JPH10151711A - リコート用化粧シート及びリコート用化粧材 - Google Patents

リコート用化粧シート及びリコート用化粧材

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JPH10151711A
JPH10151711A JP32482996A JP32482996A JPH10151711A JP H10151711 A JPH10151711 A JP H10151711A JP 32482996 A JP32482996 A JP 32482996A JP 32482996 A JP32482996 A JP 32482996A JP H10151711 A JPH10151711 A JP H10151711A
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JP
Japan
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nonwoven fabric
recoating
sheet
decorative sheet
fibers
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JP32482996A
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English (en)
Inventor
Mitsutoyo Miyakoshi
光豊 宮越
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面が樹脂層からなる従来のリコート用化粧
シートは、ステイン等のリコート用塗料を塗布した際
に、厚く塗工するのが困難であり、肉持ち感に優れた表
面を形成することができなかった。また、ポリ塩化ビニ
ル樹脂の代わりにポリオレフィン(PO)シートを使用
して環境汚染問題の解決を図る。 【解決手段】 POシート11に絵柄層12を設け、その上
に繊維が一定方向に配列した不織布13を積層し、該不織
布13の表面にエンボス模様を形成し、そのエンボス凹部
14に、ワイピング加工により電離放射線硬化性樹脂をバ
インダーとするワイピングインキ15を充填し、更にその
上に電離放射線を照射してワイピングインキを硬化させ
てリコート用化粧シート1 を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の内装、建
具の表面化粧、車両の内装等の表面仕上げに用いられる
化粧シートに関するもので、特に、製品に化粧シートを
貼付後に、ステイン等の着色塗料を用いて、製品の表面
を任意の色に着色するためのリコート用化粧シート及び
そのリコート用化粧シートを用いたリコート用化粧材に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリ塩化ビニルシートを用いて、
これに印刷、エンボス加工等で装飾した化粧シート(特
公昭28−5036号公報、特公昭58−14312号
公報)が使用されていたが、近年これに代わるものし
て、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
系樹脂シートを使用した化粧シート(特開昭54ー62
255号公報)が登場してきた。
【0003】従来から、上記化粧シートは、既に着色さ
れているものと、着色が施されておらず後からステイン
などの着色剤を塗工するものとがあり、後者は再塗工
(リコート)用化粧シートと呼ばれている。ここで、ス
テイン(英語でstain)とは、木材表面を着色する
ための着色剤で、液体状、ジェル状、スプレー等の形態
で使用され、顔料、染料等の着色剤をアマニ油や樹脂な
どに添加したものである。水性のものと油性のものとが
あり、日本ではオイルステイン、ステインニス、水性ス
テイン等と呼ばれている。
【0004】リコート用化粧シートは非着色の化粧シー
トであるため、この化粧シートを基材表面に積層した化
粧材を使用した場合、化粧材を製品に組立てた後に、ス
テインなどの着色塗料を製品表面の化粧シートに塗工す
るので、製品を任意の色に着色することが容易である。
この方法は、製品の組立の際に表面に傷が付いて着色が
剥がれることがなく作業性が良好であり、不良品の発生
を防止できる。また予め組立てておいた無色の製品に、
需要に応じて必要な着色を施すことができるため、製品
の在庫管理が容易であるなどの種々の利点がある。
【0005】従来のリコート用化粧シートは、例えば特
開昭60−149457号公報に開示されているよう
に、印刷基材としてのセルロース系基材シートの上に、
セルロース系樹脂をベヒクルとした印刷インキを用いて
絵柄層を設けた後、その上に、ポリオール成分、イソシ
アネート成分、及びセルロース系成分を構成成分とする
塗料を塗布したものが公知である。このリコート用化粧
シートは、耐久性がよく、リコート塗料の樹脂の浸透が
防止され、仕上げ感が良く、リコート用塗料との密着性
が高いものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記化粧シー
トのように、単に表面に樹脂層が形成されただけの化粧
シートの場合、リコート用塗料との密着性が良好であっ
ても、表面が平滑に形成されているため、リコート用塗
料が表面樹脂層の内部に浸透せず、ステイン等を厚く塗
工しようとしても垂れてしまい、肉持ち感に優れた表面
を得ることは困難である。
【0007】本発明は上記従来技術の欠点を解決するた
めのものであり、リコート用化粧シートの表面に不織布
を用いることにより、ステインなどのリコート用塗料を
厚く塗工可能となり、肉持ち感の優れた表面を形成する
ことが可能となった。また、不織布表面にエンボス模様
を形成し、そのエンボス模様のエンボス凹部にワイピン
グ加工で着色インキを充填せることにより、リコート用
化粧シートの意匠性を高めた。更に、本発明は、ポリ塩
