JP2019077935A - 三次元造形装置、および三次元造形物の製造方法 - Google Patents

三次元造形装置、および三次元造形物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属や合金の粉末を原料として用いる粉末床溶融結合法では、透過窓を介してレーザービームを照射して原料粉末薄層を選択的に加熱溶融させ、三次元造形物を形成する。原料粉末薄層を溶融させると、原料粉末の蒸気が冷却されてヒュームとして透過窓に付着してレーザービームの透過率を減少させるため、長期にわたり連続的に安定した三次元造形プロセスを続けることが困難であった。【解決手段】原料粉末薄層のうち、溶融させるべき領域に予備加熱用レーザービームを照射し、焼結温度以上で溶融温度未満に予備加熱する。予備加熱した部分が焼結温度以下に冷却しないうちに、本加熱用レーザービームを照射して焼結した部分を溶融させる。本加熱レーザービームにより被照射領域の一部が溶融し始めてから、被照射領域全体の原料粉末層が厚み方向全体まで溶融するまでに要する時間を格段に短縮することができる。このため、ヒュームの発生量を低減することが可能である。【選択図】図1

Description

本発明は、いわゆる粉末床溶融結合法を実施する三次元造形装置、および三次元造形物の製造方法に関する。
近年、いわゆる3Dプリンタの開発が盛んに行われており、さまざまな方式が試みられている。例えば、熱溶融積層造形法、光硬化性樹脂を用いた光造形法、粉末床溶融結合法等のさまざまな方式が知られている。
粉末床溶融結合法は、ナイロン樹脂、セラミクス、金属等の原料粉末の薄層を形成する薄層形成工程と、原料粉末の薄層にレーザービームを照射し任意の部分を加熱溶融させ積層する加熱積層工程とを繰り返して三次元造形物を形成する方法である。粉末積層造形法と呼ばれることもある。
近年では、高い機械強度や良好な熱伝導性が要求される物品を製造する方法として、金属粉末を原料に用いた粉末床溶融結合法が活用されはじめている。粉末床溶融結合方式による三次元積層造形法は、試作品の迅速な製作ばかりでなく、実製品の製造への応用が期待されており、造形物の形状精度や材料物性の向上、そして製造の安定化が求められている。
造形物の形状精度や材料物性を得るためには、所定強度の安定したレーザービームを作成する造形物の形状に応じて原料粉末の薄層に照射する必要がある。造形は、通常はチャンバー内でおこなわれ、レーザービームがチャンバーの窓につけられたレーザーポートを通して照射されるが、照射強度を安定させるにはレーザーポートが清浄である必要がある。
造形中にレーザー照射により加熱された原料粉末が溶融温度を超えると、溶融部分から金属材料の蒸気が発生し、それがチャンバー内で冷やされ、チャンバーの構造物へと付着する。その付着物はヒュームと呼ばれている。ヒュームがレーザーポートの表面に付着すると、そこを透過するレーザーパワーを減衰させる要因となり、安定した造形の妨げとなる。
ヒュームの付着を予防するには、例えばチャンバー内の排気を行い、チャンバーに付着する前に外に排出させることが考えられるが、空気溜りの発生などのため付着を完全に防止するのは困難である。意図的にチャンバー内に気流を発生させて付着を防止している例も見られるが、真空や減圧雰囲気で造形を行う場合には、この方法は採用できない。そこで、レーザーポートにヒュームが付着するのを抑制するには、金属材料の蒸気の発生をできるだけ低減することが重要である。
ところで、三次元造形を行うためには、原料粉末層のうち三次元造形物として形成すべき部分を順次にレーザーで加熱して溶融させてゆくが、レーザーの照射開始後直ちに被照射領域の下に存在する全ての原料粉末が溶融するわけではない。平面的に見れば、被照射領域のうち照射エネルギー密度が高い部分あるいは被照射領域の中心部がまず溶融し、被照射領域全体に溶融が拡大してゆく。また、厚さ方向で見れば、原料粉末層全体が同時に溶融するわけではなく、溶融部分の深さは時間とともに拡大してゆく。
被照射領域の下に存在する原料粉末層は、その厚みに応じた熱容量を有するので、低温の原料粉末層を厚み方向全体にわたり溶融させるに足る熱量を吸収するには時間を要する。また、原料粉末層に吸収された熱エネルギーは被照射領域周辺の低温領域に拡散したり放射してしまうため、被照射領域全体を所定の深さ方向まで溶融させるには、レーザーの照射を継続する必要がある。このため、最初に局所的な溶融が生じてから被照射領域全体が所定の深さ方向まで溶融するまでの間ヒュームは発生し続けることになる。被照射領域の下に存在する原料粉末層が溶融したら、その領域へのレーザーの照射を終了して冷却させればよいが、上記の次第で少なくともレーザー照射による加熱期間中はヒュームが発生し続けることになる。
ところで、ヒュームの発生を抑制することとは別の目的で、レーザー照射に先駆けて原料粉末層を予備加熱する技術が知られている。
例えば、レーザー照射を行う前にヒーターや輻射加熱などの手段を用いて造形物を形成する領域の外側から均一に温めておき、レーザー照射後に固化した造形物内の残留応力を減らして反りやクラックの発生を防止する技術が知られている。
また、特許文献1には、材料粉末の焼結及び/又は溶融させるためのレーザー照射に先駆けて別のレーザービームで予備加熱して、残留応力やクラックの発生を抑制する方法が記載されている。すなわち、予備加熱用のレーザーと本加熱用のレーザーという2つのレーザーを備え、粉末床を予備加熱と本加熱の領域を分ける装置が記載されている。この装置では、予備加熱が終わると、加熱領域を180度回転させて本加熱を行うという方法を行っている。
