JPH10147638A - グリセロール変性含フッ素ポリエーテル及びその製造方法 - Google Patents

グリセロール変性含フッ素ポリエーテル及びその製造方法

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JPH10147638A
JPH10147638A JP30787096A JP30787096A JPH10147638A JP H10147638 A JPH10147638 A JP H10147638A JP 30787096 A JP30787096 A JP 30787096A JP 30787096 A JP30787096 A JP 30787096A JP H10147638 A JPH10147638 A JP H10147638A
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JP
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glycerol
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JP30787096A
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English (en)
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Makoto Tsuji
誠 辻
Hiromi Nanbu
博美 南部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 撥水性、撥油性等の特異な性質を有し、且つ
他の材料との相溶性や各種溶剤への溶解性、無機物等の
粉体の表面処理等に優れており、更には親水性基材への
付着性も良好な含フッ素化合物の提供。 【解決手段】 一般式(I)または(III) で表されるグ
リセロール変性含フッ素ポリエーテル、及びその製造方
法。 【化1】 【化2】 (R1はH, C1-30の炭化水素基等、R2はH, C1-30のアルキ
ル基等、A はエチレン基、プロピレン基または -CH2CH
(CF3)- を示し、分子中の全A 基の内少なくとも5個は
-CH2CH(CF3)- である。n は平均で5〜2000の数を示
す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な含フッ素ポリ
エーテル及びその製造方法に関するものであり、詳しく
は化粧品原料、繊維処理剤、塗料用添加剤、乳化剤、樹
脂改質剤、無機物処理剤等として有用なグリセロール変
性含フッ素ポリエーテル及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】含フッ
素化合物は一般にその表面自由エネルギーが非常に低い
ため、撥水性、撥油性、防汚性、非粘着性、低摩擦性を
有し、液状物はその低い表面張力により高い濡れ性、浸
透性といった特異な性質を示すことが知られている。中
でも、フッ素系ポリエーテルは、さまざまな物質の表面
改質等に用いられており、例えば、化粧品、磁気記録材
料や精密機械用の潤滑剤繊維処理剤等の用途が挙げられ
る。現在、そのようなフッ素系ポリエーテルとして、何
種類かが開発されている(アウジモント社製;商標フォ
ンブリン、デュポン社製;商標クライトックス、ダイキ
ン(株)製;商標デムナム)。しかしながら、これらは
いずれも他の材料との相溶性に乏しいため、それらを配
合物とすることが困難であり、また他の基材への付着性
が乏しいという問題点があった。
【0003】従って、本発明が解決しようとする課題
は、撥水性、撥油性等の特異な性質を有し、且つ他の材
料との相溶性や各種溶剤への溶解性、無機物等の粉体の
表面処理等に優れており、更には親水性基材(例えば毛
髪、皮膚)への付着性も良好である含フッ素化合物を提
供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題に応えるために鋭意検討を行った結果、極めて特定の
構造を有する含フッ素化合物が、他の材料(例えば化粧
品原料等)との相溶性、各種溶剤への溶解性、無機物等
の粉体の表面処理等に適しており、親水性基材(例えば
毛髪、皮膚)への付着性に優れ、且つフッ素化合物本来
の特性、即ち撥水性、撥油性、防汚性、非粘着性、低摩
擦性等の優れた物性を有する化合物であることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
【0005】即ち、本発明は、一般式(I)で表される
グリセロール変性含フッ素ポリエーテル(以下化合物
(I)と略記する)、及びその製造方法を提供するもの
である。
【0006】
【化8】
【0007】(式中、 R1:水素原子または置換基を有しても良い炭素数1〜30
の炭化水素基、アルキルシリル基又はアシル基を示す。 A :エチレン基、プロピレン基または式(II)
【0008】
【化9】
【0009】で表される基を示し、n 個のA は同一でも
異なっても良く、分子中の全A 基の内少なくとも5個は
式(II)で表される基である。 n :平均で5〜2000の数を示す。) また、本発明は、一般式(III) で表されるグリセロール
変性含フッ素ポリエーテル(以下化合物(III) と略記す
る)、及びその製造方法を提供するものである。
【0010】
【化10】
【0011】(式中、 R2:水素原子、または置換基を有しても良い炭素数1〜
30のアルキル基、アルケニル基、フェニル基、ベンジル
基又はオリゴエーテル基を示す。 A, n:前記の意味を示す。)
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0013】本発明が提供する化合物(I)は下記の反
応式(A)に従って製造される。即ち、ジオキソラン環
を有する一般式 (IV)
【0014】
【化11】
【0015】(式中、R3は水素原子またはメチル基を示
す。)で表されるアルコール(以下アルコール (IV) と
