JPH1015353A - 窒素酸化物の除去方法 - Google Patents

窒素酸化物の除去方法

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JPH1015353A
JPH1015353A JP8169304A JP16930496A JPH1015353A JP H1015353 A JPH1015353 A JP H1015353A JP 8169304 A JP8169304 A JP 8169304A JP 16930496 A JP16930496 A JP 16930496A JP H1015353 A JPH1015353 A JP H1015353A
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JP
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activated carbon
carbon material
gas
oxygen
atmosphere
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JP8169304A
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Kazutoshi Haraguchi
和敏 原口
Fumihiko Maekawa
文彦 前川
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DIC Corp
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発明が解決しようとする課題は、吸蔵特性及
び/又は還元特性が高く、また還元時に還元ガス成分量
が少なくても安定的にNOXを還元できる、高い浄化能
を有する窒素酸化物の除去方法を提供することにある。 【解決手段】 窒素酸化物と過剰の酸素とを含む原料ガ
スを、パラジウム及びアルカリ金属を担持させた活性炭
素材に、150℃〜350℃の温度で接触させた後、該
活性炭素材を150℃〜500℃の温度で酸素を含まな
い雰囲気と接触させることを特徴とする窒素酸化物の除
去方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は燃焼排ガスや汚染ガ
ス中に含まれる窒素酸化物の除去方法に関するもので、
特に過剰酸素雰囲気ガス中に含まれる高濃度から低濃度
までの窒素酸化物を効率よく除去し、無害の窒素に還元
してガス浄化を行う窒素酸化物の除去方法である。
【0002】
【従来の技術】近年産業の拡大にともない、年間に排出
される環境汚染物質は増加の一途を辿っている。特に窒
素酸化物は自動車需要の急激な増大や発電所、工場等に
おける石油、石炭の燃焼量の増加により著しい増加を示
し、大気汚染や酸性雨を始めとする地球的規模での汚染
源としてその排出量の削減は危急の課題となっている。
【0003】これに対して現在まで各種の対策・検討が
なされており、発生源(自動車や工場のボイラ−、ガス
タ−ビン等)数を抑制することや燃料の改質、排出ガス
再循環による方法等のほか、種々の窒素酸化物の処理技
術が開発・検討されている(例えば、機能材料、13
巻、47頁、1993年)。いずれの発生源においても
排気ガス中に9割近く含まれる一酸化窒素(NO)の除
去が最も大きい問題となっている。また、大気中では、
このNOはオゾン等との作用により酸化されて二酸化窒
素(NO2)として存在し、最終的に大気中の水と結合
し酸性雨の原因となっている。
【0004】窒素酸化物の処理技術として、現在までに
実用化されているものとしては、五酸化バナジウムと酸
化チタン等からなる触媒を用い、アンモニアを還元剤と
した選択還元法(SCR法)とPt、Rh等の貴金属か
