JP3242848B2 - 近接場光学顕微鏡用プローブ - Google Patents

近接場光学顕微鏡用プローブ

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JP3242848B2
JP3242848B2 JP23678796A JP23678796A JP3242848B2 JP 3242848 B2 JP3242848 B2 JP 3242848B2 JP 23678796 A JP23678796 A JP 23678796A JP 23678796 A JP23678796 A JP 23678796A JP 3242848 B2 JP3242848 B2 JP 3242848B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばプローブ走
査型顕微鏡の一つである近接場光学顕微鏡において、エ
バネッセント光を検出する光プローブとして使用される
近接場光学顕微鏡用プローブに関する。
【0002】
【従来の技術】通常の光学顕微鏡によって得られる画像
の分解能は使用される光の波長(回折限界)によって制
限される。
【0003】これに対して、ナノメートルサイズの構造
を持つプローブを備えた近接場光学顕微鏡においては、
波長を超えた分解能をもつ光学像を得ることができる。
したがって、この近接場光学顕微鏡技術を利用すること
により、ナノメートル級の分解能で、例えば生体試料、
半導体試料、光メモリー材料、感光性材料等の物体の形
状測定や分光測定、さらにはメモリー操作(書き込み/
読み出し/消去)、光加工などを行うことができる。
【0004】図7に示すのは近接場光学顕微鏡の一例で
ある。この顕微鏡は、物質表面の光の波長より小さい領
域に局在するエバネッセント光を検出して物体の形状を
測定するものであり、全反射条件下で物体にレーザ光が
照射されることにより生じたエバネッセント光50を、
プローブ52のナノメートルサイズとなされた先鋭部5
1の先端によって散乱させる。
【0005】この場合には、プローブが光ファイバーで
形成されており、先鋭部51によって散乱された光は当
該先鋭部51を通じて光ファイバーのコアに導かれる。
そして、コア内に導かれた光は、光ファイバーのもう一
方の出射端から出射し、検出器により検出される。つま
り、この顕微鏡では、光ファイバープローブによって散
乱と検出の両方が行われる。そして、このとき、プロー
ブを物体上で走査させることにより、2次元的な検出光
の画像が得られることになる。
【0006】なお、この近接場光学顕微鏡では、先鋭部
の先端がナノメーターサイズとなされたプローブ(Ti
pプローブ)の代わりに、金属等の遮光性被覆層を先鋭
部の先端を除いて形成し、この先鋭部の先端にナノメー
ターサイズの開口を形成したプローブ(開口プローブ)
も使用することができる。
【0007】以上に説明した近接場光学顕微鏡は、物体
上に生成したエバネッセント光をプローブによって集め
るものであり、コレクションモードと称される。
【0008】この他、近接場光学顕微鏡としては、プロ
ーブの後端側から光を取り込むことによって開口にエバ
ネッセント光を生じせしめ、この光で物体を局所的に照
らして画像を得るイルミネーションモードや、開口に生
じたエバネッセント光で物体を局所的に照らすととも
に、開口によって散乱された光を開口プローブを通じて
検出して画像を得るイルミネーション・コレクションモ
ードが知られている。
【0009】このような近接場光学顕微鏡における物体
とプローブの間のエネルギー移動の現象は、それら分極
間の近距離相互作用として理解される。ここで物体とプ
ローブの間で効果的な相互作用を生じる条件としては、
第1に物体とプローブのサイズが近いこと、第2に物体
とプローブの間の距離がプローブのサイズ(Tipにお
いては先端径、開口においては開口径である。)以下に
なることである。
