JPH10153605A - 光ファイバープローブ - Google Patents
光ファイバープローブInfo
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- JPH10153605A JPH10153605A JP31392196A JP31392196A JPH10153605A JP H10153605 A JPH10153605 A JP H10153605A JP 31392196 A JP31392196 A JP 31392196A JP 31392196 A JP31392196 A JP 31392196A JP H10153605 A JPH10153605 A JP H10153605A
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Abstract
い光ファイバープローブを提供し、近接場光学顕微鏡の
分解能と検出効率を改善する。 【解決手段】 光ファイバープローブの先鋭部1表面
に、先端部を除いて第1の金属層2を形成するととも
に、前記第1の金属層2上と先端部を覆って第2の金属
層3を形成する。あるいは、先鋭部表面に、第1の金属
層、誘電体層及び第2の金属層を形成し、これら各層の
厚さを先端部での厚さが他の領域での厚さより薄くなる
ようにする。
Description
ーブ顕微鏡の一つである近接場光学顕微鏡において、エ
バネッセント光を検出する光プローブとして使用される
光ファイバープローブに関する。
の分解能は使用される光の波長(回折限界)によって制
限される。
波長以下)の構造を持つプローブを備えた近接場光学顕
微鏡においては、光の波長を超えた分解能をもつ光学像
を得ることができる。したがって、この近接場光学顕微
鏡技術を利用することにより、ナノメートル級の分解能
で、例えば生体試料、半導体試料、光メモリー材料、感
光性材料等の物体の形状測定や分光測定、さらにはメモ
リー操作(書き込み/読み出し/消去)、光加工などを
行うことができる。
である。この顕微鏡は、物体表面の光の波長より小さい
領域に局在するエバネッセント光を検出して物体の形状
を測定するものであり、全反射条件下で物体にレーザ光
が照射されることにより生じたエバネッセント光70
を、プローブ72のナノメートルサイズとなされた先鋭
部71の先端によって散乱させる。
形成されており、プローブ72の先鋭部71によって散
乱された光は当該先鋭部を通じて光ファイバーのコアに
導かれる。そして、コア内に導かれた光は、光ファイバ
ーのもう一方の端部(出射端)から出射し、検出器によ
り検出される。つまり、この顕微鏡では、光ファイバー
プローブによって散乱と検出の両方が行われる。そし
て、このとき、プローブを物体上で走査させることによ
り、2次元的な検出光の画像を得ることができる。
の先端がナノメーターサイズとなされたプローブ(Ti
pプローブ)の代わりに、金属等の遮光性被覆層を先鋭
部の先端を除いて形成することで、この先鋭部の先端に
ナノメーターサイズの開口を形成したプローブ(開口プ
ローブ)も使用することができる。
上に生成したエバネッセント光をプローブによって集め
るものであり、コレクションモードと称される。
ーブの開口に生じせしめたエバネッセント光で、物体を
局所的に照らして画像を得るイルミネーションモード
や、プローブの開口に生じせしめたエバネッセント光で
物体を局所的に照らすとともに、プローブの開口によっ
て散乱させた光をプローブを通じて検出して画像を得る
イルミネーション・コレクションモードが知られてい
る。
とプローブの間のエネルギー移動の現象は、それらの分
極間の近距離相互作用として理解される。ここで物体と
プローブの間で効果的に相互作用が生じる条件として
は、第1に物体とプローブのサイズが近いこと、第2に
物体とプローブの間の距離がプローブのサイズ(Tip
プローブにおいては先端径、開口プローブにおいては開
口径である。)以下になることである。
ノメートル級の分解能を得るためには、ナノメートルサ
イズの先端径のTipプローブあるいはナノメートルサ
イズの開口径の開口プローブを作製することが重要であ
る。
層から先鋭部が突出した開口プローブでは、この突出し
た先鋭部(誘電体)の先端径を微小化することで分解能
を高めることができる。しかし、この開口プローブは散
