JPH10149530A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

Info

Publication number
JPH10149530A
JPH10149530A JP30763996A JP30763996A JPH10149530A JP H10149530 A JPH10149530 A JP H10149530A JP 30763996 A JP30763996 A JP 30763996A JP 30763996 A JP30763996 A JP 30763996A JP H10149530 A JPH10149530 A JP H10149530A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
weight
parts
recording medium
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP30763996A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiji Ota
栄治 太田
Toshitsugu Ono
敏嗣 小野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP30763996A priority Critical patent/JPH10149530A/ja
Publication of JPH10149530A publication Critical patent/JPH10149530A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクリル系共重合体樹脂とポリエステルポリ
ウレタン樹脂等の相溶性、分散性を改善し、耐久性に優
れた高密度記録に対応する磁気記録媒体及びその製造方
法を提供する。 【解決手段】 非磁性支持体1上に磁性粉末と結合剤と
を主体とする磁性層3を設けた磁気記録媒体において、
前記結合剤はアミノ基を含有するアクリル系共重合体に
モノイソシアネート化合物をウレア結合が0.1mmo
l/g以上0.5mmol/g以下、好ましくは0.1
mmol/g以上0.4mmol/g以下となるように
修飾した樹脂とポリウレタン系樹脂とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体及び
その製造方法に関する。より詳しくは磁性粉末と結合剤
を主体とする磁性層が非磁性体上に形成された磁気記録
媒体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録の分野ではビデオ機器の
高画質化の進行或いはアナログ記録からデジタル記録へ
の転換等が図られ、磁気記録再生装置に於いては益々短
波長記録化の方向にある。従って、磁気記録媒体にはス
ペーシングロスを少なくするために表面の平滑化、及び
磁気変換特性を向上させる磁気粉末の高充填性及び長時
間且つ多数回の使用に耐えうる高耐久性の何れも兼ね備
えていることが要求される。
【0003】しかしながら、このような磁気記録媒体表
面の平滑化及び磁性粉末の高充填性の要求に対応して、
より微細化された磁性粉末を使用すると、表面性、磁性
粉末の充填性については改善されるが、比表面積の増加
とともに表面エネルギーも増加して磁性粉末の分散性が
困難になってくる。この分散性の低下は充填性の低下を
招き、この充填性の低下した塗膜は潤滑剤の供給に必要
な空隙量以上に過剰な空隙量を形成する。そのために、
例えば記録、再生の摺動時に非常に脆くなり、磁性粉
末、添加剤、結合剤等の脱落による記録再生特性の劣化
のおそれを生ずる。
【0004】上述の分散性の向上と磁性層からの磁性粉
末等の脱落を改善するために、結合剤として塩化ビニル
−酸酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共
重合体、塩化ビニル−酸酸ビニル−プロピオン酸共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合
体、塩化ビニル−酸酸ビニル−マレイン酸共重合体、ア
クリル系共重合体等が種々提案されており、さらにこれ
らの結合剤樹脂に−SO3M,−OSO3M,−OH,−
COOH,−PO32,−OPO32,−N<,−CO
N<(但し、Mは水素原子またはアルカリ金属である)
等の親水性官能基を一つ以上併せ持たせることにより、
磁性粉末の分散性を高めることが提案されている。
【0005】しかしながら、このような結合剤を用いた
としても、より微細化された磁性粉末に於いては充分満
足する分散性が得られていないのが実情である。この分
散性を高めるためには、磁性粉末と結合剤樹脂と各種添
加剤を高い剪断力で混練を施す工程と、この混練物を長
時間攪拌して希釈分散させる工程と、ビーズミル等のよ
