JP3314861B2 - 中空糸膜 - Google Patents

中空糸膜

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JP3314861B2 JP34385896A JP34385896A JP3314861B2 JP 3314861 B2 JP3314861 B2 JP 3314861B2 JP 34385896 A JP34385896 A JP 34385896A JP 34385896 A JP34385896 A JP 34385896A JP 3314861 B2 JP3314861 B2 JP 3314861B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人工臓器として血
液浄化等に用いられる中空糸膜に関する。さらに詳しく
は、血液浄化等において、β2-ミクログロブリン等の低
分子蛋白質の高い除去性能を維持しつつ、透析液側にエ
ンドトキシンが含まれる場合にも、そのエンドトキシン
を実質的に血液側に侵入させることがない中空糸膜に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来から、医療分野においては、血液中
の老廃物を除去する目的でセルロース、酢酸セルロー
ス、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル
等の重合体を用いた透析膜や限外濾過膜が用いられてい
る。特にセルロース膜は、腎不全患者の延命・社会復帰
の為の透析治療において広く用いられてきた。
【0003】当初これらの膜は、血液中の尿素、クレア
チニンなどの低分子物質を除去することを主眼に開発、
臨床供与されてきた。しかしながら、長期透析患者の増
加に伴い、手根管症候群等の長期透析合併症が注目され
るに至り、近年では、透析による除去対象物質は、尿
素、クレアチニン等の低分子物質のみでなく、中分子量
から高分子量の物質(低分子蛋白質)をも除去対象とす
ることがこれらの血液浄化膜に要求されている。これら
の治療に用いられる膜は、ハイパフォーマンス膜(以
下、HPM)と呼ばれ、従来の透析膜より膜の孔径を拡
大することにより、より大きな物質の除去を可能にして
いる。
【0004】特に臨床上注目されている除去対象の高分
子物質は、手根管症候群を引き起こすアミロイド化物質
と考えられるβ2-ミクログロブリン(分子量11600
ダルトン)であり、β2-ミクログロブリンの除去性に優
れ、血液中の有用蛋白質であるアルブミン(分子量66
000ダルトン)の分画をいかにシャープに行うかがH
PMの性能の善し悪しとなる。
【0005】かかる問題に対しては、従来のセルロース
膜は必ずしも最適な膜構造を与え得る素材とはいえず、
このHPM分野では三酢酸セルロース、ポリアクリロニ
トリル、ポリスルホン等の合成系の素材が主体となって
いる。中でもポリスルホン系の透過膜は、中空繊維の成
形加工性、製膜性に優れており、特開昭61−9380
1や特開平4−300636には、親水性高分子をブレ
ンドすることによりポリスルホン自体の疎水性による溶
質透過性の低下を抑えた膜が開示されている。
【0006】さらに近年、HPMの普及に伴い問題視さ
れているのが、長期透析合併症に対するHenders
onらの提示したインターロイキン仮説(Blood
Purif.,1;3,1983)である。この考えに
よれば透析アミロイド症を引き起こす免疫的な過程とし
て、補体の活性化により単球が刺激され、そこに血中の
エンドトキシンが作用し、単球からのインターロイキン
(IL−1)が産生放出され、それが繊維芽細胞やコラ
ーゲンの増殖をおこし、また組織適合抗原クラス1の発
現亢進により、β2-ミクログロブリン放出を引き起こし
関節炎と骨へのアミロイド沈着の発症に至ることが示さ
れている。長期透析患者では、透析膜と血液の接触によ
る補体の活性化、および血液の体外循環施行(透析液等
からのエンドトキシンの血液への侵入)等により慢性的
なIL−1産生刺激があり合併症に至る。
【0007】かかる問題に対しては、三酢酸セルロー
ス、ポリスルホン等は良好な生体適合性(低補体活性)
の素材として知られている。しかしながらHPMでは、
膜孔径を拡大させているため外部からのエンドトキシン
の侵入に対しては、逆に危険視される結果となってい
る。
【0008】また、HPMでは、血液透析器の圧損と血
液−透析液の浸透圧差の影響から血液浄化器の血液流入
部では血液側が陽圧にも関わらず、血液出口付近では陰
圧になってしまい透析液側からの逆濾過が生ずる’Ba
ckfiltration’現象が起こることが知られ
ており、この点からも血液へのエンドトキシン侵入の危
険性が危惧されている。実際セルロース膜使用の患者群
とHPM系の合成膜使用の患者群ではエンドトキシン抗
体陽性率が後者の方が高いことが報告されている。(T
rans.Am.Soc.Artif.Inten.O
rgans,35;331,1989)
【0009】ここでエンドトキシンとは、グラム陰性菌
