JPH10147857A - 電子機器筐体及びその製造方法 - Google Patents

電子機器筐体及びその製造方法

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JPH10147857A
JPH10147857A JP30854596A JP30854596A JPH10147857A JP H10147857 A JPH10147857 A JP H10147857A JP 30854596 A JP30854596 A JP 30854596A JP 30854596 A JP30854596 A JP 30854596A JP H10147857 A JPH10147857 A JP H10147857A
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Yoshiatsu Yamagishi
由敦 山岸
Kazuo Ichikawa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 美観に優れ、特に、これまでにない金属の輝
きを有する電子機器筐体を提供する。 【解決手段】 アルマイト処理したアルミニウムパネル
表面に蒸着膜が形成された電子機器筐体である。蒸着膜
の表面に撥水性膜が形成されていてもよい。また、アル
マイト処理したアルミニウムパネル表面にスクリーン印
刷により表示部が形成され、この表示部を覆って蒸着膜
が形成されていてもよい。蒸着膜は、例えばAl2
3層、ZrO2層、SiO2層が積層されたものである。
このような電子機器筐体は、アルマイト処理したアルミ
ニウムパネル表面に蒸着膜を蒸着形成することにより作
製される。このとき、例えばアルミニウムパネルを蒸気
流に対して斜めに傾けて設置すれば、グラデーション効
果が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯用のオーディ
オプレーヤ等のような電子機器の外筐である電子機器筐
体に関するものであり、さらにはその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】携帯用のオーディオプレーヤ、例えば携
帯用カセットレコーダや、いわゆるミニディスクプレー
ヤ等の筐体には、強度が高く軽量であることから、アル
ミニウムパネルが広く用いられている。
【0003】そして、その装飾の手法としては、塗装や
アルマイト処理等が行われている。アルミニウムは酸化
され易く、短時間のうちに表面が白く曇ってしまうの
で、このような装飾が必要である。
【0004】しかしながら、塗装によりアルミニウムパ
ネル表面に色彩を施した場合、アルミニウムの有する金
属感が損なわれ、重厚さに欠けることとなる。
【0005】また、アルミニウムパネル表面を単にアル
マイト処理(陽極酸化処理)しただけでは、金属の輝き
が失われ、美観を大きく損ねることになる。
【0006】アルマイト処理時に染色した場合にも同様
で、くすんだ色調しか得られず、退色も著しいので、消
費者の多様な要求に応えることができないのが現状であ
る。
【0007】さらに、アルマイト処理したアルミニウム
パネル表面には、いわゆる撥水コートを形成することが
できず、汚れ易いという欠点もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、これま
でのアルミニウムパネルを用いた電子機器筐体は、外観
上の不満が多く、汚れも付着し易いものであった。
【0009】そこで本発明は、これらの不都合を解消す
べく提案されたものであって、美観に優れ、特に、これ
までにない金属の輝きを有する電子機器筐体を提供する
ことを目的とし、さらにはその製造方法を提供すること
を目的とする。
【0010】さらに、本発明は、アルマイト処理したア
ルミニウムパネルを用いながら、汚れが付着し難い電子
機器筐体及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の目
的を達成せんものと鋭意検討の結果、レンズへのコーテ
ィング技術として知られている蒸着膜の形成をアルマイ
ト処理したアルミニウムパネルに適用することにより、
金属の輝きを有するこれまでにない外観が得られること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本願発明の電子機器筐体は、ア
ルマイト処理したアルミニウムパネル表面に蒸着膜が形
成されていることを特徴とするものである。
【0013】このように、薄い蒸着膜をアルマイト処理
したアルミニウムパネル表面に形成することで、これま
でにない輝きを有する美観に優れた外観が得られる。
【0014】また、この蒸着膜を形成することで、アル
マイト処理したときには不可能であった撥水性膜の形成
が可能となる。したがって、この蒸着膜の上に撥水性膜
を形成することで、美観に優れるのみならず、汚れの付
着が少ない表面が形成される。
【0015】上記蒸着膜を構成する蒸着物質としては、
SiO2、TiO2、Ti23、MgF2、ZrO2、Cr
2、Cr23、Cr、Al23等が挙げられ、通常は
これらの積層膜、多層膜とされる。具体的には、Al2
3層、ZrO2層、SiO2層が積層されたものや、A
