JP5622953B1 - セラミック製品 - Google Patents

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    • C04B41/80After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone of only ceramics
    • C04B41/81Coating or impregnation
    • C04B41/89Coating or impregnation for obtaining at least two superposed coatings having different compositions

Abstract

【課題】顔料を用いた絵付けによらず、表面が高い輝度を有し、かつ照射する光や観察する角度に応じて、表面が異なる色調に見えるような装飾を施されたセラミック製品を提供すること。【解決手段】セラミック製品1は、セラミック基材2の表面に、屈折率の異なる無機誘電体よりなる複数種の層3a,3bが繰り返して積層された多層膜31と、多層膜31の表面を被覆する金属または無機化合物よりなる保護膜32と、を有する。多層膜31は、セラミック基材2の表面に蒸着されていることが望ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、セラミック製品に関し、さらに詳しくは、基材表面に装飾が施されたセラミック製品に関する。
陶磁器等のセラミック製品においては、表面に施される装飾によって、製品に高い価値が付与されうる。特に近年、消費者の嗜好の多様化などに伴って、独創性の高い意匠表現を可能とする多様な装飾方法が求められている。
古来より、陶磁器の表面に色彩や模様、図柄を付与する方法としては、顔料を用いる方法や、金属箔や金属膜を張り付け等する方法等が多用されてきた。近年、従来にはなかった光沢や色調を与える装飾方法も検討されるようになっている。例えば、特許文献1には、ガラスまたは陶磁器にパール調の色彩を絵付けすることを目的として、ホウ酸系化合物とパール系顔料、分散媒体を含有してなる絵付け用組成物が開示されている。
特開2004−168619号公報
従来のように、顔料を使用して絵付けを行うかぎり、特許文献1に開示されるように、顔料の組成を工夫したとしても、意匠表現は、顔料を用いた表現方法の束縛を受けてしまう。よって、従来にない斬新な意匠表現を生むことは難しい。特に、模様や図柄が平面的かつ固定的になってしまい、照射する光や観察する角度等を変えても、模様や図柄が同じような見え、単調な印象を与えがちとなる。また、表面に、光り輝くような高い輝度を与えることは困難である。
本発明が解決しようとする課題は、顔料を用いた絵付けによらず、表面が高い輝度を有し、かつ照射する光や観察する角度に応じて、表面が異なる色調に見えるような装飾を施されたセラミック製品を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかるセラミック製品は、セラミック基材の表面に、屈折率の異なる無機誘電体よりなる複数種の層が繰り返して積層された多層膜と、前記多層膜の表面を被覆する金属または無機化合物よりなる保護膜と、を有することを要旨とする。
ここで、前記多層膜は、セラミック基材の表面に蒸着されていることが好ましい。また、前記多層膜および前記保護膜を形成した状態で焼成されていることが好ましい。そして、前記多層膜を構成する前記無機誘電体は、シリコン酸化物およびジルコニウム酸化物であるとよい。
上記発明にかかるセラミック製品は、セラミック基材の表面に、屈折率の異なる複数種の層が繰り返して積層された多層膜構造を有する。このような多層膜に光が入射されると、層界面で反射した光の間で干渉が起こる。これにより、ある波長を中心として分布する特定の波長域の光の反射が強められ、ある色彩をもって高い輝度で輝くような光沢が観察される。しかも、入射される光の波長分布や入射角、観察する方向によって、色調や光沢の程度が異なって見える。これによって、顔料を用いて絵付けを行う場合とは異なる、多様な意匠表現が可能となる。
さらに、多層膜の表面が保護膜に覆われていることにより、多層膜が物理的損傷や化学薬品による変質を受けにくくなり、多層膜に高い物理的強度と耐化学薬品性が付与される。これにより、多層膜によって装飾を施したセラミック製品を、食器や住居用タイル等、種々の用途に用いることが容易となる。また、保護膜によって、多層膜において生み出される色調や光沢に変調が加えられるので、保護膜の種類や厚さを選択することで、さらに意匠表現に多様性を与えることができる。
ここで、多層膜が、セラミック基材の表面に蒸着されている場合には、多層膜を構成する各層を、面内の均一性が高く、膜厚が高精度に制御された膜として形成することができる。よって、設計通りの積層構造を有する多層膜を精度よく形成することができ、所望される色調や光沢を有する多層膜を作製しやすくなる。
