JPH10133017A - ポリイミド光波長板の製造方法 - Google Patents

ポリイミド光波長板の製造方法

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JPH10133017A
JPH10133017A JP29981396A JP29981396A JPH10133017A JP H10133017 A JPH10133017 A JP H10133017A JP 29981396 A JP29981396 A JP 29981396A JP 29981396 A JP29981396 A JP 29981396A JP H10133017 A JPH10133017 A JP H10133017A
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polyimide
film
optical
wavelength plate
retardation
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JP29981396A
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English (en)
Inventor
Takashi Sawada
孝 澤田
Shigekuni Sasaki
重邦 佐々木
Toru Matsuura
松浦  徹
Akira Iwazawa
晃 岩沢
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一軸延伸と熱イミド化時の高精度な温度制御
や応力制御を必要としない、簡易な一軸延伸工程による
光波長板の製造方法を提供する。 【解決手段】 ポリイミドフィルムを一軸延伸する工程
を含むことを特徴とするポリイミド光波長板の製造方
法。該方法において、ポリイミドフィルムに一軸延伸を
行い面内複屈折を0.03以上にする工程を含む方法。
また、ポリイミドフィルムに一軸延伸を行い膜厚が20
μm以下で、かつ面内複屈折が0.03以上にする工程
を含む方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光の位相状態を変化
させる光波長板の製造方法に関し、特に作製が容易で、
耐熱性、加工性、経済性に優れ、光導波回路等に使用し
た場合に過剰損失の小さなポリイミド光波長板の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の情報通信の高速化と容量拡大、及
び通信コストの低減のために光通信システムの高度化が
望まれている。そのための新たな手法として、発信者か
ら最終目的地まで電子信号への変換を伴わずに光によっ
て信号を伝達する光通信網が研究されている。柔軟で効
率的なネットワーク構造を持つ光通信網を構築するため
には光ファイバや受光・発光素子等に加えて、光分岐、
光スイッチ、光波長多重等の機能を持つ光回路部品が必
要不可欠である。そのような光部品には小型、多機能、
経済的であることが望まれており、シリコン基板上に形
成した石英系光導波路による光導波回路が検討されてい
る。石英系光導波路による光導波回路の光損失は非常に
小さく、最も実用的な光受動部品として期待されている
が、実用化の問題点として部品特性の偏波依存性が指摘
されている。これは、石英系光導波回路の作製工程によ
って発生する光導波路の複屈折によって、回路への入射
光の偏波状態(TM偏波成分とTE偏波成分)の変化に
より出射光の位相状態が変化し、回路特性に違いが出て
くることである。高橋らはこの問題を解決する方法とし
て、導波路によって構成される光路の丁度中間点に形成
した溝に水晶からなる1/2波長板を挿入することによ
って、入射光の偏波成分の違いによる回路特性のずれを
補償する方法を開発した〔高橋浩ほか、オプティックス
レターズ(Opt.Lett.)、第17巻、第7
号、第499〜501頁(1992)〕。この方法では
導波路に形成される溝部分で光の閉じこめ構造がなくな
るために損失を生じ、膜厚92μmの水晶1/2波長板
の挿入による過剰損失は5dB程度であった。しかし、
この偏波依存性の解消方法は光導波路の上面に非晶質シ
リコンを装荷するそれ以前の方法に比べて構成が簡易で
あり、実用性に優れていた。本発明者らは特開平7−9
2326号公報においてポリイミドによる薄型光波長板
とその製造方法を明らかにし、これを上記の用途に用い
ることによって波長板挿入時の過剰損失を0.5dBに
抑えられることを明らかにした。ポリイミド光波長板は
