JPH10137833A - 圧延機用ストリップ冷却設備及びストリップ冷却方法 - Google Patents

圧延機用ストリップ冷却設備及びストリップ冷却方法

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JPH10137833A
JPH10137833A JP29481296A JP29481296A JPH10137833A JP H10137833 A JPH10137833 A JP H10137833A JP 29481296 A JP29481296 A JP 29481296A JP 29481296 A JP29481296 A JP 29481296A JP H10137833 A JPH10137833 A JP H10137833A
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JP
Japan
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strip
cooling
rolling mill
water
equipment
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Application number
JP29481296A
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English (en)
Inventor
Koji Shiina
孝次 椎名
Kenjiro Narita
健次郎 成田
Mitsuo Nihei
充雄 二瓶
芳生 ▲高▼倉
Yoshio Takakura
Yasuo Mizushina
靖男 水品
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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  • Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】移動するストリップの下側からの冷却能力を向
上してストリップ上側からの冷却能力とのバランスを良
くし、ストリップの上下方向での冷却をほぼ均一化し、
且つストリップの幅方向の温度分布をほぼ均一とするこ
と。 【解決手段】ストリップの下側から該ストリップを冷却
する下部冷却設備の開放パッド装置で、設置位置及び寸
法に関する所望の条件を満たすスリットノズルを備えて
いること。 【効果】移動するストリップの下側からの冷却能力を向
上してストリップ上側からの冷却能力とのバランスを良
くし、ストリップの上下方向での冷却をほぼ均一化し、
且つストリップの幅方向の温度分布をほぼ均一とするこ
とが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧延機用ストリッ
プ冷却設備及びストリップの冷却方法並びに圧延機スト
リップ用セミクローズド冷却システムに関し、特に、移
動するストリップの下部からの冷却に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造機と圧延機とを直結して小規模
生産を行う連続鋳造直結ミニホット圧延や連続熱間圧延
システムにおいて、圧延後に、ストリップの冷却を行
う。連続圧延時にストリップ材を冷却する際のストリッ
プ材の上下及び幅方向において、冷却時の温度分布の均
一性によって、ストリップ材の品質が大きく左右され
る。従来のストリップ冷却は、図19に示すように、熱
間圧延機の上下ワークロールにより圧下された高温(約
1100℃)の板材1を当該下部に設置されたガイドロ
ーラー9で誘導し、巻取機12の駆動力で巻き取る。ま
た、高温の板材1から熱間圧延機の上下ワークロールへ
は、熱伝導,加工熱あるいは摩擦熱等によって、多量の
熱が流入される。そして、この圧延工程は少なくとも約
3段から7段程度繰り返されて、最終的な薄板製品へ圧
下される。このガイドローラ間でのストリップ冷却領域
では、ストリップの上部にストリップ幅方向に設置した
ラミナーフロー用ヘッダー7からラミナーフロー用パイ
プ7aを介して層流の液柱Cが下部の板材1上へ自由落
下し、液膜Hを形成する。この時、ラミナーフローで落
下した液柱の衝突冷却と通板状態のストリップに随伴さ
れた液膜Hはある時間、板材1上へ保持されて水膜から
蒸発する二次冷却の効果がある。一方、ストリップの下
部にも幅方向に設置したスプレー用ヘッダー14側面に
設置された多数のスプレー用ノズル14aから複数の楕
円状水膜を高圧スプレー水としてストリップ1下面へ供
給し、衝突させて冷却している。ここで、一般的にはフ
ラットスプレーノズルを用いている。このスプレー冷却
方法の長所は、圧延冷却設備の点から見てメンテナンス
フリーであるが、短所はスプレー水が飛散して冷却性能
が悪く、またインピンジ冷却が有効に活用できず冷却水
流量密度分布の不均一化を生ずる問題点が考えられる。
【0003】この短所を改善するために、実公平8-1043
2号に示すように、スプレー用ノズル14aにフルコー
ン型ノズルを用いて円錐状水膜を衝突させ、少しでも冷
却水流量密度分布の均一化を図る方式もある。
【0004】一方、世の中のニーズにより、熱間圧延機
の高効率化,ダウンサイジング化,そして職場の3K防
止等が求められ、前述の技術のトレンドからストリップ
の高性能冷却は益々重要になり、そのため、タンデムに
配置された圧延機群の各スタンド毎に板材1をストリッ
プ材の上下及び幅方向で更に均一冷却する必要がある。
【0005】ところが、従来技術のスプレー水冷却ノズ
ル14aは設備メンテナンス上の問題より、板材1の下
面から数100mm離れた位置に設置し、その結果、スプ
レー水Gの衝突動圧を十分に保持して高温ストリップ1
下面を冷却することが困難であり、スプレー水Gが衝突
する際のストリップ表面温度は冷却性能の悪い遷移沸騰
や膜沸騰状態を形成する高温の状態となっている。つま
り、メンテナンスを容易にするために、ストリップ下部
