JP3959763B2 - 微小機械素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小機械素子の製造方法に係り、さらに詳しくはマイクロマシンニング技術でウエハー状態で一括して多数個が作られ固定部と可動部とを有する微小機械素子、例えばマイクロセンサ、マイクロアクチュエータ、マイクロモーター等の製造方法に関する。
【0002】
可動部を有する微小機械素子を製造する際の重要技術が犠牲層である。犠牲層は製造過程において固定部と可動部間の固定に用いられ、最終的には除去される。
【0003】
このような犠牲層を利用して作製した微小機械素子としては、例えば、第14回センサシンポジウム、テクニカルダイジェスト、1996年の31乃至34頁に、蒸着法により成膜された銅膜を犠牲層として用いた加速度センサが開示されている。
【0004】
また、電気学会論文誌A、112巻12号、平成4年の999乃至1006頁には、酸化シリコン膜を犠牲層として使用し、フッ酸エッチングにて犠牲層を最終的に除去して固定部と可動部を有する静電駆動型マイクロアクチュエータを製造する方法が開示されている。
【0005】
なお、この他、犠牲層材料としてはポリイミドやノボラック系フォトレジスト等の樹脂等を使用することが知られている。
【0006】
IEEEマイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム(Micro-Electro-
Mechanical-System)会議プロシーデングス、1995年43乃至48頁には、シリコンを加工して形成された垂直構造(縦型構造)の櫛形電極を有する静電アクチュエータが開示されている。このアクチュエータはシリコン表面に形成された凹凸にポリシリコンの犠牲層を形成し、その犠牲層を除去することで可動部を作製している。
【0007】
特開平5−255862号には、微小機械の製造工程に低温成膜可能で均一性の高い無電解めっき法を用いた金属薄膜を形成する製造方法が開示されている。さらに、無電解めっき膜を鋳型に利用し、その上に金属、半導体、もしくは絶縁体皮膜を形成し、3次元構造を製造した後に、めっき皮膜部分のみを取り除くことにより複雑な3次元構造体を得ることが示されている。
【0008】
さらに、無電解めっき法はその成膜均一性が高いこと、微小部分に選択的に成膜可能なことから半導体のマイクロバンプ形成、プリント基板の微小な貫通孔へのスルーホール導通膜の形成、薄膜磁気ヘッドの磁極等のmm以下のサイズのいわゆるマイクロデバイスへの応用が既に図られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来公知の犠牲層は、いずれも平面上には均一な形成が可能であるが凹凸のある面上に、その凹凸に従った均一な膜の形成は困難であった。特に平面に対して垂直な方向には殆ど成膜されないために犠牲層として十分な作用が期待できず、固定部から可動部が分離されないことがあった。また、プロセス温度や犠牲層の厚さには、それぞれの成膜方法、犠牲層の除去方法により制限があり、所望の形状を形成することが困難となる場合が多かった。
【0010】
図12は従来公知の蒸着法等による犠牲層を用いた場合の不具合を示す説明図であり、図12(A)の如く凹凸を有する固定部1上に蒸着法等によって犠牲層2を形成し、その上に同図(B)のように可動部3を形成している。そして、犠牲層2を可動部3の形成後にエッチングにより除去するが、犠牲層2が凹凸の垂直な面に殆ど成膜されなかったことに起因して同図(C)のように固定部1と可動部3の分離が不完全となり、犠牲層2も部分的に残存することになってしまう。
【0011】
