JP3948736B2 - 血液透析器 - Google Patents

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Description

本発明は、中空糸を用いた血液透析器に関する。更に詳しくは、β2−ミクログロブリンなどの有害な蛋白質の除去効率に優れ、かつ有用蛋白質であるアルブミン漏出の少ない中空糸型血液透析器に関する。
腎機能の一部または全部が喪失した患者の治療用途に用いられている血液透析器は、血液中に蓄積した老廃物あるいは有害物を、血中から除去することを目的とし、現在有効に利用されている。詳細には、老廃物等の除去は、低分子量物質は、濃度差を利用した拡散により、また、高分子量物質は濾過により、膜を介して血液中から中空糸膜外を流れる透析液に移行させることによって、血液中から除去している。近年では、旧来の血液処理治療の除去対象物であった、体内に貯留する水分、尿素窒素、クレアチニン、尿酸など低分子無機物質以外に、分子量11,200の蛋白質であるβ2−ミクログロブリン(以下、β2−Mgと略すことがある)、あるいは分子量33,000のα1−ミクログロブリン(以下、α1−Mgと略すことがある)を除去対象物質とするなど、分子量が約1万から数万の低分子蛋白質の除去を目指した、いわゆるハイパフォーマンス血液透析器が主流となっている。一方で人体にとって有益な蛋白質であるアルブミン(分子量66,000)は極力、膜から漏出しないようにすることが求められている。
一般的な血液透析器の形状としては、筒状の容器及びキャップを含むハウジングを有し、そのハウジングの一端部に透析液入口ノズルを、該他端部に透析液出口を設けてある。そして、中空糸膜が数百から数万本束ねられた中空糸膜は該ハウジング内に収納され、両端部は主にポリウレタン樹脂のようなポッティング剤で集束され、該ハウジングの内壁に固着されている。そして、ハウジングの透析液出口ノズルを有する側の端部に血液入口を備えたキャップを有し、透析液入口を有する側の端部に血液出口を備えたキャップを有する。
血液透析器に用いられる膜の材質としては、再生セルロースからなる膜や、たとえばポリアクリロニトリルやポリスルホン、ポリエチレンなどの合成高分子からなる膜が公知であり、形状は、平膜あるいは中空糸膜があるが、近年は血液との接触面積を大きくでき、処理能力の高い中空糸状の膜が多く用いられている。その中でも生体適合性にすぐれ、分子量分画性にも優れたポリスルホン系の中空糸膜を用いた血液透析器が急速に普及している。これらの血液浄化用のポリスルホン系中空糸膜の製造方法については数多くの技術が知られており、例えば、特許文献1〜3に製造方法が記載されている。
また、血液透析器の有用性を示す物質除去性能は、実際に臨床として使用された際、除去対象物資の除去量、除去率などを測定するが、実験的に測定する方法として、下記の非特許文献1に示す日本透析医学会が定める牛血漿を用いた血液透析器の性能評価が一般に用いられている。
さらに、有用蛋白質であるアルブミンの透過性を抑え、中高分子量尿毒蛋白質の除去性能を高めた選択透過性分離用の膜に対する技術は、特許文献4〜8に示すように数多く考案されている。しかし、実際に透析用途として臨床で使用されるハウジング内に膜を固定した状態である透析器の具備すべき要件については、特許文献9に示されているが、これは分画性の高い膜を使用することを示しているだけであり、血液透析器としての能力は未だ不十分であった。
特公平2−18695号公報 特公平5−54373号公報 特開平6−165926号公報 特開平9−70524号公報 特開平9−70525号公報 特開平10−230147号公報 特開2001−38172号公報 特開2001−70766号公報 特開平10−108907号公報 佐藤,「透析会誌」,日本透析医学会,1996年,29巻,第8号,P.1231−1245
本発明は、β2−Mgなどの有害な蛋白質の除去効率に優れ、かつ有用蛋白質であるアルブミン漏出の少ない血液透析器を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、透析器として発現する特
定の性能項目の関係およびその数値を所定の範囲とすることによって、中空糸膜の性能を
十分に発揮させて、透析器として高い分画性能を発現することを見出し、本発明を完成す
るに至った。
すなわち、本発明は前記課題を達成するため、次のような構成を有する。
(1)ポリスルホン中空糸膜を充填した筒状容器と容器の端部を閉塞するキャップとを含
むハウジングと、該ハウジングに形成した透析液の出入口及び血液の出入口とを備え、中
空糸膜内を流れる血液と中空糸膜外を流れる透析液が中空糸膜を介して物質交換すること
によって血液を浄化する中空糸型血液透析器において、該ポリスルホン中空糸膜は、ポリ
スルホンに対するポリビニルピロリドンの重量比が0.2であるポリスルホンとポリビニ
ルピロリドンを含む紡糸原液を用いて紡糸され、該ポリスルホン中空糸膜の容器内充填率
63%以上65%以下であって、以下に定めるXとYが、800≦X≦910かつ60≦Y≦200の関係を満たすことを特徴とする中空糸型血液透析器。
X:日本透析医学会の定める血液透析器の性能評価法に従い、血液側流速200 ml/分、濾過速度10ml/分/m2で測定したβ2−ミクログロブリンとアルブミンの篩い係数の比(β2−MgS.C./Alb.S.C.)
Y:日本透析医学会の定める血液透析器の性能評価法に従い、血液側流速200ml/分、透析液側流速が500ml/分、濾過速度10ml/分/m2で測定したβ2−ミクログロブリンのクリアランス(ml/分)
