JPH10154357A

JPH10154357A - 光ディスクとその製造方法

Info

Publication number: JPH10154357A
Application number: JP8310650A
Authority: JP
Inventors: Toshiyuki Matsumoto; 敏幸松本
Original assignee: Kao Corp
Current assignee: Kao Corp
Priority date: 1996-11-21
Filing date: 1996-11-21
Publication date: 1998-06-09

Abstract

(57)【要約】【課題】光ディスクの回転時における板面の平坦度を
改善する。【解決手段】光ディスク１板面の歪を検出し、この歪
部におもり２を付加する。そして、おもり２に回転時に
作用する遠心力Ｆのうち、光ディスク１の板面に垂直な
成分Ｆv により歪部を矯正する。具体的には、回転軸Ｘ
に垂直な基準面Ｓからの変位量が周方向に極大となる歪
部におもり２を付加する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ＣＤ−Ａｕｄｉ
ｏ、ＣＤ−ＲＯＭ、ＣＤ−Ｒ、ＣＤ−Ｅ、ＤＶＤ等の円
板状の光学式情報記録媒体である光ディスクおよびその
製造方法に関し、特に、記録再生時の板面の平坦度を改
善した光ディスクおよびその製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ＣＤ−Ａｕｄｉｏ、ＣＤ−ＲＯ
Ｍ、ＣＤ−Ｒ、ＣＤ−Ｅ、ＤＶＤ等の光ディスクは、ス
タンパを用いた射出成形法により形成され、情報が記録
されたプラスチックの基板に、反射膜の蒸着、保護膜の
形成、レーベルの印刷等の加工を施して製造される。

【０００３】このようにして製造される光ディスクで
は、射出成形工程の成型条件によってはプラスチックの
基板が歪み、板面に歪部が形成されることもある。さら
に、その後の保護膜形成工程でも、プラスチックの基板
と保護膜としての紫外線硬化樹脂との収縮率の違いによ
り、板面に同様の歪部を生じる場合がある。これらの原
因により歪部の生じた光ディスクを３次元的に表すと、
例えば図５に示す斜視図のような形状になるのが通常で
ある。この光ディスクの同心円上（半径25mm、35mm、45
mmおよび55mm）における板面の歪を周方向に測定する
と、図６に示すように、半径方向に同一の位相を有し、
外周部に近づくほど振幅が大きくなる歪部が形成されて
いることがわかった。

【０００４】この歪の振幅は通常50〜 100μm 程度だ
が、急峻な凹凸や許容範囲を越えた歪部を有する場合、
再生装置等の光ピックアップの焦点制御が板面に追従で
きず、データの読み取り（または書き込み）ができない
ことも考えられる。上述のような不都合を解消するため
に、従来、射出成型工程の成型条件を細かく調節するな
どして歪を小さく抑えるように工夫するとともに、検査
後、歪の程度が大きいものは廃棄していた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の光ディスクおよびその製造方法では、微妙な
成型条件の違いでも歪部が発生するため、その調節が極
めて煩雑であるという問題点があった。また、規格には
ずれたものを安易に廃棄するのは、製造コストや自然環
境の面からも好ましくないといった問題点もあった。

【０００６】本発明はこのような従来の問題点に鑑み、
板面に生じた歪部を矯正して信頼性の高いデータの入出
力を可能とする光ディスクとその製造方法を提供するこ
とを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】このため、請求項１に係
る発明では、円板状の光学式情報記録媒体である光ディ
スクにおいて、該光ディスク板面の歪部におもりを付加
し、使用時（回転時）にこのおもりに作用する遠心力の
うち、板面に垂直な成分によって光ディスク板面の歪部
を矯正して平坦度を改善する。

【０００８】特に、請求項２に係る発明のように、前記
歪部のうち前記光ディスクの回転軸に垂直な基準面から
の変位量が周方向に極大となる部位に前記おもりを付加
すれば、歪の大きい部位が矯正されて、光ディスク全体
の平坦度が改善される。このようなおもりを付加する方
法として、請求項８に係る発明では、前記光ディスク板
面の歪部を検出し、該歪部におもりを付加する。

