JP4190445B2 - 蛋白吸着量が少ない中空糸型血漿成分分離器 - Google Patents

蛋白吸着量が少ない中空糸型血漿成分分離器 Download PDF

Info

Publication number
JP4190445B2
JP4190445B2 JP2004077248A JP2004077248A JP4190445B2 JP 4190445 B2 JP4190445 B2 JP 4190445B2 JP 2004077248 A JP2004077248 A JP 2004077248A JP 2004077248 A JP2004077248 A JP 2004077248A JP 4190445 B2 JP4190445 B2 JP 4190445B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hollow fiber
plasma
component separator
membrane
fiber membrane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004077248A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005261601A5 (ja
JP2005261601A (ja
Inventor
将基 加藤
正哉 福家
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Medical Co Ltd
Original Assignee
Asahi Kasei Kuraray Medical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Kuraray Medical Co Ltd filed Critical Asahi Kasei Kuraray Medical Co Ltd
Priority to JP2004077248A priority Critical patent/JP4190445B2/ja
Publication of JP2005261601A publication Critical patent/JP2005261601A/ja
Publication of JP2005261601A5 publication Critical patent/JP2005261601A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4190445B2 publication Critical patent/JP4190445B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • External Artificial Organs (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Description

本発明は中空糸型の血漿成分分離器に関する。より詳細には、本発明の血漿成分分離器は、全血などから予め分離された血漿中の有用成分と不要成分とを安定して分離するためのモジュールであり、主に二重濾過血漿交換療法に用いられるものである。
近年、体外循環血液処理の一つとして血漿分離法が進歩し、なかでも二重濾過血漿交換が盛んに行われるようになってきている。これは、患者の血液をまず血球成分と血漿成分に分離し、その後、血漿成分中の病因物質を主に膜の分子篩の原理で除去するものである。この際に使用される血漿成分中の病因物質と有用蛋白とを分ける分離器のことを血漿成分分離器と呼ぶ。
血漿成分中の病因物質は原疾患により異なるが、例えば、免疫複合体、抗体、血液増粘成分であるフィブリノーゲン、コレステロール等が挙げられ、これらを除去することにより、悪性リュウマチ、全身性エリトマトーデス、高脂血症等の症状改善に効果を挙げている。
例えば、特許文献1には、このような症状の治療に用いるために、分画性能に優れたエチレン−ビニルアルコール系血漿成分分離膜を組み込んだ血漿処理装置が記載されている。この血漿処理装置によれば、リューマチ患者血漿から病因物質が除去されることが記載されているが、しかしながら、装置内部の膜に対する蛋白等の吸着により、血液処理開始直後と終了時点で分画性が変化してしまう問題があった。すなわち、血漿成分分離器に求められる特性として、病原物質とアルブミンやイムノグロブリン(IgG)等の有用蛋白を分ける優れた分画性能はもちろんのこと、長時間の使用中に性能が低下せず安定した分画性を維持できることも求められた。
この問題を解決するために、特許文献2には、エチレン−ビニルアルコール系の膜でありながら、高性能を長期間にわたって維持できる血漿成分分離膜、およびこの膜を組み込んだモジュールが開示されている。しかし、特許文献2に記載のモジュールでもやはり、組み込んだ膜性能の経時変化が大きく、その点ではまだ十分ではなかった。また、膜の蛋白透過率の変化という微視的な面だけに着目しているため、圧力損失の増大など、モジュールとしてどの程度実使用に耐えるものかは全く不明であった。しかも、これらのエチレン−ビニルアルコール系の膜は、膜表面に多数の水酸基を有するため補体の活性化が起こることが周知であり、生体適合性の点で十分ではなかった。
一方、ポリスルホン系樹脂は、物理・化学的安定性のみならず生体適合性をも備える樹脂材料として知られており、ポリスルホン系樹脂を用いた血漿成分分離膜やこれらの膜を組み込んだ血漿成分分離器も幾つか検討されている(特許文献3および4)。しかし、特許文献3に記載のポリスルホン膜は、膜表面が親水化されていないため蛋白等の吸着が多く、性能の経時変化が大きいという問題があるため、モジュールとしても実使用に耐えるものではなかった。また、特許文献4には、ポリスルホンをポリビニルピロリドンで親水化した血漿浄化膜が開示されている。ところが、高分画でありながら高強度を達成するために主に膜構造に着目したものであり、モジュール化した際の血漿成分の分画性と経時変化の関係については記載も示唆もない。
このように、従来の血漿成分分離器は、優れた分画性能と、その分画性能が実使用条件下においても長時間安定して維持されるという特性を欠くものであり、改善が求められていた。
特開昭58−155865号公報 特開2001−38154号公報 特開昭63−91102号公報 特許第3431622号公報
