JPH10148644A - 微小機械素子の製造方法 - Google Patents

微小機械素子の製造方法

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JPH10148644A
JPH10148644A JP32341596A JP32341596A JPH10148644A JP H10148644 A JPH10148644 A JP H10148644A JP 32341596 A JP32341596 A JP 32341596A JP 32341596 A JP32341596 A JP 32341596A JP H10148644 A JPH10148644 A JP H10148644A
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sacrifice layer
electroless
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固定部と可動部間の対向面積を広く、両者間
のギャップは小さく形成可能で、性能及び信頼性の向上
を図ることが可能な微小機械素子を得る。 【解決手段】 固定部11上に組成の異なる2種類以上
の無電解めっき膜として犠牲層12及び可動部13を積
層する工程と、無電解めっき膜の少なくとも1種類以上
で構成される可動部13を残し、犠牲層12を選択性エ
ッチング処理により除去して固定部11と可動部13と
を分離する工程とを備える構成である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微小機械素子の製
造方法に係り、さらに詳しくはマイクロマシンニング技
術でウエハー状態で一括して多数個が作られ固定部と可
動部とを有する微小機械素子、例えばマイクロセンサ、
マイクロアクチュエータ、マイクロモーター等の製造方
法に関する。
【0002】可動部を有する微小機械素子を製造する際
の重要技術が犠牲層である。犠牲層は製造過程において
固定部と可動部間の固定に用いられ、最終的には除去さ
れる。
【0003】このような犠牲層を利用して作製した微小
機械素子としては、例えば、第14回センサシンポジウ
ム、テクニカルダイジェスト、1996年の31乃至3
4頁に、蒸着法により成膜された銅膜を犠牲層として用
いた加速度センサが開示されている。
【0004】また、電気学会論文誌A、112巻12
号、平成4年の999乃至1006頁には、酸化シリコ
ン膜を犠牲層として使用し、フッ酸エッチングにて犠牲
層を最終的に除去して固定部と可動部を有する静電駆動
型マイクロアクチュエータを製造する方法が開示されて
いる。
【0005】なお、この他、犠牲層材料としてはポリイ
ミドやノボラック系フォトレジスト等の樹脂等を使用す
ることが知られている。
【0006】IEEEマイクロ・エレクトロ・メカニカ
ル・システム(Micro-Electro-Mechanical-System)会
議プロシーデングス、1995年43乃至48頁には、
シリコンを加工して形成された垂直構造(縦型構造)の
櫛形電極を有する静電アクチュエータが開示されてい
る。このアクチュエータはシリコン表面に形成された凹
凸にポリシリコンの犠牲層を形成し、その犠牲層を除去
することで可動部を作製している。
【0007】特開平5−255862号には、微小機械
の製造工程に低温成膜可能で均一性の高い無電解めっき
法を用いた金属薄膜を形成する製造方法が開示されてい
る。さらに、無電解めっき膜を鋳型に利用し、その上に
金属、半導体、もしくは絶縁体皮膜を形成し、3次元構
造を製造した後に、めっき皮膜部分のみを取り除くこと
により複雑な3次元構造体を得ることが示されている。
【0008】さらに、無電解めっき法はその成膜均一性
が高いこと、微小部分に選択的に成膜可能なことから半
導体のマイクロバンプ形成、プリント基板の微小な貫通
孔へのスルーホール導通膜の形成、薄膜磁気ヘッドの磁
極等のmm以下のサイズのいわゆるマイクロデバイスへの
応用が既に図られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来公知の
犠牲層は、いずれも平面上には均一な形成が可能である
が凹凸のある面上に、その凹凸に従った均一な膜の形成
は困難であった。特に平面に対して垂直な方向には殆ど
