JPH10138046A - 歯車仕上加工装置のワーク支持機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 回転中の内歯歯車状砥石１３に、歯車素
材Ｗを噛み合わせ、この歯車素材Ｗを昇降させつつ連回
り（つれ回り）させることによりホーニング仕上げする
歯車仕上加工装置１において、ワーク回転軸４９、クラ
ッチ４６及びワーク割出し用モータ４３を同一直線上に
収納して歯車仕上加工装置１のワーク支持機構４０を構
成する。 【効果】 摺動筒内にワーク回転軸、クラッチ及びワー
ク割出し用モータを同一直線上に収納したので、ワーク
支持機構が機能的にまとまった構造となり、これらの部
品のシールがしやすく、歯車仕上加工装置の信頼性が向
上した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は予め歯型を形成した
歯車の中加工品を精密に仕上げる歯車仕上加工装置のワ
ーク支持機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】歯車仕上加工装置のワーク支持機構とし
て、例えば特開平６−７９５２６号公報「歯車仕上加
工装置」や特開平６−１４３０３１号公報「歯車仕上
加工装置」が知られている。

【０００３】図９は従来の歯車仕上加工装置のワーク支
持機構の説明図であり、上記の図３の要部を表したも
のである。なお、便宜上番号は振り直してある。上記
の歯車仕上加工装置１００は、直角型ベッド１０１と、
この直角型ベッド１０１にガイドレール１０３を介して
昇降自在に取付けたワーク支持ユニット１０４と、この
ワーク支持ユニット１０４を駆動する昇降駆動部１０５
と、直角型ベッド１０１の上部に設けた砥石ヘッド１０
６と、直角型ベッド１０１の下部に設けたクーラント回
収ユニット１０７とからなる。

【０００４】そのワーク支持機構であるワーク支持ユニ
ット１０４は、ガイドレール１０３に嵌合した本体１１
１と、この本体１１１の中央に設けたワークスピンドル
１１２と、このワークスピンドル１１２の下部に設けた
ワーク割出しギヤ１１３と、このワーク割出しギヤ１１
３に伝達ギヤ１１５を介して接続したワーク割出し用モ
ータ１１６と、ワークスピンドル１１２の上部に設けた
ワーク保持治具１１７とからなる。なお、ワーク保持治
具１１７上部には、直角型ベッド１０１から延したスタ
ンド台１１８を上下スライド可能に取付けたテールスト
ック１１９を備える。１２１はワークである歯車素材で
ある。

【０００５】上記に示される歯車仕上加工装置１のワ
ーク支持機構は、同公報図２に示される通り、ベッド４
と、このベッド４の中央に凹部を備え上方に開口した開
口部５と、この開口部５を覆うホルダ１６と、このホル
ダのセンタを上下可動自在に設けた上下動クイル１０
と、この上下動クイル１０の下端にギヤ列１４を介して
接続した上下モータ１５と、上下動クイル１０の上端に
設けたワーク支持センタ８とからなる。なお、ワーク支
持センタ８の上部には、ワーク支持ユニット７を備え
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記は、ワークの位
相決め機能を付加するために２軸とした。すなわち、図
９で、ワーク支持ユニット１０４にワーク割出しギヤ１
１３に伝達ギヤ１１５を介してワーク割出し用モータ１
１６を接続しているため両ギヤ１１３，１１５間にバッ
クラシュが発生し、ワークの位相決め精度は良くない。
また、ワーク支持ユニット１０４を直角型ベッド１０１
にガイドレール１０３を介して昇降自在に取付けたため
可動部分のシールが困難で、ガイドレール１０３、ワー
ク支持ユニット１０４及びワーク割出し用モータ１１６
などにクーラント液やホーニング仕上げをした切り粉が
付着しやすく、装置の信頼性の点でも問題があった。上
記は、ワークの位相決め機能がないので、ワークの位
相決めを人手にたよざるを得ず、生産性が悪かった。