の冷却設備は、ある程度離れた位置にしか設置すること
が出来ず、離れた位置からの冷却水吹き付けによって冷
却性能が劣る。そして、大量に供給された冷却水Gがほ
とんど飛散水となってストリップ周りの大気中及び下部
へ流出し、また、冷却水板材1の表面に形成される薄い
蒸気膜を成長させるためにのみ使われ、本来の高圧スプ
レー水によるインピンジ冷却を有効に活用することがで
きず、ストリップ冷却に対して有効に寄与されない点が
考えられる。その結果、高温(300〜900℃)のス
トリップ薄板である板材1の表面へ飛散水が飛び散り、
ストリップである板材1の板幅方向温度分布の不均一が
生じ、ストリップ板材1が熱変形によるしわ、あるいは
割れを生じ、板材の品質保証の点から改良の余地が考え
られる。
【0006】この対策として、スプレー冷却の代わり
に、特公平5−86298号(図20及び図21)で提案され
た下部に鋼板ガイド15を用いた棒状多孔ノズル冷却方
式がある。この設備では、上部は図19と同様にラミナ
ーフロー冷却方式、下部には多数の柱状水ノズル15b
を有する鋼板ガイド15をストリップ材の下部へ設置
し、鋼板ガイド15に冷却材供給ライン10bから冷却
水を供給して、ストリップの移動方向とほぼ垂直方向
に、強制的に冷却水を衝突させて冷却し、ストリップの
冷却性能を向上させるものである。この特徴は鋼板ガイ
ド15に柱状冷却水噴射ノズル15bを複数設置し、板
材に対して各ノズルの衝突角度が異なる。長所は冷却性
能向上,広い冷却面積の確保,高流量密度(1.0m3
min.cm2),低供給圧力(0.6kg/cm2),ストリップ
上下温度分布の均一化であり、短所はストリップ通板時
の運用性困難,スプレー水の飛散等である。また、本従
来例では鋼板ガイド15の具体的なシール性や冷却水の
パッド間隔16が冷却特性として重要であるが、これら
に関しては一切考慮されていない。パッド間隔16が満
水状態かそうでないかは、冷却性能上、最も重要な点で
ある。特に、高温で移動するストリップとの狭い間隔で
のシール構造はストリップ通板時の板とパッド接触性及
び信頼性の面から極めて難しい技術である。また、これ
らの冷却・制御システム構成に関し、考慮されていない
等の問題点がある。
【0007】しかし、新しい熱間圧延機の開発、すなわ
ち連続熱間圧延機やミニホットのような高効率圧延シス
テムにおいては、ストリップ材からロールへの熱流入が
極めて大きくなり、この熱負荷増大に対応したロール及
びストリップ冷却性能向上が必須である。
【0008】この性能向上のためには、ストリップの更
なる冷却性能の向上及びストリップ材の上下及び軸方向
温度分布の均一化の2点が最も重要である。また、圧延
冷却システムに関しても、冷却水の閉ループ化による完
全回収が望ましい。
【0009】そこで、以上の圧延機用ストリップ冷却性
能を向上するための技術課題として、有効な冷却装置及
び当該装置の設置法やシステム構成を検討し、さらにス
トリップ冷却速度を向上させ、しかも均一にすることが
望まれる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、ス
トリップ上部からのラミナーフロー式冷却と下部からの
スプレー水冷却で高温ストリップ材を冷却しているが、
熱間圧延機の連続化やミニホット用に対して高圧下及び
小径ロール化となると、冷却速度の向上に対するストリ
ップ冷却性能向上やストリップ上下及び幅方向温度分布
の均一化に対し、ストリップ材の品質低下などの問題が
考えられる。
【0011】つまり、ストリップ上部からの吹き付け冷
却は、冷却水の自由落下を含むため、比較的冷却性能が
優れている。しかし、ストリップ下部からの冷却は、上
部の冷却に比べ冷却性能が劣るものであり、下部冷却と
上部冷却との冷却性能の差が大きく、ストリップ上下で
の冷却のバランスを取ることが困難であった。
【0012】また、特公平5−86298号で提案された技術
では、棒状多孔ノズルを複数配置して冷却しているた
め、冷却領域において、板材幅方向及び板材長手方向で
冷却の不均一が生じてしまう。つまり、多数のノズル間
距離が広いと、そのノズルから冷却水が吹き付けられる
板材の部位は比較的強く冷却されるが、冷却ノズル間に
対応する板材の部位は比較的冷却が弱く、板材の冷却領
域で板材幅方向及び板材長手方向の冷却の不均一が生じ
る。また特公平5−86298号で提案された技術において
も、ストリップ下部の冷却は、上部の冷却より冷却性能
が比較的悪く、ストリップの上下の冷却性能のバランス
が悪いものである。更に、ストリップ通板時の運用性困
難及びスプレー水の飛散等の問題が残るものであった。
【0013】また、従来はストリップ材が高温面(90
0〜300℃)のため、表面上に形成された熱抵抗の大
きな蒸気膜を除去するために冷却水を高圧力及び高流量
として冷却性能を高めているため、その複雑な制御を行
う必要があった。
【0014】今後、ミニホットの開発においては、高圧
下ロール及びストリップ冷却領域の短縮化のため、表面
温度300℃以上の膜沸騰領域における圧延機用ストリ
ップの冷却方式による冷却性能向上及び簡易な制御設備
が極めて重要となる。
【0015】以上のように、従来、圧延機用ストリップ
部材の冷却に関して、ストリップである板材の上下方向
及び幅方向の温度分布が不均一となって、板材のそり及
び材料表面の硬度アンバランスが生じて板材の品質を悪
くしてしまうという課題があった。また、ストリップ表
面に衝突した冷却水の飛散や蒸気の発生によって、冷却
水を無駄にしてしまうという冷却効率が悪いという課題
があった。更に、下部冷却の不均一性及び冷却性能の悪
さから冷却制御機構が複雑で困難なものであった。
【0016】本発明の目的は、移動するストリップの下
側からの冷却能力を向上してストリップ上側からの冷却
能力とのバランスを良くし、ストリップの上下方向での
冷却をほぼ均一化し、且つストリップの幅方向の温度分
布をほぼ均一とする圧延機用ストリップ冷却設備及びス
トリップ冷却方法並びに圧延機ストリップ用セミクロー
ズド冷却システムを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の圧延機用ストリ
