JPH10151487A - 浄化装置及びその運転方法 - Google Patents

浄化装置及びその運転方法

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JPH10151487A
JPH10151487A JP668196A JP668196A JPH10151487A JP H10151487 A JPH10151487 A JP H10151487A JP 668196 A JP668196 A JP 668196A JP 668196 A JP668196 A JP 668196A JP H10151487 A JPH10151487 A JP H10151487A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 汚泥貯留槽に汚泥を長期間滞留させて表面の
酸化膜を破壊しようとするとキャリーオーバのおそれが
生じる。 【解決手段】 沈殿槽4の底部に沈殿した汚泥17の一
部はポンプ20で汚泥貯留槽8に送られ、この汚泥貯留
槽8では汚泥17を嫌気状態で静置し、汚泥貯留槽8内
の汚泥17の一部はポンプ24によって超嫌気槽9に送
られる。そして、超嫌気槽9では汚泥の酸化還元電位
(ORP)が−190mV以下になるまで嫌気状態のま
ま保持し、汚泥表面の殻状の酸化膜を破壊し、この表面
の酸化膜が破壊された汚泥を曝気槽または流量調整槽2
に返送され、好気性雰囲気下で分解せしめられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は工場や家庭等からの
廃水を浄化する浄化装置とその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】工場や家庭からの廃水中には、脂肪、タ
ンパク質等の高分子有機物が多量に混在しており、これ
がそのまま川や海に流されると、環境汚染の原因とな
る。そこで、微生物による分解・硝化・脱窒プロセスを
経て窒素成分等をガス化して除去する浄化装置が従来か
ら知られている。
【0003】ここで、微生物による処理は好気性処理と
嫌気性処理を繰り返すことで、効率的なサイクルで処理
を行っている。好気性処理では廃水中のアンモニア態窒
素(NH4 +)を硝酸態窒素(NO3 -)や亜硝酸態窒素
(NO2 -)に酸化分解し、また嫌気性処理では、嫌気性
の脱窒菌が有機炭素を用いて、好気性処理で生成された
硝酸態窒素(NO3 -)や亜硝酸態窒素(NO2 -)を還元
し窒素ガス(N2)に変換する。また、嫌気状態では脂
肪やタンパク質等の高分子有機物が低級な分子、例えば
酢酸(CH3COOH)にまで分解され、更にこれがメ
タン生成菌によりCO2とCH4にまで分解される。
【0004】上記の好気性処理と嫌気性処理を行うに
は、生物処理槽を好気性処理槽と嫌気性処理槽に分ける
手段と、1つの曝気槽で間欠的に曝気運転することで好
気性処理と嫌気性処理とを交互に行う手段とがあり、前
者は菌体管理が容易であるが、装置が大型化し、後者は
この逆である。
【0005】そして、曝気槽での間欠運転の切換えの目
安として、DO値(溶存酸素濃度)やpH値の他に、酸
化還元電位(ORP)を運転の制御ファクターとして安
定した生物処理を行うようにした先行技術が知られてい
る。例えば、前記した特開昭61−54295号公報、
特開昭62−68594号公報、特開昭62−1637
98号公報、特開昭62−282694号公報、特開昭
62−286597号公報等がある。
【0006】ところで、上述したように廃水を生物的に
処理する装置では多量の余剰汚泥が発生する。斯かる余
剰汚泥は定期的に沈殿槽から取り出して焼却するのが一
般的な浄化装置であるが、処理コストが大きくなる。そ
こで、特公昭60−3873号公報には汚泥貯留槽を設
け、この汚泥貯留槽において余剰汚泥を分解ガス化する
処理方法が提案されている。
【0007】また、汚泥貯留槽から汚泥を曝気槽に戻し
て、硝化効率を高めるようにした先行技術として、特開
昭61−54295号公報や特開平2−284695号
公報に開示されるものがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、汚泥
貯留槽に汚泥を貯留し、汚泥貯留槽内で汚泥を完全にガ
ス化する場合には、多量の汚泥を処理することができ
ず、定期的な汚泥の抜き取りをなくすには極めて大きな
汚泥貯留槽が必要になる。
【0009】また、汚泥貯留槽から汚泥を微生物の栄養
源等として曝気槽に戻すようにすれば、ある程度汚泥貯