また、特許文献2には、材料粉末を焼結させるためのレーザー照射に先駆けてレーザービームで予備加熱して、三次元造形物のカールを抑制する方法が記載されている。すなわち、照射径の異なる二つのレーザーを持ち、大きなスポット径を持つレーザーの照射領域内にもう一つのレーザースポットが重複するようにして加熱を行う装置が記載されている。
特開2015−120340号公報 特表平9−504055号公報
上述した従来の予備加熱方法、すなわち造形物の反りやクラックの発生を防止する目的で行われた予備加熱方法を、ヒュームの発生の抑制に適用しようとしても、必ずしも有効ではなかった。
まず、造形物を形成する領域の外側からヒーターや輻射加熱などを用いて原料粉末層全体を温める方法の場合には、加熱温度を高くすると原料粉末全体が焼結して固化してしまい、造形物との分離が困難になってしまう問題がある。例えば、SUS316は溶融温度は約1400℃であるが、約600℃で焼結してしまい、その温度は溶融温度よりはるかに低い。また、チタンの場合は、溶融温度は1600〜1700℃であるが、約1100℃で焼結してしまう。
焼結温度よりも低い温度すなわち溶融温度よりもはるかに低い温度までしか予備加熱することができないため、レーザー照射時に最初に局所的な溶融が生じてから被照射領域全体が所定の深さ方向まで溶融するまでに要する時間を短縮する効果は小さかった。すなわち、ヒュームの発生時間はほとんど短縮できなかった。
また、特許文献1に記載された予備加熱方法では、全体領域を二つに分け、片方の領域の予備加熱が終わるとその領域を180度回転させて本加熱を行う。このため、予備加熱後に本加熱を開始するまでに時間がかかる上、場所によっては本加熱時には冷却が進行している場合もある。また、予備加熱の温度は、焼結を防止するために溶融温度よりも低く抑制する必要があり、本加熱のレーザーの被照射部を予め十分に昇温しておくことはできなかった。このため、本加熱のレーザー照射時に最初に局所的な溶融が生じてから被照射領域全体が所定の深さ方向まで溶融するまでに要する時間を短縮する効果は小さかった。すなわち、ヒュームの発生時間はほとんど短縮できなかった。
また、特許文献2に記載された予備加熱方法は、溶融ではなく焼結を行うための加熱方法であるが、粉末床溶融結合法にこの予備加熱方法を適用するとしても、ヒュームの発生を低減させる効果は期待できなかった。というのも、この加熱方法では2つのレーザーを同じミラーで反射させているため、照射径を変えることができても、照射位置をずらすことができない。レーザー照射時間が長くなる本照射を終えた後は照射領域の温度をできるだけ早く下げる必要があるが、照射径が大きい方のレーザーに照射された領域の蓄熱がその冷却を妨げる場合があり、ヒュームの発生時間を短縮する効果は小さかった。
本発明は、三次元造形物の原料粉末の層を形成する層形成部と、予備加熱用レーザービーム源と、本加熱用レーザービーム源と、レーザービームを透過する透過部と、前記層形成部、前記予備加熱用レーザービーム源および前記本加熱用レーザービーム源を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記層形成部に前記原料粉末の層を形成させ、前記層のうち三次元造形物を形成する部位に、前記予備加熱用レーザービーム源から前記透過部を通して予備加熱用レーザービームを照射し、前記部位を前記原料粉末の焼結温度より高くかつ溶融温度より低くなるように予備加熱し、前記予備加熱用レーザービームの照射軌跡を追跡するように前記本加熱用レーザービーム源から前記透過部を通して本加熱用レーザービームを照射し、前記部位を溶融温度よりも高くなるように加熱し、三次元造形物を形成する、ことを特徴とする三次元造形装置である。
また、本発明は、三次元造形物の原料粉末の層を形成する層形成部と、予備加熱用レーザービーム源と、本加熱用レーザービーム源と、レーザービームを透過する透過部と、前記層形成部、前記予備加熱用レーザービーム源および前記本加熱用レーザービーム源を制御する制御部と、を有する三次元造形装置を用いた三次元造形物の製造方法であって、前記制御部は、前記層形成部に前記原料粉末の層を形成させる層形成処理と、前記層のうち三次元造形物を形成する部位に、前記予備加熱用レーザービーム源から前記透過部を通して予備加熱用レーザービームを照射し、前記部位を前記原料粉末の焼結温度より高くかつ溶融温度より低くなるように予備加熱する予備加熱処理と、前記予備加熱用レーザービームの照射軌跡を所定時間後に追跡するように前記本加熱用レーザービーム源から前記透過部を通して本加熱用レーザービームを照射し、前記部位を溶融温度よりも高くなるように加熱する本加熱処理と、を繰り返し実行して三次元造形物を形成する、ことを特徴とする三次元造形物の製造方法である。
本発明によれば、粉末床溶融結合法において、原料が溶融している時間を短縮することが可能なためヒュームの発生を抑制でき、レーザービームの透過部を長時間にわたり清浄な状態に保つことが可能である。
実施形態の三次元造形装置の概略構成を示す図。 実施形態の三次元造形プロセスを示すフローチャート。 (a)〜(g)は、薄層形成工程の各段階の状態を示す概念図。 制御部とレーザー発振器、光学系の構成を示す簡易ブロック図。 一層分の造形領域へのレーザー加熱プロセスを示すフローチャート。 (a)〜(c)は、一層分の造形領域へのレーザー加熱プロセスの前半の各段階の状態を示す概念図。 (d)〜(f)は、一層分の造形領域へのレーザー加熱プロセスの後半の各段階の状態を示す概念図。 固化される領域の温度履歴を示すグラフ。
