JPH1014993A - 移動支援機器 - Google Patents

移動支援機器

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JPH1014993A
JPH1014993A JP8186840A JP18684096A JPH1014993A JP H1014993 A JPH1014993 A JP H1014993A JP 8186840 A JP8186840 A JP 8186840A JP 18684096 A JP18684096 A JP 18684096A JP H1014993 A JPH1014993 A JP H1014993A
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Kenkichi Suzuki
兼吉 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高齢者や障害者等の移動を補助してその介護
や自立を支援するために、手軽に使用することができる
移動支援機器を得る。 【解決手段】 複数の移動用の車輪9、9、・・・を有
する台車2と、該台車に取着された支持部材3と、該支
持部材に支持され、昇降支柱駆動機構10によって駆動
されて軸方向に移動自在とされた昇降支柱4と、該昇降
支柱の上端部に取着され、人を吊持するための吊り座具
5が着脱自在に懸架された支持アーム6とから成り、上
記吊り座具に人を吊持したまま、昇降支柱がその軸方向
に移動自在とされると共に、台車の車輪によって床面を
移動自在とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高齢者や障害者等の
移動を補助してその介護や自立を支援するために、手軽
に使用することができる移動支援機器に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】高齢者や障害者等の歩行やその他の動作
が不自由な者(以下、「障害者等」という。)を、例え
ば、ベッドからトイレまで等、ある場所から他の場所に
移動させることは困難を伴うため、その介護者、特に、
一般家庭で上記障害者等を介護する介護者が過度の負担
を強いられている。
【0003】そこで、このような介護者の負担を軽減す
るために、ベッドに寝た状態の障害者等をその状態のま
ま、又は、起き上がらせてから、吊り上げる等して移動
させる様々な形式の移動支援機器が考案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の移動支援機器にあっては、一般的にサイズや重
量が大きく、しかも価格が高いために、一般家庭での使
用には適さないものであった。従って、サイズや重量が
小さく、しかも価格が安い一般家庭での使用に適した移
動支援機器が求められている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明移動支援機器は、
上記問題点を解決するために、複数の移動用の車輪を有
する台車と、該台車に取着された支持部材と、該支持部
材に支持され、昇降支柱駆動機構によって駆動されて軸
方向に移動自在とされた昇降支柱と、該昇降支柱の上端
部に取着され、人を吊持するための吊り座具が着脱自在
に懸架された支持アームとから成り、上記吊り座具に人
を吊持したまま、昇降支柱がその軸方向に移動自在とさ
れると共に、台車の車輪によって床面を移動自在とした
ものである。
【0006】従って、本発明移動支援機器によれば、構
造が簡単なために軽量でコンパクトで、しかも、安価な
移動支援機器を得ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明移動支援機器の実施
の形態について図示した各実施例に従って説明する。
【0008】図1乃至図4は本発明移動支援機器の第1
の実施例1を示すものである。この実施例における移動
支援機器1は、障害者等の介護用として機器自体の軽量
化及び低価格化を追求して一般家庭での使用に最適とし
たものであり、後述するように、機器の移動及び昇降支
柱の上下は手動にて行うようにしたものである。
【0009】尚、以下の説明において前後左右及び上下
の方向について述べる時は、図1及び図2における左右
を前後の方向(図3における上下)、右斜め下及び左斜
め上をそれぞれ左右方の方向(図3における左右)、上
下を上下の方向とする。
【0010】移動支援機器1は、その殆どの構成部品
を、例えば、アルミニウム、スチール鋼等の金属製の角