化ビニルシートの代わりにポリオレフィンシートを使用
し、ポリオレフィンシートで構成される化粧シートを建
築物の内装材等に使用するにあたっての欠点、透明性
が不足する、耐熱性が不足する、耐候性が悪い、
柔軟性がない、印刷やラミネート時のインキ、接着剤
などの接着力が不足する、耐衝撃性が弱く、Vカット
加工時に亀裂・破断が生じる、等の問題点を解決した。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、リコート用化粧シートを以下のような構成とし
た。ポリオレフィン樹脂シート基材に、絵柄層、不織布
を積層したリコート用化粧シートにおいて、該不織布層
にエンボス模様を形成し、そのエンボス模様の凹部にワ
イピング加工により着色インキを充填したことを特徴と
するリコート用化粧シートとした。また、前記不織布
が、熱可塑性樹脂からなり、坪量が10〜50g/m2
であり、前記着色インキのバインダーが、電離放射線硬
化性樹脂からなるリコート用化粧シートとした。
【0009】そして、前記不織布が、配向された繊維か
らなる不織布、又は、配向不織布と非配向不織布との積
層体である不織布を用い、その不織布の繊維の配向方法
と不織布の下層に形成されている絵柄層の絵柄の方向と
が相関関係を有するリコート用化粧シートとした。例え
ば、前記絵柄層の絵柄が木目柄である場合、木目の方向
と不織布の繊維の配向方向とが同一方向に形成さている
リコート用化粧シートとした。更に、上記リコート用化
粧シートが化粧材基材に積層されていることを特徴とす
るリコート用化粧材とした。
【0010】即ち、 ポリエチレンやポリプロピレン等
のポリオレフィン系樹脂シート(以下POシートとす
る)基材に、木目等の絵柄層を印刷し、その絵柄層の上
に不織布を積層し、該不織布層にエンボス模様を形成
し、そのエンボス模様の凹部にワイピング加工により着
色インキを充填してリコート用化粧シートとしたもので
ある。(以下ワイピング加工に用いる着色インキをワイ
ピングインキという)そして、上記不織布として、繊維
が配向された不織布、又は、配向不織布と非配向不織布
を積層した不織布を用い、その不織布の繊維の配向方向
と不織布の下層に形成されている絵柄層の絵柄の方向と
が相関関係を有するようなリコート用化粧シートとした
ものである。例えば、絵柄が木目導管の場合、木目導管
の方向と不織布の繊維の方向が同一方向になるようし
た。更に、上記上記リコート用化粧シートを被着体に積
層して、リコート用化粧材とした。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照にしながら本発
明を詳細に説明する。図1は本発明のリコート用化粧シ
ートの一例を示す模式縦断面図であり、図2はそのリコ
ート用化粧シートを合板等の被着体に接着して、リコー
ト用化粧材としたときの模式縦断面図である。本発明の
リコート用化粧シートは、図1に示すように、POシー
ト11に、木目導管等の絵柄層12を設け、その絵柄層
12の上に不織布13が積層され、更に、不織布13の
上にはエンボス模様が形成され、そのエンボス模様の凹
部14にワイピングインキ15が充填された構成となっ
ている。
【0012】本発明のリコート用化粧シートは、該化粧
シートの表面に不織布を用いたことにより、ステイン等
のリコート用塗料を塗布したとき、リコート用化粧シー
トの不織布が、その空隙に塗料を確実に保持し、該塗料
が化粧シートの表面から垂れ落ちるのを防いで、肉持ち
感に優れたリコート層を得ることができる。また、本発
明のリコート用化粧シート1は、不織布の表面にエンボ
ス模様を形成し、そのエンボス模様の凹部に電離放射線
硬化性樹脂をバインダーとするワイピングインキが充填
されているので、耐溶剤性や耐摩耗性に優れたリコート
用化粧シートが得られる。
【0013】以下に、本発明のリコート用化粧シートの
製造方法の一例を示す。図3(a)に示すように、ポリ
エチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のPOシ
ート11の表面に、プライマー層18を形成し、そのプ
ライマー層18の上に絵柄をグラビア印刷等により印刷
して、絵柄層12を形成する。絵柄としては、例えば、
図4に示すように、木目導管等の木目柄12aが印刷さ
れる。
【0014】次いで、該絵柄層12の表面に、不織布1
3として、図5(a)に示すような繊維が長手方向に配
列されている不織布を、繊維16の配列方向と木目柄1
2aの絵柄の方向が同調するようにして、図3(b)に
示すように重ね合わせ、これを木目導管のエンボス模様
を形成したエンボスロールを用いて加熱、加圧し、図3
(c)に示すように、印刷したPOシート11と不織布
13を熱融着すると同時に、不織布13の表面にエンボ
ス模様17を形成する。
【0015】更に、図3(d)に示すように、上記エン
ボス模様17のエンボス凹部14に、ワイピング加工に
より、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等の電離放
射線硬化性樹脂をバインダーとするワイピングインキ1
5を充填し、それに紫外線や電子線等の電離放射線を照
射してワイピングインキ15を硬化させて本発明のリコ
ート用化粧シート1を作製する。
【0016】本発明のリコート用化粧シートに用いられ
る不織布としては、繊維が配向された不織布、又は、配
向不織布と非配向不織布を積層した不織布が用いられ
る。そして、その不織布の繊維の配向方向と不織布の下
に形成されている木目導管等の絵柄層の絵柄の方向とが
相関関係を有するようにした。図5は、不織布の繊維の
配列状態を示した図で、(a)図は繊維16が一定方向
に配列した配向不織布13aの平面図であり、(b)図
は繊維16がアトランダムに配列した非配向不織布13
bの平面図である。例えば、図4に示すように、木目導
管の木目柄12aを印刷したPOシート11の上に、木