本発明は、前記従来技術の問題点を鑑みて、優れた分画性能をもち、且つ、その分画性能が経時的に安定である中空糸型血漿成分分離器を提供する事を目的とする。
本発明者らは、血漿成分分離器における分画性能の経時的な安定性には、膜への蛋白吸着性が極めて重要であると考えて鋭意検討を重ねた。その結果、血漿成分分離器を構成する中空糸膜が、所定の蛋白負荷条件において特定の蛋白吸着量と蛋白透過率とを同時に満たせば、その膜を組み込んだ血漿成分分離器が、一般的な血漿処理条件(モジュールとしての実使用条件)において優れた分画性能と経時安定性を示すことを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、下記に関するものである。
(1)筒状容器に中空糸膜束を収容し、両端部をポッティング加工して得た中空糸型血漿成分分離器であって、筒状容器に収容される中空糸膜は少なくともポリスルホンポリビニルピロリドンとを含むポリマーから構成され、前記中空糸膜中のポリビニルピロリドンの濃度が2wt%以上4wt%以下であり、且つ中空糸内表面のポリビニルピロリドンの濃度が33wt%以上であって、該中空糸膜の血漿総蛋白の吸着量が0.45g/m以下であり、且つ、該膜のIgGの透過率が6%以上、フィブリノーゲンの透過率が20%未満である事を特徴とする中空糸型血漿成分分離器。
(2)ポリビニルピロリドンの少なくとも一部が不溶化されている上記(1)に記載の中空糸型血漿成分分離器。
)中空糸膜の内径が190μm以上230μm以下であり、且つ、牛血漿の限外濾過率(UFR)が15〜80ml/hr・m・mmHgである事を特徴とする上記(1)または(2)に記載の中空糸型血漿成分分離器。
)膜面積が1.5〜3.0mであることを特徴とする上記(1)〜()のいずれかに記載の中空糸型血漿成分分離器。
)中空糸型血漿成分分離器によってディスカード法により牛血漿の濾過実験を行った時、牛血漿を4リットル処理した際のIgGの透過率が60%以上、フィブリノーゲンの透過率が20%未満である事を特徴とする上記(1)〜()のいずれかに記載の中空糸型血漿成分分離器。
)ディスカード法により牛血漿の濾過実験を行った時、牛血漿を4リットル処理した際の膜間圧力差の上昇が50mmHg以下である事を特徴とする上記(1)〜()のいずれかに記載の中空糸型血漿成分分離器。
)中空糸型血漿成分分離器によってストップエンド法により牛血漿の濾過実験を行った時、牛血漿を4リットル処理した際のIgGの透過率が40%以上、フィブリノーゲンの透過率が20%未満である事を特徴とする上記(1)〜()のいずれかに記載の中空糸型血漿成分分離器。
本発明の中空糸型血漿成分分離器は、所定の条件下で測定した蛋白吸着量と蛋白透過率とが特定の範囲にある中空糸膜を組み込むことにより、血漿成分分離器として優れた性能を有するものである。すなわち、通常処理する血漿量を濾過してもなお優れた分画性能を示しており、性能低下が起こりにくいという特性を有する。また、本発明の血漿成分分離器は生体適合性にも優れており、さらに、蛋白質の透過率が低下しにくいという微視的な面のみならず、圧力上昇やフラッシュ回数を低く留めることが可能であるため、モジュールとしての実使用に極めて適している。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。
本発明の血漿成分分離器を構成する中空糸膜は、その組成として、少なくとも疎水性成分と親水性成分を含むポリマーから構成される。具体的には、疎水性成分に親水性成分が共重合またはグラフトされたポリマーで構成されてもよく、あるいはポリマーブレンドのように、疎水性成分(疎水性ポリマー)と親水性成分(親水性ポリマー)の少なくとも2種類以上のポリマーから構成されても構わない。
疎水性成分に親水性成分が共重合またはグラフトされたポリマーとしては、例えば、エチレン−ビニルアルコール系重合体やポリスルホン−ポリエチレングリコール共重合体、あるいは、メタリルスルホン酸ソーダなどの親水性モノマーを共重合したポリメチルメタクリレート共重合体やポリアクリロニトリル系共重合体などが挙げられる。また、疎水性成分(疎水性ポリマー)としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリアミドなどが挙げられ、これらに親水性成分(親水性ポリマー)としてポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどをブレンドしたものが挙げられる。
なお、特にポリマーブレンドの場合は、前記中空糸膜に含まれる親水性成分は自己架橋や疎水性成分への架橋により、膜中において一部若しくは全てが不溶化していても構わない。例えば、膜からの溶出が抑えられつつ、適度に親水性が維持されるという理由から、膜中の親水性成分(親水性ポリマー)総量の5〜50%程度が不溶化していることが特に好ましい。
前記素材のうち、ポリマーとしての汎用性、生体適合性および製膜時の膜構造や孔径コントロールのし易さから考慮して、疎水性成分(疎水性ポリマー)にポリスルホンを、親水性成分(親水性ポリマー)にポリビニルピロリドンを使用することが最も好ましい。
ここで、ポリスルホン(以下、PSf)とは、スルホン結合を有する高分子結合物の総称であり特に規定するものでないが、例を挙げると、
または
に示される繰り返し単位をもつポリスルホン系ポリマー樹脂が広く市販されており、入手も容易なため好ましく用いられる。例えば、化学式1の構造を持つポリスルホン系ポリマーは、ソルベイ社より「ユーデル」の商標名で、またビー・エー・エス・エフ社より「ウルトラゾーン」の商標名で市販されており、重合度等によっていくつかの種類が存在する。この他、例えば、ポリアリルエーテルスルホンやポリフェニレンスルホンなども用いることができる。
また、ポリビニルピロリドン(以下、PVP)とは、N−ビニルピロリドンをビニル重合させた水溶性の高分子化合物であり、アイ・エス・ピー社より「プラスドン」の商標名で、また、ビー・エー・エス・エフ社より「コリドン」の商標名で市販されており、それぞれいくつかの分子量のものがあり、何れも用いることができる。
本発明の血漿成分分離器を構成する中空糸膜は、血漿成分分離器として実使用した際に分画性能の経時的な低下を抑える上で、蛋白吸着量が0.45g/m以下であり、かつイムノグロブリンの透過率が60%以上、フィブリノーゲンの透過率が20%未満であることが必要である。