成膜されないために犠牲層として十分な作用が期待でき
ず、固定部から可動部が分離されないことがあった。ま
た、プロセス温度や犠牲層の厚さには、それぞれの成膜
方法、犠牲層の除去方法により制限があり、所望の形状
を形成することが困難となる場合が多かった。
【0010】図12は従来公知の蒸着法等による犠牲層
を用いた場合の不具合を示す説明図であり、図12
(A)の如く凹凸を有する固定部1上に蒸着法等によっ
て犠牲層2を形成し、その上に同図(B)のように可動
部3を形成している。そして、犠牲層2を可動部3の形
成後にエッチングにより除去するが、犠牲層2が凹凸の
垂直な面に殆ど成膜されなかったことに起因して同図
(C)のように固定部1と可動部3の分離が不完全とな
り、犠牲層2も部分的に残存することになってしまう。
【0011】また、特に静電力をその動作原理として利
用する微小機械においては、固定部と可動部間の距離、
ギャップ長が小さいことが望まれていたが、前述の酸化
シリコン膜を犠牲層とする静電駆動型マイクロアクチュ
エータでは製作プロセスの最終段階において可動部を移
動することで小さなギャップ長を得ることが報告されて
いることからも明らかな通り、1μm以下のギャップを
有する対向電極を具備する櫛形電極構造の微小機械の製
造は困難であった。これに対して、蒸着法により成膜さ
れた銅膜を犠牲層として用いた加速度センサにおいては
1μm以下のギャップを有する平面と平面を対向電極と
することは可能だが、平面のため電極対向面積が小さく
感度が低いものしか製作できなかった。
【0012】また、垂直構造の櫛形電極を、シリコン基
板を用いてシリコンの加工成膜技術により形成する方法
は知られていたが、真空中での処理や高温処理を伴って
いるために高価であった。また、ポリシリコンを犠牲層
とした場合、犠牲層除去には犠牲層が形成された基体、
犠牲層上に形成された電極部も速度は遅いものの実質的
にエッチングしてしまう手法しかないために、電極間距
離が大きくなってしまう。
【0013】前述した特開平5−255862号では、
フォトレジストにより形成された高アスペクト比の凹凸
を有する基板表面に無電解めっき膜を均一に成膜可能で
ある旨記述しているが、この無電解めっき膜を犠牲層と
して用いるためには、さらにこの無電解めっき膜の上に
均一に膜を形成することが重要である。しかし、ポリシ
リコン等では無電解めっき犠牲層と同じ程度の均一性は
得ることができず、実用化は困難であった。
【0014】本発明は以上のような問題を解決するため
に為されたものであり、固定部と可動部間の対向面積を
広く、両者間のギャップは小さく形成可能で、性能及び
信頼性の向上を図ることが可能な微小機械素子の製造方
法を提供することを目的とする。
【0015】本発明のその他の目的や新規な特徴は後述
の実施の形態において明らかにする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の微小機械素子の製造方法は、組成の異なる
2種類以上の無電解めっき膜を積層する工程と、該無電
解めっき膜の少なくとも1種類以上を残し、それ以外の
無電解めっき膜を犠牲層として選択性エッチング処理に
より除去して固定部と可動部とを分離する工程とを備え
ることを特徴としている。
【0017】前記微小機械素子の製造方法において、前
記犠牲層が形成される範囲の面の最大凹凸差を1μm以
上とすることが好ましい。
【0018】前記犠牲層が無電解銅めっき膜であっても
よいし、あるいは無電解ニッケルめっき膜であってもよ
い。
【0019】前記犠牲層中に当該犠牲層主相と組成の異
なる微細な固体微粒子を含有した構成とすることもでき
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る微小機械素子
の製造方法の実施の形態を図面に従って説明する。
【0021】図1は本発明に係る微小機械素子の製造方
法の実施の形態であって、基体をなす固定部11の凹凸
を有する主面11aに無電解めっき法による第1の無電
解めっき膜で犠牲層12を図1(A)の如く形成し、さ
らにその上に無電解めっき法による第2の無電解めっき
膜で可動部13を積層形成する。可動部13は多数の微
小貫通孔14を有しており、同図(B)のように微小貫
通孔14及び固定部側面の犠牲層露出部分を通して犠牲
層12を選択的にエッチングし、同図(C)のように犠