の細胞壁由来のリポ多糖あるいはそのタンパク複合体で
あり、活性を有する最小のフラグメントはリピドAであ
り分子量は数千である。従って、分画分子量数万のHP
Mは、エンドトキシンは透過されることとなる。同様に
前記の従来技術として開示されているポリスルホン中空
糸膜もエンドトキシンの非透過性を保証できるものでは
ない。これに対して、臨床使用時にエンドトキシンフリ
ーの透析液を使用することが推奨されているが、装置、
ランニングコストが嵩む不利益があり、またエンドトキ
シンフリーを完全に実施するには人の作業も含めた透析
施設全体の徹底的なバリデーション無しには現在不可能
である。
【0010】また、透析液の供給ラインの血液浄化器直
前にエンドトキシン除去フィルターを設けることも行わ
れている。しかしエンドトキシンが血液浄化器への接続
部に濃縮されているとの報告もあり、最終的には、血液
浄化器自体がエンドトキシンを侵入させない機能を有す
ることが理想といえる。
【0011】これに対して前記の従来技術として開示さ
れているポリスルホン膜は、そもそもエンドトキシンに
対する記述は無く、さらに膜構造が、透析液側(中空糸
の外表面)にサブミクロンからミクロンオーダーの開孔
を有する非対称構造になっていることから、この大きな
開孔部からのエンドトキシン侵入が危惧され、かつ内表
面に厚さ数ミクロン足らず(3ミクロン以下)の分離層
があるのみであり、この層に一部の欠陥を生じただけで
エンドトキシンが血中に侵入する確率が高くなる。
【0012】ポリスルホン系膜そのものにエンドトキシ
ン吸着能を付与する技術としては、特開平7−1164
84に、カチオン性樹脂で膜を処理しイオン的な相互作
用でエンドトキシンを吸着させる方法が開示されてい
る。しかしながらエンドトキシンの全成分がアニオン的
であるわけではなく、また透析液、血液といった高電解
質濃度下での効果については疑問である。また、血液浄
化膜として用いるにはカチオン樹脂コートによる膜性能
低下、溶出物等の安全性の面から必ずしも適用できるも
のではない。
【0013】また、エンドトキシンの選択吸着剤として
は、ヒスチジン固定材(発酵工学会誌、65巻、5号、
446、1987)あるいはポリミキシン固定材(特開
平5−305139)があるが、これらはエンドトキシ
ン含有液を直接潅流により吸着除去するための手法であ
り、本発明でいう血液浄化膜に適用される技術ではな
い。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、血液
浄化時に、β2-ミクログロブリン等の有害な低分子蛋白
質の除去性能に優れつつも、透析液側から血液側に実質
的にエンドトキシンを通過させない、高い透析性能と安
全性を兼ね備えた血液浄化膜を提供することにある。
【0015】かかる課題を解決するために鋭意検討した
結果、本願発明者らは、中空糸膜の膜全域の疎水性高分
子と親水性高分子の構成ポリマー比を適切な範囲とし、
中空糸膜全体に適度な親水性・疎水性を付与することに
より、血液側から透析液側へ不要な低分子蛋白質を除去
しつつも、透析液側から血液側へのエンドトキシンの汚
染をなくすことが可能となることを見い出した。さら
に、中空糸膜の膜構造をボイドや網目構造を含まない、
実質的に均一な構造とすることにより、膜全体でエンド
トキシンを阻止し得ることを見い出した。
【0016】また、官能基として芳香族を有する高分子
にはエンドトキシン吸着能があり、かような芳香族系の
高分子により中空糸膜を構成することにより、さらにエ
ンドトキシンによる汚染防止を容易に達成し得ることを
見い出した。かような芳香族系の高分子にエンドトキシ
ンが吸着するのは、エンドトキシンが、エンドトキシン
結合蛋白やリピドAの脂質部に由来して、ある程度疎水
性面に吸着性を持つためと考えられる。
【0017】さらに、前記のHPMの必要特性である低
分子タンパク領域(分子量2万弱)の透過性と高度なエ
ンドトキシン除去を両立させるため、本発明者らは従来
の血液浄化膜で成し得ていない透析液側(中空糸外側)
の細孔制御技術を開発した。これにより均一膜構造の中
空糸外面にも緻密層と細孔をもたせ、中空糸外面からの
エンドトキシンの侵入の抑制と吸着、さらに溶質透過を
行う細孔部に侵入したエンドトキシンに対しても膜厚部
全体の広い吸着面積でエンドトキシンを吸着し得ること
を見い出した。
【0018】中空糸外面の細孔制御は、前記の相分離法
による中空糸紡糸過程において、ノズルから吐出された
紡糸原液が凝固浴にて、中空糸外面から脱溶媒される際
に、同時に外表面近傍の親水性高分子はわずかに凝固浴
中に脱落し、さらに水洗等の処理により、疎水性膜部へ
の滞留の不安定なものは完全に落とされる。この親水性
高分子の脱落部は、膜の外表面部にサブミクロン以下の
微細な孔を形成し、この細孔による活性炭的効果により
エンドトキシンの吸着能を増加させることができると考
えられる。
【0019】外表面の細孔の評価は、SEM、原子間力
顕微鏡、レプリカ法等によりある程度の観察の可能性は
ある。しかし、中空糸が膜構造保持剤で覆われている
点、よしんば膜構造保持剤を除いた状態(凍結乾燥させ