略記する)の金属アルコキシド(一般式 (IX) で表され
る化合物)存在下、またはアルコール (IV) とアルカリ
金属水酸化物あるいはアルカリ金属アルコキシド共存
下、式(V)で表されるトリフルオロプロピレンオキシ
ド(以下トリフルオロプロピレンオキシド(V)と略記
する)を、また必要に応じて式(X)で表されるエチレ
ンオキシド及び/又はプロピレンオキシドをランダムあ
るいはブロック共重合した後、重合停止剤を用い重合を
停止することにより、一般式 (XI) で表される含フッ素
ポリエーテル(以下含フッ素ポリエーテル (XI) と略記
する)を合成し、引き続き酸を用いてジオキソラン環を
分解することにより化合物(I)を製造することができ
る。
【0016】
【化12】
【0017】(反応式(A)中、 M :アルカリ金属またはアルカリ土類金属を示す。 R1,R3,A, n:前記の意味を示す。 R4:水素原子またはメチル基を示す。) また、本発明が提供する化合物(III) は下記の反応式
(B)に従って製造される。
【0018】即ち、一般式 (VI) R2OH (VI) (式中、R2は前記の意味を示す。)で表されるアルコー
ル(以下アルコール (VI) と略記する)の金属アルコシ
キド(一般式(XII) で表される化合物)存在下、または
アルコール (VI) とアルカリ金属水酸化物あるいはアル
カリ金属アルコキシド共存下、トリフルオロプロピレン
オキシド(V)を、また必要に応じて式(X)で表され
るエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドをラ
ンダムあるいはブロック共重合した後、一般式(VII) で
表される重合停止剤(以下重合停止剤(VII) と略記す
る)を用い重合を停止することにより、一般式(XIII)で
表される含フッ素ポリエーテル(以下含フッ素ポリエー
テル(XIII)と略記する)を合成し、引き続き酸を用いて
ジオキソラン環を分解することにより化合物(III) を製
造することができる。
【0019】また化合物(III) は、上記と同様にしてト
リフルオロプロピレンオキシド(V)を、また必要に応
じて式(X)で表されるエチレンオキシド及び/又はプ
ロピレンオキシドをランダムあるいはブロック共重合し
た後、一般式(VIII)で表される重合停止剤(以下重合停
止剤(VIII)と略記する)を用い重合を停止することによ
り、一般式(XIV) で表される含フッ素ポリエーテル(以
下含フッ素ポリエーテル(XIV) と略記する)を合成し、
引き続きアルカリを用いてエポキシ環を開環することに
より化合物(III) を製造することもできる。
【0020】
【化13】
【0021】(反応式(B)中、 M ,R2,R3,R4,A ,n :前記の意味を示す。 X :ハロゲン原子を示す。) 上記の反応式(A)及び(B)において使用される重合
開始剤の金属アルコキシドまたは金属水酸化物のカウン
ターカチオン(M) としては、ナトリウム、カリウム、ル
ビジウム、セシウム等のアルカリ金属、カルシウム等の
アルカリ土類金属が挙げられる。
【0022】本発明方法において単量体として用いられ
るトリフルオロプロピレンオキシド(V)はトリフルオ
ロアセトンを臭素化して得られたブロモトリフルオロア
セトンを水素化リチウムアルミニウムで還元してブロモ
トリフルオロイソプロピルアルコールを苛性ソーダで処
理する方法、あるいはトリフルオロプロピレンを微生物
を用いて酸化する方法(特公昭61−14798 号公報、特開
昭61−202697号公報参照)等により製造することが出来
る。
【0023】アルコール (IV) はジオキソラン環を有す
るアルコールであり、2,2 −ジメチル−1,3 −ジオキソ
ラン−4−メタノールと 1,3−ジオキソラン−4−メタ
ノールが該当する。重合停止剤(VII) はアルコール (I
V) のハロゲン化物であり、ハロゲン原子(X) としては
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。重合
停止剤(VIII)はエピハロヒドリンであり、ハロゲン原子
(X) としては塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げ
られる。
【0024】上記反応式(A)においてR1は重合停止剤
から誘導される基を示す。使用する重合停止剤の種類に
よって、得られる含フッ素ポリエーテルの末端基の構造
を選択することができる。即ち、水、アルコール又は酸
を用いれば末端のR1は水素原子になり、ハロゲン化物で
あるハロゲン化アルキルやハロゲン化アルケニルを用い
れば、R1はアルキル又はアルケニル基になる。
【0025】R1としては、水素原子、または水酸基、ア
ミノ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基を有しても
よい炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基、フェニ
ル基、ベンジル基、アルキルシリル基又はアシル基等が
好ましく、特に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、
炭素数1〜20のフッ素置換アルキル基が好ましい。
【0026】上記反応式(A)において用いられる重合
停止剤としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機
酸;酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン
酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸:水;アルコール;塩
素、臭素、ヨウ素等のハロゲンを有するハロゲン化物が
好ましい。ハロゲン化物としてはヨウ化メチル、ヨウ化
エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、ヨウ化オクチ
ル、ヨウ化ラウリル、ヨウ化ミリスチル、ヨウ化パルミ
チル、ヨウ化ステアリル、ヨウ化アリル、ヨウ化ベンジ