牲層を完全に除去して固定部11と可動部13間にギャ
ップGを形成して両者を分離する。
【0022】上述したように、無電解めっき法により成
膜された犠牲層12を用い、固定部11と可動部13の
分離を行っているが、無電解めっき法は化学反応による
析出のために複雑な形状の基体表面であったとしても、
その形状に従い均一な膜厚の成膜が可能である。このた
め、固定部11の凹凸面のほぼ垂直な部分にも何の問題
もなく成膜される。また、比較的成膜速度が遅いために
膜厚の制御が容易であり1μm以下の膜厚でも十分に精
度良く成膜できる。例えば、微小機械素子として加速度
センサを作製する場合、上下方向に組み合わされた櫛形
電極がその重要部分となり、この2つの電極間のギャッ
プ及び対向面積は犠牲層の膜厚により決定されることに
なるが、従来は困難であった凹凸のある面上に犠牲層を
形成可能なために対向面積の広い櫛形形状の電極間の小
さなギャップも容易に精度良く実現可能である。
【0023】前記無電解めっき膜としては、無電解めっ
きで成膜可能な各種金属、合金が使用可能であるが、特
にニッケル及び銅が好ましい。ニッケルめっきには公知
の各種の無電解めっき液及び成膜方法が使用可能であ
る。すなわち、次亜リン酸やその塩等のリン系還元剤、
及び/又はジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボ
ラン等のホウ素系還元剤を用いて容易に無電解析出可能
である。副反応として微量のリンやホウ素が膜に共析す
るが、本発明において無電解ニッケルめっき膜と言った
場合にはこれらの膜も含むものとする。ニッケル金属塩
としては硫酸ニッケル、塩化ニッケル等の公知の可溶性
塩が用いられ、さらにクエン酸、酒石酸等の有機酸が金
属錯イオン形成のために添加される。銅めっきにおいて
も公知の各種の無電解めっき液及び成膜方法が使用可能
である。すなわち、硫酸銅、酒石酸、水酸化ナトリウム
に還元剤としてホルマリンを用いた浴等が使用される。
また公知な無電解めっき浴と同様にヒドラジンや三塩化
チタン、アスコルビン酸等を還元剤として使用可能で、
コバルト、インジウム、錫、白金、ロジウム、金等の無
電解めっき可能な各種金属やこれらの主金属に副元素と
してバナジウム、クロム、マンガン、鉄、亜鉛、モリブ
デン、カドミウム、タングステン、レニウム、タリウ
ム、ヒ素等を共析した無電解合金めっき膜が使用可能で
ある。
【0024】さらに、無電解めっき法では微細なダイヤ
モンドやカーボン、炭化珪素、アルミナ、窒化珪素、窒
化ホウ素、セリサイト、テフロン(フッ素樹脂)等の固
体微粒子をめっき浴中に懸濁させておき膜中にこれらの
微粒子を含有させた分散めっき法が知られている。これ
らの分散めっき法を用いた犠牲層を形成することで、金
属主相である無電解めっき層がエッチングにより溶解除
去された際に、固定部と可動部との間にこれらの微粒子
が存在するような構造も作製可能である。これらの微粒
子は固定部と可動部とを分離する際に、その両者が表面
張力等により張り付いてしまうのを防止する。これらの
微粒子の殆どは乾燥処理後に除去される。しかし、これ
らの微粒子の一部を残しておくことも可能である。絶縁
材料微粒子を使用することで短絡防止等に効果が期待さ
れる。また、固定部と可動部とが接触する可能性のある
構造では潤滑性の高い微粒子を使用することで固定部と
可動部の摩擦低減に効果がある。特にこれらの効果を活
用するために、犠牲層を完全には溶解しないで、固定部
と可動部が分離しており犠牲層の一部が残存している状
態でエッチングを完了することも可能である。勿論、構
造体を形成する無電解めっき膜にこれらの分散めっき法
を使用することも可能であり、電気めっき膜にも適用可
能である。
【0025】無電解めっきは公知のように触媒となる層
の上に自己触媒反応により形成される。触媒となる層は
基体そのものを触媒性のある金属で構成する方法やパラ
ジウム、錫溶液を用いた活性化処理方法、さらに真空成
膜法により触媒金属層を成膜することで形成可能であ
る。真空成膜法による触媒層形成では凹凸のある表面に
均一な触媒層は形成されないが、他の触媒化方法と組み
合わせることや無電解めっき条件を選択することで比較
的均一な無電解めっき膜を得ることが可能である。ま
た、無電解めっき層の密着性向上のために公知の各種の
手法、例えば触媒化処理の前にシランカップリング剤を