ップ冷却設備は、長手方向に移動するストリップに冷却
水を吹き付けて冷却する圧延機用ストリップ冷却設備に
おいて、該ストリップの下側から該ストリップを冷却す
る下部冷却設備にスリットノズルを備えた開放パッド装
置を設け、該スリットノズルの長さ及び幅に基づいて、
該ストリップの下面と前記開放パッド装置との間隔を設
定して前記開放パッド装置を設置することを特徴とす
る。
【0018】また、本発明の圧延機用ストリップ冷却設
備は、長手方向に移動するストリップに冷却水を吹き付
けて冷却する圧延機用ストリップ冷却設備において、該
ストリップの下側から該ストリップを冷却する下部冷却
設備に下記の条件を満たすスリットノズルを有する開放
パッド装置を設置することを特徴とする。
【0019】δ≦1/2(1/b+1/L) 但し、δ:ストリップ下面と開放パッド装置の間隔 b:スリットノズルの幅 L:スリットノズルの長さ 本発明の圧延機用ストリップ冷却方法は、長手方向に移
動するストリップに冷却水を吹き付けて冷却する圧延機
用ストリップ冷却方法において、該ストリップ上側から
ウオーターカーテン冷却法による該ストリップの上面を
冷却する第一の工程と、該ストリップ下側から開放パッ
ドに設けられたストリップ幅方向のスリットを通して該
ストリップの下面に冷却水を吹き付ける第二の工程と、
該スリットから排出される冷却水を該開放パッドと該ス
トリップ下面との隙間にほぼ充満させながら冷却する第
三の工程とを含むことを特徴とする。
【0020】本発明の圧延機ストリップ用セミクローズ
ド冷却システムは、長手方向に移動するストリップに冷
却水を吹き付けて冷却する圧延機用ストリップ冷却設備
を用いた圧延機ストリップ用セミクローズド冷却システ
ムにおいて、該ストリップの下側から該ストリップを冷
却する下部冷却設備にスリットノズルを備えた開放パッ
ド装置を設け、該スリットノズルの長さ及び幅に基づい
て、該ストリップの下面と前記開放パッド装置との間隔
を設定して前記開放パッド装置を設置し、且つ該ストリ
ップの上側から該ストリップを冷却する上部冷却設備及
び前記下部冷却設備に冷却水飛散防止用カバーを設置す
ることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】通板状態のストリップ冷却方法と
して、従来のヘッダー及びノズルを設置したスプレーノ
ズルに代えて下部開放パッド機構を設置する。そして、
本機構の設置により、ストリップ材の上下方向及び幅方
向の表面及び内部温度分布を均一化させる。これによ
り、ストリップ材に発生する板材の熱変形によるそりや
表面硬度のアンバランスを防止し、高品質材を形成する
ことが出来る。
【0022】従来、ストリップからロールへの加工熱や
熱伝導による流入熱が発生し、ロールの表面温度はスト
リップ中央部で急激な温度上昇を生じ、端部ではゆるや
かな温度上昇となる。そして、高温ストリップ材をスプ
レー水で冷却するとストリップ材は高い表面温度で冷却
水と直接接触し、冷却性能の悪い膜沸騰、あるいは遷移
沸騰となる可能性がある。
【0023】そこで、ストリップ材下部の幅方向全体を
カバーするように配置された下部開放パッド機構によ
り、ストリップ材上下及び幅方向の冷却性能を調整し、
ストリップ材温度分布の均一化を図ることが可能であ
る。その結果、圧下されたストリップ板材は均一な熱処
理が可能となり、高品質なストリップ材を提供すること
ができる。
【0024】一方、数段のワークロールやストリップ薄
板は高圧スプレー冷却水により強制的に冷却された後、
材料から除熱して昇温した冷却水、あるいは高温材表面
上で発生した蒸気はそのまま大気中へ放出して圧延機設
備周辺へ付着し、材料劣化や鉄鋼設備内の環境を悪化さ
せている可能性がある。ここで、冷却現象の観点から見
ると、ストリップ表面温度は膜沸騰領域となり、従来の
流量や圧力制御で容易に温度制御が可能な領域ではな
い。すなわち、核沸騰及び膜沸騰領域の正特性に対して
遷移沸騰領域は負特性となり、安定な制御が非常に難し
い領域である。そこで、冷却性能の障害となる約20〜
30μmのほぼ安定な蒸気膜に開放パッド機構を介して
冷却水膜と蒸気との境界へ不安定流れを流体外乱として
付加し、高温材と冷却材との固液接触を強制的に付与す
ることにより、容易に冷却速度を調整することが可能で
ある。また、材料の品質に関係する板幅方向の温度分布
の均一化も容易に行える。
【0025】すなわち、ストリップ材のように表面温度
が300℃以上の高温材料の冷却においては、冷却性能
の悪い膜沸騰領域での冷却現象であるため、材料の温度
分布の均一化を図るにはシール機構の無い開放パッド機
構を用いるのが良好である。すなわち、熱抵抗である蒸
気膜を極力破断し、冷却性能を容易に向上することがで
きる本発明方式は、従来の冷却設備及びハード構成を大
幅に変えることなく、開放パッド機構のみで冷却性能向
上及び温度管理が行える最も容易な冷却手段である。
【0026】以上の点から、ストリップ材の冷却装置と
して下部開放パッド機構を設置することにより、セミク
ローズド冷却システムとして有効な冷却方式であること
がわかる。そして、これらの作用により、ストリップ材
の上下及び幅方向温度分布の不均一化に基づくストリッ
プ材の板材のそり及び材料表面の硬度アンバランスを抑
制し、またロール表面からの冷却水の飛散水及び発生蒸
気の抑制を可能としたセミクローズド冷却システムによ
り、圧延機ロール及びストリップ材の安全性,信頼性を
確保する。
【0027】次に、本発明の実施の形態を図面及び実施
例をもとに説明する。
【0028】図1は、圧延機用ストリップ冷却装置の縦
断面図の概要を示し、図2は、圧延機用ストリップ冷却
装置の斜視図を示す。
【0029】まず、本実施例における圧延機用冷却設備
の構成について説明する。
【0030】本実施例では、ストリップである板材1の
上側から冷却する上部冷却設備は、ラミナーフロー冷却
設備である。このラミナーフロー冷却設備は、冷却水が
ラミナーフロー用ヘッダー7からラミナーフロー用パイ
プ7aを通り、ラミナーフロー水Cとして、板材1の上