乱効率点で先端部が金属よりなる金属チップに及ばな
い。
大きい場合ほど増大するので、散乱効率の点では、チッ
プの先端は金属等の誘電率(絶対値)の大きい材料によ
って構成されていることが望ましい。また、一般に金属
に光が照射された場合、自由電子の粗密が励起される。
この励起された自由電子の粗密はプラズモンと称され
る。チップ先端が金属である場合、試料とチップが分極
間近距離相互作用をすることによって、チップ側あるい
は試料側あるいは両方において、このプラズモンが励起
される。さらに、近距離相互作用によってチップの屈折
率がある波長の光に対して非線形に変化して共鳴を起こ
す。金属チップでは、このようなプラズモンの励起や共
鳴によって電場が増強されることが期待される。
ものの、コレクションモードで使用する場合、金属製の
チップ内では光が伝搬できないために、当該チップの側
方に散乱する光を集光して検出せざるを得ない。この場
合、チップの最先端からの散乱光のみを弁別するのは困
難な場合が多く、金属チップは分解能を得るには不利で
ある。
鑑みて提案されたものであり、分解能と散乱効率のいず
れにおいても優れた光ファイバープローブを提供するこ
とを目的とする。
めに、本発明の光ファイバープローブは、コアの周り
に、クラッドが設けられてなる光ファイバーよりなり、
光ファイバーの一端に基端部から突出したコアを先鋭化
することで形成された先鋭部を有する光ファイバープロ
ーブであって、上記先鋭部表面に、先端部を除いて第1
の金属層が形成されるとともに、前記第1の金属層上と
先端部を覆って第2の金属層が形成されていることを特
徴とするものである。
れていることを特徴とするものである。
1の金属層が形成された領域では光の入射が遮られるの
で、この第1の金属層が形成されていない先端部におい
て光が選択的に取り込まれる。したがって、高い分解能
が得られる。
きい誘電率(絶対値)を持つので、エバネッセント場を
高い散乱効率で散乱することができる。
設けると、第2の金属層の腐食が防止されるようにな
り、耐久性が向上する。
ローブは、コアの周りに、クラッドが設けられてなる光
ファイバーよりなり、光ファイバーの一端に基端部から
突出したコアを先鋭化することで形成された先鋭部を有
する光ファイバープローブであって、上記先鋭部表面
に、第1の金属層、誘電体層及び第2の金属層が形成さ
れていることを特徴とするものである。
端部において、第1の金属層と先鋭部の間にプラズモン
が励起され、エバネッセント場を高い散乱効率で散乱す
ることができる。
では光の入射が遮られるので、この第2の金属層が形成
されていない先端部において選択的に光が取り込まれ
る。したがって、高い分解能が得られる。
形成されているので、この誘電体層がバッファー層とし
て機能し、テーパー部において先鋭部と第2の金属層と
の境界でプラズモンが励起されることによって生じるT
Mモードの損失が抑えられる。
て説明する。
にエバネッセント光を励起し、そのエバネッセント光の
散乱光を検出することによって光の画像を得る、近接場
光学顕微鏡に装備される。
ションモードの近接場光学顕微鏡においては、光の波長
より小さい波長領域において物体を照らすための照明、
すなわちエバネッセント光の照明として機能する。ま
た、コレクションモードの近接場光学顕微鏡において
は、物体上に励起されたエバネッセント光を散乱する散
乱物として機能するとともに、散乱光を検出器に導くた
めの導波路として働く。またイルミネーション・コレク
ションモードでは、光ファイバープローブは照明と散乱
物の両方として働く。
の第1の実施の形態を図1に示す。
にクラッドが形成されてなる光ファイバーよりなってお
り、この光ファイバーの一端に、図1に示すように、ク
ラッドから突出したコアを先鋭化することによって形成
された先鋭部1を有している。
場を散乱させて散乱光を取り込む導入部であり、特に、
この光ファイバープローブでは、この先鋭部1の表面の
うち先端部1aとその周辺を除いて第1の金属層2が形
成されるとともに、この第1の金属層2上に先鋭部1の
全体を覆って第2の金属層3が形成されている。
鋭部1の先端部1aを除いて形成された第1の金属層2
が遮光性被覆層として機能し、この第1の金属層2が形
成された領域では光の入射が遮られる。したがって、試
料からの光は第1の金属層2が形成されていない先端部
1aから第2の金属層3を透過して選択的に取り込まれ