うな摩擦力が大きい分散機で分散させる工程が必要にな
る。しかしながら、これらの工程は発熱を伴い結合剤は
長時間苛酷な条件にさらされる。このとき塩化ビニル系
共重合体は加熱により塩素ガスを発生し、加熱により一
層脱塩素ガス作用が加速され、磁性粉末の腐食、或いは
環境保護の観点からも問題である。
【0006】このような問題点を改善する結合剤樹脂と
して、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、(メ
タ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体等
のアクリル系共重合体樹脂が提案されている。これらは
分散性、耐溶剤性、環境保護の点などに優れているもの
である。しかしながら、ガラス転移点温度が比較的高い
ため、ポリエステルフィルム等の非磁性体上に形成する
磁性層としては硬くて脆いものとなり、磁気記録媒体と
しての耐久性に問題があった。
【0007】そこで(メタ)アクリル酸エステル樹脂等
との接着性および分散性のいずれも良好であるポリエス
テルポリウレタン樹脂の組み合わせが注目されつつあ
る。しかしながら、この(メタ)アクルル酸エステル樹
脂等を他の樹脂と複合して使用する場合、ウレタン基等
の極性部分を有するポリエステルポリウレタン樹脂等と
は相溶性、分散性、粉落ち、接着性等が良好でなく、磁
気記録媒体として問題があった。従って、(メタ)アク
リル酸エステル樹脂等とポリウレタン樹脂等のウレタン
基のような極性部分を有する樹脂との相溶性、分散性及
び粉落ち等を改善する技術が切望されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、アク
リル系共重合体樹脂とポリエステルポリウレタン樹脂等
の相溶性及び分散性を改善し、耐久性に優れた高密度記
録に対応する磁気記録媒体及びその製造方法を提供する
ことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに、本発明の非磁性支持体上に磁性粉末と結合剤とを
主体とした磁性層が形成された磁気記録媒体では、結合
剤が、アミノ基を含有するアクリル共重合体にモノイソ
シアネート化合物をウレア結合の量が0.1mmol/
g以上0.5mmol/g以下、望ましくは0.1mm
ol/g以上0.4mmol/g以下修飾した樹脂とポ
リウレタン樹脂とを有するものであることを特徴とす
る。
【0010】そして、磁気記録媒体及びその製造方法に
於ける望ましい実施態様としては、結合剤100重量部
に対して、アクリル系共重合体が20重量部以上80重
量部以下とするものである。
【0011】上述した手段による作用としては、(メ
タ)アクリル酸エステル樹脂等とウレタン基等の極性部
分を有するポリエステルポリウレタン樹脂等との相溶
性、分散性、粉落ち及び接着性が改善されることであ
る。
【0012】本発明に用いるポリエステルポリウレタン
樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールの脱水反応に
より得られるポリエステルポリオールと少なくとも2個
以上のイソシアネートを有する(ポリ)イソシアネート
化合物を付加反応して得られる樹脂である。ポリエステ
ルポリオールは、多価アルコールとして、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオールまたはネオペンチルグリ
コール等が使用でき、多価カルボン酸として、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタル酸、アジピン
酸、コハク酸、アゼライン酸等が使用できる。ポリイソ
シアネートは、トリレンジイソシアネート(TDI)、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MD
I)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イ
ソホロンジイソシアネート(IPDI)、等が使用でき
る。
【0013】また、ポリエステルポリオールとポリイソ
シアネートからポリエステルポリウレタン樹脂を製造す
るに際しては、前記の多価アルコール、脂肪族ポリアミ
ン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン等の公知の鎖
伸長剤を適量使用することが好ましい。ポリエステルポ
リウレタン樹脂の作成方法としては、ポリエステルポリ
オールと(ポリ)イソシアネート化合物、及び/或いは
多価カルボン酸や多価アルコール、或いは多価アミノ基
含有化合物を溶液中で反応させる方法や、これら前述し
た各材料を混練機で攪拌、温度調節をしつつ反応させ、
その後完全に反応させるために脱水を行なうような固形
(或いは半固形)で樹脂を得るような方法等があるが、