[実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態である三次元造形物の製造方法と、それに用いる三次元造形装置について説明する。
(三次元造形装置)
図1は、実施形態の三次元造形装置の概略構成を示す図である。三次元造形装置100は、原料粉末1の薄層1a上の任意の領域にレーザービームを照射して溶融させ、溶融した領域1bを固化して積層して三次元造形物2を造形する。すなわち、三次元造形装置100は、粉末床溶融結合方式による三次元積層造形法を用いている。三次元造形装置100は、不活性ガス雰囲気や減圧雰囲気等の低酸素雰囲気にて粉末床溶融結合方式の造形を行うことが可能に構成されているため、三次元造形物2の酸化が防止され、三次元造形物2の機械強度を向上させ得る。
本実施形態で好適に用いる原料粉末は、金属あるいは合金を主成分とする粉末である。例えば、SUS、チタン、アルミニウムや金属化合物、合金化合物の粉末が用いられる。
以下、三次元造形装置100の各部について説明する。
制御部20は、CPU,RAM,ROM,I/Oポート等を内蔵するコンピュータであり、三次元造形装置100の各部の動作を制御する。三次元造形装置100内のレーザー発振器、光学系、造形ステージ、供給ステージ、排気機構、ガス供給機構、供給機構をはじめとする各部と信号の授受を行うとともに、外部のネットワークやコンピュータとも接続可能である。尚、図1では図示の便宜のため、各部と接続する信号線の多くを省略している。
チャンバー4は、造形ステージ5や供給ステージ6を外気から遮蔽するための容器であり、例えば幅1500mm、奥行き1000mm、高さ900mmの容積を有し、ステンレスで形成されている。チャンバー4には、真空計14が接続されており、真空計14はチャンバー4内の真空度を検知し、制御部20に伝達する。
チャンバー4に付帯して、チャンバー4内の雰囲気を調整する雰囲気調整機構が設けられている。
まず、排気機構13は、チャンバー4内の雰囲気を排気して減圧することができる。排気機構13は、チャンバー4内に存在する空気を排気してチャンバー4内の酸素を減少させることができる。排気機構13は、例えばドライポンプ13bとターボ分子ポンプ13aを直列に接続して構成され、チャンバー4の到達真空度を例えば1×10−4Paとすることができる。排気機構13は、チャンバー4との接続部に開口量を調整可能な不図示の開口調整弁を備える。
ガス供給機構12は、排気機構13により減圧されたチャンバー4内に任意のガスを供給可能である。ガス供給機構12は、マスフローコントローラー12aを通じて、各種ガスを所定流量でチャンバー4に供給可能である。ガス供給部12bは、窒素ガス、アルゴンガス等を、任意の混合割合でマスフローコントローラー12aに供給可能である。
制御部20は、排気機構13、開口調整弁、ガス供給機構12、マスフローコントローラー12a、等を制御して、チャンバー内を三次元造形に適した雰囲気に調整する。具体的には、レーザーを照射して原料粉末を加熱した際に原料が酸化しないように、減圧雰囲気にしてチャンバー内の酸素分圧を減少させる場合がある。さらには、減圧後に窒素ガスを導入して圧力を調整したり、窒素ガスを導入後に再度減圧して残留酸素をさらに減少させ、窒素分圧が酸素分圧よりも高い減圧雰囲気を形成する場合がある。
次に、レーザー光源を用いた加熱機構について説明する。
三次元造形装置100では、チャンバー4の外部に置かれたレーザー発振器30およびレーザー発振器31から出力したレーザービームを、チャンバー4に取り付けられた透過部材3を透過させてチャンバー4内へ入射させる。
チャンバー4には、例えば、造形テーブル11から垂直方向に565mm離れた位置に、直径294mm、厚み20mmの円板形状の透過部材3が設置されている。透過部材3は、例えば合成石英の板の両面に反射防止膜をコーティングしたもので、ヒュームによる汚染がなければ、レーザー発振器30およびレーザー発振器31のレーザービームを99%以上の高い透過率で透過させ得る。
加熱手段であるレーザー発振器30およびレーザー発振器31は、例えば、最大出力が500W、波長が1070nmのYAGレーザー発振器であり、制御部20が出力する制御信号に従って動作する。レーザー発振器30が出力するレーザー光はファイバケーブル34により光学系32に導かれ、レーザー発振器31が出力するレーザー光はファイバケーブル35により光学系33に導かれる。
光学系32および光学系33の各々は、反射ミラー、ガルバノスキャナー、fθレンズ等の光学素子を含んでいる。光学系32および光学系33は、制御部20が出力する制御信号に従ってガルバノスキャナーを作動させてレーザービームを走査し、造形ステージ5上の薄層1aの任意の領域を照射して加熱することができる。
予備加熱用レーザービーム源としてのレーザー発振器30が出力するレーザー光は、造形ステージ5の上に形成された原料粉末の薄層のうち三次元造形物として固化すべき領域を選択的に予備加熱するために用いられる。ここで、選択的に予備加熱するとは、本加熱よりも所定時間前に、焼結温度より高くかつ溶融温度より低くなるように三次元造形物として固化すべき領域を選択的に加熱することを言う。
本加熱用レーザービーム源としてのレーザー発振器31が出力するレーザー光は、造形ステージ5の上に形成された原料粉末の薄層のうち三次元造形物として固化すべき領域を本加熱するために用いられる。ここで、本加熱とは、予備加熱後に溶融温度より高い温度になるように追加の加熱を行うことを言う。具体的な加熱の手順については、後述する。
