JPH10139717A - 二塩基酸及び電解液組成物 - Google Patents

二塩基酸及び電解液組成物

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JPH10139717A
JPH10139717A JP31544296A JP31544296A JPH10139717A JP H10139717 A JPH10139717 A JP H10139717A JP 31544296 A JP31544296 A JP 31544296A JP 31544296 A JP31544296 A JP 31544296A JP H10139717 A JPH10139717 A JP H10139717A
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JP
Japan
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acid
dibasic acid
cyclohexanone
dimethylcyclohexanone
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Application number
JP31544296A
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English (en)
Inventor
Tomoki Koshiyama
智樹 越山
Yukio Kitagawa
幸緒 北川
Shuji Kawai
修司 河合
Michihide Tokashiki
通秀 渡嘉敷
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New Japan Chemical Co Ltd
Original Assignee
New Japan Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規有用な二塩基酸を提供すると共に、それ
を用いて、電気的特性が良好で、且つ、長期間放置した
り、低温での動作中に結晶を析出しにくい電解コンデン
サー駆動用電解液組成物を提供することを目的とする。 【構成】 本発明に係る二塩基酸は、特定のシクロヘキ
サノン類の1種若しくは2種以上をフェントン酸化し、
次いで加水分解して得られることを特徴とする。本発明
は、同時に、上記の二塩基酸及び/又はその塩を溶媒に
溶解してなる電解コンデンサー駆動用電解液組成物を提
供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規有用な二塩基
酸及びそれを用いた電解コンデンサー駆動用電解液組成
物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、アルミニウム電解コンデンサー
は、エッチング及び化成処理を施した陽極アルミ箔と陰
極アルミ箔の間に電解液を含浸させた電解紙を巻き込ん
だ構造をとる。この様な電解コンデンサーの電気特性
は、電解液の化学的あるいは電気的特性に起因すること
が多い。
【0003】従来、電解コンデンサー駆動用電解液とし
ては、エチレングリコールを主体とした溶媒に電解質と
してホウ酸を用いたものが使用されているが(特公昭3
1−8971号)、エチレングリコールとホウ酸がエス
テルを形成する際に水を生成し、高温で使用する場合に
水の気化による内圧上昇が生じ外装ケースの変形及び破
裂を引き起こすことが知られている。
【0004】又、有機酸及び/又はそのアンモニウム塩
を電解質として用いた電解液も提案されている(特公昭
45−40226号、特公昭46−43333号、特公
昭47−30461号)。例えばエチレングリコールを
主体とした溶媒に、アジピン酸、セバシン酸及び/又は
そのアンモニウム塩を電解質として使用した電解液は、
極めて低い比抵抗を有するが、火花発生電圧が低いとい
う欠点がある。更に、長鎖脂肪族二塩基酸及び/又はそ
の塩を溶質として使用した例もあるが(特開昭52−8
5356号)、溶媒に対する溶解度が低く、長期間放置
もしくは低温で動作した場合に結晶が析出するという欠
点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低い比抵抗
値及び高い火花発生電圧を有し、且つ長期間放置しても
低温での動作中においても結晶を析出しにくい電解コン
デンサー駆動用電解液を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成すべく鋭意検討の結果、特定のシクロヘキサノン
類から誘導される二塩基酸が文献未知の新規な化合物で
あり、当該二塩基酸及び/又はその塩を電解質として溶
解させた電解コンデンサー駆動用電解液組成物が所定の
効果を奏することを見いだし、かかる知見に基づいて本
発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、一般式(1)で表される
シクロヘキサノン類の1種若しくは2種以上をフェント
ン酸化し、次いで加水分解して得られる二塩基酸を提供
する。
【0008】
【化3】 [式中、R1、R2は同一又は異なっていて炭素数1〜4
のアルキル基を示す。]
【0009】更に、本発明は、一般式(1)で表される
シクロヘキサノン類の1種若しくは2種以上と一般式
