JP4153089B2 - 光ファイバプローブ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば走査型プローブ顕微鏡の一つである近接場光学顕微鏡において、エバネッセント光を検出する光プローブとして使用される光ファイバプローブ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、近接場光学顕微鏡はナノメートル領域の光学技術として注目され、生体試料の形状や微細構造の観察、半導体素子の分光研究、高分子有機材料の蛍光検出等に応用されている。この顕微鏡は光を媒体とする走査型プローブ顕微鏡という側面を持ち、その解像度と明るさはプローブの形状・構造によって決定される。この顕微鏡には試料上に生じた光近接場を光ファイバプローブで散乱・集光して検出するコレクションモード(cモード)と光ファイバプローブから発生する近接場領域で試料を照射し、試料の散乱光或いは放出光を集光・検出するイルミネーションモード(iモード)という二つの方式があり、cモードには光近接場の散乱体として機能する散乱型プローブが、iモードには近接場を選択的に発生する発生型プローブが求められる。光ファイバプローブにおいて、テーパの先端と遮光性金属膜で形成された開口は、散乱型プローブと発生型プローブの代表的モデルであるが、これらを用いたcモードとiモードの分解能はそれぞれの先端と開口のサイズによって制限される。それ故、先端径或いは開口径を波長以下の範囲で制御することが要求される。また、光ファイバプローブで試料を照射し、試料の近接場を光ファイバプローブで散乱・検出するイルミネーション/コレクション(i−c)モードでは発生型プローブと散乱型プローブの両方として機能する必要がある。これらの顕微鏡モードは例えば不透明試料の分光にはi−cモードというようにその特徴に応じて使い分けられる。
【0003】
この近接場光学顕微鏡においては、多種多様な応用を一種類の光ファイバプローブで行うことは不可能に近い。それ故、ある近接場測定を行う場合、その用途に適した顕微鏡モードを選択し、目標とする分解能を設定して、目標分解能に対して十分な検出光強度が得られるように光ファイバプローブの開口径等を最適化する必要がある。例えば生体試料観察のために分解能を重視して例えば20nm程度の小さい開口径の光ファイバプローブを、また半導体分光のために透過光率を重視して例えば200nm程度の大きい開口径の2種類の光ファイバプローブを作製することが行われていた。
【0004】
近接場光学顕微鏡用の光ファイバプローブ作製法としては、溶融延伸、メニスカス・エッチング、選択エッチング等で光ファイバの先端をテーパ化し、更に真空蒸着器内で先鋭化された光ファイバを回転させながら側面又は後方から蒸着する手法が効果的な方法として知られている。図21には、このような方法で作成される光ファイバプローブの先端部を示す。ここで、θはテーパ化された光ファイバプローブの先鋭角、dはその先端径でありこれは開口径に等しい。
【0005】
光ファイバの先端をテーパ化する先鋭化工程としては、先端エッチングに基づく方法が最も先鋭化形状の再現性と制御性に優れたものとして知られている。コア半径r1の光ファイバを緩衝HF水溶液に浸漬してエッチングする最も基本的な選択エッチングの例では、コアとクラッドの溶解速度がそれぞれR1とR2(>R1)であったとする。光ファイバは次式で表される先鋭角θで先鋭化される。
sin(θ/2)=R1/R2
このとき先端径dはエッチング時間Tにより
d(T)=2r1(1−T/τ) (T<τ)
d(T)=0 (T≧τ)
と表される。ここで、先端径が0になるエッチング時間τは
τ=(r1/R1)[(R1+R2)/(R1−R2)]1/2
