JPH10151196A - 血液浄化器及びその製造方法 - Google Patents

血液浄化器及びその製造方法

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JPH10151196A
JPH10151196A JP28139597A JP28139597A JPH10151196A JP H10151196 A JPH10151196 A JP H10151196A JP 28139597 A JP28139597 A JP 28139597A JP 28139597 A JP28139597 A JP 28139597A JP H10151196 A JPH10151196 A JP H10151196A
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敏昭 千葉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 中空糸膜の透析液接触側の面の疎水性を残し
つつ血液接触側の面に親水性を付与することができ、尚
且つ、製造が容易なる血液浄化器を提供する。 【解決手段】 疎水性高分子からなる中空糸膜を用いた
血液浄化器1において、中空糸膜13の束をケーシング
2内に装填してなるモジュールの血液接触部に、親水性
高分子の水溶液を通じることにより親水性高分子を血液
接触部の表面のみに付着保持させ、この付着保持させた
親水性高分子の内、余剰の親水性高分子を水洗除去する
ことにより、所定吸着力で付着保持されている親水性高
分子のみを選択的に付着保持させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、腎疾患あるいは薬
物中毒等の治療を目的とした血液浄化、特に血液透析療
法、血液濾過透析療法、あるいは血液濾過療法に用いる
血液浄化器及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、血液透析療法、血液濾過透析療
法、あるいは血液濾過療法等(以下、血液浄化療法とい
う)には半透膜や限外濾過膜が用いられている。この血
液浄化療法に用いる膜(半透膜や限外濾過膜)として
は、セルロース、セルロースエステル、ポリアクリロニ
トリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアルコー
ル、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミ
ド、ポリスルホン、ポリエステル等が使用されている。
【0003】血液浄化療法では、上述した膜を中空糸状
に紡糸したもの(以下、中空糸膜という)を用い、50
00本〜10000本程度の中空糸を束ねた中空糸束を
ケーシング内に装填して構成した血液浄化器を用いてい
る。そして、血液濾過療法では、血液浄化器における中
空糸膜の内表面側に血液を流すことにより、尿毒症物質
を濾別除去する。また、血液透析療法では、血液浄化器
における中空糸膜の内表面側に血液を流すとともに外表
面側に透析液を流し、中空糸膜を介して血液と透析液と
を接触させ、拡散により尿毒症物質を除去するとともに
体内の過剰な水分を除去する。また、血液濾過透析療法
では、血液濾過療法と血液透析療法の両方の特性、即
ち、濾過と拡散によって尿毒症物質と体内の過剰な水分
を除去する。
【0004】このような中空糸膜は、セルロースに代表
される親水性膜と、ポリスルホンやポリエステルに代表
される疎水性膜とに大別される。
【0005】この疎水性膜の材料は、本来、エンジニア
リングプラスチックとして開発されたものであるが、そ
の機械的強度、耐熱性、耐薬品性、さらには良好な生体
適合性を有していることから血液浄化療法用の中空糸膜
として用いられている。
【0006】この疎水性膜においては、疎水性であるが
故に本来の透過能を直ちに発揮することができないの
で、本来の透過能を直ちに発揮させるために疎水性膜に
親水性を付与する処理を行っている。
【0007】この親水性を付与するための処理として
は、例えば、特公平5−54373号公報、あるいは、
特開平7−289863号公報に開示された方法があ
る。これらの公報では、疎水性高分子であるポリスルホ
ン系樹脂の原液に対して親水性高分子であるポリビニル
ピロリドンを混入し、この液を製膜原液として紡糸する
方法が開示されている。
【0008】上記の公報に開示された方法では、親水性
高分子を混入した製膜原液から紡糸を行っているので、
作製した中空糸膜の内外表面及び厚み方向の全域に亘っ
て親水性が付与されている。
【0009】また、この方法では、親水性高分子を紡糸
原液に混入することが、膜構造の形成という目的をも担
っているので、この親水性高分子を一定量以上混入しな
ければならない。このため、紡糸後の中空糸膜からは、
混入した親水性高分子の溶出が起こってしまう。従っ
て、この中空糸膜をそのまま血液浄化器に使用したので