(2)で表されるシクロヘキサノン類の1種若しくは2
種以上との混合物をフェントン酸化し、次いで加水分解
して得られる二塩基酸をも同時に提供する。
【0010】
【化4】 [式中、R3は水素又は炭素数1〜4のアルキル基を示
す。]
【0011】本発明に係る二塩基酸の原料である、一般
式(1)で表されるシクロヘキサノン類のR1、R2は、
炭素数1〜4の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基であ
り、一般式(2)で表されるシクロヘキサノン類のR3
は水素又は炭素数1〜4のアルキル基である。この様な
アルキル基として、例えばメチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル
基、tert−ブチル基が挙げられる。
【0012】二塩基酸の原料である、一般式(1)で表
される好ましいシクロヘキサノン類としては、例えば、
2,3−ジメチルシクロヘキサノン、2,4−ジメチル
シクロヘキサノン、2,5−ジメチルシクロヘキサノ
ン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、3,4−ジメ
チルシクロヘキサノン、3,5−ジメチルシクロヘキサ
ノン、3,4−ジエチルシクロヘキサノン、3,5−ジ
エチルシクロヘキサノン、3,4−ジ−n−プロピルシ
クロヘキサノン、3,5−ジ−n−プロピルシクロヘキ
サノン、3,4−ジイソプロピルシクロヘキサノン、
3,5−ジイソプロピルシクロヘキサノン、3,4−ジ
−n−ブチルシクロヘキサノン、3,5−ジ−n−ブチ
ルシクロヘキサノン、3,4−ジイソブチルシクロヘキ
サノン、3,5−ジイソブチルシクロヘキサノン、3,
4−ジ−tert−ブチルシクロヘキサノン、3,5−ジ−
tert−ブチルシクロヘキサノン、3−メチル−4−エチ
ルシクロヘキサノン、3−エチル−4−エチルシクロヘ
キサノン、3−エチル−5−メチルシクロヘキサノン、
3−メチル−5−n−プロピルシクロヘキサノン、3−
メチル−5−イソプロピルシクロヘキサノン、3−メチ
ル−5−n−ブチルシクロヘキサノン、3−メチル−5
−イソブチルシクロヘキサノン、3−メチル−5−tert
−ブチルシクロヘキサノンが例示され、1種若しくは2
種以上を混合して使用することができる。
【0013】一般式(2)で表される好ましいシクロヘ
キサノン類としては、シクロヘキサノン、2−メチルシ
クロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、3−エ
チルシクロヘキサノン、3−n−プロピルシクロヘキサ
ノン、3−プロピルシクロヘキサノン、3−n−ブチル
シクロヘキサノン、3−イソブチルシクロヘキサノン、
3−tert−ブチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロ
ヘキサノン、4−エチルシクロヘキサノン、4−n−プ
ロピルシクロヘキサノン、4−イソプロピルシクロヘキ
サノン、4−n−ブチルシクロヘキサノン、4−イソブ
チルシクロヘキサノン、4−tert−ブチルシクロヘキサ
ノンが例示され、1種若しくは2種以上を混合して使用
することができる。
【0014】二塩基酸の原料であるシクロヘキサノンに
アルキル基を結合させることにより、得られる二塩基酸
が分岐鎖状となり、従来用いられている直鎖状の二塩基
酸であるアジピン酸、セバシン酸等と比して、溶媒に対
する溶解性が向上する。
【0015】一般式(1)で表されるシクロヘキサノン
類と一般式(2)で表されるシクロヘキサノン類を混合
する場合、その混合比は特に限定されない。例えば、両
者の組成は、それぞれ1:99モル%〜99:1モル%
が例示される。
【0016】本発明に係る二塩基酸の製造方法は、シク
ロヘキサノンを出発原料とし、フェントン酸化(例えば
J.Amer.Chem.Soc.、85巻、1437頁、1963年、
J.Amer.Chem.Soc.、84巻、3946頁、1962年、
J.C.S.、1952年、1180頁)する工程と加水分解
する工程を経る。その方法を例示すると、極性溶媒中、
特定温度下で、酸触媒存在下、シクロヘキサノン類に過
酸化水素水を添加し、シクロヘキサノンペルオキシドを
得る(以下「第一段階」という)。続いて、極性溶媒
中、シクロヘキサノンペルオキシドを還元性金属イオン
の作用で分解することにより二量化させ、二塩基酸ジエ
ステルを得る(以下「第二段階」という)。この際、シ
クロヘキサノンペルオキシドが残存することも考えられ
るため、硫酸等の酸によりシクロヘキサノンペルオキシ
ドを分解する。更に、得られたジエステルを加水分解す
ることにより二塩基酸へと導く。
【0017】フェントン酸化工程における第一段階で
は、反応温度は0〜40℃、好ましくは5〜15℃であ
る。
【0018】フェントン酸化工程における第一段階の反
応時間は5分〜1時間、好ましくは10〜30分であ
る。
【0019】触媒に使用する酸としては、硫酸、塩酸、
硝酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホ
ン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のプロトン酸、
リンタングステン酸、ケイタングステン酸等のヘテロポ
リ酸が例示され、好ましくは硫酸が挙げられる。その使
用量はアルキルシクロヘキサノンに対し0.01〜0.
