JPH10151564A - 研削砥石のツルーイング方法およびその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、研削砥石のツルーイング方法およ
びその装置に関し、研削砥石の研削面における砥粒の突
出長を容易，確実に均一化することを目的とする。 【解決手段】 研削砥石の研削面の各砥粒の突出長をセ
ンサにより測定し、前記研削面に位置する砥粒の最大突
出長および平均突出長を求め、前記最大突出長から平均
突出長を差し引いたツルーイング量あるいはこのツルー
イング量に対応した量だけ、ツルーイング工具を前記最
大突出長を有する砥粒の先端から研削面側に移動してツ
ルーイングを行うことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、回転する研削砥石
の研削面にツルーイング工具を押し当て、研削面の各砥
粒の突出長を均一にするための研削砥石のツルーイング
方法およびその装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、研削加工においては、研削砥石
の有する性能を十分発揮させ、また、加工精度に悪影響
を与えないために、ツルーイングおよびドレッシングが
行われている。ここで、ツルーイングは、研削砥石の研
削面の外周振れをできる限り取り除き、また、砥石形状
を真円あるいは平面に近づけるために行われる。

【０００３】すなわち、研削砥石の研削面に外周振れが
存在すると、研削加工を行なう際に微小な切り込みを設
定したとしても、研削砥石の一回転の中で切り込みが大
きい部分と小さい部分ができてしまい、加工面に凹凸が
生じる原因になる。一方、ドレッシングは、ツルーイン
グ前あるいはツルーイング後の研削砥石の研削面におい
て、砥粒のみを突出させ、鋭い砥粒切れ刃の形成と砥粒
の突出量を確保するために行われる。

【０００４】すなわち、研削砥石が真円であったとして
も、砥粒がボンド面から突き出していないならば、被加
工物に切り込みが入らず、有効な研削加工を行うことが
困難になる。図５は、従来の研削砥石のツルーイング方
法を示すもので、この方法では、研削スピンドル１の砥
石軸２に装着される研削砥石３を所定の回転数で回転
し、この回転する研削砥石３に、切り込みの量を制御し
ながらツルーイング工具４を切り込ませることによりツ
ルーイングが行われる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
研削砥石のツルーイング方法では、図６に示すように、
研削砥石３の研削面３ａのボンド５から突き出している
砥粒６，６ａの突出長を均一にすることが困難であると
いう問題があった。すなわち、特に、ガラス，セラミッ
クス等の脆性材料の加工に用いられるダイヤモンドの砥
粒６，６ａをボンド５で保持した研削砥石３、例えば、
レジンボンドダイヤモンド砥石，ビトリファイドダイヤ
モンド砥石，メタルボンドダイヤモンド砥石等では、図
６に示すように、ボンド５から突きだしている砥粒６，
６ａの突出長に大きな差Ｌができてしまうことがあり、
このような状態で研削加工した場合には、設定の切り込
みに対して、大きく突出した砥粒６ａの部分の切り込み
が他の部分に比較して大くなり、ガラス，セラミックス
等の脆性材料に対して超精密な加工面を得ることが困難
になる。

【０００６】そして、例えば、図６に示したように、研
削砥石３の研削面３ａに、突出長が極端に大きい砥粒６
ａが１ケ所だけ存在する場合には、図７に示すように、
ワーク回転軸７を中心にしてワーク８を回転させ、砥石
送り方向Ａに回転する研削砥石３を移動して研削加工を
行うと、図８に示すような大きな研削傷９がワーク８に
形成される。

【０００７】なお、通常の場合には、この研削傷９は問
題とならないが、例えば、高精度の光学素子等では大き
な問題となる。本発明は、かかる従来の問題を解決する
ためになされたもので、研削砥石の研削面における砥粒
の突出長を容易，確実に均一化することができる研削砥
石のツルーイング方法を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１の研削砥石のツ
ルーイング方法は、回転する研削砥石の研削面にツルー
イング工具を押し当て、前記研削面の各砥粒の突出長を
均一にする研削砥石のツルーイング方法において、前記
研削面の各砥粒の突出長をセンサにより測定し、前記研
削面に位置する砥粒の最大突出長および平均突出長を求
め、前記最大突出長から平均突出長を差し引いたツルー
イング量あるいはこのツルーイング量に対応した量だ
け、前記ツルーイング工具を前記最大突出長を有する砥
粒の先端から研削面側に移動してツルーイングを行うこ
とを特徴とする。