【0010】それゆえ、近接場光学顕微鏡において、ナ
ノメートル級の分解能を得るためには、ナノメートルサ
イズの先端径を有するTip−プローブあるいはナノメ
ートルサイズの開口径を有する開口プローブを作製する
ことが重要である。
【0011】ここで、プローブの作製法としては次のよ
うな手法がとられるのが一般的である。
【0012】まず、Tip−プローブを作製するには、
例えば化学エッチング液に光ファイバーの一端を浸漬
し、この一端に円錐状の先鋭形状を形成する。また、開
口プローブを作製するには、このようにして先鋭化した
光ファイバーに、例えば真空蒸着法等によって遮光性の
被覆層を先端部を除いて形成する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、先鋭部表面
に設ける遮光性被覆層は、これまで真空蒸着法やスパッ
タリング法等の乾式の成膜法によって形成されている。
【0014】このうち真空蒸着法は、蒸着源を加熱蒸発
させ、この蒸気を被処理面に被着させることで薄膜を形
成する方法である。
【0015】また、スパッタリング法は、Ar等のスパ
ッタガスをプラズマ中でイオン化してターゲット表面に
衝突させ、これによってターゲットから飛翔したスパッ
タ粒子を被処理面に被着させることで薄膜を形成する方
法である。
【0016】これらの成膜法によって開口部を有する遮
光性被覆層を形成する場合、蒸着粒子あるいはスパッタ
粒子のファイバーへの入射方向を制御することで、先鋭
部末端での遮光性被覆層の厚さを他の領域よりも薄くす
ることが考えられる。しかし、より透過効率の高い微小
開口を形成するために、通常は、遮光性被覆層を一旦先
鋭部全体に形成した後、先鋭部末端の遮光性被覆層のみ
をエッチング除去する方法が採用される。
【0017】しかしながら、ここで行われるエッチング
は、まず、エッチング用マスクを先鋭部末端を除いて形
成した後、このエッチング用マスクから露出している遮
光性被覆層をエッチング溶液によって溶解除去するもの
であり、工程が非常に煩雑である。
【0018】また、真空蒸着法やスパッタリング法自体
も比較的時間のかかる工程であることから、遮光性被覆
層の形成工程がプローブの生産性向上を妨げる一因にな
っている。
【0019】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、光ファイバーの先鋭部に
微小開口を有する遮光性被覆層を容易に形成することが
でき、分解能に優れるとともに生産性の向上が図れる近
接場光学顕微鏡用プローブを提供することを目的とす
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明は、先鋭部を有する近接場光学顕微鏡用プ
ローブであって、上記先鋭部の表面に、無電界めっき法
によって形成され、上記先鋭部の中途部までは均一な厚
さで、この中途部から厚さを減少させた遮光性被覆層
と、この遮光性被覆層から上記先鋭部の先端を突出させ
た開口径が光の波長以下の開口部を有することを特徴と
する。
【0021】本発明に係る近接場光学顕微鏡用プローブ
は、例えば、コアの周りにクラッドが設けられてなる光
ファイバーよりなり、光ファイバーの一端に、クラッド
から突出したコアを先鋭化することで形成された先鋭部
を有し、この先鋭部の表面に、無電界めっき法によって
形成され、上記先鋭部の中途部までは均一な厚さで、こ
の中途部から厚さを減少させた遮光性被覆層と、この遮
光性被覆層から上記先鋭部の先端を突出させた開口径が
光の波長以下の開口部を有する。
【0022】このような近接場光学顕微鏡用プローブで
は、遮光性被覆層から先鋭部の先端が突出しているの
で、この突出した先鋭部先端から選択的に光が取り込ま
れ、外乱光等の影響を受けずに、エバネッセント光が高
い分解能で検出される。
【0023】また、無電界めっき法では、めっき時間を
制御することで、遮光性被覆層が先鋭部の先端周辺を除