は、患者の体内に溶出した親水性高分子が入ってしまう
虞が大きい。
【0010】この親水性高分子の溶出を防ぐための方法
としては、例えば、特公平8−9668号公報に開示さ
れた方法がある。この方法では、疎水性高分子であるポ
リスルホン系樹脂の原液に対して親水性高分子であるポ
リビニルピロリドンを混入した製膜原液から紡糸した中
空糸膜に、放射線照射、熱処理等の不溶化処理を施して
ポリビニルピロリドンを架橋・不溶化して、中空糸膜か
らの溶出を防止している。
【0011】ところで、疎水性の表面は、一般的に透析
液中に含まれるエンドトキシン等の発熱性物質を吸着す
るので、これにより、透析が原因で発生する発熱等を防
ぐことができるといわれている。しかし、上記した公報
に開示された方法では、中空糸膜の膜厚方向の全体が親
水化されてしまうので、このエンドトキシン等の発熱性
物質の吸着能が損なわれてしまう。また、疎水性の表面
は、血液中の蛋白質等を吸着する性質も持っているた
め、血液接触部分の表面が疎水性であると、血液中の蛋
白質等が血液接触部分の表面に付着し、血液成分が血液
浄化器内に残留し易い。
【0012】そして、特開平6−228887号公報に
開示された方法では、中空糸膜表面と血液成分との間で
生じる生体反応を改善するため、ポリスルホン樹脂のみ
で製造した中空糸膜における内表面(血液接触側の面に
相当)側のみに親水性高分子であるポリビニルピロリド
ンを付着させた後、この付着したポリビニルピロリドン
に放射線照射、熱処理等の不溶化処理を施して架橋・不
溶化して中空糸膜からのポリビニルピロリドンの溶出を
防止している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、疎水性
高分子の原液に対して親水性高分子を混入した製膜原液
により紡糸した中空糸膜に不溶化処理を施す方法では、
中空糸膜の内外表面が親水化されて発熱物質の吸着能が
損なわれてしまうばかりでなく、親水性高分子の混入量
が多いため、不溶化処理によっても不溶化しきれなかっ
た親水性高分子が溶出してしまう虞がある。一方、中空
糸膜における血液接触側面のみに親水性高分子付着さ
せ、この付着させた親水性高分子に不溶化処理を施す方
法では、不溶化処理やその後の水充填処理により製造工
程が複雑になり、製品のコストアップを招いてしまう虞
がある。
【0014】本発明は、このような事情に鑑み提案され
たものであり、中空糸膜の一方の表面(透析液接触側の
面)の疎水性を残しつつ他方の表面(血液接触側の面)
には親水性を付与して発熱物質の体内混入を防ぎつつ、
血液成分の付着・残留を防ぐことができ、尚且つ、放射
線照射及び熱処理等の不溶化処理を別途に行うことを必
要とせずに簡便に製造できる血液浄化器及びその製造方
法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、この目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、血液浄化器の
血液接触部に親水性高分子を付着保持させた後に、余剰
な親水性高分子を洗浄液にて洗い流すと、中空糸の透析
液接触側の面における発熱物質の吸着能を残しながら
も、血液浄化器における血液接触部の血液成分の残留を
驚くべき程少なくできる血液浄化器が、放射線照射及び
熱処理等の不溶化処理を別段必要とせずに得られるとい
う本発明に至った。
【0016】即ち、請求項1記載の発明は、疎水性高分
子からなる中空糸膜を用いた血液浄化器において、中空
糸膜の束をケーシング内に装填してなるモジュールの血
液接触部に親水性高分子を付着保持させた後、余剰な親
水性高分子を洗浄液にて洗浄除去することにより、中空
糸膜における血液接触部側の表面に形成された孔を通過
せず、尚且つ、所定の強度の吸着力で吸着する親水性高
分子のみを、血液接触部の表面のみに付着保持せしめた
ことを特徴とする血液浄化器である。
【0017】ここで、所定の強度の吸着力とは、血液浄
化器を用いて行う血液浄化療法時における血液の流れに
抗して血液接触部との付着保持状態を維持し得る程度の
吸着力である。また、余剰な親水性高分子とは、所定の
強度の吸着力で付着保持していない親水性高分子をい
う。
【0018】請求項2記載の発明は、請求項1記載の構
成に加えて、前記親水性高分子が、ポリビニルピロリド
ン、ポリエチレングリコール、ポリグリコールモノエス
テル、ポリプロピレングリコールの共重合体、及びポリ
アクリルアミドからなる群から選ばれたものであること
を特徴とする血液浄化器である。
【0019】請求項3記載の発明は、請求項1又は請求
項2記載の構成に加えて、前記親水性高分子の分子量が
100000以上であることを特徴とする血液浄化器で
ある。
【0020】請求項4記載の発明は、請求項1から請求
項3のいずれかに記載の構成に加えて、前記疎水性高分
子が、ポリエステル系樹脂とポリスルホン系樹脂とを主