また、特に静電力をその動作原理として利用する微小機械においては、固定部と可動部間の距離、ギャップ長が小さいことが望まれていたが、前述の酸化シリコン膜を犠牲層とする静電駆動型マイクロアクチュエータでは製作プロセスの最終段階において可動部を移動することで小さなギャップ長を得ることが報告されていることからも明らかな通り、1μm以下のギャップを有する対向電極を具備する櫛形電極構造の微小機械の製造は困難であった。これに対して、蒸着法により成膜された銅膜を犠牲層として用いた加速度センサにおいては1μm以下のギャップを有する平面と平面を対向電極とすることは可能だが、平面のため電極対向面積が小さく感度が低いものしか製作できなかった。
【0012】
また、垂直構造の櫛形電極を、シリコン基板を用いてシリコンの加工成膜技術により形成する方法は知られていたが、真空中での処理や高温処理を伴っているために高価であった。また、ポリシリコンを犠牲層とした場合、犠牲層除去には犠牲層が形成された基体、犠牲層上に形成された電極部も速度は遅いものの実質的にエッチングしてしまう手法しかないために、電極間距離が大きくなってしまう。
【0013】
前述した特開平5−255862号では、フォトレジストにより形成された高アスペクト比の凹凸を有する基板表面に無電解めっき膜を均一に成膜可能である旨記述しているが、この無電解めっき膜を犠牲層として用いるためには、さらにこの無電解めっき膜の上に均一に膜を形成することが重要である。しかし、ポリシリコン等では無電解めっき犠牲層と同じ程度の均一性は得ることができず、実用化は困難であった。
【0014】
本発明は以上のような問題を解決するために為されたものであり、固定部と可動部間の対向面積を広く、両者間のギャップは小さく形成可能で、性能及び信頼性の向上を図ることが可能な微小機械素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の微小機械素子の製造方法は、無電解めっき膜を犠牲層として選択性エッチング処理により除去して固定部と可動部とを分離する工程を備え、前記犠牲層が主相と組成の異なる固体粒子を含有し、前記エッチング処理により前記主相が溶解除去された際に、前記固体粒子が前記固定部と前記可動部の間に残存することを特徴としている。
【0017】
前記微小機械素子の製造方法において、前記固体粒子が絶縁材料であってもよい。
【0018】
前記微小機械素子の製造方法において、前記固体粒子が、ダイヤモンドやカーボン、炭化珪素、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、セリサイト、フッ素樹脂から選ばれてもよい。
【0019】
前記微小機械素子の製造方法において、前記犠牲層の一部が残存するように前記エッチング処理を行ってもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る微小機械素子の製造方法の実施の形態を図面に従って説明する。
【0021】
図1は本発明に係る微小機械素子の製造方法の実施の形態であって、基体をなす固定部11の凹凸を有する主面11aに無電解めっき法による第1の無電解めっき膜で犠牲層12を図1(A)の如く形成し、さらにその上に無電解めっき法による第2の無電解めっき膜で可動部13を積層形成する。可動部13は多数の微小貫通孔14を有しており、同図(B)のように微小貫通孔14及び固定部側面の犠牲層露出部分を通して犠牲層12を選択的にエッチングし、同図(C)のように犠牲層を完全に除去して固定部11と可動部13間にギャップGを形成して両者を分離する。
【0022】
上述したように、無電解めっき法により成膜された犠牲層12を用い、固定部11と可動部13の分離を行っているが、無電解めっき法は化学反応による析出のために複雑な形状の基体表面であったとしても、その形状に従い均一な膜厚の成膜が可能である。このため、固定部11の凹凸面のほぼ垂直な部分にも何の問題もなく成膜される。また、比較的成膜速度が遅いために膜厚の制御が容易であり1μm以下の膜厚でも十分に精度良く成膜できる。例えば、微小機械素子として加速度センサを作製する場合、上下方向に組み合わされた櫛形電極がその重要部分となり、この2つの電極間のギャップ及び対向面積は犠牲層の膜厚により決定されることになるが、従来は困難であった凹凸のある面上に犠牲層を形成可能なために対向面積の広い櫛形形状の電極間の小さなギャップも容易に精度良く実現可能である。