いたかたちで形成されるので、エッチングによって開口
部を形成する工程を別段行う必要がない。したがって、
遮光性被覆層の形成工程が簡易化する。
【0024】しかも、無電解めっき法は、真空蒸着法や
スパッタリング法に比べて成膜速度が速く、また、湿式
法であるので大気中で処理を行うことができ、さらにメ
ッキ液の量や処理容器の容量を増やすことによって一回
の工程で多数の光ファイバーに遮光性被覆層を形成する
ことができる。したがって、無電解メッキ法を用いるこ
とによって製造効率が大幅に改善される。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について説明する。
【0026】本発明の近接場光学顕微鏡用プローブは、
例えば物体表面の光の波長より小さい領域に局在するエ
バネッセント光を検出して物体の形状を測定するプロー
ブ走査型近接場光学顕微鏡において、エバネッセント光
を検出する光プローブとして使用されるものである。す
なわち、この近接場光学顕微鏡用プローブは、その先鋭
部を物体表面に近接させることでエバネッセント光を散
乱させ、この散乱した光をコア中を伝搬させて検出部に
まで導くものである。
【0027】このようにして使用される近接場光学顕微
鏡用プローブは、例えば図1に示すように、コア1の周
りにクラッド2が形成されてなる光ファイバーよりなっ
ており、この光ファイバーの一端に、クラッド2から突
出したコア1を先鋭化することによって形成された先鋭
部3を有している。この先鋭部3は試料からのエバネッ
セント光を散乱させて取り込む導入部であり、特に、こ
の近接場光学顕微鏡用プローブでは、この表面に、当該
先鋭部3の先端周辺を除いて無電解めっき法によって遮
光性被覆層4が形成され、この遮光性被覆層4から上記
先鋭部3の先端5が突出している。
【0028】このような近接場光学顕微鏡用プローブで
は、先鋭部3の先端5周辺を除いて形成された遮光性被
覆層4によって光の入射が遮られるので、試料からの光
は、遮光性被覆層4が形成されていない先鋭部先端5か
ら選択的に取り込まれる。すなわち、遮光性被覆層4に
よって先鋭部先端5に微小開口が形成されたかたちにな
っている。したがって、外乱光等の影響を受けず、エバ
ネッセント光を高い分解能で検出することができる。
【0029】そして、さらに、この近接場光学顕微鏡用
プローブでは上記遮光性被覆層4が無電解めっき法によ
って形成されている。以下に、この無電解めっき法によ
る遮光性被覆層4の形成方法を説明する。
【0030】無電解めっき法によって形成される遮光性
被覆層4は、ニッケル、金、銀、白金、パラジウム、コ
バルト、銅、すず等の金属めっき膜である。
【0031】光ファイバーのガラス表面に無電解めっき
法によって遮光性被覆層4を形成するには、まず、Pd
等の触媒金属核をガラス表面に析出させるところの活性
化処理を行う。
【0032】そして、この活性化処理を施した光ファイ
バーを無電解めっき液に浸漬する。
【0033】無電解めっき液は、めっき膜を析出させる
ための金属塩、還元剤に加えて金属被膜を一定速度で析
出させるための錯化剤、緩衝剤、安定剤が溶解された水
溶液である。この無電解めっき液では、還元剤の酸化に
よって遊離した電子が、金属イオンに供給(還元)され
るといった酸化還元反応が生じており、活性化処理を施
したガラスを浸漬すると、その表面に金属が析出する。
この金属の堆積によってめっき膜が形成されることにな
る。
【0034】ここで、このような無電解めっき法におい
ては、平坦な面に対しては略均一な膜厚でめっき膜が析
出するが、光ファイバーの先鋭部先端のように、曲率の
小さい、いわば針のような尖った形状の表面に対しては
めっき膜が特異な析出の仕方をする。
【0035】これはめっき液中の溶存酸素の吸着に起因
している。
【0036】すなわち、溶存酸素は平坦面よりも微細な
形状の表面に対して多く吸着する。この吸着した溶存酸
