JPH10142392A - 軽水炉の応力腐食割れ緩和施工方法およびその施工装置 - Google Patents

軽水炉の応力腐食割れ緩和施工方法およびその施工装置

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JPH10142392A
JPH10142392A JP8298748A JP29874896A JPH10142392A JP H10142392 A JPH10142392 A JP H10142392A JP 8298748 A JP8298748 A JP 8298748A JP 29874896 A JP29874896 A JP 29874896A JP H10142392 A JPH10142392 A JP H10142392A
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corrosion cracking
stress corrosion
metal
alloy
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Hideya Anzai
英哉 安斎
Hiroshi Nagase
長瀬  博
Toshitaka Kida
利孝 木田
Jiro Kuniya
治郎 国谷
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】比較的安価にして施工が簡単、かつ施工部が耐
久性に富み、その上多少の施工不備があっても充分応力
腐食割れの緩和を図ることが可能な応力腐食割れ緩和施
工方法を提供する。 【解決手段】高温高圧の水と接する軽水炉プラントの構
造物,機器や装置あるいは配管などの応力腐食割れの緩
和を図るその施工方法において、前記構造物,機器また
は配管などの応力腐食割れを緩和したい部分に、4A族
金属Ti,Zr,Hfの何れか1種類または複数含む材
料の粉末を付着させ、その後この付着した粉末を例えば
ヒーター装置などで酸化処理するようにした。(図1は
その結果を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は軽水炉の応力腐食割
れ緩和施工方法およびその施工装置の改良に係わり、特
に高温高圧の水と接するプラントの構造物,機器または
配管の応力腐食割れ緩和法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高温高圧の水を使用するプラント、特に
高温高圧の純水を使用す沸騰水型原子炉において、構造
物の経年劣化現象の一つに応力腐食割れ(以下SCCと
いう)がある。SCCは応力、腐食環境、材料の3因子
が重畳して発生する現象であり、その緩和技術として、
耐SCC性を向上させる表面処理技術、残留応力を低減
させる技術および水質環境改善技術などが考えられてい
る。
【0003】応力緩和によるSCC緩和法では、例えば
特開昭62−63614号公報に記載されているよう
に、超音速液体ジェットによる残留応力改善方法が挙げ
られる。これは水中または水中と同等な環境中で高圧液
体ジェットの噴出により、液体が金属材料表面に衝突
し、その衝撃エネルギーにより金属材料表面をピーニン
グしてこの金属材料に表面圧縮残留応力を付与するもの
である。
【0004】また腐食環境緩和によるSCC緩和法で
は、例えば特開昭57−3086号公報に見られるよう
に、水素注入による炉内腐食環境改善策が考えられてい
る。これは、炉水中に水素を供給し、炉水中の水素と酸
素および過酸化水素を再結合させ、炉内機器の腐食電位
を低下させることにより、SCC発生および進展を抑制
させることに基づく。これらSCC緩和法は現時点では
有効なものとされているが、それだけで万全といえるも
のではなく、表面処理による応力腐食割れ緩和技術は、
重要な開発課題である。
【0005】材料表面処理による緩和技術では、特開平
4−223299号、同4−223300号、同7−1
98893号公報に記載されているように、材料表面に
パラジウムまたは白金をコーティングさせ、さらに水素
注入を行う方法がある。これらの特許では、ステンレス
鋼表面のパラジウムまたは白金の触媒作用によって水中
に存在する水素と酸素を結合させ、また水中に存在する
過酸化水素を分解させることによって、腐食電位を低下
させ、腐食環境を緩和させることを目的としている。
【0006】また特開平3−223488号公報には、
ステンレス鋼表面にクロムメッキを施し、ステンレス鋼
の耐食性を向上させ、SCCの抑制を図る方法が記載さ
れている。さらに、特開平6−228729号公報に
は、優れた高耐食性のジルコニウムセラミック被覆合金