【0023】
前記無電解めっき膜としては、無電解めっきで成膜可能な各種金属、合金が使用可能であるが、特にニッケル及び銅が好ましい。ニッケルめっきには公知の各種の無電解めっき液及び成膜方法が使用可能である。すなわち、次亜リン酸やその塩等のリン系還元剤、及び/又はジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン等のホウ素系還元剤を用いて容易に無電解析出可能である。副反応として微量のリンやホウ素が膜に共析するが、本発明において無電解ニッケルめっき膜と言った場合にはこれらの膜も含むものとする。ニッケル金属塩としては硫酸ニッケル、塩化ニッケル等の公知の可溶性塩が用いられ、さらにクエン酸、酒石酸等の有機酸が金属錯イオン形成のために添加される。銅めっきにおいても公知の各種の無電解めっき液及び成膜方法が使用可能である。すなわち、硫酸銅、酒石酸、水酸化ナトリウムに還元剤としてホルマリンを用いた浴等が使用される。また公知な無電解めっき浴と同様にヒドラジンや三塩化チタン、アスコルビン酸等を還元剤として使用可能で、コバルト、インジウム、錫、白金、ロジウム、金等の無電解めっき可能な各種金属やこれらの主金属に副元素としてバナジウム、クロム、マンガン、鉄、亜鉛、モリブデン、カドミウム、タングステン、レニウム、タリウム、ヒ素等を共析した無電解合金めっき膜が使用可能である。
【0024】
さらに、無電解めっき法では微細なダイヤモンドやカーボン、炭化珪素、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、セリサイト、テフロン(フッ素樹脂)等の固体微粒子をめっき浴中に懸濁させておき膜中にこれらの微粒子を含有させた分散めっき法が知られている。これらの分散めっき法を用いた犠牲層を形成することで、金属主相である無電解めっき層がエッチングにより溶解除去された際に、固定部と可動部との間にこれらの微粒子が存在するような構造も作製可能である。これらの微粒子は固定部と可動部とを分離する際に、その両者が表面張力等により張り付いてしまうのを防止する。これらの微粒子の殆どは乾燥処理後に除去される。しかし、これらの微粒子の一部を残しておくことも可能である。絶縁材料微粒子を使用することで短絡防止等に効果が期待される。また、固定部と可動部とが接触する可能性のある構造では潤滑性の高い微粒子を使用することで固定部と可動部の摩擦低減に効果がある。特にこれらの効果を活用するために、犠牲層を完全には溶解しないで、固定部と可動部が分離しており犠牲層の一部が残存している状態でエッチングを完了することも可能である。勿論、構造体を形成する無電解めっき膜にこれらの分散めっき法を使用することも可能であり、電気めっき膜にも適用可能である。
【0025】
無電解めっきは公知のように触媒となる層の上に自己触媒反応により形成される。触媒となる層は基体そのものを触媒性のある金属で構成する方法やパラジウム、錫溶液を用いた活性化処理方法、さらに真空成膜法により触媒金属層を成膜することで形成可能である。真空成膜法による触媒層形成では凹凸のある表面に均一な触媒層は形成されないが、他の触媒化方法と組み合わせることや無電解めっき条件を選択することで比較的均一な無電解めっき膜を得ることが可能である。また、無電解めっき層の密着性向上のために公知の各種の手法、例えば触媒化処理の前にシランカップリング剤を使用して基体に官能基を導入する処理や、エッチング等の化学的手法やサンドブラスト等の物理的手法による表面粗化処理、プラズマ処理による表面改質処理が使用可能である。
【0026】