23層、TiO2層、SiO2層が積層されたものを挙
げることができる。
【0016】上記蒸着膜を構成する蒸着物質は、一般に
無色透明であるが、各物質によって屈折率が異なり、こ
れらを積層すると、各層の厚みによる光の屈折と干渉に
よって特定の波長の光に対する反射率が変化する。した
がって、蒸着物質の組み合わせや膜厚設定を変えること
で、青、黄色等、所望の色に輝いて見え、非常に美感に
優れるものとなる。
【0017】また、上記蒸着膜は、アルマイト処理時に
染色を施した場合に、その退色を防止するという効果も
有する。通常、アルマイト処理を行う場合、酸化膜の微
細孔に染料や顔料を封じ込め、任意の色彩に染色するこ
とが行われる。この場合、単なるアルマイト処理だけで
はその退色が著しいが、上記蒸着膜を形成することで、
これを大幅に抑えることができる。
【0018】さらに、上記蒸着膜は、例えばスクリーン
印刷した文字や図柄を覆って形成すると、これを浮き出
させて見える効果を有する。したがって、スクリーン印
刷後に蒸着膜、撥水性膜を形成することが可能であり、
これによって文字や図柄等の表示部を、独特な雰囲気で
表示することが可能である。通常、撥水性膜の上にスク
リーン印刷することは難しく、この点でも画期的であ
る。
【0019】上述の電子機器筐体は、アルマイト処理し
たアルミニウムパネル表面に蒸着膜を蒸着形成すること
で形成される。これが本発明の電子機器筐体の製造方法
である。
【0020】特に、撥水性膜を形成する場合には、蒸着
膜を蒸着形成した後、同一真空槽内で撥水性膜を蒸着す
る。また、スクリーン印刷により表示部を形成する場
合、表示部をスクリーン印刷した後、蒸着膜を蒸着形成
する。
【0021】なお、蒸着膜を蒸着形成する際に、アルミ
ニウムパネルを蒸気流に対して斜めに傾けて設置すれ
ば、パネル表面に形成される蒸着膜が膜厚分布を有し場
所によって膜厚が変化するようになり、いわゆるグラデ
ーション効果により、見る角度によって色が微妙に変化
して見えるようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した具体的な
例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】本例の電子機器筐体は、携帯用オーディオ
機器の筐体に適用したものであり、アルマイト処理した
アルミニウムパネルの表面に、Al23、ZrO2、S
iO2を交互に蒸着し、合わせて9層からなる蒸着膜を
形成してなるものであり、さらに、この蒸着膜の上にシ
リコンのフッ化物からなる撥水性膜を形成してなるもの
である。
【0024】この電子機器筐体は、蒸着膜の層構成、各
層の厚みを変えることで、例えば青色、若しくは黄色に
輝くこれまでにない外観を呈し、美観に優れたものであ
った。また、手指等で触れても汚れが付着し難く、長期
に亘り美観が維持された。
【0025】上記の電子機器筐体において、アルマイト
処理したアルミニウムパネル表面に、予めスクリーン印
刷により文字や図形等の表示部を形成したところ、次の
ような現象が見られた。
【0026】先ず、黒色の文字、図形を印刷した場合、
この上に蒸着膜を形成すると、色調が変わり、金属感の
ある,いわゆるメタリックな外観を呈した。
【0027】一方、白色、あるいはシルバーの文字、図
形を印刷した場合、この上に蒸着膜を形成しても、その
まま白、あるいはシルバーの色調が維持された。
【0028】このような現象は、これまでの表面処理で
は見られなかったものであり、上記蒸着膜を形成したこ
とによる特有の効果と言える。
【0029】次に、上述の電子機器筐体の作製方法につ
いて説明する。
【0030】上記電子機器筐体を作製するには、先ず、
所定の形状にプレス加工したアルミニウムパネルに対
し、陽極酸化(アルマイト処理)を施し、表面に酸化被
膜を形成する。
【0031】次に、このアルマイト処理したアルミニウ
ムパネルを洗浄カゴに入れ、受入検査をした後、超純水
により超音波洗浄する。
【0032】次いで、コート前検査を行い、問題のない
ものを蒸着工程に移行する。コート前検査では、目視に
より油分等が付着していないことを確認した。
【0033】蒸着工程は、蒸着装置を用いて行うが、こ
こで用いた蒸着装置の概略構成を図1に示す。
【0034】この蒸着装置は、真空チャンバ1内に蒸着
源2を設置し、この蒸発源2と対向して被蒸着物を設置
する蒸着ドーム3を配置してなるものである。
【0035】真空チャンバ1の底部には、蒸発源2を加
熱するための電子銃4が設けられており、また真空チャ
ンバ1の頂部には、蒸着膜の膜厚をモニターするための
膜厚計5が設けられている。
【0036】蒸着膜を形成する際には、上記蒸着装置か
ら蒸着ドーム3を取り外し、これにアルマイト処理した
アルミニウムパネルをセットする。
【0037】そして、この蒸着ドーム3を真空チャンバ
1にセットし、真空チャンバ1内を減圧する。このと
き、真空チャンバ1内の真空度は、蒸着物質の種類等に
応じて適宜設定すればよいが、ここでは10-3パスカル
とした。
【0038】このような条件下で、蒸着物質を蒸着して
蒸着膜を形成し、さらには、必要に応じて撥水性膜を成
膜する。
【0039】本例では、Al23、ZrO2、SiO2