らなる三元触媒を用いる方法が、固定発生源(工場ボイ
ラ−等)の過剰酸素共存排ガス及び移動発生源(自動車
エンジン等)の過剰酸素非共存排ガスに対して採用され
ている。
【0005】しかしながら、これらの方法をより広範囲
に用いようとする場合は、多くの問題点を有している。
例えば、SCR法では設備費や運転経費が高いことや、
アンモニアを使用することによる危険性が問題であり、
また、三元触媒では排気ガス中に高濃度の酸素が含まれ
る場合に活性を示さなくなる問題がある。従って、大気
中のNOXや過剰酸素を含むディ−ゼルエンジンやリ−
ンバ−ンエンジンからの排気ガスにはこれらの方法はい
ずれも用いられていない。
【0006】これらの過剰酸素共存下の排ガスに対し
て、近年、炭化水素を還元剤とする銅イオン交換ゼオラ
イト触媒による選択的な脱硝が検討されているが、適用
できる排気ガスの成分条件が限定されることや、NO除
去率が低いこと等により、未だ実用化には至っていな
い。
【0007】一方、アルミナ、ゼオライト等の多孔質担
体に白金と共に、ランタン(特開平5−168860号
公報)や、バリウム酸化物、ランタン酸化物(特開平5
−261287)、アルカリ土類金属(特開平5−31
7652号公報)、アルカリ金属酸化物(特開平6−3
1139号公報)等を担持させたものを用いた排気ガス
の浄化方法が報告されている。
【0008】また、同様な多孔質担体に白金及び/又は
パラジウムを担持させると共に、ランタン、希土類金
属、遷移金属を担持させたもの(特開平6−20597
5号公報)、バリウム及びアルカリ金属、鉄、ニッケ
ル、コバルト、マグネシウムの内の少なくとも一種を担
持させたもの(特開平6−142458号公報)、ラン
タン、アルカリ土類金属、アルカリ金属の内の少なくと
も一種を担持させたものと炭化水素吸着剤とを組み合わ
せたもの(特開平6−210179号公報)を用いる方
法なども報告されている。
【0009】これらの触媒は、いずれも酸素過剰雰囲気
でNOXの大部分を吸着し、理論空燃比もしくは還元ガ
ス雰囲気においては、その雰囲気に含まれるNOXと共
に吸着したNOXをも還元ガス(CO、H2、HC)と反
応させて窒素に還元すること(吸蔵・還元)を特徴とし
ている。かかる吸蔵・還元反応においては、吸蔵特性及
び/又は還元特性が出来るだけ高いことや、還元ガス雰
囲気における還元ガス量が少ない場合も吸蔵されたNO
Xを安定して窒素に還元することが嘱望されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、吸蔵特性及び/又は還元特性が高く、また
還元時に還元ガス成分量が少なくても安定的にNOX
還元できる、高い浄化能を有する窒素酸化物の除去方法
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこれらの課
題を解決すべく鋭意研究した結果、窒素酸化物と過剰の
酸素とを含む原料ガスを、パラジウム及び/又はアルカ
リ金属を担持させた活性炭素材に、150℃〜350℃
の温度で接触させた後、雰囲気を還元ガス雰囲気、又は
不活性ガス雰囲気等に変えることにより、該窒素酸化物
を高効率で窒素分子に還元、無害化できることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
【0012】即ち、本発明は、窒素酸化物と過剰の酸素
とを含む原料ガスを、パラジウム及びアルカリ金属を担
持させた活性炭素材に、150℃〜350℃の温度で接
触させた後、該活性炭素材を150℃〜500℃の温度
で酸素を含まない雰囲気と接触させることを特徴とする
窒素酸化物の除去方法である。
【0013】本発明の窒素酸化物の除去方法は、詳しく
は、酸素を含まない雰囲気が、不活性ガス雰囲気、又は
還元ガス雰囲気、又は真空雰囲気、又は過剰酸素を含ま