【０００９】請求項２の研削砥石のツルーイング装置
は、回転する研削砥石の研削面にツルーイング工具を押
し当て、前記研削面の各砥粒の突出長を均一にする研削
砥石のツルーイング装置において、前記研削面の各砥粒
の突出長を測定するセンサと、前記センサからの信号を
入力し、前記研削面に位置する砥粒の最大突出長および
平均突出長を求め、前記最大突出長から平均突出長を差
し引いたツルーイング量を求める演算手段と、前記ツル
ーイング工具を前記ツルーイング量あるいはこのツルー
イング量に対応した量だけ、前記最大突出長を有する砥
粒の先端から研削面側に移動するツルーイング工具移動
手段とを有することを特徴とする。

【００１０】請求項３の研削砥石のツルーイング装置
は、請求項２記載の研削砥石のツルーイング装置におい
て、前記センサは、非接触式のセンサであることを特徴
とする。

【００１１】（作用）請求項１の研削砥石のツルーイン
グ方法では、先ず、研削砥石の研削面の各砥粒の突出長
がセンサにより測定され、この測定値に基づいて研削面
に位置する砥粒の最大突出長および平均突出長が求めら
れる。

【００１２】そして、最大突出長から平均突出長を差し
引いたツルーイング量あるいはこのツルーイング量に対
応した量だけ、ツルーイング工具が最大突出長を有する
砥粒の先端から研削面側に移動されツルーイングが行わ
れる。請求項２の研削砥石のツルーイング装置では、セ
ンサにより研削砥石の研削面の各砥粒の突出長が測定さ
れ、演算手段によりセンサからの信号に基づいて、研削
面に位置する砥粒の最大突出長および平均突出長が求め
られ、また、最大突出長から平均突出長を差し引いたツ
ルーイング量が求められる。

【００１３】そして、ツルーイング工具移動手段によ
り、ツルーイング工具がツルーイング量あるいはこのツ
ルーイング量に対応した量だけ、最大突出長を有する砥
粒の先端から研削面側に移動されツルーイングが行われ
る。請求項３の研削砥石のツルーイング装置では、セン
サとして、研削砥石の研削面に接触しない非接触式のセ
ンサが用いられる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を図面を用い
て説明する。図１は、本発明の研削砥石のツルーイング
装置の一実施形態を示すもので、図において符号１１
は、研削スピンドルを示している。この研削スピンドル
１１の砥石軸１３には、例えば、レジンボンドダイヤモ
ンド砥石からなる円筒状の研削砥石１５が装着されてい
る。

【００１５】研削砥石１５は水平に配置され、研削砥石
１５の中心は、砥石軸１３の中心に一致されている。研
削砥石１５の外周となる研削面１５ａの側方には、研削
面１５ａの各砥粒１７の突出長を測定するためのセンサ
１９が配置されている。この実施形態では、センサ１９
には、レーザー変位計，静電容量型変位計等の物体の凹
凸を非接触で測定する非接触式のセンサが用いられる。

【００１６】このセンサ１９は、センサーステージ２１
に固定されている。センサーステージ２１は、図示しな
い電気パルスモータ等の駆動手段により上下方向に移動
可能とされている。研削砥石１５のセンサーステージ２
１と反対側には、例えば、鋳鉄，セラミックス等からな
るツルーイング工具２３が配置されている。

【００１７】このツルーイング工具２３は、ツルーイン
グステージ２５に固定されている。ツルーイングステー
ジ２５は、図示しない電気パルスモータ等の駆動手段に
より研削砥石１５の中心方向に移動可能とされている。
研削スピンドル１１には、砥石軸１３の回転位置を測定
するためのエンコーダ２７が配置されている。

【００１８】研削スピンドル１１の側方には、ＣＰＵを
備えた演算装置２９が配置されている。この演算装置２
９には、センサ１９からの信号が入力され、この信号に
基づいて、図２に示す研削砥石１５の研削面１５ａに位
置する砥粒１７ａ，１７ｂのボンド３１からの最大突出
長Ｈ１および平均突出長Ｈ２が求められる。