使用して基体に官能基を導入する処理や、エッチング等
の化学的手法やサンドブラスト等の物理的手法による表
面粗化処理、プラズマ処理による表面改質処理が使用可
能である。
【0026】前記犠牲層は、固定部及び可動部を構成す
る構造体とは異なる金属で形成されて、最終的に選択性
のあるエッチャント(エッチング溶液)を用いて除去さ
れる。構造体をニッケルとした場合には特に好ましくは
銅が犠牲層として使用可能である。また構造体を金とし
た場合にはニッケル、銅が犠牲層として使用される。選
択性のあるエッチャントとは構造体を構成する材料には
ダメージを与えずに犠牲層のみ溶解する溶液のことであ
る。例えば、犠牲層エッチングとしてニッケル構造体を
分離するために銅犠牲層をエッチングする場合には、水
酸化ナトリウムに硫黄を加えて煮沸溶解した溶液、硝酸
銅のアンモニア溶液、濃硝酸、濃過塩素酸等が使用可能
である。この際、微小な隙間の犠牲層を効率的に除去す
るために50kHz以上の周波数の超音波、特に好まし
くは500kHz以上の高周波超音波を犠牲層エッチン
グのための溶液中に印加することが好ましい。複数の波
長の超音波を重複して印加することも可能である。ま
た、犠牲層エッチングを速やかに進めるためにエッチャ
ントを連続的に吹き付けたり、スピンコーター上で回転
させながらエッチャントを連続供給することも可能であ
る。
【0027】さらに、本発明においては犠牲層が形成さ
れる範囲の面の最大凹凸差が1μm以上である場合にそ
の効果が顕著である。ここで面の最大凹凸差は、例えば
触針式表面粗さ計を用いて、その表面形状を測定した際
の最大高さと最小高さの差である。
【0028】また、犠牲層下地となる基体に積極的に1
μm以上の凹凸を各種の方法により形成することが望ま
しい。例えば、ポジ型フォトレジストを用いマスクを通
して紫外線照射を行い、現像処理することで所望の凸部
をレジストで形成し、凸部を有する基体を作製すること
や、全く同様にネガ型フォトレジストを用い所望部分の
レジストのみを溶解し凹部を形成した凹部を有する基体
を作製することが可能である。
【0029】また、シンクロトン放射光を用いたフォト
リソグラフィ技術はLIGAと呼ばれているが、特に一
般の紫外線等によるフォトリソグラフィに比べてアスペ
クト比の高いパターンニングが可能で本発明に好ましく
用いることができる。LIGAにより形成された凹凸を
そのまま基体(基板)として用いることも勿論可能であ
るが、コストや量産性を考慮するとLIGAで出来た凹
凸を電気めっき等の手法で金型とし、その金型から樹脂
を用いて転写された樹脂モールド基体(基板)を用いる
ことが好ましい。特に、モールドする樹脂の中に予め無
電解めっき反応の触媒核となる金、銀、白金、パラジウ
ム、ニッケル等の貴金属微粒子を加えておくことで特別
の前処理無しで最初の無電解めっき膜が形成可能であ
る。また、上記貴金属に代えてカーボンブラック等の導
電性微粒子を加えておくことで、モールドされた樹脂そ
のものに導電性を付与することによって、直接電気めっ
きを施すことも可能である。
【0030】さらに、フォトレジストでパターンニング
されたシリコン基体(基板)をKOH溶液中で等方性エ
ッチングすることでも凹凸部を有する基体(基板)が得
られる。
【0031】また、機械的に、例えば先の鋭いバイト等
で基板表面に溝を形成し、これによって凹凸部を有する
基体(基板)とすることも可能である。
【0032】さらに、アルミニウムを陽極酸化して形成
される微細なハニカム構造を利用することも可能であ
る。
【0033】前述したような凹凸は基板全面ではなく部
分的に形成される。このため、凹又は凸であるかは凹凸
が形成されていない部分との相対的な高さで決定され
る。例えば、基板全面にフォトレジストを塗布し、マス
クを通して紫外線照射を行い、現像処理することで一部
のレジストを残す場合にはこのレジストの残された部分
が凸部となる。これに対して、フォトレジストに紫外線
照射を行い、現像処理することで一部のレジストを除去
する場合には、レジストが除去された部分が凹となる。
また、機械的に例えば先の鋭いバイト等で基板表面に溝
を形成した場合には凹となる。
【0034】凹凸形成後に、さらにフォトレジストを用
いたパターンニング処理を行う場合に、凸部がウエハー
上に点在していることでレジスト塗布の際の厚さむらや
紫外線露光時のフォーカシングが困難なことがある。こ