たもの、あるいは濡れた状態でのクライオSEM、低真
空SEM)での観察が可能であっても現在の科学技術で
はサブミクロン以下の正確な表面細孔評価は困難と思わ
れる。また、BET法、水銀圧入法による細孔そのもの
の評価法はあるが、これらは表面のみといった局所的な
部位の評価は不可能である。本発明者らは、間接的な評
価として最外表面の親水性高分子の存在率を表面IR法
で見ることを検討したが、精度の問題と数μm深度の情
報が混在するため微量の差異評価は困難であった。以上
の経緯により、本発明者らは、HPMとしての溶質透過
性をもち、かつエンドトキシンに対する吸着性と侵入阻
止の両立を実現させた血液浄化膜を開発するに至った。
【0020】本発明は、上記の知見に基づきさらに検討
を重ねて完成したものである。
【0021】すなわち、本願発明は、中空糸膜を構成す
全高分子(芳香族ポリスルホン系高分子とポリビニル
ピロリドンの和)に対する親水性高分子であるポリビニ
ルピロリドンの含有率が5〜20重量%、疎水性高分子
である芳香族ポリスルホン系高分子の含有率が95〜8
0重量%である中空糸膜であって、該中空糸膜の内表
面、外表面及び膜中間部におけるポリビニルピロリドン
の含有率(内表面がA%、外表面がB%、膜中間部がC
%)が下記の式を満たすことを特徴とする中空糸膜であ
る。 ((A−X)2+(B−X)2+(C−X)2 0.5 /X≦0.5 但し、X=(A+B+C)/3
【0022】好適な実施態様においては、前記中空糸膜
の膜断面を300倍の電子顕微鏡で観察するとき、明ら
かに認められるボイドまたは網目構造が存在せず、前記
中空糸膜の内部構造が実質的に均一構造である。
【0023】好適な実施態様においては、前記中空糸膜
の内表面及び外表面を5000倍の電子顕微鏡で観察す
るとき、明らかに認められる孔が存在せず、前記中空糸
膜の表面構造が実質的に平滑構造である。
【0024】好適な実施態様においては、前記中空糸膜
を充填した内表面換算で1m2 のモジュールにヘマトク
リット30%、蛋白質濃度7g/mlの牛血液を流速2
00ml/分で流し、濾過流速10ml/分で濾過を行
った時の、牛血液中のβ2ーミクログロブリンの篩い係数
が50%以上である。
【0025】
【0026】
【0027】好適な実施態様においては、前記中空糸膜
が膜構造保持剤として多価アルコールを含む。
【0028】以下、本願発明を詳細に説明する。
【0029】本発明の中空糸膜に用いられる疎水性高分
子である芳香族ポリスルホン系高分子とは、分子中に芳
香族官能基を有するポリスルホン系高分子であれば特に
限定されるものではなく、例えば、芳香族ポリスルホ
ン、芳香族ポリエーテルスルホン等が挙げられる。
【0030】本発明の中空糸膜には、親水性高分子であ
るポリビニルピロリドンを用いる。ポリビニルピロリド
ンは、芳香族系ポリスルホン系高分子との相溶性、製膜
性等の観点から好適である。
【0031】本発明の中空糸膜を構成する全高分子(芳
香族ポリスルホン系高分子とポリビニルピロリドンの
和)に対する親水性高分子であるポリビニルピロリドン
の含有率は5〜20重量%、疎水性高分子である芳香族
ポリスルホン系高分子の含有率が95〜80重量%であ
る。ポリビニルピロリドンの含有率が5重量%未満であ
る場合には、エンドトキシン吸着性はあるものの本発明
の目的とするHPMとしての十分な溶質透過性が得られ
ない。ポリビニルピロリドンの含有率が20重量%を越
える場合には、ポリビニルピロリドンが溶出する可能性
が高くなり安全面から問題になる。好ましいポリビニル
ピロリドンの含有率は8〜20重量%であり、特に好ま
しい含有率は12〜16重量%である。
【0032】なお、膜全体のポリビニルピロリドンの含
有率は、膜構造保持剤を適当な処理(水洗、乾燥等)に
より除き膜を構成する高分子材のみにさせた後、中空糸
を粉砕し均一化し、または適当な溶媒に均一溶解させ、
元素分析、分子振動分析、NMR等の手法によりポリビ
ニルピロリドンの含有率を測定することができる。元素
分析で行う場合は、ポリビニルピロリドンまたは芳香族
ポリスルホン系高分子何れかにのみ存在する元素の含有
率を求め、分子構造から何れかの高分子の全高分子に対
する含有率を求める。分子振動分析(例えばIR分
析)、NMRでは、ポリビニルピロリドンまたは芳香族
ポリスルホン系高分子に特有の吸収バンド、ケミカルシ
フト等の強度から含有率を求めることができる。前記の
何れの方法によってもポリビニルピロリドンの含有率は
求め得るが、本発明においては、膜全体のポリビニルピ
ロリドンの含有率をIR分析により測定した。測定法の
詳細は膜全体のポリビニルピロリドンの含有率の測定の
欄に記載の通りである。
【0033】また、本発明の中空糸膜は、膜の内表面、
外表面及び膜中間部におけるポリビニルピロリドンの含
有率(内表面がA%、外表面がB%、膜中間部がC%)
が下記の式を満たすことを特徴とする中空糸膜。 ((A−X)2+(B−X)2+(C−X)2 0.5 /X≦0.5 但し、X=(A+B+C)/3 この式の値が0.5を越える場合には、ポリビニルピロ
