JPH08311651A - 傾斜機能材料の製法および製造装置 - Google Patents

傾斜機能材料の製法および製造装置

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JPH08311651A
JPH08311651A JP14250595A JP14250595A JPH08311651A JP H08311651 A JPH08311651 A JP H08311651A JP 14250595 A JP14250595 A JP 14250595A JP 14250595 A JP14250595 A JP 14250595A JP H08311651 A JPH08311651 A JP H08311651A
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laser light
infrared laser
temperature
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JP14250595A
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Akihiko Otsuka
昭彦 大塚
Masato Araiyama
政人 新井山
Kunihiko Iwasaki
邦彦 岩崎
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 傾斜機能材料を安定的に得ることができる手
段を提供する。 【構成】 基材と複合化材とを積層してなる被処理体の
複合化材の表面に赤外線レーザ光を照射することにより
所定の目標温度に複合化材の表面を加熱して傾斜機能材
料を製造するに際して,複合化材の表面の温度分布を求
め,その温度分布の中で最も高い温度が目標温度となる
ように,前記赤外線レーザ光の強度をフィードバック制
御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,超微細組織を有し且つ
連続した傾斜組成をもつ傾斜機能材料の製法および装置
に関する。
【0002】
【従来技術】一方の面と他方の面とでは異なる物理的ま
たは化学的特性を持つ材料は,その特性を活かした各種
の用途がある。例えば板状体の一方の面は耐熱性や耐摩
耗性に優れる超硬合金やセラミックスからなり,他方の
面は基材との接合性のよい金属や合金からなり,両者が
内部にゆくほど順次組成を変えながら融合し,全体とし
ては一体的な板状体として形成されている材料は,耐熱
性や耐摩耗分野の材料として有用である。
【0003】一般に,所定の組成を有する金属材料に異
なる組成を有する金属やセラミックス材料を順次接合す
る場合には各材料の物性(ヤング率,熱膨張係数等)が
異なることから,接合界面において機能および物性の不
連続性が生じる。このような物性の不連続性は,各々の
材料物性のミスマッチに起因する耐久性の低下,界面か
らの脱落剥離等を招く。これに対して異物質間の界面構
造を制御し,組成を連続的に遷移させたいわゆる「傾斜
機能材料」は,機能の傾斜化は勿論のこと物性の変化が
ゆるやかに勾配することから前述の不連続性に起因する
材料の欠点を克服することが可能であり,種々の分野で
有用である。
【0004】このような考えに基づき耐食性,耐熱性,
耐摩耗性,触媒性,装飾性等の向上を目的としたレーザ
による材料表面の傾斜機能材料化の研究が行われてい
る。材料表面に複合化材料を熱処理によって添加する方
法として,前もって表面に複合化させる材料をコーティ
ングして加熱する方法,複合化元素もしくは複合化物質
を含んだ溶融塩や粉末やガス中で材料を加熱する方法な
どが知られていたが,これら熱処理による方法に比べ
て,レーザを利用した方法は,(1)投入されるエネル
ギーが少ない(エネルギー密度は大きいが処理時間が短
い)ため母材の熱による物性変化が少ない,(2)複合
化に必要な元素の量が少なくてすむ,(3)急熱急冷が
可能なため複合化した材料表面の組織が微細で,かつ,
傾斜組成制御がたやすい,(4)局部熱源のため材料表
面の一部の処理が可能である,などの特徴がある。
【0005】レーザを用いた材料表面の処理法として,
従来は,次に記述するようなものがある。金属材料で
は,J.B.Lumsden,D.S.Ganamut
huand R.J.Moores(Corr.Me
t.Processed Directed Ener
gy Beams,(1982),129)らは鉄鋼
(AISI 4140)上にニッケルおよびクロムの粉
末を塗布した後炭酸ガスレーザで処理し,クロムを11
〜29%,ニッケルを4〜13%含む合金層を作製し,
AISI304ステンレス鋼よりも優れた耐食性を達成
している。また,E.McCafferty and
P.G.Moores(J.Electrochem.