部表面に吹き付けられる。
【0031】この際、板材1は、板材1の搬送をガイド
するガイドローラ9によって、図面上左(上流側)から
右(下流側)に移動している。
【0032】前記2つのガイドローラ9の間で、板材1
の下部に、板材1を下側から冷却する下部冷却設備が配
置される。そして、この下部冷却設備は、図示しない冷
却水供給設備から冷却水を供給する通路である給水管1
0bと、給水管10bからの冷却水を受け取る冷却用ヘ
ッダー15aと、冷却用ヘッダー15aから板材1の下
面に向かって冷却水を送り込む給水ダクト10a,給水
ダクト10aの先端に取り付けられた下部開放パッド5
とを備えている。
【0033】更に、この下部冷却設備を取り囲むよう
に、カバーである排水ダクト11aが配設され、この排
水ダクト11aには配水管11bが取り付けられてい
る。
【0034】次に、圧延用ストリップ冷却装置の動作に
ついて説明する。
【0035】圧延機の上下ワークロールにより圧延され
た板材1を冷却するストリップ冷却領域を考える。
【0036】この実施例では、板材1の上部冷却はラミ
ナーフロー冷却方式であり、ロール軸方向(板材幅方
向)に平行に配置されたラミナーフロー用ヘッダー7
に、任意の間隔で設置されたラミナーフロー用パイプ7
aから下向きにラミナーフロー水Cが流れる。そして、
高温のストリップ材である板材1は図面上左(上流側)
から右(下流側)へ高速で移動しているため、図1に示
すように液膜Hを形成する。この液膜Hの範囲は上流側
で板材長手方向にあまり広がらないが、下流側では板材
長手方向に広がる。ここで、ラミナーフロー水Cが衝突
するラミナーフロー用パイプ7aの真下は、高温のスト
リップである板材1と冷却水との直接接触であって、こ
の直接接触のため、潜熱移動による高性能冷却となる。
しかし、この領域以外(ラミナーフロー用パイプ7aの
真下以外の範囲)はストリップ材1表面上を蒸気膜を介
して水膜が浮遊し、水膜からの二次冷却状態となってい
る。
【0037】一方、圧延システムの高性能の一環とし
て、連続熱間圧延機や強圧下、小径ロールのようなミニ
ホットの開発において、従来以上にストリップ材の高性
能冷却が必要である。ここで、冷却性能のポイントは、
高圧スプレー水による冷却を行っても、スプレー水の動
圧の低い場所ではストリップ表面温度が約200〜300℃で
遷移沸騰、約300℃以上で膜沸騰が生じ、冷却性能に
とって性能低下の原因となる約数10μm厚さの蒸気膜
の存在がある。
【0038】さらに、ストリップ表面に衝突した冷却水
の飛散、あるいは発生した蒸気を極力回収する必要があ
る。そこで、板材1の下部は開放パッド冷却方式であ
り、下部開放パッド機構5による衝突冷却及び対流冷却
である。まず、従来の下部ストリップ冷却にスリットノ
ズルを有する開放パッド機構5を少なくとも1つ以上を
設置し、さらに下部冷却水の給排水系を一体化し、スト
リップ材上下及び幅方向の均一冷却を図る。
【0039】ここで、2つのガイドローラー9の間に下
部開放パッド機構5を設置する。当該開放パッド機構5
に下部に設置された冷却用ヘッダー15aから給水ダク
ト10aを介して冷却水が供給される。
【0040】この時、給水流れEは給水管10bから本
冷却装置へ供給される。なお、下部開放パッドノズル機
構5aはスリットノズルタイプ(幅b,長さL)であ
る。このスリットノズルタイプの詳細については後述す
る。
【0041】冷却水は本ノズル機構5aから板材1の下
面と下部開放パッド機構5により構成された冷却水間隔
16内を満水状態で板材上流及び下流方向へ流れる。そ
して、冷却水は、ガイドローラー9と下部開放パッド機
構5端部の間から下方へ流出する。そして、これら冷却
機構を覆った排水ダクト11aで排水を受け、排水管1
1bから系外の冷却水ピットへ排出する。この際、上部
はラミナーフロー,ウオーターカーテン冷却方式の両者
とも可能、下部はウオーターカーテン式開放パッド機構
にすることにより、冷却性能の有効利用を図ることが出
来る。
【0042】このような構成により、高温壁面上の蒸気
膜の生成を抑制して、ストリップ表面とスプレー水との
直接接触によるストリップ材の冷却を促進する。すなわ
ち、ストリップ材の上下及び幅方向温度分布の均一化及
び冷却速度の向上を図ることができる。
【0043】ここで、開放パッド機構5は移動している
ストリップ材とシール機構の必要ない簡易カバー構造で
ある。この結果、必要十分な冷却水を供給するポンプ動
力が小さくなり、またストリップ材の冷却水流量密度が
均一冷却となり、ストリップ幅方向の均一冷却及びスト
リップ上下の冷却性能が一様となる。
【0044】次に、図3及び図4に下部ストリップと開
放パッドの形状,配置の関係を示す。ここで、スリット
ノズルからウオータージェット水がストリップ下面と開
放パッドの間を十分に満たすための条件として、下記の
関係を満足する必要がある。 A1≧A2 …(1) ここで、次式に示すA1 はノズル噴出面積、A2 は下部
ストリップ下面と開放パッド間の流路面積である。
【0045】 A1 =bL …(2) A2 =2δ(b+L) …(3) 上記の条件を満たせば、冷却水間隔16が完全に満水状
態となり、冷却性能向上効果が図れる。
【0046】すなわち、式(1),式(2),式(3)
よりストリップ下面と開放パッド機構の間隔δは、次式
を満足すればよい。
【0047】 δ≦1/2(1/b+1/L) …(4) 但し、δ:ストリップ下面と開放パッド機構の間隔 b:スリットノズルの幅 L:スリットノズルの長さ 例えば、熱間圧延機のストリップ板幅Bの関係から、ス
リットノズルの長さL=1.5m で一定とした場合、ス
リットノズルの幅bをパラメータとすると、図5に示す
傾向があり、図5中の範囲Iでは、冷却水が前記のギャ
ップを満水状態にする。
【0048】すなわち、ノズル幅が仮にb=10mmの場
合、ストリップ下面と開放パッド機構の間隔(ギャッ
プ)を、δ≦5mmとすると、ストリップ下面と開放パッ
ド機構の間で冷却水が満水状態になる。
【0049】つまり、スリットノズルの長さL及びスリ
ットノズルの幅bに基づいて、所定のギャップになるよ