を用いることにより、原子炉等過酷な環境下においても
粒界応力腐食割れの発生を防ぎ、優れた耐食性を有する
構造材料およびその製造方法について開示されている。
また特開平6−322508号公報には、中性子照射に
よる材料劣化を防ぐため、ステンレス鋼の表面にジルコ
ニウムコーティングすることにより、耐食性の向上を目
指すことを目的とした材料の表面改質技術がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の材料表面処理に
よる緩和技術が持つ問題点は以下のとおりである。
【0008】(1)パラジウムまたは白金をコーティン
グさせる方法では、白金族の値段が高く、コスト面で問
題である。またこの緩和方法では水素注入により、溶存
酸素および溶存水素濃度を調整し、適正濃度にしなけれ
ば、腐食電位を低下させることができず、この溶存水素
濃度の調整が非常に難しい。
【0009】(2)酸化ジルコニウムセラミックスを用
いた技術では、ステンレス鋼およびニッケル基合金との
接合性が弱く、剥離しやすいことが挙げられる。
【0010】(3)ジルコニウムコーティング(公知
例、特開平6−228729号および特開平6−322
508号公報)では、溶射工程と再溶解工程の2工程に
より表面改質を行うため、広範囲に渡り均一に皮膜をつ
くることは困難であり、作業日数も大幅にかかる。また
複雑な形をしたものに対しては、作業が困難である。ま
た特開平6−322508号公報のものは表面に合金層
を形成しなければならず、また中性子照射が材料に影響
する範囲に限定されるきらいがある。
【0011】本発明はこれに鑑みなされたもので、その
目的とするところは、比較的安価にして施工が簡単、か
つ施工部が耐久性に富み、その上多少の施工不備があっ
ても充分応力腐食割れの緩和を図ることが可能なこの種
の応力腐食割れ緩和施工方法を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、高温
高圧の水と接する軽水炉プラントの構造物,機器や装置
あるいは配管などの応力腐食割れの緩和を図るその施工
方法において、前記構造物,機器または配管などの応力
腐食割れを緩和したい部分に、4A族金属Ti,Zr,
Hfの何れか1種類または複数種類含む材料の粉末を付
着させ、そしてこの付着した粉末を例えばヒーター装置
などで酸化処理し所期の目的を達成するようにしたもの
である。
【0013】また本発明は、高温高圧の水と接する軽水
炉プラントの構造物,機器または配管の応力腐食割れ緩
和施工方法において、前記構造物,機器または配管の応
力腐食割れを緩和したい部分に、4A族金属Ti,Z
r,Hfの何れか1種類または複数含む母地に近い合金
系の粉末を溶射した後、この母地に近い合金またはその
粉末主成分の一つと同じ主成分よりなり、かつ前記溶射
金属より4A族金属を多く含む合金粉末を溶射し、応力
腐食割れを緩和するようにしたものである。
【0014】また前記緩和したい部分に粉末を溶射する
に際し、電源およびガスボンベを有するとともに、粉末
供給装置を複数備えた溶射装置により溶射し、その後、
別の供給装置より母地に近い合金またはその粉末主成分
の一つと同じ主成分よりなり4A族金属を先の溶射金属
より多く含む合金粉末を溶射するようにしたものであ
る。またこの場合、前記プラントは、沸騰水型軽水炉の
プラントであり、かつ施工後の運転に際し、炉水に水素
を注入して運転するようにしたものである。
【0015】また、前記緩和施工装置が、4A族金属T
i、Zr、Hfの何れか1種類または複数含む材料の粉
末を蓄える粉末貯蔵容器と、この粉末貯蔵容器内の粉末
を、前記対象構造物の応力腐食割れを緩和したい部分に
付着させる粉末供給ノズルと、この粉末供給ノズルへ前
記粉末貯蔵容器から粉末を供給する粉末供給装置と、前
記付着時の余分な粉末を回収する粉末回収装置と、前記
付着された粉末を酸化させるヒーター装置とを備えるよ
うにしたものである。
【0016】すなわちこのような応力腐食割れ緩和施工
方法であると、白金族より安価なTi,ZrまたはHf
の4A族金属またはその合金が用いられることから、例
えば白金族を使用する方法に比べコスト低下が図れ、ま
た水素注入することによって、通常の水素注入では水質
環境改善効果が低い部位に対しても、腐食電位を低下さ
せ、水素注入効果の範囲を広げることができる。さらに
本発明の場合、表面に粉末を付着させ加熱酸化させるだ
けでよいので、母地に溶け込ませる必要が無く、施工が
比較的簡単であり、また多少の施工の不備があっても効
果に変わりはない。また、付着層が加熱酸化されている
ことから、剥離などが生じ難く耐久性に富むものとする