前記犠牲層は、固定部及び可動部を構成する構造体とは異なる金属で形成されて、最終的に選択性のあるエッチャント(エッチング溶液)を用いて除去される。構造体をニッケルとした場合には特に好ましくは銅が犠牲層として使用可能である。また構造体を金とした場合にはニッケル、銅が犠牲層として使用される。選択性のあるエッチャントとは構造体を構成する材料にはダメージを与えずに犠牲層のみ溶解する溶液のことである。例えば、犠牲層エッチングとしてニッケル構造体を分離するために銅犠牲層をエッチングする場合には、水酸化ナトリウムに硫黄を加えて煮沸溶解した溶液、硝酸銅のアンモニア溶液、濃硝酸、濃過塩素酸等が使用可能である。この際、微小な隙間の犠牲層を効率的に除去するために50kHz以上の周波数の超音波、特に好ましくは500kHz以上の高周波超音波を犠牲層エッチングのための溶液中に印加することが好ましい。複数の波長の超音波を重複して印加することも可能である。また、犠牲層エッチングを速やかに進めるためにエッチャントを連続的に吹き付けたり、スピンコーター上で回転させながらエッチャントを連続供給することも可能である。
【0027】
さらに、本発明においては犠牲層が形成される範囲の面の最大凹凸差が1μm以上である場合にその効果が顕著である。ここで面の最大凹凸差は、例えば触針式表面粗さ計を用いて、その表面形状を測定した際の最大高さと最小高さの差である。
【0028】
また、犠牲層下地となる基体に積極的に1μm以上の凹凸を各種の方法により形成することが望ましい。例えば、ポジ型フォトレジストを用いマスクを通して紫外線照射を行い、現像処理することで所望の凸部をレジストで形成し、凸部を有する基体を作製することや、全く同様にネガ型フォトレジストを用い所望部分のレジストのみを溶解し凹部を形成した凹部を有する基体を作製することが可能である。
【0029】
また、シンクロトン放射光を用いたフォトリソグラフィ技術はLIGAと呼ばれているが、特に一般の紫外線等によるフォトリソグラフィに比べてアスペクト比の高いパターンニングが可能で本発明に好ましく用いることができる。LIGAにより形成された凹凸をそのまま基体(基板)として用いることも勿論可能であるが、コストや量産性を考慮するとLIGAで出来た凹凸を電気めっき等の手法で金型とし、その金型から樹脂を用いて転写された樹脂モールド基体(基板)を用いることが好ましい。特に、モールドする樹脂の中に予め無電解めっき反応の触媒核となる金、銀、白金、パラジウム、ニッケル等の貴金属微粒子を加えておくことで特別の前処理無しで最初の無電解めっき膜が形成可能である。また、上記貴金属に代えてカーボンブラック等の導電性微粒子を加えておくことで、モールドされた樹脂そのものに導電性を付与することによって、直接電気めっきを施すことも可能である。
【0030】
さらに、フォトレジストでパターンニングされたシリコン基体(基板)をKOH溶液中で等方性エッチングすることでも凹凸部を有する基体(基板)が得られる。
【0031】
また、機械的に、例えば先の鋭いバイト等で基板表面に溝を形成し、これによって凹凸部を有する基体(基板)とすることも可能である。
【0032】
さらに、アルミニウムを陽極酸化して形成される微細なハニカム構造を利用することも可能である。
【0033】
前述したような凹凸は基板全面ではなく部分的に形成される。このため、凹又は凸であるかは凹凸が形成されていない部分との相対的な高さで決定される。例えば、基板全面にフォトレジストを塗布し、マスクを通して紫外線照射を行い、現像処理することで一部のレジストを残す場合にはこのレジストの残された部分が凸部となる。これに対して、フォトレジストに紫外線照射を行い、現像処理することで一部のレジストを除去する場合には、レジストが除去された部分が凹となる。また、機械的に例えば先の鋭いバイト等で基板表面に溝を形成した場合には凹となる。
【0034】
凹凸形成後に、さらにフォトレジストを用いたパターンニング処理を行う場合に、凸部がウエハー上に点在していることでレジスト塗布の際の厚さむらや紫外線露光時のフォーカシングが困難なことがある。このような場合には凹部を形成するようにプロセスを変更することが望ましい。
【0035】