ル、ヨウ化メチルベンジル、ヨードベンゼン、ヨードメ
チルベンゼン、ヨウ化シンナミル、2−ヨードエチルア
ルコール、3−ヨードプロピルアルコール、2−ヨード
エチルアミン、3−ヨードプロピルアミン、臭化メチ
ル、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル、臭化オク
チル、臭化ラウリル、臭化ミリスチル、臭化パルミチ
ル、臭化ステアリル、臭化アリル、臭化クロチル、臭化
ベンジル、臭化メチルベンジル、ブロモベンゼン、ブロ
モメチルベンゼン、臭化シンナミル、1−臭化酢酸メチ
ル、ブロモメチルメチルエーテル、2−ブロモエチルア
ルコール、3−ブロモプロピルアルコール、2−ブロモ
エチルアミン、3−ブロモプロピルアミン、塩化メチ
ル、塩化エチル、塩化アリル、塩化ベンジル、塩化メチ
ルベンジル、クロロメチルスチレン、1−塩化酢酸メチ
ル、クロロメチルメチルエーテル、2−クロロエチルア
ルコール、3−クロロプロピルアルコール、2−クロロ
エチルアミン、3−クロロプロピルアミン等のハロゲン
化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化フェニ
ル、ハロゲン化ベンジル等が挙げられる。また、アセチ
ルブロミド、アセチルクロリド、1−臭化酢酸ブロミ
ド、1−塩化酢酸、(メタ)アクリル酸クロリド、無水
酢酸、無水安息香酸等のアシル化剤;ヨウ化パーフルオ
ロエチル、ヨウ化パーフルオロプロピル、ヨウ化パーフ
ルオロブチル、ヨウ化パーフルオロヘキシル、ヨウ化パ
ーフルオロオクチル、ヨウ化2−(パーフルオロブチ
ル)エチル、ヨウ化2−(パーフルオロヘキシル)エチ
ル、ヨウ化2−(パーフルオロオクチル)エチル、トリ
フルオロ酢酸ブロミド、トリフルオロ酢酸クロリド、パ
ーフルオロプロピオン酸ブロミド、パーフルオロプロピ
オン酸クロリド、パーフルオロブタン酸ブロミド、パー
フルオロブタン酸クロリド、パーフルオロヘキサン酸ブ
ロミド、パーフルオロヘキサン酸クロリド、パーフルオ
ロオクタン酸ブロミド、パーフルオロオクタン酸クロリ
ド、パーフルオロ(2,5,8 −トリメチル−3,6,9 −トリ
オキサドデカノイル)フロリド、パーフルオロ(2,5,8,
11−テトラメチル−3,6,9,12−テトラオキサペンタデカ
ノイル)フロリド、3H−テトラフルオロプロピオニル
クロリド、5H−オクタフルオロバレリルクロリド、7
H−ドデカフルオロヘプタノイルクロリド、9H−ヘキ
サデカフルオロノナノイルクロリド、3−クロロテトラ
フルオロプロピオニルクロリド、3,4 −ジクロロペンタ
フルオロブチリルクロリド、2,2 −ビス(トリフルオロ
メチル)プロピオニルフロリド等のハロゲン化アルキル
化剤、ハロゲン化アシル化剤;トリメチルクロロシラ
ン、トリエチルクロロシラン、3−クロロプロピルトリ
メチルシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラ
ン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、クロロメ
チルジメチルクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシ
ラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラ
ン等のシリル化剤も挙げられる。これらの重合停止剤と
しては塩酸等の無機酸;酢酸等の有機酸;ハロゲン化ア
ルキル;ハロゲン化(ヨウ化、臭化、塩化)フッ素置換
アルキルが特に好ましい。
【0027】上記反応式(B)において使用されるアル
コール (VI) のR2は水素原子または置換基(水酸基、ア
ミノ基、ハロゲン原子等)を有しても良い炭素数1〜30
のアルキル基、アルケニル基、フェニル基、ベンジル基
またはオリゴエーテル基である。
【0028】アルコール (VI) の具体例としては、メタ
ノール、エタノール、プロパノール、2,2 −ジメチル−
1,3 −ジオキソラン−4−メタノール、1,3 −ジオキソ
ラン−4−メタノール、アリルアルコール、フェノー
ル、クレゾール、ベンジルアルコール、メチルベンジル
アルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト等の炭化水素系アルコール;アミノエタノール、アミ
ノプロパノール、アミノブタノール、アミノシクロヘキ
サノール、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノ
ールアミン、ジプロピルエタノールアミン、ジメチルプ
ロパノールアミン、ジエチルプロパノールアミン、ジプ
ロピルプロパノールアミン、更に窒素原子に1個の -(C
H2CH2O)mH 基(但し、m は2以上の数)を有するエチレ
ンオキシド変性アミン、アミノフェノール、アミノクレ
ゾール、アミノナフトール、アミノヒドロキシフルオレ
ン、ヒドロキシピリジン、ピリジンメタノール、ヒドロ
キシメチルピリジン、アミノヒドロキシピラゾール、ア
ミノヒドロキシメチルピリミジン等のアミン系アルコー
ル;ブロモエタノール、クロロエタノール、2,2,2 −ト
リフルオロエタノール、2,2,3,3,3 −ペンタフルオロプ
ロパノール、1H,1H −ペンタフルオロブタノール、2−
(パーフルオロヘキシル)エタノール、2−(パーフル
オロオクチル)エタノール、1H,1H,3H−テトラフルオロ
プロパノール、1H,1H,5H−オクタフルオロプロパノー
ル、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプタノール、1H,1H,9H
−ヘキサデカフルオロノナノール、2H−ヘキサフルオ
ロ−2−プロパノール等のハロゲン系アルコール;トリ
フルオロプロピレングリコール、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール、ポリエチレングリコール等の2価ア
ルコールを挙げることが出来る。
【0029】トリフルオロプロピレンオキシド(V)、
また必要により用いられるエチレンオキシド及び/又は