ことができるのである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下図示した実施例に基づいて本
発明を詳細に説明する。
【0018】〔実施例1〕すでに使用されている部位に
適用することを念頭において、鋭敏化304ステンレス
鋼より切り出し、高温水中にて酸化皮膜をつけた試験片
に、Ni:60wt%,Ti:40wt%、平均粒径約60μmのNi-Ti粉
末を試験片表面を湿らせた状態にして表面に付着させた
後、電気炉にて300℃で酸化処理したもの、および高
温水中酸化皮膜を研磨で落とした後、Ni−Ti粉末を
溶着により表面に密着させたものを用い高温高圧純水中
にて単軸定荷重のSCC試験を行った。粉末付着後の酸
化処理は、すでに述べたように、粉末表面の酸化にとも
なう母地酸化皮膜との結合を期待して行ったものであ
る。
【0019】試験温度は、288℃、溶存酸素濃度50
0ppbで行った。また、加速のため、Na2SO4を
導電率が、0.5μS/cmとなるように添加した。負
荷応力は、300MPaである。図2にはその結果が示
されている。これより本施工をしたものは、そうでない
ものに比べ、寿命が倍以上になることがわかる。
【0020】尚、本方法は、表面での腐食電位の低下を
期待しているため、表面に比較的均一に分布していれば
良く、その厚さには関係ない。
【0021】〔実施例2〕高温高圧の水を使用するプラ
ントの一例である沸騰水型原子力炉の圧力境界部である
CRDハウジングに本発明を適用した場合の、チタン−
ニッケル系合金による表面改質処理について述べる。図
3は本実施例の説明に使用する沸騰水型原子炉の縦断面
図である。沸騰水型原子炉は、この図に示されているよ
うに外部容器の原子炉圧力容器1と内部容器のシュラウ
ド2を有し、シュラウド2は溶接によりシュラウドサポ
ートレグ3によって原子炉圧力容器1に固定されてい
る。
【0022】シュラウド2の上部には気水分離器5およ
び蒸気乾燥器6、内部には燃料集合体7が設置されてい
る。原子炉圧力容器1とシュラウド2との間には、炉水
を循環させるジェットポンプ8が設置されている。ま
た、圧力容器底部を貫通して制御棒駆動機構CRDハウ
ジング10とそれを圧力容器下鏡部に溶接固定するCR
Dスタブチューブ11などがある。
【0023】続いて図4を用いて、本実施例のCRDハ
ウジング10溶接部表面改質作業について説明する。表
面改質装置は、粉末貯蔵容器12、粉末供給装置13、
粉末供給・回収ノズル部14、粉末回収吸引装置15お
よび粉末回収容器16を有す。定検時と同様に蒸気発生
器6、気水分離器5、燃料集合体7などを順次取り外
す。続いて原子炉圧力容器内の炉水を取り除き、粉末供
給・回収ノズル部14をCRDハウジング表面近傍に設
置する。粉末供給装置12より供給されたチタン−ニッ
ケル系合金粉末を粉末供給・回収ノズル部14より噴射
し、CRDハウジング溶接部近傍にチタン−ニッケル系
合金の粉末を付着させる。用いる粉末の組成は、Tiが約
35wt%以上のものが望ましい。また、純Tiでも構わない
が、Tiは酸化され易くその粉末は爆発の危険をともなう
のである程度合金化する方が望ましい。
【0024】図5は、粉末供給・回収ノズル部14をよ
り詳細に記述したものである。粉末供給・回収ノズル部
14は、粉末供給ノズル17および供給された過剰の粉
末を回収するための回収ノズル18、これらノズルを固
定するアーム19、アームを回転させるギヤー20とそ
れを動かすモーター21およびそれらをCRDハウジン
グに固定させる固定部22よりなる。
【0025】供給される粉末は、付着効率およびその後
の部分的脱離による燃料などへの悪影響を考えると、微
細であるほどよい。表面に付着した粉末の密着性を上げ
るため、ヒータによる加熱酸化処理をする。加熱雰囲気
は大気であり、加熱温度は、300℃で約60分程度で十
分であるので、その程度に加熱できるものであれば、方
法は問わない。
【0026】〔実施例3〕沸騰水型原子力炉の炉内構造
物であるシュラウドに本発明を適用した場合について、
特にチタン−ニッケル系合金によるシュラウド表面改質
処理と水素注入による炉内環境改善技術を併用した場合
について述べる。
【0027】図6を用いて、本実施例のシュラウド2表
面改質作業について説明する。表面改質装置は、溶射装
置24および粉末供給装置12およびガスボンベ25を
有する。定検時と同様に蒸気発生器6、気水分離器5、
燃料集合体7などを順次取り外した後、シュラウド2表
面を洗浄し、研磨する。ただし原子炉圧力容器1内は、
炉水で満たされている。続いて原子炉圧力容器1内の炉
水を取り除き、溶射装置24をシュラウド2表面近傍に