目柄12aの方向と不織布の繊維の配向方向とが同調す
るように積層して、本発明のリコート用化粧シートは作
製される。また、図5(a)及び(b)に示した配向不
織布13aと非配向不織布13bを積層した不織布を用
いて、配向不織布13aの繊維の配向方向が木目柄12
aの方向と同調するようにしてリコート用化粧シートを
作製することもある。
【0017】上記不織布は、合成繊維、天然繊維、ガラ
ス繊維などを適当な方法でマット状や薄綿状にして、接
着剤や繊維自身の融着力によって繊維どうしを接合して
つくったシート状のものをいう。不織布には、繊維を配
列させる方法によって、湿式不織布、乾式不織布、スパ
ンボンド式不織布(直接式不織布)等があるが、本発明
に使用される不織布はいずれの方法で作られたものでも
よい。不織布は、いずれもウェブを作り、このウェブを
接着することにより作製される。ウェブを作る方法によ
り、繊維が一定方向に配列した不織布(配向不織布)と
繊維の配列に方向性を持たない不織布(非配向不織布)
が得られる。
【0018】配向不織布は、リコート用化粧シートの表
面に用いた場合、ステインの刷毛塗りによる毛羽立ち
や、ラッピング加工の際の毛羽立ちを抑える効果があ
る。また、非配向不織布は、繊維の方向がランダムに形
成されているので、引き裂きに対し抵抗力があるため、
配向不織布に非配向不織布を積層することにより、配向
不織布のみを使用した場合と比較して全体の強度が向上
する。
【0019】配向不織布と非配向不織布を積層した不織
布を本発明に用いる場合、どちらの不織布を表面側とし
てもよいが、配向不織布は表面の毛羽立ちを抑える効果
が大きい点から、配向不織布が表面側となるように用い
るのが好ましい。
【0020】また、積層不織布は、上記の配向不織布と
非配向不織布との積層体に限定されず、配向不織布同士
をその配向方向が交叉するように積層したものを用いる
ことができる。このように積層することで、配向方向に
対する引き裂き強度の低下を改良することができる。
【0021】本発明において、配向不織布又は非配向不
織布の配向とは、三次元空間内における繊維の長さ方向
の傾斜方向として定義することができる。具体的には図
7に示すように、基準となるべき不織布表面と平行な面
をxy平面とし、これに直交する座標をzとすると、繊
維の方程式はΦ(x,y,z)となる。この繊維の勾配
ベクトル(gradΦ)で繊維の配向を定義すると、g
radΦは下記式で示される。 gradΦ=(∂Φ/∂x,∂Φ/∂y,∂Φ/∂z) 重力場中で繊維に水を注いだ時に水が流れ落ちる方向が
gradΦベクトル方向となる。そして、繊維の配向方
向は個々の繊維片によって異なるので、不織布中の各繊
維片は、図8に示すように、三次元空間内の方位角
(θ,φ)に対して分布を持つ。
【0022】従って不織布中の繊維の配向状態は個々の
繊維の配向方向のgradΦの三次元空間内での確率密
度関数f(θ/φ)で表現される。ここで、f(θ/
φ)は極座標(球座標)表示である。直交座標と極座標
との関係は図7及び図8に示す通りである。三次元極座
標(γ,θ,φ)のγ座標を方位角(θ,φ)方向の確
率密度分布にあてはめ、f(θ,φ)の曲面を元の直交
座標(xy平面が不織布表面に平行)にプロットしたの
が図9及び図10である。この曲面f(θ,φ)の形で
繊維の配向方向の分布を把握できる。
【0023】図9はリコート用化粧シートの配向不織布
の配向分布を示し、y方向に繊維の配向方向がピークを
持つ。配向不織布の繊維の確率分布は、通常はz軸方向
に対しては大きなピークを持たない。図9に示すように
xy平面方向にピークが存在する。尚、図9のf(θ,
φ)は、代表例を模式的に図示したものであり、本発明
において配向不織布は必ずしも回転楕円体になっている
必要はない。要するにxy平面方向のどこかに確率分布
のピークが存在すればよい。
【0024】図10はリコート化粧シートの非配向不織
布のランダムな繊維の配向分布を示し、繊維の分布はx
y平面方向においてほぼ均一に分布している。尚、非配
向不織布において、確率密度関数を表す曲面f(θ,
φ)は必ずしも断面が完全な円形を示す必要はない。
【0025】不織布を製造する際の繊維同士の接着方法
には、接着剤による方法、繊維同士を熱融着させる方
法、浸漬接着法、、機械的接着法等がある。接着剤とし
ては、主として塩化ビニル系エマルジョン、酢酸ビニル
系エマルジョン、アクリル酸エステル系エマルジョンや
これらの共重合体エマルジョンを用い、スプレーでウェ
ブに噴霧する方法、浸漬する方法、泡状にしてウェブに
圧入する方法などが用いられる。
【0026】不織布に用いられる繊維は、短繊維の場合
には、綿などの天然繊維、レーヨン、アセテート、ナイ
ロン、ビニロン、ポリエステル、ポリオレフィン、アク
リルなどの合成繊維、ガラス繊維などの1種、または上
記の各種繊維を2種以上混合したものが用いられる。ス
パンボンド法の溶融紡糸には、ポリエステル、ナイロ
ン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィ
ン、ポリ塩化ビニル等が用いられ、また湿式法の場合に
はセルロース系のレーヨンが用いられる。繊維の材質
が、アクリル、レーヨン、ナイロン、ポリオレフィンな
どの場合は、不織布を熱溶着して基材シートと貼り合わ
せることができる。また、アクリル繊維とポリエステル
繊維を混合した不織布を用いた場合は、リコート用化粧
シートの表面にステインを塗工した際に、刷毛により不
織布の繊維が毛羽立ちを起こすのを抑えることができ、
塗工後の製品表面が外観的に優れたものとなる。
【0027】不織布13は、図1に示すように、POシ
ート11に形成された絵柄層12の上に積層されるの
で、リコート用化粧シート1の表面から不織布13を通
して絵柄層12が見える必要があり、不織布の厚さは絵
柄層12を鮮明に見ることができるものを用いるのが好
ましく、不織布の坪量は10〜50g/m2 の範囲が好
ましい。また、不織布の繊維は熱融着可能なものが好ま