蛋白吸着量が0.45g/m越えると、血漿成分分離器として使用した際にTMP上昇が急激に大きくなり、しかも後述するフラッシング回数も増大してしまうため、血漿成分分離器としての安定した分離性能が得られない。この蛋白吸着量は、好ましくは0.30g/m以下である。
また、中空糸膜のイムノグロブリンの透過率が60%未満、またはフィブリノーゲンの透過率が20%以上になると、血漿成分分離器としてのシャープな分画性能が得られない。すなわち、一般に血漿成分分離器は膜を介して有用成分を回収し、膜を透過しない成分を不要成分として除去するものなので、血漿成分中のアルブミンやIgG等の有用成分を失うことなく、血液増粘成分であるフィブリノーゲンやそれより大きな分子量の病因物質を効率よく除去するには、IgGの透過率が60%以上であることが必要となる。好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上である。アルブミンは、IgGよりも分子量が小さいために、分子篩を原理にした中空糸膜分離では、アルブミンの透過率はIgGの透過率より大きくなるため、IgGの透過率が前記範囲であれば失われることなく回収できる。一方、膜透過を排除することにより除去する大分子であるフィブリノーゲンの透過率は、20%未満であることが必要で、好ましくは15%未満、より好ましくは10%未満である。IgGの透過率とフィブリノーゲンの透過率がそれぞれこのような関係にあれば、血漿成分分離器としてシャープな分画性を有しているといえる。
本発明の中空糸膜のIgG及びフィブリノーゲンの透過率、および蛋白吸着量の測定方法について説明する。
本発明でいう中空糸膜のIgGおよびフィブリノーゲンの透過率は、以下に示すディスカード法で測定することにより求められる。まず、中空糸膜をサンプリングして有効長18cmのミニモジュールを作成する。ミニモジュールを構成する中空糸膜は湿潤状態でも乾燥状態でも構わない。ミニモジュールのフィラメント数は、モジュール1次側(通常中空糸の内側)の牛血漿の線速および流量が以下の値になるように、中空糸膜の内径から算出し決定する。次に、定量ポンプを用いてこのミニモジュール1次側に牛血漿を線速6cm/分、流量0.5ml/分にて導入し、同時に出側のポンプ流量を0.12ml/分に絞ることにより、濾過速度0.38ml/分で濾過を行う。導入する牛血漿の量は、使用するミニモジュールの膜面積に対して、2リットル/mの割合とする。
所定量の濾過を行った後、濾過側に出てきた濾液中のIgGとフィブリノーゲンの濃度を、濾過前の牛血漿中における各々の濃度で除して、それを100倍した数値を透過率と定義する。IgG濃度は、BehringNephelometer−Analyzer BM(デイド ベーリング(株)社製)を用いて免疫比濁法によって測定し、フィブリノーゲン濃度は、フィブリノーゲン−トロンビン時間法により測定する。
なお、測定に用いる牛血漿は以下の手法で処理したものを用いた。まず、牛血液200mlに対し30mlの割合で抗凝固剤であるACD-Aを添加し、牛血液の採取を行う。次に、3500rpmにて20分間遠心分離行い、そこで得た血漿を旭メディカル社製血漿分離器(Plasmaflo OP−08)にて濾過する。最後に、濾過後の牛血漿の総蛋白濃度を生理食塩水にて6.5g/dlに調整する。
また、本発明でいう中空糸膜への蛋白の吸着量は、前述のIgGおよびフィブリノーゲンの透過率を測定し終わったミニモジュールを使用して測定する。まず、濾過を終了したミニモジュールから14cmの中空糸膜を150本抜き取り、2〜3mmの長さにカットしサンプル瓶に入れる。その後、中空糸膜の中空内部及び中空糸膜厚部分に含まれている牛血漿を洗うために、サンプル瓶に生理食塩水を入れ、30分放置した後廃液する。この作業を3回繰り返し洗浄完了とする。次に、洗浄後の中空糸膜が入ったサンプル瓶に、0.1(mol/L)の燐酸緩衝溶液に1重量%のラウリル硫酸ナトリウムを加えた溶液(SDS溶液)を5ml加え、4時間攪拌を行い、中空糸膜に吸着していた蛋白を遊離させる。攪拌後、SDS溶液中の蛋白の濃度をBCG法によって求め、次式(1)によって中空糸膜への蛋白の吸着量を定義する。
中空糸膜への蛋白の吸着量=SDS溶液中に遊離した蛋白の量/使用したミニモジュールに含まれる中空糸膜の内表面積の総和・・・(1)
本発明の血漿成分分離器は、収容される中空糸膜において、蛋白吸着量が0.45g/m以下である必要があるが、中空糸膜への蛋白吸着量を上記の範囲にするためには幾つかの膜特性が関係している。
その第一の特性は、中空糸膜中の親水性成分の濃度である。例えば、疎水性成分としてポリスルホン(PSf)、親水性成分としてポリビニルピロリドン(PVP)からなるポリマーブレンド膜について説明すると、中空糸膜中のPVPの濃度が低い場合、PSfによる疎水性の効果が強くなり蛋白吸着が促進される。一方、中空糸膜中のPVPの濃度を多くすると、中空糸膜からのPVPの溶出が無視できない、中空糸膜の強度及び伸度物性が低下する等の問題が生じる。従って、中空糸膜中のPVPの濃度は2.0重量%〜4.0重量%にする事が好ましい。
さらに、中空糸膜中のPVPを内表面に偏析させるとより好ましい。血漿と中空糸膜との接触面である中空糸膜内表面に十分な濃度のPVPが存在しない場合、中空糸膜中のPVPの濃度が適当であっても、蛋白の吸着を抑制することが困難になることがある。したがって、中空糸膜内表面のPVP濃度は33wt%以上であることが好ましい。
ここで述べる中空糸膜中のPVPの濃度は、以下のように測定する。事前に乾燥された中空糸膜0.1gを、N−メチル−2−ピロリドン2ccに完全に溶解する。次に、その溶液に55℃の注射用蒸留水を99ccを加え攪拌し、注射用蒸留水中にPVPを抽出させる。この水溶液中のPVPを、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ−)にて定量する。事前に、測定する中空糸中空糸膜の原料に使われているPSfとPVPを、所定の割合で混合し、上記と同様な操作を行い、PSfとPVPとの混合割合と、GPCでのPVPのピークエリアとの相関をとり、検量線を作成する。この検量線を利用して、中空糸膜中のPVPの濃度を算出することができる。