次に、原料粉末の薄層を形成する層形成処理を行うための層形成部の機構を説明する。
チャンバー4の内部には、造形テーブル11が配され、造形テーブル11には造形ステージ5と原料粉末の供給ステージ6と回収容器8が組み込まれている。造形ステージ5は、原料粉末の薄層を形成するための基台であるとともに、形成された三次元造形物を支持する台でもある。造形ステージ5の上では、まず原料粉末の薄層が形成され、次に薄層の所定領域をレーザービームにより予備加熱して焼結させ、続いて所定領域をレーザービームにより本加熱して溶融させ、冷却して固化させる。これを繰り返し行うことにより、造形ステージ5の上には固化部が堆積され、三次元造形物2が形成される。
造形ステージ5は、サーボモータ5a、ボールねじ5b、リニアガイド5c等から構成される昇降機構5mを有する。昇降機構5mは、三次元造形物2の一層分が形成される度に、次の層の形成に備えて造形ステージ5を下降させる。
また、造形ステージ5には、全体加熱手段であるヒーターユニット9が設置されている。ヒーターユニット9は、造形プレート10を所望の温度に加熱し、原料粉末の薄層全体および形成された三次元造形物全体を加熱することができる。
造形テーブル11には、造形ステージ5に隣接して供給ステージ6が配置されている。供給ステージ6は、サーボモータ6a、ボールねじ6b、リニアガイド6c等から構成される昇降機構6mを有する。供給ステージ6は材料粉末を蓄積しており、適宜のタイミングで造形ステージ5にこれを供給する。
供給機構7は、造形ステージ5に原料粉末1の薄層1aを形成する。供給機構7は、直動機構7bにより供給ローラ7aを駆動して、造形テーブル11の上面に沿って供給ステージ6から造形ステージ5へ向かって移動させる。供給ローラ7aの回転方向は造形テーブル11に対してカウンタ方向で、造形ステージ5の上面で原料粉末をすり切りつつ移動するため、造形ステージ5の上に材料粉末の薄層を形成することができる。
(造形プロセス)
次に、三次元造形装置100により三次元造形物を形成するプロセスを説明する。制御部20は、三次元造形装置100の各部を制御して、三次元造形プロセスを実行して三次元造形物2を造形する。
図2は、造形プロセスの概略を示すフローチャートである。
造形プロセスが開始されると、まず材料供給工程(K1)では、供給ステージ6の上部に原料粉末1がセットされる。
次に、環境制御工程(K2)では、制御部20は、排気機構13およびガス供給機構12によりチャンバー4内の雰囲気を三次元造形に適した初期状態になるよう制御する。尚、制御部20は、K3以降の工程においても、ガス供給機構12によってチャンバー4に導入ガスを供給しつつ、真空計14の出力に応じて排気機構13の開口調整弁を調整することで、チャンバー内を三次元造形に適した雰囲気組成と真空度に維持する。
また、制御部20はヒーターユニット9を駆動して造形ステージ5を所望の温度に加熱する。ヒーターユニット9の出力は、後に造形ステージ5上に原料粉末の薄層が形成されたときに、薄層の全体を焼結温度未満に加熱する全体加熱処理を実行できるよう制御部20によって制御される。
次に、薄層形成工程(K3)を行い、造形ステージ5の上に原料粉末が敷かれた厚みΔZの薄層を形成する。
図3(a)〜図3(g)は、薄層形成工程の各段階における造形ステージ5、供給ステージ6、供給ローラ7aの動作を示した模式図である。
まず、図3(a)に示すように、制御部20は、造形ステージ5上の原料粉末の上面が造形テーブル11の上面よりもΔZ1低くなるように造形ステージ5を下降させる。この際、最終的に形成する薄層の厚みΔZに対して、ΔZ1≧ΔZが満足されるように下降させる。
次に、図3(b)に示すように、制御部20は、供給ステージ6の原料粉末の上面が造形テーブルの上面よりもΔZ2高くなるように、供給ステージ6を上昇させる。この際、ΔZ2≧ΔZかつΔZ2≧ΔZ1が満足されるようにする。
次に、図3(c)〜図3(d)に示すように、制御部20は、供給ローラ7aを回収容器8側まで移動させ、供給ステージ6上の原料粉末を造形ステージ5上に移動させる。このとき供給ローラ7aによりすり切られた余分な材料粉末は、回収容器8に回収されて再利用される。
その後、図3(e)に示すように、制御部20は、造形テーブル11の上面より下の原料粉末1の薄層1aの厚みがΔZとなるまで造形ステージ5を上昇させる。
続いて、図3(f)〜図3(g)に示すように、制御部20は、供給ローラ7aを回転させつつ供給ステージ6の原点位置に移動させる。原料粉末1の薄層を供給ローラ7aが押圧して圧縮することにより原料粉末の充填密度が高まり、造形ステージ5の上には厚みΔZの薄層が形成される。
次に、図2に戻り、条件設定工程(K4)では、制御部20は、作成する三次元造形物の形状に基づく薄層ごとの造形パラメータを設定し、制御部20内の記憶領域21に記憶させる。造形パラメータとは、三次元造形する際に用いるレーザー発振器や光学系の制御パラメータである。
具体的には、作成する三次元造形物の形状に基づいて薄層ごとに形状が決められた加熱領域を、レーザービームで走査するための走査経路が挙げられる。さらに、走査経路に沿って、レーザー発振器30が出力する予備加熱用レーザービームを先行走査させ、所定時間後にレーザー発振器31が出力する本加熱用レーザービームが後行走査するように光学系32と光学系33を制御するパラメータが挙げられる。また、予備加熱用レーザービームを所定の走査速度で先行走査した際に、走査経路の原料粉末が焼結温度より高くかつ溶融温度より低くなるようにレーザー発振器30の出力強度を制御するパラメータが挙げられる。また、予備加熱用レーザービームを先行走査させた所定時間後に本加熱用レーザービームを後行走査した際に、走査経路の原料粉末が溶融温度より高くなるようにレーザー発振器31の出力強度を制御するパラメータが挙げられる。