しい。熱融着可能な不織布を用いることにより、化粧シ
ートの製造の際に、接着剤を使用しなくても、POシー
トに接着することが可能であるため、生産性が向上し、
且つ経済的にも有利である。坪量が10g/m2 未満の
不織布は、着色剤を塗工する際、肉持ち感が不十分とな
り、表面の耐久性が不十分となる虞れがある。又、不織
布の坪量が50g/m2 以上になると、ステイン等の着
色剤を塗工した際に着色剤の保持量が多くなり過ぎて、
表面の透明感を損ない、絵柄が鮮明に見えなくなる虞れ
がある。
【0028】本発明のPOシートに用いられるポリオレ
フィン樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロ
ピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体、エチ
レン・ブテンー1共重合体、プロピレン・ブテンー1共
重合体、ポリブテンー1、ブテンー1・プロピレン・エ
チレンの3共重合体、ブテンー1・ヘキセンー1・オク
テンー1の3共重合体、ポリメチルペンテン、或いは特
開平6ー16832号公報等に記載のオレフィン系エラ
ストマー等が使用される。そして、使用されるシートの
厚さは、50〜200μmの範囲で、好ましくは100
μm前後であり、延伸シート又は未延伸シートのいずれ
も使用可能であるが、Vカット加工等の加工適性上は未
延伸シートの方が良好である。
【0029】上記ポリオレフィン樹脂は、それ自体単体
でも使用可能であるが、ポリオレフィン樹脂に柔軟性、
耐衝撃性、易接着性を付与するために、各種のゴム類を
添加して、ポリオレフィンとゴムのブレンド物として使
用される。ゴム類としては、ジエン系ゴム、水素添加ジ
エン系ゴム、オレフィンエラストマー等が使用される
が、中でも、水素添加ジエン系ゴムが好ましい。水素添
加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少な
くとも一部分に水素原子を付加させたもので、本発明に
おいては、ポリオレフィン樹脂の改質剤として使用され
が、ポリオレフィン樹脂の結晶化を抑制し、柔軟性、透
明性を向上させる働きがある。また、一般に、ポリオレ
フィン樹脂にジエン系ゴムを添加するとジエン系ゴムの
二重結合のために、耐候性、耐熱性はジエン系ゴムを添
加しないポリオレフィン樹脂より低下するが、本発明で
は、ジエン系ゴムの二重結合を水素原子で飽和させるた
め、ポリオレフィン樹脂の耐候性、耐熱性の低下が防止
されて良好なものとなる。
【0030】上記ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴ
ム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジ
エンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリ
ロニトリル・イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴ
ム等がある。本発明の目的には、特にスチレン・ブタジ
エンゴムが好ましい。ジエン系ゴムの添加量としては、
ポリオレフィン樹脂100重量部に対して1〜90重量
部の範囲が使用可能であり、添加量が1重量部未満で
は、弾性、伸び率、耐衝撃性が不足し、Vカット加工、
折り曲げ加工時に、亀裂や割れが生じ易くなる。また、
添加量が90重量部では、弾性、伸び率が大きすぎて、
印刷時の見当合わせが困難となり、印刷基材として好ま
しくない。
【0031】本発明においてポリオレフィンシートに着
色する場合には、上記ポリオレフィン樹脂に、顔料、染
料等の着色剤を分散することにより着色される。更に、
着色ポリオレフィン樹脂には、充填剤、発砲剤、難燃
剤、紫外線吸収剤等が添加されてもよい。充填剤として
は、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等を用
いることができる。また、平均粒径が5μm以下の充填
剤を用いることが好ましい。この充填剤、顔料及び/又
は染料により、着色ポリオレフィンシートを不透明にす
ることができる。
【0032】本発明に用いられるポリオレフィンシート
は、ヤング率が400〜800MPaの範囲が好まし
い。ヤング率が800MPaを超えるとVカット加工時
に亀裂が生じ易くなり好ましくない。また、ヤング率が
400MP未満ではコシがなくなり、局部的に伸びを生
じて貼りにくくなる。
【0033】本発明で用いるポリオレフィンシートは、
その加熱収縮率とVカット加工における曲げ加工時の亀
裂・破断性とに相関関係があり、100℃雰囲気中で3
0分加熱した後のシートの寸法収縮率(加熱前を基準と
して)が、長尺帯状シートの場合、シート長手方向が−
2〜+7%、シート幅方向が−7〜+2%の範囲が好ま
しい。寸法収縮率がこの範囲から逸脱するとVカット加
工時に亀裂が生じて好ましくない。尚、加熱時の寸法収
縮率の許容範囲がシートの長手方向と幅方向とで異なる
のは、シート製造時の力学的履歴、及びシート加工時の
衝撃力の加わり方が長手方向と幅方向で異なるためであ
る。この加熱による寸法収縮率は、主にポリオレフィン
シートの延伸と大きな相関がある。無延伸であれば、加
熱による寸法収縮率は前記範囲に収まり、また、3倍以
上延伸した場合は、加熱による寸法収縮率は殆どの場合
前記範囲を外れることになる。従って、延伸する場合
は、加熱による寸法収縮率が前記範囲内に収まるように
延伸倍率を抑制する必要がある。
【0034】絵柄層12の絵柄は、木目、石目、布目等
の天然物を模写したもの、図形、記号、文字、罫線、全
面ベタ印刷などの絵柄から、化粧シートの用途に応じて
適宜選択することができる。絵柄層12は、グラビア印
刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷などの凹版、
凸版、孔版などの通常の印刷方法の他、インキジェット