う開放パッド機構5を設置することにより、冷却水がギ
ャップを満水状態にする。この際、冷却水の流量はあま
り影響を受けない。
【0050】図6〜図9にストリップ下面と開放パッド
機構の間隔δに対する熱伝達率h分布の模式図を示す。
図6及び図8は、板材1のノズル中心から板材1の長手
方向での熱伝達率分布を示し、図7及び図9夫々の冷却
水の状態を示す。
【0051】図6及び図7は、間隔δが大きい場合[δ
>1/2(1/b+1/L)]を示し、ノズルからの衝
突水流はストリップ下面に衝突後、開放パッド機構5の
面に沿ってストリップ軸方向へ流出する。このため、開
放パッド機構の長さ内で水膜は十分な満水状態にない。
この時の熱伝達率分布は一般的な衝突噴流による上に凸
の分布となる。
【0052】この場合、間隔δが大きいと、ノズルから
供給される冷却水を増加しても、ノズル出口上部のスト
リップ下面へのみ、冷却水が衝突してその後、下部開放
パッド機構5とストリップ1との間は満水状態とならな
い。
【0053】すなわち、式(1)に示すように、下部ス
トリップ下面と開放パッド間の流路面積がノズル噴出面
積よりも小さく、冷却水流路下方で流出水の絞り機構が
ないと満水にならない。
【0054】一方、図8及び図9は、間隔δが小さい場
合[δ≦1/2(1/b+1/L)]を示し、ノズルから
の衝突水流はストリップ下面に衝突後、開放パッド機構
5の面に沿ってストリップ軸方向へ流出する。そして、
この流出面積が小さいため、開放パッド機構の長さ内で
水膜は十分な満水状態となる。この時、ノズルからの衝
突噴流による上に凸の熱伝達率分布にストリップ軸方向
への対流冷却分がプラスとなり、図示のような熱伝達率
が高く、しかもほぼ一様な分布となる。つまり、均一に
冷却性能を高めることが出来る。
【0055】また、開放パッド機構の設置により、スト
リップとのシール機構が不要となり、本冷却構造はセミ
クローズド冷却回収システムを構成することができる。
【0056】以上のような本実施例の開放パッド機構5
の設置には、次の3つの効果がある。
【0057】(a)インピンジ冷却と開放パッド機構に
よる水膜対流冷却の併用 (b)シール機構が不要の簡易開放パッド機構 (c)冷却水及び発生蒸気の飛散防止 次に、本発明の他の一実施例であるストリップの冷却性
能について図10により説明する。図10は横軸に流量
密度w、縦軸に平均熱伝達率hをとり、冷却性能を示
す。条件としては、ストリップの表面温度Tw>300
℃の膜沸騰領域である。
【0058】ストリップ上部をラミナーフロー冷却,ス
トリップ下部を従来のスプレー冷却を行った場合、ある
いはストリップ上部をラミナーフロー冷却,ストリップ
下部をマルチホールパッド冷却を行った場合には、スト
リップ上部と下部の熱伝達率の差が大きく、熱伝達率の
不均一さが生じている。つまり、この熱伝達率の差が大
きければ大きいほど、ストリップの上部と下部との冷却
性能の差が大きくなり、ストリップの上表面と下表面と
の温度差が大きくなり、品質上問題となる。
【0059】本実施例の場合、ストリップ下部に開放パ
ッド機構を設置すると、ストリップ下部での冷却性能が
向上し、ストリップ上部の冷却性能に近づくため、スト
リップ上下でほぼ均一冷却が可能である。また、この結
果より、本実施例の場合、同一流量で熱伝達率hが向上
するので、従来並の熱伝達率を確保するための流量を低
下させることができ、ポンプ動力の低減が図れる。つま
り、従来のような高圧力及び高流量とするための複雑な
制御を必要とせず、簡易な設備とすることが出来る。
【0060】つまり、通常、機器を冷却する場合、熱伝
達率hと冷却水流量Q次式の関係がある。
【0061】 h∝Qm (m=0.6〜0.8) …(5) 一方、圧力損失ΔPは、次式の関係がある。
【0062】 ΔP∝Qn (n=1.75〜2) …(6) 式(5)及び式(6)式より、ポンプ動力Wpは次式の
関係となる。
【0063】 Wp∝Qp (p≒3) …(7) そして、式(5)及び式(7)式より、冷却水流量Qを
増加させると、熱伝達率h及び圧力損失Wpは増加す
る。しかし、その増加量は異なり、圧力損失Wpの増加
量は、熱伝達率hの増加量に比べて、約2〜3倍大きく
なる。
【0064】従って、圧力損失及びポンプ動力を従来並
として、熱伝達率を増加させることができれば、省エネ
ルギー化及び伝熱促進という双方の効果を得ることがで
きる。
【0065】本実施例では、同一流量で、熱伝達率を向
上することができるため、ポンプ動力の低減が図れ、設
備の簡略化が図れる。
【0066】また、各種ストリップの冷却速度と本発明
の適用範囲について、図11により説明する。
【0067】図11は、圧延設備の冷却工程と移動する
ストリップである板材1の温度変化を示したものであ
る。上部ワークロール2aと下部ワークロール2bとの
間に圧延される板材1が設置され、これらワークロール
2a,2bの外側に各々上部バックアップロール3aと
下部バックアップロール3bがある。ここで、上部,下
部ワークロール2a,2bには板材1を圧延する際に、
板材1からの接触熱伝導による流入熱と板を圧下する際
に生ずる加工熱による流入熱を除去するため、上下とも
に上部,下部冷却用ヘッダーに冷却用ノズルがロールの
軸方向及び周方向に多数配置され、当該スプレーノズル
から高圧で噴射されるスプレー冷却水によって、回転し
ている高温となったワークロール2a,2b上に水膜を
形成しながら冷却する。ここで、従来スプレーノズルは
ロール周方向に沿って3段設置され、ロールの回転方向
に沿ってストリップ出側に2段、ストリップ入側に1段
設置される。その結果、ワークロール2a,2bからス
プレー水Aへ流出熱として系外へ除去され、ロール内部
への入熱がないように熱バランスを保っている。
【0068】しかし、圧延システムの高性能の一環とし
て、連続熱間圧延機や高圧下,小径ロールのようなミニ
ホットの開発において、ワークロール冷却はもちろん、
ストリップ冷却も高性能冷却が望まれる。ここで、冷却
性能のポイントは、高圧スプレー水による冷却を行って
も、スプレー水の動圧の低い場所ではストリップ表面温