何れも何等問題なく使用可能である。
【0014】このポリエステルポリウレタン樹脂には、
磁性粉末への樹脂の吸着性の向上及び磁性粉の分散向上
を目的として−SO3M,−OSO3M,−OH,−CO
OH,−PO32,−OPO32,−N<,−CON<
(但し、Mは水素原子またはアルカリ金属)等の親水性
官能基を一つ以上持つように化合物を選定し、適当な割
合で前述の公知の極性基を含む成分を導入することがで
きる。一般的には平均分子量が5000g/mol〜1
00000g/mol、望ましくは10000〜600
00g/molの範囲のものが適用可能であり、適用量
としては磁性層中に含まれる全結合剤樹脂100重量部
に対して10重量部から90重量部、望ましくは20重
量部〜80重量部である。
【0015】本発明に用いるアミノ基を含有するアクリ
ル系共重合体にモノイソシアネート化合物を修飾した樹
脂は、アクリル系単量体とアミノ基を含むアクリル系単
量体を主剤として、或いは/及びラジカル重合性単量体
とアミノ基を含むラジカル重合性単量体を共重合して得
られるアクリル系共重合体にモノイソシアネート化合物
を修飾した樹脂であり、アクリル系単量体としてはつぎ
のようなものがあげられる。
【0016】メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、プロピタ(メタ)アクリレート、ブ
チル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリ
レート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル
(メタ)アクリレート、2−エチル(メタ)アクリレー
ト、等のアリキル系(メタ)アクリレート類、メトキシ
エチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)
アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレ
ート類、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール
ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、等のポリオキシアルキレングリコールモノ(メタ)
アクリレート類、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)ア
クリル酸、グリシジル(メタ)クリレート、メタクリル
酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、2−スル
ホエチル(メタ)アクリレート等があり、このアクリル
系単量体は1種類以上であれば良く、アミノ基を含むラ
ジカル系単量体を含まない場合には、本発明において、
必須であるアミノ基を含むアクリル系単量体を組み合わ
せて使用すれば何等問題はない。
【0017】アミノ基を含むアクリル共重合体を得るに
は、アクリル酸エステル系共重合体と共重合可能な二重
結合とアミノ結合を含むモノマーをアクリル酸エステル
と共重合する方法などがある。上記モノマーとしては、
分子中にアクリル基またはメタクリル基を有し、かつア
ミノ基を有するものであり、具体的には以下の化学式
(1)(2)(3)等に示す化合物を用いることができ
る。
【0018】
【化1】
【0019】ここで、式中Rは炭素原子数1〜4のアル
キル基を、R’はHまたはCH2 を示す。また、式中n
は2あるいは3の整数である。
【0020】前記アクリル系単量体の他にラジカル重合
性単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ア
クリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、無
水マレイン酸、イタコン酸、フェニルマレイミド等があ
げられ、これらの単量体は本発明の効果を損わない限
り、アクリル系単量体100重量部に対して50重量部
以下の範囲で使用することができる。本発明において使
用する単量体の種類と量は、得られる共重合体のガラス
転移温度、及び磁気記録媒体に使用する他の樹脂である
ウレタン樹脂との相溶性、塗膜の物性に応じて選定され
ればよいが、本発明において必須であるアミノ基を含む
アクリル系共重合体をモノイソシアネート化合物で修飾
した後に、前述のガラス転移点やウレタン樹脂との相溶
性や塗膜の物性を満足するように選定されればよい。
【0021】前述の、アミノ基を含むアクリル系共重合
体を修飾するモノイソシアネート化合物としては、イソ
シアン酸イソブチル、イソシアン酸イソプロピル、イソ
シアン酸プロペニル、メチルイソシアネート、エチルイ
ソシアネート、フェニルイソシアネート、α−ナフチル
イソシアネート、β−ナフチルイソシアネート、イソシ
アン酸トリル等のイソシアン酸エステル類等があげら