プリント等によって設けることができる。上記の印刷に
用いる印刷インキのバインダーは、適用する基材シート
に応じて適宜選択される。インキのバインダーとして、
エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酪酸セルロー
ス等のセルロース誘導体、ポリメタクリル酸メチル、ポ
リメタクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビ
ニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブ
チラール等のビニル系樹脂等が挙げられる。そして、印
刷インキは、上記バインダー樹脂と、通常の顔料、染料
等の着色剤、体質顔料、添加剤、溶剤等から構成され
る。
【0035】本発明においてPOシート、又は絵柄層の
上に、接着性向上のために、易接着処理を行うことがあ
る。易接着処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処
理、又は、易接着層(プライマー層或いはアンカー層と
もいう)を形成する方法がある。易接着層の形成方法と
しては、アクリル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合
体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリ
エチレン、塩素化ポリプロピレン等の樹脂を溶媒に溶解
したインキを用いて、公知の方法で塗布、乾燥して易接
着層とする。POシート自体には、直接絵柄模様を印刷
したり、接着剤を塗布することも可能であるが、易接着
層を設けることにより、絵柄層や接着剤とPOシートと
の接着力を強力なものにできる。
【0036】本発明においてワイピングインキに使用さ
れる電離放射線硬化性樹脂としては、分子中に重合性不
飽和結合又は、エポキシ基を有するプレポリマー、オリ
ゴマー、及び/又は単量体を適宜混合した組成物を用い
る。前記プレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽
和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポ
リエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエー
テルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラ
ミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステ
ルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアク
リレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアク
リレート、メラミンアクリレート等のアクリレート類等
がある。
【0037】前記単量体の例としては、スチレン、α−
メチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メト
キシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブ
チル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル
等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタ
クリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸
メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタク
リル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル
酸エステル類、アクリル酸−2−(N、N−ジエチルア
ミノ)エチル、メタクリル酸−2−(N、N−ジメチル
アミノ)エチル、アクリル酸−2−(N、N−ジベンジ
ルアミノ)エチル、メタクリル酸(N、N−ジメチルア
ミノ)メチル、アクリル酸−2−(N、N−ジジエチル
アミノ)プロピル等の不飽和酸の置換アミノアルコール
エステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不
飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレ
ート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペン
チルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオ
ールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレ
ート、トリエチレングリコールジアクリート等の化合
物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレン
グリコールアクリレート、プロピレングリコールジメタ
クリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等
の多官能性化合物、及び/又は、分子中に2個以上のチ
オール基を有するポリチオール化合物、例えば、トリメ
チロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロー
ルプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトー
ルテトラチオグリコール等がある。
【0038】以上の化合物を必要に応じ1種もしくは2
種以上混合して用いるが、樹脂組成物に通常の塗工適性
を付与するために、前記プレポリマー又はオリゴマーを
5重量%以上、前記単量体及び/又はポリチオールを9
