を保ちつ
つ、0〜100分経過後、金型の圧力を140〜140
0kg/cm2に上げ、60〜250分間当該温度と圧
力を一定に保持して焼結する焼結工程、(4)金型の温
度を50〜400℃に下げる冷却工程、及び(5)ポリ
ベンズイミダゾール焼結体を金型から取り出す工程をこ
の順序で含むことを特徴とするPBI焼結体の製造方法
が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明のPBI焼結体の原料とし
ては、次の式で表わされるPBI樹脂が通常用いられ
る。
【化1】 (式中、繰り返し単位を構成するRは窒素原子が芳香族
核の隣接炭素原子、すなわちオルト炭素原子上1対をな
すベンズイミダゾール環を形成している4価芳香族核で
あり、繰り返し単位を構成するR’は2価の基であり、
芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素(好ましくは炭素原子
数が4から8のもの)、脂環族炭化水素、ピリジン、ピ
ラジン、フラン、キノリン、チオフェン、ピラン等の複
素環から選択されたものである。ここで、RとR’は重
合体鎖中、同一あるいは異なっていてもよい。) 上式で示されるPBIとして具体的には、たとえば次の
ような重合体あるいは共重合体がある。ポリ−2,2′
−(m−フェニレン)−5,5′−ジベンズイミダゾー
ル;ポリ−2,2′−(ジフェニレン−2′′,
2′′′)−5,5′−ジベンズイミダゾール;ポリ−
2,2′−(ジフェニレン−4′′,4′′′)−5.
5′ジベンズイミダゾール;ポリ−2,2′−
(1′′、1′′、3′′−トリメチルインダニレン)
−3′′,5′′−p−フェニレン−5,5′−ジベン
ズイミダゾール;2,2′−(m−フェニレン)−5,
5′−ジベンズイミダゾール/2,2′−(1′′,
1′′,3′′−トリメチルインダニレン)−5′′,
3′′−(p−フェニレン)−5,5′−ジベンズイミ
ダゾール共重合体;2,2′−(m−フェニレン)−
5,5′−ジベンズイミダゾール/2,2′−ジフェニ
レン−2′′,2′′′−5,5′−ジベンズイミダゾ
ール共重合体;ポリ−2,2′−(フリレン−2′′,
5′′)−5,5′−ジベンズイミダゾール;ポリ−
2,2′−(ナフタレン−1′′,6′′)−5,5′
−ジベンズイミダゾール;ポリ−2,2′−(ナフタレ
ン−2′′,6′′)−5,5′−ジベンズイミダゾー
ル;ポリ−2,2′−アミレン−5,5′−ジベンズイ
ミダゾール;ポリ−2,2′−オクタメチレン−5,
5′−ジベンズイミダゾール;ポリ−2,2′−(m−
フェニレン)−ジイミダゾベンゼン;ポリ−2,2′−
シクロヘキセニル−5,5′−ジベンズイミダゾール;
ポリ−2,2′−(m−フェニレン)−5,5′−ジ
(ベンズイミダゾール)エーテル;ポリ−2,2′−
(m−フェニレン)−5,5′−ジ(ベンズイミダゾー
ル)サルフアイド;ポリ−2,2′−(m−フェニレ
ン)−5,5′−ジ(ベンズイミダゾール)スルフォ
ン;ポリ−2,2′−(m−フェニレン)−5,5′−
ジ(ベンズイミダゾール)メタン;ポリ−2,2′−
(m−フェニレン)−5,5′′−ジ(ベンズイミダゾ
ール)プロパン−2,2;およびポリ−エチレン−1,
2,2,2′′−(m−フェニレン)−5,5′′−ジ
(ベンズイミダゾール)エチレン−1,2。但しエチレ
ン基の2重結合は最終重合体中そのままである。好まし
い重合体としては、ポリー2,2′−(m−フェニレ
ン)−5,5′−ジベンズイミダゾールが挙げられる。
また、原料PBI樹脂の物性値としては以下のものが通
常用いられる。 ・97重量%の硫酸100mlにPBI0.4gを溶解
させたときの、25℃における固有粘度(IV)値が
0.4dl/g以上のPBI樹脂 ・粒径が500μm以下、好ましくは150μm以下の
PBI樹脂 ・水と揮発分濃度が0.1重量%以下のPBI樹脂 なお、原料として用いるPBI樹脂の粒径の制限は、粒
径が500μmより大きい場合、粒子中に初めから内含