設置する。
【0028】2つの粉末供給器より順番に成分のことな
る合金を供給し、溶射装置24を用いてシュラウド2表
面に漸変皮膜を形成させる。漸変皮膜とは、先ずシュラ
ウド2表面のステンレス鋼に鉄−ニッケル系合金を溶射
し、次にチタン−ニッケル系合金量を溶射する皮膜のこ
とである。この時、良質な皮膜を形成させるため、ガス
ボンベ25により溶射近傍の雰囲気をアルゴンガス等の
不活性ガスで満たして、溶射を行う。この時の溶射条件
は、例えば500A、100V、キャリアガス流量50
リットル/minである。
【0029】主蒸気系相対線量率の増加を抑制しつつ、
炉水中酸素濃度の低下を図るためには、給水中水素濃度
を0.4ppm程度に制御する必要がある。そこで、給
水中水素濃度を0.4ppmに制御した時、シュラウド
2の上部および中間胴部に本手法によりチタン−ニッケ
ル系合金を被覆し水素注入を行った場合と、水素注入の
み行ったものとの原子炉内の腐食電位分布を計算する
と、次表のようになる。
【0030】
【表1】
【0031】なお、計算は、水素注入のみの場合図1の
SUS316の腐食電位特性を用いて行ない、表面改質
および水素注入したものは図1のSUS316の腐食電
位に対応するチタンニッケル系合金の腐食電位特性を用
いて行った。水素注入のみではシュラウド2上部および
中間胴部において、腐食電位が0mV−SHE以上であ
るが、シュラウド2上部および中間胴部にチタン−ニッ
ケル系合金を被覆し、水素注入を行った場合、腐食電位
が−50mV−SHE以下になり、SCC進展速度が抑
制されると期待される。この電位は、応力腐食割れ発生
を抑制するとされる電位-230mV-SHEに比べて高い。この
ような電位にもっていくために、さらに水素を多く注入
することも考えられるが、タービン系線量率の増加や、
炭素鋼配管の減肉といった悪影響があるため、現状では
この程度が限界と思われる。
【0032】以上種々説明してきたようにこのような応
力腐食割れ緩和施工方法であると、次のような作用およ
び効果を有する。図1に288℃純水中におけるSUS
304および35at%チタンを含むニッケル−チタン
合金の腐食電位の溶存酸素濃度依存性が示されている。
これより溶存酸素濃度200ppb以上では、ニッケル
−チタン合金の腐食電位の方がSUS304よりも約1
00〜200mV低くなるということがわかる。
【0033】同様な結果が、化学的に同じ性質を示す4
A族金属ZrおよびHfについても成り立つことは、容
易に想像できる。これら金属あるいはその合金を、高温
水に接する部材表面に付着させておけば、部材の腐食電
位が低下し、ひいてはSCCの発生および進展を抑制す
ることが可能である。
【0034】本発明を原子力プラント等で使用した場
合、水素注入との併用により、水中溶存酸素が下がるの
でさらにその効果が増す。したがって、水素注入量を低
減するか、または、同じ水素注入量であれば、より広範
囲にその効果を及ぼすことができる。したがって、この
ような施工方法であれば、タービン系線量率の増加を招
くことがなく、水素注入による作業者の放射線被曝が少
なく、ひいては原子力プラントの安全性向上につなが
る。
【0035】本発明は、その性格上、先に述べたように
ただ表面に付着かつ加熱酸化処理するだけで、母地に溶
け込ませる必要が無い。したがって、最も簡単な方法
は、これら4A族金属またはそれを含む合金粉末を、構
造物表面に付着させるだけで目的を達成できる。腐食電
位の低下は、その粉末の付着した領域だけでなく、分極
によりある程度の範囲にも及ぶため、多少の付着しない
領域があっても効果に変わりはないと考えられる。
【0036】また本手法は、加熱酸化処理が施されてい
ることから粉末表面の酸化にともなう母地酸化皮膜との
結合が良好となり、密着性および耐久性に富むものとな
る。また、本発明では、4A族金属を含む表面層の厚さ
はほとんど問わず、部分的な欠陥も許容できるので、成
分に勾配をつけてごく薄く施工すればさらに密着性がよ
く、短い作業日数で済み、作業コストの低下が期待でき
る。
【0037】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明によれ
ば、比較的安価にして施工が簡単、かつ施工部が耐久性
に富み、その上多少の施工不備があっても充分応力腐食
割れの緩和を図ることが可能なこの種の応力腐食割れ緩
和施工方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】チタンニッケル系合金およびSUS316Lの
腐食電位の溶存酸素濃度依存性を示す図である。
【図2】本発明の応力腐食割れ緩和施工方法の第1実施