れ、モノイソシアネートを有する化合物であれば何等問
題無い。アミノ基及び/或いはアミノ基を有するアクリ
ル系共重合体にモノイソシアネートを修飾する方法とし
ては、前記アクリル系共重合体をシクロヘキサノンやメ
チルエチルケトン、アセトン等の溶媒に溶解した溶液に
モノイソシアネート化合物を添加、攪拌、場合により加
熱、調節しながら反応させる方法、前記アクリル系共重
合体の溶解した溶液にモノイソシアネートを添加、水分
を遮断した容器、場合により加熱しながら保存する方法
等、モノイソシアネート化合物とアクリル系共重合体が
充分に反応すれば修飾方法は何等問わない。
【0022】このイソシアネート化合物により修飾した
アクリル系共重合体樹脂には、磁性粉末への樹脂の吸着
性の向上及び磁性粉の分散向上を目的として−SO
3M,−OSO3M,−OH,−COOH,−PO32
−OPO32,−CON<(但し、Mは水素原子または
アルカリ金属)等の親水性官能基を一つ以上持つように
化合物を選定し、適当な割合で前述の公知の極性基を含
む成分を導入することができる。一般的には平均分子量
が5000g/mol〜100000g/mol、望ま
しくは10000〜60000g/molの範囲のもの
が適用可能であり、適用量としては磁性層中に含まれる
全結合剤樹脂100重量部に対して10重量部から90
重量部、望ましくは20重量部〜80重量部である。ア
クリル酸共重合体の結合剤樹脂に対する混合比率が10
重量部未満の場合には磁性塗膜が柔らかすぎ、磁気テー
プの走行に際してヘッドに貼り付きを起こす可能性が高
くなり、80重量部を越えた場合には磁性塗膜が硬く脆
くなりやすく、耐久性が不足する虞が大となる。
【0023】アミノ基を有するアクリル系共重合体に修
飾するモノイソシアネート化合物の量としては、ウレア
結合が0.1mmol/g以上0.5mmol/g以
下、望ましくは0.2mmol/g以上0.4mmol
/g以下が適当である。モノイソシアネート化合物の修
飾量が0.1mmol/g以下ではポリウレタン樹脂と
の骨格と疑似的なウレア結合の含有量が少なくなり、充
分な相溶性が得られず、塗膜となったときのムラが生じ
やすくなり、磁気記録媒体の走行時等における粉落ちが
多くなり耐久性が悪化する。また、モノイソシアネート
化合物の修飾量が0.5mmol/g以上では、ポリウ
レタン樹脂との骨格と疑似的なウレア結合の含有量が多
いので相溶性は充分なものとなるが、ウレア結合部分の
極性部分が多くなりすぎるために塗料調整溶媒への溶解
性が不十分なものとなり、分散性の低下、あるいは塗膜
となったときのムラが生じやすくなり、磁気記録媒体の
走行時等における粉落ちが多くなり耐久性が悪化する。
【0024】本発明が適用される磁気記録媒体として
は、まず磁性塗料を非磁性支持体表面に塗布することに
より、磁性層が形成される塗布型の磁気記録媒体に適用
可能であるが、非磁性支持体や磁性層を構成する磁性粉
末等においては従来公知のものは何れも適用することが
できる。
【0025】磁性粉末を例示すれば、γ−Fe23 、F
34 、γ−Fe23 とFe34とのベルトライド化
合物、Co含有γ−Fe23 、Co含有Fe34 、C
oを含有するγ−Fe23 とFe34 とのベルトライ
ド化合物、CrO2 に1種またはそれ以上の金属元素、
例えばTe,Sb,Fe,Biなどを含有させた酸化
物、Fe,Co,Niなどの金属、Fe−Co,Fe−
Ni,Fe−Al,Fe−Ni−Al,Fe−Al−
P,Fe−Ni−Si−Al,Fe−Ni−Si−Al
−Mn,Fe−Mn−Zn,Fe−Ni−Zn,Co−
Ni,Co−P,Fe−Co−Ni,Fe−Co−Ni
−Cr,Fe−Co−Ni−P,Fe−Co−B,Fe
−Co−Cr−B,Mn−Bi,Mn−Al,Fe−C
o−Vなどの合金、窒化鉄、炭化鉄等があげられる。も
ちろん、還元時の焼結防止または形状維持等の目的で添
加されるAl,Si,P,B等の軽金属元素が適当量含
有しても本発明の効果を妨げるものではない。
【0026】本発明に用いることができる樹脂結合剤と
しては、本発明において必須であるモノイソシアネート
によりアミノ基および/またはアミノ基を含むアクリル
系共重合体を修飾した樹脂を10〜90重量部使用し、
ウレタン樹脂を10〜90重量部使用する他に、本発明
の効果を損わない範囲で、アクリロニトリル−ブタジエ
ン共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体
(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイア
セテート、セルローストリアセテート、セルロースプロ
ピオネート、ニトロセルロース)、スチレンブタジエン
共重合体、ポリエステル樹脂、合成ゴム等の熱可塑性樹
脂等を使用することができる。さらに、熱硬化性樹脂と