プロピレンオキシドの重合は一般に窒素、アルゴン等の
乾燥不活性ガス存在下、−20〜200 ℃の温度範囲で行わ
れる。特に0〜150 ℃が好ましい。反応温度の調節、反
応系の粘度の調節などの必要に応じて有機溶媒中で重合
を行っても良い。溶媒としてはトリフルオロプロピレン
オキシド(V)、また必要により用いられるエチレンオ
キシド及び/又はプロピレンオキシドを溶解するもので
あれば特に限定はなく、例えばジオキサン、テトラヒド
ロフラン(THF)、1,2 −ジメトキシエタン、ジグラ
イム、テトラグライム、ジブチルエーテル等のエーテル
系溶媒;クロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム
等のハロゲン系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系
溶媒;ジメチルホルムアミド(DMF)、ピリジン等の
含窒素系溶媒やジメチルスルホキシド(DMSO)等が
使用できるが、特にエーテル系の溶媒が好ましい。ま
た、これらの溶媒を併用することも可能である。また、
無溶媒で重合を行っても良い。反応時間は仕込原料の
量、温度等の反応条件によりかなり異なるが、通常1時
間〜1週間程度で行われる。
【0030】重合終了後添加する重合停止剤の量は重合
開始剤に対して等モル以上存在させるのが良い。温度は
−20〜200 ℃、特に0〜150 ℃が好ましい。反応時間は
添加剤の種類や量、温度等の反応条件によりかなり異な
るが、通常5分〜1週間程度で行われる。
【0031】重合反応が完結した後、重合停止剤により
停止させ、水で洗浄し、溶媒を留去、減圧乾燥すること
により、含フッ素ポリエーテル(XI) ,(XIII)あるいは
(XIV)が得られる。精製法としては有機溶媒による抽出
や再沈、イオン交換樹脂や電気透析による脱塩法が挙げ
られる。また、必要に応じて、カラムクロマトグラフィ
ーや蒸留等の精製を行っても良い。
【0032】含フッ素ポリエーテル (XI) 及び(XIII)の
ジオキソラン環を分解させる酸としては塩酸、硫酸、硝
酸、リン酸等の無機酸;酢酸、メタンスルホン酸、p−
トルエンスルホン酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ト
リフルオロ酢酸等の有機酸が好ましい。これらの添加量
はジオキソラン環に対して等モル以上存在させるのが良
い。反応温度は0〜200 ℃、好ましくは20〜150 ℃であ
る。
【0033】酸による分解反応に用いられる溶媒として
は、含フッ素ポリエーテル (XI) 及び(XIII)を溶解する
ものであれば特に限定はなく、例えばアセトン、メチル
エチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;ジオキサ
ン、THF、1,2 −ジメトキシエタン、ジグライム、テ
トラグライム、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒;
クロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロ
ゲン系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;D
MF、ピリジン等の含窒素系溶媒やDMSO等が使用で
きるが、特にケトン系やアルコール系、ハロゲン系の溶
媒が好ましい。また、これらの溶媒を併用することも可
能である。反応時間は添加する酸の種類や濃度、量、温
度等の反応条件によりかなり異なるが、通常30分〜1週
間程度で行われる。
【0034】ジオキソラン環を分解した後、水で洗浄
し、溶媒を留去、減圧乾燥することにより化合物(I)
及び(III) が得られる。精製法としては有機溶媒による
抽出や再沈、イオン交換樹脂や電気透析による脱塩法が
挙げられる。また、必要に応じて、カラムクロマトグラ
フィーや蒸留等の精製を行っても良い。
【0035】一方、含フッ素ポリエーテル(XIV) のエポ
キシ環を分解させるアルカリとしてはアルカリ金属また
はアルカリ土類金属の水酸化物或いはアルカリ金属アル
コキシドが好ましい。アルカリ金属またはアルカリ土類
金属の水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、アルカリ金属ア
ルコキシドとしては、ナトリウム、カリウム、ルビジウ
ム、セシウム等の金属のメトキシド、エトキシド、プロ
ポキシド、ブトキシド等を挙げることができる。これら
の添加量は含フッ素ポリエーテル(XIV) のエポキシ環に
対して等モル以上存在させるのが良い。分解反応の温度
は0〜200 ℃、好ましくは20〜150 ℃である。
【0036】アルカリによる分解反応に用いられる溶媒
としては含フッ素ポリエーテル(XIV) を溶解するもので
あれば特に限定はなく、例えばメタノール、エタノー
ル、イソプロパノール系のアルコール系溶媒;ジオキサ
ン、THF、1,2 −ジメトキシエタン、ジグライム、テ
トラグライム、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒;
クロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロ
ゲン系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;ア
セトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;DM
F、ピリジン等の含窒素系溶媒やDMSO等が使用でき
るが、特にアルコール系、エーテル系、ハロゲン系の溶
媒が好ましい。また、これらの溶媒を併用することも可
能である。反応時間は添加するアルカリの種類や濃度、
量、温度等の反応条件によりかなり異なるが、通常30分
〜1週間程度で行われる。
【0037】エポキシ環を分解した後、水で洗浄し、溶
媒を留去、減圧乾燥することにより化合物(III) が得ら
れる。精製法としては有機溶媒による抽出や再沈、イオ
ン交換樹脂や電気透析による脱塩法が挙げられる。ま
た、必要に応じて、カラムクロマトグラフィーや蒸留等