ない原料ガス雰囲気であることを特徴とする窒素酸化物
の除去方法や、また活性炭素材と原料ガスとの接触温度
が、活性炭素材と酸素を含まない雰囲気との接触温度と
同じか、もしくはより低いことを特徴とする窒素酸化物
の除去方法を含む。
【0014】更に本発明の窒素酸化物の除去方法は、窒
素酸化物と過剰の酸素とを含む原料ガスを、パラジウム
及びアルカリ金属を担持した活性炭素材に、150℃〜
350℃で接触させた後、該活性炭素材を酸素を含まな
い雰囲気に接触させて窒素酸化物を除去した後、該活性
炭素材に原料ガスを接触させ、次いで酸素を含まない雰
囲気に接触させる工程を繰り返し行わせることを特徴と
する窒素酸化物の除去方法を含む。
【0015】また本発明の窒素酸化物の除去方法は、用
いるアルカリ金属が特にカリウムであることを特徴とす
る窒素酸化物の除去方法を含むものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる活性炭素材は、活性炭素材にパラジウム
及びアルカリ金属を担持させたものである。但し、活性
炭素材にアルカリ金属やパラジウムを各々単独に担持さ
せたものを混合して用いたり、それら単独担持活性炭素
材と両金属担持活性炭素材とを併用して用いたりするこ
とも可能である。
【0017】活性炭素材としては原料、形態等に特に制
限はなく、ピッチ系、フェノ−ル樹脂系、ポリアクリト
ニトリル系活性炭素材や石炭、ヤシ殻などを原料とする
活性炭素材等が用いられる。形態としても粉末状、粒
状、繊維状の他、ハニカム状などに成形したものが用い
られる。また活性炭素材の表面積は50m2/g以上で
あるものが好ましく、特に好ましくは300m2/g以
上である。
【0018】また、活性炭素材を耐熱性、耐久性を向上
させる等の目的で他の無機系材料、特にアルミナ、ゼオ
ライトなどの耐熱性多孔質体と混合、もしくは複合化し
て用いることは有効である。
【0019】本発明において、担持されるパラジウムの
量は、活性炭素材100重量部に対して0.1〜10重
量部であることが好ましい。一方、アルカリ金属の担持
量は活性炭素材100重量部に対して0.1〜15重量
部であることが好ましく、更に好ましくは0.2〜10
重量部である。アルカリ金属としては、特にカリウムを
用いるのが好ましく、複数のアルカリ金属を併用して用
いても良い。
【0020】また、本発明のパラジウムとアルカリ金属
を担持させた活性炭素材は、パラジウムが活性炭素材の
原料ガス流れの上流側において少なく、下流側において
多くなるような担持分布で担持されているものを用いる
ことは、本発明における窒素酸化物の除去率や還元率を
向上させる上で有効である。即ち、窒素酸化物の吸着に
より有効なアルカリ金属を入り側で多くし、窒素酸化物
の還元により有効なパラジウムを出側で多くすることに
より、高効率の還元が達成される。
【0021】本発明には、パラジウムとアルカリ金属の
担持分布の異なる活性炭素材として、パラジウム担持量
の多い活性炭素材もしくはパラジウム担持のみの活性炭
素材と、パラジウム担持量の少ない活性炭素材もしくは
アルカリ金属担持のみの活性炭素材との2種類を組み合
わせて用いてもよいし、1つの活性炭素材で、原料ガス
の流れ方向に沿って、パラジウムとアルカリ金属担持量
の分布を持たせたものを用いても良い。なお、パラジウ
ムの分布は2分布のみならず、3分布以上の多分布とな
るように設計しても良い。
【0022】本発明で使用する金属担持の活性炭素材の
製造方法は、特に限定はないが、パラジウム及び/又は
アルカリ金属が活性炭素材に微細分散して担持されるよ
うに製造するのが望ましい。例えば活性炭素材を硝酸パ
ラジウム、塩化パラジウムなどのパラジウム化合物水溶
液に浸漬し、不活性ガス雰囲気下、もしくは真空雰囲気
下で乾燥焼成(例えば80〜700℃)して活性炭素材
にパラジウムを担持させる。