Soc.,133(1986),1090)らは鉄鋼
(AISI1018)上にめっき法により被覆したクロ
ムをレーザを繰り返し照射し,均一合金化することで4
30ステンレス鋼に相当する耐食性を達成している。非
鉄金属に対する耐食性の向上の例としては,C.W.D
raper,L.S.Meyer,D.C.Jacob
son,L.buene and J.M.Poate
(Thin Solid Films 75(198
1),237らはチタン表面にパラジウムを蒸着しNd
−YAGレーザで合金化することにより沸騰塩酸に対す
る耐食性をチタンの約30倍に向上させることを達成し
ている。
【0006】耐熱性の向上の例としてはF.D.Sea
man and D.S.Gnanamuth(Met
al Progress 108,No.8(197
5),67)らは鋳鉄上にクロムを,A.Belmon
do and M.Castagna(Thin So
lid Films 64(1979),279)らは
粉末塗布法により鋳鉄上にクロム炭化物,クロム,ニッ
ケル,モリブデンを合金化し,それぞれ,高温での硬度
低下の防止,構造の安定化を達成している。
【0007】さらにセラミックスの焼結については,結
城正弘,村山敏一,入沢敏夫,川崎亮,渡辺龍三(粉体
および粉末冶金9月(1990),21)らはPSZ
(部分安定化ジルコニア)およびPSZ/Mo傾斜組成
圧粉体について,YAGレーザと補助ヒータを組み合わ
せた温度傾斜付加焼結を行いマクロクラックのない比較
的良好な焼結体を得ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし,これら従来の
方法では,レーザ照射部の温度測定は,材料の一定点に
埋め込んだ熱電対の指示値から外挿する方法,もしくは
放射温度計を用いてレーザ照射部と非照射部を一括して
測温する方法を採っており,レーザ照射部の温度を正確
には把握していない。このため,金属を合金化する場合
などはレーザ照射部の温度が過度に上昇し母材内部まで
溶融してしまう欠点や,合金化層の溶融の際の不均一な
レーザ照射により照射部面内の残留応力の発生,溶融時
のピンホールの発生などが生じ信頼性の高い合金化層の
生成は困難であった。また,特に圧粉体セラミックス焼
結のように材料自身が白色である場合は表面でレーザが
反射してしまうのでレーザのエネルギが材料の昇温に対
して有効に利用され難く,レーザ照射部の温度が目標温
度に到達していないこともあった。また粉体セラミック
ス焼結についても,金属の場合と同様にレーザ照射部の
温度を正確に測定していないため,過度の粒成長を起こ
したり,表面の一部の溶融に起因するクラックの発生や
強度の低下という問題があった。したがって,従来のレ
ーザを用いた焼結方法や,表面処理方法では信頼性の高
い材料を安定して製造することはできなかった。
【0009】本発明はこれらの課題を解決し,傾斜機能
材料を安定的に得ることができる手段を提供することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は,基材と複合化
材とを積層してなる被処理体の複合化材の表面に赤外線
レーザ光を照射することにより所定の目標温度に複合化
材の表面を加熱して傾斜機能材料を製造する方法におい
て,複合化材の表面の温度分布を求め,その温度分布の
中で最も高い温度が目標温度となるように,前記赤外線
レーザ光の強度をフィードバック制御することを特徴と
する。
【0011】そして,この方法を実施するために好適な
装置として,基材と複合化材とを積層してなる被処理体
をその内部において予加熱することが可能な加熱炉と,
加熱炉内の複合化材の表面に赤外線レーザ光を照射する
ことにより前記予加熱温度よりも高い所定の目標温度に
複合化材の表面を加熱する赤外線レーザ光発振器とを備
えたものにおいて,複合化材の表面の温度分布を求める
ための温度分布検出手段と,該温度分布検出手段によっ
て求めた温度分布の中で最も高い温度が目標温度となる
ように,前記赤外線レーザ光発振器のレーザ光の強度を
フィードバック制御する制御手段を設けたことを特徴と
する傾斜機能材料の製造装置を提供する。
【0012】
【作用】本発明において,傾斜機能材料を製造するため
に用いられる被処理体は,例えば,基材の側面に基材粉
と複合化材粉との混合粉を最初は基材の混合比が高く,
最後は複合化材の混合比が高くなるように混合比を除々
に変えた圧粉積層を形成したものとすることができる。
また被処理体は,基材の側面に,真空蒸着,スパッタリ
ング,イオン注入法,電気めっき,溶射,スプレー法,
およびロール法の何れかによって複合化材を被着した構
成とすることもできる。
【0013】基材には,例えばニッケル,クロム,ステ
ンレス鋼,タングステン,チタン,パラジウム,チタン
とアルミニウムの金属間化合物,ニオブとアルミニウム
の金属間化合物などといった金属もしくは合金系の材料
や,アルミニウム,クロム,タングステン,シリコンな
どといった金属の炭化物系セラミックス,酸化物系セラ
ミックス,窒化物系セラミックスなどの材料を用いるこ
とができる。また,複合化材には,以上のような金属,
合金系の材料やセラミックス系の材料,その他の無機物
質などを用いることができる。
【0014】以上の如き被処理体を加熱炉内に設置し,
その内部において必要に応じて被処理体全体を一定温度
に予加熱する。また,一方で赤外線レーザ光発振器から
被処理体の複合化材表面に赤外線レーザ光を照射する。