【０００７】そこで、本発明の目的は、ワークの位相決
め精度がよく、歯車仕上加工装置の信頼性を確保しつつ
生産性の向上をはかることのできるワーク支持機構を提
供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項１は、回転中の内歯歯車状砥石に、歯車素材を
噛み合わせ、この歯車素材を昇降させつつ連回り（つれ
回り）させることによりホーニング仕上げする歯車仕上
加工装置において、歯車素材を支えるワーク支持機構
は、歯車仕上加工装置のベッドに開けた開口部に取付け
た筒状ガイド部材と、この筒状ガイド部材の内を昇降す
る摺動筒と、この摺動筒内に回転可能に取付けたワーク
回転軸と、このワーク回転軸の上部に一体的に設けたワ
ークチャック手段と、ワーク回転軸の下端にクラッチを
介して連結したワーク割出し用モータと、摺動筒、ワー
ク回転軸、ワークチャック手段、クラッチ並びにワーク
割出し用モータを一括して昇降する昇降手段とからな
り、ワーク回転軸、クラッチ及びワーク割出し用モータ
を同一直線上に収納して歯車仕上加工装置のワーク支持
機構を構成する。

【０００９】摺動筒内にワーク回転軸、クラッチ及びワ
ーク割出し用モータを同一直線上に収納したので、ワー
ク支持機構が機能的にまとまった構造となった。従っ
て、これらの部品のシールがしやすく、歯車仕上加工装
置の信頼性が向上した。また、ワークチャック手段とワ
ーク割出し用モータとをギヤを介することなく接続した
ので、ギヤを用いた場合に発生するバックラシュの影響
がない。従って、ワークの位相決め精度を向上すること
ができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図に基
づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見る
ものとする。図１は本発明に係る歯車仕上加工装置の側
面図である。歯車仕上加工装置１は、ベッド２と、この
ベッド２を貫通する開口部３と、ベッド２上に設けたレ
ール４，４（一方のみ図示）と、ベッド２の側面に配置
した制御盤５と、この制御盤５の側部に配置したクーラ
ントを回収する回収タンク７と、砥石ヘッドユニット１
０と、昇降手段３０と、ワーク支持機構４０とからな
る。

【００１１】図２は図１の２矢視図であり、本発明に係
る歯車仕上加工装置の平面を示す。砥石ヘッドユニット
１０は、砥石本体部１１と、送り機構１２とからなる。
砥石本体部１１は、内歯歯車（又は、内歯車という。）
形状の砥石１３と、この砥石１３を回転自在に支持する
砥石ベース１４と、この砥石ベース１４の一端に取付け
た砥石用モータ１５と、この砥石用モータ１５に取付け
たプーリ１６と、このプーリ１６及び砥石１３の枠体１
７の外周溝１７ａに掛け渡したベルト１８とからなる。
送り機構１２は、ベッド２上に設けたレール４，４上を
移動するスライダ２２と、このスライダ２２を駆動する
送りモータ２３と、この送りモータ２３に接続したねじ
シャフト２５と、スライダ２２に設けた送りハンドル２
６とからなる。なお、２８，２８はクーラント供給管で
ある。

【００１２】図３は図１の３矢視図であり、本発明に係
る歯車仕上加工装置の要部を示す。昇降手段３０は、昇
降モータ３１と、この昇降モータ３１に接続し回転自在
に取付けたボールシャフト３２と、このボールシャフト
３２に嵌合したリフト部材３３と、このリフト部材３３
に取り付けガイドシャフト３４，３４とからなる。リフ
ト部材３３は、ワーク支持機構４０を支持して、このワ
ーク支持機構４０を昇降する機構であり、ガイドシャフ
ト３４，３４は、ベッド２下部に取付けたガイドスリー
ブ３５，３５に嵌合してリフト部材３３の上下可動を案
内するものである。

【００１３】図４は本発明に係る歯車仕上加工装置のワ
ーク支持機構の断面図である。ワーク支持機構４０は、
ベッド２に開けた開口部３に取付けた筒状ガイド部材４
１と、この筒状ガイド部材４１の内を昇降する摺動筒４
２と、この摺動筒４２の内部下方に収納したワークの位
相を合わすためのワーク割出し用モータ４３と、このワ
ーク割出し用モータ４３のモータ軸４３ａにカップリン
グ４４及びクラッチ４６を介して接続した割出し用駆動
軸４７と、この割出し用駆動軸４７にキー４８を介して
連結したワーク回転軸４９と、このワーク回転軸４９の
上端にベース部材５１を介して取付けたワークチャック
手段５２とからなり、前記ワーク割出し用モータ４３
は、エンコーダ５３を備える。