【００１９】また、同時に、最大突出長Ｈ１から平均突
出長Ｈ２を差し引いたツルーイング量Ｈ３が求められ
る。そして、この演算装置２９からの出力により、ツル
ーイングステージ２５が、ツルーイング量Ｈ３だけ、す
なわちツルーイング工具２３が、最大突出長Ｈ１を有す
る砥粒１７ｂの先端から研削面１５ａ側にツルーイング
量Ｈ３だけ移動されツルーイングが行われ、図３に示す
ように、各砥粒１７ａ，１７ｃの突出長が均一な研削面
１５ａが得られる。

【００２０】以下、上述したツルーイング量Ｈ３が求め
られるまでの動作を詳細に説明する。先ず、センサース
テージ２１にセンサ１９がセットされ、研削砥石１５が
所定の回転数で回転され、その時のセンサ１９の信号が
演算装置２９に取り込まれる。そして、この時に、研削
砥石１５の研削面１５ａの状態を面で２次元的に観察す
るために、センサーステージ２１が上下方向に移動さ
れ、図４に示すような３次元データが演算装置２９に得
られる。

【００２１】なお、図４において、Ｚ方向は、研削砥石
１５のボンド３１からの砥粒１７ａ，１７ｂの突出長で
ある。また、Ｘ方向は、回転している研削砥石１５の研
削面１５ａの基準点からの周長であり、この値は、研削
スピンドル１１に内蔵されるエンコーダ２７の出力に基
づいて決定される。

【００２２】さらに、Ｙ方向は、研削面１５ａの幅方向
におけるセンサ１９の測定位置であり、センサーステー
ジ２１の上下方向の位置により決定される。そして、こ
の図４に含まれる測定データの特徴的な部分を研削砥石
１５の形状に合わせて表すと図２に示したようになり、
ツルーイング量Ｈ３が容易に求められる。

【００２３】上述した研削砥石のツルーイング装置で
は、センサ１９により研削砥石１５の研削面１５ａの各
砥粒１７ａ，１７ｂの突出長を測定し、演算装置２９に
よりセンサ１９からの信号に基づいて、研削面１５ａに
位置する砥粒１７ａ，１７ｂの最大突出長Ｈ１および平
均突出長Ｈ２を求めるとともに、最大突出長Ｈ１から平
均突出長Ｈ２を差し引いたツルーイング量Ｈ３を求め、
ツルーイングステージ２５により、ツルーイング工具２
３をツルーイング量Ｈ３だけ、最大突出長Ｈ１を有する
砥粒１７ｂの先端から研削面１５ａ側に移動してツルー
イングを行うようにしたので、研削砥石１５の研削面１
５ａにおける砥粒１７ａ，１７ｂの突出長を容易，確実
に均一化することができる。

【００２４】また、センサ１９に、非接触式のセンサを
用いたので、研削砥石１５の研削面１５ａの各砥粒１７
ａ，１７ｂの突出長を容易，確実に測定することができ
る。さらに、上述した研削砥石のツルーイング方法で
は、研削砥石１５の研削面１５ａの各砥粒１７ａ，１７
ｂの突出長をセンサ１９により測定し、研削面１５ａに
位置する砥粒１７ａ，１７ｂの最大突出長Ｈ１および平
均突出長Ｈ２を求め、最大突出長Ｈ１から平均突出長Ｈ
２を差し引いたツルーイング量Ｈ３だけ、ツルーイング
工具２３を最大突出長Ｈ１を有する砥粒１７ｂの先端か
ら研削面１５ａ側に移動してツルーイングを行うように
したので、研削砥石１５の研削面１５ａにおける砥粒１
７ａ，１７ｂの突出長を容易，確実に均一化することが
できる。

【００２５】そして、このようにしてツルーイングされ
た研削砥石１５により、脆性材料を加工したところ、設
定の切り込みに対して、すべての砥粒１７ａ，１７ｃが
材料に対して切り込まれ、加工面の面粗さが著しく向上
した。なお、上述した実施形態では、ツルーイング工具
２３を、最大突出長Ｈ１を有する砥粒１７ｂの先端から
研削面１５ａ側にツルーイング量Ｈ３だけ移動してツル
ーイングを行った例について説明したが、本発明はかか
る実施形態に限定されるものではなく、例えば、ツルー
イング工具２３を、ツルーイング量Ｈ３に対応する量、
例えば、ツルーイング量Ｈ３の８０％あるいは１２０％
程度移動してツルーイングを行うようにしても良い。