これにより,複合化材の表面が昇温し,被処理体の内部
において温度勾配が生成される。こうして,複合化材を
所定の目標温度にまで昇温させると,基材と複合化材と
が合金化もしくは焼結して,傾斜機能材料が製造され
る。なお,複合化材としてセラミックス系材料のような
白色の材料を用いた場合は複合化材の表面で赤外線レー
ザ光が反射してしまう心配がある。そこで,複合化材が
白色であるような場合は,複合化材の表面を無機炭素で
黒化処理しておくことが望ましい。そうすれば,複合化
材の表面での赤外線レーザ光の反射率が低くなってエネ
ルギ吸収効率が向上し,短時間かつ低出力で複合化材を
所定の目標温度にまで昇温させることが可能となる。
【0015】複合化材表面に赤外線レーザ光を照射する
に際しては,複合化材表面全体に隙間無く赤外線レーザ
光を照射して加熱できるように,スキャニング機構を用
いて赤外線レーザ光を走査させることが望ましい。ま
た,同様の理由により,加熱炉内で被処理体を昇降およ
び回転させる駆動装置を設けるようにしても良い。
【0016】一方,このように赤外線レーザ光を照射し
て被処理体の複合化材表面を昇温させるに際し,同時に
適当な検出手段を用いて複合化材の表面の温度分布を求
める。この検出手段としては,例えば複合化材の表面か
ら放射される赤外線の放射率に基づいて複合化材表面の
温度分布を求めるミラー走査型パターン温度計などを利
用できる。この場合,予め熱電対を使用して複合化材の
各温度における赤外線放射率を測定して,当該複合化材
について温度と赤外線放射率の関係を調べておく。そし
て実際に傾斜機能材料を製造する場合は,複合化材の表
面から放射される赤外線の放射率をミラー走査型パター
ン温度計で走査し,予め調べておいた関係に従って,赤
外線の放射率から複合化材表面の温度分布を知るように
する。
【0017】こうして求めた複合化材表面の温度分布の
中で最も高い温度が,即ち赤外線レーザ光が照射されて
いる部分の温度となる。複合化材表面の温度分布は,ミ
ラー走査型パターン温度計で走査を行うことにより熱画
像として求めることができる。そのような熱画像中の最
も高温となっている箇所が赤外線レーザ光の照射部であ
り,その箇所の温度が赤外線レーザ光照射部の温度とな
る。
【0018】以上のようにして求めた赤外線レーザ光照
射部の温度が一定の目標温度に常に保たれていないと,
不均一な加熱により残留応力の発生,ピンホールの発生
などといった問題を生じる。また,過度に昇温した場合
には,基材内部まで溶融してしまう問題を生じる。そこ
で本発明では,赤外線レーザ光照射部の温度が所定の目
標温度となるように,前記赤外線レーザ光発振器のレー
ザ光の強度をフィードバック制御する。なお,目標温度
は,加熱炉による予熱温度とあわせて,基材や複合化材
の種類,製造目的等に応じて適宜決定する。
【0019】以上のように,本発明にあってはリアルタ
イムでレーザ光照射部の温度制御を行うことができ,複
合化材表面の熱処理温度が精密に制御される。その結
果,本発明により得られた傾斜機能材料は,材料表面の
赤外線レーザ光照射部は均一な組成および組織を有し,
材料内部は除々に組成および組織が変化する傾斜機能材
料となる。
【0020】
【実施例】図1に本発明の実施例にかかる傾斜機能材料
の製造装置の正面視での断面図,図2に同装置の平面視
での断面図を示す。この装置は,基材と複合化材とを積
層してなる被処理体Aを予加熱するための加熱炉1と,
加熱炉1の内部に載置された被処理体Aの複合化材表面
に赤外線レーザ光を照射する赤外線レーザ光発振器2
と,その赤外線レーザ光により昇温された被処理体Aの
複合化材表面の温度分布を求めるためのミラー走査型パ
ターン温度計3と,赤外線レーザ光発振器2を制御する
制御盤4を備えている。なお,ミラー走査型パターン温
度計3は加熱炉1の前方に配置されているため,図1に
は現れない。
【0021】架台10の上に配置された加熱炉1の壁面
には,赤外線レーザ光発振器2からのレーザ光を入射さ
せる入射窓11と,加熱炉1内において被処理体Aの複
合化材表面から放射された赤外線を加熱炉1内部から出
射させる出射窓12が設けられている。これら入射窓1
1および出射窓12は例えば石英ガラスなどで構成され
る。加熱炉1の内部には,被処理体Aの周囲を囲うよう
にしてヒータ13が設けられている。ヒータ13は例え
ばタングステンメッシュヒータであり,必要に応じて被
処理体Aを予加熱することができる。また,ヒータ13
による予加熱温度はW−Re熱電対14にて測定され
る。被処理体Aを載置している載置台15は,架台10
内部の昇降機構16および回転機構17によって支持さ
れている。これら昇降機構16および回転機構17の稼
働によって,被処理体Aを加熱炉1内で昇降および回転
させることができる。その他,架台10内部にはロータ
リーポンプ18とガス供給装置19を備えている。ロー
タリーポンプ18は,架台10の背部に配置されたディ
フージョンポンプ20と協働して加熱炉1内を真空引き
する。また,その真空引き後にガス供給装置19から不
活性ガスを供給して,加熱炉1内を不活性雰囲気とする
こともできる。その他,ヒータ13による予加熱を行わ
ずに赤外線レーザの照射のみで焼結や複合化材料化を行
う場合等には,加熱炉1内に酸素,窒素等を混在させる
こともできる。製造する傾斜機能材料の材質に応じて,
被処理体Aの表面の酸化,窒化等にも利用できる。
【0022】赤外線レーザ光発振器2は,発振器本体3