しているボイドを完全に除去することが困難という理由
に基づく。また、常温において固体状のPBIは吸湿性
のため、通常2〜3重量%程度の水分を含んでおり、こ
の水分等を含有するPBIを焼結すると、ボイド発生の
原因となるため、例えば150℃で12時間以上、ある
いは177℃で4時間以上乾燥させ、水と揮発分濃度を
0.1重量%以下にすることが望ましい。ここで揮発分
とは、PBI樹脂の合成反応時に、一部のPBIが分解
して発生したフェノールなどが残留したものをいう。
【0006】本発明の焼結方法は、加熱工程、焼結工程
及び冷却工程を含む。また、PBI樹脂の金型への充填
工程の前または後に金型を100〜400℃に、好まし
くは250〜300℃に予熱しておくと、PBIに素早
く熱を伝えられ、ひいてはPBI焼結体製造工程全体の
処理時間を短縮することが可能となるため、予熱工程を
必要に応じて加えることができる。この予熱は、金型を
強制空気対流のオーブン中に置くことにより、あるいは
金型に内蔵されたヒーター等で実施できる。本発明の実
施に際して、まず、金型に好ましくは乾燥処理したPB
Iを充填する(充填工程)。次に、加熱工程の前にPB
Iをプレスすることにより突き固め、金型内の空気を系
外へ追い出すことが望ましい。この時のプレス圧は50
〜350kg/cm2が適切である。このプレス圧をか
ける時間は、焼結体の大きさ及び形状などにもよるが、
一般的には30分以下である。また、この時、グラファ
イト、ガラス、ガラスファイバー、カーボンファイバー
等揮発成分を極力取り除いた充填剤を、所望の特性によ
り、PBIに混合して加えることもできる。そして、P
BIが密に充填された位置で、金型のプレス機をその位
置から動かない様に固定拘束し、プレス圧をかけた場合
には圧力を解除し、0kg/cm2とする。
【0007】次に、焼結処理を施す前に、焼結工程の温
度まで加熱処理を行う(加熱工程)。この加熱工程では
外部から金型に対しては、圧力をかけないことが重要で
ある。つまり、PBIの樹脂を密に充填したプレス位置
で金型を固定拘束したままにしておく。この状態でのプ
レス機にかける外圧は、0kg/cm2である。加熱に
よる到達温度は、350〜600℃の範囲の一定温度が
選ばれる。加熱開始温度は、予熱した場合は、100〜
400℃であり、予熱しない場合は室温である。この加
熱工程は、PBIにプレス機の圧力がかかっていないた
め、PBI分解ガスが発生した場合、当該ガスは容易に
金型の間隙を通って系外へ除去されるので、従来のPB
I焼結体に見られたようなボイドが残存するようなこと
は激減する。この加熱処理は、金型に内蔵したヒ−タ
−、その他この程度の加熱が可能な加熱手段を用いて行
われる。この場合、次の焼結工程を考慮して、プレス機
が併設された金型で行うと有利である。加熱工程の所要
時間は、好ましくは1時間30分〜2時間30分であ
る。
【0008】前記加熱工程の後、焼結温度まで加熱され
た金型に対し、この温度を保ちつつ所定の圧力をかける
ことにより、焼結処理を行う(焼結工程)。焼結工程で
は、前の加熱工程の温度である350〜600℃の範囲
の一定温度に焼結体を保持しながら、焼結処理に必要な
圧力である、140〜1400kg/cm2の範囲の一
定圧力が加えられる。ここで、一定範囲内の圧力や温度
については、極力設定した圧力や温度を保つことが望ま
しいが、例えばサーモスタットを用いて、ある一定の範
囲の偏差が生じた場合、設定値へ修正復帰する様な構成
をもつ装置を使用してもよい。焼結処理時間は、対象物
の大きさ、厚さ、形状などにより適宜選択して、設定さ
れるが、通常60〜350分の範囲の時間が選択され
る。ここで、加熱工程でPBIの分解ガスはほとんど系
外へ排出されているため、焼結工程においては、分解ガ
スを含まないPBIに対して圧力を十分にかけることが
できる。これにより、PBI樹脂粉体同士の接触面積を
大きくでき、かつ前記ヘキストセラニーズ社の方法と異
なり、金型に圧力をかけていることにより空気と遮断さ
れている。したがって、空気中の酸素と接触することも