たる膜素材としていることを特徴とする血液浄化器であ
る。
【0021】請求項5記載の発明は、疎水性高分子から
なる中空糸膜の束を作製する工程と、前記中空糸膜の束
を筒状のケーシング内に収容し、尚且つ血液接触部と透
析液接触部との間をシーリングしてモジュール化する工
程と、前記モジュールの血液接触部側に親水性高分子の
溶液を通じ、該モジュール内の血液接触部に親水性高分
子を付着保持させる工程と、前記モジュールの血液接触
部側に洗浄液を通じて、所定の強度の吸着力で付着保持
していない余剰の親水性高分子を除去する工程と、から
なる血液浄化器の製造方法である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施の形態を説明する。図1は、本発明に係る血液浄化
器の製造工程の概略を示すフローチャートである。以
下、このフローチャートを参照して説明する。
【0023】この製造工程においては、最初に中空糸の
紡糸を行う(紡糸工程、ステップS1)。この紡糸工程
では、まず製膜原液の調製を行う。ここでは、ポリエス
テル系樹脂(A)とポリスルホン系樹脂(B)との混合
重量比(A/B)を0.1〜10の範囲で定めると共
に、両樹脂の合計量(A+B)が10重量%〜25重量
%の割合となるように有機溶媒に溶解し、製膜原液を調
製する。
【0024】なお、本実施形態における前記ポリエステ
ル系樹脂は、
【0025】式
【化1】
【0026】で表される繰り返し単位を有するポリアリ
レート樹脂であり、前記ポリスルホン系樹脂は、
【0027】式
【化2】
【0028】で表される繰り返し単位及び
【0029】式
【化3】
【0030】で表される繰り返し単位の少なくとも何れ
かを有するポリスルホン樹脂である。
【0031】さらに、前記有機溶媒としては、ポリエス
テル系樹脂とポリスルホン系樹脂に対して良溶媒であれ
ば特に制限はなく、例えば、N−メチルピロリドン、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド等を用いることができる。こ
れらの中で、N−メチルピロリドンが最も好適に使用す
ることができる。
【0032】この製膜原液を二重管紡糸口金を用いて芯
液とともに凝固液中に吐出することにより、中空糸膜を
製造することができる。ここで、芯液及び凝固液は、製
膜原液を中空糸膜に成形するためのものであるが、樹脂
溶解に使用した有機溶媒を水に混合した混合溶媒の方
が、水単独よりも好ましい。これは、混合溶媒を使用し
た方が均一なフイブリル構造を形成しやすいためであ
る。混合する有機溶媒としては、樹脂に対する良溶媒、
例えば、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド等を用いることができる。これらの中で、N−メチ
ルピロリドンが最も好適に使用することができる。
【0033】このようにして紡糸した中空糸膜は、その
内表面に緻密層が形成されると共に、この緻密層の外側
を覆うように多孔質層が形成される。緻密層は、この中
空糸膜において、物質の選択透過性並びに透過速度を規
定する部分で、500オングストローム未満の平均孔径
を有する孔、具体的には、孔半径30〜100オングス
トロームの孔が形成されている。また、多孔質層は緻密
層を支持し膜の強度を保つ支持層として機能しており、
緻密層よりもかなり粗い孔が形成されている。
【0034】そして、この中空糸膜は、図2に示す分子
量分画特性を有している。同図に示すように、例えば、
分子量35000の物質については、篩係数(SC)が
約0.5、即ち、全体量の約50%がこの中空糸膜を透
過し、分子量70000の物質については、篩係数が約
0.05、即ち全体量の約5%がこの中空糸膜を透過
し、残りの約95%が透過できないことが判る。同様
に、分子量100000以上の物質については、ほぼ全
量(100%)透過できないと考えられる。
【0035】次に、このように紡糸した中空糸膜の束ね
処理を行う(束ね処理工程、ステップS2)。この束ね
処理工程では、1万本程度の中空糸膜を1つの束にする
バンドル化がなされる。この中空糸膜の束(以下、中空
糸束という)は、円筒状のケーシングの内径に応じた外
径に調整されている。
【0036】次に、中空糸束をケーシング内に装填する
(装填工程、ステップS3)。図3の断面図に示すよう
に、本発明に係る血液浄化器1は、ケーシング2と、こ
のケーシング2に対して着脱自在に螺合する閉塞蓋部材
として機能する注入側血液ポート3及び排出側血液ポー
ト4とから構成されている。ケーシング2は、ポリカー
ボネイトにより形成された円筒状部材である。そして、
このケーシング2の側面であって排出側血液ポート4側
の端部には透析液の流入口5が形成され、注入側血液ポ
ート3側の端部には透析液の排出口6が形成されてい
る。注入側血液ポート3及び排出側血液ポート4は、ケ
ーシング2の両端部にて開口を塞ぐように螺合するもの
で、ケーシング2と同じくポリカーボネイトにより形成