【0023】同一の活性炭素材にアルカリ金属を併せて
担持させる場合は、前記パラジウム担持体を、次にアル
カリ金属の化合物(例えば水酸化物や炭酸塩)の水溶液
中に浸漬し、不活性ガス雰囲気下、もしくは真空雰囲気
下で乾燥焼成(例えば、80〜700℃)することによ
り、パラジウム及びアルカリ金属を微細分散状態にて担
持させた活性炭素材を製造することができる。
【0024】本発明の窒素酸化物除去方法は、パラジウ
ム及びアルカリ金属を担持させた活性炭素材を用いて、
窒素酸化物を含む酸素過剰雰囲気の原料ガスを接触させ
たあと、該活性炭素材を酸素を含まない雰囲気とするこ
とを必須とするものである。ここで酸素を含まない雰囲
気としては、例えば不活性ガス雰囲気又は還元ガス雰囲
気又は真空雰囲気などが挙げられる。
【0025】本発明においては、まず窒素酸化物と過剰
な酸素を含む原料ガス中の窒素酸化物が活性炭素材に吸
着され、高効率で除去される。ここで吸着除去される窒
素酸化物の比率は、通常のガス吸着と同様に空間速度や
温度によって異なり、低空間速度ほど、また低温度ほど
吸着除去比率は高い。
【0026】また本発明に用いる活性炭素材には、カリ
ウムが担持されていることにより、臨界温度が高く一般
に吸着が室温以上の温度では出来ないと考えられている
一酸化窒素等も、該活性炭素材への化学吸着により、1
50℃以上の高温で効率よく吸着除去される。
【0027】更に本発明では、該窒素酸化物を吸着した
活性炭素材を、実質的に酸素が存在しない雰囲気、例え
ば酸素含有量が0.1%以下の微量又は零である不活性
ガス雰囲気、又は還元ガス雰囲気又は真空雰囲気等にす
ることによって、吸着された窒素酸化物を窒素に還元し
無害化する。
【0028】また、本発明では、活性炭素材が単にパラ
ジウムやアルカリ金属の担体としてのみ働くのではなく
還元剤としても働くために、酸素が存在しない雰囲気に
還元剤としての一酸化炭素や水素や炭化水素が十分に含
まれていない場合や、還元ガスが全く含まれない不活性
ガス雰囲気の場合においても、自らが還元剤として機能
し、吸着した窒素酸化物を高効率で窒素に還元する特徴
を有する。
【0029】本発明では、一般に窒素酸化物を吸着する
過剰酸素雰囲気は、低温であるほど除去効率が高く、ま
た窒素酸化物を還元する不活性ガス雰囲気、又は還元ガ
ス雰囲気、又は真空雰囲気では高温の方が還元効率が高
い。従って、本発明において、両雰囲気を同一温度条件
下で行ってもよいが、吸着をより低温で行い、還元をよ
り高温で行うように温度変化制御をすることが好まし
い。
【0030】本発明の活性炭素材と原料ガスとの接触温
度は、150℃〜350℃が好ましく用いられる。一般
に、350℃以上では、酸素過剰雰囲気での活性炭素材
の劣化が早く実用的では無い場合が多い。また150℃
以下の温度においては、原料ガス中の窒素酸化物の吸着
は生じるが、その後の雰囲気置換による還元が有効に行
えない。
【0031】しかしながら該高温限界は、主に活性炭素
材の耐熱酸化性に依存しており、使用する活性炭素材の
耐熱性が低い場合には、酸素共存雰囲気では350℃よ
り低温で行うが、無機材との複合化等により耐熱酸化性
を向上させた活性炭素材を使用する場合には、より高温
での使用も可能である。
【0032】また酸素を含まない雰囲気との接触温度
は、活性炭素材の耐熱性が高いため、150℃〜500
℃の範囲で高温限界を高く設定できる。しかし、500
℃までの温度で還元は十分行われることが多く、それ以
上の高温にする利点は少ない。
【0033】本発明の窒素酸化物の除去方法は、酸素過
剰雰囲気である排気ガスなどに含まれる窒素酸化物を効
率よく除去し、且つ窒素に還元して無害化することが可
能である。窒素酸化物の濃度としては数ppm又はそれ
以下の低濃度から数千ppmの高濃度までが適用可能で