0と,この発振器本体30によって発せられた赤外線レ
ーザ光を二次元走査させるスキャニング機構31と,集
光レンズ32を備えている。実施例では,発振器本体3
0として最大出力230WのマルチモードYAGレーザ
を使用している。一般に,赤外線レーザ光を発生させる
装置には連続発振方式とパルス方式がある。連続発振方
式は発振装置の構造上の理由により,多少に係わらず出
力の経時的な変動がある。これは,交流電源を直流電源
へ変換する際のノイズ,および励起用ランプのちらつき
や冷却水の水流に起因するものである。これが原因し
て,連続発振方式では安定化電源による入力をレーザ出
力へ変換した場合にそのエネルギーを計測すると約10
%程度のばらつきを生じる。これに対して赤外線レーザ
をパルス状に発振するパルス方式はレーザ出力のばらつ
きを抑えることはできるが,経時的には0〜ピーク値へ
の変動があることに変わりはない。従って,加熱を行っ
た際の熱変動は,連続発振方式の方がパルス方式に比べ
てはるかに少ないから,発振器本体30には連続発振方
式のものを用いるのがよい。
【0023】スキャニング機構31はガルバノミラーで
構成されている。また,赤外線レーザ光発振器2の下方
に発振器本体30から発せられる赤外線レーザ光の強度
を調整するコントローラ33と,スキャニング機構31
の水平方向の走査を調整するコントローラ34および垂
直方向の走査を調整するコントローラ35を備えてい
る。コントローラ33,34,35には,制御盤4から
の制御指令が入力される。こうして,制御盤4によって
強度と走査が制御された赤外線レーザ光が集光レンズ3
2によって集光され,入射窓11を介して加熱炉1内に
入射されてビームスポットとなって,被処理体Aの複合
化材表面に照射される。そして,スキャニング機構31
の作動により,被処理体Aの複合化材表面の一定面積を
塗りつぶすように赤外線レーザ光を走査させることによ
り,むらのない加熱を行う。
【0024】なお,以上の如く赤外線レーザ光発振器2
で発した赤外線レーザ光が入射窓11から加熱炉1内に
正確に入射され,かつ被処理体Aの複合化材表面に正確
に照射されるように,赤外線レーザ光発振器2と加熱炉
1を所定の位置関係に位置決めする必要がある。この位
置決めは,赤外線レーザ光発振器2から赤外線レーザ光
を発した状態で行わなければならない。しかし,実施例
の発振器本体30(YAGレーザ)で発生する赤外線レ
ーザ光は,波長が1.064μmであり,かようなレー
ザ光は直接光はもとより,反射光も眼を損傷する恐れが
ある。そこで,危険を回避するために実施例では,発振
器本体30とは別に照準用のHe−Neレーザ光発振器
36を設けている。このHe−Neレーザ光発振器36
から発せられたレーザ光の光路は,ミラー37,38で
反射して,発振器本体30から発せられる赤外線レーザ
光の光路と一致するように調整されている。
【0025】ミラー走査型パターン温度計3は,前記赤
外線レーザ光発振器2からの赤外線レーザ光照射部を含
む被処理体Aの複合化材表面から放射され,出射窓12
を透過して加熱炉1内部から出射された赤外線の放射率
を検出し,その放射率に基づいて被処理体Aの複合化材
表面の温度分布を求めるものである。実施例では,赤外
線レーザ光発振器2から加熱炉1内に入射される赤外線
レーザ光の光路と被処理体Aの複合化材表面から放射さ
れてミラー走査型パターン温度計3に入射される赤外線
の光路が直角になるように配置されている。また,加熱
炉1内から出射窓12を透過して外に漏れ出た赤外線レ
ーザ光発振器2からの赤外線レーザ光がミラー走査型パ
ターン温度計3に入射されるのを防ぐためのバンドパス
フィルタ40と,出射窓12に映る被処理体Aの虚像に
よる光がミラー走査型パターン温度計3に入射されるの
を防ぐためのバンドパスフィルタ41をそれぞれ備えて
いる。
【0026】このミラー走査型パターン温度計3で得ら
れる情報は,ミラー走査型パターン温度計3の走査範囲
内における被処理体Aの複合化材表面の温度分布の画像
信号であり,熱画像として求めることができる。ミラー
走査型パターン温度計3の走査範囲は前記赤外線レーザ
光発振器2からの赤外線レーザ光照射部を含む範囲に設
定されており,ミラー走査型パターン温度計3によって
求めた熱画像中の最も高温となっている箇所が赤外線レ
ーザ光発振器2からの赤外線レーザ光照射部であり,そ
の箇所の温度が赤外線レーザ照射部の温度となる。この
ように熱画像を作り出している信号のピークホールド値
と垂直および水平同期信号により,赤外線レーザ光照射
部の温度をリアルタイムで算出し,その温度を制御盤4
に送信する。先に説明したように,発振器本体30に連
続発振方式のレーザ発振装置を用いた場合,安定化直流
電源を使用しても交流ノイズに起因する直流電流の変動
によりその出力ならびに赤外線レーザ光照射部の温度が
変動する。この変動を検知できるように,ミラー走査型
パターン温度計10のフレームタイムはなるべく短くす
るのがよい。また,ミラー走査型パターン温度計10の
フレームタイムに対する走査線数は,赤外線レーザ光照
射部の面積が微小であることからなるべく高分解能であ
ることを必要とする。なお,実施例の赤外線レーザ光発
振器2のフレームタイム(複合化材の被処理面全体に赤
外線レーザ光を走査させるのに要する時間)が後述する
ように約3秒であることに鑑み,実施例ではミラー走査
型パターン温度計10のフレームタイムを0.08s/
1フレーム(1秒間に12.5フレーム)とした。この