素は、ガラス表面で還元剤から遊離した電子を消費する
ため、溶存酸素が過剰に供給される部分では、金属イオ
ンの還元が阻害され、めっきの堆積速度が遅くなる。
【0037】このため、光ファイバーを無電解めっき液
に浸漬した場合には、先鋭部の先端周辺以外の領域では
比較的速くめっきが進行するが、微細な表面形状になっ
ている先鋭部の先端周辺では、過剰に供給された溶存酸
素によってめっきの析出が阻害される。したがって、先
鋭部の先端周辺以外で十分な膜厚のめっき膜が堆積し、
且つ先鋭部の先端周辺でめっき膜が析出していない段階
でめっきを停止することによって、開口部を有したかた
ちで遮光性被覆層が形成されることになる。
【0038】このように無電解めっき法では遮光性被覆
層が開口部を有して形成されるので、エッチングによっ
て開口部を形成する工程を別段行う必要がない。したが
って、遮光性被覆層の形成工程が簡易化する。しかも、
無電解めっき法は、真空蒸着法やスパッタリング法に比
べて成膜速度が速く、また、湿式法であるので大気中で
処理を行うことができ、さらにメッキ液の量や処理容器
の容量を増やすことによって一回の工程で多数の光ファ
イバーに遮光性被覆層を形成することができる。したが
って、無電解メッキ法を用いることによって製造効率が
大幅に改善される。
【0039】なお、遮光性被覆層として形成するめっき
膜は、結晶質であっても非晶質であっても構わない。例
えばNiめっき液の一般的な組成を以下に示すが、この
Niめっき液を用いると結晶質のNiめっき膜が析出す
る。また、めっき液のpHや還元剤の種類を変えること
でめっき膜にPが導入されるようにすると、非晶質のめ
っき膜を形成することができる。
【0040】 Niめっき液の組成 金属塩:NiSO4 0.1mol/l 錯化剤:CH3COONH4 0.4mol/l 還元剤:NaH2PO2 0.2mol/l めっき液のpH:5.00(H2SO4で調整) めっき液の温度50℃ また、無電解めっき液に、予め窒素によるバブリングを
行い、溶存酸素の一部を取り除くようにしても良い。こ
れによって、めっきの進行が促進される。また、この窒
素によるバブリングは、めっきの間も、継続して行うよ
うにしても構わない。この場合、窒素のバブリングによ
ってめっき液が攪拌される。このようなめっき液の攪拌
もめっき膜の析出の仕方に大きな影響を与える要因の一
つである。めっきの析出の仕方を決定する要因として
は、溶存酸素と攪拌の他に、還元剤、錯化剤、種々の添
加剤などのめっき液の成分とめっき液のpH、温度、成
膜時間が挙げられる。また、活性化処理工程の溶液の濃
度等も重要な要因である。
【0041】以上は本発明の近接場光学顕微鏡用プロー
ブの基本的な構成であり、この近接場光学顕微鏡用プロ
ーブの構成はこれに限るものではない。
【0042】例えば、図2に示すように、光ファイバー
の先鋭部の手前に、光ファイバーの径に対して1/10
程度に径小化した径小部6を設け、この径小部6の先端
に先鋭部3を設けるようにしても良い。光ファイバーの
一端に直接先鋭部3を設けた場合には、プローブを試料
上で走査させたときに、光ファイバー自体も試料に近接
するかたちになる。このとき、光ファイバーの径は先鋭
部3の根元径に比べて非常に大きいことから、プローブ
をわずかに傾けただけでも、光ファイバーの周端部が試
料表面に衝突し、試料やプローブ自体に損傷を生じる虞
れがある。
【0043】これに対して、先鋭部の手前に径小部6を
設けると、光ファイバーから先鋭部3が延長された形に
なる。したがって、プローブを多少傾けても光ファイバ
ーの周端部が試料表面に衝突することがなく、衝突によ
る試料やプローブの損傷が回避されることになる。
【0044】また、光ファイバーの先鋭部は、図3に示
すように、コア23とクラッド24の一部を基端面から
突出させ、これを3段階の傾斜角で先鋭化することによ
って形成されていても良い。先鋭部が一定の傾斜角で円
錐状に先鋭化されている場合では、この傾斜角が小さく