ないので、酸化分解が進みにくく、強度の高い焼結体を
得ることが可能となる。
【0009】最後に、焼結が終了して得られるPBI焼
結体は、冷却され、金型から取り出される(冷却工
程)。本発明においては焼結の終了後直ちに、圧力を解
除するのではなく、焼結温度が該PBI原料のガラス転
移点(Tg)より高い場合、焼結体の温度が該PBIの
Tgを下まわった時点で圧力を徐々に解除するのが望ま
しい。これは、PBI焼結体の温度がTgより高い時点
で圧力を解除すると、焼結体がスプリングバック現象を
起こし、体積が膨脹することにより所望の形状のものが
得られにくいからである。よって、冷却工程では、焼結
温度が該PBI原料のガラス転移点(Tg)より高い場
合、PBI焼結体の温度がPBI原料のガラス転移点に
温度が降下するまで、焼結工程の一定圧力が維持される
ことが望ましい。例えば、PBI原料としてポリ−2,
2′−(m−フェニレン)−5,5′−ジベンズイミダ
ゾールを用いた場合、PBI焼結体の温度がPBIのガ
ラス転移点である427°Cを下まわったとき、圧力を
350kg/cm2にすることができる。冷却温度とそ
の時点での焼結体にかけられる圧力は、PBIの圧縮強
度(kg/cm2)と温度との関係を参考にして求める
ことができる。この関係より、温度に対応した圧縮強度
を求め、その温度における圧縮強度以下となるように焼
結体に加える圧力を制御しなければならない。特に、P
BI焼結体の温度がTgを若干下回ったときは、その焼
結体の強度はあまり高くないので、その強度を超える圧
力を焼結体に加えた場合、焼結体は破壊される。したが
って、そのようにならないように圧力を調節することが
重要である。また、焼結温度を該PBI原料のTgを超
えない範囲に設定した場合は、焼結温度をTgより高く
設定した場合に比べ、顕著ではないもののスプリングバ
ック現象がおこるため、適度に焼結体を加圧しながら冷
却することが望ましい。そして、焼結体の温度が例えば
300℃以下に低下したときに、金型よりPBI焼結体
を取り出す。冷却工程の所要時間は、焼結体の大きさ、
厚さ、形状などにより異なるが、一般的には2時間〜6
時間である。
【0010】さらに本発明を詳しく説明するため、好ま
しい態様に基づき、本発明の焼結方法について、時間に
対して温度及び圧力の関係を図2に示す。図2において
横軸は時間であり、上のグラフの縦軸は温度であり、下
のグラフの縦軸は圧力である。a〜bの時間は、金型を
100〜400℃に、好ましくは250〜300℃に予
熱する工程である。この予熱工程は、工程サイクル短縮
のため、必要に応じて行う工程である。b〜cの時間
は、前処理として金型に必要に応じて乾燥したPBIを
充填し、突き固める工程である。圧力は一般に50〜3
50kg/cm2程度の条件が採用され、前の工程で予
熱を行った場合には、予熱状態の温度を維持する事が好
ましい。c〜dの時間は、焼結工程を施す前に、焼結工
程の温度まで加熱処理を行う加熱工程である。この処理
では、b〜cの工程において、PBIを突き固めた位置
にプレスを固定し、外部から金型に対しては、圧力をか
けない事が重要である。この状態でのプレス機に加える
外圧は0kg/cm2である。前の工程で予熱を行わな
かった場合には、温度は室温から、予熱をした場合に
は、その温度から、350〜600℃の範囲の一定温度
へ温度変更される。加熱工程の所要時間は、通常1時間
30分〜2時間30分である。d〜eの時間は、加熱工
程により焼結温度まで加熱された後に、金型に所定の圧
力を加えることにより焼結処理を行う、焼結工程であ
る。加圧開始は、加熱工程の終了後0〜100分後、好
ましくはPBI焼結体より分解ガスがほぼ出つくした
後、例えば5〜60分後に行なう。焼結工程は分解ガス
を放出させる工程と加圧する工程を含め所要時間として
60〜350分である。e〜fの時間は、焼結が終了し
た後に、PBI焼結体を冷却する工程である。焼結工程
での設定温度がその原料PBIのTg以上の場合、焼結
体の温度がTg以上の時に圧力を解除するとPBI焼結