2倍モル、好ましくは0.02〜0.08倍モルであ
る。
【0020】過酸化水素水は30〜60%濃度のものを
使用し、アルキルシクロヘキサノンに対して0.5〜
1.5倍モル、好ましくは、0.8〜1.2倍モルであ
る。
【0021】フェントン酸化工程における第二段階では
反応温度は0〜40℃、好ましくは5〜10℃である。
【0022】フェントン酸化工程における第二段階の反
応時間は10分〜3時間、好ましくは30分〜1時間で
ある。
【0023】使用する還元性金属イオンとしては、銅
(I)イオン、鉄(II)イオンが例示される。具体的に
は、銅(I)イオン塩としては、塩化銅(I)が挙げら
れ、鉄(II)イオン塩としては、硫酸鉄(II)、硫酸鉄
(II)アンモニウム、塩化鉄(II)等が挙げられる。中
でも、硫酸鉄(II)を使用するのが好ましい。
【0024】還元性金属イオンの使用量は、シクロヘキ
サノンに対して1〜10倍モル、好ましくは1〜2倍モ
ルである。
【0025】反応に使用される極性溶媒として、具体的
には水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ
プロパノール等の溶媒が例示できる。その使用量は、第
一段階ではシクロヘキサノンに対して10〜30倍モ
ル、好ましくは15〜20倍モル、第二段階ではシクロ
ヘキサノンに対して10〜150倍モル、好ましくは2
0〜50倍モルである。第一段階、第二段階共に、アル
ゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気下で反応を行うことが
好ましい。
【0026】フェントン酸化工程で得られた二塩基酸ジ
エステルは、引き続き、常法に従い加水分解することに
より二塩基酸となる。加水分解は、酸加水分解、アルカ
リ加水分解等により行われる。酸触媒としては、希硫
酸、希塩酸、リン酸等が例示され、アルカリ触媒として
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム、炭酸ナトリウム等が例示される。触媒量は、常法の
範囲内であれば特に限定されないが、通常、0.01倍
モル〜10倍モル程度用いられる。
【0027】溶媒としては、通常、水を用い、室温若し
くは加熱処理することにより加水分解を行う。加水分解
後の後処理は、溶媒抽出、結晶化等の慣用の方法により
行うことができる。
【0028】二塩基酸を調製する場合、通常、フェント
ン酸化では、数種類の二塩基酸の混合物として得られる
ため、フェントン酸化後の二塩基酸エステルを個々の成
分に分離することも可能であり、加水分解後の二塩基酸
を個々の成分に分離することも可能である。分離方法と
しては、慣用の分離精製方法、例えば晶析、イオン交換
クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーによ
る分取等が例示できる。
【0029】更に、本発明に係る電解液組成物は、一般
式(1)で表されるシクロヘキサノン類の1種若しくは
2種以上をフェントン酸化し、次いで加水分解して得ら
れる二塩基酸及び/又はその塩を溶媒に溶解してなるこ
とを特徴とする。
【0030】同時に、本発明に係る電解液組成物は、一
般式(1)で表されるシクロヘキサノン類の1種若しく
は2種以上と一般式(2)で表されるシクロヘキサノン
類の1種若しくは2種以上との混合物をフェントン酸化
し、次いで加水分解して得られる二塩基酸及び/又はそ
の塩を溶媒に溶解してなることを特徴とする。
【0031】電解液組成物中の二塩基酸を塩の形で用い
る場合、塩の調製は、電解液に使用する溶媒中で塩を形
成することも可能であり、又、塩を調製後、溶媒中に溶
解することも可能である。いずれの方法を用いても同様
の性質の電解液組成物が調製できる。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明に係る電解液組成物中の二
塩基酸の塩としては、アンモニウム塩及びアミン塩が例
示され、その1種若しくは2種以上を混合して使用する
ことができる。当該アミン塩を形成するアミン類は、一
般式(3)で表される一級、二級、三級アミン及び四級
アンモニウムである。
【0033】
【化5】 [R4、R5、R6は各々同一又は異なっていて、水素又
は炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基を
示す。但し、R4、R5、R6のすべてが水素原子である
ことはない。]
【0034】具体例として、一級アミン類としては、メ
チルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルア
ミン、エタノールアミン等が例示される。
【0035】二級アミン類としては、ジメチルアミン、
ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、
メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブ
チルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミ
ン、プロピルブチルアミン、ジエタノールアミン等が例
示される。
【0036】三級アミン類としては、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチ
ルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジエチルヒ
ドロキシルアミン等が例示される。
【0037】更に、四級アンモニウム塩として、テトラ
メチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、
トリメチルエチルアンモニウム塩、トリメチルプロピル
アンモニウム塩、トリメチルブチルアンモニウム塩、ジ
エチルジメチルアンモニウム塩、エチルジメチルプロピ
ルアンモニウム塩等が例示される。
【0038】本発明に係る電解液組成物は、フェントン
酸化し、次いで加水分解して得られた二塩基酸及び/又
はその塩の、2種類以上を混合して電解液組成物に適応
することも可能である。この場合、フェントン酸化前に
原料同士を混合する場合と、フェントン酸化後に混合す
る場合では、生成物である二塩基酸は異なり、その結
果、電解液組成物の物性も異なる。
【0039】電解液に使用する溶媒としては、グリコー
ル類、エーテル類、アミド類、ラクトン類、カーボネー
ト類、硫黄化合物類が挙げられ、その1種若しくは2種
以上を混合して使用することができる。
【0040】具体例として、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレン
グリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリ
コールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
メチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエー
テル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエ
チレングリコールジメチルエーテル、ホルムアミド、N
−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルム
アミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルア
セトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチ
ルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、
N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブ
チロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボ
ネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネー
トが例示され、更に、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、N−メチルピロリドン、エチレンカー
ボネートが推奨される。
【0041】二塩基酸及び/又はその塩の電解液組成物
中への添加量は、通常、1〜30重量%が例示され、好
ましくは5〜20重量%が挙げられる。
【0042】更に、本発明に係る電解液組成物は、その
溶質として、本発明に係る二塩基酸以外の有機酸、例え
ばアジピン酸、セバシン酸、フマル酸、アゼライン酸、
メチルマレイン酸、メチルフマル酸、イタコン酸、グル
タコン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、
ジグリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、
乳酸等若しくはホウ酸を適宜併用することも可能であ
る。
【0043】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0044】尚、化合物の同定は二塩基酸ジメチルエス
テルの合成段階でGCMS、FT-IRにて行った。以下にGCMS
の測定条件を示す。 カラム :2%Silicone OV-1 CW(AW-DMCS)φ3mm×2m カラム温度:100-200℃ 昇温10℃/min 流量 :He 40ml/min
【0045】更に、電解液組成物としての評価は比抵抗
値(Ω・cm/30℃)及び火花発生電圧(V)の測定に
より行った。比抵抗値は、数値が小さいほど損失が少な
