JPH10130702A - 傾斜機能材料の製法 - Google Patents

傾斜機能材料の製法

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JPH10130702A
JPH10130702A JP8299395A JP29939596A JPH10130702A JP H10130702 A JPH10130702 A JP H10130702A JP 8299395 A JP8299395 A JP 8299395A JP 29939596 A JP29939596 A JP 29939596A JP H10130702 A JPH10130702 A JP H10130702A
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JP
Japan
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material layer
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powder
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Application number
JP8299395A
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English (en)
Inventor
Akihiko Otsuka
昭彦 大塚
Kunihiko Iwasaki
邦彦 岩崎
Masato Araiyama
政人 新井山
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 傾斜機能材料を製造するにあたり、複合化材
層と基材層の界面における剥離防止、複合化材層中のボ
イドの発生防止、および複合化材層中のクラックの発生
防止を達成する。 【解決手段】 基材層の表面に、基材よりも焼結温度の
高い複合化材の粉体もしくは該複合化材の粉体と基材の
粉体との混合からなる複合化材層を積層した被処理体を
焼結させることにより、傾斜機能材料を製造する方法に
おいて、先ず、被処理体の複合化材層の表面に赤外線レ
ーザ光を照射して、被処理体の表面近傍のみを焼結させ
た後、必要に応じて引き続き複合化材層の表面に赤外線
レーザ光を照射しながら、加熱炉等を用いて被処理体全
体が基材の焼結温度以上になるように加熱することを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超微細組織を有し
かつ連続した傾斜組成を持つ傾斜機能材料の製法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一方の側と他方の側とでは異なる物理的
または化学的特性を持つ材料は、その特性を活かした各
種の用途がある。たとえば板状体の一方の面は耐熱性や
耐摩耗性に優れる超合金やセラミックスからなり、他方
の面は基材との接合性のよい金属からなり、その内部に
おいて両者が次第に組成を変えながら融合し、全体とし
ては一体的な単一部材として形成されている材料は、耐
熱や耐摩耗分野の材料、生体材料などとして有用であ
る。
【0003】一般に、所定の金属組成を有する基材層の
表面に、基材よりも焼結温度の高いセラミックス材料や
基材と異なる金属材料の複合化材層を積層する場合、基
材と複合化材の物性(ヤング率、熱膨張係数等)が異な
ることから、接合界面において機能および物性の不連続
性が生じる。このような物性等の不連続性は、互いの材
料物性のミスマッチに起因する耐久性の低下、界面にお
ける脱落剥離等を招く。
【0004】これに対して、基材層の表面に積層された
複合化材層内部の組成が、基材層の表面近傍では基材の
含有率が高く、基材層の表面から離れるに従って次第に
複合化材の比率が高くなるように連続的に変化している
いわゆる「傾斜機能材料」は、複合化材の内部において
機能や物性がゆるやかに変化することから前述のような
不連続性に起因した難点を克服することができるといっ
た利点があり、傾斜機能材料は、種々の分野で有用であ
る。そして、この傾斜機能材料を製造するに際し、耐食
性、耐摩耗性、触媒性、意匠性、生体親和性などの向上
を目的として、基材層の表面に複合化材の粉体を積層し
て形成した被処理体を加熱して焼結することによる傾斜
機能材料化の製法が研究されている。また、被処理体を
加熱するにあたっては、被処理体を加熱炉に投入して被
処理体全体を所定の温度まで加熱する方法や、被処理体
の表面に赤外線レーザ光を照射して加熱する方法が従来
から採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このように粉
体を焼結させて傾斜機能材料を製造する場合、通常は複
合化材の焼結温度の方が基材の焼結温度よりも高いこと
が多く、また、基材と複合化材の熱膨張や熱収縮の相違
により、焼結中や焼結後において基材層の表面から複合
化材層が剥離しやすく、密着性の高い傾斜機能材料の生
成が困難であった。
【0006】一方、特に複合化材層において粒径が1μ
m以下の金属基材や複合化材の超微粒子粉体を使用して
焼結を行った場合は、基材層の表面に近い金属リッチの
領域において金属基材の収縮および拡散が特に大きく生
じるため、複合化材層の内部に大きなボイドが発性しや
すいという問題があった。
【0007】また、例えば金属粉体とセラミックス粉体
を加圧成形して複合化材層を形成したような場合は、通
常は同じ圧力下では金属粉体の方が延性が高いことから
高密度化し易い。そのため、焼結の際に高密度の金属粉
体部分の収縮が小さいためにセラミックスが相対的に大
きな収縮を示すこととなって、製造された傾斜機能材料
においてセラミックス組成部分に引張り応力が残留し、
最終的には傾斜機能材料の表面にクラックが発生すると
いう問題があった。
【0008】従って本発明の目的は、傾斜機能材料を製
造するにあたり、複合化材層と基材層の界面における剥
離防止、複合化材層中のボイドの発生防止、および複合
化材層中のクラックの発生防止を達成することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、本発明では、基材層の表面に、基材よりも焼結温
度の高い複合化材の粉体もしくは該複合化材の粉体と基
材の粉体との混合からなる複合化材層を積層した被処理
体を焼結させることにより、傾斜機能材料を製造する方
法において、先ず、被処理体の複合化材層の表面に赤外
線レーザ光を照射して、被処理体の表面近傍のみを焼結
させた後、必要に応じて引き続き複合化材層の表面に赤
外線レーザ光を照射しながら、加熱炉等を用いて被処理
体全体が基材の焼結温度以上になるように加熱すること
を特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を図面に従って説明する。図1に本発明方法を実施す
るための製造装置1の一例を示す。この製造装置1は、
基材層の表面に複合化材層を積層した被処理体Aを収納
して、被処理体A全体を所望の温度まで加熱させること
ができる加熱炉2と、加熱炉2の内部に収納された被処
理体Aの複合化材層表面に赤外線レーザ光を照射するこ
とによって複合化材層表面近傍を局所的に加熱させるこ
とができる赤外線レーザ光発振器3と、これら加熱炉2
と赤外線レーザ光発振器3を制御する制御盤4を備えて
いる。
【0011】架台10の上に配置された加熱炉2の内部
には、被処理体Aの周囲を囲うようにしてヒータ11が
設けられている。ヒータ11は例えばタングステンメッ
シュヒータである。このヒータ11による加熱温度を熱
電対12にて測定して制御盤4に入力し、制御盤4はそ
の温度に基づいてヒータ11による加熱温度を制御する
ことにより、被処理体A全体を所望の温度にまで加熱で
きる構成になっている。また、ヒータ11の底部におい
て被処理体Aを載置させている載置台13は、架台10
内部に配置された昇降機構14および回転機構15の稼
働によって、被処理体Aを加熱炉2内で昇降および回転
させるように駆動される。架台10内部には、その他
に、加熱炉2内を真空引きするためのロータリーポンプ
16と、加熱炉2内に不活性ガスを供給するためのガス
供給装置17を備えている。
【0012】赤外線レーザ光発振器3は、発振器本体2
0と、この発振器本体20によって発せられた赤外線レ
ーザ光を二次元走査させるスキャニング機構21と、集
光レンズ22を備えている。発振器本体20は例えばマ
ルチモードYAGレーザであり、スキャニング機構21
は例えばガルバノミラーである。そして、この赤外線レ
ーザ光発振器3で発振した赤外線レーザ光を光学窓23
から加熱炉2内に入射して被処理体Aの複合化材表面に
照射し、スキャニング機構21によって被処理体Aの複
合化材層表面全体に赤外線レーザ光を走査させることに
より、むらのない加熱を行う構成になっている。図示は
しないが、このように赤外線レーザ光の照射によって加
熱される被処理体Aの複合化材層表面温度を検出する温
度センサを備えており、その温度センサにて測定した複
合化材層表面温度を制御盤4に入力し、制御盤4はその
温度に基づいて発振器本体20の出力を制御することに
より、被処理体Aの複合化材層表面を所望の温度にまで
加熱する構成になっている。
【0013】さて、以上のように構成された製造装置1
において、先ず、加熱炉2の載置台13上に被処理体A
を載置する。ここで、被処理体Aは基材層の表面に、基
材よりも焼結温度が高い複合化材の粉体もしくは該複合
化材の粉体と基材の粉体との混合からなる複合化材層を
積層した構成になっている。基材層は、例えば金属など
の板材や棒材で構成しても良く、その他、例えば金属粉
体の集合で基材層を構成して、加熱炉2内において焼結
させるようにしても良い。基材としては、例えばニッケ
ル、クロム、ステンレス鋼、タングステン、チタン、パ
ラジウム、チタンとアルミニウムの金属間化合物、ニオ
ブとアルミニウムの金属間化合物などといった金属もし
くは合金系の材料を用いることができる。
【0014】一方、複合化材層は、複合化材の粉体もし
くは基材の粉体と複合化材の粉体を混合させて積層させ
た構成になっている。基材としては先にあげた金属もし
くは合金系の材料を用いることができ、複合化材として
は、基材よりも焼結温度の高い例えば金属酸化物、炭化
物、窒化物、ホウ化物などのセラミックス系の材料を用
いることができる。なお、基材層の表面に複合化材層を
積層するにあたっては、加圧成型の他、真空蒸着、スパ
ッタリング、イオン注入法、電気めっき、溶射、スプレ
ー法、およびロール圧着法などといった方法を用いるこ
ともできる。
【0015】次に、このような被処理体Aを加熱炉2内
に設置したら、赤外線レーザ光発振器3を稼働させ、先
ず、炉壁に設けた光学窓23を通して被処理体Aの複合
化材層表面に赤外線レーザ光を照射する。これにより、
最初に被処理体の表面近傍のみを例えばセラミックスの
焼結温度にまで加熱して焼結させる。
【0016】この赤外線レーザ光の照射によって複合化
材層全体が焼結を終了した場合は、次に、ヒータ11に
よる加熱を開始し、被処理体全体Aが基材としての例え
ばチタンの焼結温度(セラミックスの焼結温度よりも低
温度)以上になるように加熱する。一方、赤外線レーザ
光の照射によってまだ複合化材層全体が焼結を終了して
いない場合は、更に引き続き複合化材層の表面に赤外線
レーザ光を照射しながら、ヒータ11による加熱を開始
し、被処理体の表面近傍は例えばセラミックスの焼結温
度にまで加熱し、被処理体の内部は被処理体全体Aが基
材としての例えばチタンの焼結温度以上になるように加
熱する。このように、複合化材層の表面近傍においては
例えばセラミックスの焼結温度にまで加熱し、被処理体
Aの基材層内部は例えばチタンの焼結温度にまで加熱す
ることにより、被処理体A内において温度勾配を生じさ
せた状態で焼結を行い、傾斜機能材料を製造する。
【0017】本発明の製造方法によれば、このように被
処理体の表面を先に焼結させているので、複合化材層の
表面が焼結に伴って収縮することによって被処理体Aの
内部に圧縮応力が発生し、内部構造を更に緻密化するこ
とができる。また、その後において被処理体A全体を加
熱した際には、複合化材層内部や基材層の焼結に伴う収
縮を利用して、先に焼結した複合化材層表面に圧縮応力
を発生させることができ、複合化材層表面のクラック発
生を防ぐことができるようになる。このように、被処理
体Aの内部において温度勾配を生じさせた状態で所定の
目標温度まで昇温させて焼結を行うことにより、安定し
て傾斜機能材料が製造される。
【0018】ここで、複合化材層表面と複合化材層内部
や基材層の加熱順序は重要である。すなわち、加熱炉2
にて被処理体A全体を先に例えば基材の焼結温度にまで
加熱した後に赤外線レーザ光にて複合化材層表面を更に
高温の複合化材の焼結温度に加熱して焼結を行った場合
は、複合化材層が焼結に伴って収縮することにより、複
合化材層には最終的に引張り応力が発生して、基材層と
複合化材層の界面で剥離が起きてしまう。
【0019】なお、被処理体Aを形成するにあたり、基
材層の表面に積層する複合化材層は、複合化材の粉体の
みで形成しても良いが、基材の粉体と複合化材の粉体の
混合とすることもできる。このように基材と複合化材を
混合させて複合化材層を積層する場合は、複合化材層内
部において、基材層の表面から離れるに従って最初は基
材の比率が高く、最後は複合化材の比率が高くなるよう
に、基材の粉体と複合化材の粉体の混合比を徐々に変え
た構成とすることもできる。
【0020】ここで、複合化材層を微細組織とするため
には、複合化材層に用いる基材の粉体と複合化材の粉体
は何れも超微粒粉を用いるのが望ましい。しかし、金属
超微粒子は非常に活性であり、例えば粒径が1μm以下
のような超微粒子の粉体を用いた場合は、複合化材層に
おいて基材層の表面に近い金属リッチの領域において焼
結時に高速な拡散を生じることによりボイドが発生する
傾向がある。
【0021】そこで、複合化材層において、基材の粉体
と複合化材の粉体の粒径を何れも1μm以下として微細
組織を得ようとする場合は、基材層と接合する複合化材
層の界面においては基材と複合化材の比率を等しくし、
基材層の表面から離れるに従って次第に複合化材の比率
が高くなっていくように、基材の粉体と複合化材の粉体
の混合比を徐々に変えた構成とするのがよい。このよう
に、基材層と接合する複合化材層界面での金属組成を低
減することによって、ボイドの発生を防止でき、しか
も、焼結時に基材に用いた金属が複合化材層中に拡散し
ていくことにより、複合化材層界面に金属リッチの領域
が部分的に形成されて、基材層と複合化材層の密着性も
確保できるようになる。また、複合材料層が微細組織と
なって強度の向上も期待できる。なお、金属とセラミッ
クスの体積比が50:50近傍の混合比においては、両
者が互いのネットワークの形成を阻害し合うことから高
温クリープ強度が低く、焼結中に発生する応力に起因す
る複合化材層の高速変形が起こればその金属リッチの領
域において更にボイドが発生し易くなる。
【0022】一方、基材層を金属粉体の集合で構成する
場合は、その粒径を1〜100μmの範囲とし、かつ、
該金属の水素化物もしくは基材金属中に分散及び固溶し
基材金属を強化させることができる他の金属の水素化物
の粉体を基材層内において1〜50%の範囲で含有させ
ることが好ましい。水素化物は焼結中に熱分解して水素
ガスを放出し、体積が収縮するので、このように基材層
中に金属の水素化物を含有させることにより、その添加
量を変えることによって基材の収縮率を調整することが
できる。これにより、焼結に伴う基材層と複合化材層の
収縮率を一致させることが可能となって、基材層と複合
化材層の界面剥離を防止できるようになる。なお、水素
化物はその粒径が微細であっても大気中で安定に存在
し、金属の微粒子のように自然酸化や自然発火などとい
った問題がない。また、焼結に伴って放出された水素ガ
スが還元雰囲気とするため、被処理体Aの酸化防止に役
立ち、しかも、基材層中の金属を活性化させるので基材
層の密度の増大にも寄与する。但し、水素化物の添加量
を増やすほど基材層の焼結収縮率を増大させることがで
きるが、水素化物の添加率が50%を越えると基材層の
ハンドリング強度が低下するので、水素化物の添加率は
50%以下であることが望ましい。
【0023】そして、基材層と複合化材層の両方を粉体
で構成した場合は、被処理体Aを製造するに際し、最終
的に100〜300MPaの圧力で加圧成形することが
望ましい。300MPaを超える圧力で被処理体Aを成
形した場合は、被処理体A中において基材の圧粉体の密
度が上昇し過ぎてその焼結収縮率が小さくなってしま
い、また、複合化材層中の圧粉強度が高くなり過ぎて焼
結時に発生する応力も増大するため、結果として複合化
材層が剥離し易くなってしまう。一方、100MPaよ
りも小さい圧力で被処理体Aを成形した場合には、複合
化材層中に気孔が多数存在し、焼結しても気孔が残存し
て強度の低下を招く。また、成形圧力が小さい場合に
は、複合化材層中に存在する気孔の表面を通じて基材層
中の金属元素の拡散移動が増大することによって、焼結
体の傾斜組成が当初の設計から大きくはずれる心配があ
る。
【0024】
【実施例】
(実施例1)平均粒径27μmのチタン粒末を等方静水
圧プレスにより200MPaで成形し、直径約3mm
φ、長さ約30mmの円柱状基材を作製した。得られた
基材の側面に粒径1μm以下のアルミナ超微粒子を約
0.2mm積層した。その後、全体を200MPaで加
圧成形し円柱状の被処理体を得た。この被処理体につい
て、赤外線レーザ光の照射による加熱と加熱炉による加
熱を適宜行い、加熱パターンの相違による基材層表面に
対する複合化材層の剥離を調査するため、図2〜4に示
す三種類の加熱パターンで焼結を行った。図2に示す加
熱パターンは、被処理体を加熱炉のタングステンメッシ
ュヒータのみで加熱し、被処理体全体をほぼ均一温度に
維持しながら約1200℃まで昇温させた場合である。
赤外線レーザ光は照射しなかった。図3に示す加熱パタ
ーンは、被処理体を先ず加熱炉のタングステンメッシュ
ヒータのみで加熱し、被処理体全体を約750℃に昇温
させた時点から被処理体表面に赤外線レーザ光を照射し
て、複合化材層の表面近傍のみを約1500℃まで急激
に昇温させると共に、被処理体内部の基材層はタングス
テンメッシュヒータによって徐々に約1200℃まで昇
温させた場合である。一方、図4に示す加熱パターンは
本発明方法に従うものであり、先に被処理体表面に赤外
線レーザ光を照射して複合化材層の表面近傍のみを急激
に昇温させてから、引き続き複合化材層の表面に赤外線
レーザ光を照射しながら被処理体全体を加熱炉のタング
ステンメッシュヒータで加熱し、複合化材層と基材層に
温度差を生じさせながら、最終的に複合化材層の表面近
傍を約1500℃まで昇温させると共に、被処理体内部
の基材層は約1200℃まで昇温させた場合である。な
お、図3、4に示す加熱パターンにおいて赤外線レーザ
光を照射するにあたっては、被処理体の形状が円柱状で
あることから、回転機構を稼働して、加熱炉内にて10
rpmの回転速度で被処理体を回転させ、被処理体の側
面全周に赤外線レーザ光が照射されるようにした。
【0025】図5に図2の加熱パターンで処理した被処
理体の外観写真を示し、図6に図3の加熱パターンで処
理した被処理体の外観写真を示し、図7に図4の加熱パ
ターンで処理した被処理体の外観写真を示した。これら
図5〜7において、何れも被処理体の右端約4mmの部
分は被処理体をハンドリングするために複合化材層を積
層していない。図5に示されるように、図2の加熱パタ
ーンで処理した被処理体は、複合化材層がすべて剥離し
た。また、被処理材の自重により基材が大きく湾曲して
いるのも観察される。また、図6に示されるように、図
3の加熱パターンで処理した被処理体は、複合化材層が
全体の約80%剥離し、一部に複合化材層の接合した形
跡が観察された。一方、図7に示されるように、図4の
本発明方法に従う加熱パターンで処理した被処理体は、
一部に脱落剥離が認められるものの基材層のほぼ表面全
体に複合化材層が良好に接合しているのが確認された。
また、この加熱パターンでは被処理材の自重による変形
は見られない。
【0026】(実施例2)チタン圧粉体によって成型し
た直径約3mmφ、長さ約50mmの円柱状の基材の側
表面に、基材層の表面から離れるに従って最初はチタン
とアルミナの混合比が8:2であり、最後はチタンとア
ルミナの混合比が0:10となるように混合比を徐々に
変えて、粒径1μm以下の基材と複合化材の超微粒子を
約1mm積層した試料と、同様の基材の側表面に、基材
層の表面から離れるに従って最初はチタンとアルミナの
混合比が5:5であり、最後はチタンとアルミナの混合
比が0:10となるように混合比を徐々に変えて、粒径
1μm以下の基材と複合化材の超微粒子を約1mm積層
した試料を作製した。その後、これら試料全体を何れも
200MPaで加圧成型し2種の円柱状の被処理体を得
た。得られた被処理体を実施例1で示した図4の加熱パ
ターンで焼結した。
【0027】図8に複合化材層のチタンとアルミナの混
合比を基材層界面において8:2とした場合の焼結後に
おける被処理体の断面顕微鏡写真を示し、図9に複合化
材層のチタンとアルミナの混合比を基材層界面において
5:5とした場合の焼結後における被処理体の断面顕微
鏡写真を示した。基材層界面における複合化材層のチタ
ンとアルミナの混合比を8:2とした場合は、断面顕微
鏡写真上で黒く不定形に観測される大きなボイドが多数
観察された。一方、基材層界面における複合化材層のチ
タンとアルミナの混合比を5:5とした場合は、粒径1
μm以下の超微粒子を用いたにも関わらず、ボイドは全
く観察されない。
【0028】図10、11に、この実施例2において基
材層界面での複合化材層のチタンとアルミナの混合比を
5:5として焼結させた被処理体の断面におけるチタン
元素とアルミニウム元素のマッピングをそれぞれ示し
た。複合化材層の表面ではアルミナリッチであり、下方
に行くほどチタンリッチであることが観察された。被処
理体の表面から約500μmの厚みでアルミナからチタ
ンへ組成が徐々に傾斜した傾斜機能材料が製造されたこ
とがわかった。なお、基材層界面において複合化材層の
チタンとアルミナの混合比を5:5にしたにも関わら
ず、傾斜機能材料表面近傍においてチタンからアルミナ
へ組成が100%から0%の範囲で徐々に変化している
理由は、基材層から複合化材層内にチタン元素が拡散移
動するためである。これは、本発明方法によって製造さ
れる傾斜機能材料は、基材層と複合化材層の接合強度が
非常に大きくなることの理由でもある。
【0029】(実施例3)次に、チタン圧粉体によって
基材を成型すると共に、チタン粉体に5%の水素化ジル
コニウム(平均粒径4μm)を添加したものと、チタン
粉体に5%の水素化チタンを添加したもので基材をそれ
ぞれ成型し、これらを焼結することによって焼結中の基
材のサイズの変化を測定した。その結果を図12に示
す。なお、図12において点線で示したラインはアルミ
ナ超微粒子を200MPaで圧粉成形して得た試料につ
いて測定した焼結に伴う試料サイズの変化である。な
お、各基材等の焼結条件は図13に示すとおりである。
チタン圧粉体に比べ、水素化チタンや水素化ジルコニウ
ムを添加した場合は、収縮率が増大し、アルミナ超微粒
子圧粉体の焼結に伴う収縮率変化に非常に近いものとな
る。
【0030】図14はチタン圧粉体によって成型した基
材表面に複合化材層を積層した被処理体を焼結させた場
合の断面SEM写真、図15はチタン圧粉体に水素化物
を添加したもので成型した基材表面に複合化材層を積層
した被処理体を焼結させた場合の断面SEM写真であ
る。金属水素化物を添加すると、圧粉体基材の焼結収縮
率を増大させることができ、その添加量を適宜調整する
ことにより圧粉体基材と複合化材層の収縮率を整合させ
ることが可能となる。これによって複合化材層中に発生
するクラックを防止できるようになる。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、傾斜機能材料を製造す
るにあたり、複合化材層と基材層の界面における剥離を
防止することができ、加えて、複合化材層中のボイドと
クラックの発生も防止できるようになる。従って、欠陥
のない信頼性の高い傾斜機能材料を製造できるようにな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための製造装置の正面図
である。
【図2】被処理体全体をほぼ均一温度に維持しながら昇
温させる加熱パターンを示すグラフである。
【図3】先に被処理体全体をタングステンメッシュヒー
タのみで加熱し、途中から被処理体表面に赤外線レーザ
光を照射して昇温させる加熱パターンを示すグラフであ
る。
【図4】本発明方法に従う加熱パターンを示すグラフで
ある。
【図5】図2の加熱パターンで処理した被処理体の外観
写真である。
【図6】図3の加熱パターンで処理した被処理体の外観
写真である。
【図7】図4の加熱パターンで処理した被処理体の外観
写真である。
【図8】基材層界面における複合化材層のチタンとアル
ミナの混合比を8:2とした場合の焼結後における被処
理体の断面顕微鏡写真である。
【図9】基材層界面における複合化材層のチタンとアル
ミナの混合比を5:5とした場合の焼結後における被処
理体の断面顕微鏡写真である。
【図10】図9に示した断面におけるチタン元素のマッ
ピングを示すグラフである。
【図11】図9に示した断面におけるアルミニウム元素
のマッピングを示すグラフである。
【図12】実施例3における各基材等の焼結に伴うサイ
ズの変化を示すグラフである。
【図13】実施例3における各基材等の焼結条件を示す
グラフである。
【図14】チタン圧粉体によって成型した基材表面に複
合化材層を積層した被処理体を焼結させた場合の断面S
EM写真である。
【図15】チタン圧粉体に水素化物を添加したもので成
型した基材表面に複合化材層を積層した被処理体を焼結
させた場合の断面SEM写真である。
【符号の説明】
A 被処理体 1 製造装置 2 加熱炉 3 赤外線レーザ光発振器 4 制御盤 11 ヒータ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材層の表面に、基材よりも焼結温度の
    高い複合化材の粉体もしくは該複合化材の粉体と基材の
    粉体との混合からなる複合化材層を積層した被処理体を
    焼結させることにより、傾斜機能材料を製造する方法に
    おいて、 先ず、被処理体の複合化材層の表面に赤外線レーザ光を
    照射して、被処理体の表面近傍のみを焼結させた後、引
    き続き複合化材層の表面に赤外線レーザ光を照射しなが
    ら被処理体全体が基材の焼結温度以上になるように加熱
    することを特徴とする傾斜機能材料の製法。
  2. 【請求項2】 基材層の表面に、基材よりも焼結温度の
    高い複合化材の粉体もしくは該複合化材の粉体と基材の
    粉体との混合からなる複合化材層を積層した被処理体を
    焼結させることにより、傾斜機能材料を製造する方法に
    おいて、 先ず、被処理体の複合化材層の表面に赤外線レーザ光を
    照射して、被処理体の表面近傍のみを焼結させた後、被
    処理体全体が基材の焼結温度以上になるように加熱する
    ことを特徴とする傾斜機能材料の製法。
  3. 【請求項3】 複合化材層は、基材層の表面から離れる
    に従って最初は基材の比率が高く、最後は複合化材の比
    率が高くなるように、基材の粉体と複合化材の粉体の混
    合比を徐々に変えたものである請求項1または2に記載
    の傾斜機能材料の製法。
  4. 【請求項4】 複合化材層において、基材の粉体と複合
    化材の粉体の粒径が何れも1μm以下であり、かつ、複
    合化材層は、基材層の表面から離れるに従って最初は基
    材と複合化材の比率が等しく、最後は複合化材の比率が
    高くなるように、基材の粉体と複合化材の粉体の混合比
    を徐々に変えたものである請求項1または2に記載の傾
    斜機能材料の製法。
  5. 【請求項5】 基材層が、粒径が1〜100μmの金属
    粉体の集合からなり、かつ、該金属の水素化物もしくは
    他の金属の水素化物の粉体を1〜50%の範囲で含有し
    ている請求項1、2、3または4の何れかに記載の傾斜
    機能材料の製法。
  6. 【請求項6】 被処理体は、100〜300MPaの圧
    力で加圧成形されたものである請求項1、2、3、4ま
    たは5の何れかに記載の傾斜機能材料の製法。
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