パイプ等を組み合わせることによって形成したものであ
り、複数の移動用の車輪を有する台車2と、該台車に取
着された支持部材3に対して昇降する昇降支柱4と、該
昇降支柱4の上端に取着されると共に、障害者等を吊持
する吊り座具である、スリングシート5が着脱自在に懸
架された支持アーム6等から成るものである。
【0011】台車2は、同じ長さを有する2本の金属製
の角パイプから成る脚部7、7を互いに平行に40乃至
50cm程度離間して配置し、該脚部7、7の間を、断
面で長方形で略C字のチャンネル状をして下方が開口し
た金属製の連結部8によって連結して、これらを略H型
の形状に組み合わせて固定したものである。そして、台
車2の底面、即ち、脚部7、7の下面の前後両端部には
それぞれ、移動時において車輪となるキャスタ9、9、
・・・が取着されている。また、上記連結部8は、脚部
7、7よりも前後に偏平な形状を有し、該連結部8の左
右方向における中央の位置には支持部材3が、略垂直に
溶接又はボルト止め等の適宜な方法によって固定されて
いる。
【0012】支持部材3は断面形状で前後方向に長い長
方形の角パイプから成り、その内部には昇降支柱4と、
その昇降支柱を上下させるための駆動機構10が収納さ
れている。昇降支柱4は、上記支持部材3の左右方向に
おける内径と略同じ外径を有し、断面形状で正方形をし
た金属製の角パイプから成り、通常状態においては、上
端部4aを除いてその殆どの部分が上記支持部材3の内
部に収納され、支持部材3の内部で同軸の一対のローラ
で構成されたガイドローラ11、11、11及び12に
よって前後から挟まれるようにして支えられながら、支
持部材3に対して上下に移動自在にされている。
【0013】ガイドローラ11、11、11は、図2に
示すように、支持部材3の内部に支持されている。即
ち、支持部材3の内面には、昇降支柱4の前方に一箇所
と、後方に二個所、それぞれ支持部材3の上方寄りの位
置にガイドローラ11、11、11が支持されている。
また、ガイドローラ12は、昇降支柱4の下端部の前面
に前方に突出するようにして固定されたチェーン固定部
材13の前端部に支持されている。従って、ガイドロー
ラ11、11、11のローラは昇降支柱4の外面と当接
し、ガイドローラ12のローラは支持部材3の内面と当
接している。
【0014】昇降支柱駆動機構10は、支持軸14、昇
降ハンドル15、ウォーム16、ウォームホイール1
7、チェーンスプロケット18及び別のチェーンスプロ
ケット19から成るものであり、昇降ハンドル15を手
動で回転させることにより支持部材3に対して昇降支柱
4を昇降させるためのものである。即ち、昇降支柱駆動
機構10は、図2に示すように、支持部材3の前面の上
端部に設けられた図示しない挿通孔を挿通した支持軸1
4の前端部及び後端部にそれぞれ、昇降ハンドル15と
ウォーム16とが固着され、該ウォーム16には支持部
材3内部の左上部にその回転軸が回転自在に支持された
ウォームホイール17が噛合している。そして、該ウォ
ームホイール17の回転軸の反対側にはチェーンスプロ
ケット18が固着されており、支持部材3内部の左下部
にもチェーンスプロケット19が回転自在に支持され、
これらチェーンスプロケット18と19との間にはチェ
ーン20が架け渡されている。また、該チェーン20
は、前記チェーン固定部材13にその一部が固定されて
いる。
【0015】尚、昇降支柱駆動機構10としては、上記
した構造のものの他に、例えば、昇降支柱4の側面にラ
ックギアを設け、該ラックギアと噛合するピニオンギア
で駆動する方式等、様々な方式のものが考えられる。更
に、上記昇降支柱駆動機構10は手動にて駆動されるも
のであるが、後述する第2の実施例におけるモータによ
る電動の昇降支柱駆動機構や油圧シリンダー、水圧シリ
ンダー等を用いた昇降支柱駆動機構等とすることも可能
である。
【0016】以下に昇降支柱駆動機構10の動作につい
て説明する。即ち、昇降ハンドル15を回転させると、
この回転がウォーム16とウォームホイール17との噛
合によって減速されてチェーンスプロケット18に伝達
され、チェーンスプロケット18と19の間に架け渡さ
れたチェーン20を移動させる。すると、該チェーン2
0は、上述したように、その一部がチェーン固定部材1
3に固定されているため、このチェーン20の移動に伴
って昇降支柱4も上下に移動することになる。尚、昇降
ハンドル15を時計回り方向に回転させると、昇降支柱
4は上方に移動し、反対に昇降ハンドル15を反時計回