されている。そして、注入側血液ポート3には、血液を
注入するための注入口7が突設され、排出側血液ポート
4には、血液を排出させるための排出口8が突設されて
いる。また、注入側血液ポート3及び排出側血液ポート
4とケーシング2との接触部には、それぞれ水密性を保
つためのシール材としてOリング9が配設されている。
【0037】そして、この装填工程では、注入側血液ポ
ート3及び排出側血液ポート4が外れた状態のケーシン
グ2内に、上述した中空糸束10を装填する。このと
き、中空糸束10が汚染されないようにするため、及
び、装填を容易にするために、中空糸束10の外周を予
めシートで覆っておき、このシートごとケーシング2内
に装填する。そして、装填後にシートを抜き取る。な
お、中空糸束10が装填された状態においては、この中
空糸束10の両端部は、ケーシング2の外部にはみ出し
た状態になっている。
【0038】次に、ポッティングを行う(ポッティング
工程、ステップS4)。このポッティング工程では、図
3において符号11で示すケーシング2の開口部をシー
リング材としてのウレタン系樹脂12により封止(シー
リング)するとともに、中空糸束10におけるケーシン
グの外部にはみ出した部分を、ケーシング2の開口部1
1と同一平面となるように切断する。これにより、ケー
シング2内に中空糸束10が装填されたモジュールが作
成される。なお、中空糸束10の切断面は、図4に示す
ように、端部が開口した状態の中空糸膜13が多数密集
した状態となるとともに、ウレタン系樹脂12が中空糸
膜13同士の隙間を水密性を確保した状態で塞いだ結束
状態となっており、尚且つウレタン系樹脂12は、透析
液の流入口5及び排出口6を塞いでいないので、このモ
ジュールにおいては、血液の流路(中空糸膜13の内表
面13´側)と透析液の流路(中空糸膜13の外表面
側)とが中空糸膜13により分離された状態になる。
【0039】次に、親水化処理を行う(親水化処理工
程、ステップS5)。この親水化処理工程は、本実施形
態における親水性高分子付着保持処理であり、この工程
では、モジュール(即ち、中空糸束10が装填されたケ
ーシング2)の両端部に、注入側血液ポート3及び排出
側血液ポート4を装着した状態で、注入側血液ポート3
の注入口7から所定濃度に調製された親水性高分子の水
溶液を注入するとともにモジュール内における血液接触
部側を通過した親水性高分子の水溶液を排出側血液ポー
ト4の排出口より排出する。そして、この処理を数十秒
から数十分行うことで親水性高分子を中空糸膜13の内
表面13´や両血液ポート3、4の内表面あるいはウレ
タン系樹脂12の表面等の血液接触部に付着保持させ
る。すなわち、この親水化処理工程では、親水性高分子
の水溶液を血液接触部側に流すことにより、モジュール
や両血液ポート3、4における血液接触部の表面のみに
親水性高分子を付着保持させることでこの表面のみを選
択的に親水化する。
【0040】なお、この親水化処理工程に用いる親水性
高分子は、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコ
ール、ポリグリコールモノエステル、ポリプロピレング
リコールの共重合体、ポリアクリルアミドからなる群か
ら選ぶことができる。但し、この親水化処理は、親水性
高分子の水溶液をモジュール内の血液接触部側に流すこ
とで、モジュールや両血液ポート3、4における血液接
触部側の表面のみを親水化する目的をもって行っている
ので、この親水性高分子が、中空糸膜13を透過しない
性質及び血液接触部に対する吸着力が強固である性質を
有することが求められる。
【0041】これらの性質は分子量によって規定され
る。一般に、水溶性高分子(即ち、親水性高分子)で
は、1つの分子が多数の吸着点で吸着することが知られ
ており、分子量が高いほど強い吸着力が得られ、また、
分子量が高いほど分子の大きさが大きくなり、中空糸膜
13を透過し難くなる。従って、この親水化処理工程で
用いる親水性高分子としては、中空糸膜13の内表面1
3´側(即ち、緻密層)に形成された平均孔径500オ
ングストローム未満の孔は透過せずに遮られ、尚且つ中
空糸膜13の内表面13´に対して所定強度の吸着力を
備えている分子量のものが適している。そして、中空糸
膜13の非透過率が95%以上の高分子が適している
(即ち、非透過率95%で透過しないとみなす)とする
ならば分子量70000以上の高分子であればよいと考
えられるが、血液接触部の表面のみを親水化するという
目的からすれば分子量100000以上の高分子が好ま
しい(図2参照)。
【0042】そして、本発明者等の研究により、上述し
た条件を満足する親水性高分子として、ポリビニルピロ
リドンが最も適しているこという知見を得た。但し、こ
のポリビニルピロリドンも分子量に応じて複数の種類が
ある。実験的には、平均分子量が約40000のK30
では吸着力が弱く付着したものが剥がれ落ちてしまうと