尚、これらの条件は、制御部20のCPUが計算して設定してもよいが、外部コンピュータを用いて設定し、I/Oポートを経由して制御部20の記憶領域21にロードしてもよい。
レーザー加熱の準備が完了したら、加熱積層工程(K5)を行う。
図4は、制御部20の構成要素、レーザー発振器30、レーザー発振器31、光学系32、光学系33の接続関係を示す簡易ブロック図である。レーザー発振器30は出力制御部23のAポートと接続され、レーザー発振器31は出力制御部23のBポートと接続されている。光学系32は位置制御部24のAポートと接続され、光学系33は位置制御部24のBポートと接続されている。
制御部20内の制御統括部22は、記憶領域21から造形パラメータを読出し、予備加熱用レーザービームと本加熱用レーザービームが所定の時間間隔で固化すべき領域を走査するように各部の動作を制御統括する。すなわち、制御統括部22は、予備加熱用レーザービームが走査した経路を本加熱用レーザービームが所定時間後に追従して走査するように出力制御部23と位置制御部24に対して指示命令を伝達し、各レーザー発振器と各光学系を連係動作させる。
具体的には、図5のフローチャートに示すように、S41にて一層分の造形領域へのレーザー加熱プロセスを開始すると、S42にて予備加熱用レーザービームの照射が開始される。そして、S43にて所定時間の経過が判断された後に、S44にて本加熱用レーザービームの照射が開始される。ここで留意すべきは、一層分の造形領域への予備加熱用レーザービームの照射が完了してから所定時間後に本加熱用レーザービームの照射が開始されるのではない点である。予備加熱用レーザービームを所定間隔で追従するように本加熱用レーザービームを走査するため、造形領域の異なる2点を予備加熱用レーザービームと本加熱用レーザービームが同時に照射しているような状態が生じ得るといえる。
そして、一層には、独立した複数の造形領域が含まれることもあり得るが、未照射の造形領域が存する場合は、S42に戻りその領域に対して予備加熱用レーザービームの照射が開始される。S45にて一層分の全ての造形領域への予備加熱用レーザービーム及び本加熱用レーザービームの照射が完了したと判断されると、S46にて一層分のレーザー加熱プロセスが完了する。
図6および図7は、一層分の造形領域へのレーザー照射による加熱プロセスの各段階を順を追って説明するための簡易的な斜視図である。
図6(a)は、作成しようとする三次元造形物の一層分のスライスデータに基づき、原料粉末層のうち加熱溶融処理を行って固化させる部位と固化させない部位を区別して示した模式図である。図中で、61は一層分の原料粉末の薄層全体を表し、62は加熱溶融処理を行って固化させる部位を、63は加熱溶融処理を行わずに原料粉末層としてそのまま残す部位を示している。
図6(b)は、加熱溶融処理を行って固化させる領域62に、予備加熱用レーザービームおよび本加熱用レーザービームを照射する際の走査経路64を示した模式図である。図中では、矢印付きの線を用いて、レーザービームを照射する際の走査経路64を模式的に示している。図示の例では、溶融させるべき矩形領域を一筆書きのジグザグ線で走査するが、これ以外の走査経路であってもよい。走査経路64は、造形パラメータとして制御部20内の記憶領域21に記憶されている。
図6(c)は、図5のS42において予備加熱用レーザービームの照射を開始した後の状態を示した模式図である。図では、走査経路64に沿って走査中の予備加熱用レーザービーム65が示されている。予備加熱処理は、図4の制御統括部22の指示により、出力制御部23のAポートおよび位置制御部24のAポートから、レーザー発振器30および光学系32に駆動制御信号が送られて実行される。レーザー発振器30の出力パワーや、光学系32のビーム走査速度やビーム径は、照射された領域の原料粉末が焼結温度より高くかつ溶融温度より低くなるように制御される。図6(c)に示す部分66は、予備加熱用レーザービームの照射により焼結温度よりも高い状態になっている領域を模式的に示している。
図7(d)は、図5のS44において本加熱用レーザービームが照射を開始した後の状態を示した模式図である。本加熱用レーザービーム67は、走査経路64に沿って所定の時間間隔をあけて予備加熱用レーザービームの照射軌跡を追跡走査するように同期制御される。本加熱処理は、図4の制御統括部22の指示により、出力制御部23のBポートおよび位置制御部24のBポートから、レーザー発振器31および光学系33に駆動制御信号が送られて実行される。レーザー発振器31の出力パワーや、光学系33のビーム走査速度やビーム径は、照射された領域の原料粉末が溶融温度以上になるように制御される。図7(d)に示す部分66は、予備加熱用レーザービームの照射により焼結温度よりも高い状態になっている領域を、部分68は本加熱用レーザービームの照射により溶融状態になっている領域を模式的に示している。尚、予備加熱用レーザービームが照射する照射スポット69の面積は、本加熱用レーザービームが照射する照射スポット70の面積の0.8倍以上で1.0倍以下あることが望ましい。また、予備加熱用レーザービームのパワーは、本加熱用レーザービームのパワーの1.0倍以上で1.5倍以下であることが望ましい。