あり、他に硫黄酸化物や水分や炭化水素等が共存した原
料ガスでも使用可能である。
【0034】更に本発明の窒素酸化物の除去方法は、浄
化温度が150℃〜350℃、もしくは150℃〜50
0℃程度と比較的低温でも可能である点や、高い空間速
度条件においても使用可能であること、また還元過程の
酸素を含まない雰囲気に、必ずしも還元性ガス成分が必
要量含まれていなくても窒素酸化物の還元が可能である
ことから、種々の排気ガスや汚染ガス等に含まれる窒素
酸化物の除去・無公害化に対して極めて有用である。
【0035】
【実施例】次いで本発明を実施例によって更に具体的に
説明する。
【0036】(参考例1)図1に、本実施例で使用した
原料ガスからの窒素酸化物の除去試験装置の概要を示
す。ここで(1)は100ppm〜100%の濃度に予
めに調製された一酸化窒素を始めとする各種成分ガス供
給ボンベ(ヘリウムガスベ−ス)、(2)は電子制御式
ガス混合機、(3)は水分等添加装置(定量適下部及び
加熱蒸発部よりなる)、(4)は吸着・反応装置、
(5)はトラップ、
【0037】(6)は真空ポンプ装置および真空計、
(7)はCO,CO2,N2,N2Oおよび炭化水素等を
検出するガスクロマトグラフ装置(島津製作所製GC−
14B:検出器はFIDとTCD)、(8)はNOX
検出するNOXアナライザ−(島津製作所製NOA−7
000:常圧式化学発光法)、(9)はリファレンス用
のバイパスラインである。
【0038】ここで(7)及び(8)は流通ガスを適切
な量に分岐して共に流すことにより同時測定が可能であ
る。また、系全体は高純度ヘリウムガスを用いて内部で
の未置換ガスの滞留又は外部からの空気の流入が一切無
いことを各実験の前に予め確認すると共に、(7)、
(8)については別途用意した標準ガスを用いて各実験
の前後で各成分ガス濃度の検量を行った。
【0039】なお、以下の実験で使用する混合ガスは特
に記載しない限りヘリウムガスをベ−スとしている。ま
た、混合ガス中のガス組成分析は以下の方法により行っ
た。
【0040】(ガス分析方法) 二酸化窒素、一酸化窒素:常圧式化学発光法 NOX
(島津製作所製、NOX−7000) 亜酸化窒素、窒素:ガスクロマトグラフ(島津製作所
製、GC−14B、熱伝導検出器(TCD) 一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水素:ガスクロマトグラ
フ(島津製作所製、GC−14B、水素炎イオン化検出
器(FID)
【0041】以上のガス分析の定量化は、予めガス会社
(日本酸素株式会社にて調製された成分濃度既知のヘリ
ウムバランスガスを、各成分ガスについて少なくとも2
つ以上用いて検量することにより行った。
【0042】(実施例1)表面積900m2/gの石炭
系活性炭を原料として、硝酸パラジウム水溶液に浸漬
し、80℃〜200℃で乾燥することによりパラジウム
担持量=3重量%のパラジウム担持活性炭素材を調製し
た。また、同じ石炭系活性炭を原料として、水酸化カリ
ウム水溶液に浸漬し、80℃〜150℃で乾燥すること
によりカリウム担持量2.7重量%のカリウム担持活性
炭素材を調製した。
【0043】得られたパラジウム担持活性炭素材とカリ
ウム担持活性炭素材を1対1重量比で混合したもの17
gを反応管にかさ密度0.27g/cm3で充填した。
ヘリウムガスで反応装置を置換し、窒素や酸素が反応系
内に無くなったことを確認後、反応管内部を240℃に
加熱した。
【0044】その後、一酸化窒素501ppmと一酸化
炭素505ppm及び酸素1%を含む原料ガス(ヘリウ
ムベ−ス)を1000ml/分、空間速度942h-1
10分間流した。その結果、出口側において、一酸化窒
素は0ppm〜30ppmで時間経過と共に徐々に増加
して観測された。一方、窒素はほぼ一定で35ppmが
観測され、また亜酸化窒素は一切観測されなかった。