る。つまり、第1の金属層2によって先鋭部1の先端部
1aにdFなる開口径の微小開口が形成されたかたちに
なっている。したがって、外乱光等の影響を受けず、エ
バネッセント光を高い分解能で検出することができる。
層3が形成されていることによって、この大きい誘電率
(絶対値)を持つ第2の金属層3にプラズモンが励起さ
れる。したがって、このプローブをイルミネーションモ
ードに適用した場合には第2の金属層3に励起されたプ
ラズモンによって、エバネッセント光による試料の励起
効率が増大する。また、コレクションモードに適用した
場合には、この金属層3の先端によって試料のエバネッ
セント場を高い散乱効率で散乱させることができる。
て、第1の金属層2はアルミニウム、金、銀、ニッケ
ル、クロム等によって構成される。第1の金属層2の厚
さtM1は、遮光に必要な厚み、例えば100nm以上と
されていることが必要である。
金、銀等によって構成される。第2の金属層3の厚さt
M2は、エバネッセント場の散乱を増強するのに十分なプ
ラズモンが励起できるだけの厚さ、すなわち数十nm以
下、具体的には1〜50nmであることが望ましい。但
し、この厚さがあまり厚くなると、先端径dA1が大きく
なり分解能が劣化するので、このうち比較的薄い厚さを
選択するのが望ましい。
法や真空蒸着法等の乾式の薄膜形成技術あるいは無電界
めっき法といった湿式の薄膜形成技術によって形成でき
る。
パッタガスをプラズマ中でイオン化してターゲット表面
に衝突させ、これによってターゲットから飛翔したスパ
ッタ粒子を被処理面に被着させることで薄膜を形成する
方法である。このスパッタリング法では、光ファイバー
全体に略均一に第1の金属層2が形成される。
条件を制御することによって、第1の金属層が不要な先
端部で膜の厚さを薄くすることができる。
せ、この蒸気を被処理面に被着させることで薄膜を形成
する方法である。この真空蒸着法では、蒸着粒子の直進
性が高いことから、真空蒸着器内で、光ファイバーを当
該光ファイバーの中心軸を中心にして回転させ、この中
心軸との交差角が90゜となるような方向から、あるい
はファイバー先端に対して陰を作る90゜以下となるよ
うな方向から、蒸着粒子を入射させることによって、外
周面に比べて先端部での厚さが薄くなるように金属層2
を成膜することができる。
ための金属塩、還元剤に加えて金属被膜を一定速度で析
出させるための錯化剤、緩衝剤、安定剤等が溶解された
水溶液(無電解めっき液)を用い、金属イオンと還元剤
の酸化還元反応によって被処理面に金属のめっき膜を析
出させるものである。
2を形成するには、まず、先鋭部の表面にパラジウム等
の触媒金属核を析出させて活性化処理を行う。
に無電解めっき液によりニッケル等のめっき膜を形成す
る。めっき膜は、先鋭部1の先端部1aのような、いわ
ば針のような尖った形状の表面には析出しにくいので、
先鋭部1の先端部1a以外で十分な膜厚のめっき膜が堆
積し、且つ先鋭部1の先端部1aでめっき膜が析出して
いない段階でめっきを停止することによって、先端部1
aに開口部を有したかたちで第1の金属層2が形成され
ることになる。
属層2が形成された場合には、例えば化学エッチング法
によってこの先端部1aの第1の金属層2を除去する。
1の金属層2を除去するには、まず、化学エッチング液
に対して耐腐食性を有する被覆層を、第1の金属層2上
に先端部1aを除いて形成する。耐腐食性被覆層は、誘
電体や金属を真空蒸着法によって成膜した蒸着膜であっ
てもよく、合成樹脂の溶液に先鋭部を浸漬させることで
形成される樹脂膜であっても構わない。
た光ファイバーをエッチング液に浸漬すると、この耐腐
食性被覆層から露出している先端部1aの第1の金属層
2のみが選択的にエッチングされ、先鋭部1先端部1a
に開口部が形成されたかたちになる。なお、エッチング
液は、エッチングすべき金属材料に応じて適宜選択さ
れ、アルミニウムの場合にはNaOH等のアルカリ溶液
が用いられ、Auの場合にはKI−I2水溶液等が用い
られる。
後、第2の金属層3を形成する。第2の金属層3は、第
1の金属層2と同様に、スパッタリング法や真空蒸着法
等の乾式の薄膜形成技術あるいは無電界めっき法といっ
た湿式の薄膜形成技術によって形成できる。
の第2の実施の形態を図2に示す。なお、図2で付した
符号は、図1に対応するものについては図1と同様の符