しては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹
脂等がある。磁性層および下層非磁性層におけるこれら
の結合剤は、上記磁性粉および下層非磁性層100重量
部に対して、1〜200重量部、好ましくは1〜50重
量部である。結合剤の使用量が多過ぎると相対的に磁性
粉の磁性層に占める割合が低下し、出力の低下となり、
逆に少な過ぎると、磁性層および下層非磁性層の力学的
強度が低下し、磁気記録媒体の走行耐久性が低下する。
【0027】本発明においては、必要に応じて潤滑剤、
非磁性補強粒子、導電性粒子、界面活性剤などを上記磁
性層および下層非磁性層に含有させることができ、配合
比等も通常の磁気記録媒体の場合に準じて設定され、目
的の応じて設定されればよい。
【0028】上記潤滑剤としては、黒鉛、二硫化モリブ
デン、シリコーンオイル、炭素数10〜22の脂肪酸、
ならびにこれと炭素数2〜26のアルコールからなる脂
肪酸エステル、テルペン系化合物、ならびにこれらのオ
リゴマーなどがある。
【0029】上記非磁性補強粒子としては、酸化アルミ
ニウム、酸化クロム、炭化珪素、ダイヤモンド、ガーネ
ット、エメリー、窒化ホウ素などがある。これらの粒子
は、磁性粉100重量部に対して、20重量部、好まし
くは10重量部以下がよい。また、平均粒径は、1.0
μm以下、好ましくは0.5μm以下がよい。
【0030】上記導電性粒子としては、カーボンブラッ
ク、黒鉛、その他の金属粒子がある。また、上記界面活
性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、
両性の界面活性剤がある。
【0031】非磁性支持体としては、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなど
のポリエステル類、ポリプロピレンなどのポリオレフィ
ン類、セルローストリアセテート、セルロースジアセテ
ートなどのセルロース類、ビニル系樹脂、ポリイミド
類、ポリカーボネート類に代表されるような高分子材料
あるいは、金属、ガラス、セラミクスなどにより形成さ
れる支持体等である。
【0032】上記非磁性支持体上に磁性層を形成するに
は、前記磁性層形成材料を塗料として塗布乾燥して形成
される。この塗料化に用いられる溶剤は、アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘ
キサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、
プロパノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸
エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、エチ
レングリコールアセテート等のエステル系溶媒、ジエチ
レングリコールジメチルエーテル、2−エトキシエタノ
ール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系
溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素系溶媒、メチレンクロライド、エチレンクロライド、
四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲ
ン化炭化水素系溶媒などがある。
【0033】上記塗料作製のための分散・混練には、ロ
ールミル、ボールミル、サンドミル、アジター、ニーダ
ー、エクストルーダー、ホモジナイザー、超音波分散機
などが用いられる。さらに、このように形成された塗料
を非磁性支持体上に塗布するには、グラビアコーター、
ナイフコーター、ワイヤーバーコーター、ドクターブレ
ードコーター、リバースロールコーター、ディッピング
コーター、エアナイフコーター、ダイコーターなどが用
いられ、先ず下層非磁性層を前記塗布方法により形成し
た後に、下層非磁性層を湿潤状態として上層磁性層をダ
イコーター等の処方により塗布する。このような塗布に
ついては、本発明の目的を達成できる範囲で適宜塗布方
法を選択することができる。
【0034】
【実施例】図1は本発明が適用される磁気記録媒体の一
例を示す断面構成図である。前述の各種非磁性支持体材
料からなるベースフィルム1上に下塗り層2を介して磁
性層3が形成される。この下塗り層2は、ベースフィル
ム1の材質あるいは記録媒体の用途や種類等に応じて磁
性層との接合性等を考慮して必要に応じて設けられる。
ベースフィルム1の下側にはこれも必要に応じて下塗り
層4を介して、摺動性を高めまたテープ保護のためのバ
ックコート5が前述の磁性層と同様の方法で塗布形成さ
れる。
【0035】以下本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0036】(実施例1)メチルメタクリレート75重