の精製を行っても良い。
【0038】
【発明の効果】本発明のグリセロール変性含フッ素ポリ
エーテルは、同一分子内に撥水性、撥油性、防汚性、非
粘着性、低摩擦性等に代表されるフッ素の特徴を有しな
がら他の材料との相溶性にも優れているトリフルオロプ
ロピレンオキシド重合体骨格と無機物等の粉体表面への
吸着性や親水性基材(例えば毛髪、皮膚)への付着性が
良好なグリセロール骨格を有している。そのため、必要
に応じて種々の配合物とすることができ、且つそれらに
よって形成された皮膜は高い撥水撥油性を示す。また、
分子内にエーテル結合を有しているため、種々の溶剤に
可溶であり且つ耐加水分解性にも優れ、グリセロール基
を有するために肌、毛髪、繊維等の付着性にも優れた新
規な表面改質剤である。
【0039】よって、本発明のグリセロール変性含フッ
素ポリエーテルは、化粧品原料、磁気記録材料や精密機
械用の潤滑剤、繊維処理剤、帯電防止剤、自動車用の塗
装面仕上げ剤、塗料用添加剤、乳化剤、樹脂改質剤、つ
や出し剤、無機物処理剤など非常に幅広い分野に応用で
きる。
【0040】
【実施例】以下に実施例を挙げ、更に詳しく本発明を説
明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるも
のではない。尚、例中の%は特記しない限り重量基準で
ある。
【0041】実施例1 グリセロール変性含フッ素ポリエーテル(1) の合成
【0042】
【化14】
【0043】十分に乾燥し、内部を乾燥アルゴンで置換
し、滴下ロート、温度計、三方活栓を付したガラス容器
にカリウムt−ブトキシド0.56g(5.0mmol)を仕込んだ
後、反応容器内を再びアルゴン置換し、真空下にてブラ
スターにより加熱乾燥を行った。そこへモレキュラーシ
ーブス4Aで乾燥したジメトキシエタン10mlを三方活栓
を介し注射器を用いて乾燥アルゴンの気流下で仕込み15
分間攪拌した。次いでモレキュラーシーブス4Aで乾燥
した 2,2−ジメチル−1,3 −ジオキソラン−4−メタノ
ール0.66ml(5.0mmol) を三方活栓を介し注射器を用いて
乾燥アルゴンの気流下で仕込み60分間攪拌した。引き続
き10℃の恒温槽に浸した該反応容器内にモレキュラーシ
ーブス4Aで乾燥したトリフルオロプロピレンオキシド
8.7ml(100mmol)を乾燥アルゴンの気流下、滴下ロートよ
り反応系内が40℃を越えないように注意しながら滴下し
た。5.5 時間攪拌した後溶媒を留去し、反応物をエーテ
ル/水で洗浄し、エーテル抽出し、芒硝での乾燥、溶媒
を減圧留去することにより淡黄色ワックス状の含フッ素
ポリエーテル10.9g(収率97%)を得た。
【0044】この含フッ素ポリエーテル3.39gをアセト
ン12gに溶解し、1N塩酸 3.1gを室温で攪拌下滴下し
た。ジオキソラン環を分解するため40℃で 3.5時間攪拌
した。その後溶媒を留去し、反応物をエーテル/水で洗
浄し、エーテル抽出し、芒硝で乾燥、溶媒を減圧留去す
ることにより淡黄色ワックス状の含フッ素ポリエーテル
3.19g(収率94%)を得た。
【0045】得られた含フッ素ポリエーテルの 1H−N
MRスペクトルを図1に、IRスペクトルを図2に示
す。 1H−NMR、IR分析、水酸基価より目的とする
グリセロール変性含フッ素ポリエーテル(1) であること
を確認した。またGPCでのピーク数平均分子量(カラ
ム:東ソー(株)製 G4000HXL +G2000HXL、溶媒:50mM
CH3COOH/THF)はポリスチレン換算で 2.7×103 、Mw/Mn
=1.08であった。
【0046】1H−NMRスペクトル(δppm)(溶媒:
アセトン-d6 ): 3.8〜3.9 (m, 2H) CH2(OH)-CH(OH)-CH2 O- 3.7〜4.7 (m, 3H) CH2 (OH)-CH(OH)-CH2O- 3.7〜4.7 (m, 57H) C −C
(CF)O− (前駆体のジオキソラン環の(C C−に基づく
ピーク(1.3〜1.4ppm) は消滅) IRスペクトル(液膜、cm-1):3500, 2980, 2950, 29
00, 1460, 1370, 1320, 1270, 1180, 1130, 1080,1050,
920, 850, 720, 620 水酸基価:残存水酸基を既知量の無水酢酸と反応させ、
過剰の無水酢酸をKOH で滴定。サンプル1g当たりに含
有される水酸基モル数を KOH量(KOHmg/g) で表し、表1
に示した。
【0047】
【表1】
【0048】実施例2 グリセロール変性含フッ素ポリエーテル(2) の合成
【0049】
【化15】
【0050】十分に乾燥し、内部を乾燥アルゴンで置換
し、滴下ロート、温度計、三方活栓を付したガラス容器
にカリウムt−ブトキシド1.29g(11.5mmol)を仕込ん
だ後、反応容器内を再びアルゴン置換し、真空下にてブ
ラスターにより加熱乾燥を行った。そこへモレキュラー
シーブス4Aで乾燥したジメトキシエタン20mlを三方活
栓を介し注射器を用いて乾燥アルゴンの気流下で仕込み
30分間攪拌した。次いでモレキュラーシーブス4Aで乾
燥した2,2 −ジメチル−1,3 −ジオキソラン−4−メタ
ノール 1.4ml(11.5mmol) を三方活栓を介し注射器を用
いて乾燥アルゴンの気流下で仕込み60分間攪拌した。引
き続き10℃の恒温槽に浸した該反応容器内にモレキュラ
ーシーブス4Aで乾燥したトリフルオロプロピレンオキ
シド10ml(115mmol) を乾燥アルゴンの気流下、滴下ロー
トより反応系内が40℃を越えないように注意しながら滴
下した。16時間攪拌した後溶媒を留去し、反応物をエー
テル/水で洗浄し、エーテル抽出し、芒硝での乾燥、溶
媒を減圧留去することにより淡黄色オイル/ワックス混
合物の含フッ素ポリエーテル13.5g(収率94%) を得
た。
【0051】この含フッ素ポリエーテル10.8gをアセト
ン20gに溶解し、1N塩酸10gを室温で攪拌下滴下し
た。ジオキソラン環を分解するため40℃で 1.5時間攪拌
した。その後溶媒を留去し、反応物をエーテル/水で洗
浄し、エーテル抽出し、芒硝で乾燥、溶媒を減圧留去す