号を使用した。
の形態の光ファイバープローブにおいて、第2の金属層
3の上に、さらに誘電体層4を設けたものである。すな
わち、この光ファイバープローブは、コアの周りにクラ
ッドが形成されてなる光ファイバーよりなっており、こ
の光ファイバーの一端に、クラッドから突出したコアを
先鋭化することによって形成された先鋭部1を有してい
る。そして、特に、この光ファイバープローブでは、先
鋭部1表面のうち先端部1aを除いて第1の金属層2が
形成されるとともに、この第1の金属層2上に先鋭部全
体を覆って第2の金属層3及び誘電体層4が形成されて
いる。
鋭部1の先端部1aを除いて形成された第1の金属層2
が遮光性被覆層として機能し、この第1の金属層2が形
成された領域では光の入射が遮られる。したがって、試
料からの光は、第1の金属層2が形成されていない先端
部1aから第2の金属層3を透過して選択的に取り込ま
れる。つまり、第1の金属層2によって先端部1aに微
小開口が形成されたかたちになっている。このため、外
乱光等の影響を受けず、エバネッセント光を高い分解能
で検出することができる。
電率(絶対値)を持つ第2の金属層3が形成されている
ため、このプローブをイルミネーションモードに適用し
た場合には、この金属層3に励起されたプラズモンによ
って、エバネッセント光による試料の励起効率が増大す
る。また、コレクションモードに適用した場合には、こ
の金属層3の先端によって試料のエバネッセント場を高
い散乱効率で散乱させることができ、検出効率が向上す
る。
れた誘電体層4によって、外部環境の腐食因子と第2の
金属層3との接触が遮られる。これにより、第2の金属
層3の耐腐食性が改善されることになる。特に、第2の
金属層3として銀を用いた場合には、銀は散乱効率の点
では他の金属に比べて優れる反面、非常に酸化し易いこ
とから腐食が問題となる。ここで、第2の金属層3の上
に誘電体層を設けると、第2の金属層3として銀を用い
た場合でも腐食の問題が回避され、銀のような特性に優
れた金属が自由に選択できるようになる。
の金属層2、第2の金属層3としては第1の実施の形態
で例示したものがいずれも使用可能である。
gF2,CaF2,Al2O3の他、ZnS,ZnSe,C
dS,CdSe等の半導体が用いられる。この誘電体層
4は、光ファイバーガラスの屈折率(約1.5)よりも
小さい屈折率であるのが望ましい。例えば、このうちM
gF2は、屈折率が約1.3であり、誘電体層4の材料
として好適である。
効果を得るには5nm以上であることが必要である。但
し、先鋭部1の先端部1aは、試料に対してこの誘電体
層4の厚さtD1以下の距離では近づけないことから、誘
電体層4の厚さtD1があまり厚くなると、そのスペーシ
ング分だけ検出光量が低くなる。したがって、誘電体層
4の先端部1aでの厚さの上限は20nmである。但
し、外周面での厚さは、20nmを越えて厚くしても差
し支えない。
法や真空蒸着法等の薄膜形成技術によって成膜される。
イバー全体に略均一な膜厚で誘電体層4が形成される。
ァイバーを当該光ファイバーの中心軸を中心にして回転
させ、この中心軸との交差角が90゜となるような方向
から、あるいはファイバー先端に対して陰を作る90゜
以下となるような方向から、蒸着粒子を入射させること
によって、外周面での厚さが先端部での厚さよりも厚く
なるように成膜することができる。
施の形態について説明する。
にクラッドが設けられてなる光ファイバーよりなり、光
ファイバーの一端に基端部から突出したコアを先鋭化す
ることで形成された先鋭部5を有している。そして、特
に、この光ファイバープローブでは、この先鋭部5表面
に、第1の金属層6、誘電体層7及び第2の金属層8が
この順に形成され、各層の厚さが外周面に比べて先端5
aにおいて薄くなされている。
鋭部5の先端5aに大きい誘電率(絶対値)を持つ第1
の金属層6が形成されているので、金属層が形成されて
いない場合に比べて、コレクションモードではエバネッ
セント場をより高い散乱効率で散乱することができる。
は遮光性被覆層となるものであり、これによって光の入
射が遮られ、試料からの光は第1の金属層6や第2の金
属層8の厚さが薄くなされた先端部5aから選択的に取
り込まれる。すなわち、第1の金属層6によって先端部
5aに微小開口が形成されたかたちになっている。した
がって、外乱光等の影響を受けず、エバネッセント光を