【0045】以上のことより、過剰酸素雰囲気の原料ガ
スに含まれた一酸化窒素の約98%が除去されているこ
と、除去された一酸化窒素の約14%が窒素に還元され
ているが、大部分は吸着されていることが示された。
【0046】引き続き、同じ温度で原料ガスを一酸化窒
素501ppm、一酸化炭素505ppmを含み、酸素
を含まない成分組成(ヘリウムベ−ス)に変え、100
0ml/分、空間速度942h-1の同じ条件で10分間
流通させた。その結果、出口側においては、一酸化窒素
が30ppm〜0ppm観測され、時間と共に急速に減
少した。一方、窒素はほぼ一定で450ppmが観測さ
れ、亜酸化窒素は一切観測されなかった。また、一酸化
炭素も観測されず、二酸化炭素が約1000ppm観測
された。
【0047】活性炭素材の雰囲気を酸素を含まない原料
ガスに変えることにより、それ以前に吸着された一酸化
窒素及び流通中の一酸化窒素を併せた大部分(約98
%)が窒素に還元されたことを示している。
【0048】(実施例2)表面積900m2/gの石炭
系活性炭を原料として、硝酸パラジウム水溶液に浸漬
し、80℃〜200℃で乾燥した。引き続き、水酸化カ
リウム水溶液に浸漬し、80℃〜150℃で乾燥するこ
とにより、パラジウム担持量が2.3重量%およびカリ
ウム担持量が2.5重量%のパラジウム及びカリウム担
持活性炭素材を調製した。
【0049】得られた該活性炭素材0.35gを反応管
にかさ密度0.23g/cm3で充填した。試料温度が
280℃であること、空間速度が38217h-1(ガス
流量は1000ml/分)であること、および流通ガス
の成分組成が異なること以外は実施例1と同様にして一
酸化窒素の除去試験を行った。
【0050】280℃において、まず一酸化窒素508
ppm、一酸化炭素527ppmを含む原料ガス(ヘリ
ウムベ−ス)を10分間流した。その結果、出口側ガス
組成は、一酸化窒素は0ppm、窒素が255ppm、
一酸化炭素は0ppm、二酸化炭素が515ppmでい
ずれも一定であった。この結果より、酸素を含まない原
料ガスでは一酸化窒素は100%還元されていること、
また還元剤として共存する一酸化炭素が消費されている
ことがわかる。
【0051】次いで、同じ温度で原料ガスを一酸化窒素
508ppm、一酸化炭素527ppm、酸素1%を含
む成分組成(ヘリウムベ−ス)に変えて測定を行った。
その結果、出口側においては、一酸化窒素が0ppm〜
300ppmの範囲で時間と共に急速に増加して観測さ
れた。一方、窒素は約45ppmが観測され、亜酸化窒
素は観測されなかった。以上の結果、本過程においては
一酸化窒素の77%が除去され、その多くが吸着されて
いることがわかる。
【0052】次いで、同じ温度で原料ガスを一酸化窒素
508ppm、一酸化炭素879ppmを含み、酸素を
含まない成分組成(ヘリウムベ−ス)に変え、10分間
流通させた。その結果、出口側においては、一酸化窒素
が300ppmから0ppmに時間と共に急速に減少し
た。一方、窒素は切り替え直後に最大を示し、時間と共
に減少したが、3分後においても340ppmが観測さ
れ、10分後では流通原料ガス中の一酸化窒素からの予
測窒素量(254ppm)とほぼ同じ量の窒素が観測さ
れた。
【0053】また、亜酸化窒素は一切観測されなかっ
た。更に、導入した一酸化炭素は出口側では観測され
ず、二酸化炭素が900ppm観測された。以上の結果
は同じ温度で該活性炭素材の雰囲気を酸素を含まない原
料ガスに変えることにより、流通中の一酸化窒素の他、
それ以前に吸着された一酸化窒素の殆どが窒素に還元さ
れていることを示している。
【0054】(実施例3)実施例2に引き続き、原料ガ
ス組成をA:NO=508ppm、CO=527pp
m、酸素1%(ヘリウムベ−ス)、又はB:NO=50
8ppm、CO=527ppm(ヘリウムベ−ス)とし