また、上記セラミック製品が、多層膜および保護膜を形成した状態で焼成されている場合には、焼成によって、多層膜および保護膜の密着性や強度が向上し、多層膜および保護膜の機械的強度および耐化学薬品性が一層高くなる。
そして、多層膜を構成する無機誘電体が、シリコン酸化物およびジルコニウム酸化物である場合には、層界面での光の干渉効果に優れた多層膜を形成しやすい。また、多層膜の機械的強度および化学的安定性も高くなる。
本発明の一実施形態にかかるセラミック製品の断面を模式的に示す図である。図中「・・・」は、繰り返し構造が省略されていることを示している。 本発明の一実施形態にかかるセラミック製品の一例にかかる皿の斜視図である。
以下、本発明の実施形態にかかるセラミック製品について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかるセラミック製品1の断面を示す模式図である。本セラミック製品1においては、セラミック基材2の表面に、装飾膜3が形成されている。
セラミック基材2は、セラミック材料よりなる基板である。ここで、セラミック材料とは、陶磁器に限られず、金属酸化物、窒化物、炭化物等、固体無機化合物を熱処理した材料という意味での広義のセラミック材料を意味し、タイル、ボーンチャイナ、半磁器等、種々の窯業製品、さらにはガラス等も含む。また、ホーロー(琺瑯)のように、表面にのみ固体無機化合物層を有する材料も含む。セラミック基材2は、セラミック製品1全体の母材として機能し、例えば、セラミック製品1が皿である場合には、セラミック基材2は、皿形状に加工された陶器素地や磁器素地である。
また、セラミック基材2の表面は、適宜表面処理され、表面処理層2aを有していてもよい。表面処理層2aを構成する材料としては、釉薬や顔料、ガラス層、金属層を例示することができる。これらの表面処理は、セラミック基材2の表面の強度や耐傷性を高めることや、装飾膜3を介して観察されるセラミック基材2の表面に色彩や光沢を与え、意匠性を高めること、装飾膜3のセラミック基材2への密着性を高めること等を目的として、施すことができる。
装飾膜3は、高屈折率層3aと低屈折率層3bとが交互に積層された多層膜31と、多層膜31の表面を被覆して最表面に露出した保護膜32と、を有してなっている。多層膜31を構成する高屈折率層3aおよび低屈折率層3bは、ともに無機誘電体よりなる。そして、低屈折率層3bを構成する無機誘電体よりも、高屈折率層3aを構成する無機誘電体の方が、高い屈折率を有する。
高屈折率層3aと低屈折率層3bが交互に複数層積層された多層膜31に光を入射すると、高屈折率層3aと低屈折率層3bの間の各界面で反射した光が干渉する多層膜干渉が起こる。すると、特定波長を中心としてある波長域に分布する光の反射が強められ、多層膜31の表面が色づいて見える。この際、強められる光の波長に幅があること、光の入射方向および反射方向(観察方向)によって、強められる光の波長が異なることによって、多層膜31は単一色に着色して見えるのではなく、ある色を基調としながらも虹のような色ムラ(色の揺らぎ)を有して、高い輝度で輝くような色調で観察される。しかも、照射される光の波長分布(スペクトル)や、照射角、観察角が異なると、基調として観察される色や、色ムラの分布、光沢の程度が異なることで、様々な色調、光沢が観察されうる。また、特に多層膜31の光透過率が高い場合に、多層膜31の上面と下面との間での光の干渉(薄膜干渉)や、セラミック基材2表面での光の反射が、多層膜干渉に重畳されることで、さらに色調や光沢の多様性が増す。例えば、セラミック基材2の表面が、表面処理層2aによって黒等の暗く濃い色で着色されている場合には、多層膜31の表面が、金属のように高い輝度を有して輝いて見え、多層膜31によって与えられる色彩が一層引き立てられるので、高い意匠性が得られる。
高屈折率層3aおよび低屈折率層3bを構成する材料は、特に限定されないが、両者の屈折率の差が大きい方が、多層膜干渉の効果が強くなる。また、これらの材料は、種々の無機誘電体のうち、取り扱いが容易で、物理的強度および化学的安定性に優れるという観点から、無機酸化物であることが好適である。高屈折率層3aを構成する無機酸化物としては、ジルコニウム酸化物(屈折率:2.0〜2.4)やチタン酸化物(屈折率:約2.4〜2.5)等を例示することができる。一方、低屈折率層3bを構成する無機酸化物としては、シリコン酸化物(屈折率:1.4〜1.5)またはシリコンを含む複合酸化物を例示することができる。これらの酸化物はいずれも、高い機械的強度を有し、化学的な安定性も非常に高い。また、蒸着等によって、緻密な膜を容易に形成することができるうえ、材料コストも低く抑えることができる。これらの観点から、高屈折率層3aはジルコニウム酸化物からなることが特に好ましい。なお、特にセラミック製品1が食器として使用される場合には、高屈折率層3aおよび低屈折率層3bは、鉛、クロム、カドミウム等、人体への有害性の高い重金属元素を含まないことが好ましい。