例におけるSCC試験結果を示す図である。
【図3】本発明の第2実施例で示した沸騰水型原子炉の
縦断側面図である。
【図4】本発明の実施例2で示したCRDハウジング溶
接部の表面改質作業図である。
【図5】図4で示したCRDハウジング溶接部の表面改
質作業図中の粉末供給・回収ノズル部の詳細斜視図であ
る。
【図6】本発明の実施例3で示したコアシュラウド溶接
部の表面改質作業図である。
【符号の説明】
1…原子炉圧力容器、2…シュラウド、3…シュラウド
サポートレグ、4…シュラウドヘッド、5…気水分離
器、6…蒸気乾燥器、7…燃料集合体、8…ジェットポ
ンプ、9…上部格子板、10…CRDハウジング、11
…CRDスタブチューブ、12…貯蔵容器、13…粉末
供給装置、14…粉末供給・回収ノズル部、15…粉末
回収吸引装置、16…粉末回収容器、17…粉末供給ノ
ズル、18…回収ノズル、19…固定アーム、20…ギ
ヤー、21…モーター、22…固定部、23…圧力容器
下鏡、24…溶射装置、25…ガスボンベ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 国谷 治郎 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高温高圧の水と接する軽水炉プラントの
    構造物,機器または配管の応力腐食割れ緩和施工方法に
    おいて、 前記構造物,機器または配管の応力腐食割れを緩和した
    い部分に、4A族金属Ti,Zr,Hfの何れか1種類
    または複数種類含む材料の粉末を付着させ、その後、こ
    の付着した粉末を酸化処理し、応力腐食割れを緩和する
    ようにしたことを特徴とする軽水炉の応力腐食割れ緩和
    施工方法。
  2. 【請求項2】 高温高圧の水と接する軽水炉プラントの
    構造物,機器または配管の応力腐食割れ緩和施工方法に
    おいて、 前記構造物,機器または配管の応力腐食割れを緩和した
    い部分に、4A族金属Ti,Zr,Hfの何れか1種ま
    たは複数種含む母地に近い合金系の粉末を溶射した後、
    この母地に近い合金またはその粉末主成分の一つと同じ
    主成分よりなり、かつ前記溶射金属より4A族金属を多
    く含む合金粉末を溶射し、応力腐食割れを緩和するよう
    にしたことを特徴とする軽水炉の応力腐食割れ緩和施工
    方法。
  3. 【請求項3】 前記緩和したい部分に粉末を溶射するに
    際し、電源およびガスボンベを有するとともに、粉末供
    給装置を複数備えた溶射装置により溶射し、その後、別
    の供給装置より母地に近い合金またはその粉末主成分の
    一つと同じ主成分よりなり4A族金属を先の溶射金属よ
    り多く含む合金粉末を溶射するようにした請求項2記載
    の軽水炉の応力腐食割れ緩和施工方法。
  4. 【請求項4】 前記プラントが、沸騰水型軽水炉のプラ
    ントであり、かつ施工後の運転に際し、炉水に水素を注
    入して運転するようにした請求項1,2または3記載の
    軽水炉の応力腐食割れ緩和施工方法。
  5. 【請求項5】 高温高圧の水と接する軽水炉プラントの
    構造物,機器または配管の応力腐食割れの緩和処置を施
    す応力腐食割れ緩和施工装置において、 前記装置が、4A族金属Ti,Zr,Hfの何れか1種
    類または複数種類含む材料の粉末を蓄える粉末貯蔵容器
    と、この粉末貯蔵容器内の粉末を、前記対象構造物の応
    力腐食割れを緩和したい部分に付着させる粉末供給ノズ
    ルと、この粉末供給ノズルにより付着された粉末を酸化
    させるヒーター装置と、を備えていることを特徴とする
    軽水炉の応力腐食割れ緩和施工装置。
  6. 【請求項6】 高温高圧の水と接する軽水炉プラントの
    構造物,機器または配管の応力腐食割れの緩和処置を施
    す応力腐食割れ緩和施工装置において、 前記装置が、4A族金属Ti、Zr、Hfの何れか1種
    類または複数含む材料の粉末を蓄える粉末貯蔵容器と、
    この粉末貯蔵容器内の粉末を、前記対象構造物の応力腐
    食割れを緩和したい部分に付着させる粉末供給ノズル
    と、この粉末供給ノズルへ前記粉末貯蔵容器から粉末を
    供給する粉末供給装置と、前記付着時の余分な粉末を回
    収する粉末回収装置と、前記付着された粉末を酸化させ
    るヒーター装置と、を備えていることを特徴とする軽水
    炉の応力腐食割れ緩和施工装置。
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