JPH10132964A - 発電装置および携帯型電子機器 - Google Patents

発電装置および携帯型電子機器

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JPH10132964A
JPH10132964A JP8284482A JP28448296A JPH10132964A JP H10132964 A JPH10132964 A JP H10132964A JP 8284482 A JP8284482 A JP 8284482A JP 28448296 A JP28448296 A JP 28448296A JP H10132964 A JPH10132964 A JP H10132964A
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JP
Japan
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rotor
power
magnetic flux
stator
power generation
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Withdrawn
Application number
JP8284482A
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English (en)
Inventor
Kinya Matsuzawa
欣也 松澤
Yoshitaka Iijima
好隆 飯島
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 円盤状のロータと、このロータが回転可能に
収納された板状のステータとを有し、ロータを駆動する
駆動歯車がこれらと1部重なるように配置された薄型の
腕時計装置に収納可能な発電装置において、出力用コイ
ルに得られる交番磁束密度を向上し、高い発電量の得ら
れる発電装置を提供する。 【解決手段】 駆動系における漏洩磁束密度に着目し、
径の大きな回転錘車12および磁束が漏洩する回路を構
成するロータかな32を始め、その他の駆動系を構成す
る主要なパーツに非磁性体を採用する。これにより、漏
洩磁束を低減し、交番磁束を5%程度も高めることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転錘などによっ
て得られる運動エネルギーによりロータを回転して発電
を行う薄型の発電装置に関し、特に、腕時計装置などの
薄型の電子機器の動力源として適した発電装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】腕時計装置のような小型で携帯に適した
電子機器において、発電装置を内蔵することによって電
池の交換のなくし、あるいは電池自体を無くすことがで
きる携帯型の電子機器が考案され、実用化されている。
図5に、その一例として発電装置10を内蔵した腕時計
装置1の概略構成を示してある。この携帯型電子機器
(腕時計装置)1においては、腕時計装置のケース内で
旋回運動を行う回転錘11を備えており、この回転錘1
1の動力が回転錘11と共に回転する回転錘車12およ
びロータ伝え歯車20を介してロータ30に伝達され、
2極の永久磁石を備えたディスク状のロータ30がステ
ータ14の内部で回転して発電が行われるようになって
いる。すなわち、2極あるいはそれ以上に多極磁化され
たロータ30が磁性体であるステータ14の内部で回転
することにより、ステータ14の両端に接続された出力
用コイル15に交番磁束が生じ、これによって出力用コ
イル15の両端に起電力が誘起されるので交流出力が取
り出せるようになっている。
【0003】本例の携帯型電子機器は、発電装置10か
ら出力された交流を整流する整流回路2と、発電装置1
0から得られた電力を蓄積するコンデンサ5などによっ
て構成された供給部4と、この供給部4からの電力によ
って動作する計時装置7などの処理装置6を備えてお
り、発電装置10からの電力によって計時装置7を作動
できるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ロータを回転して発電
を行う上記のような発電装置において発電効率を向上す
るためには、ロータの回転によって励起される出力コイ
ルを横切る方向の磁束密度(交番磁束密度)を増やすこ
とが望ましい。このため、出力用コイル15が接続され
た方向をステータ14の左右方向とすると、これに直交
するロータ30を挟んだ幅の狭いステータ14の上下方