りに回転させると、昇降支柱4は下方に移動する。ま
た、昇降支柱駆動機構10は、図示しないラチェット機
構等の回転抑止機構によって、昇降ハンドル15が反時
計回り方向、即ち、昇降支柱4の位置を下降させる方向
への回転が通常の状態では規制されるようになってい
る。
【0017】支持部材3の上端部には基台21が取着さ
れている。該基台21は、図1に示すように、支持部材
3の上部開口を閉塞するものであり、その前端部が支持
部材3の前面よりも更に前方に向かって突出した形状を
為している。また、基台21には、昇降支柱4の上部が
支持部材3内から外部へ突出するための開口21aが形
成されている。そして、上記基台21の上面の前端部に
は、障害者等の介護を行う介護者が、移動支援機器1を
移動させる時に用いる手押しハンドル22が固定されて
いる。尚、手押しハンドル22は、丸パイプから成るも
のであり、固定部材22aによって基台21に固定され
ている。
【0018】昇降支柱4の上端部4aには、支持アーム
6が取着固定されている。該支持アーム6は、上下に長
い長方形の断面形状を有する角柱を、上方から見て左右
に稍幅の広い略U字状に折り曲げて成る主部6aと、該
主部6aの中央部から前方に向かって突出した箱状をし
た取付支持部23とから成るものであり、該取付支持部
23が昇降支柱4の上端部4aに被さるようにして適宜
な手段によって固定されている。そして、主部6aの前
面から左右両側面にかけては、後述するスリングシート
5を吊り下げるための吊り下げフック24、24、・・
・が多数形成されている。
【0019】尚、支持アーム6の後端は、真横から見
て、昇降支柱4の長手方向に延びる中心線から20乃至
30センチ程度しか後方に突出しないようにされてい
る。このようにすることによって、昇降支柱4の上端部
4a及び支持アーム6にかかるモーメント過重を小さく
することができるため、支持部材3、昇降支柱4及び支
持アーム6を頑丈にする必要がなくなり、これらを軽量
化することができる。
【0020】そして、上記支持アーム6には、スリング
シート5が吊り下げられる。該スリングシート5は、ナ
イロン、ポリエステル等の布製で、100Kg以上の荷
重に耐えられるように縫製されたものであり、数カ所
(本実施例においては8カ所)に前記支持アーム6の吊
り下げフック24、24、・・・の形状に適応した引掛
け金具25、25、・・・が一体に縫いつけられてい
る。つまり、スリングシート5は、引掛け金具25、2
5、・・・によって支持アーム6に吊り下げられ、略袋
状となって障害者等の体を下方から包み込むようになっ
ている。
【0021】しかして、移動支援機器1は、図4に使用
状態を示すように、例えば、障害者等をベッド26から
他に移動させる場合等に使用する。即ち、昇降ハンドル
15を半時計回り方向に止まるまで回して昇降支柱4を
最も下の位置に下げておく。次に、障害者等を広げたス
リングシート5の上に腰掛けさせ、移動支援機器1を、
支持部材3及び昇降支柱4が障害者等の両足の間に入る
ように移動させ、できれば、障害者等に支持アームに掴
まらせる。この時、台車2の脚部7、7の後端部がベッ
ド26の下の空間に入り込む。そして、障害者等の臀部
を下から包み込むようにしてスリングシート5の端部を
持ち上げ、引っ掛け金具25、25、・・・を支持アー
ム6のフック24、24、・・・に係止する。
【0022】尚、最初からスリングシート5を障害者等
の体(臀部)の下に引き込むのが困難な場合には、同様
の例について詳しくは後述するが、最初に、図示しない
ベルト状をしたスリングベルトを一時的に障害者等の体
の下に敷き込み、そして、該スリングベルトを支持アー
ム6に懸架して昇降支柱4を僅かに上昇させて障害者等
の体を少し浮かせておき、それから、スリングベルトと
スリングシート5とを架け替えるようにすれば、上記作
業が更に容易となる。
【0023】そして、昇降ハンドル15を時計回り方向
に回転させると、昇降ハンドル15の回転は、ウォーム
16及びウォームホイール17によって減速及び増力
(回転トルクの増加)されてチェーンスプロケット18
に伝わり、チェーンスプロケット18と19の間に架け
渡されているチェーン20を駆動する。すると、前記し
たように、その一部が昇降支柱4の下部のチェーン固定
部材13に固定されたチェーン20によって、昇降支柱
4は上方に吊り上げられるようにして移動する。従っ
て、昇降ハンドル15をスリングシート5の座面が適当
な高さになるまで操作すると、障害者等は支持アーム6
に吊り下げられたスリングシート5で支持されながら持