高い分解能で検出することができる。
の金属層6はアルミニウム、金、銀等によって構成され
る。第1の金属層6の厚さtM3は、エバネッセント場の
散乱を増強するのに十分なプラズモンが励起できるだけ
の厚さ、すなわち数十nm以下、具体的には1〜50n
mであることが望ましい。但し、この厚さがあまり厚く
なると、先端径dA2が大きくなり分解能が劣化するの
で、このうち比較的薄い厚さを選択するのが望ましい。
金、銀、ニッケル、クロム等によって構成される。第2
の金属層8の厚さtM4は、遮光に必要な厚み、例えば1
00nm以上とされていることが必要である。但し、先
端5aでは全く形成されていないか、光が透過できる程
度に薄い厚さとされていなければならない。
さらに第1の金属層6と第2の金属層8の間に誘電体層
7が形成されている。これによって次のような効果が得
られる。
直接第2の金属層3が接している場合には、先鋭部1の
テーパー部において、当該先鋭部1と第2の金属層3と
の境界でプラズモンが励起されることに起因して、導波
路内のTMモードの損失が大きくなる。
ローブでは、第2の金属層8が十分薄い(例えば1nm
程度)と仮定した場合、光ファイバーの先鋭部1をコ
ア、第1の金属層6をクラッドとして見ることができ
る。このとき、誘電体層7の屈折率が先鋭部5の屈折率
に比べて低い場合には、この誘電体層7を金属導波路に
おいてよく知られるバッファー層として機能させること
ができる。つまり、この誘電体層7によって、先鋭部1
のテーパー部におけるプラズモンの励起が抑えられ、T
Mモードの損失が低減される。
ば先鋭部5がGeO2添加SiO2(屈折率:約1.5)
よりなる場合にはMgF2(屈折率:約1.3)等が適
当である。この誘電体層7の厚さtD2は、バッファー層
としての機能の点からは100〜200nmとされてい
るのが最適であるが、この厚さtD2があまり厚くなる
と、第2の金属層8によって決定される開口径が大きく
なる。これらの兼ね合いで、誘電体層7は厚さが50〜
100nmとされているのがより好ましい。但し、この
厚さ範囲は先鋭部5の周面での厚さであり、先鋭部5の
先端5aでは、誘電体層7の厚さがあまり厚くなると、
その分試料から開口部が遠くなり、検出光量が低くな
る。したがって、先端部5aでの誘電体層7の厚さは、
20nm以下とされているのが望ましい。
誘電体層7を介して第2の金属層8が形成されるので、
第2の金属層8によって比較的大きな開口径が形成され
る。このため、イルミネーションモードにおいては、試
料への照射光量が大きくなり、励起効率を増大させるこ
とができる。
部5よりも屈折率の高い材料を用いることも可能であ
る。但し、誘電体層7の屈折率が内側の誘電体(先鋭部
5)の屈折率よりも高いと、境界におけるプラズモンの
発生に伴うTMモード減衰の抑制を行うことはできな
い。しかし、誘電体層7と最外層の金属層8で構成され
る開口はファイバーガラスの開口よりも高い屈折率を持
つため、イルミネーションモードにおいては伝搬モード
もエバネッセントモードもファイバーガラスの開口より
も小さい波長を持つことができる。このため、屈折率の
高い物質を誘電体層7に用いたプローブは、イルミネー
ションモード近接場光学顕微鏡のためには有用である。
て、第1の金属層6や第2の金属層8はスパッタリング
法や真空蒸着等の乾式の薄膜形成技術あるいは無電解め
っき法といった湿式の薄膜形成技術によって形成され
る。
外周面での厚さに比べて薄くするために、真空蒸着法で
は、光ファイバーを当該光ファイバーの中心軸を中心に
して回転させ、この中心軸との交差角が90゜となるよ
うな方向から、あるいはファイバー先端に対して陰を作
る90゜以下となるような方向から、蒸着粒子を入射さ
せるのが望ましい。
表面にめっき膜が析出しにくい現象を利用して、先鋭部
の先端以外で十分な膜厚のめっき膜が堆積し、且つ先鋭
部の先端でめっき膜が析出していない段階でめっきを停
止することによって、金属層が開口部を有したかたちで
形成される。
着等の乾式の薄膜形成技術によって形成される。
を外周面での厚さに比べて薄くするために、真空蒸着法
では蒸着粒子の入射方向を制御するのが望ましい。
金属層6、誘電体層7、第2の金属層8を全て真空蒸着
法で形成するといったように、同じ成膜法で成膜するよ
うにすると、真空引きが1回で済み形成工程が簡易化す
る。