く電解液組成物としては好適である。更に、火花発生電
圧は数値が大きいほど耐電圧性がよい。
【0046】比抵抗値は導電率計にて測定した。
【0047】火花発生電圧は、高中圧用化成箔試験法
(「アルミニウム乾式電解コンデンサ」、537頁、永
田伊佐也著、日本蓄電器工業株式会社発行、昭和58年
出版)により測定した。
【0048】実施例に用いた二塩基酸アンモニウム塩の
調製方法は以下のように行った。即ち、所定の二塩基酸
のメタノール溶液(溶解する程度のメタノール量)中
に、理論量の2倍程度のアンモニア水溶液を加え、室温
で30分撹拌した。続いて、過剰のアンモニア水及びメ
タノールを留去した後、乾燥することにより二塩基酸ア
ンモニウム塩とした。
【0049】実施例1 温度計、撹拌装置を備え付けた2Lの反応容器に3,5
−ジメチルシクロヘキサノン112g(0.89モ
ル)、メタノール700ml(17モル)、硫酸4.7
g(0.05モル)を入れて5℃まで冷却し、窒素雰囲
気下で30%過酸化水素水101g(0.89モル)を
反応液の温度が10℃を超えないようにゆっくりと滴下
し、滴下終了後10分間撹拌し、3,5−ジメチル−1
−メトキシシクロヘキシルペルオキシドのメタノール溶
液を調製した。
【0050】別の2L反応容器に硫酸鉄(II)7水和物
371g(1.3モル)、メタノール1000ml(2
5モル)を混合し系内を窒素で置換した。10℃に冷却
した後、先に調製した3,5−ジメチル−1−メトキシ
シクロヘキシルペルオキシドのメタノール溶液を窒素雰
囲気下で徐々に滴下した。滴下終了後1時間撹拌した
後、50%硫酸100gを加え更に30分間撹拌した。
反応液からメタノールを留去後、エーテル抽出、水洗、
溶媒留去、減圧下乾燥させた後、テトラメチルデカンジ
カルボン酸ジメチル88gを淡黄色液体として得た。
【0051】GCMSで分析を行ったところ、得られたテト
ラメチルデカンジカルボン酸ジメチルは少なくとも三種
類以上の混合物で、その分子量はすべて314であっ
た。
【0052】GCMS:314(M+)、FT-IR(neat):1
742cm-1(エステルカルボニル)
【0053】撹拌装置、冷却管を備え付けた1L反応容
器に上記のテトラメチルデカンジカルボン酸ジメチル8
8g、水酸化ナトリウム29g(0.7モル)及び水4
00ml、エタノール100mlを混合し5時間加熱還
流を行った。反応液をトルエンで洗浄した後に硫酸を加
えて酸性にし、トルエンで抽出、水洗を行った後にテト
ラメチルデカンジカルボン酸66g(収率52%)を得
た。
【0054】酸価:386、FT-IR(neat):1712c
m-1(カルボン酸)
【0055】実施例2 3,4−ジメチルシクロヘキサノン112g(0.89
モル)を使用した他は実施例1と同様に反応を行い、テ
トラメチルデカンジカルボン酸ジメチル86gを得た。
テトラメチルデカンジカルボン酸ジメチルをGCMSで分析
を行ったところ少なくとも三種類以上の混合物で、その
分子量はすべて314であった。
【0056】GCMS:314(M+)、FT-IR(neat):1
742cm-1(エステルカルボニル)
【0057】続いて、実施例1と同様の方法によりメチ
ルエステルを加水分解し、テトラメチルデカンジカルボ
ン酸75g(収率59%)を得た。
【0058】酸価:387、FT-IR(neat):1712c
m-1(カルボン酸)
【0059】実施例3 シクロヘキサノン類として、20:80モル%の3,5
−ジメチルシクロヘキサノンと3−メチルシクロヘキサ
ノンの混合物102g(0.89モル)を使用した他は
実施例1と同様に反応を行い、二塩基酸ジメチル73g
を得た。二塩基酸ジメチルをGCMSで分析を行ったとこ
ろ、総炭素数C16、C17、C18の混合物で、その
分子量は286、300、314であった。
【0060】GCMS:286、300、314(M+)、FT
-IR(neat):1741cm-1(エステルカルボニル)
【0061】続いて、実施例1と同様の方法によりメチ
ルエステルを加水分解し、二塩基酸59g(収率50
%)を得た。
【0062】酸価:420、FT-IR(neat):1712c
m-1(カルボン酸)
【0063】実施例4 シクロヘキサノン類として、50:50モル%の3,5
−ジメチルシクロヘキサノンと3−メチルシクロヘキサ
ノンの混合物106g(0.89モル)を使用した他は
実施例1と同様に反応を行い、二塩基酸ジメチル80g
を得た。二塩基酸ジメチルをGCMSで分析を行ったとこ
ろ、総炭素数C16、C17、C18の混合物で、その
分子量は286、300、314であった。
【0064】GCMS:286、300、314(M+)、FT
-IR(neat):1741cm-1(エステルカルボニル)
【0065】続いて、実施例1と同様の方法によりメチ
ルエステルを加水分解し、二塩基酸71g(収率59
%)を得た。