犠牲層上に形成される可動部となる上部構造体は各種の方法により形成可能であるが、犠牲層の凹凸に対し均一に成膜する如く少なくとも犠牲層に対し直接積層される部分は無電解めっき法により成膜する。その上に重ねて無電解めっき法又は電気めっき法により所望の厚さの膜を成膜することも可能である。
【0036】
さらに、可動部となる上部構造体形成後に犠牲層を除去することから上部構造体には小さな貫通孔を多数設けておくことが好ましい。
【0037】
前記上部構造体表面の凹凸を小さくすることが好ましい場合には成膜速度が速くレベリング性(平坦性)の高い電気めっきを無電解めっき膜上に積層することが特に好ましい。ニッケルの場合には特に無電解ニッケルリンめっきや電鋳に広く使用されているスルファミンニッケル浴が好ましい。勿論、これら各種の膜を組み合わせても差し支えない。特にアスペクト比の大きな凹凸の場合には、無電解めっき膜にて凹部分を充填した後に電気めっき膜にて厚膜を形成することが好ましい。また、特に上部構造体として導電性が高い膜が好ましい場合には、無電解膜の中でも無電解ニッケルホウ素膜を最初に成膜することが好ましい。例えば、無電解ニッケルホウ素膜を1μm成膜した上に、無電解ニッケルリン膜を10μm、さらにスルファミン電気ニッケルめっき膜を50μm形成することが出来る。
【0038】
なお、前記基体を複数個形成したウエハー上に無電解めっき膜を形成する場合には、ウエハーをスピンコーター上に固定してウエハーを回転させながら前処理液、めっき液等をウエハー上に供給するスピンめっき法が好ましい。
【0039】
また、固定部及び可動部を構成する構造体を無電解めっきや電気めっきにより形成する場合には、犠牲層にも適用可能な分散めっき法を用い、表面特性を改善した微小構造体を作製可能である。
【0040】
また勿論、微小機械素子の制御のための半導体素子を基板上に予め形成しておくことも可能である。この場合には、基板はシリコンであることが望ましい。また微小機械素子基板をシリコン基板と陽極接合等の手法で張り合わせることも勿論可能である。
【0041】
【実施例】
以下、本発明の実施例を加速度センサを作製した場合を例にとって詳細に説明する。
【0042】
実施例1
3インチ径厚さ0.7mmのコーニング社製7057ガラス基板をフッ酸による無電解めっき前処理を行った後にフォトレジストとしてのヘキスト社製ポジ型レジストAZをスピンコートした。プリベーク後、紫外線露光機にてライン(凸部となる部分)、スペース(凹部となる部分)に対し、それぞれ幅15μm、長さ1.5mm角のライン及びスペースパターンを露光、現像した。その後、ポストベークを行い、図2及び図3のように、そのレジストパターンが形成されたガラスウエハーを基板とした。ガラス基板20上に形成された凸条20aをなすレジスト高さは60μmであった。
【0043】
このようにレジストによって主面に凸条20aを形成した固定部となる基板20に親水化のためのプラズマ処理を行った後、シランカップリング剤、塩化第一錫溶液、硝酸銀溶液、塩化パラジウム溶液で順次、無電解めっきの前処理としての活性化処理を行い、図4及び図5の如く中性無電解ニッケルホウ素めっき浴(上村工業社製BELニッケル)中にて膜厚1μmの無電解ニッケル膜を下部電極21として成膜した。さらに、無電解銅めっき浴(上村工業社製スルカップ)に粒径500オングストロームのテフロン(フッ素樹脂)微粒子を分散しためっき浴を用いて、図6及び図7のように膜厚2μmの無電解銅膜を犠牲層22として下部電極21の上に成膜した。
【0044】
これらの無電解めっき及びその前処理はウエハーをスピンコーター上に固定し、回転数2rpmから500rpmで回転させながら薬液をウエハー上に供給して処理を行った。
【0045】
リリース部分(後工程で上部電極、梁等を設ける領域)、及び下部電極として必要な部分をレジストパターンでカバーした後に、エッチング処理を行い不要部分の金属層を除去した。そして、レジストカバーを剥離後、スパッタ法により厚さ0.005μmのチタン、さらにその上に0.05μmのニッケルを全面に成膜した。