また、中空糸膜内表面のPVP濃度は、以下のようにX線光電子分光(ESCA)測定によって求められる。中空糸膜内表面のESCAの測定は、試料を両面テープ上に並べた後、カッターで繊維軸方向に切開し、中空糸膜の内側が表になるように押し広げたもの並べて試料とし、通常の方法で測定する。すなわち、C1s、O1s、N1s、S2pスペクトルの面積強度より、装置付属の相対感度係数を用いて窒素の表面濃度(A)とイオウの表面濃度(B)求め、次式(2)によって中空糸膜内表面のPVP濃度を定義する。
表面PVP濃度=100×A×111/(A×111+B×442)・・・(2)
中空糸膜への蛋白吸着量を上記の範囲にするための第二の特性は、中空糸膜の内径と牛血漿UFR(限外濾過率)である。中空糸膜の内径が190μm〜230μmであり、且つ、牛血漿UFRが15〜80であることが好ましい。中空糸内径が190μmより小さいと、一般的な使用条件下では圧力損失が高まって血漿の流れが抵抗を受け、その影響で蛋白が吸着しやすくなる。反対に内径が230μmより大きいと、一般的な使用条件下では線速が遅くなり、線流によるファウリング防止効果が低くなって蛋白が吸着しやすくなる。一方、中空糸膜の血漿UFRが15より低いと、一定の濾過量を得るために圧力が掛かり過ぎるため蛋白の吸着や物理的な目詰まりが多くなる。反対に、牛血漿UFRが80より高いとモジュール入口側の濾過圧が高く、モジュール出口側の濾過圧が低くなるため、膜面積を有効に使う事ができず、その結果、局所的に蛋白吸着が増大し、安定した性能を維持することが困難になる。内径と牛血漿UFRとを両者を同時に満たすことが重要である。
ここで述べる血漿UFRは、以下のように測定することにより求められる。上記で述べたIgGおよびフィブリノーゲンの透過率測定の際に、ミニモジュールの1次側と出側にて圧力を測定する。所定の量の牛血漿を処理し終えた時間をTとし、Tにおけるミニモジュールの1次側と出側の圧力の平均値をP、その間に採取された濾液の量をV、ミニモジュールの膜面積をAとすると、次式(3)よって血漿UFRを定義する。
血漿UFR=V/T・A・P (ml/hr・m2・mmHg)・・・(3)
本発明の血漿成分分離器は、以上の特性を持った中空糸膜を筒状容器に収容し、中空糸膜によって膜の内腔部と外部とが隔絶されるように両端部をポリウレタン樹脂等でポッティング加工した後、ヘッダーキャップなどを取り付けたものである。筒状容器の形状やポッティング部の形状等は血液浄化器として公知のものを利用すればよく、特に限定する必要はない。
ただし、患者一人当たりの平均処理量が4リットルであることから、1モジュールにつき少なくとも約4リットルの血漿を処理する必要があり、さらに、血漿成分中のアルブミンやIgG等の有用成分を失うことなく、血液増粘成分であるフィブリノーゲンやそれより大きな病原因物質を除去することが求められることから、膜面積は特定の範囲に設定することが好ましい。すなわち、血漿4リットルの処理を行う際、中空糸膜に上記のような特性を付与しても、膜面積が極端に小さい場合には単位膜面積あたりの処理量が膨大となって蛋白等の吸着による性能低下が起こり得る。一方、膜面積が大きい場合には、血漿成分分離器自体が大きくなり、また患者からの脱血量が大きくなるので好ましくない。そのため、膜面積は1.5m〜3.0mの範囲が好ましく、より好ましくは1.8m〜2.2mの範囲である。
本発明の血漿成分分離器は、前記のとおり血漿を4リットル処理した際のIgGの透過率が60%以上であることが好ましく、さらに好ましくは65%以上、さらに好ましくは70%以上である。一方、フィブリノーゲンの透過率は20%未満であることが好ましく、より好ましくは15%未満、さらに好ましくは10%未満である。処理の初期は高くシャープな分画性を有していても、処理途中で分画性が大きく低下すると血漿成分分離器としての機能が損なわれるため、平均的な処理を行なった時点でもなお上記の透過性能を発揮することが重要である。
また、モジュールの耐圧性の問題から、その際に観察される膜間圧力差(以下、TMP)の上昇は、比較的高流量条件で処理される際に膜にかかるTMPを考慮すると、そのベースから50mmHg以下であることが好ましく、さらに好ましくは40mmHg以下、さらに好ましくは30mmHg以下である。
なお、ここで述べる血漿成分分離器のIgGおよびフィブリノーゲンの透過率は以下に示すディスカード法で測定することにより求められる。膜面積が1.5〜3.0mの中空糸型血漿成分分離器の1次側に牛血漿を、流量30ml/分にて導入し、出側で7ml/分をポンプで引き、残りの23ml/分を濾過側に濾過する。使用する牛血漿は、ミニモジュールにおけるIgGおよびフィブリノーゲンの透過率測定で用いた牛血漿と同様の方法で得る。4リットルの牛血漿の濾過を行った後、濾過側に出てきた濾液中のIgGとフィブリノーゲンの濃度を、濾過前の牛血漿中における各々の濃度で除して、それを100倍した数値を透過率と定義する。尚、濃度測定には、IgGはBehring Nephelometer−Analyzer BM(デイド ベーリング(株)社製)を用いて免疫比濁法によって測定し、フィブリノーゲンはフィブリノーゲン−トロンビン時間法により測定する
二重濾過血漿交換の治療では、前述のディスカード法の他に、ストップエンド法で行うことも一般的である。ストップエンド法とは、膜面積が1.5〜3.0mの中空糸型血漿成分分離器の1次側に血漿を導入し、その全てを濾過側に排出する方法である。この方法では、ディスカード方法に比べて中空糸膜が受ける蛋白負荷の程度が著しく大きい。したがって、この方法では、血漿4リットル処理した際のIgGの透過率が40%以上であることが好ましく、さらに好ましくは45%以上、さらに好ましくは50%以上である。一方、フィブリノーゲンの透過率は20%未満であることが好ましく、より好ましくは15%未満、さらに好ましくは10%未満である。
また、このストップエンド法では、TMPが300mmHgに到達すると、一時的に中空糸型血漿成分分離器1次側の出側を開放することによりTMPを減少させる(これをフラッシュと呼ぶ)。この際、同時に血漿を濾過せずに排出することになり、結果として処理される血漿の量が減少する。したがって、このフラッシュ回数は少ない方がよく、好ましくは15回以下、さらに好ましくは12回以下、さらに好ましくは10回以下である。