リドン又は芳香族ポリスルホン系高分子に偏った高分子
組成となり、エンドトキシンの吸着性が低下する。ま
た、この式の値が0.5以下であることは、膜全体が適
度な緻密性を有し、エンドトキシンを膜全体で阻止し得
ることとなる。好ましい式の値は、0.4以下である。
なお、この式は膜の各部位(内表面、外表面、膜中間
部)のポリビニルピロリドンの分布状態を示し、この式
の値が小さいほど膜の各部位にポリビニルピロリドン
均一に分布し、その含有率も一定であることを示す。一
方、この式の値が大きいほど各部位のポリビニルピロリ
ドンの分布は不均一で、各部位のポリビニルピロリドン
含有率に大きな差があることを示す。以後、この式の値
ポリビニルピロリドン分布比とする。
【0034】なお、膜の各部位のポリビニルピロリドン
の含有率は、表面分析法に基づき各種エネルギー、分子
振動分析から評価することができる。本発明では、顕微
FT−IR分析により膜の内表面、中間部、外表面に含
有されるポリビニルピロリドン芳香族ポリスルホン系
高分子に由来するバンド強度の比から各部位でのポリビ
ニルピロリドンの含有率を測定する。測定法の詳細は膜
の各部位のポリビニルピロリドンの含有率の測定の欄に
記載の通りである。
【0035】本発明の中空糸膜は、膜の断面を300倍
の電子顕微鏡で観察するとき、明らかに認められるボイ
ドまたは、網目構造が存在しない。上記で、膜の断面を
300倍の電子顕微鏡で観察するとき、明らかに認めら
れるボイドまたは、網目構造が存在しないとは、膜内部
構造が実質的に空洞を持たない均一構造であることを意
味し、かように本発明の中空糸膜は均一構造であること
により、透析液側から血液側へのエンドトキシンの移動
を膜全体で阻止することが可能となる。
【0036】本発明の中空糸膜は、膜の内表面及び外表
面を5000倍の電子顕微鏡で観察するとき、明らかに
認められる孔が存在しない。膜の内表面及び外表面を5
000倍の電子顕微鏡で観察するとき、明らかに認めら
れる孔が存在しないとは、膜の表面構造が実質的に平滑
構造であることを意味し、かように本発明の中空糸膜は
平滑構造であることにより、実際に血液を処理する場合
にも、孔の目詰まりが少なく、分極2次層も薄く形成さ
れることとなり、β2-ミクログロブリン等の不要な低分
子蛋白質の高い除去性能を維持することが可能となる。
【0037】なお、一般的に、膜構造は走査型電子顕微
鏡(SEM)による評価が常套手段であり、本願におい
ても電子顕微鏡による観察に基づき膜構造を評価した。
なお、本発明の膜構造は前記で説明した通り、実質的に
均一且つ平滑な構造である。かような均一性及び平滑性
を評価するためには、本来できるだけ大きな倍率の電子
顕微鏡で観察し評価すべきであるが、電子顕微鏡が発生
する熱による膜構造への影響を回避するためには、現状
では5000倍が上限である。よって、本願において
は、膜の平滑性の評価を5000倍の電子顕微鏡により
中空糸膜の内表面及び外表面を観察することにより評価
した。ここで、孔が存在しないとは、5000倍の拡大
写真での観察限度が0.2mmとした場合、400オン
グストローム以上の孔や空洞が存在しないことを意味す
る。
【0038】本発明の中空糸膜は、膜厚が数μm〜80
μmであり、外径が100μm〜500μmの真円形の
横断面を有するのが好ましい。前記したように本発明の
中空糸膜は実質的に均一構造であるから、溶質の分離効
率を向上させるには膜厚を下げることが望まれ、好まし
くは膜厚が15μm〜40μmであり、外径が200〜
300μmである。
【0039】本発明の中空糸膜を充填した内表面換算で
1m2 のモジュールにヘマトクリット30%、蛋白質濃
度7g/mlの牛血液を流速200ml/分で流し、濾
過流速10ml/分で濾過を行った時の、牛血液中のβ
2-ミクログロブリンの篩い係数は50%以上である。篩
い係数が50%以下では、β2-ミクログロブリンの除去
率が不十分である。また、本発明においては、β2-ミク
ログロブリンの除去率を上記のように実際に血液を流し
た場合の除去率で規定した。これは、中空糸膜に実際に
血液を流した場合、前記のように分極2次層が形成さ
れ、水系での篩い係数と血液系での篩い係数では大きな
差を生じるためである。
【0040】また、ここでいう50%以上の透過性と
は、中空糸に供給される液と通過した液および膜を透過
した液、各々に含まれるβ2-ミクログロブリン濃度を用
いて下記式で示される篩い係数(SC)で定義される。 SC(%)=(T1×2)/(T2+T3)×100 但し、T1:透過液中のβ2-ミクログロブリン濃度 T2:供給液中のβ2-ミクログロブリン濃度 T3:通過液中のβ2-ミクログロブリン濃度
【0041】本発明の中空糸膜は、膜構造が膜構造保持
剤により保持されているのが好ましい。膜構造保持剤は
血液浄化器として用いられる際に容易に水、生理食塩水
等で洗浄、除去される物質である必要があり、水溶性の
物質であることが好ましい。例えば、グリセロール、グ
リコール等の多価アルコール、多糖類、または界面活性