ともに中空糸膜の内表面側から外表面側への透過が認め
られ使用することが困難であり、平均分子量12000
00のK90では強固な吸着力が得られるとともに中空
糸膜13の内表面13´側から外表面側への透過も認め
られず(即ち、緻密層に形成された孔を通過せずに)、
好適に使用できることが確認できた。
【0043】以上から、好適に使用できるポリビニルピ
ロリドンの分子量の下限値は、これらのK30及びK9
0の範囲、即ち、平均分子量40000から平均分子量
1200000の範囲内に存在することが予測される
が、現時点においては、K30とK90との間の平均分
子量を有し、尚且つ医療用として使用できるポリビニル
ピロリドンが入手困難であることから確認はできていな
い。
【0044】しかしながら、上述したように、中空糸膜
13の内表面側13´に形成された孔により中空糸膜1
3の厚み方向への通過を遮られ、尚且つ中空糸膜13の
内表面側13´に対して所定強度の吸着力を備えている
分子量のポリビニルピロリドンであれば、好適に使用で
きると考えられるため、平均分子量で100000以上
のポリビニルピロリドンであれば、好適に使用できると
考えられる。なお、K90よりも高い平均分子量を有す
るポリピニルピロリドンに関しては、粘度等の他の要因
に影響されない限り、好適に使用できると考えられる。
そして、このK90を用いた場合には、水溶液中のK9
0の濃度が、少なくとも0.01%以上であれば、好適
に使用できることが現時点において確認できている。
【0045】次に、水洗を行う(洗浄工程、ステップS
6)。この洗浄工程は、本実施形態における水洗処理
(余剰高分子除去処理)であり、この工程では、親水化
が終了した血液浄化器1について、余剰な親水性高分子
を除去する。具体的には、上述した親水化処理工程にお
ける親水性高分子水溶液に代えて洗浄用の精製水(洗浄
水)を血液浄化器1内に導入する。即ち、血液浄化器1
における血液接触部側に精製水を流す。この洗浄工程に
より、血液浄化器1における血液接触部に付着保持して
いる親水性高分子の内、所定の吸着力よりも低い吸着力
で吸着している余剰な親水性高分子が洗浄除去される。
【0046】この洗浄工程は、本発明において最も重要
な工程である。即ち、洗浄用の精製水を血液接触部側に
流すのみで、先の親水化処理工程により血液接触部に付
着保持した親水性高分子の内、所定強度の吸着力で吸着
する親水性高分子のみ付着保持させたまま、十分に付着
保持されていない親水性高分子を洗浄除去することがで
きる。そして、この洗浄工程後においても中空糸膜13
の内表面13´に付着保持されている親水性高分子は、
血液浄化器1内の血液接触部を流れる血液によっても離
脱しない。従って、放射線照射等の親水性高分子を架橋
・不溶化するための処理を別途行うことを必要とせず、
尚且つ、血液浄化器1の使用時にあっては、血液の付着
性軽減効果を発揮させることができる。
【0047】ところで、本実施形態における洗浄工程で
は、生体への影響がないことや取り扱いの容易さ等の理
由から洗浄液として精製水を用いているが、洗浄液はこ
れに限定されるものではない。即ち、この洗浄工程で用
いる洗浄液としては、「血液接触部の表面に所定強度の
吸着力で付着保持している親水性高分子を残しつつ、所
定強度未満の吸着力で付着保持している余剰の親水性高
分子を除去し、尚且つ、その洗浄液自体及び洗浄液の残
留物が生体に悪影響を及ぼさない」という要件を満たす
限り、どのような液体を使用しても構わない。従って、
この要件を満たすならば、精製水以外の液体や添加物を
加えた精製水等も使用することができる。
【0048】そして、水洗が終了した血液浄化器1に水
を充填する(ステップS7)。この水充填工程は、血液
浄化器1を血液浄化療法に使用する際に、生理的食塩水
との置換を容易にするための処理で、血液接触部側及び
透析液接触部側の双方に精製水を充填するとともに、こ
の充填した精製水が漏れないように、注入側血液ポート
3の注入口7、排出側血液ポート4の排出口8、ケーシ
ング2の流入口5及び排出口6に対して栓をする。以上
が、水充填仕様の工程であるが、余分な親水性高分子を
洗浄除去した(ステップS6)後、乾燥工程(ステップ
S7´)を経て水を充填しない仕様のモジュールとして
も差し支えない。この水を充填しない仕様のモジュール
は、寒冷地等において凍結しないという利点を有してい
る。次に、この精製水が充填された状態の血液浄化器1
に対して滅菌処理を行う(ステップS8)。この滅菌処
理工程では、血液浄化器1に対してγ線滅菌、蒸気滅菌
を用いることができる。さらに、水を充填しない仕様の
モジュールは、γ線滅菌、蒸気滅菌の他にエチレンオキ
サイド滅菌を用いても良い。
【0049】なお、以上説明した処理工程においては、
組上がった状態の血液浄化器1に対して親水性高分子の
水溶液を通じ(親水性高分子付着保持処理)、その後、
余剰の親水性高分子を水洗除去(余剰高分子除去処理)
しているので、親水性高分子の水溶液や洗浄用の精製水