なお、ストップエンド法によるIgGおよびフィブリノーゲンの透過率、およびフラッシュ回数は以下に示す方法で測定することにより求められる。膜面積が1.5〜3.0mの中空糸型血漿成分分離器の1次側に牛血漿を流量30ml/分にて導入し、出側を閉止し、流量30ml/分の全てを濾過側に濾過する。濾過を行っている際にTMPが300mmHgに到達した場合には、血漿成分分離器1次側の出側を30秒間開放し、その後再び閉止する。使用する牛血漿は、ミニモジュールにおけるIgGおよびフィブリノーゲンの透過率測定で用いた牛血漿と同様の方法で得る。4リットルの牛血漿の濾過を行った後、濾過側に出てきた濾液中のIgGとフィブリノーゲンの濃度を、濾過前の牛血漿中における各々の濃度で除して、それを100倍した数値を透過率と定義する。尚、濃度測定には、IgGはBehring Nephelometer−Analyzer BM(デイド ベーリング(株)社製)を用いて免疫比濁法によって測定し、フィブリノーゲンはフィブリノーゲン−トロンビン時間法により測定する。また、濾過開始から終了までのフラッシュ回数をカウントする。
次に本発明の血漿成分分離器の製造方法について詳細に説明する。本製造方法には、疎水性成分と親水性成分を含むポリマーを溶剤に溶解させた紡糸原液を中空内液とともに紡糸口金から吐出する工程、吐出した原液を凝固させる工程、凝固した中空糸中空糸膜を乾燥する中空糸膜の製造工程と、その膜をモジュール化する工程を少なくとも含む。
先ず、中空糸膜の製造工程としては、従来一般的に知られている乾湿式製中空糸膜技術を応用する。すなわち、まず、PSfとPVPを両方の共通溶媒に溶解し、均一な紡糸原液を調整する。このようなPSf及びPVPを共に溶解する共通溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド(以下、DMAC)、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、スルホラン、ジオキサン等の溶媒、あるいは上記2種以上の混合液からなる溶媒が挙げられる。なお、孔径制御のため、紡糸原液には水などの添加物を加えても良い。
次に、チューブインオリフィス型の紡糸口金を用い、該紡糸口金のオリフィスから紡糸原液を、チューブから該紡糸原液を凝固させる為の中空内液とを同時に空中に吐出させる。中空内液は水、または水を主体とした凝固液が使用でき、一般的には紡糸原液に使った溶剤と水との混合溶液が好適に使用される。紡糸口金から中空内液とともに吐出された紡糸原液は、空走部を走行させ、紡糸口金下部に設置した水を主体とする凝固浴中へ導入させる。
この時、血漿成分分離膜領域の孔径を発現させるためには中空内液の溶剤濃度を高くし、凝固力を落として相分離に時間をかける必要がある。その場合、空走部の糸の落下速度が速くなり、糸揺れが激しくなり、紡糸性が著しく悪化する。紡糸性を確保するには、適当な紡糸原液粘度で紡糸する、紡糸時の内液の吐出線速度、紡糸原液の吐出線速度を下げ、適度なドラフトをかける、などの方法を用いる。膜孔径を大きくするには、ゆっくりと相分離を進めるために内液の溶剤濃度を高くする方法が考えやすいが、そうすると紡糸性が悪くなるので、内液の溶剤濃度は極力低く抑えつつ他の要因を制御して相分離速度を抑制するような紡糸条件を採用する。
前記中空糸膜を製造するには、まず紡糸原液組成を適正にする事が好ましい。中空糸膜中のPVP濃度を適当な範囲にするために、原液中のPVPの濃度としては4%〜7%、PSfに対するPVPの仕込み比率は0.2〜0.3が好ましい。また、膜中のポリマー密度が高過ぎる場合には、血漿UFRが低くなり、膜中ポリマー密度が低すぎる場合には、血漿UFRが高くなるため、血漿UFRを適当な範囲にするために、原液中のPSfの濃度としては18%〜22%が好ましい。これら組成比および紡糸原液の吐出温度を適度に調整する事で、紡糸原液粘度としては2500mPa・s〜4000mPa・s程度にすると良い。
次に重要なのは紡口のサイズである。まず、中空内液が吐出される管の径は小さすぎると、中空内液の吐出線速度が大きくなり、そのため空走部での糸揺れが激しく安定な紡糸が不可能になる。また、大きすぎると中空形状を保つ事ができない為、140μm〜200μm、好ましくは150μm〜180μmが良い。
次に原液が吐出されるスリット幅は、適当な紡糸ドラフト率になるように設定する。紡糸ドラフト率が低過ぎる場合には、空走部での糸揺れが激しく安定な紡糸が不可能になる。一方、高過ぎる場合には、中空糸膜内表面が張力で引き裂かれることにより、孔径を揃えることが出来ず、分画性能が悪化する傾向にある。また、中空内液濃度が高く、凝固力が弱い条件のため、中空糸膜内表面が引き裂かれることにより、PVPが容易に脱落し、結果として中空糸膜内表面のPVP濃度が低下してしまう。したがって、紡糸ドラフト率は1.2〜1.9程度が好ましく、紡糸ドラフト率をその範囲にするために、スリット幅を調整する必要がある。
また、紡速に関しても、低過ぎる場合には、空走部で張力が働かず糸揺れが激しく安定な紡糸が不可能になる。一方、高過ぎる場合には、安定に孔径を揃えることが出来ない。したがって、紡速は30m/分〜60m/分程度にするのが好ましい。また、紡速がこの範囲より大きい場合には、糸の破断伸度が低下するために治療中にリークする危険性がある。このような事態を回避するために、破断伸度が40%以上の中空糸膜を得ることが好ましく、そのためにも、紡速を上記範囲内にするとよい。
次に重要なのは中空内液の溶剤濃度をなるべく下げるように紡糸条件を設定する事にある。内液の溶剤濃度が高過ぎると、空走部での凝固が進まず安定な紡糸が不可能になる。また、紡糸可能であったとしても、内液の溶剤濃度が高いと空走部での凝固が不十分となり、中空糸膜中のPVPが容易に脱落してしまい、結果として、膜中PVP濃度や、中空糸膜内表面のPVP濃度が低下してしまう。しかし一方で、内液の溶剤濃度を低くし過ぎると、血漿成分分離膜領域の孔径を開けることができなくなる。そのため、内液の溶剤濃度以外の要素で孔径を大きくする必要があり、凝固浴温度を60℃以上好ましくは75℃以上にすると好ましい。
また、原液の吐出温度を50℃以上、好ましくは60℃以上にする。但し、原液温度は高すぎると空走部での揺れが助長される為、原液組成、粘度、紡糸ドラフト、紡速、内液の溶剤濃度などの紡糸諸条件を勘案しながら調整する必要がある。空走部温度を50℃以上好ましくは60℃以上とする。但し空走部温度は高すぎると落下部揺れが助長される為、他の紡糸条件を勘案しながら調整しなければならない。