ち上げられ、図4に示すように、スリングシート5に座
って支持部材3、昇降支柱4を両足の間に挟んで、支持
アーム6によって抱き抱えられた状態となる。そして、
介護者は、この状態のまま手押しハンドル22を把持し
て自由に障害者等を他の場所に移動させることが可能と
なる。尚、障害者等を移動支援機器1からベッド26等
に降ろす場合には、昇降ハンドル15を反時計回りに操
作すれば、上記の場合とは反対に、チェーン20によっ
て昇降支柱4が引き下げられるようにして下降するの
で、障害者等をベッド26の上に降ろすことができる。
【0024】尚、移動支援機器1を上方から見た場合の
寸法は一般家庭内での取り回しのし易さを追求したた
め、図3に明らかなように、前後が500mm、左右が
440mm程度と前後と左右の寸法が略等しくされてい
る。そして、回転ハンドル15の一部及び手押しハンド
ル22は、それぞれ図1若しくは図3に2点鎖線で示し
たように、折り畳めるようになっている。
【0025】そして、図5に示すように、長めのベルト
状をしたスリングベルト27を用いることによって、障
害者等を、上記したようにベッド26の上からのみなら
ず床の上からも上方に吊り上げることも可能である。こ
の場合も、障害者等をある程度持ち上げた後は、スリン
グベルト27をスリングシート5と架け替えればよい。
【0026】このように、移動支援機器1を使用するこ
とによって、障害者等を容易にベッドからトイレや車椅
子等に移動させることができるようになり、しかも、屋
内に於いては、そのまま車椅子代わりに使用することが
できる。そして、移動支援機器1の各部の構成部品に防
水性を持たせ、金属部分を防錆性を有する金属、例え
ば、ステンレススチールにて形成すれば、スリングシー
ト5上に障害者等を保持したままシャワーを使ったり、
入浴させるために浴室内での介護用に使用することも可
能となる。
【0027】図6乃至図8は本発明移動支援機器の第2
の実施例30を示すものである。そして、移動支援機器
30は、上記第1の実施例において示した移動支援機器
1と同様に、介護者が障害者等を移動させることを補助
するために用いることもできるが、主として、比較的障
害が軽度な障害者等が自分自身で操作することによっ
て、移動することを補助して自立を助けるために用いる
ことを前提としたものである。従って、移動支援機器3
0は、基本的な構造は前記移動支援機器1と同様である
が、機器自体の移動方法及び後述する昇降支柱を昇降さ
せる駆動機構を全て電動にて行うようにしたものであ
る。
【0028】移動支援機器30は、その殆どの構成部品
を、例えば、アルミニウムやスチール鋼等の金属によっ
て形成したものであり、複数の移動用の車輪を有する台
車31と、該台車に取着された支持部材32に対して昇
降する昇降支柱33と、該昇降支柱33の上端部33a
に取着されると共に、障害者等を吊持する吊り座具であ
る、スリングシート34が着脱自在に懸架される支持ア
ーム35等から成るものである。
【0029】台車31は、図1に示すように、板金、若
しくは、鋳造によって形成され、左右に長い略箱状をし
た主部36の左右両端部から後方に向かって突出した脚
部37、37から成るものである。台車31には、主部
36に左右に離間して4個、脚部37、37の後方寄り
の部分にそれぞれ2個づつ車輪38、38、・・・が支
持されている。尚、上記車輪38、38、・・・はそれ
ぞれ、1枚又は2枚のチェーンスプロケットと同軸上に
されて主部36若しくは脚部37、37に軸支されてい
る。
【0030】そして、上記車輪38、38、・・・は、
台車31の左右に配置された4個づつがそれぞれ左右独
立に、車輪駆動機構39、39よって駆動されるように
なっている。車輪駆動機構39、39はそれぞれ、図7
に示すように、4つの車輪38、38、・・・を駆動す
るための車輪駆動モータ40と、該車輪駆動モータ40
と4個の車輪38、38とを連結する長さの異なる2種
類のチューン41、42、42とから成るものである。
【0031】台車31の左右においてそれぞれ4つの車
輪38、38、・・・は、前から2番目の車輪38と3
番目の車輪38のチェーンスプロケットと車輪駆動モー
タ40のチェーンスプロケットとがチェーン41によっ
て連結されている。更に、前から1番目及び4番目の車
輪38、38はそれぞれ、同2番目及び3番目の車輪3
8、38と、チェーン42、42によってチェーンスプ
ロケット同士が連結され、上記したようにモーター40
からの駆動力が直接伝わる前から2番目及び3番目の車