を血液浄化器1に通じる工程を追加すればよく、紡糸工
程及びモジュール化工程については、既存の工程と同じ
工程である。従って、既存の製造設備に対し、親水性高
分子の水溶液や洗浄用の精製水を血液浄化器1に通じる
ための設備を付加するだけで良く、既存の製造設備を有
用に使用することができる。
【0050】また、以上の説明では、両血液ポート3、
4を接続した状態で親水化処理及び水洗処理を行った例
について説明したが、両血液ポート3、4の親水化処理
及び水洗は必要に応じて行えばよいので、中糸束9が装
填された状態のケーシング2(即ち、モジュール)のみ
を親水化処理及び水洗するようにしてもよい。しかしな
がら、両血液ポート3、4を接続した状態で親水化処理
及び水洗を行うことにより、血液浄化器1内の全ての血
液接触部分が一括して親水化されるので、処理が容易で
あると共に、各部の隙間等も親水化されるので、血液成
分の付着・残留を一層少なくすることができる。
【0051】
【実施例】次に、本発明の実施例を示して、本発明を更
に具体的に説明する。
【0052】(実施例1)前記式(1)にて示されるポ
リアリレート樹脂〔(株)ユニチカ製、商品名;Uポリ
マー〕と、前記式(3)にて示されるポリエーテルスル
ホン樹脂〔住友化学工業(株)製、商品名;スミカエク
セルPES〕と、N−メチルピロリドンとから製膜原液
を調製した。なお、ポリアリレート樹脂とポリエーテル
スルホン樹脂との重量混合比は、1:1とした。また、
N−メチルピロリドン水溶液を凝固液並びに芯液とし
た。そして、前記製膜原液を二重管紡糸口金を用いて芯
液とともに前記凝固液中へ吐出して中空糸膜13を作製
し、この中空糸膜13を1万本程度束ねて中空糸束10
を得た。さらに、この中空糸束10を円筒状のポリカー
ボネイト製のケーシング2内に装填した後に、ウレタン
系樹脂の一種であるポリウレタン樹脂(ウレタン系樹脂
12の一種)にて端部を接着してモジュール化し、この
モジュールの両端部に血液ポート3,4を接続して、膜
面積1.5平方メートルの血液浄化器1を試作した。
【0053】この血液浄化器1の血液接触部側に、ポリ
ビニルピロリドン(BASF製、商品名;コリドンK−
90)の3.0%水溶液を100mL/minの流量で
約5分間流し、親水化処理を行った。この血液浄化器1
を精製水1Lで洗浄した後、牛血液(ヘマトクリット3
0%、総蛋白6.5g/dL)を200mL/minの
流量で循環させるとともに濾過流量を90mL/min
に調整し、限外濾過量(UFR、mL/hr・mmH
g)の経時変化を調べる試験を行った。更に、試験終了
後の血液出入口及び中空糸膜の残血状態を観察した。試
験結果を表1に、観察結果を表2に示す。
【0054】また、前記親水化処理を行った血液浄化器
1におけるポリビニルピロリドンの溶出量を調べる試験
を行った。具体的には、血液浄化器1を精製水1Lで洗
浄した後、精製水を血液浄化器内に充填し、70℃で3
時間加温した後に、充填した液(血液接触部側の液)を
抜き取り、ポリビニルピロリドンの濃度を測定し、充填
液中のポリビニルピロリドン濃度を得た。また、前記試
験にて充填液を抜き取った後の血液浄化器1に対し、5
00mLの精製水を70℃で200mL/minの流量
で4時間循環させ、この循環により精製水側に抽出され
たポリビニルピロリドンの濃度を測定し、抽出液中のポ
リビニルピロリドン濃度を得た。試験結果を表3に示
す。
【0055】また、前記親水化処理を行った血液浄化器
1の中空糸膜13におけるポリビニルピロリドンの付着
保持状態を調べる試験を行った。具体的には、血液浄化
器1を精製水1Lで洗浄した後に中空糸膜13を切り出
すとともに平面状に切り開き、この切り開いた中空糸膜
13を乾燥したものを測定サンプルとして水との接触角
を測定した。試験結果を表4に示す。
【0056】(比較例1)親水化処理を行っていない血
液浄化器1を用い、実施例1と同条件で試験並びに観察
を行った。試験結果を表1に、観察結果を表2に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】実施例1において、限外濾過量の経時変化
は殆ど認められなかった。また、中空糸膜13に対する
血液付着は0本〜5本程度で殆ど認められず、血液ポー
ト3,4に対する血液付着も認められなかった。比較例
1においては、限外濾過量の経時的な低下が著しく、さ
らに、中空糸膜13に対する血液付着は全体の2%〜5
%(200本〜500本)で認められた。更に、血液ポ
ート3,4に関しては、入口側及び出口側の双方のウレ
タン表面に、少量の残血が認められた。
【0060】(比較例2)親水化処理を行っていない血
液浄化器1に対し、この血液浄化器1の血液接触部側
に、ポリビニルピロリドン(BASF製、商品名;コリ
ドンK−30)の3.0%水溶液を100mL/min
の流量で約5分間流し、親水化処理を行った。そして、
血液浄化器1におけるポリビニルピロリドンの溶出量を