体のスプリングバックが生じ、所望の成形体が得られに
くいので、e1まで冷却された段階で(焼結体がPBI
のTgを下まわったとき)、圧力を低下させるとよい。
また、焼結体の構造が複雑なもの、あるいは工程の条件
により2段階以上の工程により圧力を低下させてもよ
い。具体的な一例としては、PBI原料としてポリ−
2,2′−(m−フェニレン)−5,5′−ジベンズイ
ミダゾールを用いた場合、PBIのガラス転移温度であ
る427℃を下まわったとき、圧力を350kg/cm
2に設定する(e1)。次に、温度が350℃に低下した
ときに(e2)、圧力を190kg/cm2に低下させる
ことができる。本発明の方法で得られるPBI焼結体
は、ケトン、有機酸、油井塩水、油井サワーガスまた芳
香族、脂肪族およびハロゲン化炭化水素に対して化学的
耐性が大きい。したがって、本発明の方法で得られるP
BI焼結体は極めて高温あるいは厳しい化学環境の様
な、他樹脂では適用することができない用途又は耐久性
が重要である用途に特に有効である。本発明の方法で得
られるPBI焼結体は石油分野のガスケット、シール、
O−リング、ベアリング、半導体製造治具、ギア、軸受
および弁に、また地熱、石油化学その他の工業用途に特
に好ましく用いられる。
【0011】以上、本発明を実施例を基に更に詳細に説
明する 実施例 固有粘度0.55dl/gをもつ、ポリ−2、2′−
(m−フェニレン)−5、5′ジベンズイミダゾール粉
末樹脂を強制空気対流オーブン中150℃で12時間乾
燥させ、樹脂中の水分や揮発成分を取り除いた。200
℃に金型を予熱した後、上記の乾燥した粉末樹脂を6k
gを、□320×35tの金型に充填し、650ton
油圧プレスにより100kg/cm2で加圧縮し、樹脂
を密に充填した。この後、プレスの上ラムを密に充填し
た位置に固定し、圧を解除し、0kg/cm2にした。
外部から圧力を加えない状態で金型に内蔵したヒーター
で金型プレス内の原料樹脂を470℃に昇温した。この
間、2時間を要した。次いで、470℃にて30分後、
金型を600kg/cm2に加圧し、470℃で3時間
保った。その後、降温を開始した。まず、温度が427
℃を下まわった時、加圧力を350kg/cm2に下げ
た。次いで、金型温度が約200℃になったところで焼
結体を金型より取り出した。この焼結体は、23℃にお
いて平均の引張強さ1800kg/cm2を有してい
た。
【0012】
【表1】
【0013】比較例 実施例と同様にPBI原料粉末を乾燥させた。φ270
×φ180×30tの焼結体を得る目的で、金型温度2
00℃で、原料粉を金型に充填し、充填後すぐに350
kg/cm2の圧力をかけて460℃に到達後、圧力を
取り去り、460℃の温度下4時間保持した。その後、
プレス圧を350kg/cm2とし、いったんPBI焼
結体を420℃に冷却した、引き続き圧力を保持したま
ま、PBI焼結体を460℃で90分加熱した。最後
に、200℃まで降温させ、焼結体を取り出したとこ
ろ、焼結体は割れていた。これは、昇温中に発生するガ
スが焼結体内にボイドとして残存し、このガスの膨張力
で発生する応力により焼結体を変形させ破壊したことを
示している。同様の条件で焼結温度460℃に保持する
時間を6時間にしたところ焼結体は酸化分解によりガラ
ス状のものとなった。これは焼結工程においてPBIの
酸化分解が進行している事を示す。実施例とヘキストセ
ラニーズ社の方法を用いた上記の比較例により得られた
焼結体の物性値を表1に示した。ここで物性値として
は、引張破壊強さ、引張破壊伸び及び引張弾性率に代表
される機械的性質、平均熱膨脹係数に示される熱的性
質、そして電気的性質として絶縁破壊強さを計測した。
表1の物性値より本発明で得られるPBI焼結体が従来
の製造法により得られた焼結体に比べ、優れた特性を示
す結果となった。この原因としては、焼結体中にボイド
がほとんどないことや本発明の焼結工程においては焼結
体が空気中の酸素と接触しないため、酸化劣化しにく
く、強度の低下が見られないことが挙げられる。また、