によって与えられ、エッチング時間Tをτ以下となるように制御することにより先端径dを制御できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の近接場光学顕微鏡に備えられる光ファイバプローブにおいては、透過効率が高いことが望ましい。光ファイバプローブの透過効率を向上させる手法としては、先端径を大きくすることにより光の開口径を大きくすることがなされていた。特に、光ファイバプローブを分光研究へ応用するときには、より量子効率の低い試料にその応用を拡大するため、使用波長領域を拡大するため、試料の偏光特性を得るために、透過効率又は散乱効率の向上、透過率の高い使用、非偏光成分の除去等が必要とされる。
【0007】
また、上述の光ファイバプローブにおいては、ナノメートルオーダで先端径を制御するとともに、光の開口径を制御する必要がある。すなわち、上述の先鋭化工程において、選択エッチングを用いてマイクロメートルオーダのコアに対してナノメートルオーダで先端径を制御するためには溶解速度R1とR2とに3桁以上の精度が要求される。したがって、選択エッチングを用いて先鋭化工程を行うには、エッチング液の濃度及び組成、温度等の厳密な管理が不可欠となる。それゆえ、選択エッチングを用いて光ファイバの先端をナノメートルオーダで制御して先鋭化工程を行うのには、エッチング液の管理コストが高くなるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述したような実情に鑑みて提案されたものであり、容易にナノメートルオーダで制御して先鋭部が製造可能であるとともに、製造コストを低減して製造することができる光ファイバプローブ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光ファイバを先鋭化することで形成された先鋭部を有する光ファイバプローブであって、上記先鋭部は、第1の屈折率を有する先鋭化された第1の誘電体層と、当該第1の誘電体層の周囲に形成され上記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する第2の誘電体層と、当該第2の誘電体層の周囲に形成された金属層とからなり、上記第2の誘電体層は、少なくとも一部に金属膜と誘電体膜が交互に形成された積層膜部を有することを特徴とする。
【0010】
このような光ファイバプローブは、光ファイバからの光を先鋭部の第1の誘電体層又は第2の誘電体層を介して出射する。
【0011】
また、本発明は、上記光ファイバプローブの製造方法であって、加熱した後に延伸することで光ファイバを分断してコアがクラッドに埋没している状態の光ファイバを作製する分断工程と、上記分断工程がなされた光ファイバにエッチングを施すことにより先端が先鋭化された先鋭部を形成する先鋭化工程と、上記先鋭部に誘電体層を形成する誘電体層形成工程と、上記先鋭部に金属層を形成する金属層形成工程とを有し、上記誘電体層形成工程では、上記先鋭化工程が施された光ファイバを回転させながら金属膜と誘電体膜を交互に成膜することを特徴とする。
【0012】
このような光ファイバプローブの製造方法は、先鋭化された光ファイバに誘電体層及び金属層を形成することにより、誘電体層及び金属層を有する光ファイバプローブを製造する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
本発明が適用される光ファイバプローブは、コアとクラッドからなる光ファイバの先端部分を先鋭化することにより形成された図1に示す先鋭部1を備えている。この先鋭部1は、円柱状の光ファイバを先鋭化することにより、円錐状に形成されている。光ファイバプローブは、イルミネーションモードの近接場光学顕微鏡において、光の波長より小さい波長領域において物体を照らすための照明、すなわちエバネッセント光の照明として機能する。また、コレクションモードの近接場光学顕微鏡においては、物体上に励起されたエバネッセント光を散乱する散乱物として機能するとともに、散乱光を検出器に導くための導波路として働く。またイルミネーション・コレクションモードでは、光ファイバプローブは照明と散乱物の両方として働く。
【0015】