【０００９】そして、請求項９に係る発明では、前記歪
部の検出は、前記光ディスクの中心を含み回転軸に垂直
な基準面に対する変位量を検出し、該変位量が周方向に
極大となる部位に前記おもりを付加する。前記おもりに
作用する遠心力の大きさは、前記おもりの質量、回転軸
からの距離、および回転速度に応じた値となるため、請
求項３に係る発明では、前記光ディスクの基準面に対す
る変位量、すなわち矯正しなければならない歪の大きさ
に対応した質量を有するおもりを付加する。

【００１０】また、請求項４に係る発明では、前記光デ
ィスクの中心から前記おもりの付加される位置までの距
離に対応した質量を有するおもりを付加する。さらに、
規格等で駆動時の回転速度が一意に決定されている場合
には、請求項10に係る発明のように、前記光ディスク使
用時の回転速度に応じた質量を有するおもりを付加する
ようにする。

【００１１】おもりの材質については特に限定されない
が、請求項５に係る発明のように、前記光ディスクの基
板と同一の光学的特性を有する材料を用いたおもりであ
れば、記録再生用レーザ光に影響を与えないので、前記
レーザ光が照射される部位に付加することもできる。さ
らに、作業性を考慮すると、請求項６および請求項11ま
たは請求項７および請求項12に係る発明のように、印刷
用インクや粘着シートを用いたおもりが好ましく、色や
形状を工夫すれば光ディスクの商品としての品位を損な
うこともない。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。先ず、本発明の光ディスク（およ
び本発明の方法により製造される光ディスク）の歪が回
転時に矯正される原理を図１に示す。光ディスク１の回
転時、光ディスク１の歪部（図１は下方に歪んだ部分の
断面を例示）に付加されたおもり２には、おもり２から
回転軸Ｘに下した垂線Ｌの方向で、回転軸Ｘから離れる
向きに遠心力Ｆがはたらく。このうち光ディスク１の板
面に垂直な成分Ｆv は、光ディスク１の中心点Ｏを含み
回転軸Ｘに垂直な基準面Ｓに向かう方向、即ち歪を矯正
する方向に作用する（光ディスク１の回転速度が十分に
大きければ、おもり２に作用する重力の影響は無視でき
る）。

【００１３】このとき、回転軸Ｘのまわりの角速度を
ω、おもり２から回転軸Ｘに下した垂線Ｌの長さをρ、
おもり２の質量をｍとすると、遠心力Ｆの大きさはｍω
²ρになる。このうち光ディスク１の板面に垂直な成分
Ｆv の大きさは、基準面Ｓに対する実際の光ディスク１
の角度をθ（θはその部分の基準面に対する変位量に比
例した値）とすると、ｍω²ρ sinθである。このた
め、おもりの質量ｍは、角度θ、垂線Ｌの長さρおよび
角速度ω（回転速度）に応じて決定すればよい。

【００１４】次に、光ディスクの歪を測定し、おもりを
付加する手順を図２に従って説明する。光ディスク１の
歪は、市販の測定器を用い、前述した光ディスク１板面
の基準面に対する変位量を、光ディスク１板面の中心Ｏ
から等距離にある位置について周方向に測定すること
で、その位置と大きさとを評価することができる。具体
的には、図２に示すように、回転駆動装置３に光ディス
ク１をセットし、レーザ変位計４を用いて、光ディスク
１を回転させながら基準面に対する板面の変位量を測定
する。歪部の位置は、光ディスク１の半径方向に設けた
基準線Ｍに対する角度φとして検出する。レーザ変位計
４に代えて、レーザドップラ振動計などの非接触型の変
位測定器や、接触型の変位測定器を用いてもよい。

【００１５】そして、上記測定で特定された歪が生じて
いる部位におもり２を付加する。前述したように、光デ
ィスク１板面の歪は半径方向に同一の位相を有している
が、このうち基準面Ｓからの変位量が周方向に極大とな
る位置（例えば、半径Ｎ上の点ｎ）におもり２をつけ、
光ディスク１の回転時に基準面Ｓ方向へ向かう力を作用
させるようにすれば、板面全体を平坦な状態に近づける
ことができる。おもり２の質量は歪の大きさに応じて決
定し、歪が大きいほどおもり２の質量を大きくする。