剤等が挙げられる。中でも、グリセリンは血液浄化膜と
しての安全性、およびポリスルホン系均一膜の細孔内部
への導入が容易であり特に好ましい。
【0042】本発明の中空糸型血液浄化膜を作する方
法としては、例えば、芳香族ポリスルホン系高分子
リビニルピロリドンを溶媒、或は、溶媒と非溶媒の混合
液からなる溶剤に溶解してドープ原液を調整し、これを
ノズルから吐出させ凝固液中で相分離による膜形成を行
わせる方法が挙げられる。この方法では、膜の細孔の孔
径分布を狭くし、シャープな血液成分の分画特性を得る
ことが可能となる。また、適当なドープ条件、凝固条件
を選ぶことによって様々な溶質分離特性を膜に与えるこ
とが可能である。
【0043】また中空部の形成には、中空部形成芯剤を
用いることが必要であり、この芯剤は同時に凝固液とし
て用いる場合がある。従来のポリスルホン系の膜ではこ
の手法により製膜されており内面が密に凝固した非対称
膜が形成される。それに対して芯剤にガス、あるいは、
低凝固性の流体を用いることにより均一膜を得ることが
できる。さらに非対称構造の場合、親水高分子が緻密層
に局在しやすいのに対し、芯剤にガス等を用いた場合に
は、比較的均一に膜全体に親水高分子を導入することが
でき、膜全体で親水性、疎水性のバランスの良好な構造
を有する膜を得ることが可能となる。
【0044】さらに形成された中空糸膜は、水洗、乾燥
等の処理を行う。この乾燥工程で支持層を持たない均一
膜は、乾燥に伴う水の表面張力等により膜が収縮し、相
分離法で調製された膜性能を低下ることが多い。これを
防ぐためには、膜構造保持剤を膜構造中に含ませること
が好ましい。膜構造保持剤は水洗後、乾燥工程の前に導
入されるのが最も最適である。
【0045】本発明の中空糸型血液浄化膜は、具体的に
は例えば以下のように製造することができる。
【0046】芳香族ポリスルホン系高分子を15〜35
重量%、ポリビニルピロリドンを2〜5重量%、溶媒を
30〜60重量%、非溶媒を10〜50重量%から成る
紡糸原液(ドープ)を50〜190℃に加熱して溶解さ
せ、二重管ノズルの外側から押し出し、中央からは気体
もしくは紡糸原液(ドープ)に対して凝固性が無いか、
あるいは凝固性の低い液体を送り込む。押出された紡糸
原液は、1〜20mmの空中を走行させた後、5〜60
℃の凝固性液体を通って凝固され水洗された後、40〜
60重量%のグリセリン水溶液中を通過し、グリセリン
を含浸させた後、乾燥器にて乾燥させる。
【0047】上記の溶媒としては、N,N−ジメチルホ
ルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチ
ルピロリドン、γ−ブチロラクトンなどの極性溶媒を単
独もしくは混合で用いることができる。上記の非溶媒と
しては、エチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、プロパンジオール、ブタ
ンジオールなどのポリオール類、あるいはエチレングリ
コールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
エチルエーテルなどのエーテル類を単独もしくは混合し
て使用することができる。また、中空形成剤としては、
窒素、アルゴン、酸素、炭酸ガス、ヘリウム、空気等の
ガスあるいは流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピ
ル、植物、鉱物油等の油脂類、あるいはその他の低凝固
性液体を使用することができる。本発明で用いることの
できる溶媒、非溶媒、中空形成剤は上記に限られるもの
ではない。
【0048】以下、実施例により本発明の内容をさらに
詳細に説明するが、本発明は以下により何等限定される
ものではない。
【0049】まず、本発明の血液浄化膜のβ2-ミクログ
ロブリン、エンドトキシン、溶出物、親水性高分子含量
の測定方法について説明する。
【0050】1.β2-ミクログロブリンのSC(%)試
験 血液浄化膜10000本程度の中空糸をプラスチック成
形品の中に入れ両端が開口した内表面換算で、膜面積約
1m2 のモジュールを作製する。このモジュールを生理
食塩水による洗浄後、血液側(中空糸内側)に、抗凝固
処理したヘマトクリット30%の牛新鮮血を200ml
/分で流す。モジュールの内表面換算で、膜面積1m2
当たりの濾過速度10ml/分となるように透析液側に
接続したポンプにより血液濾過を行い下記について測
定、前記のSC(%)を計算する。血液濾過開始15分
時点のモジュールの入口、出口の血液、および濾過液を
サンプリングして、酵素免疫測定法(たとえば、β2-M
GーEIA TEST 和光純薬工業)等によりβ2-ミ
クログロブリンの濃度を測定する。なお、当該測定で用
いる牛血液にはあらかじめヒト由来のβ2-ミクログロブ
リンを添加して行う。これらのβ2-ミクログロブリンの
濃度から式1に従ってSC(%)を求める。
【0051】2.エンドトキシン吸着試験 測定用中空糸膜の外表面換算で、膜面積0.05m2
中空糸膜を1cmの長さに刻みガラス容器に入れ、エン