ることにより淡黄色ワックス状の含フッ素ポリエーテル
10.1g(収率93%)を得た。
【0052】得られた含フッ素ポリエーテルの 1H−N
MRスペクトルを図3に示す。 1H−NMR、IR分
析、水酸基価より目的とするグリセロール変性含フッ素
ポリエーテル(2) であることを確認した。またGPCで
のピーク数平均分子量(カラム:東ソー(株)製 G4000
HXL +G2000HXL、溶媒:50mMCH3COOH/THF)はポリスチレ
ン換算で 1.3×103 、Mw/Mn=1.15であった。
【0053】1H−NMRスペクトル(δppm)(溶媒:
アセトン-d6): 3.4〜3.7 (m, 2H) CH2(OH)-CH(OH)-CH2 O- 3.7〜4.6 (m, 3H) CH2 (OH)-CH(OH)-CH2O- 3.4〜4.6 (m, 33H) CH2 -CH(CF3)O- (前駆体のジオキソラン環の(CH3 )2C-に基づくピーク
(1.3〜1.4ppm) は元の4%存在) IRスペクトル(液膜、cm-1):3500, 298
0, 2950, 2900, 1460, 137
0, 1320, 1270, 1180, 113
0, 1080,1050, 920, 850, 7
20, 620 水酸基価:実施例1と同様に測定した水酸基価を表2に
示す。
【0054】
【表2】
【0055】実施例3 グリセロール変性含フッ素ポリエーテル(3) の合成
【0056】
【化16】
【0057】十分に乾燥し、内部を乾燥アルゴンで置換
し、滴下ロート、温度計、三方活栓を付したガラス容器
にカリウムt−ブトキシド 2.6g(23mmol)を仕込んだ
後、反応容器内を再びアルゴン置換し、真空下にてブラ
スターにより加熱乾燥を行った。そこへモレキュラーシ
ーブス4Aで乾燥したジメトキシエタン10mlを三方活栓
を介し注射器を用いて乾燥アルゴンの気流下で仕込み10
分間攪拌した。次いでモレキュラーシーブス4Aで乾燥
した 2,2−ジメチル−1,3 −ジオキソラン−4−メタノ
ール 2.9ml(23mmol) を三方活栓を介し注射器を用いて
乾燥アルゴンの気流下で仕込み 150分間攪拌した。引き
続き10℃の恒温槽に浸した該反応容器内にモレキュラー
シーブス4Aで乾燥したトリフルオロプロピレンオキシ
ド10ml(115mmol)を乾燥アルゴンの気流下、滴下ロート
より反応系内が40℃を越えないように注意しながら滴下
した。4.5 時間攪拌した後、ヨウ化メチル 6.5g(46mm
ol) を加え、室温で14.5時間攪拌し、重合を停止した。
その後、溶媒を留去し、反応物をエーテル/水で洗浄
し、エーテル抽出し、芒硝での乾燥、溶媒を減圧留去す
ることにより淡黄色ワックス状の含フッ素ポリエーテル
13.4g(収率84%) を得た。
【0058】この含フッ素ポリエーテル12gをアセトン
20gに溶解し、水4.0g、濃塩酸2.0gを加え、60℃、6
時間攪拌した。その後溶媒を留去し、反応物をエーテル
/水で洗浄し、エーテル抽出し、芒硝で乾燥、溶媒を減
圧留去することにより淡黄色ワックス状の含フッ素ポリ
エーテル11g(収率96%) を得た。
【0059】得られた含フッ素ポリエーテルの 1H−N
MRスペクトルを図4に示す。 1H−NMR、IR分
析、水酸基価より目的とするグリセロール変性含フッ素
ポリエーテル(3) であることを確認した。またGPCで
のピーク数平均分子量(カラム:東ソー(株)製G4000H
XL+G2000HXL、溶媒:50mM CH3COOH/THF) はポリスチレ
ン換算で600 、Mw/Mn=1.23であった。
【0060】1H−NMRスペクトル(δppm)(溶媒:
アセトン-d6): 3.5〜3.7 (S, 3H) CH3 O- 3.4〜4.6 (m, 5H) CH2 (OH)-CH(OH)-CH2 O- 3.4〜4.6 (m, 21H) -CH2 -CH(CF3)O- (前駆体のジオキソラン環の(CH3 )2C-に基づくピーク
(1.2〜1.4ppm) は元の4%存在) IRスペクトル(液膜、cm-1):3500, 2980, 2950, 29
00, 1460, 1370, 1320, 1270, 1180, 1130, 1080,1050,
920, 850, 720, 620 水酸基価:実施例1と同様に測定した水酸基価を表3に
示す。
【0061】
【表3】
【0062】実施例4 グリセロール変性含フッ素ポリエーテル(4) の合成
【0063】
【化17】
【0064】十分に乾燥し、内部を乾燥アルゴンで置換
し、滴下ロート、温度計、三方活栓を付したガラス容器
にカリウムt−ブトキシド0.56g(5.0mmol)を仕込んだ
後、反応容器内を再びアルゴン置換し、真空下にてブラ
スターにより加熱乾燥を行った。そこへモレキュラーシ
ーブス4Aで乾燥したジメトキシエタン10mlを三方活栓
を介し注射器を用いて乾燥アルゴンの気流下で仕込み15
分間攪拌した。この微懸濁液を乾燥アルゴンの気流下注
射器を用いて50mlオートクレーブに移した。次いでモレ
キュラーシーブス4Aで乾燥した 2,2−ジメチル−1,3
−ジオキソラン−4−メタノール 0.66ml(5.0mmol)を注
射器を用い、乾燥アルゴンの気流下でオートクレーブ内
に仕込み60分間攪拌した。ドライアイス−アセトンでト
ラップした乾燥エチレンオキシド(水素化カルシウムで
乾燥)2.5ml(50mmol) を氷冷した先程のオートクレーブ
に乾燥アルゴンの気流下添加した。エチレンオキシドの
重合は40℃、3時間で行った。このオートクレーブを再
び氷冷した後、モレキュラーシーブス4Aで乾燥したト
リフルオロプロピレンオキシド 4.3ml(50mmol)を乾燥ア
ルゴン気流下添加した。5時間室温で重合した後ヨウ化
メチル0.85g(6.0mmol)を加え、40℃で13時間攪拌し、
重合を停止した。その後、溶媒を留去し、反応物をエー
テル/水で洗浄し、エーテル抽出し、芒硝での乾燥、溶
媒を減圧留去することにより淡黄色ワックス状の含フッ
素ポリエーテル 7.5g(収率85%)を得た。
【0065】この含フッ素ポリエーテル 4.0gをアセト
ン12gに溶解し、水 2.0g、濃塩酸1.0 gを加え、60℃