ようにミラー走査型パターン温度計10のフレームタイ
ム(0.08s)を赤外線レーザ光発振器2のフレーム
タイム(約3秒)よりも十分に短くすることによって,
赤外線レーザ光照射部の温度を正確にリアルタイムで知
ることが可能となる。また,面積が微少な赤外線レーザ
光照射部の温度を正確に把握できるように,走査線数は
30本/0.08s以下に設定した。
【0027】なお,このようにミラー走査型パターン温
度計10で赤外線放射率を測定して被処理体Aの複合化
材表面の温度分布を求めるためには,実際に製造に供さ
れる被処理体Aの複合化材の各温度と赤外線放射率の関
係を知っておく必要がある。そこで,製造を行う前に予
め被処理体Aの複合化材と同じ材質(組成,表面状態)
の試験体を用意し,当該試験体について熱電対(Pt−
Rh熱電対)で表面温度を測定しながら同時に赤外線放
射率を測定し,複合化材の温度と赤外線放射率の関係を
調べておく。そして実際の製造に際しては,複合化材の
表面から放射される赤外線の放射率をミラー走査型パタ
ーン温度計10で走査し,予め調べておいた関係に従っ
て,赤外線の放射率から複合化材表面の温度分布を知る
ようにする。
【0028】制御盤4には,傾斜機能材料を製造するた
めに必要とする複合化材表面の加熱目標温度が設定され
ている。上述の如く,制御盤4にはミラー走査型パター
ン温度計3で求めた温度分布中の最も高い温度(赤外線
レーザ光照射部の温度)が入力され,制御盤4におい
て,その入力された赤外線レーザ光照射部の温度と目標
温度との比較が行われる。そして,赤外線レーザ光照射
部の温度が目標温度よりも低い場合は,赤外線レーザ光
発振器2のコントローラ33に発振器本体30から発せ
られる赤外線レーザ光の強度を増す命令を出す。逆に赤
外線レーザ照射部の温度が目標温度よりも高い場合は,
コントローラ33に赤外線レーザ光の強度を減らす命令
を出す。なお,レーザ光の強度の調整は,赤外線レーザ
光照射部の温度が目標温度となるように,YAGレーザ
の入力電流を比例制御することにより行われる。このよ
うに,制御盤4は,ミラー走査型パターン温度計3で求
めた赤外線レーザ照射部の温度に基づいて赤外線レーザ
光発振器2の発振器本体30の出力をフィードバック制
御して,赤外線レーザ照射部の温度が目標温度となるよ
うに保っている。
【0029】次に,チタン(基材)とアルミナ(複合化
材)からなる被処理体Aを用いて傾斜機能材料を製造す
る場合を例にして実施例の製造装置の動作を説明する。
なお,アルミナの表面に赤外線レーザ光を照射すること
により1600℃の目標温度にアルミナの表面を加熱し
て傾斜機能材料を製造する。先ず,加熱炉1の載置台1
5の上に被処理体Aを載置する。なお,実施例では,被
処理体Aのアルミナ側の表面が加熱炉1壁面の入射窓1
1と出射窓12の両方に対して45゜傾いた姿勢となる
ように設置している。被処理体Aは,チタン粉末を金型
などで成形した圧粉成形基材の上に複合化材であるアル
ミナ超微粒子(1μm以下)を基材と同様に圧粉成形し
た二層の積層体を用いている。積層法としては金型プレ
ス法以外にも溶射法や,乾式スプレー法なども適用でき
る。アルミナ超微粒子の圧粉体は赤外線レーザ光を反射
し易いため,赤外線レーザ光の入力に対して温度上昇し
難い。このため,アルミナ表面にカーボンを極少量コー
ティングし,赤外線レーザ光の吸収能を向上させてお
く。また,製造を開始する前に予め被処理体Aの複合化
材であるアルミナ超微粒子圧粉層と同じ材質(組成,表
面状態)の試験体を用意し,当該試験体について熱電対
で表面温度を測定しながら同時に赤外線放射率を測定
し,複合化材の温度と赤外線放射率の関係を調べてお
く。
【0030】そして,チタンは非常に酸化し易いため,
ロータリーポンプ18とディフージョンポンプ20を稼
働して加熱炉1内雰囲気を高真空にするか,もしくは,
その真空引き後にガス供給装置19から不活性ガスを加
熱炉1内に供給して不活性雰囲気とする。このように高
真空もしくは不活性雰囲気とした後,加熱炉1内をヒー
タ13により1000℃に予加熱し,被処理体A全体を
1000℃に昇温させる。そして,赤外線レーザ光発振
器2の発振器本体30から発した赤外線レーザ光(YA
Gレーザ)を,入射窓11を介して加熱炉1内に入射し
て被処理体Aのアルミナ表面に照射することにより,赤
外線レーザ光照射部をアルミナの焼結温度の1600℃
に昇温させ,一方でチタンが1000℃になるように被
処理体A内部において温度傾斜を形成させる。
【0031】また,赤外線レーザ光発振器2のスキャニ
ング機構31を作動して被処理体Aの複合化材表面の一
定面積を塗りつぶすように赤外線レーザ光を走査させる
ことにより,むらのない加熱を可能にさせる。その際,
加熱を均一にさせるために,赤外線レーザ光のスポット
サイズにもよるが,走査ピッチをなるべくせまくして被
処理面全体に赤外線レーザ光が照射されるようにする。
表1に,実施例の赤外線レーザ光発振器2についての好
ましい走査条件の一例を示す。
【0032】
【表1】
【0033】なお,スキャニング機構31の構成や入射
窓11の大きさなどにより赤外線レーザ光の走査範囲に
は限界がある。そこで,より広い範囲に赤外線レーザ光
を照射させたい場合は,載置台15を支持している昇降
機構16および回転機構17を稼働させ,被処理体Aを
加熱炉1内で昇降および回転させて,所望の範囲に赤外
線レーザ光を照射する。
【0034】このようにアルミナの焼結を行う一方で,