留槽の容量は小さくて済む。しかしながら、汚泥の表面
には殻状の酸化膜が形成されており、この状態で曝気槽
等に戻しても汚泥を簡単に分解することができない。
【0010】本発明者は汚泥表面に形成された酸化膜
は、通常の嫌気状態(還元雰囲気)では容易に破壊され
ないが、更に進んだ嫌気状態(超嫌気状態)に置くこと
で酸化膜は還元され軟らかくなって破壊される知見を得
た。
【0011】そこで、従来の汚泥貯留槽を超嫌気槽とし
て使用することが考えられるが、汚泥を超嫌気状態にす
るには、長期間静置する必要がある。そして従来の容量
の汚泥貯留槽に長期間静置した場合には、今度はキャリ
ーオーバが生じるおそれがある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく本
発明は、廃水を微生物によって処理する生物処理槽と、
この生物処理槽で処理された廃水を固液分離する沈殿槽
と、この沈殿槽からの汚泥を貯留する汚泥貯留槽を備え
た浄化装置において、この浄化装置は沈殿槽または汚泥
貯留槽からの汚泥を汚泥貯留槽よりも更に嫌気が進んだ
状態で保持する超嫌気槽を備え、この超嫌気槽と前記生
物処理槽または生物処理槽よりも上流側の流量調整槽と
を汚泥戻し管でつなげた。
【0013】ここで、前記生物処理槽としては、例えば
間欠的に曝気を行う曝気槽にて構成するか、好気性処理
槽と嫌気性処理槽の2つの槽から構成する。
【0014】また、本発明に係る浄化装置の運転方法
は、廃水に微生物によって好気性処理と嫌気性処理を施
し、この微生物による処理が終了した廃水を固液分離
し、沈殿した汚泥の一部を汚泥貯留槽に貯留するととも
に他の一部を汚泥貯留槽よりも更に嫌気状態が進んだ超
嫌気槽に貯留し、超嫌気性処理にて表面の酸化膜が破壊
された汚泥を前記好気性雰囲気の槽に戻すようにした。
【0015】ここで、汚泥表面の酸化膜を十分に破壊に
するには汚泥の酸化還元電位(ORP)が−190mV
以下になるまで超嫌気性処理を行うのが好ましく、また
酸化膜の殻が破れた汚泥を効果的に好気性処理するには
DO値(溶存酸素量)が2ppm以上であることが好ま
しい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る浄化装置
の全体構成図であり、浄化装置は上流側から順に、原液
槽1、流量調整槽2、曝気槽3、沈殿槽4、砂濾過槽
5、活性炭槽6及び消毒槽7が設けられ、更に沈殿槽4
の下流側には汚泥貯留槽8及び超嫌気槽9が設けられて
いる。
【0017】前記原液槽1には木片等の大きな異物を取
り除くフィルタ10が設けられ、フィルタ10を透過し
た廃水がポンプ11により流量調整槽2に送られ、この
流量調整槽2からポンプ12にて計量桝13に廃水を送
り、この計量桝13を介して曝気槽3に一定量の廃水を
供給して好気性処理と嫌気性処理を施す。
【0018】曝気槽3の底部には曝気装置14と攪拌装
置15が配置され、曝気装置14から空気を供給するこ
とで曝気槽3内で好気性処理を行い、曝気装置14の運
転を停止することで曝気槽3内で嫌気性処理を行う。
尚、攪拌装置15は曝気槽内を速かに好気性雰囲気また
は嫌気性雰囲気に切換えるためのものであり、好気性処
理と嫌気性処理の何れの場合にも運転可能である。
【0019】また、曝気槽3における好気性処理と嫌気
性処理の切換えは、曝気槽3内の廃水のDO値、pH値
を基準とすることもできるが、安定な処理を行うため、
酸化還元電位(ORP)を曝気装置14の運転の切換え
の基準とするのが好ましい。
【0020】そして、曝気槽3内での好気性処理と嫌気
性処理が終了した廃水はポンプ16によって沈殿槽4に
送られ、ここで静置することで固液分離され、廃水中の
汚泥17は沈殿槽4の底部に沈殿する。
【0021】沈殿槽4での上澄み液は定量移行装置18
を介して砂濾過槽5、活性炭槽6及び消毒槽7を介し
て、下水等に放流され、また沈殿槽4の底部に沈殿した
汚泥17の一部は微生物の栄養源としてポンプ19で曝
気槽3に戻され、他の一部はポンプ20で汚泥貯留槽8
に送られる。
【0022】汚泥貯留槽8では汚泥17を嫌気状態で静
置し、上澄み液は定量移行装置21を介して流量調整槽
2に戻され、汚泥貯留槽8内の汚泥17の一部はポンプ
25によって戻し管23及び切換え弁24を介して流量
調整槽2または曝気槽3に戻され、更に他の一部はポン
プ22によって超嫌気槽9に送られる。
【0023】超嫌気槽9では汚泥の酸化還元電位(OR
P)が−190mV以下になるまで嫌気状態のまま保持
する。酸化還元電位(ORP)が−190mV以下にな
ると、図2に示すように、汚泥17の表面酸化膜17a