(2)ポリスルホン中空糸膜が、クリンプ形状を付与されている中空糸膜である上記(1)に記載の中空糸型血液透析器。
本発明の血液透析器は、β2−Mgの除去性能が高くかつアルブミン漏出の少ない、所謂、高分画性能を達成する効果を有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられる中空糸膜の材質としては、再生セルロース、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンやポリプロピレンの如くのポリオレフィン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルナイロン、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、またはポリエステル系ポリマーアロイ等で構成される。そのなかでも、ポリスルホンにポリビニルピロリドンを添加してなる中空糸膜は本発明の好ましい具体例として挙げられる。また、膜の形状は、血液との接触面積を効率よく大きくするためには中空糸形状としている。
本発明に好ましく用いられるポリスルホン系高分子にPVPを添加してなる血液透析用中空糸膜は、膜自身高い分画性能を有することが望ましく、たとえば以下のようにして製造される。
ポリスルホン(以下、PSfと略すことがある)とポリビニルピロリドン(以下、PVPと略すことがある)を両方の共通溶媒に溶解し、均一な紡糸原液を調整する。このようなPSf及びPVPを共に溶解する共通溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド(以下、DMACと略すことがある)、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、スルホラン、ジオキサン等の溶媒、あるいは上記2種以上の混合液からなる溶媒が挙げられる。なお、孔径制御のため、紡糸原液には水などの添加物を加えても良い。
次に、チューブインオリフィス型の紡糸口金を用い、該紡糸口金のオリフィスから紡糸原液を、チューブから該紡糸原液を凝固させる為の中空内液とを同時に空中に吐出させる。中空内液としては水、または水を主体とした凝固液が使用でき、一般的には紡糸原液に使った溶剤と水との混合溶液が好適に使用される。例えば、0〜60重量%のDMAC水溶液などが用いられる。紡糸口金から中空内液とともに吐出された紡糸原液は、空走部を走行させ、紡糸口金下部に設置した水を主体とする凝固浴中へ導入、浸漬して凝固を完了させ、精錬、乾燥し、巻き取って中空糸を得た。その後、中空糸を複数本数、例えば5,000本から15,000本程度の所定本数集め、中空糸束を準備し、以下血液透析器の状態に組み立てる。尚、上記の紡糸口金の寸法、紡糸原液および中空内液それぞれの吐出量により、乾燥後に得られる中空糸の断面寸法が制御され、中空糸強度、物質の透過性の観点から、中空糸の内径は180〜230μm、膜厚は35〜60μm、より好ましくは内径185〜200μm、膜厚40〜45μmの中空糸として使用される。
得られた中空糸束を円筒型プラスチック製容器に充填し、両端面をポッティング剤で容器内面に接着固定し、両端面を切断後、キャップを取り付け半製品として、必要により栓を施した後、滅菌操作を行うことによって、本発明の血液透析器を得ることができる。本願では、容器とその端部に設けたキャップを含めてハウジングということにする。ハウジングの両端に、透析液の出入口と血液の出入口が設けられる。例えば、キャップに血液の出入口が備えられ、容器の端部外周に透析液の出入口が設けられる。また、キャップの容器とかん合部を長くして、透析液の出入口をキャップに設けることも出来る。
ここで血液が血液透析器を通過して浄化される仕組みを説明する。血液の入口から流入した血液は中空糸束の開口端から中空糸膜の内部に流入し各膜の内部空間を流れてもう一方の開口端から流出し、血液出口から排出される。一方、透析液は処理液入口からハウジング内(筒状容器)に流入し、胴部に配列している数千本の中空糸膜間を通過して処理液出口へと流出する。そしてこれらの流体はハウジング内を流れる間に中空糸膜を介して濃度勾配による拡散現象を利用した透析や圧力勾配による濾過により、血液中の老廃物の除去が行われている。
上記の半製品に、純水、ピロ亜硫酸ナトリウム、又はアセトンソジウムバイサルファイト等の水溶性の物質を溶存させた液を充填し、施栓後、滅菌を行っても差し支えない。また、滅菌操作は、エチレンオキサイドガス滅菌または高圧蒸気滅菌またはγ線などの放射線を照射する放射線滅菌等の滅菌方法を、任意に選択し使用することができる。
得られた血液透析器について、日本透析医学会の定める血液透析器の性能評価法に従い性能評価を行い、特に除去対象であるβ2−Mgの篩い係数(β2−Mg S.C.)、および漏出を避けたいアルブミンの篩い係数(Alb. S.C.)を測定し、それら両者の関係を詳細に検討するとともに、β2−Mgの除去速度を示すクリアランスに注目し試作評価を鋭意行った。その結果、血液透析器としての分画性能を示すβ2−Mgとアルブミンの篩い係数の比(以下、β2−Mg S.C./Alb. S.C.と略すことがある)とβ2−Mgのクリアランスの関係をある特定の範囲とすることで、β2−Mgの除去性能が高く、アルブミンをほとんど漏出しないことを見出した。
すなわち、X、Yを以下のように定め、
(−0.06X+93)≦Y≦200
の関係を満たすとき、β2−Mgの除去量が驚くほど高く、かつアルブミンの漏出を押さえることができた。