【0066】酸価:408、FT-IR(neat):1712c
m-1(カルボン酸)
【0067】実施例5 シクロヘキサノン類として、80:20モル%の3,5
−ジメチルシクロヘキサノンと3−メチルシクロヘキサ
ノンの混合物110g(0.89モル)を使用した他は
実施例1と同様に反応を行い、二塩基酸ジメチル83g
を得た。二塩基酸ジメチルをGCMSで分析を行ったとこ
ろ、総炭素数C16、C17、C18の混合物で、その
分子量は286、300、314であった。
【0068】GCMS:286、300、314(M+)、FT
-IR(neat):1742cm-1(エステルカルボニル)
【0069】続いて、実施例1と同様の方法によりメチ
ルエステルを加水分解し、二塩基酸74g(収率59
%)を得た。
【0070】酸価:396、FT-IR(neat):1712c
m-1(カルボン酸)
【0071】実施例6 シクロヘキサノン類として、50:50モル%の3,5
−ジメチルシクロヘキサノンとシクロヘキサノンの混合
物100g(0.89モル)を使用した他は実施例1と
同様に反応を行い、二塩基酸ジメチル78gを得た。二
塩基酸ジメチルをGCMSで分析を行ったところ、総炭素数
C14、C16、C18の混合物で、その分子量は25
8、286、314であった。
【0072】GCMS:258、286、314(M+)、FT
-IR(neat):1741cm-1(エステルカルボニル)
【0073】続いて、実施例1と同様の方法によりメチ
ルエステルを加水分解し、二塩基酸68g(収率59
%)を得た。
【0074】酸価:429、FT-IR(neat):1712c
m-1(カルボン酸)
【0075】実施例7 シクロヘキサノン類として、50:50モル%の3,4
−ジメチルシクロヘキサノンと3−メチルシクロヘキサ
ノンの混合物106g(0.89モル)を使用した他は
実施例1と同様に反応を行い、二塩基酸ジメチル83g
を得た。二塩基酸ジメチルをGCMSで分析を行ったとこ
ろ、総炭素数C16、C17、C18の混合物で、その
分子量は286、300、314であった。
【0076】GCMS:286、300、314(M+)、FT
-IR(neat):1741cm-1(エステルカルボニル)
【0077】続いて、実施例1と同様の方法によりメチ
ルエステルを加水分解し、二塩基酸74g(収率61
%)を得た。
【0078】酸価:407、FT-IR(neat):1712c
m-1(カルボン酸)
【0079】実施例8〜16 実施例1〜7の二塩基酸アンモニウム塩を用いて、第1
表に示す組成の電解液組成物を調製し、比抵抗値及び火
花発生電圧を測定した。その結果を第1表に示す。
【0080】更に、実施例1〜7の二塩基酸アンモニウ
ム塩をエチレングリコールに溶解し、15重量%電解液
組成物を調製した。本組成物を、−20℃、−40℃、
−70℃の各温度まで冷却した際の固体の析出の有無に
より低温溶解性を評価した(固体が不溶又は析出した場
合を×とし、析出せず、溶解の場合を○とする)。その
結果を第2表に示す。
【0081】第1表に示したように、実施例の二塩基酸
は、いずれも、比抵抗値が低く、火花発生電圧が高い傾
向を示し、電解コンデンサー駆動用電解液組成物の電解
質として好適なバランスを示していることがわかる。更
に、低温においても二塩基酸の析出は見られない。
【0082】比較例1 ホウ酸16.5重量%、ホウ酸アンモニウム16.5重
量%及びエチレングリコール67重量%を混合し、電解
液組成物を調製した。本組成物の比抵抗値及び火花発生
電圧を測定した。その結果を第1表に示す。
【0083】比較例2 アジピン酸アンモニウム10重量%、エチレングリコー
ル90重量%を混合し、電解液組成物を調製した。本組
成物の比抵抗値及び火花発生電圧を測定した。その結果
を第1表に示す。
【0084】更に、アジピン酸アンモニウム塩をエチレ
ングリコールに溶解し、15重量%電解液組成物を調製
した。本組成物の、−20℃、−40℃、−70℃の各
温度まで冷却した際の低温溶解性を評価した。その結果
を第2表に示す。
【0085】比較例3 セバシン酸アンモニウム10重量%、エチレングリコー
ル90重量%を混合し、電解液組成物を調製した。本組
成物の比抵抗値及び火花発生電圧を測定した。その結果
を第1表に示す。
【0086】更に、セバシン酸アンモニウム塩をエチレ
ングリコールに溶解し、15重量%電解液組成物を調製
した。本組成物の、−20℃、−40℃、−70℃の各
温度まで冷却した際の低温溶解性を評価した。その結果
を第2表に示す。
【0087】比較例2、3の二塩基酸は比抵抗値は低
く、電解液組成物として好適であるが、同時に火花発生
電圧も低く、バランスが悪い。更に、低温においては二
塩基酸が析出する。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
【発明の効果】本発明のシクロヘキサノン類からフェン