量部、ベンジルメタクリレート15重量部、ジメチルア
ミノエチルメタクリレートを10重量部含有するポリメ
チルメタクリレート樹脂を合成した。
【0037】次にアクリル系共重合体:100重量部を
溶解したシクロヘキサノン溶液にフェニルイソシアネー
トを5重量部を添加した後に窒素ガスにて容器内を置換
した後に、60℃に加熱しつつ4時間攪拌し修飾させ
た。この修飾したアクリル共重合体を含む溶液を500
重量部のメタノールに滴下、再沈させ上澄みを除き、再
度メタノールを5000重量部加えて濾過、洗浄を行い
アクリル共重合体を乾燥させて得た。
【0038】このアクリル共重合体の特性を以下に示し
た。
【0039】 重量平均分子量 =55000 g/mol N元素量 =1.31 wt% 但し、この樹脂の重量平均分子量(ポリスチレン換算)
は、高速液体クロマト(昭和電工社製)により測定し、
N元素量はCHN元素分析機(パーキンエルマー社製)
により測定した。また、アクリル共重合体の修飾前の溶
液を乾燥させて得た樹脂を元素分析した結果、N元素量
が0.72重量%であったことによりN元素を含むフェ
ニルイソシアネートによる修飾が確認できた。
【0040】上述の修飾したアクリル系共重合体とポリ
ウレタン樹脂と添加剤としてカーボン、α−A123
用い、以下の塗料粗成にて、混合、混練、分散工程を経
て塗料化した。
【0041】 〈塗料粗成〉 強磁性磁性粉末 100重量部 アクリル系共重合体 10重量部 ポリエステルポリウレタン樹脂(−SO3Na含有) 10重量部 α−A123(平均粒径240nm) 2重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部 シクロヘキサノン 50重量部 ヘプチルステアレート 1重量部 ミリスチン酸 2重量部 得られた磁性塗料には、硬化剤としてイソシアネート化
合物:コロネートL(日本ポリウレタン社製)を添加し
て、14μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)
フィルム上に塗布、配向、乾燥した。この得られたテー
プは、表面処理工程としてカレンダー処理を行い、硬化
促進のために60℃の硬化炉で24時間硬化させ、磁気
テープを完成させた。
【0042】(実施例2)本実施例はフェニルイソシア
ネートを実施例1の半分である2.5重量部添加した以
外は、実施例1と同様の工程で磁気テーフプを得たもの
である。
【0043】(実施例3)本実施例はフェニルイソシア
ネートを実施例1の倍である7.5重量部添加した以外
は、実施例1と同様の工程で磁気テープを得たものであ
る。
【0044】(実施例4)本実施例はフェニルイソシア
ネートで修飾したアクリル共重合体の仕込量を実施例1
の10重量部から4重量部とし、ポリウレタン樹脂の仕
込量を10重量部から16重量部にした以外は、実施例
1と同様の工程で磁気テープを得たものである。
【0045】(実施例5)本実施例はフェニルイソシア
ネートで修飾したアクリル共重合体の仕込量を実施例1
の10重量部から16重量部とし、ポリウレタン樹脂の
仕込量を10重量部から4重量部にした以外は、実施例
1と同様の工程で磁気テープを得たものである。
【0046】(比較例1)本比較例はアクリル共重合体
をフェニルイソシアネートで修飾せずに10重量部と
し、ポリウレタン樹脂10重量部とした以外は、実施例
1と同様の工程で磁気テープを得たものである。
【0047】(比較例2)本比較例はフェニルイソシア
ネートを1.5重量部添加した以外は、実施例1と同様
の工程で磁気テープを得たものである。
【0048】(比較例3)本比較例はフェニルイソシア
ネートを10重量部添加した以外は、実施例1と同様の
工程で磁気テープを得たものである。
【0049】(比較例4)本比較例はアミノ基源として
導入しているジメチルアミノエチルメタクリレート10
重量部を導入せずにアクリル共重合体:Eを作成した以
外は、実施例1と同様の工程で磁気テープを得たもので
ある。
【0050】(比較例5)本比較例は実施例1において
使用したフェニルイソシアネートで修飾したアクリル共
重合体:Aの代りにニトロセルロース1/8タイプを使
用した以外は、実施例1と同様に混合、混練、分散工程
を径て塗料化し、磁気テープを得たものである。
【0051】(比較例6)本比較例はフェニルイソシア
ネートで修飾したアクリル共重合体:Aの代りに塩化ビ
ニル系共重合体(日本ゼオン社製、商品名MR−110
AN)を使用した以外は、実施例1と同様の工程で磁気
テープを得たものである。
【0052】(比較例7)本比較例はフェニルイソシア
ネートで修飾したアクリル共重合体の仕込量を実施例1
の10重量部から1重量部とし、ポリウレタン樹脂の仕
込量を10重量部から19重量部にした以外は、実施例
1と同様の工程で磁気テープを得たものである。
【0053】(比較例8)本比較例はフェニルイソシア