本発明の方法によるPBI焼結体は、ボイドの発生や酸
化劣化が少ないため、製品間の品質のバラツキが少な
く、均一な焼結体を歩留まりよく製造することが可能と
なる。さらに、PBI分解ガスを焼結体から除去するこ
とが可能であるため、厚さの厚いPBI焼結体を製造す
ることが容易である。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、PBI焼結体のボイド
の発生を防止でき、またスプリングバックによって発生
する酸化劣化したボーラス状で強度の弱い成形部分のな
い、充分な強度のある焼結体を、たとえ焼結体の厚さの
厚いものでも歩留まり良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の焼結方法(前記ヘキストセラニーズ社の
方法)について、時間に対する温度及び圧力の関係を示
した図である。
【図2】本発明のPBI焼結体の製造方法について、時
間に対する温度及び圧力の関係を示した図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリベンズイミダゾール樹脂を焼結し
    て、ポリベンズイミダゾールの焼結体を製造する方法に
    おいて、 (1)ポリベンズイミダゾール樹脂を一定形状の金型に
    充填する工程、 (2)ポリベンズイミダゾール樹脂が密となるように金
    型を閉じ、外部から圧力を加えない状態で、金型を35
    0〜600℃の一定温度まで上昇させる加熱工程、 (3)一定温度に到達後、当該一定温度を保ちつつ、0
    〜100分経過後、金型の圧力を140〜1400kg
    /cm2に上げ、60〜250分間当該温度と圧力を一
    定に保持して焼結する焼結工程、 (4)金型の温度を50〜400℃に下げる冷却工程、
    及び (5)ポリベンズイミダゾール焼結体を金型から取り出
    す工程をこの順序で含むことを特徴とするポリベンズイ
    ミダゾール焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の製造方法において、上記
    工程(1)の前または後に金型を100〜400℃の一
    定温度に予熱しておく工程をさらに含むことを特徴とす
    るポリベンズイミダゾール焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1における加熱工程(2)の前
    に、ポリベンズイミダゾール樹脂に対し、50〜350
    kg/cm2の圧力下に30分以下で処理する工程(充
    填工程)をさらに含むことを特徴とする請求項1または
    2記載のポリベンズイミダゾール焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1における冷却工程(4)におい
    て、上記焼結工程(3)での一定温度が、用いるポリベ
    ンズイミダゾール樹脂のガラス転移点以上の場合、ポリ
    ベンズイミダゾール焼結体の温度がポリベンズイミダゾ
    ールのガラス転移点を下まわる温度となるまで焼結工程
    での一定圧力を維持しておき、その後ポリベンズイミダ
    ゾールに外部から加える圧力を0kg/cm2まで下げ
    ることを特徴とする請求項1乃至3項記載のいずれかの
    ポリベンズイミダゾール焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1における冷却工程(4)におい
    て焼結体の温度が用いたポリベンズイミダゾールのガラ
    ス転移点を下まわっている場合、圧力を5〜60分間隔
    で少なくとも2段階で50〜300kg/cm2づつ降
    下させることを特徴とする請求項1乃至4記載のいずれ
    かのポリベンズイミダゾール焼結体の製造方法。
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