度が約200〜300℃で遷移沸騰、約300℃以上で
膜沸騰が生じ、冷却性能にとって性能低下の原因となる
約数10μm厚さの蒸気膜の存在である。蒸気膜の生成
は、圧延ストリップ1が軸方向に不均一な温度分布を生
じ、これによりストリップ材熱処理の不均一によるスト
リップ材の品質低下が考えられる。そこで、蒸気膜の生
成を抑制し、ストリップ冷却性能を向上するとともに、
ストリップ表面に衝突した冷却水の飛散、あるいは発生
した蒸気を極力回収する必要がある。
【0069】そこで、スプレーノズルの外部、または冷
却用ヘッダーに開放パッド機構5を少なくとも1つ以上
設置する。ここで、開放パッド機構5は移動ストリップ
とシール機構の必要ない簡易カバー構造である。そし
て、開放パッド機構5から高圧スプレー水を噴射するこ
とにより蒸気膜の生成を抑制して、ストリップ表面と冷
却水との直接接触によるストリップ冷却を促進する。す
なわち、ストリップ材上下及び幅方向温度分布の均一化
及び冷却速度の向上を図ることが出来る。
【0070】図11は横軸にストリップ材軸方向z、縦
軸に温度Tをとり、一般的な圧延スタンド間内の温度プ
ロフィールを示す。
【0071】例えば、冷却領域(1),冷却領域
(2),冷却領域(3)を考え、これらを各ストリップ
冷却設備4とする。ここで、ストリップ材熱処理の関係
から、本発明の高性能冷却が要求されるのは800℃、
または900℃から700℃へ冷却するストリップ初期
冷却領域である。ここで、冷却速度Cはストリップの移
動方向に対する温度降下ΔTの割合を示しており、近
年、冷却速度C>100℃/sの冷却能力が要求されて
いる。
【0072】板材の温度降下T(t)は、次式で示され
る。
【0073】 T(t)=Tce+(Twi−Tce)exp{−(hA/ρwCpwVw)t} …(8) 但し、Tce:冷却水温度,Twi:材料初期温度,
h:熱伝達率,A:伝熱面積,ρw:板材密度,Cp
w:板材の比熱,Vw:板材体積,t:時間である。
【0074】一方、冷却速度Cは、次式で示される。
【0075】 C=|dT/dt|t=0=−(hA/ρwCpwVw)(Twi−Tce) …(9) 即ち、冷却速度Cと熱伝達率hは、比例関係にある。こ
こで、特に材料の温度Twが700〜900℃の時、板
材の比熱Cpwが他の温度の時よりも約5倍以上大き
い。そのため、式(9)より、他の冷却条件が一緒でも
冷却速度が遅くなり、板材の急冷却が困難になる。よっ
て、冷却側から熱伝達率を向上させることが望まれる。
【0076】従来並の冷却速度C=30〜50℃/sec
では、バッチ式圧延工程のような長い冷却領域が必要で
あったが、本実施例では、冷却能力を高めることによっ
て、初期の板材を100℃/sec以上という冷却速度で
急冷することができ、更に、ストリップ冷却領域を約1
/2に低減することができる。このように、ストリップ
冷却領域を低減(領域長を短く)することができるた
め、冷却設備のコンパクト化(簡略化)が図れる。
【0077】本発明の冷却設備を図11の冷却領域
(1)に用い、100℃/s以上の冷却を行うことによ
り、圧延後の900℃近い板材1を良好に冷却して、そ
の後の冷却領域(2)及び冷却領域(3)を通過して約
500℃近くまで冷却し、次に巻取機12によって巻取
ることが出来る。
【0078】一般に、冷却工程は各種鋼材の生産設備に
よって異なっている。そこで図11に示すように、スト
リップ冷却設備4を夫々の冷却工程で次の冷却現象及び
機能がある。
【0079】初期の冷却領域(1)は、板材が高温であ
るために、特に、冷却水と板材との間に熱抵抗である蒸
気膜が形成されやすく、且つ板材の比熱が大きい。その
ため、冷却性能の向上が必要であり、特に、冷却速度C
を大きくすることが望まれる。また、冷却領域(2)で
は、既に冷却領域(1)で高温の板材がある程度冷却さ
れているので、熱抵抗となる蒸気膜が発生しづらく、安
定した膜沸騰の除冷領域となる。そのため、冷却領域
(2)では、低い冷却能力でも良い。また、冷却領域
(3)では、板材の温度低下による膜沸騰現象から遷移
沸騰現象に移行するため、中程度の冷却能力が必要とな
る。
【0080】このような、冷却領域(1),冷却領域
(2),冷却領域(3)の全てに、本実施例を適用する
ことが望ましいが、初期の冷却領域である冷却領域
(1)のみに、本実施例の冷却設備を適用しても良い。
更に、冷却領域(1)及び最終の冷却領域(3)のみに
適用しても良い。
【0081】次に、本発明の他の一実施例を図12から
図18により説明する。
【0082】図12は本発明の他の一実施例である圧延
機用ストリップ冷却設備である。図12の設備は図2の
設備に排水機構5bを設置した場合を示す。この下部開
放パッド排水機構5bの設置により、容易に排水流れF
を形成し、ガイドローラー9の回転による排水への干渉
を防止できる。ここで、従来、ガイドローラー9の間隔
は300mmから500mm程度であるから、下部開放パッ
ドノズル機構5aと下部開放パッド排水機構5bの間隔
aは図6〜図9の衝突噴流による高熱伝達率hの値が保
持される範囲内へ設置することから決定される。
【0083】次に、図13は本発明の他の一実施例であ
り、板材1のノズル中心17から図面上左側(上流側)
と図面上右側(下流側)に分けて考える。この実施例で
は、図2の設備の下部開放パッド機構5のストリップ移
動方向に対して上流側の板材1と下部開放パッド機構5
との間隔を大きく、下流側のその間隔を小さくした場合
であり、ストリップ高速移動に伴い冷却水がストリップ
下流側へ引きづれて冷却水がストリップ下流側へ不均一
に配分されるのを防止し、排水流れFをより均一に配分
することができる。
【0084】一方、図14は本発明の他の一実施例であ
り、下部開放パッド機構5の下方に超音波発生機構13
を設置して下部開放パッド補助機構5dでカバーしたも
のである。そして、この超音波発生機構13から板材1
下面に向かって超音波を発信させる。この超音波は、板
材1下面と下部開放パッド機構5との間に充満した冷却
水を伝搬媒体として伝搬し、板材下面の熱抵抗となる蒸
気膜を破断して熱伝達性を向上することが出来る。ここ