のような場合には凹部を形成するようにプロセスを変更
することが望ましい。
【0035】犠牲層上に形成される可動部となる上部構
造体は各種の方法により形成可能であるが、犠牲層の凹
凸に対し均一に成膜する如く少なくとも犠牲層に対し直
接積層される部分は無電解めっき法により成膜する。そ
の上に重ねて無電解めっき法又は電気めっき法により所
望の厚さの膜を成膜することも可能である。
【0036】さらに、可動部となる上部構造体形成後に
犠牲層を除去することから上部構造体には小さな貫通孔
を多数設けておくことが好ましい。
【0037】前記上部構造体表面の凹凸を小さくするこ
とが好ましい場合には成膜速度が速くレベリング性(平
坦性)の高い電気めっきを無電解めっき膜上に積層する
ことが特に好ましい。ニッケルの場合には特に無電解ニ
ッケルリンめっきや電鋳に広く使用されているスルファ
ミンニッケル浴が好ましい。勿論、これら各種の膜を組
み合わせても差し支えない。特にアスペクト比の大きな
凹凸の場合には、無電解めっき膜にて凹部分を充填した
後に電気めっき膜にて厚膜を形成することが好ましい。
また、特に上部構造体として導電性が高い膜が好ましい
場合には、無電解膜の中でも無電解ニッケルホウ素膜を
最初に成膜することが好ましい。例えば、無電解ニッケ
ルホウ素膜を1μm成膜した上に、無電解ニッケルリン
膜を10μm、さらにスルファミン電気ニッケルめっき
膜を50μm形成することが出来る。
【0038】なお、前記基体を複数個形成したウエハー
上に無電解めっき膜を形成する場合には、ウエハーをス
ピンコーター上に固定してウエハーを回転させながら前
処理液、めっき液等をウエハー上に供給するスピンめっ
き法が好ましい。
【0039】また、固定部及び可動部を構成する構造体
を無電解めっきや電気めっきにより形成する場合には、
犠牲層にも適用可能な分散めっき法を用い、表面特性を
改善した微小構造体を作製可能である。
【0040】また勿論、微小機械素子の制御のための半
導体素子を基板上に予め形成しておくことも可能であ
る。この場合には、基板はシリコンであることが望まし
い。また微小機械素子基板をシリコン基板と陽極接合等
の手法で張り合わせることも勿論可能である。
【0041】
【実施例】以下、本発明の実施例を加速度センサを作製
した場合を例にとって詳細に説明する。
【0042】実施例1 3インチ径厚さ0.7mmのコーニング社製7057ガラ
ス基板をフッ酸による無電解めっき前処理を行った後に
フォトレジストとしてのヘキスト社製ポジ型レジストA
Zをスピンコートした。プリベーク後、紫外線露光機に
てライン(凸部となる部分)、スペース(凹部となる部
分)に対し、それぞれ幅15μm、長さ1.5mm角のラ
イン及びスペースパターンを露光、現像した。その後、
ポストベークを行い、図2及び図3のように、そのレジ
ストパターンが形成されたガラスウエハーを基板とし
た。ガラス基板20上に形成された凸条20aをなすレ
ジスト高さは60μmであった。
【0043】このようにレジストによって主面に凸条2
0aを形成した固定部となる基板20に親水化のための
プラズマ処理を行った後、シランカップリング剤、塩化
第一錫溶液、硝酸銀溶液、塩化パラジウム溶液で順次、
無電解めっきの前処理としての活性化処理を行い、図4
及び図5の如く中性無電解ニッケルホウ素めっき浴(上
村工業社製BELニッケル)中にて膜厚1μmの無電解
ニッケル膜を下部電極21として成膜した。さらに、無
電解銅めっき浴(上村工業社製スルカップ)に粒径50
0オングストロームのテフロン(フッ素樹脂)微粒子を
分散しためっき浴を用いて、図6及び図7のように膜厚
2μmの無電解銅膜を犠牲層22として下部電極21の
上に成膜した。
【0044】これらの無電解めっき及びその前処理はウ
エハーをスピンコーター上に固定し、回転数2rpmか
ら500rpmで回転させながら薬液をウエハー上に供
給して処理を行った。
【0045】リリース部分(後工程で上部電極、梁等を
設ける領域)、及び下部電極として必要な部分をレジス
トパターンでカバーした後に、エッチング処理を行い不
要部分の金属層を除去した。そして、レジストカバーを
剥離後、スパッタ法により厚さ0.005μmのチタ
ン、さらにその上に0.05μmのニッケルを全面に成
膜した。
【0046】その上に、上部電極及び梁となる部分、電
極取り出し部をレジストを用いパターンニングした(後