向のヨーク部の磁路幅を狭くしたり、あるいは、ロータ
30を収納する開口に凹み(ノッチ)を設けるなどの構
造的な処理が行われている。
【0005】しかしながら、上述したような板状のステ
ータ14にロータ30を駆動するためのロータ伝え歯車
20あるいは回転錘車12が積み重ねられて配置され、
薄く小型化された発電装置の磁束密度の分布を装置全体
から検討することは行われていない。そこで、本発明に
おいては、ステータ14および出力用コイル15の形状
や構成といった観点に代わり、発電装置全体の磁束密度
分布を検討することにより、出力用コイル15に発生す
る交番磁束密度を高められる発電装置を提供することを
目的としている。そして、腕時計装置などに収納可能な
ように薄型化された発電装置において、発電効率が高
く、高出力が得られる発電装置を提供することを目的と
している。さらに、発電効率の高い発電装置と、この発
電装置の電力によって動作可能な処理装置を搭載し、処
理装置の機能を何時でも何処でも充分に発揮させること
が可能な携帯に適した電子機器を提供することも目的と
している。
【0006】
【課題を解決するための手段】回転錘車あるいはロータ
伝え歯車などにおける磁束密度の分布を本発明者らが有
限要素法(FEM)を用いてシミュレーションしたとこ
ろ、発電装置においては、磁化されたロータからステー
タ、出力用コイル、ステータそしてロータという磁気回
路内で磁界が閉じていることが望ましいにもかかわら
ず、ロータからロータ伝え歯車あるいは回転錘車に磁束
が漏洩していることが見いだされた。ロータ伝え歯車あ
るいは回転錘車といったロータに動力を伝達する駆動歯
車およびそのシャフトあるいは歯車との噛み合い用のか
ななど部材については、従来、交番磁束との関係が特に
考慮されたことがなく、このため、安価で十分な強度お
よび磨耗などの機械的な特性が得られる従来からの炭素
鋼を中心とした磁性体が使われている。このような従来
からの部材を用いたシミュレーションを本発明者が行っ
たところ、従来、磁気回路として考慮されていない駆動
歯車にも磁束が分布することが見いだされ、特に、面積
の広い回転錘車に大きな磁束の集中が見られた。また、
駆動歯車からの動力をロータに伝達するロータかなにも
大きな磁束の集中が見られた。ロータかなは、小さいな
がら駆動歯車へ磁束が漏洩する磁気回路の内部抵抗と考
えることができ、抵抗を大きくすることにより漏洩する
磁束を小さくするとができると考えられる。
【0007】このように、本発明により、今まで交番磁
束の密度との関係が考慮されていなかった駆動歯車に磁
束の漏洩があることが判明した。特に、面積の広い駆動
歯車には大きな磁束の漏洩が見られ、また、ロータに対
し動力を伝達するロータかなにも大きな磁束の漏洩が見
られる。そこで、本発明の、多極磁化された円盤状のロ
ータと、このロータが回転可能に収納された板状のステ
ータと、ロータを駆動するための少なくとも1つの駆動
歯車とを有し、これらの駆動歯車がステータに隣接、ま
たは、駆動歯車の一部がステータ上に張り出した状態で
回転する薄型の発電装置においては、駆動歯車のうち、
少なくとも最大径の駆動歯車を非磁性体とすることを特
徴としている。最大径の駆動歯車を、ステンレス、セラ
ミック、真鍮あるいは樹脂などの非磁性体とすることに
より、漏洩磁束を大幅に削減することができる。従っ
て、出力用コイルに得られる交番磁束の密度を向上する
ことが可能であり、発電装置の出力を向上することがで
きる。
【0008】また、ロータを回転可能に支持するロータ
シャフトを介し駆動歯車の動力をロータに伝達するロー
タかなを非磁性体にすることも漏洩磁束を削減するため
には、非常に有効である。これによって、駆動歯車に漏
れ出す磁束を削減し、交番磁束の密度を向上することに
よって発電出力を高めることができる。
【0009】さらに、最大径の駆動歯車の動力をロータ
かなに伝達する伝達歯車を有する発電装置においては、
この伝達歯車に対し最大径の駆動歯車の動力を伝達する
伝達歯車かなを非磁性体とすることにより、駆動歯車に
対する磁束の漏洩を削減することができる。回転錘によ
って得られた動力を用いて発電する発電装置において
は、最大径の駆動歯車は回転錘と共に回転する回転錘車
となるので、この回転錘車を非磁性体によって構成する
ことが望ましい。
【0010】このように、本発明により駆動歯車の少な
くとも1部を非磁性体によって構成することにより、効
率良く回転エネルギーを電気エネルギーに変換できるこ
とが判明した。このため、本発明により、腕時計装置な
どの携帯型の電子機器に収納できるコンパクトで発電能
力の高い薄型の発電装置を提供できる。そして、本発明
の発電装置と、この発電装置からの電力によって動作可
能な処理装置と備えた電子機器においては、ユーザーの
動きなどによって何時でも何処でも充分な電力が得られ
るので、電池交換などの心配なく処理装置の機能を充分
に発揮させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照しながら本発明
をさらに詳しく説明する。図1に本例の発電装置10の
概略構成を示し、また、図2に発電装置10を展開した
様子を示してある。本例の発電装置10は、先に説明し
たように図5に示した腕時計装置1に収納できるように
なっている。従って、ステータ14および出力用コイル
15は、腕時計装置1の地板13に装着できるようにな
っており、ステンレス製の地板13にステータ14の両
端14aおよび14bを固定できるようになっている。
また、ステータ14の一部を貫通して他のパーツを固定
するための部材13aが突き出れるようになっている。
【0012】本例のステータ14は磁性体(パーマロ
イ)によって構成された長い板状であり、その両側14
aおよび14bに磁性体(パーマロイ)を磁心15aと
して巻かれた出力用コイル15が取りつけられている。
ステータ14のほぼ中央には、ほぼ円形の開口14cが
設けられており、この開口14cにディスク状のロータ
30が設置されている。ロータ30は、ロータシャフト
31によって地板13に取りつけられ開口14cの内部
で回転できるようになっている。ロータシャフト31に
は駆動歯車から回転力を受けるためのロータかな32が
取りつけられている。
【0013】本例の発電装置10の駆動系は、タングス
テンなどのヘビーメタルによって構成された回転錘11
と、この回転錘11に対し中心11aで固定され回転錘
11と共に回転する回転錘車12と、この回転錘車12
の回転力を受けてロータ30に伝達するロータ伝え歯車
20を備えている。ロータ伝え歯車20は、ステータ1
4を貫通するように配置されたロータ伝えシャフト21
によって地板13に取りつけられており、ステータ14
と重なる状態で回転するようになっている。ロータ伝え
シャフト21には、回転錘車12と噛み合って動力を受
けるロータ伝えかな22が取りつけられている。さら
に、ロータ伝え歯車20がロータかな32と噛み合っ
て、回転錘車12の回転力によってロータ30を回転で
きるようになっている。
【0014】本例の発電装置10は、板状のステータ1
4にディスク状のロータ30が収納された非常に薄型化
された発電装置であり、さらに、ロータ伝え歯車20が
ステータ14に重なって配置され、また、回転錘車12
もその一部がステータ14の上に張り出した配置になっ
ている。従って、本例の発電装置10は、薄型で非常に
コンパクトに形成されており、腕時計装置1のような携
帯可能で小型の電子機器に組み込めるようになってい
る。
【0015】本例の発電装置10においては、ロータシ
ャフト31、ロータかな32、ロータ伝え歯車20、ロ
ータ伝えシャフト21、ロータ伝えかな22、回転錘車
12がそれぞれステンレスあるいはセラミックなどの非
磁性体によって構成されている。これらのパーツを構成
可能な非磁性体としては、真鍮あるいはプラスチックな
どの樹脂等が考えられる。これらの素材のうち、機械的
強度の面からはステンレスあるいはセラミックが望まし
く、また、加工性の面からはステンレス、真鍮あるいは
樹脂などが好ましい。
【0016】図3に、本例の発電装置10における磁束
密度の分布を有限要素法(FEM)を用いてシミュレー
ションした結果を示してある。シミュレーションの主な
条件は次の通りである。ロータ30は、直径が2.2m
mで厚みが0.4mmのSm2Co17の部材であり、
磁場の最大強度BHmaxが32メガガウスエルステッ
ド(MGOe)の磁力を有するもの。ステータ14は長
さ17mmで厚みが0.5mmのパーマロイ(PC材)
であり、初期透磁率μiが380000、最大透磁率μ
mが450000、さらに、飽和磁束密度Brが420
0G(ガウス)のもの。また、出力用コイル15は、磁
心が長さ17mmで厚みが0.5mmのパーマロイ(P
B材)であり初期透磁率μiが10000、最大透磁率
μmが100000、さらに、飽和磁束密度Brが11
500Gのものであり、コイルは巻き外径が縦1.28
mm、横1.82mmで長さ12.2mmとなるように
巻かれた線径が0.3μm、巻数3600ターン、抵抗
値340Ωといったのものである。
【0017】図3に示した本シミュレーションの結果
は、ロータ30の磁極が図中の矢印方向を向いていると
き、すなわち、コイル15の内部の磁心に磁束が通りや
すい状態における磁束密度の分布を白黒の濃淡で表した
ものである。本図によると、磁束がコイル15に集中し
ていることが判り、出力用コイル15には8900Gの
高い交番磁束密度が得られている。従って、本図の発電
装置からは高い発電出力が得られると考えられる。
【0018】これに対し、図4にロータシャフト31、
ロータかな32、ロータ伝えシャフト21、ロータ伝え
かな22、回転錘車12がそれぞれ磁性材料(PbS)
で構成された従来の発電装置の磁束分布を、上記と同様
にFEMを用いたシミュレーションによって求めた結果
を示してある。このシミュレーションにおいては、上記
の条件に加え、主な条件として以下を加えた。ロータか
な32は、直径が0.8mmで厚みが0.44mmのも
の。ロータシャフト31は、直径が0.3mmで長さが
3mmのもの。回転錘車12は、ピッチ円の径が10m
mで厚みが0.2mmのもの。ロータ伝えかな22はピ
ッチ円の径が0.7mmで厚みが0.34mmのもの。
また、ロータ伝えシャフト21は直径が0.3mmで長
さが3.2mmのものである。なお、ロータ伝え歯車2
0(ピッチ円の径が3.8mmで厚みが0.12mm)
は、比較対象とした従来の発電装置においても非磁性材
料(MnNsR)が採用されていたので、本シミュレー
ションにおいても非磁性材料とした。
【0019】ロータ30から発生した磁束は、ロータ、
ステータ、磁心、ステータそしてロータという磁気回路
内で完全に閉じていることが望ましい。しかしながら、
図4に示した従来の発電装置をシミュレーションした結
果においては、ロータシャフト31、ロータかな32、
ロータ伝えシャフト21、ロータ伝えかな22および回
転錘車12などの磁性部材に磁束が漏洩していることを
示す濃淡が現れており、磁束が出力用コイル15に集中
せずに上記の磁性部材にも分布していることが判る。こ
れらの部材における磁束の分布をみると、ロータかな3
2には1200〜3800Gという強い磁束密度が分布
している。また、回転錘車12にも最大が3800Gと
いう強い磁束密度が分布している。さらに、ロータ伝え
シャフト21には最大2000G程度、ロータ伝えかな
22には最大3500G程度の磁束密度が分布してい
る。
【0020】さらに、出力用コイル15の磁束密度が8
500Gと、図3に示した本例の発電装置10と比較
し、5%程度も低下していることが判る。このことは、
逆に、本例の発電装置10においては、回転錘車12、
ロータかな32などの駆動系を非磁性材とすることによ
って出力用コイル15の磁束密度を5%程度向上できる
という結果が得られたことになる。この出力用コイル1
5に得られた有効な磁束密度の差は、そのまま発電量の
差に繋がるので、本例の発電装置においては、従来の発
電装置より5%程度大きな電力を出力することができ
る。このような出力コイル15に得られる有効な磁束密
度の差は、明らかに駆動系の部材に漏洩している磁束が
原因であり、その主なものはロータかな32および回転
錘車12であると考えられる。
【0021】ロータシャフト31、ロータ伝えシャフト
21にも大きな磁束密度を示している部分がある。しか
しながら、これらのパーツの磁束密度の大きな領域はロ
ータ30あるいはステータ14の近傍のごく小さな領域
のみであり、その他の部分では100G未満と小さな値
である。また、ロータ伝えかな32にも3500Gとい
う大きな磁束密度を示す部分があるが、これも回転錘車
12との接触部分近傍だけであり、回転錘車12が磁性
体でなければ磁束が集中する部分はなくなると予想でき
る。これらのパーツに対し、ロータかな32において
は、磁束密度がさらに高い値を示しており、高い部分で
3800G、低い部分でも1200Gという値を示して
いる。ロータかな32を発電装置の磁気回路を電気的な
等価回路に置き換えて考えると、ロータ(磁石)30が
電池と等価であり、電池(磁石と等価)から流れようと
する電荷(磁束と等価)を減少させる内部抵抗に相当す
るのがロータかな32であると考えられる。そして、ロ
ータかな32を通って、ロータ伝えシャフト21あるい
はロータ伝えかな22に漏れた磁束が、さらに、回転錘
車12に漏れ込み、広い面積を有する回転錘車12のほ
ぼ全域にわたって磁束が流れ込んでいると考えられる。
【0022】従って、ロータかな32を非磁性体にする
ことにより、磁束の漏れを抑制することが可能である。
このため、漏洩磁束を低減して出力コイル15に現れる
交番磁束の密度を向上するためにはロータかな32を非
磁性体にすることが非常に有効である。また、ロータ伝
え歯車20に加え、ロータ伝えシャフト21およびロー
タ伝えかな22を非磁性体に置き換えることにより、回
転錘車12に流れ込む漏洩磁束を大幅に低減することが
できると考えられる。
【0023】しかしながら、面積の大きな回転錘車12
に磁束が漏洩する原因は、ロータかな32を通る磁気回
路に限定されておらず、ステータ14あるいはロータ3
0からも直に磁束が漏洩していると考えられる。すなわ
ち、本例のような薄型の発電装置10においては、回転
錘車12がロータ30やステータ14の上に張り出して
おり、これらに対し非常に隣接した位置にある。今後の
発電装置においては、回転錘車12が配置的にロータ3
0やステータ14と本例の装置ほど重ならないようにな
る可能性もあるが、さらに発電装置を薄型化する要求が
高いので回転錘車12とロータ30あるいはステータ1
4はいっそう接近した配置になることはほぼ確実である
と考えられる。大きな面積を有する回転錘車12が磁束
の集中するステータ14やロータ30に接近した位置に
あると、ロータ伝えシャフト21やロータ伝えかな22
を介さずに直に磁束の漏洩が発生している可能性が十分
に考えらる。そして、今後、発電装置10がさらにコン
パクトで薄型化するに従ってこのような漏洩磁束は増大
すると考えられる。
【0024】従って、ステータあるいはロータに接近し
て配置され、面積が大きく、漏洩磁束密度も高くなる大
型の駆動歯車(本例においては、回転錘車12)におい
ては、伝えかな22などを非磁性化して漏洩磁束の回路
が構成されることを防止することももちろん効果的であ
るが、駆動歯車それ自体を非磁性体によって構成するこ
とが漏洩磁束を低減するうえで最も望ましいと考えられ
る。
【0025】ロータシャフト31、ロータかな32、ロ
ータ伝えシャフト21、ロータ伝えかな22、および回
転錘車12を非磁性体にした場合の効果は、上述したよ
うに、図3に示したシミュレーションの結果によく現れ
ており、交番磁束を5%程度も増加させることができ
る。また、回転錘車12を磁性体(PbS)から非磁性
体(真鍮)に変えた発電装置で得られる発電量も本発明
者らが測定している。この発電量の測定は、充電電圧を
1.0V、回転錘11を90度に立てた状態で回転錘1
1を180度落下させた条件で行った。その結果による
と、発電装置から得られる発電量は回転錘車12を磁性
体(PbS)から非磁性体(真鍮)に変えるだけで10
7.5μC(マイクロクーロン)から110μCに増加
し、2.3%程度も高い出力が得られることが判った。
【0026】腕時計装置などに内蔵可能な薄型の発電装
置においては、従来、発電装置を駆動する駆動歯車、シ
ャフトあるいはかなといった駆動系のパーツは、交番磁
界を増加して発電効率を向上する面からは何の考慮もさ
れていなかった。しかしながら、上記にて説明したよう
に、これらのパーツにも磁束が漏洩していることが確認
され、この漏洩磁束を軽減することにより交番磁束密度
を大幅に向上できることが判明した。特に、面積の大き
な回転錘車12などの駆動歯車における漏洩磁束を軽減
することは効果的であり、駆動歯車を非磁性化すること
により漏洩磁束を軽減して発電装置の出力を向上するこ
とができる。本発明者らの行った測定では、上述した条
件で2.3%程度も高い出力を得ることができる。さら
に、磁束が漏洩する回路を構成するパーツを非磁性化す
ることにより、漏洩磁束を低減することが可能である。
本発明者らの行ったシミュレーションでは、回転錘車1
2に加え、ロータシャフト、ロータかな、ロータ伝えシ
ャフトおよびロータ伝えかなを非磁性化することによ
り、さらに高い5%程度もの高い出力を得ることができ
ることが判った。従って、本発明により、回転錘などに
よって動力を得て発電を行う薄型でコンパクトな発電装
置の出力を向上することが可能であり、腕時計などの携
帯型の電子機器に搭載することにより、計時処理などを
行う処理装置の動力源として十分な性能を発揮できる発
電装置を提供することができる。
【0027】本例の発電装置は、図5に示した腕装着型
の計時装置に限定されることはなく、ユーザーの脚部に
装着されたり、さらに、車両に搭載され、その振動など
によってローターを回転させて発電を行う機器などのよ
うに様々な電子機器に適用することができる。また、本
発明の発電装置から電力を供給されて処理を行う処理装
置として、上述した計時装置に限らず、例えばページャ
ー、電話機、無線機、補聴器、万歩計、電卓、電子手帳
などの情報端末、ICカード、ラジオ受信機などがあ
り、これらの携帯型機器に本発明の発電装置を適用する
ことによって、これらの処理装置に対し十分な電力を供
給することが可能である。そして、これらの携帯型の電
子機器に本発明の発電装置を採用することにより、人間
の動きなどを捉えて効率良く発電を行い、電池の消費を
抑制したり、あるいは電池その物を不要にすることも可
能である。従って、ユーザーは電池切れを心配せずに、
これらの携帯型機器を使用することができ、電池切れに
よってメモリーに記憶した内容が失われるなどのトラブ
ルも未然に防止できる。さらに、電池や充電装置が容易
に入手できない地域や場所、あるいは災害などによって
電池の補充が困難な事態であっても電子機器の機能を発
揮させることが可能となる。
【0028】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、腕時計装置などに収納可能な薄型の発電装置の駆動
系が出力用コイルで得られる交番磁束密度にどのような
影響をもたらすかという、従来、検討されていない方向
から発電装置の磁束密度の分布を求め検討した。その結
果、従来から磁性体によって構成されていたシャフト、
かなあるいは駆動歯車といった駆動系に大きな漏洩磁束
があることが確認され、この漏洩磁束を軽減することに
より、交番磁束密度を大幅に向上できることが判った。
従って、本発明においては、特に効果の大きな大径の駆
動歯車、あるいは、大径の駆動歯車およびロータかな、
さらには、その他の駆動系のパーツに非磁性体を用いる
ことにより漏洩磁束を低減できるようにしており、この
結果、出力用コイルで得られる交番磁束密度が高く、発
電量の大きな発電装置を提供することができる。このた
め、本発明の薄く発電効率の高い発電装置を計時処理な
どを行う処理装置と共に搭載することにより、携帯可能
で、いつでも何処でも処理機能を発揮できる携帯型の電
子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発電装置の一例の構成を示す平面図で
ある。
【図2】図1に示す発電装置の主な部品を展開して示す
図である。
【図3】図1に示す発電装置における磁束密度の分布を
FEMによりシミュレーションした結果を示す図であ
る。
【図4】従来の発電装置における磁束密度の分布をFE
Mによりシミュレーションした結果を示す図である。
【図5】発電装置を搭載した腕時計装置の概略構成を示
す図である。
【符号の説明】
1・・腕時計装置(携帯型電子機器) 2・・整流回路 4・・供給部 5・・コンデンサ 6・・処理部 7・・計時装置 10・・発電装置 11・・回転錘 12・・回転錘車 13・・地板 14・・ステータ 15・・出力用コイル 15a・・磁心 20・・ロータ伝え歯車 21・・ロータ伝えシャフト 22・・ロータ伝えかな 30・・ロータ(磁石) 31・・ロータシャフト 32・・ロータかな

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多極磁化された円盤状のロータと、この
    ロータが回転可能に収納された板状のステータと、前記
    ロータを駆動するための少なくとも1つの駆動歯車とを
    有し、これらの駆動歯車が前記ステータに隣接、また
    は、前記駆動歯車の一部が前記ステータ上に張り出した
    状態で回転する薄型の発電装置において、 前記駆動歯車のうち、少なくとも最大径の前記駆動歯車
    が非磁性体であることを特徴とする発電装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記ロータを回転可
    能に支持するロータシャフトと、前記駆動歯車の動力を
    前記ロータシャフトを介して前記ロータに伝達するロー
    タかなとを有し、このロータかなが非磁性体であること
    を特徴とする発電装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記最大径の駆動歯
    車の動力を前記ロータかなに伝達する伝達歯車を有し、
    この伝達歯車に対し前記最大径の駆動歯車の動力を伝達
    する伝達歯車かなが非磁性体であることを特徴とする発
    電装置。
  4. 【請求項4】 請求項1において、前記発電装置は回転
    錘によって得られた動力を電気エネルギーに変換する発
    電装置であり、前記最大径の駆動歯車は回転錘と共に回
    転する回転錘車であることを特徴とする発電装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の発
    電装置と、この発電装置からの電力によって動作可能な
    処理装置とを有することを特徴とする携帯型電子機器。
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