ブの実施の形態について説明したが、本発明の光ファイ
バープローブの構成はこれに限るものではない。
6に示すような形状となされていても良い。
ーの先鋭部11の手前に、光ファイバーの径に対して1
/10程度に径小化した径小部12を設け、この径小部
12の先端に先鋭部11を設けるようにしても良い。光
ファイバーの一端に直接先鋭部を設けた場合には、プロ
ーブを試料上で走査させたときに、光ファイバー自体も
試料に近接するかたちになる。このとき、光ファイバー
の径は先鋭部11の根元径に比べて非常に大きいことか
ら、プローブをわずかに傾けただけでも、光ファイバー
の周端部が試料表面に衝突し、試料やプローブ自体に損
傷を生じる虞れがある。
を設けると、光ファイバーから先鋭部12が延長された
形になる。したがって、プローブを多少傾けても光ファ
イバーの周端部が試料表面に衝突することがなく、衝突
による試料やプローブの損傷が回避されることになる。
バーの基端面から、コア13,14とクラッド15,1
6の一部を突出させ、2段階の傾斜角あるいは3段階の
傾斜角で先鋭化することによって先鋭部17,18を形
成するようにしても良い。先鋭部が一定の傾斜角で円錐
状に先鋭化されている場合では、この傾斜角が小さくな
る程光の損失が大きくなり透過効率が低下する。これに
対して、先鋭部17,18が2段階あるいは3段階の傾
斜角で先鋭化されていると、先端側から1段目の傾斜角
αを小さい角度にしても、2段目の傾斜角βを大きな角
度にしたり、3段目の傾斜角γを調整することで光の透
過効率を上げることができる。
的な実施例について説明する。
バーを用意した。光ファイバーの材料構成は次の通りで
ある。
との屈折率差2.5%、外径2μm クラッド:純粋SiO2、純粋SiO2との屈折率差0
%、外径125μm この光ファイバーの一端を、40重量%NH4F溶液:
50重量%HF酸:H2O=1.7:1:1なる組成の
緩衝HF溶液に55分間浸漬し、その後、40重量%N
H4F溶液:50重量%HF酸:H2O=5:1:1なる
組成の緩衝HF溶液90分間浸漬した。その結果、光フ
ァイバーの一端に、径小部とこの径小部から突出した先
鋭部が形成された。ここで先鋭部の先鋭角は20゜であ
り、先端直径は10nm以下であった。
のようにして金よりなる第1の金属層を形成した。
ッタリング法によって金を被着させることで金属層を形
成した。
に、先端部を除いて、エッチングのための耐腐食性被覆
層を形成した。
(a)に示すように、合成樹脂を溶かした樹脂溶液に第
1の金属層23が形成された光ファイバー22を浸漬し
た後、樹脂溶液から引き上げる。この樹脂溶液として
は、市販のアクリル塗料(粘度12cP)を使用した。
ると、先端部周辺に付着した樹脂溶液が表面張力によっ
て基端部側に引き寄せられ、先鋭部の先端の第1の金属
層23が樹脂溶液から露出する。この後、溶剤を蒸発さ
せることで、第1の金属層23の表面には合成樹脂24
が残り、先端において第1の金属層23を露出させたか
たちで耐腐食性被覆層24が形成される。なお、このと
き光ファイバーの引き上げ速度VDは5cm/秒とし
た。
形成された光ファイバー22を、図7(b)に示すよう
に、KI:I2:H2O(重量比)=20:1:400な
る組成の原液を水で50倍に希釈したエッチング液に約
2分間浸漬した。これにより、耐腐食性被覆層24から
露出した第1の金属層23が選択的にエッチングされ、
先鋭部の先端が第1の金属層23から露出し、開口部が
形成される。
0nmであり、この第1の金属層23によって形成され
る開口部の径dFは30nmであった。
イバー22をアセトンに浸漬することによって耐腐食性
被覆層24を剥離した。
の金属層22上に、先鋭部全体を覆うようにして、スパ
ッタリング法によって第2の金属層を形成し、光ファイ
バープローブを作製した。なお、第2の金属層の厚さは
15nmである。
バープローブでは、光ファイバーのクラッドの外径と耐
腐食性被覆層を形成する際の引き上げ速度VDによって
開口径dFが決定する。それを示唆する特性図を図8,
図9に示す。なお、図8はクラッドの外径Dと第1の金
属層によって形成される開口径dFの関係であり、引き
上げ速度VDを5cm/秒に固定した場合である。図9
は耐腐食性被覆層を形成する際の引き上げ速度と第1の
金属層によって形成される開口径dFの関係であり、ク
ラッドの外径Dを40μmの固定した場合である。この