アルミナの表面から放射され,出射窓12を透過して加
熱炉1内部から出射された赤外線の放射率をミラー走査
型パターン温度計3で走査し,温度分布を検出する。そ
して,予め調べておいた複合化材の温度と赤外線放射率
の関係に基づいて複合化材表面の温度分布を求める。そ
して,その温度分布中の最も高い温度(赤外線レーザ光
照射部の温度)を制御盤4に入力する。制御盤4では,
その入力された赤外線レーザ光照射部の温度と目標温度
(1600℃)との比較が行われる。そして,赤外線レ
ーザ光照射部の温度が1600℃未満の場合は,赤外線
レーザ光発振器2のコントローラ33に赤外線レーザ光
の強度を増す命令を出す。逆に赤外線レーザ照射部の温
度が1600℃を超えている場合は,コントローラ33
に赤外線レーザ光の強度を減らす命令を出す。
【0035】このように,ミラー走査型パターン温度計
3で求めた赤外線レーザ照射部の温度に基づいて赤外線
レーザ光発振器2の発振器本体30の出力がフィードバ
ック制御されることにより,加熱炉1内に載置された被
処理体Aの内部と表面にかけて適切な温度勾配が形成さ
れる。この温度勾配の形成により,活性金属であるチタ
ンは,アルミナとの接合界面でアルミナをアルミニウム
へ還元し,還元されたアルミニウムはチタン中に拡散
し,強固な接合が達成される。また,被処理体Aを形成
する基材(チタン)と複合化材(アルミナ)が何れも粉
末の圧粉体であることから,焼結の際の収縮がほぼ同程
度のものとなり,収縮率のミスマッチによる界面からの
剥離を起こさない。また,アルミナ表面は1600℃に
維持されるが,材料内部にかけては,表面の高熱部から
の熱伝導により材料内部に温度傾斜が付加される。この
ため,被処理体A内部のチタン部分は,アルミナ部分と
比べて600℃低温の1000℃で加熱されることから
金属とセラミックスの熱膨張の差は緩和され,チタンと
アルミナの強固な接合に寄与する。かくして得られたチ
タン−アルミナ傾斜機能材料は,表面が緻密なアルミナ
で内部にかけチタン中にアルミニウムが拡散した組成と
なり,耐酸,耐アルカリに優れた材料となる。
【0036】なお,以上の実施例では加熱炉1の壁面に
入射窓11と出射窓12を別々に設けた例を説明した
が,赤外線レーザ光の入射用の窓と赤外線レーザ光発振
器2の間に片面のみ赤外線を反射するハーフミラーを設
置し,そのハーフミラーに写った赤外線レーザ光照射部
をミラー走査型パターン温度計3で計測するように構成
すれば,窓の設置を一箇所のみにすることができる。例
えば,大型の被処理体に温度傾斜を付加して焼結するた
めに加熱炉1内の加熱の均一性が求められる場合などは
窓は一カ所にした方が好ましい。
【0037】以下に,この装置を用いて製造した試験例
を示す。
【0038】(試験例1)チタン−アルミナ混合超微粒
子(60:40重量%)を金型プレスにより成形し,5
×5×50mmの角柱状の圧粉体(被処理体)を作製し
た。得られた被処理体を,加熱炉内の載置台上に,その
加熱面が赤外線レーザ光発振器に対して45゜の角度で
照射されるように設置した。なお,試験例1では角柱状
の被処理体を載置台上に立てる必要があるので,モリブ
デン製の治具を用いた。なお,赤外線レーザ光発振器の
位置決めをHe−Neレーザを用いて行った。
【0039】加熱炉内の雰囲気をディフージョンポンプ
を用いて10-3Paにした後,ヒータに通電して雰囲気
温度を1000℃に1時間で昇温させた。加熱炉内雰囲
気温度が1000℃になった後,その温度を保持しなが
ら赤外線レーザ光を加熱炉内の被処理体表面に5×5m
m,ピッチ0.5mm,スキャニング速度1000mm
/minの条件にて20分照射した。従って,赤外線レ
ーザ光発振器のフレームタイムは3秒(5×5÷0.5
÷1000×60)である。また,昇降機構にて,2m
m/minの速度で被処理体を下方にドライブし,被処
理体の長さ方向の40mmの範囲においてレーザが照射
されるようにした。なお,被処理体表面の赤外線レーザ
光照射部の温度は加熱炉前面に設置したミラー走査型パ
ターン温度計により測温し,赤外線レーザ光発振器をフ
ィードバック制御することによりリアルタイムの制御を
行った。なお,ミラー走査型パターン温度計のフレーム
タイムは,先に説明したように0.08sとした。こら
は赤外線レーザ光発振器のフレームタイム(3秒)に比
べて十分に小さい。
【0040】図3に,試験例1で製造された材料の断面
を超音波顕微鏡を用いて観察した結果を示す。超音波顕
微鏡は,その特性から同じ組成の材料に対しても硬度や
密度,粒界等の物性の不連続性があればコントラストと
して観察できることから,このような同一の組成内で物
性の異なる材料の観察に適する。赤外線レーザ光の照射
面から材料内部へかけ除々に明度が変わっており,赤外
線レーザ光の照射面とその反対側では明らかに物性が変
化していることが分かる。特に赤外線レーザ光の照射面
では,材料が溶融した形跡は観察されず制御どおりの均
一な加熱が達成されていることが分かる。また,材料全
体の断面形状は,赤外線レーザ光の照射面とその反対側
では断面の長さが異なり,赤外線レーザ光の照射面はそ
の反対側よりも焼結が進行し約5%収縮している。これ
は,赤外線レーザ光の照射面と材料内部では,密度が異
なっていることを示す。更に,赤外線レーザ光の照射面
から材料内部へかけビッカース硬度を0.5mmおきに
測定した結果を図4に示す。図4は赤外線レーザ光の照
射面近傍からの深さ方向に対する硬度分布を示してお
り,ビッカース硬度は材料の内部にかけ連続的に低下し