先鋭部1は、第1の屈折率を有する第1の誘電体層2と、この第1の誘電体層2の外周側に形成され第2の屈折率を有する第2の誘電体層3と、この第2の誘電体層3の外周側に形成された金属層4とからなる。
【0016】
第1の誘電体層2は、後述の先鋭化工程により先鋭化されたコア又はクラッドからなる。この第1の誘電体層2は、例えば石英ガラスからなり、第1の屈折率が例えば1.5程度となされている。ここで、第1の誘電体層2は、内部での光の波長が(真空での光の波長/物質の屈折率)で求められることから、透過効率の向上を図るためには、高い屈折率の材料で形成される方が効果的である。
【0017】
第2の誘電体層3は、第1の誘電体層2の外周側に例えば真空蒸着法により形成される。この第2の誘電体層3は、第1の誘電体層2の第1の屈折率に対して低い、例えば屈折率が約1.3のMgF2で形成されたとき、第1の誘電体層2に光を集光させる。一方、この第2の誘電体層3は、第1の誘電体層2の第1の屈折率より高い第2の屈折率で形成されたときには当該第2の誘電体層3内にも光が伝搬されることになる。これにより、先鋭部1から出射される光は拡がりが大きくなり、第1の屈折率が第2の屈折率より低いときの光の強度分布と比較してブロードな強度分布となる。
【0018】
金属層4は、第2の誘電体層3の外周側に例えば真空蒸着法により形成される。この金属層4は、例えばAg等の遮光性を有する材料からなり、第1の誘電体層2及び第2の誘電体層3内で伝達される光を外部に漏洩することを防止するとともに、外部からの光を遮る。
【0019】
このように構成された先鋭部1を有する光ファイバプローブは、コアとクラッドからなる光ファイバを加工することにより製造され、光の開口径が約300nm程度となされて形成され、コア内を伝達して先鋭部1に入射された光を先鋭部1の先端から出射する。
【0020】
このような先鋭部1を有する光ファイバプローブは、上述したように、第2の誘電体層3及び金属層4を例えば真空蒸着法を用いて形成することができるので、ナノメートルサイズで形状を制御して製造することができる。
【0021】
次に、本発明を適用した光ファイバプローブの他の一例について図2を用いて説明する。図2に示した先鋭部1を有する光ファイバプローブは、先鋭部1の形状が第1の誘電体層2の中心軸と直交する断面形状が略楕円状となされている。すなわち、この光ファイバプローブの先鋭部1は、断面真円上の第1の誘電体層2と、断面略楕円状の第2の誘電体層3と、断面略楕円状の金属層4とからなる。このような光ファイバプローブによれば、第2の誘電体層3及び金属層4を楕円形状とすることにより、長軸方向に偏光した光の透過効率に比べ短軸方向に偏光した光の透過効率を著しく減少させることができる。
【0022】
この図2に示す先鋭部1を有する光ファイバプローブを、全反射プリズムに光を入射し当該全反射プリズムに固定された試料をエバネッセント光で照明し、光ファイバプローブで散乱・検出するコレクションモードで使用するときには、全反射プリズムに入射させる光の偏光方向がその入射平面に対して偏光方向が垂直方向であればs偏光、偏光方向が平行方向であればp偏光と定義される。ここで、入射偏光が完全な直線偏光であったとしても、全反射プリズムや試料による反射・散乱過程で、入射偏光に垂直な成分や偏光解消した成分が発生することがある。これに対し、図2に示す先鋭部1を有する光ファイバプローブは、断面略楕円形状となるように第2の誘電体層3及び金属層4を形成していることから、短軸が入射光の偏光と垂直になるように配置することにより、このような偏光変化及び偏光解消成分を効果的に除去することができる。
【0023】
また、本発明を適用した光ファイバプローブの更に他の一例について図3を用いて説明する。図3に示した先鋭部1を有する光ファイバプローブは、第2の誘電体層3が積層膜となされて形成されている。この第2の誘電体層3の積層膜は、金属膜5と、誘電体膜6とが例えば5〜10nm程度の膜厚で相互に積層されてミクロンオーダ又は光の波長以下とされて形成されている。このように積層膜は、金属膜5により光を散乱するとともに、誘電体膜6により光を透過させる。したがって、図3に示した先鋭部1を有する光ファイバプローブによれば、高い透過効率を有するとともに高い散乱効率を有する。したがって、この光ファイバプローブによれば、イルミネーション・コレクションモードで使用して好適なものとなされている。