【００２６】

【発明の効果】以上述べたように、請求項１の研削砥石
のツルーイング方法では、研削砥石の研削面の各砥粒の
突出長をセンサにより測定し、研削面に位置する砥粒の
最大突出長および平均突出長を求め、最大突出長から平
均突出長を差し引いたツルーイング量あるいはこのツル
ーイング量に対応した量だけ、ツルーイング工具を最大
突出長を有する砥粒の先端から研削面側に移動してツル
ーイングを行うようにしたので、研削砥石の研削面にお
ける砥粒の突出長を容易，確実に均一化することができ
る。

【００２７】請求項２の研削砥石のツルーイング装置で
は、センサにより研削砥石の研削面の各砥粒の突出長を
測定し、演算手段によりセンサからの信号に基づいて、
研削面に位置する砥粒の最大突出長および平均突出長を
求めるとともに、最大突出長から平均突出長を差し引い
たツルーイング量を求め、ツルーイング工具移動手段に
より、ツルーイング工具をツルーイング量あるいはこの
ツルーイング量に対応した量だけ、最大突出長を有する
砥粒の先端から研削面側に移動してツルーイングを行う
ようにしたので、研削砥石の研削面における砥粒の突出
長を容易，確実に均一化することができる。

【００２８】請求項３の研削砥石のツルーイング装置で
は、センサに、非接触式のセンサを用いたので、研削砥
石の研削面の各砥粒の突出長を容易，確実に測定するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の研削砥石のツルーイング装置の一実施
形態を示す斜視図である。

【図２】研削砥石のツルーイング前の状態を示す説明図
である。

【図３】研削砥石のツルーイング後の状態を示す説明図
である。

【図４】図１の演算装置で得られる３次元データを示す
説明図である。

【図５】従来の研削砥石のツルーイング方法を示す説明
図である。

【図６】図５の方法でツルーイングされた研削砥石を示
す説明図である。

【図７】図６の研削砥石により研削加工をしている状態
を示す説明図である。

【図８】図７の研削加工により研削された被加工物を示
す説明図である。

【符号の説明】

１５ 研削砥石 １５ａ 研削面 １７，１７ａ，１７ｂ，１７ｃ 砥粒 １９ センサ ２３ ツルーイング工具 ２５ ツルーイングステージ ２９ 演算装置 Ｈ１ 最大突出長 Ｈ２ 平均突出長 Ｈ３ ツルーイング量

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転する研削砥石の研削面にツルーイン
   グ工具を押し当て、前記研削面の各砥粒の突出長を均一
   にする研削砥石のツルーイング方法において、 前記研削面の各砥粒の突出長をセンサにより測定し、前
   記研削面に位置する砥粒の最大突出長および平均突出長
   を求め、前記最大突出長から平均突出長を差し引いたツ
   ルーイング量あるいはこのツルーイング量に対応した量
   だけ、前記ツルーイング工具を前記最大突出長を有する
   砥粒の先端から研削面側に移動してツルーイングを行う
   ことを特徴とする研削砥石のツルーイング方法。
2. 【請求項２】 回転する研削砥石の研削面にツルーイン
   グ工具を押し当て、前記研削面の各砥粒の突出長を均一
   にする研削砥石のツルーイング装置において、 前記研削面の各砥粒の突出長を測定するセンサと、 前記センサからの信号を入力し、前記研削面に位置する
   砥粒の最大突出長および平均突出長を求め、前記最大突
   出長から平均突出長を差し引いたツルーイング量を求め
   る演算手段と、 前記ツルーイング工具を前記ツルーイング量あるいはこ
   のツルーイング量に対応した量だけ、前記最大突出長を
   有する砥粒の先端から研削面側に移動するツルーイング
   工具移動手段と、 を有することを特徴とする研削砥石のツルーイング装
   置。
3. 【請求項３】 請求項２記載の研削砥石のツルーイング
   装置において、 前記センサは、非接触式のセンサであることを特徴とす
   る研削砥石のツルーイング装置。