次に重要なのは空走部の長さである。空走部の長さが短い方が、落下部の揺れは小さくなり好ましい。但し、余り短くすると相分離時間が取れずに孔径を血漿成分分離膜領域まで大きくすることが出来ない。したがって、空走部の長さも、他の紡糸条件を勘案しながら調整しなければならないが、30cmから130cm、好ましくは50cm〜120cmがよい。
このように、中空糸膜中のPVP濃度や中空糸膜内表面PVP濃度の確保と、紡糸安定性の確保、そして血漿成分分離膜領域の孔径を開けることを満たす条件は、様々なバランスを考えて決定する必要がある。
凝固浴への浸漬の後、中空糸膜は精錬工程に導かれる。凝固浴への浸漬時間と精錬工程は安定し、且つ高い分画性能を発現させるために極めて重要である。その方法は、凝固浴への浸漬を0.5秒〜2秒、好ましくは0.75秒〜1.5秒以内に抑え、続いて90℃以下の熱水で洗浄を複数回行うことである。尚、この際、洗浄と洗浄の間に3分以上の待機時間を置くと好ましい。この方法が、安定し、且つ高い分画性能を発現させる理由については定かではないが、中空糸膜に熱履歴を与えることによって、中空糸膜中のポリマー鎖が歪のない状態に緩和することが考えられ、結果として、孔径分布が狭くなると推測される。したがって、与える熱履歴は多い方が好ましく、熱水洗浄の回数は3回以上が好ましく、さらに好ましくは4回以上である。なお、待機時間を3分以上おく理由は、上記のような緩和過程を放冷することなく続けると、PSf鎖とPVP鎖の絡み合いが解け、中空糸膜中のPVP濃度が減少するためである。また、凝固浴への浸漬時間は0.5秒より短いとこの時点での脱溶剤が十分で無く、その後の操作に伴い孔径が容易に変形する恐れがある。一方、凝固浴への浸漬が2秒を超えてしまうと脱溶剤が進み過ぎ、その後の熱水処理の効果が発揮し難くなる。なお、最も好ましい形態は、凝固浴から導き出した中空糸を一旦所定数量巻き取り、ロープ状若しくは束状にカットした後、シャワーを降らせる事であるが、凝固浴から連続的に導き出し、精錬工程を通す連続プロセスでも構わない。
このように精錬することにより、紡糸溶媒や余分な親水性成分が中空糸膜から除去されて膜の物性が固定し安定する。さらに、後述するように、筒状容器内に水性媒体を満たしたウェット型のモジュールとした際には、充填液中の、紡糸溶剤等の非環式脂肪族成分が10ppm以下となるので好ましい。精錬時間を長くすることで5ppm以下まで減らすこともできる。
次に、カットした中空糸束を乾燥機で乾燥する、または紡糸・精錬工程から連続的に乾燥して乾燥状態の数千〜二万フィラメント程度の中空糸束を得る。
このようにして得られた中空糸束を樹脂製の筒状容器に挿入し、ポリウレタン等のポッティング剤を用いて中空糸束端と容器端との接着を行う。接着部の固化後、接着端面を切断して中空糸を開口させ、ここにヘッダーを装着すればモジュール化した血漿成分分離器を得る。プライミング性やエア抜け等を考慮すると、この筒状容器内部に滅菌水等の水性媒体を充填して中空糸膜を浸漬させておくと膜の親水化が進んでモジュールとしての使用性がよくなる。次いで、25kGy程度のγ線や電子線の照射あるいは高圧蒸気処理によりモジュールを滅菌すれば、本発明の血漿成分分離器が得られる。
[実施例]
以下に実施例及び比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
PSf(ソルベイ社製、P−1700)18重量部、PVP(アイ・エス・ピー社製、K−90)4.5重量部、ジメチルアセトアミド(以下、DMAC)77.5重量部からなる均一な紡糸原液を作成した。中空内液にはDMAC57%水溶液を用い、チューブインオリフィスよりなる紡糸口金の160μm径のチューブ部より吐出させた。一方、紡糸原液は50℃の温度でスリット幅60μmの紡糸口金から吐出させた。この時の紡糸ドラフト率は1.4であった。この時、落下部はフードで覆い、エアプロセッサーを用いて55℃、60%に温調し、90cm下方に設けた水よりなる75℃の凝固浴に浸漬し、40m/分の速度で巻き取った。凝固浴への浸漬時間は1.5秒であった。巻き取られた中空糸をロープ状に束ね、90℃の水シャワーを12分間降らせ、3分間待機、この操作を合計6回行った。この後30%のグリセリン水溶液を含浸させ、中空糸束を約30cmに定長切断後、80℃の熱風で8時間乾燥を行った。乾燥後の中空糸膜束を容器に挿入して接着し、端面を切断し、中空糸膜を開口させ、ヘッダーを装着して、膜面積2.0mの中空糸型血漿成分分離器を得た。得られた中空糸膜と血漿成分分離器の性能測定結果を表1、2に示す。
PSf(ソルベイ社製、P−1700)21重量部、PVP(アイ・エス・ピー社製、K−90)4.5重量部、ジメチルアセトアミド(以下、DMAC)74.5重量部からなる均一な紡糸原液を作成した。紡糸口金のスリット幅を変更し、紡糸ドラフトを1.2にし、中空内液にはDMAC58.5%水溶液を用いた。また、血漿成分分離器を膜面積が1.8mになるように作成した。それ以外は、実施例1と同様の方法で中空糸膜と血漿成分分離器を得た。得られた中空糸膜と血漿成分分離器の性能測定結果を表1、2に示す。
PSf(ソルベイ社製、P−1700)18重量部、PVP(アイ・エス・ピー社製、K−90)6重量部、ジメチルアセトアミド(以下、DMAC)76重量部からなる均一な紡糸原液を作成した。それ以外は実施例1と同様の方法で中空糸膜と血漿成分分離器を得た。この際、紡糸ドラフト率は1.6であった。また、血漿成分分離器を膜面積が2.2mになるように作成した。得られた中空糸膜と血漿成分分離器のの性能測定結果を表1、2に示す。
比較例1
紡糸口金のスリット幅を変更し、紡糸ドラフト率を2.3とした以外は実施例1と同様の方法で中空糸膜を得た。得られた血漿成分分離膜は、蛋白吸着量が多く、また分画性能が悪かった。この中空糸膜と血漿成分分離器の性能測定結果を表1、2に示す。
原液組成をPSf(ソルベイ社製、P−1700)21重量部、PVP(アイ・エス・ピー社製、K−90)3重量部、ジメチルアセトアミド(以下、DMAC)76重量部にした以外は、実施例2と同様の方法で中空糸膜を得た。得られた中空糸膜は、蛋白吸着量が多かった。この中空糸膜と血漿成分分離器の性能測定結果を表1、2に示す。
比較例3
エチレンビニルアルコール共重合体からなる内径175μm、膜圧40μmの中空糸膜が組み込まれ、膜面積2.0mである血漿成分分離器ER5000(lot:000206)(販売元:旭メディカル社、製造元:川澄社)を用いて性能測定を行った。この中空糸膜の性能測定結果を表1、2に示す。この膜は蛋白吸着量が高く、4リットル処理に適さなかった。