【0024】
なお、上記金属膜は、5〜10nm程度であることが望ましいが、1〜50nm程度の範囲内であれば高い透過効率の光ファイバプローブとすることができる。
【0025】
また、図3に示した先鋭部1を有する光ファイバプローブは、第2の誘電体層3を積層膜とし、積層膜を構成する各誘電体膜6の膜厚を等しくしても良い。このように光ファイバプローブは、各誘電体膜6の膜厚を等しくすることにより、金属膜5により光を散乱させ、開口部に相当する誘電体膜6の端面全体における光電界強度を向上させることができる。
【0026】
更に、本発明を適用した光ファイバプローブは、図4及び図5に示すように、第2の誘電体層3を積層膜とし、積層膜を構成する最外周側の誘電体膜6の膜厚のみを大きくしても良い。この図4及び図5に示した光ファイバプローブは、先鋭部1から出射する光電界強度を金属膜5が存在する先鋭部1の中心軸付近でのみ高くすることができる。
【0027】
更にまた、本発明を適用した光ファイバプローブの先鋭部1は、図6に示すように、第2の誘電体層3を、誘電体内にナノメートルサイズの球状の金属球7が分散・添加しているものとしても良い。
【0028】
更にまた、本発明を適用した光ファイバプローブの先鋭部1は、図7に示すように、第1の誘電体層2を積層膜とした場合において、金属膜5の第1の誘電体層2の中心軸と直交する断面形状を略楕円形状としても良い。すなわち、このような先鋭部1を有する光ファイバプローブは、中心軸に垂直する方向における膜厚を一定とはしないで形成されている。この光ファイバプローブによれば、金属膜の楕円外形の長軸方向の偏光が選択的に散乱されるために、先端での散乱過程においても偏光特性が生じる。また、この光ファイバプローブによれば、金属膜5の楕円の長軸方向を検出光の偏光方向と一致させることにより、コレクションモードでの偏光変化や偏光解消を抑制することができる。
【0029】
更に、本発明を適用した光ファイバプローブの先鋭部1は、図8に示すように、第1の誘電体層2、第2の誘電体層3及び金属層4を断面略楕円状として形成しても良い。このような先鋭部1を有する光ファイバプローブは、図8に示した先鋭部1を有する光ファイバプローブと比較してさらなる偏光解消抑制効果を奏することができる。
【0030】
次に、上述した図1に示す先鋭部1を有する光ファイバプローブの製造方法について説明する。
【0031】
この光ファイバプローブの製造方法は、光ファイバを分断する溶解延伸工程と、分断された光ファイバに対してエッチングを施すエッチング工程と、第2の誘電体層3を形成する第2の誘電体層形成工程と、第2の誘電体層3の周囲に金属層4を形成する金属層形成工程とを有する。
【0032】
溶解延伸工程は、例えば比屈折率差が約0.3%の直径が約10μmの純粋石英(SiO2)製コア11と、直径が約125μmのフッ素添加石英(F−SiO2)製クラッド12とからなる図9に示す光ファイバ10を米国サッター社製マイクロピペットプラーP−2000を使用して図10に示すように熱を印加して溶解延伸する。これにより、図11に示すように、光ファイバ10を2つに分断する。
【0033】
エッチング工程は、分断した光ファイバ10を緩衝HF水溶液中で30分間エッチングをすることにより行う。なお、緩衝HF水溶液は、体積混合比が40重量%NH4F:50重量%HF酸:H2O=10:1:1である。このエッチング工程が施された光ファイバ10は、図12に示す分断された光ファイバ10のコア11がクラッド12に埋没し、クラッド12が先鋭化されたものとされる。
【0034】
第2の誘電体層形成工程は、エッチング工程が施された光ファイバ10を回転させながら真空蒸着することによって例えばMgF2を先鋭化された部分に成膜する。これにより、MgF2が100nm程度の膜厚で先鋭化された部分に第2の誘電体層3を形成する。