が順次破壊される。尚、図2は表面酸化膜17aの破壊
を模式的に示したものであり、実際には表面酸化膜17
aが薄くなって消失する場合もあり、ここではこれらを
含めて破壊と称する。
【0024】このように、表面酸化膜17aが破壊され
た汚泥17は、ポンプ26及び前記汚泥戻し管23及び
切換え弁24を介して流量調整槽2または運転状態の曝
気槽3に戻される。流量調整槽2は廃水が流入するため
好気状態となっており、運転状態の曝気槽3も好気状態
となっているので、表面酸化膜17aが破壊された汚泥
17は、流量調整槽2に戻す場合にはある程度好気性処
理されて一部が硝酸態窒素(NO3−N)や亜硝酸態窒
素(NO2−N)に変換された状態で曝気槽3に供給さ
れる。また、曝気槽3に戻される場合には直ちに好気性
処理がなされる。
【0025】尚、超嫌気槽9の上澄み液は定量移行装置
27を介して流量調整槽2に戻される。
【0026】図3は別実施例に係る浄化装置の全体構成
図であり、この実施例にあっては、生物処理槽として1
つの曝気槽を設ける代りに、常時空気が導入されている
好気性処理槽31と一切空気の導入を断った嫌気性処理
槽32を併設している。このような構成とすることで、
好気性処理槽31では好気性菌の管理のみを、嫌気性処
理槽32では嫌気性菌の管理のみを行えばよいので、管
理が楽になる。
【0027】
【発明の効果】以上に説明したように本発明によれば、
間欠曝気槽若しくは好気性処理槽において廃水に微生物
によって好気性処理と嫌気性処理を施し、沈殿槽で微生
物による処理が終了した廃水を固液分離し、沈殿した汚
泥の一部を汚泥貯留槽に貯留するとともに他の一部を汚
泥貯留槽よりも更に嫌気状態が進んだ超嫌気槽に貯留
し、超嫌気性処理にて表面の酸化膜が破壊された汚泥を
間欠曝気槽、好気性処理槽または流量調整槽等の好気性
雰囲気の槽に戻すようにしたので、汚泥粒子に対する好
気性処理が効率よく行われ、最終的に汚泥を回収する必
要が殆どないか、全く必要としない浄化装置とすること
ができる。
【0028】しかも、超嫌気槽で汚泥を長期間静置させ
ても、超嫌気槽とは別に汚泥貯留槽が設けられているの
で、従来と同じ容量の汚泥貯留槽であってもキャリーオ
ーバのおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る浄化装置の全体構成図
【図2】汚泥の表面酸化膜の破壊の様子を説明した図
【図3】別実施例に係る浄化装置の全体構成図
【符号の説明】
1…原液槽、2…流量調整槽、3…曝気槽、4…沈殿
槽、5…濾過槽、8…汚泥貯留槽、9…超嫌気槽、14
…曝気装置、15…攪拌装置、17…汚泥、17a…汚
泥の表面酸化膜、23…汚泥戻し管、31…好気性処理
槽、32…嫌気性処理槽。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃水を微生物によって処理する生物処理
    槽と、この生物処理槽で処理された廃水を固液分離する
    沈殿槽と、この沈殿槽からの汚泥を貯留する汚泥貯留槽
    を備えた浄化装置において、この浄化装置は沈殿槽また
    は汚泥貯留槽からの汚泥を汚泥貯留槽よりも更に嫌気が
    進んだ状態で保持する超嫌気槽を備え、この超嫌気槽と
    前記生物処理槽または生物処理槽よりも上流側の流量調
    整槽とを汚泥戻し管でつなげていることを特徴とする浄
    化装置。
  2. 【請求項2】 廃水に微生物によって好気性処理と嫌気
    性処理を施し、この微生物による処理が終了した廃水を
    固液分離し、沈殿した汚泥の一部を汚泥貯留槽に貯留す
    るとともに他の一部を汚泥貯留槽よりも更に嫌気状態が
    進んだ超嫌気槽に貯留し、超嫌気性処理にて表面の酸化
    膜が破壊された汚泥を前記好気性雰囲気の槽に戻すよう
    にしたことを特徴とする浄化装置の運転方法。
  3. 【請求項3】 請求項4に記載の浄化装置の運転方法に
    おいて、前記汚泥の嫌気性処理は汚泥の酸化還元電位
    (ORP)が−190mV以下になるまで行うようにし
    たことを特徴とする浄化装置の運転方法。
  4. 【請求項4】 請求項4に記載の浄化装置の運転方法に
    おいて、前記好気性雰囲気の槽は、運転中の曝気槽、好
    気性処理槽または流量調整槽であり、そのDO値(溶存
    酸素量)は2ppm以上であることを特徴とする浄化装
    置の運転方法。
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