ネートで修飾したアクリル共重合体の仕込量を実施例1
の10重量部から19重量部とし、ポリウレタン樹脂の
仕込量を10重量部から1重量部にした以外は、実施例
1と同様の工程で磁気テープを得たものである。
【0054】上述した実施例1ないし実施例5および比
較例1ないし比較例8の特性以下の表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】また、実施例1ないし実施例5と比較例1
ないし比較例8の評価として、磁性層の分散性はグロス
メータ(日光電色工業社製)で光沢度として評価した。
光線の入射角度は45度とした(JIS−8741に準
ずる)。磁気特性は、試料振動型磁力計で測定した。結
果は表1に示した。また、得られたテープの耐久性の評
価としては、8mmVTR(ソニー社製)で7MHzの
信号を記録、再生したときの7MHz信号再生出力をオ
シロスコープで測定し、200回走行後の出力低下を測
定し、その結果を以下の表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】実施例1、2及び3のようにウレア結合が
0.1mmol/g以上0.5mmol/g以下の修飾
処理を施されたアクリル系共重合体と、比較例1〜4の
ようにモノイソシアネートにてウレア結合量が0.1m
mol/g以上0.5mmol/g以下の修飾処理を施
されないアクリル系共重合体を比較すると、比較例1〜
4は磁気特性及び走行耐久性の何れも実施例1〜3より
も劣っていることが明らかである。比較例1、2で使用
したアクリル系共重合体はアミノ基を含有し水素結合性
の極性が強く、また、比較例4で使用したアクリル系共
重合体はアミノ基を含有せず水素結合性の極性は少ない
が、極性の有無に関わらずポリウレタン樹脂との相溶性
が悪かった。このために磁気特性、走行耐久性が劣って
いたものと推察される。
【0059】これに対してモノイソシアネート0.1m
mol/g以上0.5mmol/g以下で修飾処理され
たアクリル共重合体は、ウレタン樹脂のウレタン結合と
似たウレア結合を含有する為にポリウレタン樹脂との相
溶性が良好なものとなる。これにより、ポリウレタン樹
脂と併用するアクリル系共重合体として、モノイソシア
ネートによるウレア結合量が0.1mmol/g以上
0.5mmol/g未満修飾処理されたものとすれば分
散性、磁気特性、走行耐久性の何れも良好な磁気テープ
とすることができた。
【0060】また、モノイソシアネートによりフェニル
イソシアネートを修飾処理されたアクリル系共重合体の
結合剤樹脂中の混合比率が20〜80%である実施例
1、4、5と混合比率が20〜80%の範囲外である比
較例7、8を比較すると、混合比率が20〜80%以外
の比較例7、8では実施例1、4、5よりも走行耐久性
が劣っていることが明らかである。混合比率が5%の比
較例7では、塗膜が柔らかく粗成流動等による塗膜破壊
が起き易く、混合比率が95%の比較例8では、塗膜が
硬すぎて摺動による塗膜の微小な割れ等による粉落ち、
或いは磁性粉末、塗膜の接着性の低下が生じ易い為に走
行耐久性が不十分なものとなっている。このことから、
アクリル系共重合体とポリエステルポリウレタン樹脂と
を結合剤として使用する場合において、耐久性を確保す
るために、その構成比が重要であることは明らかであ
る。
【0061】一方、結合剤としてアクリル系共重合体に
変えてニトロセルロースの混合物を使用した比較例5で
は、磁性粉末が結合剤中に良好に分散せず、磁性塗料を
調整することができない。また、結合剤としてアクリル
系共重合体に代えて塩化ビニル共重合体の混合物を使用
した比較例6では、磁性塗料は調整できたものの作製さ
れた磁気テープは磁気特性及び走行耐久性の何れも実施
例1、2、3、4、5のものよりも劣っており、燃焼さ
せた場合には塩化水素が発生し、環境保護の観点からも
問題である。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気記録
媒体及びその製造方法によれば、アクリル系共重合体と
ポリエステルポリウレタン樹脂との相溶性が改善され、
磁性層に於ける磁性粉末を均一に分散させることができ
る。従って、高密度記録に対応できるとともに耐久性に
優れた磁気記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用される磁気テープの断面構成
図。
【符号の説明】
1:ベースフィルム(非磁性支持体)、3:磁性層、
5:バックコート。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性支持体上に磁性粉末と結合剤とを主
    体とする磁性層を設けた磁気記録媒体において、 前記結合剤は、アミノ基を含有するアクリル系共重合体
    に、モノイソシアネート化合物を、ウレア結合が0.1
    mmol/g以上0.5mmol/g以下となるように