ているのが分かる。
【0041】図5,6に,試験例1で製造された材料の
Ti元素とAl元素のマッピングの写真をそれぞれ示し
た。また,図7,8に材料のTi元素とAl元素のEP
MA分析結果をそれぞれ示した。図5,6中,右端の材
料表面が赤外線レーザ光の照射面であり,左方に行くほ
ど材料内部となる。粉末焼結体のため,微細な気孔に依
存するマッピングデータのばらつきはあるが,赤外線レ
ーザ光の照射面と材料内部の組成はほぼ一致しておりお
おきな変動は見られない。金属とセラミックスの複合化
材料の場合,焼結温度を必要以上に上げると金属の溶融
が起こる。このような場合には,セラミックスのネット
ワークを支える金属分散粒子が融けて流れ出すことか
ら,セラミックスネットワークは収縮し,材料表面に金
属が分離するため制御不可能な組成変動が起こる。しか
し,本発明は焼結温度を制御していることから,そのよ
うな金属の溶融を防止することが可能であり,図5,6
に示した通り材料内部と赤外線レーザ光の照射面の組成
に変動は観察されず,設計通りの材料組成を得ることが
できる。試験例1の結果から,金属とセラミックスの混
合粒子を成形した被処理体を焼結し,傾斜機能材料を製
造する際に材料表面を溶融させることなく,温度傾斜付
加焼結することができ,材料内部へかけ除々に物性を変
化させることができることが分かる。
【0042】(試験例2)アルミナの圧粉体について,
炉内雰囲気温度を1200℃,赤外線レーザ光の照射部
温度を1600℃に設定し,2分間アルミナ圧粉体表面
の一部に赤外線レーザ光を照射し,温度傾斜を付加して
焼結した。得られた材料の赤外線レーザ光の照射部とそ
の周辺を表す写真を図9に示す。図9において,中央に
島状に黒く観察される部分が赤外線レーザ光の照射部で
ある。図10は,図9の赤外線レーザ光の照射部におけ
る表面のSEM写真である。図11は,図9の赤外線レ
ーザ光の非照射部における表面のSEM写真である。赤
外線レーザ光を照射した部分は照射時間が2分間と短い
にもかかわらず焼結が進行し,気孔が少なくなってお
り,アルミナ粒子の成長が見られる。
【0043】図12は,図10に示した赤外線レーザ光
の照射部の断面SEM写真を示す。図13は,同じ断面
を図12のSEM写真に対応させて描いた補足説明図で
ある。図12において,中央よりもやや右側(図13に
おいて線Lで示される位置)に材料の表面があり,この
表面よりも左側の領域(図13における斜線領域M)が
材料内部の断面である。表面よりも右側の白っぽい領域
(図13における領域N)は材料表面が斜めに写った部
分である。2分間というレーザ照射条件では,赤外線レ
ーザ光の照射による粒成長,低気孔率化は表面近傍のみ
で観察され,材料内部へは照射による焼結促進の効果が
及んでいない。また,クラックなどの損傷は観察されず
健全な組織であることが分かる。試験例2から,赤外線
レーザ光の照射時間を短時間に設定することにより,表
面の極一部で,かつ,極表面のみを低気孔率化すること
が可能であることが分かる。また,試験例2では,材料
内部の温度を予備加熱にて1200℃に昇温しているこ
とから,熱応力による材料破壊を防止できていることが
分かる。
【0044】(試験例3)円柱状のチタン圧粉体基材
(3mmφ×30mm)の側表面上に,最初は,チタン
リッチに,最後はアルミナ100%へ組成を除々に変え
た圧粉積層(300μm)からなる複合化材を積層し,
被処理体を構成した。加熱炉内温度1000℃,赤外線
レーザ光の照射部温度を1600℃に設定し,複合化材
に赤外線レーザ光を20分間照射した。なお,被処理体
の形状が円柱状であることから,回転機構を稼働して
4.5rpmの回転数で被処理体を回転させ,被処理体
の表面全周に赤外線レーザ光が照射されるようにした。
【0045】図14,15に,試験例3で製造された材
料のTi元素とAl元素のマッピングの写真をそれぞれ
示した。また,図16,17に材料の断面のTi元素と
Al元素のEPMA分析結果をそれぞれ示した。図1
4,15中,材料の右端表面が赤外線レーザ光の照射面
であり,左方に行くほど材料内部となる。Ti元素およ
びAl元素はそれぞれ逆の勾配を示しており,材料の表
面から約300μmの厚みでアルミナからチタンへ組成
が除々に傾斜したFGM層が形成されたことが分かる。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば,複合化材表面を所定の
目標温度に加熱することが可能となり,加熱不均一に起
因する残留応力の発生,ピンホールの発生などといった
問題が解消でき,信頼性の高い傾斜機能材料を製造でき
る。レーザ光強度のリアルタイムによるフィードバック
制御をしない場合は,赤外線レーザ光の照射部からの熱
伝導により,走査範囲の中心部や端部がスキャニングの
関係で設定温度よりも高温に過熱されるため均一な加熱
はできない。本発明による傾斜機能材料の製造には,金
属のみならずセラミックス等,種々の材料が利用でき,
材料設計において意図する機能発現に応じて基材と複合
化材の種類や組成を決定し,緩やかな機能勾配を有する
傾斜機能材料を自由に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる傾斜機能材料の製造装
置の正面視での断面図である。
【図2】同装置の平面視での断面図である。
【図3】試験例1で製造された材料の断面を超音波顕微
鏡を用いて観察した結果を示す写真である。