【0035】
金属層形成工程は、先鋭化された部分に第2の誘電体層3が形成された光ファイバ10を回転させながら真空蒸着することによって金属層4として例えばAlを先鋭化させた部分に成膜する。これにより、先鋭化され第2の誘電体層3が形成された先鋭化された部分にAlが200nm程度の膜厚で金属層4として形成される。
【0036】
このように、光ファイバプローブの製造方法によれば、光ファイバ10に溶解延伸工程、エッチング工程、第2の誘電体層形成工程及び金属層形成工程を施すことにより、図2に示す先鋭部1を有する光ファイバプローブを製造する。
【0037】
つぎに、図3に示す先鋭部1を有する光ファイバプローブの製造方法について説明する。図3に示す先鋭部1を有する光ファイバプローブを製造するときには、上述の溶解延伸工程、エッチング工程を施した光ファイバに第2の誘電体層形成工程を行うとき、第2の誘電体層3としてMgF2を一方の側面から100nm程度の膜厚で形成し、次に上記一方の側面とは逆の側面からMgF2を100nm程度の膜厚で形成する。次に、金属層形成工程では、一方の側面及び当該一方の側面とは逆の側面からMgF2を形成した光ファイバを回転させながら金属層4としてAlを形成することにより、図3に示した先鋭部1を有する光ファイバプローブを形成する。このとき、一方の側面から当該一方の側面とは逆の側面に蒸着をするときには光ファイバを180度だけ回転させて、金属膜5及び誘電体膜6を蒸着する。
【0038】
つぎに、図4に示す先鋭部1を有する光ファイバプローブの製造方法について説明する。図4に示す先鋭部1を有する光ファイバプローブを製造するときには、上述の溶解延伸工程、エッチング工程を施した光ファイバ10に第2の誘電体層形成工程を行うとき、図13に示すように銀(Ag)を光ファイバ10を回転させながら金属膜5を成膜する。次に、図14に示すようにMgF2を光ファイバ10を回転させながら誘電体膜6を成膜する。これにより、5nmの金属膜5と25nmの誘電体膜6を交互に4層づつ形成する。更に、図15に示すようにAlを200nm程度光ファイバ10を回転させながら成膜することにより、図16及び図4に示すような先鋭部1を有する光ファイバプローブを形成する。
【0039】
つぎに、図5に示す先鋭部1を有する光ファイバプローブの製造方法について説明する。図5に示す先鋭部1を有する光ファイバプローブを製造するときには、上述の溶解延伸工程、エッチング工程を施した光ファイバ10に第2の誘電体層形成工程を行うとき、金属膜5として銀(Ag)と誘電体膜6としてMgF2を交互に蒸着する。このとき、例えば5nmの銀と25nmのMgF2を交互に2層づつ形成し、次に5nmの銀と50nmの誘電体膜6を交互に2層づつ形成することにより第2の誘電体層3を形成する。そして、金属層4としてAlを200nm程度形成することにより、図5に示す先鋭部1を有する光ファイバプローブを作製する。
【0040】
つぎに、図8に示す先鋭部1を有する光ファイバプローブの製造方法について説明する。図8に示した先鋭部1を有する光ファイバプローブを製造するときには、上述の溶解延伸工程、エッチング工程を施した光ファイバに第2の誘電体層形成工程を行うとき、図17に示すように、一方の側面から銀を例えば25nm程度蒸着して金属膜5を形成し、次に当該一方の側面とは逆の側面から金属膜5を25nm程度蒸着する。次に、図18に示すように、上述の図17を示して説明したのと同様に、MgF2を金属膜5を蒸着して誘電体膜6を形成したときの一方の側面及び当該一方の側面とは逆の側面から蒸着する。次に、図19に示すように金属膜5及び誘電体膜6を形成した光ファイバ10を回転させながら、金属層4としてAlを例えば200nm程度蒸着して図20及び上述の図8に示す光ファイバプローブを作製する。
【0041】