図7(e)は、予備加熱用レーザービームおよび本加熱用レーザービームの走査がさらに進んだ状態を示した模式図である。本加熱レーザービームの照射により溶融温度以上に加熱された領域は、その後は時間の経過とともに周囲に熱を拡散したり放射したりして温度が低下し、固化する。図中の71は、固化した領域を模式的に示している。
図7(f)は、予備加熱用レーザービームおよび本加熱用レーザービームの照射の完了後に、溶融した部分の固化が完了した状態を示す模式図である。63は加熱溶融処理を受けず原料粉末層が残る領域、71は加熱溶融処理後に固化した領域を模式的に示している。
本実施形態の三次元造形方法および三次元造形装置によれば、原料粉末薄層のうち固化すべき領域は、図8に示す温度履歴を経由して固化する。図8において、縦軸は温度、横軸は時間の経過を示しており、原料粉末が造形ステージ上に薄層として付与されてから固化が完了するまでの経過を示している。原料粉末の薄層は、まず全体予備加熱手段では常温から焼結温度未満のT1まで昇温される。この全体加熱手段による加熱により、固化物を積層して造形してゆく際の固化物の反りや熱応力の残留を抑制することができる。
そして、予備加熱レーザービームで加熱領域をT2分だけ加熱し、焼結温度を越え溶融温度に近い温度まで予備加熱を行う。そして、所定時間後、すなわち予備加熱による蓄熱で温度が焼結温度以上である間に本加熱レーザービームにてT3分だけ加熱を行い、溶融温度以上まで昇温させて、照射領域下の材料を全て溶融させる。その後、この領域への本加熱レーザービームの照射を中止してT1付近まで冷却させ、溶融した材料を固化させる。
図2に戻ると、以上により、一層分の加熱積層工程(K5)が完了する。制御部20は、全層分の三次元造形が完了したかを検証し(K6)、未だ完了していない場合には造形が完了するまで、薄層形成工程(K3)、条件呼び出し工程(K4)、および加熱積層工程(K5)を繰り返して、目的とする三次元造形物2を造形する。制御部20は、造形が完了すると、造形物取り出し工程(K7)を実行する。造形物取り出し工程(K7)では、三次元造形物2の冷却を待ってチャンバー4内を大気圧に戻し、三次元造形物2が取り出せる環境になったら、作業者が三次元造形物2を取り出す。
本実施形態によれば、予備加熱レーザービームによりヒュームを発生させることなく、しかも余分な領域を焼結させることもなく、溶融させるべき領域だけを予め焼結温度以上ではあるが溶融温度未満にまで加熱する。そして、予備加熱による蓄熱で温度が焼結温度以上にある間に本加熱レーザービームを照射することで、被照射領域の一部が溶融し始めてから、被照射領域全体の原料粉末層が厚み方向全体まで溶融するまでに要する時間を格段に短縮することができる。このため、ヒュームの発生量を低減することが可能になり、レーザービームの透過部へのヒュームの付着が抑制され、連続的に多数の三次元造形物を安定して作成することが可能となった。
[実施例]
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
実施例においては、全体予備加熱手段、予備加熱用レーザービーム、本加熱用レーザービームを用い、予備加熱用レーザーを本加熱用レーザーに対して先行して走査させて、粉末床溶融結合方式による三次元積層造形法を行った。加熱方法は、全体予備加熱手段で焼結温度未満まで予備加熱し、予備加熱用レーザーで焼結温度以上かつ溶融温度未満まで予備加熱を行い、本加熱用レーザーで溶融温度以上に加熱した。
(実施例の造形条件と造形プロセス)
材料供給工程(K1)では、供給ステージ6を下降させた状態で、造形材料である金属粉末を材料供給ステージの上部に供給した。用いた材料粉末は、SUS630の粒径20μm以下のものとした。環境制御工程(K2)では、チャンバー4内の真空度を1×10−2Paまで排気して雰囲気中の酸素を減少させた。そのあと、マスフローコントローラー12aを通じて、窒素ガスをチャンバー4内に導入し、チャンバー4内を低酸素濃度かつ真空度が3.0×10−1Paとなるようにした。全体予備加熱を行うヒーターユニット9は造形ステージ5の温度が450℃となるように出力を調整した。また、造形プロセスの実行中は、真空計14の出力に応じて排気機構13の開口調整弁を調整することで、真空度を維持した。
薄膜形成工程(K3)では、供給機構7を制御して、造形ステージ5の上に原料粉末の厚みΔZ=50μmの薄層を形成した。最初に、造形ステージの原料粉末の上面が造形テーブル11の上面よりもΔZ1=52μm低くなるように造形ステージ5を下降させた。続いて、供給ステージ6の原料粉末の上面が造形テーブルの上面よりもΔZ2=55μm高くなるように、供給ステージ6を上昇させた。そして、供給機構7により供給ローラ7aを駆動させ、供給ステージ6上の原料粉末1を造形ステージ5に移動させた。その後、造形ステージ5を原料粉末の薄層1aの厚みがΔZ=50μmとなるまで上昇させ、供給ローラ7aで押圧することにより材料粉末の密度を高め、薄層1aを形成した。
条件設定工程(K4)では、制御部20内の記憶領域21に保存されているスキャン経路ごとにあらかじめ設定した造形パラメータを呼び出した。
加熱積層工程(K5)では、スキャン経路ごとに呼び出した造形パラメータに従って、レーザービーム照射を行い、造形物を積層させた。レーザービームは本加熱用レーザーが現レイヤー上でスポット径80μm、予備加熱用レーザービームのスポット径が75μmとなるように調整している。予備加熱用レーザーと本加熱用レーザーはともに360mm/sのスキャン速度とした。本加熱用レーザーのレーザーパワーは80W、予備加熱用レーザーのレーザーパワーは85Wに設定した。