調べる試験(試験内容は実施例1と同じ)を行った。試
験結果を表3に示す。また、血液浄化器1の中空糸膜1
3を精製水1Lで洗浄後切り出すとともに平面状に切り
開き、乾燥したものをサンプルとして、中空糸膜13に
おけるポリビニルピロリドンの付着保持状態を調べる試
験(試験内容は実施例1と同じ)を行った。試験結果を
表4に示す。
【0061】
【表3】
【0062】(比較例3)紡糸した中空糸膜を精製水に
より洗浄後切り出すとともに平面状に切り開き、乾燥し
たもの(即ち、親水化処理を行っていない中空糸膜)を
サンプルとして、中空糸膜におけるポリビニルピロリド
ンの付着保持状態を調べる試験(試験内容は実施例1と
同じ)を行った。試験結果を表4に示す。
【0063】
【表4】
【0064】実施例1において、分子量の大きいポリビ
ニルピロリドン(K−90)では、充填液及び抽出液の
双方においてポリビニルピロリドン(K−90)の溶出
が認められなかった。一方、比較例2において、分子量
の小さいポリビニルピロリドン(K−30)では、充填
液及び抽出液の双方においてポリビニルピロリドン(K
−30)の溶出が認められ、その濃度は充填液を1とす
ると抽出液が約0.38であった。即ち、分子量の小さ
いポリビニルピロリドンは、表面に付着保持してもこの
表面から徐々に離脱することが判る。
【0065】また、実施例1において、分子量の大きい
ポリビニルピロリドン(K−90)では、内表面13´
側(血液接触部側)については、水との接触角が10゜
以下であり、親水性が付与されていることが認められ
た。外表面側(透析液接触部側)については、接触角が
68゜であり、疎水性が残っていることが認められた。
そして、実施例1と比較例3との比較により、外表面側
の疎水性は、親水化処理を行っていない中空糸膜(接触
角69゜)の疎水性とほぼ同レベルであった。従って、
分子量の大きいポリビニルピロリドンは、中空糸膜13
の内表面13´(緻密層)に形成された孔を透過せず
に、この内表面13´に付着保持されていることが判
る。一方、比較例2において、分子量の小さいポリビニ
ルピロリドン(K−30)では、内表面13´側及び外
表面側の双方に対し、接触角がともに10゜以下であ
り、親水性が付与されていることが認められた。即ち、
分子量の小さいポリビニルピロリドンは、中空糸膜13
の内表面13´に形成された孔を透過して、反対側の面
である外表面側まで浸透する。
【0066】以上より、分子量の大きいポリビニルピロ
リドンは、中空糸膜13や血液ポート3,4等の血液接
触部の表面に一度付着するとこの表面から離脱せず、ま
た中空糸膜13の膜厚方向には浸透しない性質を有して
おり、分子量の小さいポリビニルピロリドンは、血液接
触部の表面に付着してもこの表面から徐々に離脱し、ま
た中空糸膜13の表面に付着するとこの中空糸膜13内
を膜厚方向に浸透して反対側の表面から溶出するという
性質を有していることが分かった。
【0067】従って、分子量の大きいポリビニルピロリ
ドン(K−90)を用いた場合には、中空糸膜13にお
ける透析液側表面の疎水性を残したまま血液接触側の表
面13´に対して選択的に親水性を付与することができ
る。
【0068】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、以下の効果を奏する。請求項1の発明によれ
ば、疎水性高分子からなる中空糸膜を用いた血液浄化器
において、中空糸膜の束をケーシング内に装填してなる
モジュールの血液接触部に親水性高分子を付着保持させ
た後、余剰な親水性高分子を洗浄液にて洗浄除去するこ
とにより、中空糸膜における血液接触部側の表面に形成
された孔を通過せず、尚且つ、所定の強度の吸着力で吸
着する親水性高分子のみを、血液接触部の表面のみに付
着保持せしめたので、親水性高分子を血液接触部に一旦
付着保持させ、余剰な親水性高分子を洗浄液により洗い
流すという簡単な処理で、血液等の流れに抗して付着保
持状態を維持し得る親水性高分子を選択的に血液接触部
に付着保持させることができる。従って、放射線照射や
加熱等の不溶化処理(架橋処理等)を別途行うことを必
要としないで簡便に、中空糸膜における一方の表面の疎
水性を残しつつ他方の表面に親水性が付与され、血液成
分の付着等による汚れ防止とエンドトキシンの体内混入
防止という、従来では相反する機能を両立させ得る血液
浄化器を製造できる。
【0069】請求項2の発明によれば、前記親水性高分
子が、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコー
ル、ポリグリコールモノエステル、ポリプロピレングリ
コールの共重合体、及びポリアクリルアミドからなる群
から選ばれたものであるので、親水性高分子を付着保持
させる処理を溶液により行うことができ、処理に係る操
作を容易にすることができる。
【0070】請求項3の発明によれば、前記親水性高分
子の分子量が100000以上であるので、中空糸膜に