高屈折率層3aおよび低屈折率層3bの膜厚は特に指定されないが、可視域の光に対して多層膜干渉効果を発揮するには、それぞれ数100nm前後の厚さを有していることが好ましい。特に、高屈折率層3a、低屈折率層3bとも、光学膜厚(各層の屈折率を物理膜厚に乗じた値)を、多層膜干渉を利用して強めたい波長の1/4とすれば、その波長での多層膜干渉の効果が大きくなり、多層膜31がその波長を基調とした色に着色して見える。多層膜31全体としての厚さは、500〜800nm前後であることが好ましい。
また、高屈折率層3aと低屈折率層3bの合計の積層数は、3層以上であれば、多層膜干渉の効果を得ることができるが、層数を多くするほど、多層膜干渉の効果が強くなるとともに、多層膜干渉によって強められる光の波長幅が狭くなる。これにより、セラミック製品1の表面が強い光沢感を有するようになる。一方、層数を少なくするほど多層膜干渉によって強められる光の波長幅が広くなり、虹のような微妙な色ムラが生じやすくなるとともに、多層膜31の透明感が高くなる。また、セラミック基材2での光の反射や多層膜31の上下両面での薄膜干渉の効果が多層膜干渉に重畳されやすくなり、それらの効果によって多層膜31が多様な色調や光沢を示しやすくなる。これらを勘案して、高い意匠性が得られる積層数として、5〜15層を例示することができる。
多層膜31の最下層(セラミック基材2側の層)および最表層(保護膜32側の層)は、高屈折率層3aおよび低屈折率層3bのいずれでもよいが、最下層を高屈折率層3aとすれば、特に積層数が少ない場合に、多層膜干渉の効果を高めることができる。一方、最表層を低屈折率層3bとしておけば、多層膜31の透明感を高めることができる。
多層膜31をセラミック基材2上に形成するには、高屈折率層3aおよび低屈折率層3bを、1層ずつ順次形成し、交互に積層すればよい。高屈折率層3aおよび低屈折率層3bを形成する方法としては、気相法、液相法等の公知の膜形成法を挙げることができる。気相法としては、蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD)等を挙げることができる。液層法としては、スピンコート法のような液膜を利用する方法、ゾル−ゲル法のような化学反応を利用する方法等を挙げることができる。あるいは、スプレー等によって粉末材料を直接セラミック基材2の表面に噴霧したり、刷毛等を用いて粉末材料をセラミック基材2の表面に塗布したりすることもできる。これらの場合には、粉末材料を油等の適当な分散媒とともに用いてもよい。数100nmの均一な厚さを有する緻密な誘電体層を、よく制御しながら形成するには、これらのうち、気相法が適している。特に、簡便性の観点等から、蒸着法が優れている。
また、上記のような方法で多層膜31を一旦樹脂シート上に形成してから、セラミック基材2の表面にその樹脂シートを貼り付けることでも、セラミック基材2の表面に多層膜31を導入することができる。しかしこの場合には、タイルや平皿のような平面的なセラミック基材2には、均質で平滑な多層膜31を形成することができても、椀や壺のような曲面的な形状を有するセラミック基材2や、表面に凹凸構造を有するセラミック基材2に樹脂シートを接着しようとすると、樹脂シートに皺やうねりが生じ、均質で平滑な多層膜31を形成することが困難である。一方、蒸着法や液相法、粉末材料を用いる方法等によって、セラミック基材2の表面に直接に多層膜31を形成する場合には、曲面等、種々の形状を有するセラミック基材2や、表面に凹凸等の微細構造を有するセラミック基材2にも、均質で平滑な多層膜31を形成しやすい。これらの方法によれば、大皿等、大面積を有するセラミック基材2に対しても、均質な多層膜31を形成しやすい。
なお、以上においては、多層膜31が2種の層が交互に積層された構造よりなる場合を例として説明したが、層の種類は2種に限られず、3種以上の層を繰り返し積層することもできる。また、誘電体層以外に、金属層等他種の層がともに積層されてもよい。これらの場合には、一層多様な色調や光沢を多層膜31において実現することができる。また、同じ材料よりなる複数の層の厚さを全て揃える必要はなく、適宜変化させてもよい。
保護膜32は、金属または無機化合物よりなる膜であり、多層膜31を物理的な損傷や、化学薬品等、外部の物質との接触から保護する役割を果たす。その保護膜32を介して多層膜31に光が入射され、多層膜干渉で得られる反射光が保護膜32を介して観察される必要があるので、保護膜32が金属膜よりなる場合には、厚さ100nm以下の薄いものであることが好ましい。金属膜は、非常に緻密な組織を形成するので、このように薄い膜であっても、効果的に多層膜31を物理的刺激や化学物質から保護することができる。保護膜32を構成する金属種としては、金、プラチナ、銀、およびそれらを含む合金等を例示することができる。金属膜よりなる保護膜32は、蒸着法等の気相法によって好適に形成することができる。