トン酸化し、次いで加水分解して得られる新規有用な二
塩基酸及び/又はその塩は、分岐状のアルキル基を分子
内に導入したことにより、従来から用いられている直鎖
状の二塩基酸と比べて、エチレングリコールに対して極
めて高い溶解性を示し、低温から高温における広い温度
範囲で電解コンデンサー駆動用電解液の電解質として好
適である。又、その結果得られるコンデンサーの電気的
特性は、低い比抵抗及び高い火花発生電圧を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡嘉敷 通秀 京都府京都市伏見区葭島矢倉町13番地 新 日本理化株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)で表されるシクロヘキサノ
    ン類の1種若しくは2種以上をフェントン酸化し、次い
    で加水分解して得られる二塩基酸。 【化1】 [式中、R1、R2は同一又は異なって炭素数1〜4のア
    ルキル基を示す。]
  2. 【請求項2】 一般式(1)で表されるシクロヘキサノ
    ン類の1種若しくは2種以上と一般式(2)で表される
    シクロヘキサノン類の1種若しくは2種以上との混合物
    をフェントン酸化し、次いで加水分解して得られる二塩
    基酸。 【化2】 [式中、R3は水素又は炭素数1〜4のアルキル基を示
    す。]
  3. 【請求項3】 一般式(1)で表されるシクロヘキサノ
    ン類が3,4−ジメチルシクロヘキサノン及び/又は
    3,5−ジメチルシクロヘキサノンである請求項1又は
    2に記載の二塩基酸。
  4. 【請求項4】 一般式(1)で表されるシクロヘキサノ
    ン類の1種若しくは2種以上をフェントン酸化し、次い
    で加水分解して得られる二塩基酸及び/又はその塩を溶
    媒に溶解してなる電解コンデンサー駆動用電解液組成
    物。
  5. 【請求項5】 一般式(1)で表されるシクロヘキサノ
    ン類の1種若しくは2種以上と一般式(2)で表される
    シクロヘキサノン類の1種若しくは2種以上との混合物
    をフェントン酸化し、次いで加水分解して得られる二塩
    基酸及び/又はその塩を溶媒に溶解してなる電解コンデ
    ンサー駆動用電解液組成物。
  6. 【請求項6】 一般式(1)で表されるシクロヘキサノ
    ン類が3,4−ジメチルシクロヘキサノン及び/又は
    3,5−ジメチルシクロヘキサノンである請求項4又は
    5に記載の電解コンデンサー駆動用電解液組成物。
  7. 【請求項7】 溶媒が、エチレングリコール、プロピレ
    ングリコール、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメ
    チルホルムアミド、N−メチルピロリドン、エチレンカ
    ーボネートより選ばれる1種若しくは2種以上である請
    求項4〜6のいずれかの請求項に記載の電解コンデンサ
    ー駆動用電解液組成物。
JP31544296A 1996-11-11 1996-11-11 二塩基酸及び電解液組成物 Withdrawn JPH10139717A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1005053A2 (en) 1998-11-26 2000-05-31 Okamura Oil Mills, Ltd. Composition comprising long chain dibasic acids and electrolytic solution using thereof
CN110541008A (zh) * 2018-05-29 2019-12-06 上海凯赛生物技术股份有限公司 一种长链二元酸铵的制备方法及其应用

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1005053A2 (en) 1998-11-26 2000-05-31 Okamura Oil Mills, Ltd. Composition comprising long chain dibasic acids and electrolytic solution using thereof
EP1005053A3 (en) * 1998-11-26 2004-01-07 Okamura Oil Mills, Ltd. Composition comprising long chain dibasic acids and electrolytic solution using thereof
CN110541008A (zh) * 2018-05-29 2019-12-06 上海凯赛生物技术股份有限公司 一种长链二元酸铵的制备方法及其应用

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