単結晶材料である水晶に比べて加工が容易であり、柔軟
性があるために取り扱いやすく、300℃以上の耐熱性
を持つばかりではなく、膜厚を水晶波長板の1/4であ
る20μm以下にすることが可能である。波長板の薄型
化は過剰損失を減少させるために最も重要であり、ポリ
イミド光波長板の最も重要な特徴の一つである。
【0003】光波長板を組込んだ導波型光デバイスを実
用性の高いものとするために最も重要なことは、波長板
挿入に伴う過剰損失を0.5dB以下(光量の減少10
%以下)に抑えることである。図2に光導波路の端面か
ら放射される光線をガウスビームと仮定して行った過剰
損失のシミュレーション結果を示す。すなわち、図2は
光導波路に光波長板を挿入した場合の、波長板の厚さに
対する過剰損失の依存性を表す図である。図2において
横軸は1/2波長板の厚さ:d(μm)、縦軸は過剰損
失(dB)を示す。図2に示すように、光波長板の膜厚
を20μm以下にした場合に、過剰損失が0.3dB以
下に抑えられることがわかる。しかし、実際には波長板
端面でのフレネル反射や散乱により0.1〜0.2dB
程度の損失が不可避であるため、波長板挿入に伴う過剰
損失を0.5dB以下に抑えるためには、光波長板の膜
厚は20μm以下でなくてはならない。ここで、現在長
距離の光通信伝送に用いられている波長(1.30μ
m、1.55μm)の1/2波長板を20μm以下の膜
厚で作製するためには、最低でも0.03を超える面内
複屈折を光波長板の材料が有する必要がある。1/2波
長板はフィルム表面内の屈折率の異方性(面内複屈折)
と膜厚の積(リターデーション)が使用波長の1/2に
なるように設計されている。図3にポリイミドフィルム
に対する一軸延伸の効果を示す。すなわち、図3はポリ
イミドフィルムを一軸延伸した場合に、一軸延伸が屈折
率に及ぼす効果を表す図であって、(a)は一般的な方
法で作製されたポリイミドフィルムの屈折率楕円体を表
す図であり、(b)は一軸延伸されたポリイミドフィル
ムの屈折率楕円体を表す図である。図3に示すように、
図3はポリイミドフィルムの屈折率楕円体であり、面内
複屈折とはフィルム表面に平行な屈折率成分であるn
TE1 とnTE2 の差である。ポリイミドフィルムはキャス
ト法、スピンコート法、ドクターブレード法、バーコー
ト法等により作製されるが、通常、面内複屈折を示さず
(nTE1 −nTE2 =0)、nTE1 とnTMに複屈折を示
す。そこで、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の
フィルムを一軸延伸しながら熱イミド化することにより
ポリイミド分子鎖を配向させ面内複屈折(Δn=nTE1
−nTE2 )を発現させており、その面内複屈折と膜厚の
積で表されるリターデーションを調節して波長板を製造
している。この時、本発明者らが既に明らかにしたよう
に既存の発明においては、すなわち、一軸延伸と熱イミ
ド化を行う時に精密な温度制御と応力制御を行うことに
より最大で水晶の面内複屈折(0.008)の約24倍
である0.189の面内複屈折が得られている。波長
1.55μm用1/2光波長板の膜厚は光導波回路ヘ用
いたときの過剰損失を0.5dB以下に抑えるために2
0μm以下としなくてはならず、その時に必要な面内複
屈折は0.033である。また、上記の製造方法によれ
ば1.30μm用1/2波長板の最小膜厚は3μmであ
り、例えば波長1.30μm用の1/2波長板の膜厚
は、過剰損失を0.5dB以下にする条件である20μ
mから最小3μmまで調節可能となる。
【0004】次に既存のポリイミド光波長板を製造する
手順を説明する。まず、テトラカルボン酸あるいはその
誘導体とジアミンから合成されたポリアミド酸の極性溶
媒の溶液を適当な基板上に特定の膜厚になるように塗布
し、溶媒の一部を除去してポリアミド酸フィルムを作製
する。ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸は吸湿に
より分子量の低下を招きフィルム強度の低下を引き起こ
すので、延伸中に破断するおそれがあるために波長板製
造工程から水分を極力除くことが好ましい。そして、こ
のポリアミド酸フィルムについて一軸延伸と熱イミド化
を同時あるいは連続的に行うことによってポリイミド分
子鎖を配向させて面内複屈折を発現させている。リター
デーションを調節するために一軸延伸操作及び熱イミド
化は昇温速度や最終キュア温度、荷重等の条件を高精度
に制御しなくてはならない。また、前駆体のポリアミド
酸の分子鎖はポリイミドよりも柔軟であること、溶媒を
若干含んでいること等から延伸操作によって分子鎖が配