    修飾した樹脂と、ポリウレタン系樹脂とを含むことを特
    徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】前記ウレア結合量が0.1mmol/g以
    上0.4mmol/g以下であることを特徴とする請求
    項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】前記結合剤100重量部に対して、前記ア
    クリル系共重合体が20重量部以上80重量部以下であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】アミノ基を有するアクリル系共重合体に、
    モノイソシアネート化合物をウレア結合量が0.1mm
    ol/g以上0.5mmol/g以下修飾させた樹脂
    と、ポリウレタン系樹脂とを有する結合剤と磁性粉末と
    を混練して磁性塗料とする工程と、 前記磁性塗料を非磁性支持体上に塗布して磁性層を形成
    する工程とを有することを特徴とする磁気記録媒体の製
    造方法。
  5. 【請求項5】前記ウレア結合量が0.1mmol/g以
    上0.4mmol/g以下であることを特徴とする請求
    項4に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】前記結合剤100重量部に対して、前記ア
    クリル系共重合体が20重量部以上80重量部以下であ
    ることを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体の製
    造方法。
JP30763996A 1996-11-19 1996-11-19 磁気記録媒体及びその製造方法 Pending JPH10149530A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30763996A JPH10149530A (ja) 1996-11-19 1996-11-19 磁気記録媒体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30763996A JPH10149530A (ja) 1996-11-19 1996-11-19 磁気記録媒体及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10149530A true JPH10149530A (ja) 1998-06-02

Family

ID=17971464

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30763996A Pending JPH10149530A (ja) 1996-11-19 1996-11-19 磁気記録媒体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10149530A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0481252B2 (ja)
JP2006260613A (ja) 磁気記録媒体
JPH10149530A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH03219417A (ja) 磁気記録媒体
JPH1027331A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2725832B2 (ja) 磁気媒体
JP2006351125A (ja) 磁気記録媒体
JPS61261817A (ja) 磁気記録媒体
JP2929303B2 (ja) ディスク状磁気記録媒体
JP2520350B2 (ja) 磁気記録媒体
JPS63122014A (ja) 磁気記録媒体
JP2568753B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2609465B2 (ja) 磁気記録媒体
JP3306988B2 (ja) 磁気記録媒体
JP3023683B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH0565927B2 (ja)
JPH0619823B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH06325353A (ja) 磁気記録媒体
JPH08102038A (ja) 磁気記録媒体
JPH01260624A (ja) 磁気記録媒体
JPH10269552A (ja) 磁気記録媒体
JPS60229232A (ja) 磁気記録媒体
JPH10208232A (ja) 磁気記録媒体
JPS619826A (ja) 磁気記録媒体
JPS6318514A (ja) 磁気記録媒体