ドトキシンフリー水を50ml添加し、浸漬−デカンテ
ーションを3回繰り返し最後にエンドトキシン溶液(約
7.0EU/ml)30mlを加え、37℃にて1時間
インキュベートし、その後液をサンプリングして、エン
ドトキシンを定量する。エンドトキシンの測定には、比
色定量法(生化学工業製トキシカラーシステム)で行
う。(検出限界は0.2EU/ml)なお、本実験で使
用するガラス器具、鋏等は全てあらかじめ260℃乾熱
滅菌を施したものを使用し、測定はクリーンベンチで実
施する。
【0052】また、モジュールでのエンドトキシン除去
は、以下の方法により測定する。
【0053】3.エンドトキシン透過試験 評価サンプルは、上記SC(%)評価と同様の透析器を
使用し、まずモジュールおよび接続回路全体を超純水
(ミリポア社製、milli−Qシステム)を用いて十
分にシングルパスで洗浄する。ついで透析器の血液側
(中空糸内側)を流れる液を循環系にし200ml/分
で流す(循環水の総量2l)。この時点で循環液をサン
プリングし初期のエンドトキシン濃度を求める。また同
時に透析側にエンドトキシン含有液(市水とRO水の混
合水;約2.0EU/ml)を500ml/分で向流で
シングルパスで流し、UFRコントローラー付きの透析
装置(ニプロ社製、NCU−6)を用い膜間の透水量を
ほぼ0にする。2時間経過後血液側の循環水をサンプリ
ングする。サンプリング液は、前記の手法で同様にエン
ドトキシン濃度を測定する。エンドトキシンの透過試験
測定のダイナミックレンジは、0.02〜0.15EU
/mlで実施した。また、初期のエンドトキシン濃度は
検出限界以下であった。
【0054】4.溶出物試験 人工腎臓承認基準試験(日本人工臓器工業協会)に基づ
き、抽出液の紫外吸収スペクトル(UV)により測定す
る。合格基準は、UVが0.1以下である。
【0055】5.膜全体の親水性高分子(ポリビニルピ
ロリドン)の含有率の測定ポリビニルピロリドン芳香族ポリスルホン系高分子
の含有率は、本発明では紡糸原液の仕込み比率と殆ど同
じか若干低下となる。中空糸形成後の存在比の確認は、
以下の方法で行った。中空糸を、適当な溶媒に均一に溶
解後、KBr錠剤に塗布、乾燥させ透過IRを測定す
る。これによりIRバンドのポリビニルピロリドン
来、芳香族ポリスルホン系高分子由来のピークの強度比
を見積もる。ポリビニルピロリドン芳香族ポリスルホ
ン系高分子の配合比(重量%)が既知のサンプルで同様
に測定し、検量線を作成し、これにより中空糸中のポリ
ビニルピロリドンの含有率(全高分子に対するポリビニ
ルピロリドンの重量%)を計算し、膜全体のポリビニル
ピロリドン含有率とした。
【0056】6.膜の各部位の親水性高分子(ポリビニ
ルピロリドン)の強度比、含有率、分布比の測定膜各部位のポリビニルピロリドン の分析評価は、中空糸
を縦に切り、広げた試料について、内側の表面と外側の
表面について表面IRを測定する。中間部は、表層を削
り取り中間部を露出した試料について同様に表面IRを
測定する。中間部は、ほぼ膜厚部の中央部分とした。表
面IRはFT−IR顕微ATR法(IER;ダイアモン
ド)により行った。この条件では試料表面の約1.5μ
mの層を測定している。5.と同様にピーク強度を比較
し強度比を求めた。この場合は、検量線作成による含有
量の見積もりは困難なため、ピーク強度そのものの比か
ら膜の内表面、外表面、中間部でのポリビニルピロリド
の含有率を見積もった。すなはち、この強度比は、各
部位のポリビニルピロリドンの規格化された含有率を表
わすので、この値を用いて膜のポリビニルピロリドン
分布比を算出した。
【0057】(実施例1)ポリエーテルスルホンが22
重量%、ポリビニルピロリドン(K−90)3.0重量
%、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンが37.5
重量%、非溶媒としてポリエチレングリコール#200
が37.5重量%からなる原料を120℃に加熱溶解し
た溶液を、二重管ノズルの外側から押し出し、中心から
は、窒素を送り込んで中空糸状とし、水、N−メチル−
2−ピロリドン、ポリエチレングリコール#200が6
0:20:20の重量比で混合して成る、温度40℃の
凝固性液体中を通過させ、凝固させた。その後、水洗
し、50重量%のグリセリンを含浸させたのち乾燥機に
て乾燥させ、内径201μm、膜厚28μmの中空糸膜
を得た。得られた中空糸の断面の300倍SEM像から
は、ボイド、または網目構造は観察されず、内外表面の
5000倍SEM像からは孔は確認されなっかった。I
R分析からの親水性高分子の含有率は約12%であっ
た。内面、中層、外面の親水高分子の強度比は、外面>
中層>内面であり、分布比は0.21であった。これは
図1、図2、図3に表面IRの測定例をしめすが、16
70cm−1のポリビニルピロリドンのカルボニル吸
収、1570cm−1のポリエーテルスルホンの芳香族
の吸収の強度比(A1670/A1570)から計算した。以下の
実施例及び比較例においても同様に測定した。この中空
糸のβ2-ミクログロブリンのSC(%)は73%であ