X:日本透析医学会の定める血液透析器の性能評価法に従い、血液側流速200ml/
分、濾過速度10ml/分/mで測定したβ2−ミクログロブリンとアルブミン
の篩い係数の比(β2−Mg S.C./Alb.S.C.)
Y:日本透析医学会の定める血液透析器の性能評価法に従い、血液側流速200ml/
分、透析液側流速が500ml/分、濾過速度10ml/分/mで測定したβ2
−ミクログロブリンのクリアランス(ml/分)

一方、Y<(−0.06X+93)の関係にあるときは、十分なβ2−Mg除去ができないか、あるいはβ2−Mg除去を十分に行えたとしてもアルブミンが多く漏出していた。ここでYを200以下としたのは測定条件(血液側流速200ml/分)、およびクリアランスの定義から自ずと定まった値である。
また、ここでの評価は実際に病院で多く用いられる1.5mの透析器あるいは、その前後の1.4mないし1.6mの透析器として評価することが望ましいが、中空糸束あるいは容器サイズなどの事情により作成不能な場合、膜面積を計算により換算することで、この関係を満たすか否かを判断することができる。また、β2−Mgの篩い係数とアルブミンの篩い係数の比である値Xの上限は、篩い係数の定義から除去対象物質β2−Mgの篩い係数が1を越えることはなく、またアルブミンの篩い係数は、実施例に記載する測定方法の精度から0.0001が下限であるため、計算により最大10,000である。
本発明の目的を達する透析器の特徴をさらに詳細に検討した結果、血液透析器容器内の中空糸の充填率を58%以上としたとき、β2−Mgの除去性能が驚くほど高く、アルブミンはほとんど漏出しない本発明の目的を十分達することを見出した。本発明で用いる中空糸の充填率は、透析器に用いているプラスチック製の円筒型容器内に中空糸がどれぐらいの密度で充填されているかを示し、下式で定義する。ここで示す容器胴部の内径とは、容器の長手方向中央付近を示し、一般に最も径が小さくなっている部分の容器内径を示す。

中空糸充填率(%)=((中空糸外径)×(中空糸本数))÷(容器胴部内径)