シリコンのフッ化物からなる4種類の蒸発源2を真空チ
ャンバ1内に設置し、これらを順次電子銃4で加熱する
ことにより、9層の積層膜からなる蒸着膜、及び撥水性
膜を同一真空チャンバ1内で連続して形成した。
【0040】上記蒸着に際しては、蒸着膜の密着性を良
くするために被蒸着物(アルミニウムパネル)を加熱す
ることが好ましく、本例では、真空チャンバ1にヒート
線を通すことで真空チャンバ1内を加熱し、アルマイト
処理したアルミニウムパネルを60〜70℃に加熱し
た。
【0041】また、上記蒸着膜の蒸着に際して、アルミ
ニウムパネルを蒸着物質の蒸気流に対して斜めになるよ
うに設置すれば、いわゆるグラデーション効果が得られ
る。
【0042】例えば、図2に示すように、アルミニウム
パネルPの一側縁を基準面から距離A、他側縁を基準面
から距離Bだけ離れるように設置し(ただし、アルミニ
ウムパネルは蒸着ドーム3にある程度傾けて取り付けら
れているため、A,Bの基準面の位置は異なる。)、前
記距離Aを20〜30mm、距離Bを10〜20mmの
範囲内に設定することで、良好なグラデーション効果が
得られる。
【0043】本例では、距離Aを25mm、距離Bを1
0mmに設定して試作を行った。例えば、黄色に発色さ
せる場合には、距離Aを30mm、距離Bを14mm
に、また黄色と青色の発色のものを同時に蒸着する場合
には、距離Aを23mm、距離Bを17mmとすること
で、良好な結果が得られた。
【0044】以上により蒸着膜を形成した後、真空チャ
ンバ1内を大気圧に戻し、蒸着ドーム3を真空チャンバ
1から取り出す。
【0045】そして、この蒸着ドーム3からアルミニウ
ムパネルを取り外し、検査を行って完成する。
【0046】以上が電子機器筐体の作製工程の一例であ
るが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば蒸
着装置の構造や蒸着条件等は任意である。
【0047】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明によれば、軽量で、且つこれまでにない金属感、輝
き、発色を有する、美観に優れた電子機器筐体を提供す
ることができる。
【0048】さらには、汚れが付き難く、退色も抑える
ことができ、長期に亘り上記美観が維持される電子機器
筐体を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】蒸着装置の一構成例を示す模式図である。
【図2】アルミニウムパネルの取り付け状態を示す模式
図である。
【符号の説明】
1 真空チャンバ、2 蒸発源、3 蒸着ドーム、4
電子銃、5 膜厚計

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルマイト処理したアルミニウムパネル
    表面に蒸着膜が形成されていることを特徴とする電子機
    器筐体。
  2. 【請求項2】 蒸着膜の表面に撥水性膜が形成されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の電子機器筐体。
  3. 【請求項3】 アルマイト処理したアルミニウムパネル
    表面にスクリーン印刷により表示部が形成され、この表
    示部を覆って蒸着膜が形成されていることを特徴とする
    請求項1記載の電子機器筐体。
  4. 【請求項4】 蒸着膜がAl23層、ZrO2層、Si
    2層が積層されたものであることを特徴とする請求項
    1記載の電子機器筐体。
  5. 【請求項5】 アルマイト処理したアルミニウムパネル
    表面に蒸着膜を蒸着形成することを特徴とする電子機器
    筐体の製造方法。
  6. 【請求項6】 蒸着膜を蒸着形成した後、同一真空槽内
    で撥水性膜を蒸着することを特徴とする請求項5記載の
    電子機器筐体の製造方法。
  7. 【請求項7】 アルマイト処理したアルミニウムパネル
    表面に表示部をスクリーン印刷した後、蒸着膜を蒸着形
    成することを特徴とする請求項5記載の電子機器筐体の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 蒸着膜を蒸着形成する際に、アルミニウ
    ムパネルを蒸気流に対して斜めに傾けて設置することを
    特徴とする請求項5記載の電子機器筐体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6400571B1 (en) 1998-10-21 2002-06-04 Furukawa Electric Co., Ltd. Electronic equipment housing
JP2012140646A (ja) * 2010-12-28 2012-07-26 Innovation & Infinity Global Corp 拡散ブロッキング構造、透明導電構造及びその製造方法
KR101723931B1 (ko) * 2015-10-12 2017-04-06 (주)티티에스 그래눌 형태의 세라믹 커버링층이 증착된 표면처리 제품

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