で 3.5時間攪拌した。その後溶媒を留去し、反応物をエ
ーテル/水で洗浄し、エーテル抽出し、芒硝で乾燥、溶
媒を減圧留去することにより淡黄色ワックス状の含フッ
素ポリエーテル 3.7g(収率93%)を得た。 1H−NM
R、IR分析、水酸基価より目的とするグリセロール変
性含フッ素ポリエーテル(4) であることを確認した。ま
たGPCでのピーク数平均分子量(カラム:昭和電工
(株)製KD-803×2、溶媒:DMF)はポリスチレン換算で
Mn=1200、Mw/Mn=1.09であった。
【0066】1H−NMRスペクトル(δppm)(溶媒:
アセトン-d6): 3.5〜3.7 (S, 3H) CH3 O- 3.6〜4.6 (m, 5H) CH2 (OH)-CH(OH)-CH2 O- 3.6〜3.9 (m, 48H) -CH2 -CH2 O- 3.4〜4.6 (m, 30H) -CH2 -CH(CF3)O- IRスペクトル(液膜、cm-1):3500, 2980, 2950, 29
00, 1460, 1370, 1320, 1270, 1180, 1130, 1080,1050,
920, 850, 720, 620 水酸基価:実施例1と同様に測定した水酸基価を表4に
示す。
【0067】
【表4】
【0068】実施例5 グリセロール変性含フッ素ポリエーテル(5) の合成
【0069】
【化18】
【0070】十分に乾燥し、内部を乾燥アルゴンで置換
し、滴下ロート、温度計、三方活栓を付したガラス容器
にカリウムt−ブトキシド0.281g(2.5mmol) を仕込んだ
後、反応容器内を再びアルゴン置換し、真空下にてブラ
スターにより加熱乾燥を行った。そこへモレキュラーシ
ーブス4Aで乾燥したジメトキシエタン7mlを三方活栓
を介し注射器を用いて乾燥アルゴンの気流下で仕込み15
分間攪拌した。次いでモレキュラーシーブス4Aで乾燥
したトリフルオロプロピレンオキシド 4.3ml(50mmol)を
乾燥アルゴンの気流下、滴下ロートより反応系内が40℃
を越えないように注意しながら滴下した。3.5 時間重合
した後2−クロロメチル−1,3 −ジオキソラン0.31g
(2.5mmol)を加え、60℃で13時間攪拌し、重合を停止し
た。その後溶媒を留去し、反応物をエーテル/水で洗浄
し、エーテル抽出し、芒硝での乾燥、溶媒を減圧留去す
ることにより白濁色ワックス状の含フッ素ポリエーテル
5.5g(収率90%)を得た。
【0071】この含フッ素ポリエーテル 4.0gをアセト
ン12gに溶解し、1N塩酸 2.1gを室温で攪拌下滴下し
た。ジオキソラン環を分解するため65℃で17時間攪拌し
た。その後溶媒を留去し、反応物をエーテル/水で洗浄
し、エーテル抽出し、芒硝で乾燥、溶媒を減圧留去する
ことにより白濁色ワックス状の含フッ素ポリエーテル3.
7g(収率93%)を得た。 1H−NMR、IR分析、水
酸基価より目的とするグリセロール変性含フッ素ポリエ
ーテル(5) であることを確認した。またGPCでのピー
ク数平均分子量(カラム:東ソー(株)製G4000HXL+G2
000HXL、溶媒:50mM CH3COOH/THF) はポリスチレン換算
で 2.5×103 、Mw/Mn=1.12であった。
【0072】1H−NMRスペクトル(δppm)(溶媒:
アセトン-d6): 1.2〜1.3 (s, 9H) (CH3 )3C- 3.4〜4.5 (m, 5H) -CH2 -CH(OH)-CH2 (OH) 3.4〜4.5 (m, 60H) -CH2 -CH(CF3)O- IRスペクトル(液膜、cm-1):3500, 2980, 2950, 29
00, 1460, 1370, 1320, 1270, 1180, 1130, 1080,1050,
920, 850, 720, 620 水酸基価:実施例1と同様に測定した水酸基価を表5に
示す。
【0073】
【表5】
【0074】実施例6 グリセロール変性含フッ素ポリエーテル(6) の合成
【0075】
【化19】
【0076】十分に乾燥し、内部を乾燥アルゴンで置換
し、滴下ロート、温度計、三方活栓を付したガラス容器
にカリウムt−ブトキシド0.56g(5.0mmol) を仕込んだ
後、反応容器内を再びアルゴン置換し、真空下にてブラ
スターにより加熱乾燥を行った。そこへモレキュラーシ
ーブス4Aで乾燥したジメトキシエタン7mlを三方活栓
を介し注射器を用いて乾燥アルゴンの気流下で仕込み15
分間攪拌した。次いで10℃の恒温槽に浸した該反応容器
内にモレキュラーシーブス4Aで乾燥したトリフルオロ
プロピレンオキシド 4.3ml(50mmol)を乾燥アルゴンの気
流下、滴下ロートより反応系内が40℃を越えないように
注意しながら滴下した。16時間重合した後エピクロルヒ
ドリン0.39ml(5.0mmol) を加え、50℃で3時間攪拌し、
重合を停止した。その後溶媒を留去し、反応物をエーテ
ル/水で洗浄し、エーテル抽出し、芒硝での乾燥、溶媒
を減圧留去することにより白濁色ワックス状の含フッ素
ポリエーテル 6.3g(収率98%)を得た。
【0077】この含フッ素ポリエーテル 4.0gをエタノ
ール12gに溶解し、25%水酸化ナトリウム水溶液 2.5g
を室温で攪拌下滴下した。エポキシ環を開環するため60
℃で17時間攪拌した。その後溶媒を留去し、反応物をエ
ーテル/水で洗浄し、エーテル抽出し、芒硝で乾燥、溶
媒を減圧留去することにより白濁色ワックス状の含フッ
素ポリエーテル 3.6g(収率90%)を得た。 1H−NM
R、IR分析、水酸基価より目的とするグリセロール変
性含フッ素ポリエーテル(6) であることを確認した。ま
たGPCでのピーク数平均分子量(カラム:東ソー
(株)製G4000HXL+G2000HXL、溶媒:50mM CH3COOH/TH
F) はポリスチレン換算で 2.3×103 、Mw/Mn=1.21で
あった。
【0078】1H−NMRスペクトル(δppm)(溶媒:
アセトン-d6) 1.2〜1.3 (s, 9H) (CH3 )3C- 3.6〜4.6 (m, 5H) -CH2 -CH(OH)-CH2 (OH) 3.6〜4.5 (m, 30H) -CH2 -CH(CF3)O- IRスペクトル(液膜、cm-1):3500, 2980, 2950, 29