ように第1の金属層の開口径dFは、クラッドの外径D
が大きい程、また耐腐食性被覆層を形成する際の引き上
げ速度が速い程、小さい径になる。
なる誘電体層を形成したこと以外は実施例1と同様にし
て光ファイバープローブを作製した。
空蒸着器内で、光ファイバーを当該光ファイバーの中心
軸を中心にして回転させ、この中心軸との交差角が90
゜となるような方向から蒸着粒子を入射させるようにし
た。誘電体層の厚さは50nmである。
れた3重構造の光ファイバーを用意した。この光ファイ
バーの材料構成は次の通りである。
との屈折率差1.3%、外径1.4μm クラッド:純粋SiO2、純粋SiO2との屈折率差0
%、外径27μm サポート層:F添加SiO2、純粋SiO2との屈折率差
−0.7%、外径125μm この光ファイバーの一端を、40重量%NH4F溶液:
50重量%HF溶液:H2O(体積比)=1.7:1:
1なる組成の緩衝HF溶液に40分間浸漬し、その後、
40重量%NH4F溶液:50重量%HF溶液:H2O
(体積比)=10:1:1なる組成の緩衝HF溶液に3
0分間浸漬した。その結果、サポート層は取り除かれ、
コアとクラッドよりなる先鋭部が形成された。この先鋭
部は、コアとクラッドでそれぞれ傾斜角が異なってお
り、2段階の傾斜角で先鋭化されている。ここで、コア
の先鋭角αは17゜、クラッド先鋭角βは62゜であ
り、先端直径は10nm以下であった。
た光ファイバーに、真空蒸着法によって、銀よりなる第
1の金属層を形成し、MgF2よりなるで誘電体層、ア
ルミニウムよりなる第2の金属層を形成した。なお、こ
れら各層を形成するに際しては、真空蒸着器内で当該光
ファイバーの中心軸を中心にして回転させ、この中心軸
との交差角が90゜となるような方向から蒸着粒子を入
射させた。これら各層の厚さは、第1の金属層が15n
m、誘電体層の厚さが100nm、第2の金属層の厚さ
が150nmであった。
ファイバープローブを近接場光学顕微鏡に適用したとこ
ろ、いずれも高い散乱効率と分解能が得られた。
明の光ファイバープローブは、基端部から突出したコア
を先鋭化することで形成された先鋭部を有する光ファイ
バープローブであって、上記先鋭部表面に、先端部を除
いて第1の金属層が形成されるとともに、前記第1の金
属層上と先端部を覆って第2の金属層が形成されてい
る。このような光ファイバープローブでは、上記第1の
金属層が形成された領域では光の入射が遮られるので、
この第1の金属層が形成されていない先端部において光
が選択的に取り込まれ、高い分解能が得られる。また、
先鋭部の先端において、誘電率(絶対値)の大きな第2
の金属層が形成されているので、エバネッセント光を高
い散乱効率で散乱することができる。さらに、上記第2
の金属層上に誘電体層を設けると、第2の金属層の腐食
が防止されるようになり、耐久性が改善される。
ローブは、基端部から突出したコアを先鋭化することで
形成された先鋭部を有する光ファイバープローブであっ
て、上記先鋭部表面に、第1の金属層、誘電体層及び第
2の金属層が形成されている。このような光ファイバー
プローブでは、誘電率(絶対値)の大きな第1の金属層
によって、エバネッセント光を高い散乱効率で散乱する
ことができる。また、第2の金属層が形成されている領
域では光の入射が遮られるので、この第2の金属層が形
成されていない先端部において選択的に光が取り込ま
れ、高い分解能が得られる。さらに、第2の金属層が誘
電体層を介して形成されているので、この誘電体層がバ
ッファー層として機能する。これにより、テーパー部に
おいて先鋭部と第2の金属層との境界でプラズモンが励
起されることによって生じるTMモードの損失が抑えら
れる。
を示す要部断面図である。
例を示す要部断面図である。
に他の例を示す要部断面図である。
す要部断面図である。
例を示す要部断面図である。
例を示す要部断面図である。
り、(a)は耐腐食性被覆層を形成する際の樹脂溶液へ
の浸漬工程を示す模式図であり、(b)は金属層のエッ
チング工程を示す模式図であり、(c)は耐腐食性被覆
層の剥離工程を示す模式図である。
によって形成される開口径dFの関係を示す特性図であ
る。
Dと、第2の金属層によって形成される開口径dFの関係
を示す特性図である。
る。
電体層、
Claims (9)
- 【請求項1】 コアの周りに、クラッドが設けられてな