で、図3〜図5で説明したように板材1下部と下部開放
パッド機構5の間が冷却水の満水状態の中へ超音波を加
振すると、高温ストリップ材が膜沸騰状態では図1及び
図2の設備の場合に比べて、冷却性能が約1.5 〜2倍
向上する。
【0085】さらに、図15は本発明の他の一実施例で
あり、本発明の図2の設備に下部開放パッドサイドカバ
ー機構5cを設置したものである。この下部開放パッド
サイドカバー機構5cは、下部開放パッド機構5の板幅
方向での両端に板材長手方向に沿って、板材1の幅端部
をカバーするように配設される。下部開放パッドサイド
カバー機構5cを設けることにより、板材幅方向への冷
却水リークを抑制することができ、冷却水を全てストリ
ップ移動方向に沿って供給できるので、更に冷却性能は
向上する。ここで、下部開放パッドサイドカバー機構5
cの間隔L2は板材1の幅寸法に応じて変化するため、
その結果としてスリットノズルの長さLは可変となる機
構を持たせることで対処することが出来る。
【0086】また、図16は本発明の他の一実施例であ
り、図15の設備の下部開放パッドサイドカバー機構5
cに加えて、下部冷却装置カバーを覆う上部冷却装置カ
バー付きの構造である。この構成によりストリップ上部
冷却水からの飛散水及び発生蒸気を抑制できる。この設
備では、ストリップ全体を覆うように排水ボックス11
cでカバーし、上部からのラミナーフロー水Cが通過す
る領域は排水ボックス開放部11dにより開放して、ラ
ミナーフロー水Cを板材の表面に吹き付ける。これによ
り、従来の完全オープン冷却システムに比べて上部・下
部冷却水及び蒸気の自然回収ができ、約2/3以上の飛
散水及び発生蒸気を覆うことが可能である。
【0087】最後に、図17は本発明の他の一実施例で
ある。
【0088】板材1の上下及び幅方向の均一冷却以外
に、さらに高性能冷却を図るためには図1から図16ま
でに記載したストリップ材上部の冷却設備をウオーター
カーテン冷却法にすることが望ましい。
【0089】図17の設備では、下部冷却が図1の設備
と同様であるが、上部冷却はウオーターカーテン用ヘッ
ダー8を設置し、ウオーターカーテン用パイプ8aか
ら、ストリップ材幅方向へ拡がるほぼ均一水膜を供給す
る。このような本発明の下部冷却及び上部ウオーターカ
ーテン冷却方式を併用すると、図18に示すように従来
の上部ラミナーフロー冷却,下部スプレー冷却に比べ
て、本発明の上部ウオーターカーテン冷却,下部開放パ
ッド冷却により、ストリップ材の上下均一冷却はもちろ
ん、冷却性能も約1.5 倍以上向上できる。
【0090】また、図示はしていないが、ストリップ材
上部の冷却設備をスプレー冷却法やウオーターカーテン
冷却法に代わり上部開放パッド機構6を設置して、スト
リップ材の上下対称の冷却方式を用いた設備も考えられ
る。但し、ストリップ材上部へ本冷却設備を設置する場
合、薄鋼板では鋼板がはねることにより設備を破壊する
恐れがある。そこで、厚肉スラブ等の鋼板がはねる危険
性のない場合に適用できる。
【0091】従って、本発明の開放パッド機構5を設置
し、セミクローズド冷却システムを構成すれば、ストリ
ップ材の冷却性能向上及び均一熱処理が可能となり、ま
た冷却水の飛散及び発生蒸気を抑制する冷却水回収シス
テムを構成することが容易となり、その結果、信頼性の
高い圧延機用ストリップ冷却装置を提供することができ
る。
【0092】以上のように、本実施例によると、熱間圧
延システムのストリップ材の下部冷却装置にシール機構
不要の簡略開放パッド機構を設置し、インピンジ冷却と
対流冷却を積極的に利用し、ストリップ材上下温度分布
の不均一化に基づく板材のそり及び材料表面の硬度アン
バランスを防止し、またストリップ材幅方向温度分布の
不均一化に基づくストリップ材の不均一な熱処理を抑制
することができ、さらに冷却水の飛散及び発生蒸気を抑
制するメンテナンスフリーの冷却水回収システムを構成
することができるため、ストリップ材の品質向上が可能
となり、安全性及び信頼性の高い圧延機用冷却システム
を提供できる。
【0093】
【発明の効果】本発明の圧延機用ストリップ冷却設備及
びストリップ冷却方法によると、移動するストリップの
下側からの冷却能力を向上してストリップ上側からの冷
却能力とのバランスを良くし、ストリップの上下方向で
の冷却をほぼ均一化し、且つストリップの幅方向の温度
分布をほぼ均一とすることが出来るという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の圧延機用ストリップ冷却設
備の縦断面図。
【図2】本発明の一実施例の圧延機用ストリップ冷却設
備の斜視図。
【図3】本発明の一実施例のストリップ冷却設備の形状
寸法の説明図。
【図4】本発明の一実施例のストリップ冷却設備の配置
の説明図。
【図5】本発明の一実施例のストリップ冷却設備の配置
及び寸法の関係図。
【図6】開放パッド機構の間隔δに対するストリップの
熱伝達率分布。
【図7】開放パッド機構の配置に対する冷却水の現象を
示す図。
【図8】開放パッド機構の間隔δに対するストリップの
熱伝達率分布。
【図9】開放パッド機構の配置に対する冷却水の現象を
示す図。
【図10】各種冷却方式の流量密度の熱伝達率の関係
図。
【図11】冷却構成及び板材長手方向での板材温度変化
を示す図。
【図12】本発明の他の実施例の圧延機用ストリップ冷
却設備の斜視図。
【図13】本発明の他の実施例の圧延機用ストリップ冷
却設備の縦断面図。
【図14】本発明の他の実施例の圧延機用ストリップ冷
却設備の縦断面図。
【図15】本発明の他の実施例の圧延機用ストリップ冷
却設備の斜視図。
【図16】本発明の他の実施例の圧延機用ストリップ冷
却設備の横断面図。
【図17】本発明の他の実施例の圧延機用ストリップ冷
却設備の縦断面図。
【図18】各種冷却方式の流量密度の熱伝達率の関係
図。
【図19】従来の圧延機用ストリップ冷却設備の縦断面
図。
【図20】従来の圧延機用ストリップ冷却設備の縦断面
図。
【図21】従来の圧延機用ストリップ冷却設備の上面か
ら見た図。
【符号の説明】
1…圧延板材、2a…上部ワークロール、2b…下部ワ