て、A、Bを繰り返し交互に各10分間流通させ、その
時の一酸化窒素の除去率を測定した(空間速度3821
7h-1等の条件は実施例2と同じ)。結果を図2に示
す。
【0055】図2の縦軸はガス濃度(ppm)を横軸は
時間を表わす。図中の横軸に記載された両端矢印の間隔
が20分間であり、破線は入口側のNO濃度を太線は出
口側のNO濃度を表わす。また図3、図4の縦軸、横
軸、破線及び太線も同様の意味を表す。
【0056】計100分間の一酸化窒素除去率は平均で
75%であり、繰り返し回数によらずほぼ一定であっ
た。また窒素発生量も繰り返し回数によらず、いずれも
流通原料ガス中に含まれる一酸化窒素からの量以上の窒
素発生が観測された。
【0057】(比較例1)パラジウム及びカリウム担持
活性炭素材の代わりに、同様にして調製したパラジウム
及びカリウム担持アルミナ(パラジウム担持量=4.2
重量%、カリウム担持量=3.8重量%)を用いるこ
と、及び原料ガスBの組成をNO=508ppm、CO
=880ppm(ヘリウムベ−ス)とした以外は、実施
例3と同様にして一酸化窒素の除去試験を行った(試料
量=0.785g、かさ密度=0.29g/cm3、空
間速度=38217h-1)。
【0058】結果を図3に示す。計100分間の一酸化
窒素除去率は平均で55%であり、実施例3より低かっ
た。且つ、繰り返し回数を増す毎に除去率は悪化してい
き、一回目の吸蔵・還元では77%の除去率であった
が、5回目の吸蔵・還元では除去率は39%にまで低下
した。
【0059】(比較例2)パラジウム及びカリウム担持
活性炭素材の代わりに、パラジウム担持活性炭素材(パ
ラジウム担持量=3.0重量%)のみを用いること以外
は、実施例3と同様にして一酸化窒素の除去試験を行っ
た(試料量=0.385g、かさ密度=0.25g/c
3、空間速度=38217h-1)。結果を図4に示
す。計100分間の一酸化窒素除去率は平均で52%で
あり、実施例3より低かった。繰り返し回数毎の除去率
は徐々に低下し5回目の吸着過程での除去率は43%で
あった。
【0060】(実施例4)実施例1で用いたのと同じ、
パラジウム担持活性炭素材とカリウム担持活性炭素材の
1対1重量比混合物を試料として用いた。試料温度が1
70℃での一酸化窒素の繰り返し除去試験を行った。こ
こで原料ガス組成をA:NO=491ppm、CO=0
ppm、酸素1%(ヘリウムベ−ス)、又はB:NO=
0ppm、CO=508ppm(ヘリウムベ−ス)とし
て、A、Bを繰り返し交互に各10分間流通させ、その
時の一酸化窒素の除去率を測定した。
【0061】ここでガス流量=1000ml/分、試料
充填量=17g、充填かさ密度=0.27g/cm3
空間速度942h-1とした。その結果、原料ガス中の1
00分間の平均除去率は97%であった。また、流通ガ
スがNOを含まないBの場合も約70ppm程度の窒素
が観測され、前工程で吸蔵されたNOが窒素に還元され
ていることが解る。但し、本実施例では窒素と共に約1
0ppmの亜酸化窒素が観測され、反応温度が170℃
と低いことより窒素への還元が、一部亜酸化窒素に抑え
られ始めていることが示された。
【0062】(実施例5)温度が原料ガスAを流すとき
が200℃で、原料ガスBを流すときが280℃である
こと以外は、実施例3と同様にして一酸化窒素の繰り返
し除去試験を行った。その結果、一酸化窒素の平均除去
率は90%と向上した。また原料ガスB流通時の窒素の
発生は実施例3の場合と同様であった。また、亜酸化窒
素の発生も実験を通して観測されなかった。
【0063】(実施例6)原料ガスBの組成が純ヘリウ
ムガスであること、温度が300℃であること以外は、
実施例3と同様にして原料ガスA中の一酸化窒素の繰り
返し除去試験を行った。その結果、一酸化窒素の平均除
去率は74%であり、また純ヘリウムガスを流通中も窒