本発明の血漿成分分離膜およびその膜を用いた血漿浄化成分分離器は、分画性能に優れ、且つ、生体適合性に優れたポリマーからなり、蛋白等の吸着による経時変化が少ないため、アルブミン、IgG等の有用蛋白を体内に残しながら、血液増粘成分であるフィブリノーゲン、コレステロール等が除去することでき、安全で効率の良い治療の実現に貢献できる。

Claims (7)

  1. 筒状容器に中空糸膜束を収容し、両端部をポッティング加工して得た中空糸型血漿成分分離器であって、筒状容器に収容される中空糸膜は少なくともポリスルホンポリビニルピロリドンとを含むポリマーから構成され、前記中空糸膜中のポリビニルピロリドンの濃度が2wt%以上4wt%以下であり、且つ中空糸内表面のポリビニルピロリドンの濃度が33wt%以上であって、該中空糸膜の血漿総蛋白の吸着量が0.45g/m以下であり、且つ、該膜のIgGの透過率が6%以上、フィブリノーゲンの透過率が20%未満である事を特徴とする中空糸型血漿成分分離器。
  2. ポリビニルピロリドンの少なくとも一部が不溶化されている請求項1に記載の中空糸型血漿成分分離器。
  3. 中空糸膜の内径が190μm以上230μm以下であり、且つ、牛血漿の限外濾過率(UFR)が15〜80ml/hr・m・mmHgである事を特徴とする請求項1または2に記載の中空糸型血漿成分分離器。
  4. 膜面積が1.5〜3.0mであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の中空糸型血漿成分分離器。
  5. 中空糸型血漿成分分離器によってディスカード法により牛血漿の濾過実験を行った時、牛血漿を4リットル処理した際のIgGの透過率が60%以上、フィブリノーゲンの透過率が20%未満である事を特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の中空糸型血漿成分分離器。
  6. ディスカード法により牛血漿の濾過実験を行った時、牛血漿を4リットル処理した際の膜間圧力差の上昇が50mmHg以下である事を特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の中空糸型血漿成分分離器。
  7. 中空糸型血漿成分分離器によってストップエンド法により牛血漿の濾過実験を行った時、牛血漿を4リットル処理した際のIgGの透過率が40%以上、フィブリノーゲンの透過率が20%未満である事を特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の中空糸型血漿成分分離器。
JP2004077248A 2004-03-17 2004-03-17 蛋白吸着量が少ない中空糸型血漿成分分離器 Expired - Fee Related JP4190445B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004077248A JP4190445B2 (ja) 2004-03-17 2004-03-17 蛋白吸着量が少ない中空糸型血漿成分分離器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004077248A JP4190445B2 (ja) 2004-03-17 2004-03-17 蛋白吸着量が少ない中空糸型血漿成分分離器