造形中は、制御部20内の位置制御部24にて、予備加熱用レーザーが本加熱用レーザーに対して所定時間間隔で先行するように光学系32および33の方向を同期させながら制御した。
[比較例]
比較例として、実施例よりも弱いパワーの予備加熱用レーザーで焼結温度未満に加熱し、その後に本加熱用レーザーを走査するという造形プロセスで、粉末床溶融結合方式による三次元積層造形法を行った。
(比較例の造形条件と造形プロセス)
比較例では、加熱積層工程(K5)において、実施例と同じ走査パターンで予備加熱用レーザーを走査し終わった後に本加熱用レーザーによる加熱を行った。予備加熱用レーザービームの出力は焼結温度未満にしか予備加熱をしないために20Wとした。本加熱用レーザービームについては、実施例と同じスキャン速度で走査すると、実施例と同じパワーでは照射領域全体を深さ方向まで完全に溶融させることができなかったので、90Wとした。その他の工程は実施例と同様である。
[評価]
実施例と比較例について、繰り返し100時間にわたり造形を繰り返した。造形と造形の間に透過部材3の表面の清掃は行わなかった。その後、透過部材をチャンバーより取り外して、レーザーパワーセンサーとメーターを使い、透過部材3を透過させた時のパワー測定を行った。
レーザーは、造形と同じYGAレーザーであり、波長が1070mm、最大出力が30Wのものを使用した。レーザー出力口とパワーセンサーを直線上に配置し、測定用レーザーの出力調整を行った。レーザー出力は30Wとし、ビーム径が0.2cmとなるようにデフォーカスした位置にパワーセンサーを設置した。次に、レーザー出力光とパワーセンサーの間に透過部材3を設置し、同様にレーザーパワーを測定した。
実施例では、透過部材を透過させない場合に対して、透過部材を透過させた場合のパワーロスは極めて小さく、透過させてもレーザーパワーはほとんど変わらなかった。すなわち、連続100時間程度の造形では、ヒュームの透過部材への付着は極微量であった。
これに対して、比較例では、透過部材を透過させない場合に対して、透過部材を透過させた場合のパワーロスは大きく、有意な差異が計測された。比較例の方法では、ヒュームが透過部材の表面に付着しており、精度の高い三次元造形を同じレーザー駆動条件で継続することが困難になっていた。
[他の実施形態]
本発明の実施形態は、上述したものに限られるものではなく、適宜変更することが可能である。
たとえば、予備加熱用レーザービームと本加熱用レーザービームは、必ずしも同一の透過部材を透過して照射する必要はなく、別々の透過部材を介してレーザービームを照射してもよい。その場合であっても、本発明によればヒュームの発生を低減できるので、各透過部材へのヒュームの付着を低減できる。
また、予備加熱用レーザービーム源と本加熱用レーザービーム源は、必ずしも同種のレーザー光源を用いなくともよい。
また、三次元造形物の反りの問題が顕在化しない場合には、ヒーターユニットによる全体予備加熱は行わなくともよい。
本発明のいろいろな実施形態によれば、粉末床溶融結合法において原料が溶融している時間を短縮することが可能なためヒュームの発生を抑制でき、レーザービームの透過部を長時間にわたり清浄な状態に保つことが可能である。
1・・・原料粉末/1a・・・薄層/1b・・・固化領域/2・・・三次元造形物/3・・・透過部材/4・・・チャンバー/5・・・造形ステージ/5m・・・昇降機構/6・・・供給ステージ/7a・・・供給ローラ/8・・・回収容器/9・・・ヒーターユニット/11・・・造形テーブル/12・・・ガス供給機構/12a・・・マスフローコントローラー/12b・・・ガス供給部/13・・・排気機構/13a・・・ターボ分子ポンプ/13b・・・ドライポンプ/14・・・真空計/20・・・制御部/21・・・記憶領域/23・・・出力制御部/24・・・位置制御部/30・・・レーザー発振器/31・・・レーザー発振器/32・・・光学系/33・・・光学系/34・・・ファイバケーブル/35・・・ファイバケーブル/62・・・加熱溶融処理を行って固化させる領域/63・・・加熱溶融処理を行わない領域/64・・・走査経路/65・・・予備加熱用レーザービーム/66・・・予備加熱用レーザービームの照射により焼結した領域/67・・・本加熱用レーザービーム/68・・・本加熱用レーザービームの照射により溶融状態にある領域/69・・・予備加熱レーザービームのスポット/70・・・本加熱レーザービームのスポット/71・・・加熱溶融処理後に固化した領域/100・・・三次元造形装置

Claims (16)

  1. 三次元造形物の原料粉末の層を形成する層形成部と、
    予備加熱用レーザービーム源と、
    本加熱用レーザービーム源と、
    レーザービームを透過する透過部と、
    前記層形成部、前記予備加熱用レーザービーム源および前記本加熱用レーザービーム源を制御する制御部と、を有し、
    前記制御部は、
    前記層形成部に前記原料粉末の層を形成させ、
    前記層のうち三次元造形物を形成する部位に、前記予備加熱用レーザービーム源から前記透過部を通して予備加熱用レーザービームを照射し、前記部位を前記原料粉末の焼結温度より高くかつ溶融温度より低くなるように予備加熱し、
    前記予備加熱用レーザービームの照射軌跡を追跡するように前記本加熱用レーザービーム源から前記透過部を通して本加熱用レーザービームを照射し、前記部位を溶融温度よりも高くなるように加熱し、