なる程光の損失が大きくなり透過効率が低下する。これ
に対して、先鋭部25が3段階の傾斜角で先鋭化されて
いると、先端側から1段目の傾斜角αを小さい角度にし
ても、2段目の傾斜角βを大きな角度にしたり、3段目
の傾斜角γを調整することで光の透過効率を上げること
ができる。但し、この場合、先鋭部25の先端側から2
段目の傾斜角βは30゜〜90゜であり、先端側から1
段目の傾斜角α及び3段目の傾斜角γはこの角度よりも
小さいことが望ましい。また、先端側から1段目のテー
パー面25aの根元径dは、伝搬される光の波長以下で
あることが必要である。
【0045】また、この近接場光学顕微鏡用プローブ
は、単一の伝搬モードの光を伝搬するシングルモードフ
ァイバーとして用いても、複数の伝搬モードの光を伝搬
するマルチモードファイバーとして用いてもいずれでも
構わない。マルチモードファイバーでは、例えばコアの
屈折率が中心から外周側に向かって変化する屈折率分布
とされる。
【0046】以上、本発明を光ファイバーで構成された
プローブに適用した場合について説明したが、本発明が
適用されるプローブはこれに限らない。例えば半導体等
によって先鋭部が形成されたプローブ等に適用すること
も可能である。
【0047】
【実施例】本発明の具体的な実施例について実験結果に
基づいて説明する。
【0048】実施例1 まず、GeO2添加SiO2よりなるコア層の周りに、純
粋SiO2よりなるクラッド層、F添加SiO2よりなる
サポート層が形成された3重構造の光ファイバーを用意
した。この光ファイバーは、コア層の純粋SiO2に対
する屈折率差が2.5%であり、コア径が2μmであ
る。
【0049】そして、この光ファイバーの一端を、40
重量%NH4F溶液:50重量%HF酸:H2O=10:
1:1なる体積比の緩衝HF溶液に90分間浸漬するこ
とによって先鋭部を形成した。形成された先鋭部は、先
鋭角が20゜であり、先端の直径が10nm未満であ
る。
【0050】そして、この光ファイバーを、0.1g/
l濃度の塩化すず(SnCl2・HO)溶液に3分間
浸漬した後、0.05g/l濃度の塩化パラジウム(P
d・Cl)溶液に3分間浸漬することによって活性化
処理を施した。
【0051】続いて、この活性化処理を施した光ファイ
バーをNiめっき液に浸漬した。Niめっき液の組成は
次の通りである。
【0052】 Niめっき液の組成 金属塩:NiSO4 0.1mol/l 錯化剤:CH3COONH4 0.4mol/l 還元剤:NaH2PO2 0.2mol/l めっき液のpH:5.00(H2SO4で調整) めっき液の温度50℃ 光ファイバーをNiめっき液に浸漬すると、先鋭部の先
端から遠い領域からNiめっき膜が析出し始め、時間の
経過によって徐々に先端近くにもNiめっき膜が析出す
るようになる。そして、20分経過後には、図4に示す
ように、先鋭部11の先端周辺を除いた領域に均一な厚
さのNiめっき膜12を形成することができた。このN
iめっき膜12から突出する部分の根元径dFは350
nmであった。
【0053】さらにめっきを続けるとNiめっき膜の厚
さが厚くなり、Niめっき膜から突出する部分の根元径
Fは小径化していった。そして、めっき開始から45
分経過後には、先鋭部の先端上にもNiめっき膜が析出
した。
【0054】実施例2 めっきを行う前に、窒素によるバブリングを行うことで
Niめっき液中の溶存酸素の一部を取り除いたこと以外
は実施例1と同様にして光ファイバーの先鋭部にNiめ
っき膜を析出させた。
【0055】このときのNiめっき膜の析出過程を図5
(a)〜図5(c)に示す。
【0056】図5(a)はめっき開始から10分経過後
のめっき膜の析出状態であり、図5(b)は15分経過
後のめっき膜の析出状態であり、図5(c)は20分経
過後のめっき膜の析出状態である。
【0057】まず、めっき開始から10分経過後では、
図5(a)に示すように、先鋭部13の先端から遠い領