り、エンドトキシン吸着試験では、浸漬後の液のエンド
トキシン濃度は検出限界以下、モジュールでのエンドト
キシン透過試験でも血液側のエンドトキシン濃度は検出
限界以下であり、エンドトキシンの血液側への侵入は殆
ど無かった。また溶出物試験は、UV=0.04と合格
した。
【0058】(実施例2)ポリエーテルスルホンが21
重量%、ポリビニルピロリドン(K−90)3.5重量
%、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンが37.7
5重量%、非溶媒としてトリエチレングリコールが3
7.75重量%からなる原料を120℃に加熱溶解した
溶液を、二重管ノズルの外側から押し出し、中心から
は、窒素を送り込んで中空糸状とし、水、N−メチル−
2−ピロリドン、トリエチレングリコールが60:2
0:20の重量比で混合して成る、温度40℃の凝固性
液体中を通過させ、凝固させた。その後、水洗し、50
重量%のグリセリンを含浸させたのち乾燥機にて乾燥さ
せ、内径202μm、膜厚32μmの中空糸膜を得た。
得られた中空糸の断面の300倍SEM像からは、ボイ
ド、または網目構造は観察されず、内外表面の5000
倍SEM像からは孔は確認されなっかった。IR分析か
らの親水性高分子の含有率は約14%であった。内面、
中層、外面の親水高分子の強度比は、外面>中層>内面
であり、分布比は0.11であった。この中空糸のβ2-
ミクログロブリンのSC(%)は75%であった。エン
ドトキシン吸着試験では、浸漬後の液のエンドトキシン
濃度は0.5EU/mlであり吸着が見られた。モジュ
ールでのエンドトキシン除去試験でも血液側のエンドト
キシン濃度は検出限界以下であり、エンドトキシンの血
液側への侵入は殆ど無かった。また溶出物試験は、UV
=0.08と合格した。
【0059】(比較例1)ポリエーテルスルホンが27
重量%、ポリビニルピロリドン(K−90)1.0重量
%、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンが36.0
重量%、非溶媒としてポリエチレングリコール#200
が36.0重量%からなる原料を120℃に加熱溶解し
た溶液を、二重管ノズルの外側から押し出し、中心から
は、窒素を送り込んで中空糸状とし、水、N−メチル−
2−ピロリドン、ポリエチレングリコール#200が6
0:20:20の重量比で混合して成る、温度40℃の
凝固性液体中を通過させ、凝固させた。その後、水洗
し、50重量%のグリセリンを含浸させたのち乾燥機に
て乾燥させ、内径201μm、膜厚28μmの中空糸膜
を得た。得られた中空糸の断面の300倍SEM像から
は、ボイド、または網目構造は観察されず、内外表面の
5000倍SEM像からは孔は確認されなっかった。I
R分析からの親水高分子の含有率は約3.5%であっ
た。内面、中層、外面の親水高分子の強度比は、外面>
中層=内面であり、分布比は0.14であった。この中
空糸のβ2-ミクログロブリンのSC(%)は25%であ
り、HPM要件を満たさなかった。エンドトキシン吸着
試験では、浸漬後の液のエンドトキシン濃度は0.2E
U/ml以下であり吸着がみられた。モジュールでのエ
ンドトキシン除去試験でも血液側のエンドトキシン濃度
は検出限界以下であり、エンドトキシンの血液側への侵
入は殆ど無かった。また溶出物試験は、UV=0.02
と合格した。
【0060】(比較例2)ポリエーテルスルホンが25
重量%、ポリビニルピロリドン(K−90)5.0重量
%、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンが35.0
重量%、非溶媒としてポリエチレングリコール#200
が35.0重量%からなる原料を120℃に加熱溶解し
た溶液を、二重管ノズルの外側から押し出し、中心から
は、水、N−メチル−2−ピロリドン、ポリエチレング
リコール#200が60:20:20の重量比で混合し
て成る凝固性の液体を流して中空糸状とし、水、N−メ
チル−2−ピロリドン、ポリエチレングリコール#20
0が60:20:20の重量比で混合して成る、温度4
0℃の凝固性液体中を通過させ、凝固させた。その後、
水洗し、50重量%のグリセリンを含浸させたのち乾燥
機にて乾燥させ、内径201μm、膜厚40μmの中空
糸膜を得た。得られた中空糸の断面の300倍SEM像
からは網目構造が観察され、外表面の5000倍SEM
像からは孔が確認され均一膜ではなく、非対称膜であっ
た。IR分析からの親水高分子の含有率は5.0%であ
った。内面、中層、外面の親水高分子の強度比は、外面
<中層<内面であり、分布比は0.74であった。この
中空糸のβ2-ミクログロブリンのSC(%)は45%で
あり、HPM要件を満たさなかった。エンドトキシン吸
着試験では、浸漬後の液のエンドトキシン濃度は2.5
EU/mlであり吸着がみられた。モジュールでのエン
ドトキシン除去試験では血液側のエンドトキシン濃度は
0.15EU/ml以上であり、エンドトキシンの血液
側への侵入がみられた。また溶出物試験は、UV=0.