5重量%以下とすることが好ましい。
【0039】単量体の選定に際しては、硬化物の可撓性
が要求される場合は塗工適性上支障の無い範囲で単量体
の量を少なめにしたり、1官能又は2官能アクリレート
単量体を用い比較的低架橋密度の構造とする。又、硬化
物の耐熱性、硬度、耐溶剤性等を要求される場合には塗
工適性上支障の無い範囲で単量体の量を多めにしたり、
3官能以上のアクリレート系単量体を用い高架橋密度の
構造とするのが好ましい。1、2官能単量体と3官能以
上の単量体を混合し塗工適性と硬化物の物性とを調整す
ることも出来る。
【0040】以上の様な1官能アクリレート系単量体と
しては、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルア
クリレート、フェノキシエチルアクリレート等が挙げら
れる。2官能アクリレート系単量体としては、エチレン
グリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオール
ジアクリレート等が、3官能以上のアクリレート系単量
体としてはトリメチロールプロパントリアクリレート、
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエ
リスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0041】また、硬化物の可撓性、表面硬度等の物性
を調節する為に前記プレポリマー、オリゴマー、単量体
の少なくとも1種に対して、以下の様な電離放射線非硬
化性樹脂を1〜70重量%、好ましくは5〜50重量
%、混合して用いることができる。
【0042】電離放射線非硬化性樹脂としてはウレタン
系、繊維素系、ポリエステル系、アクリル系、ブチラー
ル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂
を用いることができ、特に可撓性の点から繊維素系、ウ
レタン系、ブチラールが好ましい。
【0043】前記エンボス凹部に充填されるワイピング
インキとしては、上記バインダー樹脂と、通常の顔料、
染料等の着色剤、体質顔料、硬化剤、添加剤、溶剤等か
らなるインキの中から、用途に応じて選定されるが、二
液硬化型のインキが密着性、耐溶剤性の点で好ましい。
また、ワイピング法は、ドクターブレード法、ロールコ
ート法等、従来から使用されている公知のワイピング法
のいずれによってもよい。
【0044】本発明のリコート用化粧シートにおいて、
POシート11(又は絵柄層4)の表面に、不織布を積
層するには、POシート11の樹脂又は絵柄層12を形
成するインキのバインダーが熱融着できる場合は、熱圧
着により行うことができる。また、POシート11と不
織布13を接着剤を用いて積層してもよい。この場合、
安定した接着強度を得ることができる。接着剤による不
織布の積層は、ウエットラミネーション、ドライラミネ
ーションによって行うことができる。接着剤は、POシ
ート、絵柄層、不織布等の種類や、要求される品質特性
によって適宜選定することができ、例えば、酢酸ビニル
エマルジョン、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合
体エマルジョンや、ポリエステル、ポリエーテルのイソ
シアネートによる硬化型接着剤、エポキシ樹脂の各種硬
化方法による接着剤などが適宜用いられる。また、不織
布として積層体を用いる場合、予め積層された不織布を
POシート表面に積層してもよく、或いは、POシート
の表面に繊維の配向状態の異なる不織布を順次積層して
もよい。
【0045】上記のリコート用化粧シートは、化粧材基
材(被着体)に貼着することによりリコート用化粧材と
する。この化粧材基材は、化粧材の用途等に応じて任意
の、形状及び材質のものが用いられる。その形状は、シ
ート状及び板状ならびに立体形状のいずれでもよく、ま
た材質も特に限定されない。化粧材基材は例えば、ス
テンレス鋼、鋼、アルミニウム、もしくは銅等の金属の
板または成形品、ガラス、大理石、陶磁器、石膏ボー
ド、石綿セメント板、珪酸カルシウム板、GRC(ガラ
ス繊維強化セメント)等の無機質の板または成形品、
ポリエステル、メラミン、ポリ塩化ビニル、ジアリルフ
タレート等の有機ポリマーの板、成形品、あるいはこれ
らのシート、フィルム、木、合板、パーチクルボード
等の木質の板または成形品、薄葉紙、晒クラフト紙、
チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙等の紙;ポ
リエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩
化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリ
ビニルアルコールフィルム、ポリエチレンテレフタレー
トフィルム、ポリカーボネートフィルム、ナイロンフィ
ルム、ポリスチレンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重
合体フィルム、エチレンビニルアルコール共重合体フィ
ルム、アイオノマー等のプラスチックフィルム;鉄、ア
ルミニウム、銅等の金属箔若しくはシート;並びに以上
の各素材の複合体、等が挙げられる。これら化粧材基材
には、目止め処理やプライマー処理等の下地処理や接着
性向上のための処理等を行ってもよい。リコート用化粧
シートの化粧材基材への貼着手段は、接着剤を用いた接
着、熱融着、ドライラミネート等の各種手段を用いるこ
とができる。
【0046】本発明のリコート用化粧シートには、リコ
ート用化粧シートを被着体に貼着して家具等に組み立て
られて製品とした後に、主として刷毛塗りまたはスプレ
ー等で着色剤等を含有する塗料が塗工される。この着色
塗料は、通常の木材を着色するのに用いられるものが利
用される。このような着色塗料は、例えば染料を水、ラ