【００１４】すなわち、ワーク支持機構４０は、摺動筒
４２の内部にワーク割出し用モータ４３，カップリング
４４，クラッチ４６及び割出し用駆動軸４７の順で下方
から同一直線上に配置し、摺動筒４２の上部にワークチ
ャック手段５２を配置したものである。また、摺動筒４
２の上部に逆皿状のカバー５５と、このカバー５５と筒
状ガイド部材４１とをつなぐ蛇腹状の保護カバー５６を
備える。摺動筒４２の内部にワーク割出し用モータ４
３，カップリング４４，クラッチ４６及び割出し用駆動
軸４７を収納し、カバー５５及び保護カバー５６で覆う
ことで、摺動筒４２の内部を十分にシールした。

【００１５】ワークチャック手段５２は、ベース部材５
１上に取付けたワーククランプ用シリンダ５８と、この
ワーククランプ用シリンダ５８のピストン５８ａにボー
ル５９を介して接続したチャック部６１とからなり、ワ
ーククランプ用シリンダ５８は図面下部のエアー回路６
２により作動する。エアー回路６２は、摺動筒４２の下
部から挿入したエアーチューブ６３と、このエアーチュ
ーブ６３の一端にエルボ６４を介して接続した割出し用
駆動軸４７の中空部４７ａと、この中空部４７ａに接続
したワーク回転軸４９の中空部４９ａとからなり、中空
部４９ａの先端をワーククランプ用シリンダ５８の下部
に開けたエアー取入口５８ｂに臨ませたものである。エ
アー回路６２よりエアーを吹込むことで、ワーククラン
プ用シリンダ５８のピストン５８ａは上昇し、ボール５
９を介してワークチャック手段５２のチャック部６１を
拡張して歯車素材であるワークＷをチャックするもので
ある。

【００１６】以上に述べた歯車仕上加工装置のワーク支
持機構の作用を次に説明する。図５（ａ），（ｂ）は本
発明に係る歯車仕上加工装置のワーク支持機構の第１作
用説明図である。（ａ）において、ワークチャック手段
５２のチャック部６１にワークＷをセットし、チャック
部６１を拡径してワークＷをチャックする。（ｂ）は、
（ａ）の平面図であり、砥石１３のセンタにワークＷを
セットしたことを示す。

【００１７】図６（ａ），（ｂ）は本発明に係る歯車仕
上加工装置のワーク支持機構の第２作用説明図である。
（ａ）において、ワーク割出し用モータ４３を作動さ
せ、ワークＷの位相を合せる。ワーク割出し用モータ４
３とワークチャック手段５２とを同一直線上に配置した
ので、ギヤを用いた場合に発生するバックラシュがな
く、ワークの位相決め精度が高い。（ｂ）は、（ａ）の
平面拡大図であり、砥石１３とワークＷとの位相を合致
させることを示す。

【００１８】図７（ａ），（ｂ）は本発明に係る歯車仕
上加工装置のワーク支持機構の第３作用説明図であり、
（ｂ）は（ａ）の平面図を示す。（ａ），（ｂ）は、砥
石ヘッドユニット１０を矢印の如くワークＷ側に移動
し、砥石１３とワークＷとが噛み合った状態を示す。