保護膜32が無機化合物よりなる膜である場合の例として、ガラス層のような酸化物層や、無機顔料層よりなるものを挙げることができる。ガラス層に代表される酸化物層は、高い透明性を有し、緻密で硬い薄膜として形成されやすく、物理的刺激や化学物質から多層膜31を高度に保護することができるので、保護膜32として好適に用いることができる。ガラス層は、透明性と機械的強度に優れており、保護膜32として特に好適に用いることができる。多層膜31を効果的に保護するために、ガラス層の厚さ(後述するようにガラス粒子を用いる場合はその粒径)は、多層膜31を構成する高屈折率層3aや低屈折率層3bよりも厚いことが好ましく、1μmから数10mm程度の厚さを例示することができる。
保護膜32として無機化合物層を多層膜31の表面に形成するには、気相法、液相法等、種々の手法を用いることができる。また、特にガラス層を用いる場合には、樹脂シート上に薄いガラス層(ガラスフラッキス層)を印刷法によって形成した転写紙を準備し、これを多層膜31の表面に接着したうえで焼成すれば、樹脂シートが燃焼し、多層膜31上にガラス層が強固に密着した状態を形成することができる。あるいは、ガラス層は、釉薬の塗布や、ガラス粒子(ガラス粉末)の散布によって形成することもできる。ガラス粒子を使用する場合に、ガラス粒子は、均一な膜を形成している必要はなく、ガラス粒子の空間分布によって、模様等を表現してもよい。また、多層膜31を構成する最上層の高屈折率層3aまたは低屈折率層3bを他の層よりも厚く形成することで、保護膜32としてもよい。保護膜32を無機顔料層とする場合には、適当な溶媒、分散媒等を用いて、無機顔料を多層膜31の表面に塗布、転写する等して、膜状にすればよい。特にセラミック製品1が食器として使用される場合には、保護膜32を構成する金属種も、鉛、クロム、カドミウム等、人体に対して高い有害性を有する金属元素を含まないことが好ましい。
上記のように、多層膜31は、厚さ数100nmの薄い誘電体層を積層したものであり、他の物体との接触によって、剥離等の損傷を容易に受ける可能性がある。また、化学薬品等の物質と接触することで、変質を起こす可能性がある。しかし、本セラミック製品1においては、多層膜31が直接露出しておらず、保護膜32に被覆されていることで、他の物体や化学薬品等との接触が回避され、物理的損傷や化学的変質が防止される。特に、セラミック製品1が、食器や住居用タイルとして形成される場合には、その表面は、頻繁に洗浄されることで、摩擦や洗剤との接触を受けるが、これらは、人体に直接触れる可能性が高い製品であるので、衛生や安全上の観点から、多層膜31の剥離や変質を極力防止することが求められている。
保護膜32は、このように多層膜31を保護する機能を果たすだけでなく、意匠面にも寄与する。つまり、保護膜32による着色や光の反射等が、多層膜31による多層膜干渉に重畳されることで、多層膜31がそのまま露出している場合とは異なる色調や光沢、質感が観察される場合がある。また、保護膜32の種類や膜厚を変化させることで、同じ多層膜31を用いた場合にも、色調や光沢、質感を変化させることも可能である。なお、保護膜32は、単層のみよりなる必要はなく、複数の層が積層されてなってもよい。
以上のように、多層膜31と保護膜32よりなる装飾膜3を形成したセラミック製品1は、そのままの状態で使用に供してもよいが、さらに、焼成を行うことが好ましい。焼成を行うことで、多層膜31および保護膜32の組織が一層緻密で硬質なものになり、また、セラミック基材2への密着性および各層間の密着性が向上する。これにより、多層膜31の物理的強度および耐化学薬品性が一層向上する。保護膜32がガラス層よりなる場合には、焼成により、保護膜32が多層膜31およびセラミック基材2に強固に固着されるので、焼成を行うことが特に好ましい。焼成時の好適な温度は、セラミック基材2や多層膜31、保護膜32の具体的な種類に依存するが、おおむね450〜1000℃とすることができる。上記のように、食器や住居用タイルには高い機械的強度と耐化学薬品性が求められるが、焼成を経ることで、これらの要求を一層高度に満たすことができる。
なお、焼成を行うことで、多層膜31を構成する高屈折率層3aや低屈折率層3bの状態が変化し、屈折率が変化する場合がある。すると、多層膜干渉によって反射が強められる光の波長が変化する場合もある。このような変化を勘案して焼成を行う必要があるが、この変化を積極的に意匠に利用してもよい。また、特に多層膜31や保護膜32が厚い場合に、セラミック基材2と多層膜31および保護膜32との線膨張係数の差に起因し、多層膜31や保護膜32に多数の亀裂が発生する場合がある。多層膜31および保護膜32において平滑な層構造を維持したい場合には、各層の膜厚や焼成条件を調整することで亀裂の発生を抑制すればよい。あるいは逆に、このような亀裂が与える質感を、積極的に意匠の一部として利用してもよい。