00, 1460, 1370, 1320, 1270, 1180, 1130, 1080,1050,
920, 850, 720, 620 水酸基価:実施例1と同様に測定した水酸基価を表6に
示す。
【0079】
【表6】
【0080】試験例 実施例1〜6で得られたグリセロール変性含フッ素ポリ
エーテルの溶解性及び接触角を以下に示す方法で評価し
た。結果を表7に示す。
【0081】<溶解性>グリセロール変性含フッ素ポリ
エーテルを表7に示す溶剤中に5重量%加え、20℃に放
置し、その溶解性を下記基準で目視評価した。 ○:透明溶解、○〜△:一部溶解、△:乳化、×:不溶
(分相) <接触角>ポリエチレンテレフタレートフィルム上にグ
リセロール変性含フッ素ポリエーテルを製膜し、乾燥
後、水又はスクアランの液滴を接触させて30秒後の接触
角を測定した。
【0082】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られた含フッ素ポリエーテル
(1) の 1H−NMRスペクトルである。
【図2】 実施例1で得られた含フッ素ポリエーテル
(1) のIRスペクトルである。
【図3】 実施例2で得られた含フッ素ポリエーテル
(2) の 1H−NMRスペクトルである。
【図4】 実施例3で得られた含フッ素ポリエーテル
(3) の 1H−NMRスペクトルである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)で表されるグリセロール変
    性含フッ素ポリエーテル。 【化1】 (式中、 R1:水素原子または置換基を有しても良い炭素数1〜30
    の炭化水素基、アルキルシリル基又はアシル基を示す。 A :エチレン基、プロピレン基または式(II) 【化2】 で表される基を示し、n 個のA は同一でも異なっても良
    く、分子中の全A 基の内少なくとも5個は式(II)で表
    される基である。 n :平均で5〜2000の数を示す。)
  2. 【請求項2】 R1で示される基が、水素原子、または水
    酸基、アミノ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基を
    有してもよい炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル
    基、フェニル基、ベンジル基、アルキルシリル基又はア
    シル基である請求項1記載のグリセロール変性含フッ素
    ポリエーテル。
  3. 【請求項3】 一般式(III) で表されるグリセロール変
    性含フッ素ポリエーテル。 【化3】 (式中、 R2:水素原子、または置換基を有しても良い炭素数1〜
    30のアルキル基、アルケニル基、フェニル基、ベンジル
    基又はオリゴエーテル基を示す。 A, n:前記の意味を示す。)
  4. 【請求項4】 一般式 (IV) 【化4】 (式中、R3は水素原子またはメチル基を示す。)で表さ
    れるアルコールの金属アルコキシド存在下、または一般
    式 (IV) で表されるアルコールとアルカリ金属水酸化物
    あるいはアルカリ金属アルコキシド共存下、式(V) 【化5】 で表されるトリフルオロプロピレンオキシドを、また必
    要に応じてエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキ
    シドをランダムあるいはブロック共重合した後、重合停
    止剤を用い重合を停止し、引き続き酸によりジオキソラ
    ン環を分解することを特徴とする請求項1又は2記載の
    グリセロール変性含フッ素ポリエーテルの製造方法。
  5. 【請求項5】 一般式 (VI) R2OH (VI) (式中、R2は前記の意味を示す。)で表されるアルコー
    ルの金属アルコシキド存在下、または一般式 (VI) で表
    されるアルコールとアルカリ金属水酸化物あるいはアル
    カリ金属アルコキシド共存下、前記式(V)で表される
    トリフルオロプロピレンオキシドを、また必要に応じて
    エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドをラン
    ダムあるいはブロック共重合した後、一般式(VII) 【化6】 (式中、R3は前記の意味を示し、X はハロゲン原子を示
    す。)で表される重合停止剤を用い重合を停止し、引き
    続き酸によりジオキソラン環を分解することを特徴とす
    る請求項3記載のグリセロール変性含フッ素ポリエーテ
    ルの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記一般式 (VI) で表されるアルコール
    の金属アルコキシド存在下、または一般式 (VI) で表さ
    れるアルコールとアルカリ金属水酸化物あるいはアルカ
    リ金属アルコキシド共存下、前記式(V)で表されるト
    リフルオロプロピレンオキシドを、また必要に応じてエ
    チレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドをランダ
    ムあるいはブロック共重合した後、一般式(VIII) 【化7】 (式中、X は前記の意味を示す。)で表される重合停止
    剤を用い重合を停止し、引き続きアルカリによりエポキ
    シ環を開環することを特徴とする請求項3記載のグリセ
    ロール変性含フッ素ポリエーテルの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007032480A1 (ja) * 2005-09-16 2007-03-22 Agc Seimi Chemical Co., Ltd. 含フッ素化合物、その製造方法、その用途、表面張力低下方法、および樹脂表面改質方法
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