ッカー、油性ワニス、合成樹脂ワニス等に溶解又は分散
したものが用いられる。本発明のリコート用化粧シート
は、このような着色剤を塗工した際、表面のリコート層
の不織布に十分浸透し、垂れたり、はじいたりすること
なく均一に肉持ち良く塗工され、木工製品に着色する場
合と同様の感覚で作業を行うことができる。
【0047】
【実施例】
(実施例1)図3(a)に示すように、POシート11
として厚さ150μmの白色PEシート(タツノ化学
(株)製)を用いて、これに2液硬化型のウレタン系プ
ライマー液(昭和インク工業(株)製)を塗布してプラ
イマー層18を形成後、その上にグラビアインキ(昭和
インク工業(株)製)を用いて、木目柄を印刷して絵柄
層12を設けた。次いで、該絵柄層12の表面に、不織
布13として坪量25g/m2 の繊維長44mm、太さ
1デニールの繊維が、主として長手方向(長尺なシート
として形成された不織布シートの長手方向)に配列され
ているアクリル系不織布(日本バイリーン社製)を、図
3(b)に示すように重ね合わせ、これを木目導管のエ
ンボス模様を形成したエンボスロールを用いて、温度1
50°C、圧力60kg/cm2 の条件で、加熱、加圧
して、図3(c)に示すように、印刷したPEシート1
1と不織布13を熱融着すると同時に、不織布13の表
面にエンボス模様17を形成した。
【0048】更に、図3(d)に示すように、上記エン
ボス模様17のエンボス凹部14に、ワイピング加工に
より、電子線硬化性樹脂をバインダーとするワイピング
インキ15(ザ・インクテック(株)製)を充填し、そ
れに電子線照射装置を用いて、加速電圧165keV
で、吸収線量30kGyを照射してワイピングインキ1
5を硬化させて本発明のリコート用化粧シート1を作製
した。
【0049】得られたリコート用化粧シートの表面に着
色剤(米国ベア社製:ウッドステイン剤)を表面光沢が
出るまで刷毛で塗工したが、弾いたり、垂れたりするこ
とがなく、肉持ち感に優れた表面コート層を形成するこ
とができた。また、リコート層の繊維が配向した不織布
の繊維の長手方向と、木目柄の木目方向とが同一に形成
されているため、天然木に極めて近い意匠感を有するも
のであった。
【0050】(実施例2)実施例1と同様に、POシー
ト11として厚さ150μmの白色PEシートにプライ
マー層18を形成後、木目柄を印刷して絵柄層12を設
けた。次に、不織布13として、坪量12g/m2 の配
向不織布A(繊維長38mm、繊維の太さ1.5デニー
ルであるポリエステル繊維と、繊維長44mm、繊維の
太さ1.5デニールであるアクリル繊維とを8:2の割
合で配合したもので、繊維を長手方向に配列したもの)
と、坪量13g/m2 の非配向不織布B(前記ポリエス
テル繊維とアクリル繊維とを2:8の割合で配合し、繊
維を乱交させたもの)を160〜200℃でカレンダー
加工して積層した不織布(日本バイリーン社製)を用い
て、前記絵柄層を形成した白色PEシート11の絵柄層
12面に積層した。尚、上記不織布は不織布B側を絵柄
層12と接するようにし、不織布Aの繊維の長手方向と
絵柄層の木目柄の木目方向とを同一にし、実施例1と同
様に、白色PEシート11と積層すると同時に、不織布
面にエンボス模様17を形成した。更に、実施例1と同
様に、エンボス凹部14にワイピングインキ15を充填
して、リコート用化粧シート1を得た。
【0051】得られた化粧シートの不織布A面に実施例
1同様に光沢がでるまでステインを塗工した。その結
果、弾いたり、垂れたりすることがなく、肉持ち感に優
れた表面コート層ができた。また、リコート層の繊維が
配向した不織布の繊維の長手方向と、木目柄の木目方向
とが同一に形成されているため、天然木に極めて近い意
匠感を有するものであった。
【0052】(実施例3)POシート11として、実施
例1における白色PEシートの代わりに、厚さ150μ
mの白色軟質PPシート(出光石油化学(株)製)を用
いて、実施例1と同様に、プライマー層18を形成後、
木目柄を印刷して絵柄層12を設けた。次に、実施例1
と同様に、前期白色軟質PPシートと配向不織布を積層
すると同時に、配向不織布の表面にエンボス模様を形成
し、そのエンボス凹部にワイピングインキを充填してリ
コート用化粧シートを作製した。
【0053】得られたリコート用化粧シートの表面に着
色剤(米国ベア社製:ウッドステイン剤)を表面光沢が
出るまで刷毛で塗工したが、はじいたり、垂れたりする
ことがなく、肉持ち感に優れた表面コート層を形成する
ことができた。
【0054】(実施例4)実施例1と同様に、図6
(a)に示すように、リコート用化粧シート1を作製し
た。次に、このリコート用化粧シート1の白色PEシー
ト11面に、図6(b)に示すように、実施例1で用い
たプライマー液を塗布してプライマー層18を形成した
後、接着剤(コニシ(株)製)を塗布、乾燥して接着剤
層19を形成した。上記リコート用化粧シートを、図6
(c)に示すように、被着体20として厚さ5mmの合
板にラッピング加工により積層して、リコート用化粧材
2を作製した。このラッピング加工の際に化粧材の表面
に傷が付いたり、毛羽立ちすることがなく良好に加工を
行うことができた。更に得られた化粧材の表面に水性ス
テイン、油性ステイン(共に米国ベア社製)を刷毛で塗
工したところ、いずれも、弾きや垂れ、及び毛羽立ち等
がなく良好に塗工することができた。また、塗り替えの
際、シンナーで色を落とし、その後塗り直しても問題無
く塗装できた。
【0055】(比較例1)実施例1のにおける不織布の
代わりに、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体を主成分と
する溶剤タイプのワニスを、POシートに設けた絵柄層
表面に塗布、乾燥して樹脂層を設け、その樹脂層にエン
ボス模様を形成し、更にワイピング加工してリコート用
化粧シートを作製した。このリコート用化粧シートの表
面に、実施例と同様に、表面光沢がでるまでステイン剤