【0046】
その上に、上部電極及び梁となる部分、電極取り出し部をレジストを用いパターンニングした(後述する上部電極等の形成のためのニッケル膜を成膜しない部分にレジストが残るようにする。)。再び、この基板に対してシランカップリング剤、塩化第一錫溶液、硝酸銀溶液、塩化パラジウム溶液で順次、無電解めっきの前処理としての活性化処理を行った後に、無電解ニッケルホウ素めっき浴(上村工業社製BELニッケル)中にて膜厚15μmの無電解ニッケル膜を成膜した。この無電解めっき膜により下部電極21の櫛形の凹部分は充填された。さらに、電解スルファミンニッケルめっき浴を用い電流密度6A/dm2にて膜厚50μmのニッケル膜を成膜した。これらの膜厚15μmの無電解めっきによるニッケル膜と膜厚50μmの電解めっきによるニッケル膜は可動部となる上部電極23、上部電極23を加速度を受けた際に移動可能な如く支える細い梁27及び電極取り出し部28となる部分である(図8参照)。
【0047】
前記レジストを剥離後に、アルゴンガス中でミリング処理を行いレジストの下にあったスパッタ法により成膜した前記チタン及びニッケル膜を除去した。この結果、図8及び図9のように、下部電極21の上に犠牲層22を介在させて上部電極23及び細い梁27が形成され、さらにガラス基板20上に直接的に電極取り出し部28が形成された構造が得られる。なお、図9の断面図の如く上部電極23は膜厚15μmの無電解めっきによるニッケル膜23aと膜厚50μmの電解めっきによるニッケル膜23bの複層構造であり、犠牲層22を効率良く除去できるように小さな貫通孔29が多数形成されている。
【0048】
そして、硝酸銅のアンモニア溶液を用いて900kHzの高周波超音波を印加しながら図10及び図11の如く犠牲層22の銅膜を除去した。なお、エッチャントは10分毎に新しいものに交換した。水洗、アルコール置換処理の後に真空乾燥器を用い乾燥した、このようにして下部電極21に対し、その凹凸を転写した上部電極23が犠牲層の除去で形成されたギャップGを介して対向する構造とした。その後、ウエハーから加速度センサとなる個々の素子毎にワイヤーソーにより切断分離し、下部電極21の電極取り出し部及び上部電極23の電極取り出し部28にそれぞれリード線を接続した。このように製作された加速度センサを実施例1とする。
【0049】
実施例2
実施例1とほぼ同様だが、犠牲層成膜工程においてテフロン等の固体微粒子を含有しない無電解銅めっき浴を用い製作した加速度センサを実施例2とする。
【0050】
実施例3
シンクロトン放射光露光を用い、深さ0.5mm、幅100μmの溝を100μm毎に形成した凹凸領域を有するアクリル樹脂(PMMA樹脂)構造体を形成した。この凹凸部分が加速度センサの垂直対向(縦型対向)電極部となる。なお、樹脂中には予めカーボン粉末を混練しておき導電性を付与した。この構造体を電気ニッケルめっきを用い電鋳で型取りした。さらに、この型を金型として予め白金粉末を混練したポリカーボネート樹脂をモールドし凹凸付きの基板とした。この基板を前述した実施例1と同様に無電解ニッケルホウ素めっき浴にて膜厚1μmの無電解ニッケル膜を下部電極として成膜し、以下実施例1と同様に製作した加速度センサを実施例3とする。
【0051】
実施例4
コーニング社製7057ガラス基板上に、バイトにより深さ0.5mm、幅0.1mmの溝を0.3mm毎に形成した部分を設けた。この基板を無電解めっき前処理前にスパッタ法により厚さ0.005μmのチタン、さらにその上に0.05μmのニッケルを密着強度向上のために形成した後、基板前処理工程以降を前述した実施例1と同様に製作した加速度センサを実施例4とする。
【0052】
比較例1