輪38、38から駆動力を伝えられるようになってい
る。尚、チェーン41は車輪駆動モータ40の後方でガ
イドスプロケット43によってガイドされている。
【0032】しかして、車輪駆動モータ40が回転する
と、その回転(駆動力)は、チェーン41、42、42
によって車輪38、38、・・・全てに伝達される。そ
して、移動支援機器30を前後に真っ直ぐ移動させると
きは、左右の車輪駆動モータ40は全ての車輪38、3
8、・・・を同じ方向に回転させ、前進又は後退しなが
ら左または右に曲がるときは、曲がる方向側の車輪駆動
モータ40は、その駆動する車輪38、38、・・・
を、曲がる方向とは反対側の車輪38、38、・・・と
逆の方向に回転させるようになっている。この様な駆動
方式を採ることによって、移動支援機器30は、小回り
が利くようになる。尚、2つの車輪駆動モータ40にサ
ーボモータを用いて、左右の車輪38、38、・・・の
回転速度の差を利用して所望の方向に曲がるようにして
もよい。
【0033】そして、台車31の主部36の上面36a
の後寄りの中央の位置からは支持部材32が、略垂直に
溶接又はボルト止め等の適宜な方法によって固定されて
いる。支持部材32は、断面形状で前後方向に長い長方
形をした角パイプから成り、その内部には昇降支柱33
と、その駆動機構44の一部が収納されている。昇降支
柱33は、上記支持部材32の左右方向における内径と
略同じ外径を有し、断面形状で正方形をした金属製の角
パイプから成り、通常状態においては、上端部33aを
除いてその殆どの部分が上記支持部材32の内部に収納
され、支持部材32の内部で後述するガイドローラによ
って前後から挟まれるようにして支えられながら、支持
部材32に対して上下に移動自在にされている。
【0034】昇降支柱駆動機構44は、昇降支柱駆動モ
ータ45と、プーリ46及び47と、歯付きベルト48
と、軸受け49と、スクリューシャフト50と、ナット
51とから成るものである。以下に昇降支柱駆動機構4
4の上記構成部品の関係について説明する。
【0035】即ち、台車31には、図7に示すように、
主部36の上面36aの上記支持部材32が固着された
部分の前方の位置に、カバー52によって覆われた昇降
支柱駆動モータ45が固定されている。また、支持部材
32内には、スクリューシャフト50が垂直に配置され
ている。該スクリューシャフト50の下端部は、台車3
1の主部36に固定された軸受け49によって支持され
ると共に、スクリューシャフト50は昇降支柱33の下
端に固着されたナット51と螺合し、更にその上部は昇
降支柱33内に入り込んで上方に向かって延びている。
そして、モータ45の回転軸の下端とスクリューシャフ
ト50の下端にはそれぞれ、プーリ46及び47が固着
され、これらプーリ46と47の間には、歯付きベルト
48が架け渡されている。
【0036】そして、支持部材32の内面には、上部で
前後方向から昇降支柱33を挟み込むように、昇降支柱
33の前方に一つ、後方に2つ、同軸の一対のローラで
構成されたガイドローラ53、53、53が回転自在に
支持され、更に、昇降支柱33の下端部の前方を向いた
面にもガイドローラ54が回転自在に支持されている。
従って、ガイドローラ53、53、53は、昇降支柱3
3の前方を向いた面及び後方を向いた面と接触し、ガイ
ドローラ54は支持部材32の内面と接触している。
【0037】以下に昇降支柱駆動機構44の動作につい
て説明する。即ち、昇降支柱駆動モータ45が正又は逆
方向に回転すると、昇降支柱駆動モータ45の回転がプ
ーリ46、47と歯付きベルト48によってスクリュー
シャフト50に伝達され、スクリューシャフト50が正
又は逆方向に回転する。そして、スクリューシャフト5
0が回転することによって、スクリューシャフト50に
螺合したナット51がスクリューシャフト50に沿って
上方又は下方に移動する。従って、ナット51の移動に
伴って、ナット51が固定された昇降支柱33が、ガイ
ドローラ53、53、53及び54にガイドされながら
上方又は下方に移動することになる。
【0038】支持部材32の上端部には蓋体55が取着
されて、その上部開口を閉塞している。そして、蓋体5
5には、昇降支柱33の上部33aを支持部材32内か
ら外部へ突出させるための開口55aが形成されてい
る。
【0039】そして、昇降支柱33の上端部33aには
ヘッド部材56が取着されている。該ヘッド部材56の
上面には、前記車輪駆動機構39、39及び昇降支柱駆
動機構44の動作を電気的に制御するための各種スイッ