素が観測され、還元剤が無い不活性ガス中でも前工程で
吸蔵されたNOは窒素に還元されることが示された。な
お、本実施例で亜酸化窒素は観測されなかった。
【0064】(比較例3及び4)温度を125℃(比較
例3)および400℃(比較例4)とする以外は実施例
1と同様にして、一酸化窒素の除去試験を行った。その
結果、比較例3では一酸化窒素の除去率は100%であ
ったが、酸素を含有しない雰囲気での還元による窒素発
生は観測されなかった。一方、比較例4では原料ガス中
に含まれた酸素と活性炭素材の反応により二酸化炭素が
多量に発生すると共に、活性炭素材の消耗が急激であっ
た。
【0065】
【発明の効果】本発明は、過剰の酸素と数ppm又はそ
れ以下の低濃度から数千ppmの高濃度の窒素酸化物を
含む原料ガス中の窒素酸化物の高効率での除去が可能
で、また浄化温度が150℃〜350℃又は150℃〜
500℃と比較的低温でも行えること、高い空間速度条
件においても使用可能であること、更に必ずしも還元ガ
ス成分を必要としないことから、過剰の酸素を含む排気
ガスや汚染ガス等に含まれる窒素酸化物の除去・無公害
化に極めて有効な窒素酸化物の除去方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 NOX除去試験装置の概要を示す図である。
【図2】 実施例3のNO除去試験結果を示す図であ
る。
【図3】 比較例1のNO除去試験結果を示す図であ
る。
【図4】 比較例2のNO除去試験結果を示す図であ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒素酸化物と過剰の酸素とを含む原料ガ
    スを、パラジウム及びアルカリ金属を担持させた活性炭
    素材に、150℃〜350℃の温度で接触させた後、該
    活性炭素材を150℃〜500℃の温度で酸素を含まな
    い雰囲気と接触させることを特徴とする窒素酸化物の除
    去方法。
  2. 【請求項2】 酸素を含まない雰囲気が、不活性ガス雰
    囲気、又は還元ガス雰囲気、又は真空雰囲気、又は過剰
    酸素を含まない原料ガス雰囲気であることを特徴とする
    請求項1記載の窒素酸化物の除去方法。
  3. 【請求項3】 活性炭素材と原料ガスとの接触温度が、
    活性炭素材と酸素を含まない雰囲気との接触温度と同じ
    か、もしくはより低いことを特徴とする請求項1記載の
    窒素酸化物の除去方法。
  4. 【請求項4】 窒素酸化物と過剰の酸素とを含む原料ガ
    スを、パラジウム及びアルカリ金属を担持した活性炭素
    材に、150℃〜350℃で接触させた後、該活性炭素
    材を酸素を含まない雰囲気に接触させて窒素酸化物を除
    去した後、該活性炭素材に原料ガスを接触させ、次いで
    酸素を含まない雰囲気に接触させる工程を繰り返し行わ
    せることを特徴とする窒素酸化物の除去方法。
  5. 【請求項5】 アルカリ金属がカリウムであることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の窒素酸化
    物の除去方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6224839B1 (en) * 2000-02-03 2001-05-01 The Ohio State University Method for the treatment of activated carbonaceous material containing alkali/alkaline earth metals for the reduction of NOx from flue gas
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