【００１６】また、同じ半径方向で、光ディスク１の中
央部から外周部に近づくほど基準面Ｓからの変位量が大
きくなるように歪が生じているため、おもり２の質量を
調節することにより、同一半径方向で、光ディスク１の
性能やレーベルのデザイン等に影響を与えない部位を選
択しておもり２を付加することもできる。このとき、お
もり２を付加する部位が外周部に近いほど、より質量の
小さいおもりでよい。

【００１７】また、規格等により光ディスク１の回転速
度が所定の値に決定されている場合には、その回転速度
に応じた質量のおもりを付加すればよく、回転速度の大
きいものほど小さい質量のおもりで効果を得ることがで
きる。おもり２は、光ディスク１の表裏面どちらにでも
付加できる。本発明において、基準面Ｓからの変位量が
周方向に極大となる位置の表面と裏面とは、いずれか一
方が凹部で、他方が凸部となっているが、板面を平坦に
するという観点等からは、図３（ａ）に示すように、凹
部側におもり２ａ、２ｂを付加するのが好ましい。即
ち、図３（ｂ）のように歪んだ板面に対し、２ａ’、２
ｂ’の位置ではなく、２ａ、２ｂの位置におもりを付加
するのが好ましい。

【００１８】おもり２の材料としては、作業性や付加後
の見栄えから、印刷用インクや粘着シートが適してい
る。特に、可視光に対して透明なものであればレーベル
上に付加してもそのデザインに影響を与えるおそれが少
なく、記載された内容が隠れることもないため好都合で
ある。また、半透明な材料や着色された材料を用い、お
もりがレーベルのデザインの一部になるように工夫して
もよい。

【００１９】材料選択の幅は狭くなるが、光ディスクの
基板と同一の光学的特性をもつ材料を用いれば記録再生
用レーザ光への影響がなく、レーザ光が照射される面に
おもりを付加することもできる。また、おもり２の大き
さ（面積・厚み等）は任意に選択することが可能であ
る。たとえば、厚みを厚くして面積を小さくすること、
厚みを薄くして面積をそれに応じて大きくすること、い
ずれも可能である。また、おもりの数は１つの歪部に対
して１つでなくともよい。たとえば、１箇所のみに付加
したのではおもりの大きさが許容範囲を越えてしまう場
合、あるいはデザイン上の観点から好ましいと思われる
場合には、前記歪部を有する半径方向に、全体として歪
部を矯正するだけの力がはたらくように複数箇所におも
りを付加してもよい。さらに、おもりの形状についても
特に制限はない。たとえば円形、角形、不定型等、任意
に選択可能である。

【００２０】このような本発明光ディスクの製造方法を
用いた実験例を以下に示す。先ず、図２と同様の構成の
回転駆動装置に試料の光ディスク（ＣＤ）を取り付け、
レーザ変位計４にて光ディスク１の中心Ｏからの距離が
55mmの位置で周方向に板面の歪を測定した（回転数は 1
446rpmで測定）。この結果、図４（ａ）に示すように、
記録再生用レーザ光が照射される面側に凸となる歪が基
準線Ｍ（０°）近傍に検出され、その大きさは 188μm
であった。

【００２１】次に、検出された歪を矯正するために、記
録再生用レーザ光が照射されない面側の、基準線Ｍ上で
光ディスク１の中心Ｏから48mmの位置（凹になっている
部位）に粘着シートからなるおもりを貼付し、前述と同
様の方法で光ディスク１の歪を測定した。貼付する粘着
シートの数を増やすことにより、おもりの重量を増加さ
せながら同様の測定を繰り返したところ、約0.6gのおも
りを付加した状態で、図４（ｂ）に示すように、基準線
Ｍ上で中心Ｏからの距離が55mmの位置における歪の大き
さは 100μm にまで減少した。

【００２２】このことにより、本発明の方法により製造
した光ディスクは、回転時に板面の歪が矯正されること
が確認された。さらに実験を繰り返すことにより、歪の
大きさ、光ディスクの材質、回転数、おもりを付加する
位置等に対応させて、歪を矯正するために必要なおもり
の質量を調べておけば、容易に最適なおもりを選択し付
加することができる。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１および請
求項８に係る発明によれば、光ディスクの回転時にその
歪を矯正することができるので、データの正確な入出力
を行うことができるという効果がある。特に、大容量で
高速なデータの入出力においても安定して行うことがで
きる。