チを有する操作盤57が設けられると共に、後端部には
支持アーム35が取着固定されている。該支持アーム3
5は、上下に長い長方形の断面形状を有する角柱を、上
方から見て左右に稍幅の広い略U字状に折り曲げて成る
ものである。そして、支持アーム35の前面から左右両
側面にかけては、後述するスリングシート34を吊り下
げるための吊り下げフック58、58、・・・が多数形
成されている。
【0040】尚、前記第1の実施例における支持アーム
6と同様に、支持アーム35の後端は、真横から見て、
昇降支柱33の長手方向に伸びる中心線から約20cm
程度しか後方に突出しないようにされている。
【0041】そして、上記支持アーム35には、スリン
グシート34が吊り下げられる。該スリングシート34
は、左右両端部が上方に緩くカーブした木やプラスチッ
ク等から成る座面59とこれを吊り下げるためのベルト
60、60から成ものであり、平行に配置されたナイロ
ン、ポリエステル等の布製の強靭な2本のベルト60、
60の中間部に座面59が固定されたものである。そし
て、スリングシート34の左右両端部には前記支持アー
ム35の吊り下げフック58、58、・・・に適応した
引掛け金具61、61、・・・が一体に縫いつけられて
いる。つまり、スリングシート34は、引掛け金具6
1、61、・・・によって支持アーム35に吊り下げら
れるようになっている。
【0042】また、ヘッド部材56にはハンドル62が
適宜な手段によって固定され、その両端部がヘッド部材
56の側面から左右に突出するようにされている。尚、
ハンドル62は、スリングシート34の上に腰掛けた状
態で保持された障害者等が移動支援機器30が移動した
り、昇降支柱33が上下する際に捉まるためのものであ
る。
【0043】しかして、移動支援機器30は、障害者等
が自分で、又は、介助者が操作盤の操作スイッチを適宜
操作することによって昇降支柱33を上下させたり、車
輪38、38、・・・を回転させて所望の方向に移動さ
せることができ、簡易な室内用電動車椅子として用いる
ことが可能となる。しかも、移動支援機器30は、通常
の電動車椅子では不可能な座面の上下動ができるため、
図8に示すように、障害者等が、スリングシート34に
座ったまま自分で昇降支柱33を上昇させれば、通常で
は手が届かないところにも手が届くようになる。尚、上
記スリングシート34には、障害者等の体を固定するた
めに腿につける固定ベルト63、63(図8においては
1つのみ示す。)が取着されている。
【0044】図9乃至図13は、スリングシートの変形
例及びその使用状態を、第1の実施例において示した移
動支援機器1を用いて、示すものである。即ち、図9に
示すスリングシート70は、互いに平行に配置された2
本のベルト71、71を数箇所で着脱可能な連結バンド
72、72、・・・によって連結したものであり、上記
ベルト71、71の両端部には、引掛け金具73、73
が取着されている。スリングシート70は、ベルト状の
構造であるため、障害者等の体の下に敷き込み易いが、
障害者等の体を保持する部分の面積が小さいため、比較
的短時間の障害者等の吊持に適したものである。従っ
て、スリングシート70は、図9に示すように、例え
ば、車椅子74への移動等の補助的使用に適したもので
ある。また、図10に示すように、スリングシート70
は、連結バンド72、72、・・・を外して、ベルト7
1、71を個々に使用して、障害者等の腿の内側を通し
た後に移動支援機器1の支持アーム6に吊持して体を支
えるようにすれば、障害者等のリハビリのための歩行訓
練機としての使用も可能である。
【0045】また、図11及び図12に示すスリングシ
ート80は、ベルト状のスリング81と平状座具82と
から成るものである。そして、スリング81は、両端部
に引掛け金具83、83が取着され、平状座具82は、
左右両端部が上方に緩くカーブした木やプラスチック等
から成る座面84の左右両端部に引掛け金具85、85
を有するベルト86が取着されたものである。これら
は、図11に示すように、ベッド87の上の障害者等の
体の下に敷き込み易いスリング80によって、障害者等
を仮に吊持しておき、その後、大きな座面を有する平状
座具82を支持アーム5の吊り下げフックに引っ掛けて
障害者等の姿勢を安定させるようにして使用するもので
ある。そして、図12に示すように、平状座具82のみ
を用いることによって、便器88等を使用する時にも用
いることもできる。
【0046】更に、図13に示すスリングシート90
は、ナイロン、ポリエステル等の布製の布座具91と、