    三次元造形物を形成する、
    ことを特徴とする三次元造形装置。
  2. 前記制御部は、
    前記予備加熱した部位が前記原料粉末の焼結温度よりも低くなる前に前記本加熱用レーザービームを照射する、
    ことを特徴とする請求項1に記載した三次元造形装置。
  3. 前記三次元造形装置は、さらに、
    前記層形成部が形成した層全体を加熱する全体加熱手段を有し、
    前記制御部は、前記層形成部に前記原料粉末の層を形成させた後、前記全体加熱手段により前記層を前記原料粉末の焼結温度より低い温度に加熱する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載した三次元造形装置。
  4. 前記層形成部は、金属あるいは合金を主成分とする原料粉末の層を形成する、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載した三次元造形装置。
  5. 前記層形成部の雰囲気を、減圧雰囲気にするためのチャンバーを備える、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載した三次元造形装置。
  6. 前記層形成部の雰囲気を、窒素分圧が酸素分圧よりも高い雰囲気にするための雰囲気調整機構を備える、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載した三次元造形装置。
  7. 前記予備加熱用レーザービームが前記層を照射する照射スポットの面積は、前記本加熱用レーザービームが前記層を照射する照射スポットの面積の0.8倍以上で1.0倍以下である、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載した三次元造形装置。
  8. 前記予備加熱用レーザービームのパワーは、前記本加熱用レーザービームのパワーの1.0倍以上で1.5倍以下である、
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載した三次元造形装置。
  9. 三次元造形物の原料粉末の層を形成する層形成部と、
    予備加熱用レーザービーム源と、
    本加熱用レーザービーム源と、
    レーザービームを透過する透過部と、
    前記層形成部、前記予備加熱用レーザービーム源および前記本加熱用レーザービーム源を制御する制御部と、を有する三次元造形装置を用いた三次元造形物の製造方法であって、
    前記制御部は、
    前記層形成部に前記原料粉末の層を形成させる層形成処理と、
    前記層のうち三次元造形物を形成する部位に、前記予備加熱用レーザービーム源から前記透過部を通して予備加熱用レーザービームを照射し、前記部位を前記原料粉末の焼結温度より高くかつ溶融温度より低くなるように予備加熱する予備加熱処理と、
    前記予備加熱用レーザービームの照射軌跡を所定時間後に追跡するように前記本加熱用レーザービーム源から前記透過部を通して本加熱用レーザービームを照射し、前記部位を溶融温度よりも高くなるように加熱する本加熱処理と、
    を繰り返し実行して三次元造形物を形成する、
    ことを特徴とする三次元造形物の製造方法。
  10. 前記制御部は、
    前記予備加熱処理で前記予備加熱用レーザービームを照射した部位が、前記原料粉末の焼結温度よりも低くなる前に、前記本加熱処理で前記本加熱用レーザービームを照射する、
    ことを特徴とする請求項9に記載した三次元造形物の製造方法。
  11. 前記三次元造形装置は、さらに前記層形成部が形成した層全体を加熱する全体加熱手段を有し、
    前記制御部は、前記層形成処理の後であって前記予備加熱処理の前に、前記全体加熱手段により前記層を前記原料粉末の焼結温度より低い温度に加熱する全体加熱処理を実行する、
    ことを特徴とする請求項9または10記載した三次元造形物の製造方法。
  12. 前記層形成処理は、金属あるいは合金を主成分とする原料粉末の層を形成する処理である、
    ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載した三次元造形物の製造方法。
  13. 前記層形成処理と前記予備加熱処理と前記本加熱処理は、減圧雰囲気において実行される、
    ことを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載した三次元造形物の製造方法。
  14. 前記層形成処理と前記予備加熱処理と前記本加熱処理は、窒素分圧が酸素分圧よりも高くなるよう調整された雰囲気において実行される、
    ことを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載した三次元造形物の製造方法。
  15. 前記予備加熱用レーザービームが前記層を照射する照射スポットの面積は、前記本加熱用レーザービームが前記層を照射する照射スポットの面積の0.8倍以上で1.0倍以下である、
    ことを特徴とする請求項9乃至14のいずれか1項に記載した三次元造形物の製造方法。
  16. 前記予備加熱用レーザービームのパワーは、前記本加熱用レーザービームのパワーの1.0倍以上で1.5倍以下である、
    ことを特徴とする請求項9乃至15のいずれか1項に記載した三次元造形物の製造方法。
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