述する上部電極等の形成のためのニッケル膜を成膜しな
い部分にレジストが残るようにする。)。再び、この基
板に対してシランカップリング剤、塩化第一錫溶液、硝
酸銀溶液、塩化パラジウム溶液で順次、無電解めっきの
前処理としての活性化処理を行った後に、無電解ニッケ
ルホウ素めっき浴(上村工業社製BELニッケル)中に
て膜厚15μmの無電解ニッケル膜を成膜した。この無
電解めっき膜により下部電極21の櫛形の凹部分は充填
された。さらに、電解スルファミンニッケルめっき浴を
用い電流密度6A/dm2にて膜厚50μmのニッケル
膜を成膜した。これらの膜厚15μmの無電解めっきに
よるニッケル膜と膜厚50μmの電解めっきによるニッ
ケル膜は可動部となる上部電極23、上部電極23を加
速度を受けた際に移動可能な如く支える細い梁27及び
電極取り出し部28となる部分である(図8参照)。
【0047】前記レジストを剥離後に、アルゴンガス中
でミリング処理を行いレジストの下にあったスパッタ法
により成膜した前記チタン及びニッケル膜を除去した。
この結果、図8及び図9のように、下部電極21の上に
犠牲層22を介在させて上部電極23及び細い梁27が
形成され、さらにガラス基板20上に直接的に電極取り
出し部28が形成された構造が得られる。なお、図9の
断面図の如く上部電極23は膜厚15μmの無電解めっ
きによるニッケル膜23aと膜厚50μmの電解めっき
によるニッケル膜23bの複層構造であり、犠牲層22
を効率良く除去できるように小さな貫通孔29が多数形
成されている。
【0048】そして、硝酸銅のアンモニア溶液を用いて
900kHzの高周波超音波を印加しながら図10及び
図11の如く犠牲層22の銅膜を除去した。なお、エッ
チャントは10分毎に新しいものに交換した。水洗、ア
ルコール置換処理の後に真空乾燥器を用い乾燥した、こ
のようにして下部電極21に対し、その凹凸を転写した
上部電極23が犠牲層の除去で形成されたギャップGを
介して対向する構造とした。その後、ウエハーから加速
度センサとなる個々の素子毎にワイヤーソーにより切断
分離し、下部電極21の電極取り出し部及び上部電極2
3の電極取り出し部28にそれぞれリード線を接続し
た。このように製作された加速度センサを実施例1とす
る。
【0049】実施例2 実施例1とほぼ同様だが、犠牲層成膜工程においてテフ
ロン等の固体微粒子を含有しない無電解銅めっき浴を用
い製作した加速度センサを実施例2とする。
【0050】実施例3 シンクロトン放射光露光を用い、深さ0.5mm、幅10
0μmの溝を100μm毎に形成した凹凸領域を有する
アクリル樹脂(PMMA樹脂)構造体を形成した。この
凹凸部分が加速度センサの垂直対向(縦型対向)電極部
となる。なお、樹脂中には予めカーボン粉末を混練して
おき導電性を付与した。この構造体を電気ニッケルめっ
きを用い電鋳で型取りした。さらに、この型を金型とし
て予め白金粉末を混練したポリカーボネート樹脂をモー
ルドし凹凸付きの基板とした。この基板を前述した実施
例1と同様に無電解ニッケルホウ素めっき浴にて膜厚1
μmの無電解ニッケル膜を下部電極として成膜し、以下
実施例1と同様に製作した加速度センサを実施例3とす
る。
【0051】実施例4 コーニング社製7057ガラス基板上に、バイトにより
深さ0.5mm、幅0.1mmの溝を0.3mm毎に形成した部
分を設けた。この基板を無電解めっき前処理前にスパッ
タ法により厚さ0.005μmのチタン、さらにその上
に0.05μmのニッケルを密着強度向上のために形成
した後、基板前処理工程以降を前述した実施例1と同様
に製作した加速度センサを実施例4とする。
【0052】比較例1 3インチ径厚さ0.7mmのコーニング社製7057ガラ
ス基板をフッ酸による無電解めっき前処理を行った後に
フォトレジストとしてのヘキスト社製ポジ型レジストA
Zをスピンコートした。プリベーク後、紫外線露光機に
てライン(凸部となる部分)、スペース(凹部となる部
分)に対し、それぞれ幅15μm、長さ1.5mm角のラ
イン及びスペースパターンを露光、現像した。その後、
ポストベークを行い、そのレジストパターンが形成され
たガラスウエハーを基板とした。ガラス基板上に形成さ
れた凸条をなすレジスト高さは1μmとした。
【0053】このようにレジストによって主面に高さ1
μmの凸条を形成した固定部となる基板に実施例1と同