向しやすいこと等により、一軸延伸によって大きな面内
複屈折を得られるのである。1/2波長板の製造におい
ては、リターデーションを使用する波長の1/2に調節
するためにポリアミド酸フィルムの一軸延伸及び熱イミ
ド化時の各種条件を精密に制御しなくてはならず、例え
ば使用波長の変更等でリターデーションの設計値が変更
されるたびに一軸延伸及び熱イミド化条件を高精度に制
御しなくてはならなかった。そこで、波長板の経済性、
生産性の向上の観点から更に簡易な製造法が望まれてい
た。加えてポリアミド酸の吸湿による延伸フィルムの破
断を防ぐ手法が望まれていた。以上のように、ポリイミ
ド光波長板はポリアミド酸フィルムを適当な膜厚で作製
し、その後、高精度に温度と応力を制御した一軸延伸処
理と熱イミド化を同時あるいは連続的に行いながら製造
していた。同時に、その作製工程はポリアミド酸の吸湿
によるフィルムの破断を防ぐために水分を極力抑える必
要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のポリイミド光波
長板の製造方法はポリアミド酸フィルムの延伸条件を精
密に制御しなくてはならないという問題があり、より簡
便で経済的なポリイミド光波長板の製造方法が望まれて
いた。そこで、本発明はポリアミド酸フィルムの延伸工
程を、水分の影響をほとんど受けないポリイミドの延伸
工程に置き換え、かつ一軸延伸と熱イミド化時の高精度
な温度制御や応力制御を必要としない、簡易な一軸延伸
工程による光波長板の製造方法を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明はポリイミド光波長板の製造方法に関する発明であ
って、その第1のポリイミドフィルムを一軸延伸する工
程を含むことを特徴としている。本発明の第2はポリイ
ミドフィルムを一軸延伸し、面内複屈折を0.03以上
にする工程を含むことを特徴としている。本発明の第3
はポリイミドフィルムを一軸延伸し、膜厚が20μm以
下で、かつ面内複屈折が0.03以上にする工程を含む
ことを特徴としている。本発明の第4は第1の発明の製
造方法において、目的とするポリイミド光波長板が、下
記一般式(化1):
【0007】
【化1】
【0008】(式中Rは二価の有機基を示す)で表され
る繰り返し単位からなるポリイミドで構成されるポリイ
ミド光波長板の製造方法であることを特徴としている。
本発明の第5は、第4の発明において一般式(化1)で
表されるポリイミドにおいて、基Rが下記式(化2)又
は(化3):
【0009】
【化2】
【0010】
【化3】
【0011】で表される基であることを特徴としてい
る。
【0012】従来の技術とは前駆体であるポリアミド酸
フィルムを一軸延伸せずに、ポリイミドフィルムを一軸
延伸する点が本質的に異なる。例えば、膜厚15μmの
波長1.55μm用の1/2波長板は、リターデーショ
ンが0.775に制御され、面内複屈折は0.052と
なっている。従来のポリイミド光波長板製造技術では最
大で0.189の面内複屈折を得ることが可能であり、
必ずしもポリアミド酸フィルムを一軸延伸して得られる
大きな面内複屈折は必要ない。また、膜厚20μmの波
長1.30μm用の1/2波長板に必要な面内複屈折は
0.033、膜厚20μmの波長1.55μm用の1/
2波長板に必要な面内複屈折は0.039であり、最大
の面内複屈折の約1/5である。そこで、膜厚20μm
以下の1.30及び1.55μmといった光通信波長用
の光波長板を製造するために必要なリターデーションを
得ることが可能であり、ポリアミド酸フィルムの取り扱
いが不要であり、高精度の温度制御、応力制御を必要と
する一軸延伸及び熱イミド化が不要な製造方法について
検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。従来の製造方法と比較した本発明の利点を簡単に示
すために、図1にポリイミド光波長板の簡単な製造方法
の流れを本発明方法及び従来方法についてそれぞれ示し
た。すなわち、図1は本発明と従来からのポリイミド光
波長板の製造方法との違いを表す図であり、(a)は従
来のポリイミド光波長板の製造方法を簡単に表した図で
あり、(b)は本発明における製造方法を簡単に表した
図である。図1に示すように、従来の方法によれば、ま
ず、各種テトラカルボン酸あるいはその誘導体と各種ジ
アミンの組合せからポリアミド酸の溶液を作製する。次
いで、そのポリアミド酸溶液をスピンコート法等により
適当な基板上に塗布した後、溶媒の一部を除去してポリ
アミド酸フィルムを作製し、高精度の温度及び応力制御
の必要な熱イミド化及び一軸延伸を行ってリターデーシ
ョンを調節し、ポリイミド光波長板を製造していた。一
方、本発明によればポリイミド光波長板の実現手順は、
ポリアミド酸溶液を適当な基板上にスピンコートした後
に、直ちに300〜400℃の熱イミド化を行った後に
基板からはく離してポリイミドフィルムを作製し、これ
を、引張り試験器等を用いて一軸延伸してリターデーシ
ョンを調節し、ポリイミド光波長板を製造する。従来の
方法とはポリアミド酸フィルムを作製せず、かつ熱イミ
ド化と一軸延伸を同時あるいは連続的に行わないことが
異なる。そして、本発明は水分に対して不安定なポリア
ミド酸フィルムを使用しない、高精度の温度・応力制御
を必要としない点から、従来法よりも製造プロセスが極
めて容易になる利点がある。
【0014】以下に、本発明におけるポリイミド光波長
板の実現手順を述べる。まず、各種テトラカルボン酸あ
るいはその誘導体と各種のジアミンの組合せからポリア
ミド酸の溶液を作製する。本発明に用いるテトラカルボ
ン酸及びその誘導体としての酸無水物、酸塩化物、エス
テル化物等としては数限りない物があるが、中でも、膜
厚20μm以下のポリイミド光波長板の実現に必要な
0.03を超える複屈折を、実用的な延伸倍率の延伸処
理によって発現させるためには、テトラカルボン酸又は
その誘導体とジアミンのいずれか、あるいはその双方
が、主鎖骨格に回転可能な結合を持たないか、あるいは
回転可能な結合を1つだけ持つ直線性の高い構造である
ことが好ましい。例えば、ジアミンの主鎖骨格に回転可
能な結合が2つ以上含まれる場合(エーテル基、チオエ
ーテル基、メチレン基、スルホン基、カルボニル基、イ
ソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基
などが含まれる場合を指す)、テトラカルボン酸として
は、主鎖骨格が1つのベンゼン環からなるピロメリット
酸やそのベンゼン環に結合する2つの水素が他の有機置
換基あるいはハロゲンに置換された誘導体を用いること
が好ましい。更に、テトラカルボン酸又はその誘導体と
ジアミンの双方が、その主鎖骨格に回転可能な結合を持
たないか、あるいは回転可能な結合を1つだけ持つ直線
性の高い構造であることが、更に好ましい。特に、テト
ラカルボン酸として回転可能な結合を含まないピロメリ
ット酸やそのベンゼン環に結合する2つの水素が他の有
機置換基あるいはハロゲンに置換された誘導体を用い、
ジアミンとして主鎖骨格がビフェニル構造であり、高分
子主鎖の方向に直線性の高い構造を持つ、例えば2,
2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミ
ノビフェニルや4,4′−オキシジアニリンを用いるこ
とが特に好ましい。中でも得られるポリイミドの吸水率
を低く保ち、光透過性の高い領域を近赤外域から可視域
へ広げるためには、原料としてテトラカルボン酸又はそ
の誘導体とジアミンのいずれか、あるいはその双方にフ
ッ素が結合したものを用いることが好ましい。また、光
通信波長を含む近赤外光に対する波長板を作製するため
に、原料としてテトラカルボン酸又はその誘導体とジア
ミンのいずれか、あるいはその双方がアミノ基を除いて
すべてフッ素化されたものを用いることが好ましい。
【0015】ポリアミド酸の製造方法は、通常のポリア
ミド酸の製造条件と同じでよく、一般的にはN−メチル
−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、
N,N−ジメチルホルムアミドなどの極性有機溶媒中で
反応させる。本発明においては、ジアミン及びテトラカ
ルボン酸又はその誘導体共、単一化合物で用いるばかり
ではなく、複数のジアミン、テトラカルボン酸又はその
誘導体を混合して用いることが可能である。その場合
は、複数又は単一のジアミンのモル数の合計と複数又は
単一のテトラカルボン酸又はその誘導体のモル数の合計
が等しいか、ほぼ等しくなるようにする。次いで、得ら
れたポリアミド酸のイミド化によるポリイミドの合成に
ついては通常の合成法が使用できる。その代表的な例は
シリコン単結晶基板やガラス基板上にスピンコート法や
キャスト法によって適当な膜厚になるように塗布する
か、ガラス板や金属板、高分子フィルム上にバーコート
法やドクターブレード法、流延法によって適当な膜厚に
なるように塗布し、それを空気中、又は窒素雰囲気中あ
るいは真空中で300〜400℃において熱イミド化す
るものである。ここで、適当な膜厚とは光導波路あるい
は光導波回路へ用いたときの過剰損失を0.5dB以下
にするために20μm以下、特に作業性を考慮すると3
から20μm程度が好ましい。加えて、本発明において
は単一のポリアミド酸のイミド化のほか、複数のポリア
ミド酸を混合した状態でイミド化を行い、ポリイミドの
混合体を得ることも可能である。熱イミド化後、基板か
らフィルムをはく離してポリイミドフィルムを得る。こ
のフィルムを引張り試験器又はテンター延伸機、ロール
延伸機等の一般的な延伸機を用いて所定のリターデーシ
ョンが得られるまで延伸する。この時、あらかじめフィ
ルムの伸びとリターデーションの関係を調べれば、延伸
中の伸びを測定することにより所望のリターデーション
に制御することが可能である。また、リターデーション
を測定しながら延伸することによって所望のリターデー
ションに制御することも合せて可能である。
【0016】1/2及び1/4波長板を作製するために
はリターデーションを使用波長の1/2及び1/4等に
調節するが、ポリイミドフィルムの伸びを制御すること
により任意のリターデーションに調節した位相差板を製
造することも可能である。本発明によればリターデーシ
ョンの制御はポリイミドフィルムの膜厚と延伸時の伸び
によって制御されるが、更に高精度のリターデーション
が求められる物に関しては、設計値よりもやや厚めに作
製した延伸ポリイミドフィルムを反応性イオンエッチン
グやUVアッシャー等を用いて所定の膜厚まで削ってい
くことにより作製が可能である。このように作製された
ポリイミド光波長板の耐熱性は最高キュア温度である3
50℃以上であることは、特開平7−92326号公報
において明らかにされている。また、ポリイミド光波長
板を、導波路に複屈折を有する例えば、石英、LiNb
3 、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリカ
ーボネート、ポリスチレン、ポリシロキサン等で構成さ
れる光導波回路又はその他の光部品へ用いる際に、ポリ
イミドと相手の材料との屈折率差に基づく反射損失を低
減するための無反射膜を波長板表面上に形成することも
可能である。加えて、金属、半導体、誘電体、及びそれ
らの多層膜を反射膜や特定の波長の光を通すフィルター
としてポリイミド光波長板表面上に形成することも可能
である。
【0017】
【実施例】以下、いくつかの実施例を用いて本発明を更
に具体的に説明する。なお、種々のポリイミドの組合せ
により、また延伸方法の部分的な変更により数限りない
本発明の光波長板が得られることは明らかであり、本発
明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。ポ
リイミドフィルムの膜厚はピーコック社製ダイアルゲー
ジで測定した。光波長板としての機能発現に必要なリタ
ーデーション(Δn×d)は、「セナルモン法」、「光
干渉法」、「回転検光子法」、「位相変調法」、「平行
ニコル回転法」などの方法により求めることができる。
実施例においては、光源として波長1.55μmのレー
ザーダイオードを、偏光子として2つのグラントムソン
プリズムを用い、「平行ニコル回転法」によりリターデ
ーションを測定した。
【0018】実施例1 直径3インチのシリコンウエハに下記構造式(化4)で
表されるピロメリット酸二無水物(PMDA):
【0019】
【化4】
【0020】と下記構造式(化5)で表される2,2′
−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビ
フェニル(TFDB):
【0021】
【化5】
【0022】から合成されたポリアミド酸のN,N−ジ
メチルアセトアミド溶液を、スピンコート法により熱イ
ミド化後の膜厚が20μmとなるように回転数を調節し
て塗布した。この塗膜を窒素雰囲気中のイナートオーブ
ン(窒素流量:5リットル/分)を用いて、まず、70
℃、1時間の処理を行った後に連続的に350℃、1時
間の熱イミド化を行って膜厚20μmのPMDA/TF
DBポリイミドフィルムを得た。シリコンウエハからは
く離したこのポリイミドフィルムを幅10mm、長さ約
75mmに切り出し、引張り試験器(オリエンテック社
製 テンシロンUTC−5型)につかみ冶具間距離が5
0mmになるように保持し、引張り速度を2.5mm/
分に設定して延伸した。雰囲気は大気中、温度は室温
(24℃、湿度55%RH)である。図4は延伸中のポ
リイミドフィルムの伸びと延伸後に測定したリターデー
ションの関係を表す図であり、横軸は延伸中のポリイミ
ドフィルムの伸びを延伸前の長さで規格化した伸び
(%)、縦軸はリターデーション(μm)である。図4
に表すようにポリイミドフィルムの伸びが約10%を越
えるとリターデーションが増加し始め、すなわちポリイ
ミド分子鎖が配向し始め、24.4%の延伸で最大1.
056(μm)のリターデーションが得られる。波長
1.55μm用の1/2波長板を作製するにはリターデ
ーションを0.775にすればよいことから、リターデ
ーションが0.775になる時の伸びを図4から18.
6%と求めた。そして、再度、膜厚20μmのポリイミ
ドフィルムを作製し、伸びが18.6%になるように一
軸延伸したところ、リターデーションは0.775とな
り1.55μmの1/2波長板となっていることを確認
した。この方法では延伸前後での膜厚の変化は非常に小
さいことから、伸びの増加によるリターデーションの増
加は面内複屈折の増加を表している。したがって、最大
の面内複屈折は最大のリターデーションから求めること
が可能であり、その値は0.0528である。このフィ
ルムから1.55μm用の波長板を作製するにはポリイ
ミドフィルムの膜厚を14.7μmにすればよいので、
スピンコートの回転数を調節して14.7μmのポリイ
ミドフィルムを作製し、同様の一軸延伸を行った。ポリ
イミドフィルムの伸びが約24.4%になったところで
一軸延伸を終了させ、リターデーションを測定したとこ
ろリターデーションは0.775を示していたことから
1.55μm用1/2波長板となっていることを確認し
た。
【0023】また、このポリイミドフィルムで波長1.
55μm用の1/4波長板、1.30μm用の1/2波
長板、1.30μm用の1/4波長板を作製するにはリ
ターデーションをそれぞれ0.388(μm)、0.6
50(μm)、0.325(μm)に調節しなくてはな
らない。このPMDA/TFDBポリイミドフィルムの
伸びを制御すればリターデーションを調節できることか
ら、上記の波長板をそれぞれ作製するために必要な伸び
は、1.55μm用の1/4波長板は15.3(%)、
1.30μm用の1/2波長板は17.4(%)、1.
30μm用の1/4波長板は14.8(%)とすればよ
い。そこで上記と同様の方法で膜厚20(μm)のPM
DA/ODAポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド
フィルムの伸びがそれぞれ15.3(%)、17.4
(%)、14.8(%)になるまで上記と同様の条件で
一軸延伸した。延伸フィルムのリターデーションをそれ
ぞれ測定した結果、伸びが15.3(%)の一軸延伸フ
ィルムのリターデーションは0.388(μm)、伸び
が17.4(%)の一軸延伸フィルムのリターデーショ
ンは0.650(μm)、伸びが14.8(%)の一軸
延伸フィルムのリターデーションは0.325(μm)
であり、それぞれ波長1.55μm用の1/4波長板、
1.30μm用の1/2波長板、1.30μm用の1/
4波長板であることを確認した。以上の結果から、光導
波回路へ用いたときの過剰損失を極めて低くするために
必要な膜厚20μm以下の1.55μm用の1/2波長
板を、従来からの製造方法で必要であったポリアミド酸
フィルムの作製、そして精密な温度・延伸制御をする延
伸・熱イミド化工程を省き、ポリイミドフィルムの伸び
を制御するだけで作製可能である。また、特定の膜厚の
ポリイミドフィルムについて上記と同様の実験を行い、
図4の関係を調べれば任意のリターデーションをもつ位
相差板も製造可能であることは明らかである。
【0024】実施例2 直径3インチのシリコンウエハに構造式(化4)で表さ
れるピロメリット酸二無水物(PMDA)と下記構造式
(化6)で表される4,4′−オキシジアニリン(OD
A):
【0025】
【化6】
【0026】から合成されたポリアミド酸のN,N−ジ
メチルアセトアミド溶液をスピンコート法により熱イミ
ド化後の膜厚が22.5μmとなるように回転数を調節
して塗布した。この塗膜を窒素雰囲気中のイナートオー
ブン(窒素流量:5リットル/分)を用いて実施例1と
同様に連続で段階的な熱イミド化を行い、膜厚22.5
μmのPMDA/ODAポリイミドフィルムを得た。そ
して、シリコンウエハからはく離したこのポリイミドフ
ィルムを実施例1と同様の方法でフィルムの伸びが3
9.9%になるまで一軸延伸した。このPMDA/OD
A延伸フィルムのリターデーションを測定したところ
1.112(μm)であった。リターデーションと膜厚
から面内複屈折を計算すると0.049であり、このフ
ィルムで1.55μm用1/2波長板を作製するには膜
厚を15.8(μm)に設定すれば良いことからポリア
ミド酸溶液のスピンコート時の回転数を調節して膜厚1
5.8(μm)のポリイミドフィルムを作製し、再度ポ
リイミドフィルムを39.9%一軸延伸した。その結
果、リターデーションは0.775(μm)となり、
1.55μm用1/2波長板であることを確認した。
【0027】また、このフィルムで波長1.55μm用
の1/4波長板、1.30μm用の1/2波長板、1.
30μm用の1/4波長板を作製するにはリターデーシ
ョンをそれぞれ0.388(μm)、0.650(μ
m)、0.325(μm)に調節しなくてはならない。
このPMDA/ODAポリイミドフィルムを伸び39.
9%になるまで一軸延伸したときの面内複屈折は0.0
49であることから、上記の波長板をそれぞれ作製する
ために必要な膜厚は、1.55μm用の1/4波長板は
7.9(μm)、1.30μm用の1/2波長板は1
3.3(μm)、1.30μm用の1/4波長板は6.
6(μm)とすればよい。そこで、ポリアミド酸のスピ
ンコート回転数を調節して膜厚7.9(μm)、13.
3(μm)、7.9(μm)のPMDA/ODAポリイ
ミドフィルムを作製し、ポリイミドフィルムの伸び3
9.9%になるまで延伸した。延伸フィルムのリターデ
ーションをそれぞれ測定した結果、膜厚7.9(μm)
の一軸延伸フィルムのリターデーションは0.388
(μm)、膜厚13.3(μm)の一軸延伸フィルムの
リターデーションは0.650(μm)、膜厚7.9
(μm)の一軸延伸フィルムのリターデーションは0.
325(μm)であり、それぞれ波長1.55μm用の
1/4波長板、1.30μm用の1/2波長板、1.3
0μm用の1/4波長板であることを確認した。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、従来の波長板製造方法
に代ってポリアミド酸フィルムの劣化を防ぐための水分
の管理や一軸延伸及び熱イミド化時の高精度の温度制
御、応力制御を必要としない、極めて簡単な製造方法を
提供することができ、主にポリイミド光波長板の低価格
化と作製プロセスの効率化といった点に寄与することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明と従来からのポリイミド光波長板の製造
方法との違いを表す図である。
【図2】光導波路に光波長板を挿入した場合の、波長板
の厚さに対する過剰損失の依存性を表す図である。
【図3】ポリイミドフィルムを一軸延伸した場合に一軸
延伸が屈折率に及ぼす効果を表す図である。
【図4】PMDAとTFDBから成るポリイミドフィル
ムを本発明により一軸延伸した場合の効果を表す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 79:00 C08L 79:08 (72)発明者 岩沢 晃 東京都武蔵野市御殿山一丁目1番3号 エ ヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株 式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリイミドフィルムを一軸延伸する工程
    を含むことを特徴とするポリイミド光波長板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 ポリイミドフィルムに一軸延伸を行い面
    内複屈折を0.03以上にする工程を含む請求項1に記
    載のポリイミド光波長板の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリイミドフィルムに一軸延伸を行い膜
    厚が20μm以下で、かつ面内複屈折が0.03以上に
    する工程を含む請求項1に記載のポリイミド光波長板の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリイミド光波長板が、下記一般式(化
    1): 【化1】 (式中Rは二価の有機基を示す)で表される繰り返し単
    位からなるポリイミドである請求項1に記載のポリイミ
    ド光波長板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の一般式(化1)で表さ
    れるポリイミドにおいて、基Rが下記式(化2)又は
    (化3): 【化2】 【化3】 で表される基である請求項4に記載のポリイミド光波長
    板の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004063252A1 (ja) * 2003-01-10 2004-07-29 Nitto Denko Corporation ポリイミドフィルムおよびその製造方法
JP2019006933A (ja) * 2017-06-27 2019-01-17 旭化成株式会社 ポリイミドフィルム及びその製造方法

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WO2004063252A1 (ja) * 2003-01-10 2004-07-29 Nitto Denko Corporation ポリイミドフィルムおよびその製造方法
JP2019006933A (ja) * 2017-06-27 2019-01-17 旭化成株式会社 ポリイミドフィルム及びその製造方法

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