おける緻密層の孔径と相俟って、血液浄化器本来の機能
を損なわずに親水性高分子の血液接触部における付着保
持状態の維持をより確実なものとすることができる。
【0071】請求項4の発明によれば、前記疎水性高分
子が、ポリエステル系樹脂とポリスルホン系樹脂とを主
たる膜素材としているので、血液接触部側表面へ親水性
高分子を吸着させながらも、血液非接触面側において人
体に悪影響を及ぼす物質(エンドトキシン等)に対する
吸着力を高いレベルで残すことができる。従って、血液
成分の膜表面への付着防止と悪影響を及ぼす物質の体内
侵入防止という、従来では相反する機能をより高いレベ
ルで両立させることができる。
【0072】請求項5の発明によれば、疎水性高分子か
らなる中空糸膜の束を作製する工程と、前記中空糸膜の
束を筒状のケーシング内に収容し、尚且つ血液接触部と
透析液接触部との間をシーリングしてモジュール化する
工程と、前記モジュールの血液接触部側に親水性高分子
の溶液を通じ、該モジュール内の血液接触部に親水性高
分子を付着保持させる工程と、前記モジュールの血液接
触部側に洗浄液を通じて、所定の強度の吸着力で付着保
持していない余剰の親水性高分子を除去する工程と、か
らなる製造方法であるので、モジュールの血液接触部側
に親水性高分子を付着保持させるにあたり、モジュール
内に親水性高分子の溶液や洗浄液を通じさせるだけでよ
く非常に簡便である。また、不溶化処理のための設備
(放射線照射装置等)を別途設ける必要はなく、さら
に、中空糸膜の紡糸工程、及びモジュール化する工程
は、既存の設備を用いることができるため、製造設備に
関する設備投資を抑えることができ、血液浄化器を安価
に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】血液浄化器の製造工程の概略を示すフローチャ
ートである。
【図2】中空糸膜の分子量分画特性を示した図である。
【図3】血液浄化器を断面にした説明図である。
【図4】ケーシングの端部における中空糸束の切断面を
示した図で、(a)が切断面全体を示した図、(b)が
一部を拡大して示した図である。
【符号の説明】
1 血液浄化器 2 ケーシング 3 注入側血液ポート 4 排出側血液ポート 5 透析液の流入口 6 透析液の排出口 7 血液の注入口 8 血液の排出口 9 Oリング 10 中空糸束 11 ケーシングの開口部 12 ウレタン系樹脂 13 中空糸膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 直樹 東京都渋谷区恵比寿3丁目43番2号 日機 装株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性高分子からなる中空糸膜を用いた
    血液浄化器において、 中空糸膜の束をケーシング内に装填してなるモジュール
    の血液接触部に親水性高分子を付着保持させた後、余剰
    な親水性高分子を洗浄液にて洗浄除去することにより、
    中空糸膜における血液接触部側の表面に形成された孔を
    通過せず、尚且つ、所定の強度の吸着力で吸着する親水
    性高分子のみを、血液接触部の表面のみに付着保持せし
    めたことを特徴とする血液浄化器。
  2. 【請求項2】 前記親水性高分子が、ポリビニルピロリ
    ドン、ポリエチレングリコール、ポリグリコールモノエ
    ステル、ポリプロピレングリコールの共重合体、及びポ
    リアクリルアミドからなる群から選ばれたものであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の血液浄化器。
  3. 【請求項3】 前記親水性高分子の分子量が10000
    0以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2記
    載の血液浄化器。
  4. 【請求項4】 前記疎水性高分子が、ポリエステル系樹
    脂とポリスルホン系樹脂とを主たる膜素材としているこ
    とを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載
    の血液浄化器。
  5. 【請求項5】 疎水性高分子からなる中空糸膜の束を作
    製する工程と、 前記中空糸膜の束を筒状のケーシング内に収容し、尚且
    つ血液接触部と透析液接触部との間をシーリングしてモ
    ジュール化する工程と、 前記モジュールの血液接触部側に親水性高分子の溶液を
    通じ、該モジュール内の血液接触部に親水性高分子を付
    着保持させる工程と、 前記モジュールの血液接触部側に洗浄液を通じて、所定
    の強度の吸着力で付着保持していない余剰の親水性高分
    子を除去する工程と、 からなる血液浄化器の製造方法。
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