【００２４】また、光ディスク本体の成型後に加工して
歪を矯正できるので、成型条件の制限を緩和することが
できる。さらに、従来の規格に外れたものも廃棄せずに
使用できるため、製品の歩留まりが改善され、コストを
低減できるという効果もある。また、請求項２および請
求項９に係る発明によれば、光ディスクの基準面からの
変位量が極大となる歪部におもりを付加することで、最
も効果的に歪を矯正することができるという効果があ
る。

【００２５】また、請求項３に係る発明によれば、光デ
ィスクの基準面に対する変位量に対応した質量のおもり
を付加することで、過不足のない矯正ができる。また、
請求項４に係る発明によれば、おもりの質量を調節する
ことにより、おもりを付加する位置に自由度を与えるこ
とができるという効果がある。また、請求項５に係る発
明によれば、光ディスクの記録再生用レーザ光が照射さ
れた面におもりを付加する場合は、製造環境等に合わせ
ておもりの付加位置を自由に設定できる。さらに、両面
記録の光ディスクにも対応できるという効果もある。

【００２６】また、請求項６〜請求項７および請求項11
〜請求項12に係る発明によれば、印刷用インクや粘着シ
ートを用いたおもりにより、作業性よく、容易におもり
を付加して光ディスクの歪を矯正できるという効果があ
る。また、請求項10に係る発明によれば、光ディスクの
回転速度に応じた質量を有するおもりを付加することに
で、実際の使用に合わせた必要かつ十分な矯正ができる
という効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の原理を説明する図

【図２】本発明の光ディスクの製造方法を説明する図

【図３】おもりを付加する位置を示す図

【図４】本発明の方法による実験結果を示す図

【図５】射出成型後の光ディスクの外形を説明する図

【図６】光ディスクの歪を示す図

【符号の説明】

１光ディスク２おもり３回転駆動装置４レーザ変位計

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】円板状の光学式情報記録媒体である光ディ
スクにおいて、該光ディスク板面の歪部におもりを付加
したことを特徴とする光ディスク。
【請求項２】前記おもりは、前記歪部のうち前記光ディ
スクの回転軸に垂直な基準面からの変位量が周方向に極
大となる部位に付加したことを特徴とする請求項１に記
載の光ディスク。
【請求項３】前記おもりは、前記光ディスクの中心を含
み回転軸に垂直な基準面に対する変位量に対応した質量
を有することを特徴とする請求項１または請求項２に記
載の光ディスク。
【請求項４】前記おもりは、前記光ディスクの中心から
前記おもりの付加される部位までの距離に対応した質量
を有することを特徴とする請求項１〜請求項３のいずれ
か１つに記載の光ディスク。
【請求項５】前記おもりは、前記光ディスクの基板と同
一の光学的特性を有する材料を用いたものであることを
特徴とする請求項１〜請求項４のいずれか１つに記載の
光ディスク。
【請求項６】前記おもりは、印刷用インクであることを
特徴とする請求項１〜請求項５のいずれか１つに記載の
光ディスク。
【請求項７】前記おもりは、粘着シートであることを特
徴とする請求項１〜請求項５のいずれか１つに記載の光
ディスク。
【請求項８】円板状の光学式情報記録媒体である光ディ
スク板面の歪部を検出し、該歪部におもりを付加するこ
とを特徴とする光ディスクの製造方法。
【請求項９】前記歪部の検出は、前記光ディスクの中心
を含み回転軸に垂直な基準面に対する変位量を検出し、
該変位量が周方向に極大となる部位に前記おもりを付加
することを特徴とする請求項８に記載の光ディスクの製
造方法。
【請求項10】前記おもりは、前記光ディスク使用時の回
転速度に応じた質量を有することを特徴とする請求項８
または請求項９に記載の光ディスクの製造方法。
【請求項11】前記光ディスクに印刷用インクを塗布する
ことにより前記おもりを付加することを特徴とする請求
項８〜請求項10のいずれか１つに記載の光ディスクの製
造方法。
【請求項12】前記光ディスクに粘着シートを貼りつける
ことにより前記おもりを付加することを特徴とする請求
項８〜請求項10のいずれか１つに記載の光ディスクの製
造方法。