を塗工したが、樹脂層に全く浸透性がないため、ステイ
ン剤が表面から垂れ、肉持ち感のある表面コート層を形
成することはできなかった。
【0056】(参考例1)参考のために天然木を用いた
突き板に、実施例1同様に着色剤として、ウッドステイ
ン剤(米国:ベア社製)を表面光沢が出るまで刷毛で塗
工したが、はじきや垂れ等がなく肉持ち感のある表面コ
ート層を形成することができた。しかし、耐候性試験
(サンシャインウエザオメータの2000時間照射の促
進試験)では、ステインの著しい変色が認められた。
尚、実施例及び比較例についても同様に耐候性試験を行
ったが、実施例及び比較例のいずれも変色はほとんど認
められなかった。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように本発明のリコート用
化粧シート及びリコート用化粧材は、不織布が表面に存
在するため、ステイン等のリコート用塗料が表面の不織
布の内部に浸透するので、塗工時に、垂れたり、弾いた
りすることなく、均一で肉持ち感の優れた表面を形成す
ることができる。更に、リコート用塗料を木工製品に塗
工する場合に極めて類似した肉持ち感があり、しかも耐
久性に優れた表面が形成される。また、天然木の突き板
にステインを塗工した場合は、肉持ち感に優れるもの
の、吸脱湿、温度変化、光に対する耐久性が低いのに対
し、本発明のリコート用化粧シートでは、ステイン等の
塗工の際に天然木に塗工するのと同じ感覚で塗工可能で
あり、且つステイン塗工後の製品は耐候性、耐水性に優
れたものとなる。更に、ワイピング加工により表面のエ
ンボス凹部に電離放射線硬化型樹脂からなるワイピング
インキが塗布されておるので、耐擦傷性、耐薬品性(耐
溶剤性)、耐候性が優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリコート用化粧シートの一例を示す模
式縦断面図である。
【図2】本発明のリコート用化粧シートを被着体に積層
したリコート用化粧材の模式縦断面図である。
【図3】本発明のリコート用化粧シートを作製するとき
説明図で、 (a) POシートにプライマー層、絵柄層を形成した
図である。 (b) (a)図に不織布を積層した図である。 (c) (b)図の不織布表面にエンボス模様を形成し
た図である。 (d) (c)図のエンボス凹部にワイピングインキを
充填した図である。
【図4】POシートに木目柄を印刷したときの平面図で
ある。
【図5】不織布の繊維の配列状態を示した図で、 (a) 繊維が一定方向に配列した配向不織布の平面図
である。 (b) 繊維がアトランダムに配列した非配向不織布の
平面図である。
【図6】本発明のリコート用化粧材作製するとき説明図
で、 (a) リコート用化粧シートの断面図である。 (b) (a)図にプライマー層及び接着剤層を形成あ
した図である。 (c) (b)図のリコート用化粧シートを被着体に接
着してリコート用化粧材としたときの断面図である。
【図7】不織布の繊維の配向方向を規定するために用い
る直交座標系の説明図である。
【図8】図7の座標系の極座標の説明図である。
【図9】配向不織布の繊維の配向分布を直交座標にプロ
ットした曲面の一例を示す図である
【図10】非配向不織布の繊維の配向分布を極座標にプ
ロットした曲面の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 リコート用化粧シート 2 リコート用化粧材 11 POシート 12 絵柄層 12a 木目柄 13 不織布 13a 配向不織布 13b 非配向不織布 14 エンボス凹部 15 ワイピングインキ 16 繊維 17 エンボス模様 18 プライマー層 19 接着剤層 20 被着体

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン樹脂シート基材に、絵柄
    層、不織布を積層したリコート用化粧シートにおいて、
    該不織布層にエンボス模様を形成し、そのエンボス模様
    の凹部にワイピング加工により着色インキを充填したこ
    とを特徴とするリコート用化粧シート。
  2. 【請求項2】 前記不織布が、熱可塑性樹脂からなり、
    坪量が10〜50g/m2 であり、前記着色インキのバ
    インダーが、電離放射線硬化性樹脂からなることを特徴
    とする請求項1に記載のリコート用化粧シート。
  3. 【請求項3】 前記不織布が、配向された繊維からなる
    ことを特徴とする請求項1及び請求項2に記載のリコー
    ト用化粧シート。
  4. 【請求項4】 前記不織布が、配向不織布と非配向不織
    布との積層体であることを特徴とする請求項1及び請求
    項2に記載のリコート用化粧シート。
  5. 【請求項5】 前記絵柄層が不織布の下層に形成されて
    おり、絵柄層の絵柄の方向と前記不織布の繊維の配向方
    向とが相関関係を有することを特徴とする請求項1乃至
    請求項4に記載のリコート用化粧シート。
  6. 【請求項6】 前記絵柄層の絵柄が木目絵柄であり、木
    目の方向と不織布の繊維の配向方向とが同一方向に形成
    さていることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載
    のリコート用化粧シート。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載
    のリコート用化粧シートが化粧材基材に積層されている
    ことを特徴とするリコート用化粧材。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005161533A (ja) * 2003-11-28 2005-06-23 Suminoe Textile Co Ltd ノンハロゲン系車輛用防水床シート
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