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005261601A JP2005261601A (ja) 2005-09-29
JP2005261601A5 JP2005261601A5 (ja) 2008-09-18
JP4190445B2 true JP4190445B2 (ja) 2008-12-03

Family

ID=35086743

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004077248A Expired - Fee Related JP4190445B2 (ja) 2004-03-17 2004-03-17 蛋白吸着量が少ない中空糸型血漿成分分離器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4190445B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008110054A (ja) * 2006-10-30 2008-05-15 Kuraray Medical Inc 血液浄化用中空糸膜及びその製造方法
JP2012019890A (ja) * 2010-07-13 2012-02-02 Asahi Kasei Kuraray Medical Co Ltd 血液処理用中空糸膜、及び、中空糸膜型血液処理器
JP5196509B2 (ja) * 2011-09-12 2013-05-15 旭化成メディカル株式会社 血液浄化用中空糸膜及びその製造方法
CN112834755B (zh) * 2020-12-31 2023-11-17 杭州师范大学 一种基于中空纤维膜的免疫型生物传感器检测装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005261601A (ja) 2005-09-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6432309B1 (en) Polysulfone-base hollow-fiber hemocathartic membrane and processes for the production thereof
KR100869203B1 (ko) 비대칭 다공질막 및 그의 제조 방법
US10188991B2 (en) Permselective asymmetric membranes
JPH0554373B2 (ja)
JP5857407B2 (ja) 中空糸膜および中空糸膜の製造方法
JP6497318B2 (ja) 血小板浮遊液洗浄用の中空糸膜モジュール
US9993777B2 (en) Porous membrane, blood purifying module incorporating porous membrane, and method for producing porous membrane
WO1997034687A1 (fr) Membrane en fils creux utilisee pour l'epuration du sang et epurateur de sang
JP4126062B2 (ja) 血液浄化用中空糸膜及びこれを用いた血液浄化器
JP2007215569A (ja) 血漿成分分離器及び二重濾過血液浄化装置
JPH10108907A (ja) 血液浄化膜、その製造方法及び血液浄化用モジュール
JP2792556B2 (ja) 血液浄化用モジュール、血液浄化膜及びその製造方法
JPH06296686A (ja) 医療用ポリスルホン中空糸膜
JP4190445B2 (ja) 蛋白吸着量が少ない中空糸型血漿成分分離器
JP3934340B2 (ja) 血液浄化器
JPH11309355A (ja) ポリスルホン系中空糸型血液浄化膜とその製造方法
WO2016182015A1 (ja) 多孔質中空糸膜及びその製造方法
JP4190361B2 (ja) 中空糸型の体液処理器、これに用いる中空糸束およびそれらの製造方法
JP3948736B2 (ja) 血液透析器
JP4386607B2 (ja) ポリスルホン系血液浄化膜の製造方法およびポリスルホン系血液浄化膜
JP4381058B2 (ja) 血液適合性に優れた中空糸型血液浄化器
JP7131038B2 (ja) 腹水濾過用の中空糸膜
JP2001038171A (ja) 中空糸膜
JP6030295B2 (ja) 血液浄化器の製造方法
JP2004098027A (ja) 高性能精密濾過膜

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070305

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070305

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080805

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080912

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080916

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110926

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4190445

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110926

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110926

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110926

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120926

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130926

Year of fee payment: 5

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130926

Year of fee payment: 5

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees