JP3941918B2 - 光波長板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光波長板の製造方法に関し、特に加工性、耐熱性、経済性に優れ、光導波回路等に組込んで使用した場合に過剰損失の小さなプラスチック系の光波長板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報通信の容量拡大と通信コストの低減化のために、光通信システムの高度化が望まれている。そのための方法としては、光波長多重方式や光クロスコネクト方式が挙げられる。これらのシステムにおいて、その長距離伝送の部分では従来から用いられてきた光ファイバや、近年研究開発が盛んな光ファイバアンプが使われ、またノードの部分では、光信号を光のまま処理する光導波回路が用いられようとしている。これらの新しいシステムは、既に実験室レベルでの動作確認が行われ、今後の実用化に向けて研究開発が着実に進められている。
その中で、石英系の光導波路を用いた光導波回路は、光損失が少なく実用的な光受動部品として期待されているが、その実用化に当っての最大の問題として光導波回路の偏波依存性が指摘されている。これは石英系の光導波路を用いて光導波回路を作製した場合に、光導波路の複屈折に起因した信号品質の低下(水平偏波成分と垂直偏波成分との位相ずれ)として現われてくる。この原因は、石英系の光導波路を作製する際に1000℃を超える高温を使用するためであり、基板であるシリコンと石英導波路の熱膨張率差により生じた残留応力に起因している。この複屈折を排除するため、光導波路の上面に非晶質シリコンを装荷し残留応力とは逆方向の応力を生じさせることによって、複屈折を補償する方法が知られているが、導波路の作製プロセスとは異なる新たな工程が必要になること、偏波依存性の解消に十分な再現性が得られないことなど問題点もある。一方、高橋らはアレイ型光導波路グレーティングによる波長多重器において、光路の丁度中間地点に水晶からなる1/2波長板を挿入することにより、光信号の出射端での水平偏波成分と垂直偏波成分の位相ずれを補償する方法を開発した〔高橋浩ほか、オプティックス レターズ(Opt. Lett.) 、第17巻、第7号、第499〜501頁(1992)〕。ここで水平偏波成分とは光導波路基板に対して水平方向の電界を持つ導波光の成分、垂直偏波成分とは基板に対して垂直方向の電界を持つ導波光の成分を示している。また、高橋らは特開平4−241304号公報において、この方法がマッハツェンダ干渉計、導波型リング共振器、導波型方向性結合器、導波型位相変調器の偏波依存性解消にも有効であることを明らかにしている。光波長板の挿入による方法は応力付与膜の装荷に比べて技術的に容易であり再現性も高いため、光導波回路の偏波依存性解消に極めて有効である。しかし光波長板とそれを挿入するために形成した溝の部分では、導波光が閉じ込められずに放射してしまうため、信号強度が減衰しその損失が4dBにも上るという問題があった。
ここで示した導波型光デバイスにおける偏波依存性の問題は、石英系光導波路に限ったものではなく、ニオブ酸リチウムや酸化チタンのような無機材料、ポリカーボネート、ポリイミド、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂のような有機高分子材料を用いた光導波路においても、それらの複屈折性から問題となる。
現在、一般に市販されている光波長板は、水晶に代表される無機化合物の単結晶をその複屈折に応じた厚さに研磨することにより作製されている。単一基板上に作製される導波型光デバイスは、それ自体が1つの部品として使用されるにとどまらず、他の光導波回路や電気回路と共に同一基板上に組合せ「光電子混載実装配線板」として使用される。これらの複合光部品の作製工程には約260℃のハンダ工程や一時的に300℃を超える工程が存在するため、使用されるすべての材料に350℃程度の耐熱性が要求されている。無機単結晶材料は耐熱性、耐湿性、精密加工性に優れ、安定した光学特性を示すことから、上記の複合光部品に組込んだ場合も、その高信頼性に寄与することができる。但し、1/2波長板あるいは1/4波長板を作製するためには厚さを数十μmに精密に研磨する必要があることから、大量生産ができず高価である。
【0003】
光波長板を組込んだ導波型光デバイスを実用性の高いものとするために最も重要なことは、波長板挿入に伴う過剰損失を0.5dB以下(光量の減少10%以下)に抑えることである。図1に、光導波路に波長板を挿入した場合の、端面から放射される光線をガウスビームと仮定して行った過剰損失のシミュレーション結果を示す。
光波長板の膜厚を20μm以下にした場合に、過剰損失が0.3dB以下に抑えられることがわかる。しかし、実際には波長板端面でのフレネル反射や散乱により0.1〜0.2dB程度の損失が不可避であるため、波長板挿入に伴う過剰損失を0.5dB以下に抑えるためには、光波長板の膜厚は20μm以下でなくてはならない。ここで、現在長距離の光通信伝送に用いられている波長(1.3μm、1.55μm)の1/2波長板を20μm以下の膜厚で作製するためには、最低でも0.03を超える面内複屈折を光波長板の材料が有する必要がある。水晶の1/2波長板が上述のように大きな過剰損失を引き起こすのは、その厚さが91μmと厚いためである。これは水晶の複屈折が波長1.3μmにおいて0.0085と小さいことに起因している。複屈折の大きな材料を用いることにより薄い光波長板の作製が可能となり、結果として過剰損失の低減が可能となる。複屈折の大きな無機単結晶材料として水晶以外に、方解石や酸化チタンが知られており、そのどちらもが水晶を超える複屈折を持つ。しかし、方解石は原石が高価であり、また複屈折が1.3μmで0.16と大きいため1/2波長板の厚さは4μmと非常に薄い。方解石は硬度が低いため(モース硬度:2)、このような厚さに加工することは非常に困難である。たとえ加工できたとしても取扱いに細心の注意を要する。一方、酸化チタンは屈折率が2.62〜2.90と石英や他の光導波路材料から大きく離れているため、光導波路に挿入した場合に端面でのフレネル反射による損失が大きく、波長板を薄くすることの効果が少ない。以上の理由から方解石、酸化チタンどちらの材料も光導波回路に挿入する目的には適さない。
【0004】
一方、非晶性の高分子であるポリカーボネートやポリビニルアルコールのフィルムに延伸処理を施すことにより面内に複屈折を生じさせることが可能であり、実際これらの高分子を用いた液晶ディスプレィ用の大型位相差板が作製されている。また、ポリスチレン、セルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アクリル系重合体、ポリアミド、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物などからなる位相差板も知られている。しかし、ポリビニルアルコール系、セルロース誘導体系のものは耐湿性に、ポリプロピレン系のものは強じん性に劣り、アクリル系のものはフィルム状態における機械的強度が低いために延伸処理が難しく、ポリカーボネート系のものは耐薬品性に劣るなどの問題を有している。また、ポリ塩化ビニル系、ポリスチレン系のものは耐熱性が特に低く、本発明の目的用途に不適である。比較的高い耐熱性を持つとされるポリアミド系、ポリエステル系においても、導波型光デバイスに必要とされる300℃以上の耐熱性を持つものは存在しない。また、これらの有機高分子材料により作製された波長板は、その軟化点(ガラス転移点)以下であっても分子運動の活発化によって複屈折が低下し、波長板としての特性が大幅に低下するという問題点を有している。結果として、これまでに知られている有機高分子系の材料では、光導波路に組込んで使用することのできる光波長板の作製は困難である。
【0005】
本発明者らは既存のプラスチック光学材料に耐熱性と耐湿性が不足しているとの観点から、これまで光導波路に適用可能なポリイミド光学材料の開発を進めてきた。既に特開平3−72528号公報、及びマクロモレキュール誌〔(Macromolecules)、T.松浦ほか、第24巻、第5001〜5頁(1991)及びT.松浦ほか、第25巻、第3540〜5頁(1992)〕において、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニルをジアミン成分として各種のフッ素化ポリイミドを合成したところ、300℃以上の耐熱性と0.7%以下の低い吸水率を持ち、しかも光透過性に優れたポリイミドフィルムが得られることを報告している。また、特開平4−9807号公報においては、該ジアミンと2種類のテトラカルボン酸二無水物を用いて合成したポリイミドをコア及びクラッドに用いることにより、良好な光導波路が形成できることを報告している。更には、特開平5−1148号公報において、光通信波長域(波長1.0〜1.7μm)の全域で光の吸収ピークを持たず、フッ素化ポリイミドと同等の耐熱性と低吸水性をもつ全フッ素化ポリイミドを報告している。これにより、従来分子構造に固有の吸収ピークがあるため耐熱性プラスチック材料の使用が困難であった波長帯においても、損失の非常に小さなプラスチック光学材料を提供することが可能となった。加えてポリイミドは柔軟性を持つため加工や取扱いが容易なばかりでなく、他の有機高分子材料に比べて強じん性に優れるという長所も有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、無機単結晶材料を用いた光波長板については、導波型光デバイスに組込んで使用するのに適当な複屈折を持つ材料が無いこと、及び材料の加工のしにくさと高価格の点で、またプラスチック材料を用いた光波長板については、材料の耐熱性、耐湿性、機械的強度と面内複屈折の安定性の点で問題があった。結果として、光導波回路に組込んで十分な光透過性があり、耐熱性、耐湿性、加工性、機械的強度を合せ持つと共に、その厚さが20μm以下である光波長板は知られていなかった。本発明はこれらの問題点を解決し、製造と加工が容易で、耐熱性、耐湿性、柔軟性、機械的強度に優れ、しかも膜厚の薄い光波長板の製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明を概説すれば、本発明は光波長板の製造方法に関する発明であって、その第1は、テトラカルボン酸又はその誘導体とジアミンから合成されるポリアミド酸のフィルムを、長方形状に成形し、その後金属枠に一軸方向のみを固定した状態で熱イミドし、その結果得られるポリイミド膜より構成されることを特徴としている。本発明の第2は、本発明の第1と同様に作製されるポリアミド酸のフィルムを、所定の面内複屈折が得られるように一軸方向のみを固定した状態で熱イミドし、その結果得られるポリイミド膜より構成されることを特徴としている。本発明の第3は、本発明の第1と同様に作製されるポリアミド酸の溶液を、面内に熱膨張率異方性を有する基板に塗布し、それを熱イミド化、その結果得られるポリイミド膜より構成されることを特徴としている。
【0008】
本発明の第4は、本発明の第1から第3のいずれか1つの方法によって作製されるポリイミド膜を、300℃以上の高温下において一軸方向に延伸することを、そして本発明の第5は、同じく本発明の第1から第3のいずれか1つの方法によって作製されたポリイミド膜を、300℃以上の高温下において熱処理することを特徴としている。
【0009】
ポリイミド膜の面内方向に複屈折を発現させる方法については、中川幸一(K.Nakagawa) 、ジャーナル オブ アプライド ポリマー サイエンス(J.Appl. Polymer Sci.) 、第41巻、第2049〜58頁(1990)に示されている。これは、ピロメリット酸二無水物と4,4′−ジアミノジフェニルエーテルから合成されるポリアミド酸のフィルムに引張り応力をかけながら160℃まで熱イミド化し、その後更に350℃まで熱処理するもので、最大で83%の延伸が可能であり、30%以上の延伸処理を施した場合に約0.18(波長0.633μm)と大きな面内複屈折をもつポリイミドフィルムが得られている。しかし、ポリイミドを光波長板に適用するために必要な複屈折と膜厚の制御方法については述べられていない。
【0010】
一方、津田らは特開平4−240420号公報において、液晶パネルに光学位相差を有する有機高分子層が積層された構造を持つ液晶表示装置を明らかにしている。その中で光学位相差を有する有機高分子層として、ポリスチレン、ポリカーボネートの薄膜と並んで、基板上に製膜しラビング処理を施したポリイミド薄膜が好適であると述べられている。但し、この方法は高分子薄膜に生じさせる光学位相差が0.01μm程度と非常に小さいことを特徴としており、このように小さな複屈折では本発明が目的とする厚さ20μm以下の光波長板を作製することは不可能である。
【0011】
そこで本発明者らは、テトラカルボン酸の誘導体の1つである各種の酸二無水物と各種のジアミンの組合せから作製されるポリアミド酸及びポリイミドのフィルムに対して、種々の方法により一軸方向の延伸処理を試みたところ、そのすべての場合においてフィルム面内に屈折率の異方性(複屈折)が現れることを見出し、その後、面内の複屈折と熱イミド化後の膜厚を制御する方法について検討を行った結果、本発明にかかる光波長板とその製造方法を完成するに至った。次いで、前記の方法において得られた各種の光波長板を、基板上に作製された1本あるいは2本以上の複屈折性を有する光導波路から構成される導波型光デバイスに組込むことにより、本発明にかかる導波型光デバイスを完成するに至った。
【0012】
以下、本発明の実施の態様を列挙する。
(1)本発明の第1〜第3のいずれかの発明において、ポリイミドを、膜厚が20μm以下のポリイミド膜により構成する。
(2)光波長板を光導波回路に用いる。
(3)デバイスが偏波変換器であり、かつ波長板が1/2波長板であり、しかも該1/2波長板の光学主軸が導波路基板に対して45度の角度をなすように、前記光導波路に挿入されている。
(4)前記導波型光デバイスが、導波路基板上に配置された、2本の入力導波路、該入力導波路と接続された第1の方向性結合器、2本の出力導波路、該出力導波路と接続された第2の方向性結合器、そして該2つの方向性結合器を接続する第1の導波路と第2の導波路から構成されるマッハツェンダー干渉計であり、該第1の導波路及び第2の導波路のそれぞれの光路の中間点に偏波変換器が配置されている。
(5)前記導波型光デバイスが、導波路基板上に配置された、複数の入出力用導波路及び該入出力導波路と結合した環状導波路から構成されるリング共振器であり、水平偏波及び垂直偏波のいずれの入力光に対しても環状導波路の光路長が等しくなるように、該環状導波路上に1個あるいは2個以上の偏波変換器が配置されている。
(6)前記導波型光デバイスが、導波路基板上に順次配置された、1つあるいは複数の入出導波路、第1のスラブ導波路(入力側)、アレイ導波路、第2のスラブ導波路(出力側)、そして複数の出力導波路により構成される、アレイ導波路型回折格子を用いた導波型光合分波器であり、該アレイ導波路を構成する複数のチャンネル導波路の各中間点に偏波変換器が配置されている。
(7)前記導波型光デバイスが、導波路基板上に作製された方向性結合器であり、該方向性結合器の中間点に偏波変換器が配置されている。
(8)前記導波型光デバイスが、電気光学効果を有する導波路、該導波路近傍に配置された電極から構成される光位相変調器であり、該導波路の途中に偏波変換器が1個あるいは2個以上配置されている。
(9)導波型光デバイスが1本若しくは2本以上の光導波路により構成される偏波変換器であり、本発明の第1の発明による光波長板であって屈折率の面内異方性と厚さの積が該導波路を伝播する光の波長の1/4に設定されている1/4波長板が、該1/4波長板の光学主軸が導波路基板に対して45度の角度をなすように、前記光導波路の端面に密着している。
【0013】
【発明の実施の形態】
図2はポリイミドの屈折率異方性を表わす屈折率楕円体に対する配向処理の効果を説明する図である。ポリイミドフィルムは基板上に作製されているものとする。図2(a)は配向処理を施していない場合のポリイミドの屈折率楕円体、同(b)は配向処理を施した場合のポリイミドの屈折率楕円体を表わしている。配向処理を施さない場合、フィルムの面内方向と面に垂直な方向には屈折率異方性(複屈折)が見られるが、面内方向には屈折率の異方性は観測されない(nTE1 =nTE2 )。
しかし延伸処理を施した後には、分子鎖が延伸方向に配向するため、面内方向と面に垂直な方向だけでなく、面内方向にも複屈折が見られるようになる(nTE1 ≠nTE2 )。面内複屈折(Δn;nTE1 −nTE2 )に膜厚(d)を乗じた値(リターデーション)が光線波長の1/2や1/4に合致した場合は、それらのフィルムをそれぞれ1/2波長板、1/4波長板として使用することができ、また面内の複屈折と膜厚を制御することによって更に高次の波長板とすることもできる。
【0014】
本発明に用いるテトラカルボン酸及びその誘導体としての酸無水物、酸塩化物、エステル化物等としては、例えば以下のようなものが挙げられる。ここではテトラカルボン酸としての名称を示す。
【0015】
ピロメリット酸、トリフルオロメチルピロメリット酸、ペンタフルオロエチルピロメリット酸、ビス{3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェノキシ}ピロメリット酸、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−テトラカルボキシジフェニルエーテル、2,3′,3,4′−テトラカルボキシジフェニルエーテル、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−テトラカルボキシナフタレン、1,4,5,7−テトラカルボキシナフタレン、1,4,5,6−テトラカルボキシナフタレン、3,3′,4,4′−テトラカルボキシジフェニルメタン、3,3′,4,4′−テトラカルボキシジフェニルスルホン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシビフェニル、2,2′,5,5′−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシビフェニル、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシジフェニルエーテル、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシベンゾフェノン、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ベンゼン、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス(ジカルボキシフェノキシ)(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス(ジカルボキシフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、3,4,9,10−テトラカルボキシペリレン、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパン、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ビフェニル、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ジフェニルエーテル、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、1,4−ジフルオロピロメリット酸、1−トリフルオロメチル−4−フルオロピロメリット酸、1,4−ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸、1−ペンタフルオロエチル−4−フルオロピロメリット酸、1−ペンタフルオロエチル−4−トリフルオロメチルピロメリット酸、1,4−ジ(ペンタフルオロエチル)ピロメリット酸、1−ペンタフルオロフェニル−4−フルオロピロメリット酸、1−ペンタフルオロフェニル−4−トリフルオロメチルピロメリット酸、1−ペンタフルオロフェニル−4−ペンタフルオロエチルピロメリット酸、1,4−ジ(ペンタフルオロフェニル)ピロメリット酸、1−トリフルオロメトキシ−4−フルオロピロメリット酸、1−トリフルオロメトキシ−4−トリフルオロメチルピロメリット酸、1−トリフルオロメトキシ−4−ペンタフルオロエチルピロメリット酸、1−トリフルオロメトキシ−4−ペンタフルオロフェニルピロメリット酸、1,4−ジ(トリフルオロメトキシ)ピロメリット酸、1−ペンタフルオロエトキシ−4−フルオロピロメリット酸、1−ペンタフルオロエトキシ−4−トリフルオロメチルピロメリット酸、1−ペンタフルオロエトキシ−4−ペンタフルオロエチルピロメリット酸、1−ペンタフルオロエトキシ−4−ペンタフルオロフェニルピロメリット酸、1−ペンタフルオロエトキシ−4−トリフルオロメトキシピロメリット酸、1,4−ジ(ペンタフルオロエトキシ)ピロメリット酸、1−ペンタフルオロフェノキシ−4−フルオロピロメリット酸、1−ペンタフルオロフェノキシ−4−トリフルオロメチルピロメリット酸、1−ペンタフルオロフェノキシ−4−ペンタフルオロエチルピロメリット酸、1−ペンタフルオロフェノキシ−4−ペンタフルオロフェニルピロメリット酸、1−ペンタフルオロフェノキシ−4−トリフルオロメトキシピロメリット酸、1−ペンタフルオロフェノキシ−4−ペンタフルオロエトキシピロメリット酸、1,4−ジ(ペンタフルオロフェノキシ)ピロメリット酸、ヘキサフルオロ−3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、ヘキサフルオロ−3,3′,4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ヘキサフルオロ−3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェニル)スルフィド、ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェニル)ジフルオロメタン、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェニル)テトラフルオロエタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェニル)テトラフルオロベンゼン、3,4−ジカルボキシトリフルオロフェニル−3′,4′−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ−ジフルオロメタン、ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)ジフルオロメタン、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロエタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、2,3,6,7−テトラカルボキシ−テトラフルオロナフタレン、2,3,6,7−テトラカルボキシ−ヘキサフルオロアントラセン、2,3,6,7−テトラカルボキシ−ヘキサフルオロフェナントレン、2,3,6,7−テトラカルボキシ−テトラフルオロビフェニレン、2,3,7,8−テトラカルボキシ−テトラフルオロジベンゾフラン、2,3,6,7−テトラカルボキシ−テトラフルオロアントラキノン、2,3,6,7−テトラカルボキシ−ペンタフルオロアントロン、2,3,7,8−テトラカルボキシ−テトラフルオロフェノキサチイン、2,3,7,8−テトラカルボキシ−テトラフルオロチアントレン、2,3,7,8−テトラカルボキシ−テトラフルオロジベンゾ〔b,e〕1,4ジオキサン等である。
【0016】
また、本発明に用いるジアミンとしては、例えば以下のようなものが挙げられ。
m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノデュレン、4−(1H,1H,11H−エイコサフルオロウンデカノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H−パーフルオロ−1−ブタノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H−パーフルオロ−1−ヘプタノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H−パーフルオロ−1−オクタノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−ペンタフルオロフェノキシ−1,3−ジアミノベンゼン、4−(2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(4−フルオロフェノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−ヘキサノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−ドデカノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、p−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノベンゾトリフルオライド、ビス(トリフルオロメチル)フェニレンジアミン、ジアミノテトラ(トリフルオロメチル)ベンゼン、ジアミノ(ペンタフルオロエチル)ベンゼン、2,5−ジアミノ(パーフルオロヘキシル)ベンゼン、2,5−ジアミノ(パーフルオロブチル)ベンゼン、ベンジジン、2,2′−ジメチルベンジジン、3,3′−ジメチルベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、2,2′−ジメトキシベンジジン、3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン、3,3′−ジアセチルベンジジン、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス(アニリノ)エタン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(アニリノ)オクタフルオロブタン、1,5−ビス(アニリノ)デカフルオロペンタン、1,7−ビス(アニリノ)テトラデカフルオロヘプタン、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′−テトラキス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4,4″−ジアミノ−p−テルフェニル、1,4−ビス(p−アミノフェニル)ベンゼン、p−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、4,4″′−ジアミノ−p−クォーターフェニル、4,4′−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス{4−(p−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)ジフェニルスルホン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(2−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジトリフルオロメチルフェニル}ヘキサフルオロプロパン、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4′−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス{4−(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、ビス{(トリフルオロメチル)アミノフェノキシ}ビフェニル、ビス〔{(トリフルオロメチル)アミノフェノキシ}フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、ジアミノアントラキノン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、ビス〔{2−(アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロイソプロピル〕ベンゼン、ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アミノフェニル)エーテル、ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アミノフェニル)スルフィド、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、ビス(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、テトラフルオロ−1,2−フェニレンジアミン、テトラフルオロ−1,3−フェニレンジアミン、テトラフルオロ−1,4−フェニレンジアミン、ヘキサフルオロ−1,5−ジアミノナフタレン、ヘキサフルオロ−2,6−ジアミノナフタレン、3−トリフルオロメチル−トリフルオロ−1,2−フェニレンジアミン、4−トリフルオロメチル−トリフルオロ−1,2−フェニレンジアミン、2−トリフルオロメチル−トリフルオロ−1,3−フェニレンジアミン、4−トリフルオロメチル−トリフルオロ−1,3−フェニレンジアミン、5−トリフルオロメチル−トリフルオロ−1,3−フェニレンジアミン、2−トリフルオロメチル−トリフルオロ−1,4−フェニレンジアミン、3,4−ビス(トリフルオロメチル)−ジフルオロ−1,2−フェニレンジアミン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)−ジフルオロ−1,2−フェニレンジアミン、2,4−ビス(トリフルオロメチル)−ジフルオロ−1,3−フェニレンジアミン、4,5−ビス(トリフルオロメチル)−ジフルオロ−1,3−フェニレンジアミン、4,6−ビス(トリフルオロメチル)−ジフルオロ−1,3−フェニレンジアミン、2,3−ビス(トリフルオロメチル)−ジフルオロ−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)−ジフルオロ−1,4−フェニレンジアミン、3,4,5−トリス(トリフルオロメチル)−フルオロ−1,2−フェニレンジアミン、3,4,6−トリス(トリフルオロメチル)−フルオロ−1,2−フェニレンジアミン、2,4,5−トリス(トリフルオロメチル)−フルオロ−1,3−フェニレンジアミン、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)−フルオロ−1,3−フェニレンジアミン、4,5,6−トリス(トリフルオロメチル)−フルオロ−1,3−フェニレンジアミン、テトラキス(トリフルオロメチル)−1,2−フェニレンジアミン、テトラキス(トリフルオロメチル)−1,3−フェニレンジアミン、テトラキス(トリフルオロメチル)−1,4−フェニレンジアミン、3−ペンタフルオロエチル−トリフルオロ−1,2−フェニレンジアミン、4−ペンタフルオロエチル−トリフルオロ−1,2−フェニレンジアミン、2−ペンタフルオロエチル−トリフルオロ−1,3−フェニレンジアミン、4−ペンタフルオロエチル−トリフルオロ−1,3−フェニレンジアミン、5−ペンタフルオロエチル−トリフルオロ−1,3−フェニレンジアミン、2−ペンタフルオロエチル−トリフルオロ−1,4−フェニレンジアミン、3−トリフルオロメトキシ−トリフルオロ−1,2−フェニレンジアミン、4−トリフルオロメトキシ−トリフルオロ−1,2−フェニレンジアミン、2−トリフルオロメトキシ−トリフルオロ−1,3−フェニレンジアミン、4−トリフルオロメトキシ−トリフルオロ−1,3−フェニレンジアミン、5−トリフルオロメトキシ−トリフルオロ−1,3−フェニレンジアミン、2−トリフルオロメトキシ−トリフルオロ−1,4−フェニレンジアミン、3,3′−ジアミノ−オクタフルオロビフェニル、3,4′−ジアミノ−オクタフルオロビフェニル、4,4′−ジアミノ−オクタフルオロビフェニル、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノヘキサフルオロビフェニル、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノヘキサフルオロビフェニル、ビス(3−アミノ−テトラフルオロフェニル)エーテル、3,4′−ジアミノ−オクタフルオロジフェニルエーテル、ビス(4−アミノ−テトラフルオロフェニル)エーテル、3,3′−ジアミノ−オクタフルオロベンゾフェノン、3,4′−ジアミノ−オクタフルオロベンゾフェノン、4,4′−ジアミノ−オクタフルオロベンゾフェノン、ビス(3−アミノ−テトラフルオロフェニル)スルホン、3,4′−ジアミノ−オクタフルオロジフェニルスルホン、ビス(4−アミノ−テトラフルオロフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−テトラフルオロフェニル)スルフィド、3,4′−ジアミノ−オクタフルオロジフェニルスルフィド、ビス(4−アミノ−テトラフルオロフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノテトラフルオロフェニル)ジフルオロメタン、1,2−ビス(4−アミノテトラフルオロフェニル)テトラフルオロエタン、2,2−ビス(4−アミノテトラフルオロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4″−ジアミノ−ドデカフルオロ−p−テルフェニル、4−アミノ−テトラフルオロフェノキシ−4′−アミノ−テトラフルオロフェニル−ジフルオロメタン、ビス(4−アミノ−テトラフルオロフェノキシ)−ジフルオロメタン、1,2−ビス(4−アミノ−テトラフルオロフェノキシ)−テトラフルオロエタン、2,2−ビス(4−アミノ−テトラフルオロフェノキシ)−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノ−テトラフルオロフェノキシ)−テトラフルオロベンゼン、2,6−ジアミノ−ヘキサフルオロナフタレン、2,6−ジアミノ−オクタフルオロアントラセン、2,7−ジアミノ−オクタフルオロフェナントレン、2,6−ジアミノ−ヘキサフルオロビフェニレン、2,7−ジアミノ−ヘキサフルオロジベンゾフラン、2,6−ジアミノ−ヘキサフルオロアントラキノン、2,6−ジアミノ−オクタフルオロアントロン、2,7−ジアミノ−ヘキサフルオロフェノキサチイン、2,7−ジアミノ−ヘキサフルオロチアントレン、2,7−ジアミノ−テトラフルオロジベンゾ〔b,e〕1,4ジオキサンなどである。
【0017】
中でも、膜厚20μm以下のポリイミド光波長板の実現に必要な0.03を超える複屈折を、実用的な延伸倍率の延伸処理によって発現させるためには、テトラカルボン酸又はその誘導体とジアミンのいずれか、又はその双方が、主鎖骨格に回転可能な結合を持たないか、あるいは回転可能な結合を1つだけもつ直線性の高い構造であることが好ましい。例えば、ジアミンの主鎖骨格に回転可能な結合が2つ以上含まれる場合(エーテル基、チオエーテル基、メチレン基、スルホン基、カルボニル基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基などが含まれる場合を指す)、テトラカルボン酸としては、主鎖骨格が1つのベンゼン環からなるピロメリット酸やそのベンゼン環に結合する2つの水素が他の有機置換基あるいはハロゲンに置換された誘導体、あるいは主鎖骨格がビフェニル構造である2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸や、そのベンゼン環に結合する4つの水素が他の有機置換基あるいはハロゲンに置換された誘導体を用いることが好ましい。また、酸無水物の主鎖骨格に回転可能な結合が2つ以上含まれる場合、ジアミンとしては、主鎖骨格が1つのベンゼン環からなるジアミノベンゼンやそのベンゼン環に結合する4つの水素が他の有機置換基あるいはハロゲンに置換された誘導体、あるいは主鎖骨格がビフェニル構造であり、しかもそのベンゼン環に結合する水素の一部若しくは全部が他の有機置換基あるいはハロゲンに置換された誘導体が好ましい。但し、実施例にも示すように、ビフェニル構造を主鎖骨格に持つジアミンを用いても、酸無水物の主鎖骨格が非常に柔軟な場合には、0.03を超える複屈折を発現させることができない場合がある。したがって、テトラカルボン酸又はその誘導体とジアミンの双方が、その主鎖骨格に回転可能な結合を持たないか、あるいは回転可能な結合を1つだけもつ直線性の高い構造であることが、更に好ましい。
加えて、空気中の水分の吸収に伴う近赤外光の透過性低下を防ぐと共に、光透過性の高い領域を可視域の低波長側へ広げるためには、原料であるテトラカルボン酸又はその誘導体とジアミンのいずれか、又はその双方にフッ素原子が結合したものを用いることが好ましい。特に実施例において明らかにするように、ジアミンとして2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニルを用いた場合には、大きな面内複屈折、高い光透過性、低い吸水率を持ったポリイミドフィルムを得ることができる。また、光通信波長を含む近赤外光に対する吸収損失を限界にまで低減した光波長板を作製するためには、原料としてテトラカルボン酸又はその誘導体とジアミンのいずれか、又はその双方がアミノ基を除いてすべてフッ素化されたものを用いることが好ましい。
【0018】
上記のテトラカルボン酸又はその誘導体とジアミンを反応させることによりポリアミド酸の溶液あるいはフィルムを製造する。ポリアミド酸の製造方法は、通常のポリアミド酸の製造条件と同じでよく、一般的にはテトラカルボン酸の二無水物を等モルのジアミンとN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの極性有機溶媒中で反応させるが、これらを真空中、気相あるいは無溶媒高圧下において反応させることも可能である。本発明においては、テトラカルボン酸又はその誘導体及びジアミンとも単一化合物で用いるばかりではなく、複数のジアミン、テトラカルボン酸又はその誘導体を混合して用いることが可能である。その場合は、複数又は単一のジアミンのモル数の合計と複数又は単一のテトラカルボン酸又はその誘導体のモル数の合計が等しいか又はほぼ等しくなるようにする。
次いで得られたポリアミド酸のイミド化によるポリイミドの合成については、熱イミド化を始めとした通常のポリイミドの合成法が使用できる。加えて本発明においては、単一のポリアミド酸のイミド化のほか、複数のポリアミド酸を混合した状態でイミド化を行い、ポリイミドの混合体を得ることも可能である。
【0019】
フィルム面内に複屈折性のあるポリイミドの製造方法としては、フィルムを一軸方向に延伸する処理と熱イミド化処理を、あるい程度に溶媒を含んだポリアミド酸フィルムに対して、同時にあるいは連続的に行うことが有効である。具体的には:
ポリアミド酸フィルムを一軸延伸した後、金属枠等で一軸あるいは二軸方向を固定した状態で熱イミド化する方法、
ポリアミド酸フィルムに一軸方向の引張り応力をかけたまま熱イミドを行うことにより、延伸とイミド化を同時に行う方法、
ポリアミド酸フィルムを一軸方向のみ金属枠等で固定して熱イミドを行うことにより、その過程で起こるイミド化によるフィルム収縮と溶媒の蒸発を利用して延伸とイミド化を同時に行う方法、
ポリアミド酸の溶液を面内に熱膨張率異方性を有する基板に塗布し、そのまま熱イミド化することにより、その過程で起こる基板の熱膨張の異方性を利用して
延伸とイミド化を行う方法、
が有効であることが、本発明の実施例から明らかとなっている。
【0020】
ここで、延伸処理を熱イミド化処理と同時に行うことは、大きな面内複屈折を得るために有効であるが、既にイミド化が終了した面内複屈折を持たないポリイミドフィルムに対して延伸処理を施すことは、得られる面内複屈折が前記の方法に比べて小さいことから有効でない。しかし、イミド化が終了しておりしかも目的の値に近いリターデーションをもつポリイミドフィルムに対しては、300℃以上の高温下で再度延伸処理を施すことは、リターデーションの調整方法として有効である。また同様のポリイミドフィルムに対して、300℃以上の高温下、応力をかけない状態で熱処理を施すことも、リターデーションの更に精密な調整方法として有効である。これは剛直な構造を持つポリイミドが高温下で自発的に配向し、複屈折が増大する現象を利用している。なお、これらの方法を用いる場合には、該ポリイミドフィルムのリターデーションを外部からモニターしながら、その延伸条件や温度条件を調節することが好ましい。
【0021】
ポリアミド膜フィルムの室温付近における一軸延伸の方法としては、ポリアミド酸溶液を基板に塗布し、溶媒をある程度乾燥させた後に、フィルムを基板からはく離して延伸を行う方法のほかに、延伸が容易な高分子(例えばポリビニルアルコールやポリカーボネートなど)のフィルム上にポリアミド酸溶液を塗布し、溶媒をある程度乾燥させた後で、ポリアミド酸を基板ごと延伸しその後にはく離する方法や、基板からはく離したポリアミド酸のフィルムを良溶媒と貧溶媒からなる混合溶媒に浸漬し、膨潤がある程度進んだ後で延伸する方法を用いることができる。室温付近におけるポリアミド酸の一軸延伸あるいは高温におけるポリイミドフィルムの一軸延伸についてはこれら以外の方法も考えられ、ポリアミド酸あるいはポリイミドの分子鎖が結果として一軸方向に配向していれば、どのような方法も使用することが原理的に可能である。例えば、ポリアミド酸の溶液を耐熱性プラスチックや金属の基板に塗布し、溶媒をある程度乾燥させたのちに基板ごと曲げて応力をかけ延伸させたまま熱イミド化する方法や、ロール延伸機、テンター延伸機等を用いた通常の延伸操作も有効と推定される。
【0022】
面内に熱膨張率の異方性を有する基板としては、実施例に示すように方解石が有効であるが、そのほかにも無機材料では水晶、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、酸化チタンのような端結晶材料、金属材料では一軸方向にガラス繊維などを埋め込んだ繊維強化メタル(FRM)、有機材料では液晶性ポリエステルや液晶性ポリアリレート、一軸方向にガラス繊維などを埋込んだ繊維強化プラスチック(FRP)などが有効と推定される。また、電圧を加えることにより一方向に伸縮する圧電材料や、熱を加えることにより一方向に伸縮する焦電材料も基板として有効と推定される。
【0023】
ポリイミドを用いた光波長板を得るためには、通常そのリターデーションを導波光波長の1/2や1/4に合せる必要があるため、面内複屈折の制御と共にフィルムの膜厚制御が重要となる。ポリイミドの膜厚制御は、一般にその前駆体であるポリアミド酸溶液のスピンコート条件を最適化することによって行われるが、更に高精度の膜厚制御が求められるものについては、設計値よりもやや厚めに作製した延伸ポリイミドフィルムを、反応性イオンエッチングやUVアッシャー、酸素アッシャー等を用いて所定の膜厚まで削っていくことにより作製が可能である。
なお、本発明にかかるポリイミド系光波長板は、光導波路あるいは導波型光デバイスの光路途中に挿入することを主な目的として作製したものであるが、従来の光波長板としてもそのまま使用することができる。また、リターデーションを導波光の波長の1/2や1/4ではなく、任意の値に調整した光位相差板として使用することもできる。加えて、ポリイミドは300℃以上の耐熱性を有するため、スパッタや蒸着によりその表面に金属、半導体、誘電体などの薄膜あるいは多層膜を形成することが可能であり、これらを反射膜や特定の波長の光を遮断するフィルターとして使用することもできる。
【0024】
【実施例】
以下、いくつかの実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。なお種々のポリイミドの組合せにより、また延伸方法の部分的な変更により数限りない本発明の光波長板が得られることは明らかであり、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0025】
ポリイミドフィルムの面内方向の複屈折(Δn)は、TE偏光を延伸方向に入射した場合に得られる屈折率(nTE1 )とTE偏光を延伸方向に垂直な方向に入射した場合に得られる屈折率(nTE2 )の差をとることにより求めた。
屈折率は(株)メトリコン社のプリズムカプラー(PC−2000型)を用い、室温23℃、波長1.55μmで測定した。またポリイミドフィルムの膜厚(d)は、膜厚が20μm以下の場合は上記のプリズムカプラーで、それ以上の場合はピーコック社製のダイアルゲージで測定した。光波長板としての機能発現に必要なリターデーション(Δn×d)は、上記の方法で求めたΔnとdを乗ずることで計算可能であるが、より直接的には、「セナルモン法」、「光干渉法」、「回転検光子法」、「位相変調法」、「平行ニコル回転法」などの方法により求めることができる。
実施例においては、光源として波長1.55μmのレーザーダイオードを、偏光子として2つのグラントムソンプリズムを用い、「平行ニコル回転法」によりリターデーションを測定した。なお、実施例で用いたポリイミドの中で、ジアミンとして2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニルを用いたフッ素化ポリイミドが、300℃を超える耐熱性と0.7%以下の吸水率を持つことは、特開平3−72528号公報、及びマクロモレキュール誌〔T.松浦ほか、第24巻、第5001〜5頁(1991)及びT.松浦ほか、第25巻、第3540〜5頁(1992)〕で明らかにしたとおりである。
【0026】
実施例1
直径4インチのシリコンウェハに、以下の構造式(化1)で示されるピロメリット酸二無水物(PMDA):
【0027】
【化1】
【0028】
と、以下の構造式(化2)で示される2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル(TFDB):
【0029】
【化2】
【0030】
から合成されたポリアミド酸のN,N−ジメチルアセトアミド溶液をスピンコート法により塗布した。この塗膜に70℃、1時間の熱処理をしてはく離できる程度に溶媒を蒸発させた。はく離したフィルムを縦6cm、横3cmの短冊状に切り出し、引張り試験機(インストロン)にかけて室温状態のまま一軸延伸を行った結果、10%の伸びが観測された。これを長方形の金属枠に固定し、最高温度350℃で1時間熱イミド化を行った。得られたフィルムのΔnは0.145であった。このポリイミドのΔnが変化しないとして、これを波長1.55μmの1/2波長板として使用するためには、膜厚が5.3μmである必要がある。そこでポリアミド酸溶液のスピンコートの条件を、延伸イミド化後の膜厚が5.3μmとなるように変え、上記と同様の延伸処理(伸び10%)と熱処理を再度行った結果、Δn×d=0.775のポリイミドフィルムが得られた。
そこでこのフィルムの延伸軸に対して偏波面が45度傾くように波長1.55μmの直線偏光を入射したところ、透過後の偏波面が90度回転したことから、このフィルムが1/2波長板として使用できることが明らかとなった。また、石英系の埋め込み型光導波路に幅20μm、深さ150μmの溝を導波路の長手方向に対して直角に切っておき、このポリイミドフィルムの延伸軸が導波路基板に対して45度の角度をなすように該フィルムを切断して溝に挿入し、過剰損失を測定したところ0.3dBであった。
【0031】
実施例2
実施例1と同様の方法で作製したポリアミド酸のはく離フィルムを、縦6cm、横3cmの短冊状に切り出し、その一端を上方として金属枠に固定すると共に、それに対向する他端を2つの金属片で挟んで120gのおもりをつけ、吊り下げることにより引張り応力をかけた。これをこの状態のまま窒素雰囲気の加熱炉に入れ、昇温速度4℃/分で最高温度350℃まで昇温し、その後350℃で1時間保持することにより熱イミド化を行った。得られたフィルムのΔnは0.037であった。このポリイミドのΔnが変化しないとして、これを波長1.55μmの1/4波長板として使用するためには、膜厚が10.5μmである必要がある。そこでポリアミド酸溶液のスピンコートの条件を、熱イミド化後の膜厚が10.5μmとなるように変え、また、フィルムにかかる単位断面積当りの応力が同じになるようにおもりの重量を変えて上記の処理を再度繰り返した結果、Δn×d=0.388のポリイミドフィルムが得られた。
このようにして得られたフィルムの延伸軸に対して偏波面が45度傾くように波長1.55μmの直線偏光を入射したところ、透過後の光が円偏光となったことから、このフィルムが1/4波長板として使用できることが明らかとなった。実施例1と同様の方法で、光導波路への挿入に伴う過剰損失を測定したところ、0.3dBであった。
【0032】
実施例3
実施例2に示した光波長板の製造方法において、おもりの重量、昇温速度、最高温度がポリイミドのΔnに及ぼす効果を明らかにするために以下のような検討を行った。まず、昇温速度を4℃/分、最高速度を350℃に固定して、おもりの重量を30gから240gまで変化させた。
図3は、ポリアミド酸フィルムに吊り下げるおもりの重量と得られる面内複屈折の関係を表わす図であり、横軸はおもりの重量(g)、縦軸は面内複屈折Δnを表わす。図3に示すように、ポリイミドのΔnはおもりの重量と線形の関係にあり、0.017から0.070の範囲で制御可能である。次に、おもりの重さを120g、最高温度を350℃に固定して、昇温速度を4℃/分から40℃/分まで変化させた。図4は、熱イミド化における昇温速度と得られる面内複屈折の関係を表わす図であり、横軸は昇温速度(℃/分)、縦軸は面内複屈折Δnを表わす。図4に示すように、ポリイミドのΔnは昇温速度と線形の関係にあり、0.037から0.063の範囲で制御可能である。最後に、おもりの重さを120g、昇温速度を4℃/分に固定して、最終温度を350℃/分から450℃/分まで変化させた。図5は、熱イミド化における最高温度と得られる面内複屈折の関係を表わす図であり、横軸は最高温度(℃)、縦軸は面内複屈折(Δn)を表わす。図5に示すように、ポリイミドのΔnは最終温度と線形の関係にあり、0.037から0.189の範囲で制御可能である。これらの結果から明らかなように、ポリイミドフィルムのリターデーションは、Δnを制御することによって制御可能である。図3に見るように、おもりの重量を変化させる方法は、実現が容易でありかつΔnの精密制御が可能である。変化させることのできるΔnの範囲も、膜厚が10〜20μmの光波長板を作製する目的には十分である。昇温速度を変化させる方法も、図4に見るように変化させることのできるΔnの範囲がやや狭いものの、制御性に優れる。最高温度を変化させる方法は、図5に見るように他の2つの方法に比べるとΔnの精密制御性にやや劣るものの、変化させることのできるΔnの範囲が非常に広く、10μm以下の膜厚の波長板を作製するのに適している。最高温度450℃の条件下では、波長1.30μmの1/2波長板を3.4μmまで薄くすることができる。
【0033】
実施例4
実施例2に示した光波長板の製造方法において、ポリイミドの分子構造と得られるΔnを明らかにするために以下のような検討を行った。実施例2で用いたPMDAとTFDBから合成されたポリアミド酸(PMDA/TFDB)に加え、PMDAと以下の構造式(化3)で示される4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA):
【0034】
【化3】
【0035】
から合成されたポリアミド酸(PMDA/ODA)、以下の構造式(化4)で示される3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA):
【0036】
【化4】
【0037】
とODAから合成されたポリアミド酸(BTDA/ODA)、以下の構造式(化5)で示される2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA):
【0038】
【化5】
とTFDBから合成されたポリアミド酸(6FDA/TFDB)、そしてPMDAと6FDAの当モル混合物とTFDBから合成されたポリアミド酸(PM6F/TFDB)の膜厚25μmのフィルムを用意し、実施例3と同様に、おもりの重さを120g、昇温速度を4℃/分に固定して、最終温度を350℃/分から450℃/分まで変化させた。得られたポリイミドのΔnをフィルムの熱イミド化過程における最大の伸びに対してプロットしたのが図6である。すなわち図6は、熱イミド化におけるポリイミドフィルムの最大の伸び(%、横軸)と得られる面内複屈折Δn(縦軸)の関係を表わす図である。図6に示ように、PMDA/TFDBは伸びが30%を超えた状態でもΔnが単調に増加するのに対し、PMDA/ODAは伸びが30%を超えるとΔnに飽和の傾向が現われる。これはPMDA/TFDBが直線状の剛直な構造であるのに対し、PMDA/ODAにはエーテル結合があり、すべての分子鎖が延伸方向に配向することができないためと推定される。この2つのポリイミドは10%程度の延伸によって0.03を超えるΔnが発現するため、膜厚20μm以下のポリイミド光波長板の材料として用いることができる。一方、ジアミンが剛直なTFDBであっても、酸無水物が6FDAの場合は、6FDAの主鎖骨格が非常に柔軟なために、0.03を超える複屈折を発現させることができない。6FDAがΔnの発現を阻害する効果は大きく、PM6F/TFDBはPMDAと6FDAが等量含まれているにもかかわらず、伸びに対するΔnの増加はPMDA/TFDBよりも6FDA/TFDBに近い。酸無水物とジアミンの両方に回転可能な結合が2つずつ含まれるBTDA/ODAの場合も、0.03を超える複屈折を発現させることができない。伸びが20%を超える状態でΔnが低下しているのは、このポリイミドがガラス転移点以上に熱せられたために、延伸によって形成された分子鎖の配向が緩和したためと推定される。
【0039】
上記の方法で作製した厚さ15μmのPMDA/TFDBとPMDA/ODAのポリイミドフィルムについて測定した光透過性とリターデーションの波長依存性を図7と図8に示す。図7及び図8において横軸は波長(μm)、縦軸は光透過性(%)又は1.55μmで規格化したリターデーションを表わす。光透過性の波長依存性には膜厚との干渉縞が見える。波長1.55μmにおけるΔnはどちらも約0.05であり、リターデーションは1.55μmでの値に規格化してある。どちらのポリイミドも光通信波長域のほぼ全域で95%以上の光透過性と十分なリターデーションを持つことがわかる。特に分子構造にフッ素を含むPMDA/TFDB(図7)は、光透過性が急減する吸収端の波長が、フッ素を含まないPMDA/ODA(図8)に比べて約0.06μm低波長にあり、またリターデーションが急減する波長や約0.1μm低波長側にあるため、波長板あるいは位相差板として使用できる波長域がその分広くなっている。
【0040】
実施例5
実施例1と同様の方法で作製したポリアミド酸のはく離フィルムを、縦6cm、横3cmの短冊状に切り出し、長方形の金属枠に一軸方向だけを固定し、最高温度350℃で熱イミド化を行った。得られたフィルムのΔnは0.053であった。ポリアミド酸溶液のスピンコート条件を変化させた場合のポリイミドフィルムの膜厚及びリターデーションを図9に示す。図9において、横軸はスピンコート回転数(rpm)、縦軸はリターデーション(μm)を表わす。図9のように、リターデーションとスピンコート回転数は線形の関係にあり、ポリイミドのリターデーションはスピンコート回転数を変化させることによって高い精度で制御することができる。また、膜厚に比例してリターデーションが増加することから、膜厚が変化した場合でも常に一定のΔnが発現していることがわかる。図9から読み取れるように、波長1.55μmの1/2波長板を作製するためには、膜厚が14.5μmである必要がある。そこでポリアミド酸溶液のスピンコート回転数を570rpmとして、上記の処理を再度繰り返した。こうして得られたポリイミドフィルムの延伸軸に対して偏波面が45度傾くように波長1.55μmの直線偏光を入射したところ、透過後の偏波面が90度回転したことから、このフィルムが1/2波長板として使用できることが明らかとなった。実施例1と同様の方法で、光導波路への挿入に伴う過剰損失を測定したところ、0.3dBであった。
【0041】
実施例6
実施例1と同様の方法で作製したポリアミド酸の溶液を、縦横の長さが5cm、厚さ3mm、結晶c軸が面内に出ている方解石基板上に塗布し、最高温度350℃で熱イミド化を行った。得られたフィルムのΔnは0.031であった。このポリイミドフィルムを波長1.55μmの1/4波長板として使用するためには、膜厚が12.5μmである必要がある。そこでポリアミド酸溶液のスピンコートの条件を、熱イミド化後の膜厚が12.5μmとなるように変えて、上記の処理を再度繰り返した。
このようにして得られたフィルムの延伸軸に対して偏波面が45度傾くように波長1.55μmの直線偏光を入射したところ、透過後の光が円偏光となったことから、このフィルムが1/4波長板として使用できることが明らかとなった。実施例1と同様の方法で、光導波路への挿入に伴う過剰損失を測定したところ、0.3dBであった。
【0042】
実施例7
実施例1と同様の方法で作製したポリアミド酸の溶液を、溶液流延法の連続製膜装置にかけ、ポリカーボネートの支持フィルム上に流延し、70℃の乾燥層を通して、幅50cm、厚さ25μmのフィルムとした。その後、ポリアミド酸のフィルムを支持フィルムからはく離し、50cm幅の左右をチャックで固定して、130℃の低温槽と350℃の高温槽を通過させた。得られたフィルムは50cm幅の方向に延伸されており、中央部の厚さは14μmで、0.045のΔnを示した。このポリイミドは波長1.55μmの1/2波長板として使用するためには、Δnが0.055である必要がある。そこで、このポリイミドの延伸方向を長手方向として縦6cm、横3cmの短冊状に切り出し、その一端を上方として金属枠に固定すると共に、それに対向する他端を金属枠で挟んで120gのおもりをつけ、吊り下げることにより引張り応力をかけた。これをこの状態のまま窒素雰囲気の加熱炉に入れ、昇温速度4℃/分で昇温した。加熱炉の左右には直径5cmの石英窓が取り付けられ、それを通して1.55μmのレーザー光がポリイミドフィルムを貫通する構造となっている。加熱炉の左右に置かれたリターデーション測定系により、熱処理中のポリイミドのその場測定が可能である。雰囲気の温度が350℃を超えたところからリターデーションが増加し始め、365℃でリターデーションが0.775となった。加熱を打ち切り、室温まで自然冷却した後、再度Δnを測定したところリターデーションの変化は1%以内であった。こうして得られたポリイミドフィルムの延伸軸に対して偏波面が45度傾くように波長1.55μmの直線偏光を入射したところ、透過後の偏波面が90度回転したことから、このフィルムが1/2波長板として使用できることが明らかとなった。実施例1と同様の方法で、光導波路への挿入に伴う過剰損失を測定したところ、0.3dBであった。
【0043】
実施例8
実施例7と同様の方法で作製した厚さ14μm、Δnが0.045のポリイミドの延伸方向を長手方向として縦6cm、横3cmの短冊状に切り出し、長方形の金属枠に延伸軸方向の両端を固定した。これをこの状態のまま窒素雰囲気の加熱炉に入れ、昇温速度4℃/分で昇温した。雰囲気の温度が350℃を超えたところからリターデーションが増加し始め、400℃でリターデーションが0.775となった。加熱を打ち切り、室温まで自然冷却した後、再度Δnを測定したところリターデーションの変化は1%以内であった。こうして得られたポリイミドフィルムの延伸軸に対して偏波面が45度傾くように波長1.55μmの直線偏光を入射したところ、透過後の偏波面が90度回転したことから、このフィルムが1/2波長板として使用できることが明らかとなった。実施例1と同様の方法で、光導波路への挿入に伴う過剰損失を測定したところ、0.3dBであった。
【0044】
実施例9
図10は本発明の第9の実施例を示す図で、厚さ1mmのシリコン基板上に作製された1本のシングルモード導波路から構成される偏波変換器である。すなわち図10は、本発明によるポリイミド1/2波長板を用いた偏波変換器を示す模式図であり、符号1は入力導波路、2は出力導波路、3はポリイミド1/2波長板、4は溝、5はシリコン基板を意味する。
導波路は火炎堆積法と反応性イオンエッチングにより作製された石英系の導波路であり、その断面はシリコン基板上に堆積された厚さ60μmのクラッディング層のほぼ中央に、寸法7μm×7μmのコアが埋設された構造となっている。クラッディッグとコアの比屈折率差は0.75%である。光路の途中には幅20μm、深さ150μmの溝が設けられている。溝の作製には、エッチングなどの化学的な加工とダイシングソーなどの機械的な加工のいずれを用いてもよいが、本実施例では15μm厚の歯(ブレード)を用いてダンシングソーで加工した。溝の中には、実施例5で作製され、その光学主軸が基板と45度の角度をなすように切断された厚さ14.5μmのポリイミド1/2波長板が挿入されている。この偏波変換器の入力導波路に偏波保存のシングルモード光ファイバを接続し、導波路基板に対して水平方向の電界をもつ偏光(水平偏波)を入射したところ、出力導波路からは導波路基板に対して垂直方向の電界をもつ偏光(垂直偏波)が出射された。また同様に、垂直偏波を入射したところ、出力導波路からは水平偏波が出射された。水平偏波を垂直偏波に、また垂直偏波を水平偏波に変換する効率を示す偏波変換度を測定したところ、30dBであった。また、溝を加工しポリイミド波長板を挿入したことに伴う過剰損失は0.3dBであった。
【0045】
実施例10
図11は本発明の第10の実施例を示す図で、本発明の偏波変換器を、2本のシングルモード導波路から構成されるマッハツェンダー干渉計を用いた導波型光波長合分波器に適用したものである。すなわち図11は、本発明によるマッハツェンダー干渉計を用いた偏波無依存の導波型光合分波器を示す模式図である。図11において、符号3〜5は図10と同義であり、6は第1の入力導波路、7は第2の入力導波路、8は第1の出力導波路、9は第2の出力導波路、10は第1の方向性結合器、11は第1の光路、12は第2の光路、13は第2の方向性結合器を意味する。2本の導波路は、第1の入力導波路、第2の入力導波路、第1の方向性結合器、第2の方向性結合器、第1の光路、第2の光路、第1の出力導波路、第2の出力導波路を構成している。第1及び第2の方向性結合器の分岐比は共に50%であり、第1及び第2の光路はその長さがΔLだけ異なっている。第1の光路と第2の光路の中間点には溝が設けられ、ポリイミド1/2波長板が挿入されている。本実施例で用いている導波路の寸法、作製条件、伝搬特性、溝と波長板の形状、波長板の特性等は実施例9と同じである。ポリイミド光波長板は偏波変換器として作用し、第1及び第2の光路を伝搬してきた導波光の水平偏波を垂直偏波に、また垂直偏波を水平偏波に変換する。第1の入力導波路には光ファイバが接続される。なお、第2の入力導波路に光ファイバを接続した場合には、以下の記述において第1の出力と第2の出力が入れ替わるだけで、本実施例の導波型光合分波器の動作には影響を及ぼさない。第1の入力導波路からの導波光は第1の方向性結合器でそのパワーが等分され、第1と第2の光路を独立に伝搬し、第2の方向性結合器で再び合流した後、第1と第2の出力導波路から取り出される。
まずポリイミド光波長板による偏波変換器が無い場合を考えてみると、シリコン基板上に作製された石英系導波路は複屈折性を有するため、水平偏波に対する屈折率と垂直偏波に対する屈折率が異なり、結果として第1の光路と第2の光路の光路長差が、水平偏波が入射した場合と垂直偏波を入射した場合とで異なる。このため光波長合分波器としての特性が偏波依存性を持つ。ここで光路長とは、光が導波する距離に屈折率を乗じた値であり、光の進行に伴う位相の遅れと比例関係にある。これに対して図11に示すように偏波変換器が第1の光路と第2の光路の中間点にある場合、それらの光路長差は水平偏波と垂直偏波で等しくなる。なぜならば水平偏波で入射した光は光路の前半は水平偏波としての屈折率を感じるが、後半は垂直偏波としての屈折率を感じ、従って合計の光路長はそれらの屈折率の平均と物理的な長さの積となる。一方、垂直偏波で入射した光の光路長も、同様に水平偏波の屈折率と垂直偏波の屈折率の平均と物理的な長さの積となる。その結果として、本実施例の波長合分波器としての特性は偏波無依存になる。
【0046】
図12は、図11の導波型光合分波器の分波特性を示す図であり、横軸は信号光波長、縦軸は透過光強度を表わす。図中の曲線はそれぞれポリイミド光波長板を用いた偏波変換器がある場合(実線)、従来の水晶光波長板を用いた偏波変換器がある場合(1点鎖線)及び偏波変換器がない場合(点線)の波長合分波特性を示す。ここでは入力光として水平偏波と垂直偏波を等しい光量で第1の入力導波路から入射し、第1の出力導波路からの出力を測定した。水平偏波と垂直偏波はそれぞれ正弦波で表わされる透過特性を示すが、偏波変換器が無い場合は、その波長特性が水平偏波と垂直偏波とで異なっているため、その和で表わされる全体の波長特性は消光比の悪いものとなる。ここで消光比とは、光が最も強く出力される波長における出力と最も弱く出力される波長における出力との比を指している。水晶の光波長板を用いた偏波変換器がある場合には、水平偏波と垂直偏波でその波長特性が一致するため消光比は高くなる。しかしながら水晶波長板が厚いために、過剰損失が4dBと大きくなってしまう。一方、ポリイミド光波長板を用いた偏波変換器がある場合には、偏波依存性が解消され、高い消光比が得られると共に過剰損失も0.3dBと大幅に低くなっている。
【0047】
実施例11
図13は第11の実施例を示す図であり、本発明の偏波変換器を導波型リング共振器に適用したものである。すなわち図13は、本発明による偏波無依存の導波型リング共振器を示す模式図であり、符号1〜5は図10と同義、10及び13は図11と同義、14は入力ファイバ、15はリング導波路、16は出力ファイバを意味する。シリコン基板上には入力導波路、リング導波路、出力導波路が配置され、入力導波路とリング導波路は第1の方向性結合器、出力導波路とリング導波路は第2の方向性結合器により結合されている。また、リング導波路の2ヵ所には溝が設けられ、ポリイミド1/2波長板が挿入されている。本実施例で用いている導波路の寸法、、作製条件、伝搬特性、溝と波長板の形状、波長板の特性等は実施例9と同じである。この原理も実施例10と同じで、光波長板が無い場合は導波路の複屈折のためにリング共振器一周の光路長が水平偏波と垂直偏波で異なる。これを補償するために1/2波長板を挿入して偏波変換器として機能させることによってその偏波依存性を解消した。図14(a)に本実施例としてのポリイミド光波長板を挿入したときのリング共振器の波長特性を示す。比較のため光波長板がない場合のリング共振器の波長特性は図14(b)に示す。図14において、横軸は波長、縦軸は透過光強度(任意単位)を表わす。ポリイミド光波長板を用いた偏波変換器の使用により、水晶波長板を用いた偏波変換器の場合に比べて1/10以下の低い損失得られた。
なお、本実施例においては、ポリイミド光波長板は2ヵ所に挿入されているが本発明はこれに限定されるものではなく、偶数個であれば同様の効果が得られることは明白である。また、1あるいは3など奇数個の場合には、偏波依存性解消の効果はそのままで共振長が2倍になる。すなわち、リング導波路の長さを1/2にすることができ、小型化が可能となることを付記しておく。
【0048】
実施例12
図15は本発明の第12の実施例を示す図であり、本発明の偏波変換器をアレイ導波路型回折格子を用いた光合分波器に適用したものである。すなわち図15は、本発明によるアレイ導波路回折格子を用いた偏波無依存の導波型光合分波器を示す模式図であり、符号1〜5は図10と同義であり、17は第1のスラブ導波路、18は第2のスラブ導波路、19はチャンネル導波路、20はアレイ導波路を意味する。
シリコン基板上には入力導波路、第1のスラブ導波路、アレイ導波路、第2のスラブ導波路、複数の出力導波路が順次接続されている。2つのスラブ導波路はそれぞれ入力導波路あるいは出力導波路端を曲率中心とする扇型である。アレイ導波路は長さがΔLずつ異なる複数のチャンネル導波路から構成されている。溝が作製され、その中にはポリイミド1/2波長板が挿入されている。本実施例で用いている導波路の寸法、作製条件、伝搬特性、溝と波長板の形状、波長板の特性等は実施例9と同じである。1/2波長板は各チャンネル導波路の中間点に配置される必要があり、ここでは各チャンネル導波路の中間点が1直線上に並ぶように、アレイ導波路を左右対称に設計し、溝が連続した1つの直線になるようにしてある。このとき1/2波長板は、アレイ導波路を構成するすべてのチャンネル導波路を横切る長さを持つもの1枚で十分である。設計によっては左右対称でない場合もありうるが、その時には溝が一直線上にないため、チャンネル導波路の数の1/2波長板を挿入する必要があり、作業量が増加するので好ましくない。
アレイ導波路回折格子に本発明の偏波変換器を適用したときの偏波依存性解消の効果は実施例9のマッハツェンダー干渉計の場合と同様である。図16は、図15の導波型光合分波器の分波特性を示す図であり、横軸は信号光波長、縦軸は損失を表わす。図中の曲線はそれぞれポリイミド光波長板を用いた偏波変換器がある場合(実線)、従来の水晶波長板を用いた偏波変換器がある場合(1点鎖線)及び偏波変換器がない場合(点線)の波長合分波特性を示す。ポリイミド光波長板を用いた偏波変換器を使用した場合、偏波依存性が解消されると共に、損失が0.3dBと大幅に低くなっている。
【0049】
実施例13
図17は第13の実施例を示す図であり、本発明の偏波変換器を方向結合器に適用したものである。すなわち図17は、本発明による偏波無依存の導波型方向性結合器を示す模式図であり、符号3〜9は図11と同義、21は方向性結合器を意味する。シリコン基板上には第1の入力導波路、第2の入力導波路、方向性結合器、第1の出力導波路、第2の出力導波路が作製され、更に方向性結合器の中間点には溝が設けられ、その中にポリイミド1/2波長板が挿入されている。本実施例で用いている導波路の寸法、作製条件、伝搬特性、溝と波長板の形状、波長板の特性等は実施例9と同じである。方向性結合器の長さLは完全結合長の半分で、このデバイスが3dBカプラ(分岐比1対1)として動作するように設計されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な分岐比を有する方向性結合器に適用できる。
方向性結合器における2つの伝搬モード(偶モードと奇モード)の実効屈折率をそれぞれne 、no として、水平偏波に(TE)、垂直偏波に(TM)の添え字を付ける。第1の入力導波路から伝搬してきた光により方向性結合器の左端では偶モードと奇モードが励振される。途中で水平偏波と垂直偏波が交換されるので、偶モードと奇モードの光路長の差は以下のようになる。
水平偏波の入力に対して、
【0050】
【数1】
【0051】
垂直偏波の入力に対して、
【0052】
【数2】
【0053】
であり、両者の値は一致する。したがって、方向性結合器としての分岐比に偏波依存性はない。方向性結合器の長さLは式(数1)及び式(数2)の値が波長の1/4になるように設定されているので、等分(1対1)分配された光が第1及び第2の出力導波路から取り出される。もちろん、本発明は分岐比が1対1のものに限定されるものではなく、様々な分岐比のものに適用できることは明らかである。本実施例の方向性結合器にポリイミド光波長板を用いた偏波変換器を使用した場合、分岐比に偏波依存性は見られず、過剰損失は0.3dBであった。
【0054】
実施例14
図18は第14の実施例を示す図であり、本発明の偏波変換器を位相変調器に適用したものである。すなわち図18は、本発明による偏波無依存の導波型位相変調器を示す模式図であり、符号3及び4は図10と同義であり、22は+電極、23は−電極、24はLiNbO3 基板、25はTi拡散導波路を意味する。鏡面研磨を行ったニオブ酸リチウム(LiNbO3 )基板にチタン(Ti)膜を堆積し、パターニングした後、1000度程度に高温雰囲気でTiを熱拡散させ光導波路を作製した。更に金(Au)電極を導波路近傍に作製することにより位相変調器を作製した。図に示す+電極と−電極の間に電圧を印加すると電気光学効果によって導波路の屈折率が変化する。しかし電気光学効果がもたらす屈折率の変化は偏波依存性を持つため、光の受ける位相変化量も水平偏波と垂直偏波で異なることになる。そこで、位相変調器の中央に溝を作製し、その中にポリイミド1/2波長板を挿入した。偏波変換器としてのポリイミド1/2波長板を、その光学主軸が導波路基板と45度の角度をなすように挿入することによって、偏波無依存の位相変調器を実現した。本実施例で用いている溝と波長板の形状、波長板の特性等は実施例9と同じである。ポリイミド光波長板を用いた偏波変換器を使用することによる過剰損失は2.0dBであった。LiNbO3 基板は石英に比べて脆性が大きく、精密な溝加工は困難である。過剰損失がこのように大きくなったのは、溝の加工精度の不十分であることによると推定される。
【0055】
実施例15
図19は第15の実施例を示す図であり、本発明の偏波変換器を偏波ビームスプリッターに適用したものである。すなわち、図19は、本発明による偏波無依存の導波型偏波ビームスプリッタを示す模式図であり、符号4〜13は図11と同義であり、36はポリイミド1/4波長板を意味する。この導波型光デバイスは実施例10に示したものと類似しているが、その第1の光路と第2の光路の光路長差が使用波長の1/4波長(λ/4)であること、光路に挿入するポリイミド光波長板が1/2波長板ではなく1/4波長板であること、そして光波長板の主軸の角度が45度でないことが異なる。第1の光路に挿入した光波長板はその光学主軸が導波路基板と垂直になっており、それゆえ偏波モード間の結合は無いが、垂直偏波が水平偏波に比べて相対的に1/4波長長い光路長を感じる。一方、第2の光路については1/4波長板の光学主軸を導波路基板に対して並行に挿入しているため水平偏波が垂直偏波に比べて相対的に1/4波長長い光路長を感じる。また元々の回路設計で第2の光路が第1の光路よりも1/4波長長くなっているために各モードの光路長は以下に羅列するようになる。
第1の光路の垂直偏波 α+λ/4
第1の光路の水平偏波 α
第2の光路の垂直偏波 α+λ/4
第2の光路の水平偏波 α+λ/4+λ/4
よって垂直偏波は2つのアーム導波路の光路長差がないために第1の入力導波路から入射するとクロスポートである第2の出力導波路から出力される。一方、水平偏波はアーム導波路の光路長差が1/2波長あるために、第1の入力導波路から入射するとスルーポートである第1の出力導波路から出力される。すなわち、この回路は偏波ビームスプリッタとして機能することになる。本実施例で用いている導波路の寸法、作製条件、伝搬特性、溝と波長板の形状等は実施例9と同じである。ポリイミド1/4波長板は実施例2で作製したものを用いた。第1の入力導波路から垂直偏波を入射したところ、出射光はクロスポートである第2の出力導波路から出力され、一方、第1の入力導波路から水平偏波を入射したところ、出射光はスルーポートである第1の出力導波路から出力された。ポリイミド光波長板を用いた偏波変換器を使用することによる過剰損失は0.3dBであった。
【0056】
なお、本実施例では1/4波長板を2枚用いる方法を示したが、一枚の1/2波長板を、その光学主軸が導波路基板に水平あるいは垂直になるように挿入し、熱光学位相シフタなどの位相制御器を合せて用いることによって、偏波ビームスプリッタを実現すことも可能である。これを図20に示す。すなわち、図20は、本発明による偏波無依存の熱光学位相シフタを用いた導波型偏波ビームスプリッタを示す模式図であり、符号3〜13は図11と同義、26は熱光学位相シフタを意味する。熱光学位相シフタとは導波路表面に薄膜ヒータを設け、これを加熱することによって導波路温度を制御し、熱光学効果を利用して光の位相を制御するものである。
【0057】
実施例16
図21は第16の実施例を示す図である。すなわち図21は、本発明による偏波ビームスプリッタと磁性導波路を用いた偏波無依存の光サーキュレータを示す模式図であり、符号3、4及び6〜9は図11と同義、27は第1の偏波ビームスプリッタ、28は第1の偏波ビームスプリッタの第1の出力導波路、29は第1の偏波ビームスプリッタの第2の出力導波路、30は磁性導波路、31は磁性導波路からなる非相反素子、32は第2の偏波ビームスプリッタ、33は第2の偏波ビームスプリッタの第1の入力導波路、34は第2の偏波ビームスプリッタの第2の入力導波路を意味する。この導波型光デバイスは実施例14で示した偏波ビームスプリッタと磁性導波路、及び本発明のポリイミド光波長板とから構成される。
【0058】
その動作原理をまず第1の入力導波路から光を入射した場合について述べる。第1の入力導波路から入射された光は第1の偏波ビームスプリッタによって、垂直偏波はクロスポートである第1の偏波ビームスプリッタの第2の出力導波路へ、また水平偏波はスルーポートである第1の偏波ビームスプリッタの第1の出力導波路へ透過する。各々の光は磁性導波路中でファラデー回転を受けて偏波面が45度回転するよう設計されている。更にポリイミド1/2波長板がその主軸を導波路基板に対して22.5度傾けて配置してあるために、透過光の偏波面は更に45度回転する。その結果、第1の偏波ビームスプリッタの第1の出力導波路から出力された水平偏波は垂直偏波に変換され第2の偏波ビームスプリッタの第1の入力導波路に、一方、第1の偏波ビームスプリッタの第2の出力導波路から出力された垂直偏波は水平偏波に変換され第2の偏波ビームスプリッタの第2の入力導波路に入射される。その後第2の偏波ビームスプリッタで垂直偏波はクロスポートへ、水平偏波はスルーポートへ透過するため、2つの偏波は合波されて第2の出力導波路から出力される。結局、第1の入力導波路から入射した光はその偏波状態に依存せず第2の出力導波路から出力され、同様に第2の入力導波路から入射された光は第1の出力導波路から出力される。
次に入射ポートを反対にして、第2の出力導波路から光を入射した場合を考える。第2の偏波ビームスプリッタにより垂直偏波はクロスポートである第2の偏波ビームスプリッタの第1の入力導波路へ、一方、水平偏波はスルーポートである第2の偏波ビームスプリッタの第2の入力導波路へ透過する。その後各々の光がポリイミド1/2波長板で偏波面が45度回転する。ここまでは相反素子の原理からリバーシブルな動作であるが、磁性導波路は非相反素子であるため、図21で光が左から右へ光が透過する場合と反対に右から左へ光が透過する場合とでは偏波面の回転方向が反対になる。このため第2の偏波ビームスプリッタの第1の入力導波路から入射した垂直偏波は垂直偏波のまま第1の偏波ビームスプリッタの第1の出力導波路に透過され、第2の偏波ビームスプリッタの第2の入力導波路から入射した水平偏波は水平偏波のまま第1の偏波ビームスプリッタの第2の出力導波路に透過する。これらの光は第1の偏波ビームスプリッタで合波されて第2の入力導波路から出力される。同様に第1の出力導波路から入射された光はその偏波状態に依存せず、第1の入力導波路から出力される。すなわち、この導波型光デバイスは偏波無依存のサーキュレータとして機能することになる。また、このデバイスは第1の入力導波路から光を入射させ、第2の出力導波路から光を取り出すことによって、偏波無依存の導波路型アイソレータとして機能することも付記しておく。
本実施例で用いている導波路の寸法、作製条件、伝搬特性、溝と波長板の形状、波長板の特性等は実施例9と同じである。導波回路の設計どおり、第1の入力導波路から入射した光はその偏波状態に依存せず第2の出力導波路から出力され、また、第2の入力導波路から入射された光は第1の出力導波路から出力された。一方、第1の出力導波路から入射した光はその偏波状態に依存せず第1の入力導波路から出力され、また第2の出力導波路から入射された光は第2の入力導波路から出力された。ポリイミド光波長板を用いた偏波変換器を使用することによる合計の過剰損失は0.9dBであった。
【0059】
実施例17
図22は第17の実施例を説明するための図である。すなわち図22は、本発明によるポリイミド1/4波長板と反射層を用いた偏波変換器を示す模式図であり、符号1、2及び5は図10と同義、35は誘電体多層膜、36はポリイミド1/4波長板を意味する。本導波型光デバイスの原理は実施例9の偏波変換器と同じであるが、その偏波変換をポリイミド1/4波長板と反射膜を用いて行う点が異なっている。導波路端面に配置されたポリイミド1/4波長板はその光学主軸が導波路基板に対して45度の角度をなすように接着されており、また光波長板の導波路に接する面と対向する面には導波光を反射させるための反射コートが施されている。本実施例では誘電体多層膜を利用した反射コートを行ったが、これは金属反射膜を利用することも可能である。本実施例で用いている導波路の寸法、作製条件、伝搬特性等は実施例9と同じである。入力導波路から入射した光はポリイミド1/4波長板を透過し、誘電多層膜で反射された後、再び1/4波長板を透過して出力導波路へ出射する。結果として1/4波長板を2度透過するため、1/2波長板を透過したのと同じ効果が得られることになる。
この偏波変換器の入力導波路に偏波保存のシングルモード光ファイバを接続し、導波路基板に対して水平方向の電界をもつ偏光(水平偏波)を入射したところ、出力導波路からは導波路基板に対して垂直方向の電界をもつ偏光(垂直偏波)が出射された。また同様に、垂直偏波を入射したところ、出力導波路からは水平偏波が出射された。水平偏波を垂直偏波に、また垂直偏波を水平偏波に変換する効率を示す偏波変換度を測定したところ、30dBであった。
本実施例の長所は、導波回路中に光波長板を挿入するための溝の作製が必要ないことである。実施例14で示したように、LiNbO3 などの基板は脆性が大きく精密な溝加工が困難である。本実施例の方法はこのような基板に作製された導波型光デバイスへの適用が有効と考えられる。
なお、本実施例では入力導波路と出力導波路は別々のものを用いたが、入力導波路、出力導波路として同一の導波路を用いることも可能であることを付記しておく。
【0060】
比較例1
石英系の埋め込み型光導波路に幅100μm、深さ100μmの溝を導波路方向に対して直角に切っておき、水晶からなる波長1.55μmの1/2波長板(厚さ91μm)を、その光学主軸が導波路基板に対して45度の角度をなすように切断し、溝に挿入後、過剰損失を測定したところ、4dBであった。
【0061】
比較例2
直径4インチのシリコンウェハに、実施例1において作製したポリアミド酸の溶液をスピンコート法により塗布し、最高温度350℃で熱イミド化を行った。このフィルムを基板からはく離し、短冊状に切り出して、引張り試験機(インストロン)にかけ、室温状態のまま一軸延伸を行ったが、約1%伸びたところで破断した。得られたフィルムの膜厚は10.1μm、Δnは0.0008であった。このポリイミドフィルムを波長1.55μmの1/2波長板として使用するためには約1mmの膜厚とする必要があり、挿入損失は4dB以上と試算されるため、光波長板としての使用は不可能であることが判明した。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の無機単結晶材料に代って、製造が容易で柔軟性があり、水晶を用いた光波長板に比べて膜厚が薄いため挿入損失が少なく、しかも300℃以上の高い耐熱性を持った光波長板を提供することができ、主に導波型光デバイスの高性能化、低価格化と作製プロセスの効率化といった点に寄与することができる。また実施例に示したように様々な光導波回路に光波長板を挿入することによってその機能、性能を向上させることができるばかりでなく、新しい型の導波型光デバイスの作製にも寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光導波路に波長板を挿入した場合の、波長板の厚さに対する過剰損失の依存性を示す図。
【図2】ポリイミドフィルムの屈折率異方性を表わす屈折率楕円体に対する配向処理の効果を説明する図。
【図3】ポリアミド酸フィルムに吊り下げるおもりの重量と得られる面内複屈折の関係を表わす図。
【図4】熱イミド化における昇温速度と得られる面内複屈折の関係を表わす図。
【図5】熱イミド化における最高温度と得られる面内複屈折の関係を表わす図。
【図6】熱イミド化におけるポリイミドフィルムの最大の伸びと得られる面内複屈折の関係を表わす図。
【図7】面内複屈折を有するPMDA/TFDBフィルムの、光透過性とリターデーションの波長依存性を表わす図。
【図8】面内複屈折を有するPMDA/ODAフィルムの、光透過性とリターデーションの波長依存性を表わす図。
【図9】ポリアミド酸溶液のスピンコート回転数とポリイミドフィルムのリターデーションの関係を表わす図。
【図10】本発明によるポリイミド1/2波長板を用いた偏波変換器を示す模式図。
【図11】本発明によるマッハツェンダー干渉計を用いた偏波無依存の導波型光合分波器を示す模式図。
【図12】図11の導波型光合分波器の分波特性を示す図。
【図13】本発明による偏波無依存の導波型リング共振器を示す模式図。
【図14】図13の導波型リング共振器の特性を示す図。
【図15】本発明によるアレイ導波路回折格子を用いた偏波無依存の導波型光合分波器を示す模式図。
【図16】図15の導波型光合分波器の分波特性を示す図。
【図17】本発明による偏波無依存の導波型方向性結合器を示す模式図。
【図18】本発明による偏波無依存の導波型位相変調器を示す模式図。
【図19】本発明による偏波無依存の導波型偏波ビームスプリッタを示す模式図。
【図20】本発明による偏波無依存の熱光学位相シフタを用いた導波型偏波ビームスプリッタを示す模式図。
【図21】本発明による偏波ビームスプリッタと磁性導波路を用いた偏波無依存の光サーキュレータを示す模式図。
【図22】本発明によるポリイミド1/4波長板と反射層を用いた偏波変換器を示す模式図。
【符号の説明】
1:入力導波路、2:出力導波路、3:ポリイミド1/2波長板、4:溝、5:シリコン基板、6:第1の入力導波路、7:第2の入力導波路、8:第1の出力導波路、9:第2の出力導波路、10:第1の方向性結合器、11:第1の光路、12:第2の光路、13:第2の方向性結合器、14:入力ファイバ、15:リング導波路、16:出力ファイバ、17:第1のスラブ導波路、18:第2のスラブ導波路、19:チャンネル導波路、20:アレイ導波路、21:方向性結合器、22:+電極、23:−電極、24:LiNbO3 基板、25:Ti拡散導波路、26:熱光学位相シフタ、27:第1の偏波ビームスプリッタ、28:第1の偏波ビームスプリッタの第1の出力導波路、29:第1の偏波ビームスプリッタの第2の出力導波路、30:磁性導波路、31:磁性導波路からなる非相反素子、32:第2の偏波ビームスプリッタ、33:第2の偏波ビームスプリッタの第1の入力導波路、34:第2の偏波ビームスプリッタの第2の入力導波路、35:誘電体多層膜、36:ポリイミド1/4波長板
Claims (7)
- テトラカルボン酸又はその誘導体とジアミンから合成されるポリアミド酸のフィルムを、長方形状に成形し、その後金属枠に一軸方向のみを固定した状態で熱イミド化し、その結果得られるポリイミド膜より構成されることを特徴とする光波長板の製造方法。
- テトラカルボン酸又はその誘導体とジアミンから合成されるポリアミド酸のフィルムを、所定の面内複屈折が得られるように一軸方向のみを固定した状態で熱イミド化し、その結果得られるポリイミド膜より構成されることを特徴とする光波長板の製造方法。
- 膜厚が20μm以下のポリイミド膜により構成される請求項1又は2に記載の光波長板の製造方法。
- テトラカルボン酸又はその誘導体とジアミンから合成されるポリアミド酸の溶液を、面内に熱膨張率異方性を有する基板に塗布し、それを熱イミド化し、その結果得られるポリイミド膜より構成されることを特徴とする光波長板の製造方法。
- 膜厚が20μm以下のポリイミド膜により構成される請求項4に記載の光波長板の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光波長板の製造方法によって作製されたポリイミド膜を、300℃以上の高温下において、一軸方向に延伸することを特徴とするポリイミド膜により構成される光波長板の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光波長板の製造方法によって作製されたポリイミド膜を、300℃以上の高温下において熱処理することを特徴とするポリイミド膜により構成される光波長板の製造方法。
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