様に無電解ニッケルホウ素めっき浴(上村工業社製BE
Lニッケル)中にて膜厚1μmの無電解ニッケル膜を下
部電極として成膜した。さらに、その上に真空スパッタ
法にて膜厚2μmの銅膜を犠牲層として成膜し、以下実
施例1と同様のプロセスで上部電極等を形成して加速度
センサを作製した。このように製作された加速度センサ
を比較例1とする。
【0054】上記の実施例及び比較例の加速度センサを
加速度計に取り付け、−1gから1gの範囲で測定し
た。実施例1,2,3,4の感度はそれぞれ10.3p
F/g、10.3pF/g、17.8pF/g、11.6
pF/gであったが、比較例1は全く加速度応答性を示
さなかった。解析の結果、比較例1では上部電極と下部
電極とが接合していることが判明した。以上の結果から
本発明の効果は明瞭である。
【0055】なお、1ウエハー中の完成品の割合は、実
施例1の加速度センサでは95%であり、実施例2では
30%であった。
【0056】以上本発明の実施の形態について説明して
きたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記
載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当
業者には自明であろう。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る微小
機械素子の製造方法によれば、凹凸のある面上に対して
も均一な厚さの犠牲層を形成可能であり、固定部と可動
部間の対向面積を広く、両者間のギャップは小さく形成
可能で、性能及び信頼性の高い微小機械素子を作製する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る微小機械素子の製造方法の実施の
形態を示す説明図である。
【図2】本発明の実施例1の場合において、凸条をレジ
ストで形成した基板を示す斜視図である。
【図3】同断面図である。
【図4】本発明の実施例1の場合において、凹凸部を有
する基板上に下部電極を成膜した状態を示す斜視図であ
る。
【図5】同断面図である。
【図6】本発明の実施例1の場合において、凹凸部を有
する基板上に犠牲層を成膜した状態を示す斜視図であ
る。
【図7】同断面図である。
【図8】本発明の実施例1の場合において、凹凸部を有
する基板上に上部電極及びその他の構造部分を成膜した
状態を示す斜視図である。
【図9】同断面図である。
【図10】本発明の実施例1の場合において、犠牲層の
除去、リリースした後の状態を示す斜視図である。
【図11】同断面図である。
【図12】従来の微小機械素子の製造方法を示す説明図
である。
【符号の説明】
1,11 固定部 2,12 犠牲層 3,13 可動部 14 微小貫通孔 20 ガラス基板 21 下部電極 22 犠牲層 23 上部電極 27 梁 28 電極取り出し部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成の異なる2種類以上の無電解めっき
    膜を積層する工程と、該無電解めっき膜の少なくとも1
    種類以上を残し、それ以外の無電解めっき膜を犠牲層と
    して選択性エッチング処理により除去して固定部と可動
    部とを分離する工程とを備えることを特徴とする微小機
    械素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記犠牲層が形成される範囲の面の最大
    凹凸差が1μm以上である請求項1記載の微小機械素子
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記犠牲層が無電解銅めっき膜である請
    求項1又は2記載の微小機械素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記犠牲層が無電解ニッケルめっき膜で
    ある請求項1又は2記載の微小機械素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記犠牲層中に当該犠牲層主相と組成の
    異なる微細な固体微粒子を含有している請求項1,2,
    3又は4記載の微小機械素子の製造方法。
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