11と不合格であった。
【0061】
【表1】
【0062】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の中空糸膜は、実際に血液を流す系においてβ2-ミクロ
グロブリンを50%以上除去することが可能な高い透過
性能を有し、且つ、血液側へのエンドトキシンの汚染を
阻止し、エンドトシンに対する高い吸着性と阻止性を有
する。かように、本発明の中空糸膜は、血液透析等の医
療分野、特にHPM等において、より高い不要物質の除
去性能を有し、且つ、より高い安全性を有するものであ
り、本願発明の中空糸膜により、高度な品質の治療を可
能とするものである。以上の通り、本発明の中空糸膜の
効果は大であり、今後、透析合併症への改善を新たな指
標から開拓する血液透析等の分野において、大いにその
利用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願実施例1の中空糸膜の内表面のIRスペク
トルである。
【図2】本願実施例1の中空糸膜の外表面のIRスペク
トルである。
【図3】本願実施例1の中空糸膜の断面のIRスペクト
ルである
【図4】本願実施例1の中空糸膜の内表面の5000倍
の電子顕微鏡写真である。
【図5】本願実施例1の中空糸膜の外表面の5000倍
の電子顕微鏡写真である。
【図6】本願実施例1の中空糸膜の断面の300倍の電
子顕微鏡写真である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−154936(JP,A) 特開 平9−70524(JP,A) 特開 平4−300636(JP,A) 特開 昭61−93801(JP,A) 特開 平4−338224(JP,A) 特開 昭63−99325(JP,A) 特開 平3−258330(JP,A) 特開 昭63−97202(JP,A) 特開 平6−165926(JP,A) 特開 平6−296686(JP,A) 特開 平7−289866(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 69/08 B01D 71/44 B01D 71/68 D01F 1/08 D01F 8/10

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空糸膜を構成する全高分子(芳香族ポ
    リスルホン系高分子とポリビニルピロリドンの和)に対
    する親水性高分子であるポリビニルピロリドンの含有率
    が5〜20重量%、疎水性高分子である芳香族ポリスル
    ホン系高分子の含有率が95〜80重量%である中空糸
    膜であって、該中空糸膜の内表面、外表面及び膜中間部
    におけるポリビニルピロリドンの含有率(内表面がA
    %、外表面がB%、膜中間部がC%)が下記の式を満た
    すことを特徴とする中空糸膜。 ((A−X)2+(B−X)2+(C−X)2 0.5 /X≦0.5 但し、X=(A+B+C)/3
  2. 【請求項2】 前記中空糸膜を300倍の電子顕微鏡で
    観察するとき、明らかに認められるボイドまたは網目構
    造が存在せず、前記中空糸膜の内部構造が実質的に均一
    構造であることを特徴とする請求項1記載の中空糸膜。
  3. 【請求項3】 前記中空糸膜の内表面及び外表面を50
    00倍の電子顕微鏡で観察するとき、明らかに認められ
    る孔が存在せず、前記中空糸膜の表面構造が実質的に平
    滑構造であることを特徴とする請求項1または2に記載
    の中空糸膜。
  4. 【請求項4】 前記中空糸膜を充填した内表面換算の膜
    面積が1m2のモジュールにヘマクリット30%、蛋白
    質濃度7g/mlの牛血液を流速200ml/分で流
    し、濾過流速10ml/分で濾過を行った時の、牛血液
    中のβ2−ミクログロブリンの篩い係数が50%以上で
    あることを特徴とする請求項1乃至3に記載の中空糸
    膜。
  5. 【請求項5】 前記中空糸膜が膜構造保持剤として多価
    アルコールを含むことを特徴とする請求項1乃至4に記
    載の中空糸膜。
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