従って、中空糸充填率は中空糸の本数、糸外径、容器胴部内径によって所望の範囲となるように調整することができるが、本願下記実施例では容器胴部内径を変更することにより充填率の変更を行った。
容器内の中空糸が占める割合である充填率を特定の範囲とすることによって、所定の目的を達することを説明できる理由は必ずしも明確ではないが、透析器の濾過性能を表すβ2−Mgおよびアルブミンの篩い係数で表せる分画性能のみならず、透析液の片流れがなくなり、透析液が中空糸型透析器全体に均等にいきわたるため、蛋白質としては分子量の比較的小さなβ2−Mgに対して、拡散効果が寄与し除去量が増えたものと考えられる。一方、アルブミンは分子量が高いため拡散効果は殆どなく、除去量は増えないと考えられる。すなわち、充填率を適正に設定することによって、十分にアルブミン漏出を抑えたまま、β2−Mgの除去量を高めることができ、本発明の目的の血液透析器を得ることができるものと考えられる。
一方、充填率は高すぎると、中空糸膜の外側である透析液側と内側である血液側の圧力差が大きくなり、透析器内で起こる濾過が大きくなるため、アルブミンの漏出量も多くなりすぎる懸念や、容器へ中空糸束を挿入する時に、中空糸と容器内面が強く接触して中空糸を傷つける恐れ、あるいは容器内にまっすぐ配置できず曲がったままポッティング材で固定されることがあるので、好ましい上限は65%である。
さらに鋭意検討した結果、より好ましい実施態様として、Xが800以上であって、Yが60以上、さらに好ましくは、Xの値が900以上であって、Yの値が65以上の透析器が挙げられる。これは、血液透析器の中に入れる中空糸膜の分画性能を上げるだけではなく、透析器内で起こる血液内にある溶質の拡散による除去と濾過による除去の効果をバランスさせて、より一層アルブミンの漏出を抑えたまま、β2−Mgを除去することができたためであると考えられる。
本発明の血液透析器は、中空糸膜の充填率をコントロールすること、及び/あるいは中空糸膜の製造条件(例えば、内液濃度等)をコントロールすることによって得ることができる。具体的には、中空糸膜の充填率を上げることによってXの値を増加させることが出来、また中空内液濃度を低くすることによってもXの値を増加させることができる。
さらに、中空糸にはクリンプ、或いは捲縮、ウエービングと言われる形状を付与された形状が好ましい実施様態であったが、これも中空糸の束内部への透析液浸透性が向上することによって、拡散効果による除去が促進されたものと考えられる。
本発明を実施例に基づいて説明するが、以下に透析器を使用した溶質の篩い係数などの特性の測定方法を示す。
(篩い係数測定)
血液透析器の血液側に流速(QBin)200ml/分、濾過速度10ml/分/mの条件下で牛血漿を循環させ、循環開始60分後に血液入口側(Bin)、出口側(Bout)、濾液側(F)より血漿をサンプリングし各サンプルの溶質濃度を測定した。牛血漿は総蛋白質濃度を6.5±0.5g/dl(デシリットル)になるように調整したものを用い、β2−Mg標品(栄研化学社製)を1mg/L(リットル)添加した。アルブミンはもともと牛血漿中に含まれるアルブミンを分析対象とした。β2−Mg濃度の分析には全自動免疫化学分析装置LX−2200(栄研化学社製)を、アルブミン濃度の分析には、レーザーネフェロメーター(ベーリング社製)を用いた。下式により、それぞれの溶質の篩い係数を算出した。

SC(みかけの篩い係数)=2×CF/(CBin+CBout
CBin:血液側入口の溶質濃度
CBout:血液側出口側の溶質濃度
CF:濾液側の溶質濃度
(クリアランス測定)
血液側には総蛋白質濃度を6.5±0.5g/dl、β2−Mg濃度が1mg/Lとなるように濃度を調整した牛血漿溶液を用いた。一方、透析液側には、透析液を流したが、トリスアミノメタン緩衝液、リン酸緩衝液、イオン交換水を用いてもよい。
血液側には流速(QBin)200ml/分で上記牛血漿を、透析液側には流速(QDin)500ml/分で透析液を流し、濾過速度10ml/分/mの条件下で測定を実施した。下式によりそれぞれの溶質のクリアランスを算出した。

クリアランス(ml/分)=(QBin×CBin―QBout×CBout)/CBin
QBin:血液側入口流速
QBout:血液側出口流速
CBin:血液側入口の溶質濃度
CBout:血液側出口の溶質濃度