域ではめっき膜14が均一に析出しており、この領域か
ら先端側に向かって徐々にめっき膜の厚さが薄くなる。
そして、先端周辺ではめっき膜の形成が抑えられてい
る。この均一な厚さで形成されためっき膜の終端部の直
径dMは350nmであり、開口部となるめっき膜が形
成されていない部分(めっき膜からの突出部分)の根元
径dFは140nmであった。
【0058】次に、めっき開始から15分経過後では、
図5(b)に示すように、末端から遠い領域ではさらに
めっき膜14が堆積し、めっき膜14の厚さが厚くな
る。また、10分経過後においてめっき膜14の厚さが
徐々に薄くなっていた領域にもめっき膜が均一な厚さで
堆積する。但し、この領域よりも先端側では、この領域
の最終端部を境にしてめっきの析出が抑えられており、
先端側から見たときにはめっき膜が凹形状を呈してい
た。dM,dFは10分経過後の場合と同じ程度であっ
た。
【0059】さらに、めっき開始から20分経過後で
は、図5(c)に示すように、めっき膜14の先端面の
凹部が埋まり、先鋭部の先端周辺のみがめっき膜14か
ら突出したかたちになった。このときめっき膜14から
突出する部分の根元径dFは30nmであった。
【0060】そして、めっき開始から25分経過後に
は、先鋭部の先端上にもNiめっき膜が析出した。
【0061】なお、本発明の近接場光学顕微鏡用プロー
ブとしては、図5(a)〜図5(c)のいずれであって
も良い。
【0062】実施例3 めっきを行う前に、窒素によるバブリングを行うことで
Niめっき液中の溶存酸素の一部を取り除くとともに、
めっきの間にも窒素によるバブリングを行ったこと以外
は実施例1と同様にして光ファイバーの先鋭部にNiめ
っき膜を析出させた。
【0063】その結果、めっき開始から50分経過後で
は、図6に示すように先鋭部の先端から遠い領域では均
一にNiめっき膜が析出し、この領域よりも先端側にも
薄く(20〜30nm)めっき膜が析出した。ここで、
均一な厚さで形成されためっき膜の終端部の直径dM
3μmであり、開口部となる薄い厚さでめっき膜が形成
された部分の根元径dFは450nmである。このプロ
ーブはプラズモンプローブの1種であると考えられる。
【0064】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明に係る近接場光学顕微鏡用プローブは、先鋭部の表面
に、無電界めっき法によって形成され、上記先鋭部の中
途部までは均一な厚さで、この中途部から厚さを減少さ
せた遮光性被覆層と、この遮光性被覆層から上記先鋭部
の先端を突出させた開口径が光の波長以下の開口部を有
するので、この突出した先鋭部先端の開口部から選択的
に光が取り込まれ、外乱光等の影響を受けずに、エバネ
ッセント光を高い分解能で検出することができる。
【0065】本発明に係る近接場光学顕微鏡用プローブ
では、先鋭部の表面に、無電界めっき法により、上記先
鋭部の中途部までは均一な厚さで、この中途部から厚さ
を減少させた状態に上記遮光性被覆層が形成されている
ので、エッチングによって開口部を形成する工程を別段
行う必要がない。しかも、無電解めっき法は、真空蒸着
法やスパッタリング法に比べて成膜速度が速く、また湿
式コーティング法であるので、製造効率を大幅に改善す
ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した近接場光学顕微鏡用プローブ
の先端形状の一例を示す断面図である。
【図2】本発明を適用した近接場光学顕微鏡用プローブ
の先端形状の他の例を示す断面図である。
【図3】本発明を適用した近接場光学顕微鏡用プローブ
の先端形状のさらに他の例を示す断面図である。
【図4】遮光性被覆層を形成するためのめっき過程を示
す断面図である。
【図5】めっき前にめっき液に窒素バブリングを行った
場合のめっき過程を示すものであり、(a)は10分経
過後のめっきの状態を示す断面図であり、(b)は15