長さを調節できる背バンド92とから成るものである。
そして、布座具91には2箇所に引掛け金具93、93
が取着されており、背バンド92の両端部にも引掛け金
具94、94が取着されている。スリングシート90
は、布製座具91によって、障害者等の臀部を下方から
支え、安全のために、背バンド92によって、障害者等
の背中を支えるようになっているものである。そして、
使用方法としては、前述した第1の実施例におけるスリ
ングシート5と同様に、障害者等をベッド95から吊り
上げた後に、長さを調節しながら背バンド92の引掛け
金具94を支持アーム6の吊り下げフック24、24、
・・・に引っかけて固定する。
【0047】このように、本発明移動支援機器は、形状
のことなる様々な吊り座具を用いることによって、障害
者等の介護や自立行動におけるいろんな用途に対応する
ことが可能となる。
【0048】また、取り外し式のテーブルや折畳式の座
面を取り付けることによって、移動式の簡易なテーブル
といすのセットとして用いることもできる。
【0049】
【発明の効果】以上に記載したところから明らかなよう
に本発明移動支援機器は、複数の移動用の車輪を有する
台車と、該台車に取着された支持部材と、該支持部材に
支持され、昇降支柱駆動機構によって駆動されて軸方向
に移動自在とされた昇降支柱と、該昇降支柱の上端部に
取着され、人を吊持するための吊り座具が着脱自在に懸
架された支持アームとから成り、上記吊り座具に人を吊
持したまま、昇降支柱がその軸方向に移動自在とされる
と共に、台車の車輪によって床面を移動自在とされたこ
とを特徴とするものである。
【0050】従って、構造が簡単なために軽量でコンパ
クトで、しかも、安価な移動支援機器を得ることができ
るため、一般家庭おいて、介護が必要な高齢者や障害者
等の歩行やその他の動作が不自由な者を、例えば、ベッ
ドからトイレまで等、ある場所から他の場所に移動させ
ることを容易に行なうことができるようになり、介護者
の負担を軽減することもできる。
【0051】尚、前記実施例において示した具体的な形
状及び構造は、本発明を実施するに当たっての具体化の
ほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発
明の技術的範囲が限定的に解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2乃至図5と共に、本発明移動支援機器の第
1の実施例を示すものであり、本図は、全体形状を示す
斜視図である。
【図2】構造を透視して概略的に示す斜視図である。
【図3】移動支援機器を上方より見た状態を示す平面図
である。
【図4】使用状態を示す側面図である。
【図5】床面から障害者等を吊り上げる状態を示す側面
図である。
【図6】図7及び図8と共に、本発明移動支援機器の第
2の実施例を示すものであり、本図は全体形状を示す斜
視図である。
【図7】構造を透視して概略的に示す斜視図である。
【図8】応用的な使用状態を示す側面図である。
【図9】図10乃至図13と共に、吊り座具の変形例及
びその使用状態を示すものであり、本図は第1の変形例
を示す側面図である。
【図10】第1の変形例における別の使用状態を示す側
面図である。
【図11】第2の変形例を示す側面図である。
【図12】第2の変形例における別の使用状態を示す側
面図である。
【図13】第3の変形例を示す側面図である。
【符号の説明】
1…移動支援機器、2…台車、3…支持部材、4…昇降
支柱、4a…上端部、5…吊り座具、6…支持アーム、
9…車輪、10…昇降支柱駆動機構、30…移動支援機
器、31…台車、32…支持部材、33…昇降支柱、3
3a…上端部、38…車輪、44…昇降支柱駆動機構、
63…吊り座具、70…吊り座具、80…吊り座具、9
0…吊り座具

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の移動用の車輪を有する台車と、 該台車に取着された支持部材と、 該支持部材に支持され、昇降支柱駆動機構によって駆動
    されて軸方向に移動自在とされた昇降支柱と、 該昇降支柱の上端部に取着され、人を吊持するための吊
    り座具が着脱自在に懸架された支持アームとから成り、 上記吊り座具に人を吊持したまま、昇降支柱がその軸方
    向に移動自在とされると共に、台車の車輪によって床面
    を移動自在とされたことを特徴とする移動支援機器。
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