ここで得られるクリアランスの数値は、血液側溶液中からどれくらいの老廃物が除去されたのかを示し、数値が大きいほど血液透析器の血液中老廃物の除去性能が高いことを示す。
(β2−Mg除去量測定)
実際の透析治療中に得られる治療効果を示す尺度としては、治療前後の血液中濃度を基に算出する除去率があるが、実験的に、かつ直接的に除去効果を表すため、以下の方法によりβ2−Mg除去量を測定した。すなわち、前記の牛血漿を用いたクリアランス測定時(血漿循環60分後より10分間)に透析液出口側の液を全量貯留し、貯留液量の測定をするとともに、その貯留液中のβ2−Mg濃度を全自動免疫化学分析装置LX−2200(栄研化学社製)を用い分析し、さらに下式に代入して除去量を算出し、β2−Mgの除去効果を表した。

β2−Mg除去量(mg)=透析液中濃度(μg/L)×透析液量(貯留液量)(L)/1,000
(アルブミン漏出量測定)
総蛋白質濃度を6.5±0.5g/dlになるように調整した牛血漿2Lを血液側に流速(QBin)200ml/分で流し、同時に透析液側に透析液5Lを流速(QDin)500ml/分で、濾過速度0ml/分/mの条件で60分間流し循環し、循環後の透析液中のアルブミン量を測定した。アルブミンの分析にはCBB法(クマ−シープラスプロテインアッセイキット,PIERCE社製)を用いた。アルブミンの漏出量は以下の式により算出することができる。