分経過後のめっきの状態を示す断面図であり、(c)は
20分経過後のめっきの状態を示す断面図である。
【図6】めっき前及びめっきの間中めっき液に窒素バブ
リングを行った場合のめっき過程を示す断面図である。
【図7】近接場光学顕微鏡の原理を示す模式図である。
【符号の説明】
1,23 コア、2,24 クラッド、3,25 先鋭
部、4 遮光性被覆層、5 先鋭部の先端
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−260458(JP,A) 特開 平7−128039(JP,A) 特開 平7−174542(JP,A) 国際公開95/33207(WO,A1) Jan W.M.Jacobs、Ja n M.G.Rikken,“OXYG EN−DIFFUSION −SIZE EFFECT IN ELECTRO LESS METAL DEPOSIT ION”,PROCEEDINGS O F THE SYMPOSIUM ON ELECTROLESS DEPOS ITION OF METALS AN D ALLOYS,THE ELECT ROCHEMICAL SOCIET Y,US,Vol.88−12,pp.75− 90 阿部真二、石橋純一、物部秀二、大津 元一、本間英夫、“光ファイバー上への 無電解ニッケルめっき”,ファインプレ ーティング,表面技術協会,1997年3 月,No.45,pp.36−37 石橋純一,“極微小領域(nmオーダ ー)への無電解めっき”,電子材料表面 処理技術部会・情報機能材料研究会,表 面技術協会・電子材料表面処理技術部 会,1997年7月,pp.3−18 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 13/10 - 13/24 G12B 21/00 - 21/24 G01B 11/30 G02B 6/10 JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先鋭部を有する近接場光学顕微鏡用プロ
    ーブであって、上記先鋭部の表面に、無電界めっき法に
    よって形成され、上記先鋭部の中途部までは均一な厚さ
    で、この中途部から厚さを減少させた遮光性被覆層と、
    この遮光性被覆層から上記先鋭部の先端を突出させた開
    口径が光の波長以下の開口部を有することを特徴とする
    近接場光学顕微鏡用プローブ。
  2. 【請求項2】 コアの周りにクラッドが設けられてなる
    光ファイバーよりなり、光ファイバーの一端に、クラッ
    ドから突出したコアを先鋭化することで形成された先鋭
    部を有し、この先鋭部の表面に、無電界めっき法によっ
    て形成され、上記先鋭部の中途部までは均一な厚さで、
    この中途部から厚さを減少させた遮光性被覆層と、この
    遮光性被覆層から上記先鋭部の先端を突出させた開口径
    が光の波長以下の開口部を有することを特徴とする請求
    項1記載の近接場光学顕微鏡用プローブ。
  3. 【請求項3】 上記遮光性被覆層は、上記先鋭部の中途
    部から上記開口部の開口径に相当する位置まで厚さが減
    少していることを特徴とする請求項1記載の近接場光学
    顕微鏡用プローブ。
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石橋純一,"極微小領域(nmオーダー)への無電解めっき",電子材料表面処理技術部会・情報機能材料研究会,表面技術協会・電子材料表面処理技術部会,1997年7月,pp.3−18
阿部真二、石橋純一、物部秀二、大津元一、本間英夫、"光ファイバー上への無電解ニッケルめっき",ファインプレーティング,表面技術協会,1997年3月,No.45,pp.36−37

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