る光ファイバーよりなり、光ファイバーの一端に基端部
から突出したコアを先鋭化することで形成された先鋭部
を有する光ファイバープローブであって、 上記先鋭部表面に、先端部を除いて第1の金属層が形成
されるとともに、前記第1の金属層上と先端部を覆って
第2の金属層が形成されていることを特徴とする光ファ
イバープローブ。 - 【請求項2】 第1の金属層の厚さが100nm以上、
第2の金属層の厚さが1〜50nmであることを特徴と
する請求項1記載の光ファイバープローブ。 - 【請求項3】 先鋭部は、光ファイバーの基端部から突
出したコアとクラッドを3段階の傾斜角で先鋭化するこ
とで形成されていることを特徴とする請求項1記載の光
ファイバープローブ。 - 【請求項4】 第2の金属層上に誘電体層が形成されて
いることを特徴とする請求項1記載の光ファイバープロ
ーブ。 - 【請求項5】 コアの周りに、クラッドが設けられてな
る光ファイバーよりなり、光ファイバーの一端に基端部
から突出したコアを先鋭化することで形成された先鋭部
を有する光ファイバープローブであって、 上記先鋭部表面に、第1の金属層、誘電体層及び第2の
金属層が形成されていることを特徴とする光ファイバー
プローブ。 - 【請求項6】 誘電体層の屈折率nが、先鋭部の屈折率
nよりも低いことを特徴とする請求項5記載の光ファイ
バープローブ。 - 【請求項7】 第1の金属層、誘電体層及び第2の金属
層は、先端部での厚さが他の領域での厚さより薄くされ
ていることを特徴とする請求項5記載の光ファイバープ
ローブ。 - 【請求項8】 先端部以外の領域において、第1の金属
層の厚さが1〜50nm、第2の金属層の厚さが100
nm以上であることを特徴とする請求項7記載の光ファ
イバープローブ。 - 【請求項9】 第1の金属層は、先端部を除いて形成さ
れていることを特徴とする請求項5記載の光ファイバー
プローブ。
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---|---|---|---|
JP31392196A JP3145643B2 (ja) | 1996-11-25 | 1996-11-25 | 光ファイバープローブ |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP31392196A JP3145643B2 (ja) | 1996-11-25 | 1996-11-25 | 光ファイバープローブ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10153605A true JPH10153605A (ja) | 1998-06-09 |
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Family
ID=18047131
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP31392196A Expired - Fee Related JP3145643B2 (ja) | 1996-11-25 | 1996-11-25 | 光ファイバープローブ |
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JP (1) | JP3145643B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003065933A (ja) * | 2001-08-22 | 2003-03-05 | Jasco Corp | 散乱型近接場プローブ及びその製造方法 |
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JP2017137522A (ja) * | 2016-02-01 | 2017-08-10 | 学校法人東京薬科大学 | 光ファイバー表面プラズモン共鳴センサーの製造方法および光ファイバー表面プラズモン共鳴センサーの製造装置 |
-
1996
- 1996-11-25 JP JP31392196A patent/JP3145643B2/ja not_active Expired - Fee Related
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