なお、蒸着法で第2の誘電体層3及び金属層4を形成するとき、蒸発原子の飛翔方向と先鋭化された光ファイバ10の軸とのなす角度は銀を形成するときには90度以上とし、誘電体膜6(MgF2)を形成するときには90度程度とし、Alを形成するときには90度以下とすることが望ましい。
【0042】
更に、第2の誘電体層3を構成する誘電体膜6としては、上述のMgF2のみならず、屈折率が約2.6程度のZnSを用いても良い。このようにMgF2に代えてZnSを誘電体膜6として作製された光ファイバプローブは、より高い透過効率有することになる。
【0043】
このように製造される光ファイバプローブは、第2の誘電体層3及び金属層4を蒸着法等の薄膜形成技術を用いて形成するので、容易にナノメートルオーダの精度で製造される。すなわち、従来の光ファイバプローブを製造するときには、光ファイバに選択エッチングを施して光ファイバの先端をナノメートルオーダで制御するので管理コストが高価となっていたのに対して、本発明を適用した光ファイバプローブは、低コストでナノメートルオーダの先鋭部1を製造することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明は、光ファイバを先鋭化することで形成された先鋭部を有する光ファイバプローブであって、上記先鋭部が第1の屈折率を有する先鋭化された第1の誘電体層と、当該第1の誘電体層の周囲に形成され上記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する第2の誘電体層と、当該第2の誘電体層の周囲に形成された金属層とからなり、上記第2の誘電体層は、少なくとも一部に金属膜と誘電体膜が交互に形成された積層膜部を有するので、上記第2の誘電体層を構成する積層膜部が、金属膜により光を散乱するとともに、誘電体膜により光を透過させ、高い透過効率を有するとともに高い散乱効率を有するものとなり、イルミネーション・コレクションモードで使用して好適なものとなる。この光ファイバプローブは、蒸着法等の薄膜形成技術を用いて容易にナノメートルオーダで先鋭部の形状を制御して製造することができる。また、この光ファイバプローブによれば、例えば蒸着法等の薄膜形成技術を採用して第2の誘電体層及び金属層を形成することができるので、製造コストを低減することができる。
【0045】
また、本発明に係る光ファイバプローブの製造方法によれば、加熱した後に延伸することで光ファイバを分断してコアがクラッドに埋没している状態の光ファイバを作製する分断工程と、上記分断工程がなされた光ファイバにエッチングを施すことにより先端が先鋭化された先鋭部を形成する先鋭化工程と、上記先鋭部に誘電体層を形成する誘電体層形成工程と、上記先鋭部に金属層を形成する金属層形成工程とを有し、上記誘電体層形成工程では、上記先鋭化工程が施された光ファイバを回転させながら金属膜と誘電体膜を交互に成膜するので、金属膜により光を散乱するとともに、誘電体膜により光を透過させ、高い透過効率を有するとともに高い散乱効率を有するイルミネーション・コレクションモードで使用して好適な光ファイバプローブを製造することができる。この光ファイバプローブの製造方法によれば、容易にナノメートルオーダで先鋭部の形状を制御して光ファイバプローブを製造することができる。また、この光ファイバプローブの製造方法によれば、蒸着法等の薄膜形成技術を用いて低コストで光ファイバプローブを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した光ファイバプローブの先鋭部を示す断面図及び平面図である。
【図2】本発明を適用した光ファイバプローブの先鋭部の他の一例を示す断面図及び平面図である。
【図3】本発明を適用した光ファイバプローブの先鋭部の他の一例を示す断面図である。
【図4】本発明を適用した光ファイバプローブの先鋭部の他の一例を示す断面図である。
【図5】本発明を適用した光ファイバプローブの先鋭部の他の一例を示す断面図である。
【図6】本発明を適用した光ファイバプローブの先鋭部の他の一例を示す断面図である。