ークロール、3a…上部バックアップロール、3b…下
部バックアップロール、4…ストリップ冷却設備、5…
下部開放パッド機構、5a…下部開放パッドノズル機
構、5b…下部開放パッド排水機構、5c…下部開放パ
ッドサイドカバー機構、5d…下部開放パッド補助機
構、6…上部開放パッド機構、7…ラミナーフロー用ヘ
ッダー、7a…ラミナーフロー用パイプ、8…ウオータ
ーカーテン用ヘッダー、8a…ウオーターカーテン用パ
イプ、9…ガイドローラー、10a…給水ダクト、10
b…給水管、11a…排水ダクト、11b…排水管、1
1c…排水ボックス、11d…排水ボックス開放部、1
2…巻取機、13…超音波発生機構、14…スプレー用
ヘッダー、14a…スプレー用ノズル、15…鋼板ガイ
ド、15a…冷却用ヘッダー、15b…柱状水ノズル、
16…冷却水間隔、A…上部冷却水の流れ、B…下部冷
却水の流れ、C…ラミナーフロー水の流れ、D…ウオー
ターカーテン水の流れ、E…給水流れ方向、F…排水流
れ方向、G…スプレー水、H…液膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲高▼倉 芳生 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 水品 靖男 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発本部内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長手方向に移動するストリップに冷却水を
    吹き付けて冷却する圧延機用ストリップ冷却設備におい
    て、該ストリップの下側から該ストリップを冷却する下
    部冷却設備にスリットノズルを備えた開放パッド装置を
    設け、該スリットノズルの長さ及び幅に基づいて、該ス
    トリップの下面と前記開放パッド装置との間隔を設定し
    て前記開放パッド装置を設置することを特徴とする圧延
    機用ストリップ冷却設備。
  2. 【請求項2】長手方向に移動するストリップに冷却水を
    吹き付けて冷却する圧延機用ストリップ冷却設備におい
    て、該ストリップの下側から該ストリップを冷却する下
    部冷却設備に下記の条件を満たすスリットノズルを有す
    る開放パッド装置を設置することを特徴とする圧延機用
    ストリップ冷却設備。 δ≦1/2(1/b+1/L) 但し、δ:ストリップ下面と開放パッド装置の間隔 b:スリットノズルの幅 L:スリットノズルの長さ
  3. 【請求項3】請求項1又は請求項2に記載の圧延機用ス
    トリップ冷却設備において、前記開放パッド装置をとり
    囲み、冷却水の排水を行うカバーを設置することを特徴
    とする圧延機用ストリップ冷却設備。
  4. 【請求項4】請求項1〜請求項3のいずれかに記載の圧
    延機用ストリップ冷却設備において、該ストリップの上
    側から該ストリップを冷却する上部冷却設備を、ラミナ
    ーフロー冷却設備若しくはウオーターカーテン冷却設備
    とすることを特徴とする圧延機用ストリップ冷却設備。
  5. 【請求項5】請求項1〜請求項4のいずれかに記載の圧
    延機用ストリップ冷却設備において、前記開放パッド装
    置に、移動する前記ストリップの長手方向の上流側又は
    下流側へ冷却水の排水を行う排水設備を設置することを
    特徴とする圧延機用ストリップ冷却設備。
  6. 【請求項6】請求項1〜請求項5のいずれかに記載の圧
    延機用ストリップ冷却設備において、前記ストリップの
    下面と前記開放パッド装置との上流側での間隔を、前記
    ストリップの下面と前記開放パッド装置との下流側での
    間隔より大きくすることを特徴とする圧延機用ストリッ
    プ冷却設備。
  7. 【請求項7】請求項1〜請求項6のいずれかに記載の圧
    延機用ストリップ冷却設備において、前記開放パッド装
    置に、冷却水のストリップ幅方向への飛散を抑制するサ
    イドカバーを該ストリップの長手方向に沿って設置する
    ことを特徴とする圧延機用ストリップ冷却設備。
  8. 【請求項8】請求項1〜請求項7のいずれかに記載の圧
    延機用ストリップ冷却設備において、前記開放パッド装
    置の下部に、ストリップ下面と該開放パッドとの間の冷
    却水に超音波を伝搬させる超音波発生装置を設置するこ
    とを特徴とする圧延機用ストリップ冷却設備。
  9. 【請求項9】長手方向に移動するストリップに冷却水を
    吹き付けて冷却する圧延機用ストリップ冷却方法におい
    て、該ストリップ上側からウオーターカーテン冷却法に
    よる該ストリップの上面を冷却する第一の工程と、該ス
    トリップ下側から開放パッドに設けられたストリップ幅
    方向のスリットを通して該ストリップの下面に冷却水を
    吹き付ける第二の工程と、該スリットから排出される冷
    却水を該開放パッドと該ストリップ下面との隙間にほぼ
    充満させながら冷却する第三の工程とを含むことを特徴
    とする圧延機用ストリップ冷却方法。
  10. 【請求項10】長手方向に移動するストリップに冷却水
    を吹き付けて冷却する圧延機用ストリップ冷却設備を用
    いた圧延機ストリップ用セミクローズド冷却システムに
    おいて、該ストリップの下側から該ストリップを冷却す
    る下部冷却設備にスリットノズルを備えた開放パッド装
    置を設け、該スリットノズルの長さ及び幅に基づいて、
    該ストリップの下面と前記開放パッド装置との間隔を設
    定して前記開放パッド装置を設置し、且つ該ストリップ
    の上側から該ストリップを冷却する上部冷却設備及び前
    記下部冷却設備に冷却水飛散防止用カバーを設置するこ
    とを特徴とする圧延機ストリップ用セミクローズド冷却
    システム。
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