3インチ径厚さ0.7mmのコーニング社製7057ガラス基板をフッ酸による無電解めっき前処理を行った後にフォトレジストとしてのヘキスト社製ポジ型レジストAZをスピンコートした。プリベーク後、紫外線露光機にてライン(凸部となる部分)、スペース(凹部となる部分)に対し、それぞれ幅15μm、長さ1.5mm角のライン及びスペースパターンを露光、現像した。その後、ポストベークを行い、そのレジストパターンが形成されたガラスウエハーを基板とした。ガラス基板上に形成された凸条をなすレジスト高さは1μmとした。
【0053】
このようにレジストによって主面に高さ1μmの凸条を形成した固定部となる基板に実施例1と同様に無電解ニッケルホウ素めっき浴(上村工業社製BELニッケル)中にて膜厚1μmの無電解ニッケル膜を下部電極として成膜した。さらに、その上に真空スパッタ法にて膜厚2μmの銅膜を犠牲層として成膜し、以下実施例1と同様のプロセスで上部電極等を形成して加速度センサを作製した。このように製作された加速度センサを比較例1とする。
【0054】
上記の実施例及び比較例の加速度センサを加速度計に取り付け、−1gから1gの範囲で測定した。実施例1,2,3,4の感度はそれぞれ10.3pF/g、10.3pF/g、17.8pF/g、11.6pF/gであったが、比較例1は全く加速度応答性を示さなかった。解析の結果、比較例1では上部電極と下部電極とが接合していることが判明した。以上の結果から本発明の効果は明瞭である。
【0055】
なお、1ウエハー中の完成品の割合は、実施例1の加速度センサでは95%であり、実施例2では30%であった。
【0056】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る微小機械素子の製造方法によれば、凹凸のある面上に対しても均一な厚さの犠牲層を形成可能であり、固定部と可動部間の対向面積を広く、両者間のギャップは小さく形成可能で、性能及び信頼性の高い微小機械素子を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る微小機械素子の製造方法の実施の形態を示す説明図である。
【図2】本発明の実施例1の場合において、凸条をレジストで形成した基板を示す斜視図である。
【図3】同断面図である。
【図4】本発明の実施例1の場合において、凹凸部を有する基板上に下部電極を成膜した状態を示す斜視図である。
【図5】同断面図である。
【図6】本発明の実施例1の場合において、凹凸部を有する基板上に犠牲層を成膜した状態を示す斜視図である。
【図7】同断面図である。
【図8】本発明の実施例1の場合において、凹凸部を有する基板上に上部電極及びその他の構造部分を成膜した状態を示す斜視図である。
【図9】同断面図である。
【図10】本発明の実施例1の場合において、犠牲層の除去、リリースした後の状態を示す斜視図である。
【図11】同断面図である。
【図12】従来の微小機械素子の製造方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1,11 固定部
2,12 犠牲層
3,13 可動部
14 微小貫通孔
20 ガラス基板
21 下部電極
22 犠牲層
23 上部電極
27 梁
28 電極取り出し部
Claims (4)
- 無電解めっき膜を犠牲層として選択性エッチング処理により除去して固定部と可動部とを分離する工程を備え、前記犠牲層が主相と組成の異なる固体粒子を含有し、前記エッチング処理により前記主相が溶解除去された際に、前記固体粒子が前記固定部と前記可動部の間に残存することを特徴とする微小機械素子の製造方法。
- 前記固体粒子が絶縁材料である請求項1記載の微小機械素子の製造方法。
- 前記固体粒子が、ダイヤモンドやカーボン、炭化珪素、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、セリサイト、フッ素樹脂から選ばれる請求項1記載の微小機械素子の製造方法。
- 前記犠牲層の一部が残存するように前記エッチング処理を行う請求項1,2又は3記載の微小機械素子の製造方法。
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