アルブミン漏出量(g)=透析液中濃度(g/L)×透析液量(5L)
ここで得られるβ2−Mg除去量およびアルブミンの漏出量は、短時間の実験で得られる値であるが、別途、臨床使用時のβ2−Mg除去量、アルブミン漏出量との相関を検討し、β2−Mg除去量については0.3mg以上であることが望ましく、それ以下であると臨床使用時に十分にβ2−Mgが除去されていないことがわかった。また、およびアルブミンの漏出量は1g未満、好ましくは0.5g未満であることが望ましく、それ以上である場合、漏出量が多すぎ、患者の栄養状態が悪くなる為、繰り返して使用できないことがわかっている。
PSf(ソルベイ社製、P−1700)17重量部、PVP(アイ・エス・ピー社製、K−90)4重量部、ジメチルアセトアミド(以下、DMAC)79重量部からなる均一な紡糸原液を作成した。中空内液にはDMAC42重量%水溶液を用い、紡糸原液とともに、紡糸口金(2重環状ノズル 0.1mm−0.2mm−0.3mm)から吐出させた。尚、乾燥後の膜厚を45μm、内径を200μmに合わせるように紡糸原液、中空内液の吐出量を調製した。次に50cm下方に設けた水よりなる90℃の凝固浴に浸漬し、30m/分の速度で凝固、精錬を行った後、乾燥機に導入し、160℃で乾燥後、クリンプ付与用のギアに接触させた後、中空糸膜を巻き取った。
次に、巻き取った約9,200本の中空糸膜を、充填率が58%となるように設計した円筒型プラスチック製容器に装填、両端面をポッティング剤で接着固定し、両端面を切断後、キャップを取り付け半製品として、栓を施した後、γ線を25kGy照射して滅菌操作を行い、本発明の有効膜面積1.5mの血液透析器とした。所定の流量条件におけるβ2−Mg、アルブミンのそれぞれの篩い係数を測定した。さらに、β2−Mgのクリアランスを測定するとともに、透析器の使用状態を示すβ2−Mgの除去量、およびアルブミンの漏出量を測定した。これらの測定結果を以下実施例2〜4、比較例1〜8の結果とともに表1に示す。
実施例1と同じ紡糸原液を用い、中空内液をDMAC46重量%水溶液とした以外、同じ条件で中空糸膜を作成し、巻き取った約9,200本の中空糸膜を、実施例1と同じ円筒型プラスチック製容器に装填した後、同様な操作を行なった。
実施例1で用いた中空糸膜を、充填率が63%となるように設計した円筒型プラスチック製容器に装填した以外は、実施例1と同様な操作を行なった。
実施例1で用いた中空糸膜を、充填率が65%となるように設計した円筒型プラスチック製容器に装填した以外は、実施例1と同様な操作を行なった。
比較例1
市販の中空糸型透析器であるFPX140(フレゼニウス メディカルケア ジャパン株式会社、ロット番号DGU071、中空糸膜にクリンプあり)について、所定の流量条件におけるβ2−Mg、アルブミンのそれぞれの篩い係数を測定した。さらに、β2−Mgのクリアランスを測定するとともに、透析器の使用状態を示すβ2−Mgの除去量、およびアルブミンの漏出量を測定した。
比較例2
市販の中空糸型透析器であるFB−150U(ニプロ株式会社、ロット番号098A13、中空糸膜にクリンプあり)を用いた以外は、比較例1と同様な操作を行なった。
比較例3
市販の中空糸型透析器であるAPS−15E(旭メディカル株式会社、ロット番号 321E1RP、中空糸膜にクリンプなし)を用いた以外は、比較例1と同様な操作を行なった。
比較例4
市販の中空糸型透析器であるAPS−15U(旭メディカル株式会社、ロット番号P2XNXV、中空糸膜にクリンプなし)を用いた以外は、比較例1と同様な操作を行なった。
比較例5
市販の中空糸型透析器であるAPS−15MD(旭メディカル株式会社、ロット番号 Q3X3XW、中空糸膜にクリンプなし)を用いた以外は、比較例1と同様な操作を行なった。
比較例6
市販の中空糸型透析器であるAPS−15S(旭メディカル株式会社、ロット番号N3282A、中空糸膜にクリンプなし)を用いた以外は、比較例1と同様な操作を行なった。
比較例7
市販の中空糸型透析器であるPS−1.6UW(フレゼニウス川澄株式会社、ロット番号331585、中空糸膜にクリンプあり)を用いた以外は、比較例1と同様な操作を行なった。
比較例8
市販の中空糸型透析器であるBS−1.6(東レメディカル株式会社、ロット番号71210112、中空糸膜にクリンプなし)を用いた以外は、比較例1と同様な操作を行なった。
Figure 0003948736
本発明の血液透析器は、血液側流速200ml/分、濾過速度10ml/分/mで測定したβ2−Mgとアルブミンの篩い係数の比(β2−Mg S.C./Alb.S.C.)をXとし、日本透析医学会の定める血液透析器の性能評価法に従い、血液側流速200ml/分、透析液側流速が500ml/分、濾過速度10ml/分/mで測定したβ2−Mgのクリアランス(ml/分)をY(ml/分)としたとき、Yの値を(−0.06X+93)以上200以下とすることによって、β2−Mgなどの有害な蛋白質の除去効率に優れ、かつ、有用蛋白であるアルブミンの漏出が少ない血液透析器であることが明らかとなった。
具体的には、中空糸膜の充填率を上げることによってXを増加させることが出来た。
本発明は、血液透析治療において、β2−Mgなどの低分子蛋白質の除去性能に優れ、アルブミンの漏出が少ない血液透析器を提供することができる。

Claims (2)

  1. ポリスルホン中空糸膜を充填した筒状容器と容器の端部を閉塞するキャップとを含むハウジングと、該ハウジングに形成した透析液の出入口及び血液の出入口とを備え、中空糸膜内を流れる血液と中空糸膜外を流れる透析液が中空糸膜を介して物質交換することによって血液を浄化する中空糸型血液透析器において、該ポリスルホン中空糸膜は、ポリスルホンに対するポリビニルピロリドンの重量比が0.2であるポリスルホンとポリビニルピロリドンを含む紡糸原液を用いて紡糸され、該ポリスルホン中空糸膜の容器内充填率が63%以上65%以下であって、以下に定めるXとYが、800≦X≦910かつ60≦Y≦200の関係を満たすことを特徴とする中空糸型血液透析器。
    X:日本透析医学会の定める血液透析器の性能評価法に従い、血液側流速200ml/分、濾過速度10ml/分/m2で測定したβ2−ミクログロブリンとアルブミンの篩い係数の比(β2−MgS.C./Alb.S.C.)
    Y:日本透析医学会の定める血液透析器の性能評価法に従い、血液側流速200ml/分、透析液側流速が500ml/分、濾過速度10ml/分/m2で測定したβ2−ミクログロブリンのクリアランス(ml/分)
  2. ポリスルホン中空糸膜が、クリンプ形状を付与されている中空糸膜である請求項1に記載の中空糸型血液透析器。
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