【００１９】図８（ａ），（ｂ）は本発明に係る歯車仕
上加工装置のワーク支持機構の第４作用説明図である。
（ａ）において、クーラント供給管２８，２８からクー
ラント液を供給し、砥石モータ１５を矢印の如く回転
させ、ワークＷを矢印の如く連続的に昇降させ、ホー
ニング仕上げを開始する。摺動筒４２の上部に逆皿状の
カバー５５と、このカバー５５下部から摺動筒４２の上
部を覆う蛇腹状の保護カバー５６を設けたので、クーラ
ント液や、ホーニング仕上げによる切り粉が摺動筒４２
の内部にかかる心配がない。（ｂ）は、（ａ）の平面図
であり、砥石１３を矢印の如く回転すると、ワークＷ
は砥石１３により矢印の如く連回る（つれ回る）こと
を示す。すなわち、回転中の内歯歯車状砥石１３に、ワ
ークＷを噛み合わせ、このワークＷを昇降させつつ連回
り（つれ回り）させることによりホーニング仕上げする
ことができる。

【００２０】

【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項１は、回転中の内歯歯車状砥石に、歯車素
材を噛み合わせ、この歯車素材を昇降させつつ連回り
（つれ回り）させることによりホーニング仕上げする歯
車仕上加工装置において、歯車素材を支えるワーク支持
機構は、歯車仕上加工装置のベッドに開けた開口部に取
付けた筒状ガイド部材と、この筒状ガイド部材の内を昇
降する摺動筒と、この摺動筒内に回転可能に取付けたワ
ーク回転軸と、このワーク回転軸の上部に一体的に設け
たワークチャック手段と、ワーク回転軸の下端にクラッ
チを介して連結したワーク割出し用モータと、摺動筒、
ワーク回転軸、ワークチャック手段、クラッチ並びにワ
ーク割出し用モータを一括して昇降する昇降手段とから
なり、ワーク回転軸、クラッチ及びワーク割出し用モー
タを同一直線上に収納して歯車仕上加工装置のワーク支
持機構を構成する。

【００２１】摺動筒内にワーク回転軸、クラッチ及びワ
ーク割出し用モータを同一直線上に収納したので、ワー
ク支持機構が機能的にまとまった構造となり、これらの
部品のシールがしやすく、歯車仕上加工装置の信頼性が
向上した。また、ワークチャック手段とワーク割出し用
モータとをギヤを介することなく接続したので、ギヤを
用いた場合に発生するバックラシュの影響がなく、ワー
クの位相決め精度を向上することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る歯車仕上加工装置の側面図

【図２】図１の２矢視図

【図３】図１の３矢視図

【図４】本発明に係る歯車仕上加工装置のワーク支持機
構の断面図

【図５】本発明に係る歯車仕上加工装置のワーク支持機
構の第１作用説明図

【図６】本発明に係る歯車仕上加工装置のワーク支持機
構の第２作用説明図

【図７】本発明に係る歯車仕上加工装置のワーク支持機
構の第３作用説明図

【図８】本発明に係る歯車仕上加工装置のワーク支持機
構の第４作用説明図

【図９】従来の歯車仕上加工装置のワーク支持機構の説
明図

【符号の説明】

１…歯車仕上加工装置、２…ベッド、３…開口部、１３
…砥石、３０…昇降手段、４０…ワーク支持機構、４１
…筒状ガイド部材、４２…摺動筒、４３…ワーク割出し
用モータ、４６…クラッチ、４９…ワーク回転軸、５２
…ワークチャック手段、Ｗ…歯車素材（ワーク）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転中の内歯歯車状砥石に、歯車素材を
   噛み合わせ、この歯車素材を昇降させつつ連回りさせる
   ことによりホーニング仕上げする歯車仕上加工装置にお
   いて、 前記歯車素材を支えるワーク支持機構は、歯車仕上加工
   装置のベッドに開けた開口部に取付けた筒状ガイド部材
   と、この筒状ガイド部材の内を昇降する摺動筒と、この
   摺動筒内に回転可能に取付けたワーク回転軸と、このワ
   ーク回転軸の上部に一体的に設けたワークチャック手段
   と、前記ワーク回転軸の下端にクラッチを介して連結し
   たワーク割出し用モータと、前記摺動筒、ワーク回転
   軸、ワークチャック手段、クラッチ並びにワーク割出し
   用モータを一括して昇降する昇降手段とからなり、 ワーク回転軸、クラッチ及びワーク割出し用モータを同
   一直線上に収納したことを特徴とする歯車仕上加工装置
   のワーク支持機構。