【図7】本発明を適用した光ファイバプローブの先鋭部の他の一例を示す断面図及び平面図である。
【図8】本発明を適用した光ファイバプローブの先鋭部の他の一例を示す断面図及び平面図である。
【図9】光ファイバを示す断面図である。
【図10】溶解延伸工程において、光ファイバを溶解することを説明するための断面図である。
【図11】溶解延伸工程において、光ファイバを分断することを説明するための断面図である。
【図12】溶解延伸工程により分断された光ファイバを示す断面図である。
【図13】図4に示す先鋭部を有する光ファイバプローブの製造方法における第2の誘電体層形成工程を説明するための図である。
【図14】図4に示す先鋭部を有する光ファイバプローブの製造方法における第2の誘電体層形成工程を説明するための図である。
【図15】図4に示す先鋭部を有する光ファイバプローブの製造方法における金属層形成工程を説明するための図である。
【図16】本発明を適用した光ファイバプローブの方法により製造された光ファイバプローブの先鋭部の一例を示す断面図である。
【図17】第2の誘電体層を構成する金属膜を光ファイバに成膜するときの一例を示す断面図である。
【図18】第2の誘電体層を構成する誘電体膜を光ファイバに成膜するときの一例を示す断面図である。
【図19】金属層を成膜するときの一例を示す断面図である。
【図20】本発明を適用した光ファイバプローブの製造方法により製造された光ファイバプローブを示す断面図である。
【図21】従来の光ファイバプローブを示す断面図である。
【符号の説明】
1 先鋭部、2 第1の誘電体層、3 第2の誘電体層、4 金属層
Claims (8)
- 光ファイバを先鋭化することで形成された先鋭部を有する光ファイバプローブであって、
上記先鋭部は、第1の屈折率を有する先鋭化された第1の誘電体層と、当該第1の誘電体層の周囲に形成され上記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する第2の誘電体層と、当該第2の誘電体層の周囲に形成された金属層とからなり、
上記第2の誘電体層は、少なくとも一部に金属膜と誘電体膜が交互に形成された積層膜部を有することを特徴とする光ファイバプローブ。 - 上記金属層は、上記第1の誘電体層の中心軸と直交する断面形状が略楕円状となされて形成されていることを特徴とする請求項1記載の光ファイバプローブ。
- 上記金属膜は、1〜50nmの範囲内の膜厚で形成されていることを特徴とする請求項1記載の光ファイバプローブ。
- 上記積層膜部は、上記先鋭部から出射する光の波長以下の膜厚で形成されていることを特徴とする請求項1記載の光ファイバプローブ。
- 請求項1記載の光ファイバプローブの製造方法であって、
加熱した後に延伸することで光ファイバを分断してコアがクラッドに埋没している状態の光ファイバを作製する分断工程と、
上記分断工程がなされた光ファイバにエッチングを施すことにより先端が先鋭化された先鋭部を形成する先鋭化工程と、
上記先鋭部に誘電体層を形成する誘電体層形成工程と、
上記先鋭部に金属層を形成する金属層形成工程とを有し、
上記誘電体層形成工程では、上記先鋭化工程が施された光ファイバを回転させながら金属膜と誘電体膜を交互に成膜することを特徴とする光ファイバプローブの製造方法。 - 上記金属層形成工程は、上記誘電体層形成工程で誘電体層が形成された光ファイバの一方の側面から金属層を形成した後に他方の側面から金属層を形成することを特徴とする請求項5記載の光ファイバプローブの製造方法。
- 上記誘電体層形成工程は、上記先鋭化が施された光ファイバの一方の側面から誘電体層を形成した後に他方の側面から誘電体層を形成することを特徴とする請求項5記載の光ファイバプローブの製造方法。
- 上記先鋭化工程は、光ファイバにエッチングを施すことによりクラッドからなる先鋭部を形成することを特徴とする請求項5記載の光ファイバプローブの製造方法。
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