以上のように、本セラミック製品1においては、装飾膜3において、(1)多層膜31を構成する各層の種類や膜厚、積層数、(2)保護膜32の種類と厚さ、(3)焼成の条件、等のパラメータを変化させることで、多様な色調、光沢、質感を実現することができる。これらのパラメータが異なる複数の装飾膜3を組み合わせて、模様や図柄を表現することで、一層多様な意匠表現が可能となる。さらに、装飾膜3が形成されず、セラミック基材2の表面が直接見える部分を残すことや、顔料による絵付け、金属箔の貼り付けや、金属粒子を含む塗料の塗布による金属膜の形成等、従来一般の陶磁器の装飾方法を併用することで、さらに自由度の高い意匠表現が可能となる。
図2に、皿10を例として示す。ここでは、多層膜干渉によって強められる波長が異なることで、異なる色(例えば赤系の色と緑系の色)に観察される2種の装飾膜3,3’が隣接して配置されている。具体的には、2種の装飾膜3,3’において、それぞれ同一種の高屈折率層3aと低屈折率層3bが、異なる膜厚で積層されている。2種の装飾膜3、3’を隣接して形成するには、多層膜31を形成する時に、マスキング等の方法を用いればよい。
さらに、皿10の中央部においては、装飾膜3,3’が形成されず、セラミック基材2が露出している。また、装飾膜3,3’が形成された領域の中には、顔料や金属箔、金属膜等によって、図柄4aおよび模様4bが表現されている。図柄4aや模様4bは、装飾膜3,3’の表面に形成しても、マスキング等を利用し、装飾膜3,3’を形成せず、セラミック基材2を露出させた上に形成しても、どちらでもよい。また、図柄4aや模様4bも、多層膜31における色調や光沢の変化を利用して表現してもよい。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 セラミック製品
2 セラミック基材
2a 表面処理層
3(3’) 装飾膜
31 多層膜
3a 高屈折率層
3b 低屈折率層
32 保護膜
4a 図柄
4b 模様
10 皿

Claims (9)

  1. セラミック基材の表面に、屈折率の異なる無機誘電体よりなる複数種の層が繰り返して積層された多層膜と、前記多層膜の表面を被覆するガラス層よりなる保護膜と、を有し、
    前記保護膜は、樹脂シート上にガラスよりなる層を印刷法によって形成した転写紙を前記多層膜の表面に接着してなることを特徴とするセラミック製品。
  2. 前記多層膜および前記保護膜を形成した状態で焼成されていることを特徴とする請求項1に記載のセラミック製品。
  3. 前記保護膜および前記多層膜の少なくとも一方に、焼成によって亀裂が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のセラミック製品。
  4. 前記多層膜を構成する前記無機誘電体は、シリコン酸化物およびジルコニウム酸化物であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のセラミック製品。
  5. 前記ガラス層は、ガラス粒子を用いて形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のセラミック製品。
  6. 前記ガラス粒子の空間分布によって、模様または図柄が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のセラミック製品。
  7. 前記多層膜を構成する各層の種類または膜厚または積層数、前記保護膜および前記多層膜の少なくとも一方への亀裂の形成、前記保護膜を構成するガラス材料の種類または厚さ、の少なくとも1つのパラメータが異なる領域を複数組み合わせることで、模様または図柄を表現していることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のセラミック製品。
  8. 前記多層膜は、樹脂シート上に前記無機誘電体よりなる複数種の層が繰り返して積層されたシート材を、前記セラミック基材の表面に貼り付けて形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のセラミック製品。
  9. 前記セラミック製品は、食器であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のセラミック製品。
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