【図4】試験例1の材料内部のビッカース硬度を示すグ
ラフである。
【図5】試験例1で製造された材料のTi元素のマッピ
ングの写真である。
【図6】試験例1で製造された材料のAl元素のマッピ
ングの写真である。
【図7】試験例1で製造された材料のTi元素のEPM
A分析結果を示すグラフである。
【図8】試験例1で製造された材料のAl元素のEPM
A分析結果を示すグラフである。
【図9】試験例2で得られた材料の赤外線レーザ光の照
射部とその周辺を表す写真である。
【図10】図9の赤外線レーザ光の照射部における表面
のSEM写真である。
【図11】図9の赤外線レーザ光の非照射部における表
面のSEM写真である。
【図12】図10に示した赤外線レーザ光の照射部の断
面SEM写真である。
【図13】図12と同じ断面の補足説明図である。
【図14】試験例3で製造された材料のTi元素マッピ
ングの写真である。
【図15】試験例3で製造された材料のAl元素のマッ
ピングの写真である。
【図16】試験例3で製造された材料の断面のTi元素
のEPMA分析結果を示すグラフである。
【図17】試験例3で製造された材料の断面のAl元素
のEPMA分析結果を示すグラフである。
【符号の説明】
A 被処理体 1 加熱炉 2 赤外線レーザ光発振器 3 ミラー走査型パターン温度計 4 制御盤

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材と複合化材とを積層してなる被処理
    体の複合化材の表面に赤外線レーザ光を照射することに
    より所定の目標温度に複合化材の表面を加熱して傾斜機
    能材料を製造する方法において,複合化材の表面の温度
    分布を求め,その温度分布の中で最も高い温度が目標温
    度となるように,前記赤外線レーザ光の強度をフィード
    バック制御することを特徴とする傾斜機能材料の製法。
  2. 【請求項2】 被処理体を予加熱し,複合化材の表面に
    赤外線レーザ光を照射することにより複合化材の表面を
    その予加熱温度よりも高い目標温度に加熱する請求項1
    に記載の傾斜機能材料の製法。
  3. 【請求項3】 被処理体は,基材の側面に基材粉と複合
    化材粉との混合粉を最初は基材の混合比が高く,最後は
    複合化材の混合比が高くなるように混合比を除々に変え
    た圧粉積層を形成したものである請求項1または2に記
    載の傾斜機能材料の製法。
  4. 【請求項4】 被処理体は,基材の側面に,真空蒸着,
    スパッタリング,イオン注入法,電気めっき,溶射,ス
    プレー法,およびロール法の何れかによって複合化材を
    被着したものである請求項1または2に記載の傾斜機能
    材料の製法。
  5. 【請求項5】 複合化材の表面が,無機炭素で黒化処理
    されている請求項1〜4の何れかに記載の傾斜機能材料
    の製法。
  6. 【請求項6】 複合化材の表面に赤外線レーザ光を走査
    させる請求項1〜5の何れかに記載の傾斜機能材料の製
    法。
  7. 【請求項7】 複合化材の表面の温度分布を,複合化材
    の表面から放射される赤外線の放射率に基づいて求める
    請求項1〜6の何れかに記載の傾斜機能材料の製法。
  8. 【請求項8】 基材と複合化材とを積層してなる被処理
    体をその内部において予加熱することが可能な加熱炉
    と,加熱炉内の被処理体の複合化材の表面に赤外線レー
    ザ光を照射することにより前記予加熱温度よりも高い目
    標温度に複合化材の表面を加熱する赤外線レーザ光発振
    器とを備えたものにおいて,複合化材の表面の温度分布
    を求めるための温度分布検出手段と,該温度分布検出手
    段によって求めた温度分布の中で最も高い温度が目標温
    度となるように,前記赤外線レーザ光発振器のレーザ光
    の強度をフィードバック制御する制御手段を設けたこと
    を特徴とする傾斜機能材料の製造装置。
  9. 【請求項9】 加熱炉内で被処理体を昇降および回転さ
    せる機構を設けた請求項8に記載の傾斜機能材料の製造
    装置。
  10. 【請求項10】 赤外線レーザ光発振器のレーザ光を複
    合化材の表面に走査させるスキャニング機構を備えてい
    る請求項8または9に記載の傾斜機能材料の製造装置。
  11. 【請求項11】 温度分布検出手段は,複合化材の表面
    から放射される赤外線の放射率に基づいて複合化材の表
    面の温度分布を求めるミラー走査型パターン温度計であ
    る請求項8〜10の何れかに記載の傾斜機能材料の製造
    装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000015864A1 (fr) * 1998-09-11 2000-03-23 Japan Science And Technology Corporation Generateur de chaleur laser
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KR20160084358A (ko) * 2016-07-06 2016-07-13 부경대학교 산학협력단 이중 나노입자 강화 알루미늄 경사 기능 재료 및 그 제조방법

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